説明

情報伝送装置及びこれを用いた車両運行補助装置

【課題】混信による通信障害を防止しつつ、単一の通信チャンネルを用いてコストダウン及び処理の簡単化を図る。
【解決手段】送信データ生成部21は、所定の情報をパケット化した送信データを生成する。送信制御部22は、所定の搬送波周波数の無線信号が、送信機23からアンテナ11Aを介して、時間間隔を変えつつ間欠的に発生するとともに、この間欠的に発生する無線信号がそれぞれ送信データで変調されるように、送信機23及び切替スイッチ24を制御する。無線信号を送信していない期間において、切替スイッチ24によりアンテナ11Aが受信機24に接続され、受信機24が、送信無線信号と同じ搬送周波数の無線信号を受信する。復調部26は、この受信信号に対して復号化処理を行い、受信した情報を復調する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路上を走行する自動車や、その他の車両の通信などに用いて好適な情報伝送装置、及びこれを用いた車両運行補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電波等による無線通信装置では、一般的に、複数の搬送周波数を用いることで通信チャンネルを複数化し、混信等を防止している。
【0003】
また、例えば道路上を走行する自動車等の車両は、他車や地上からの情報を受けて車両の運転に反映することが、交通安全等の観点から好ましい。例えば、従来から、救急車やパトロールカーなどの緊急車両はサイレンを鳴らし回転灯を点灯させながら走行し、他の車両の運転者は、サイレンを聞いたり回転灯を見たりすることにより、緊急車両を認識し、緊急車両に走行レーンを譲ったり減速又は停止したりしている。
【0004】
さらに、下記特許文献1には、車両に搭載されて他の車両との通信に用いるための車両の送信装置において、車両の速度が大きくなるにしたがって短い周期で同車両に送信するようにした車両の送信装置が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−42233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の無線通信装置では、例えば、道路上を走行する自動車や、その他の車両の車両相互間で車両に関する情報等を通信するために、各車両に搭載すると、車両の数が多いことから通信チャンネルの数が増え、コストアップを免れないとともに、通信チャンネルの選択処理などの処理が煩雑となる。
【0007】
また、道路上を走行する車両の運転者は、サイレンや回転灯によってのみ緊急車両を認識していたので、緊急車両がすぐ近くに来るまで緊急車両の存在に気がつかずに、緊急車両がすぐ近くに来て初めて気がついて焦ってしまうような場合があり、交通安全上好ましくなかった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、混信による通信障害を防止しつつ、単一の通信チャンネルを用いてコストダウン及び処理の簡単化を図ることができ、自動車やその他の車両の車両相互間の通信や、車両と地上との間の通信などに好適に利用することができる情報伝送装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、緊急車両を容易に認識することができ、ひいては交通安全を高めることができる車両運行補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここでは、前記課題を解決する技術手段として、以下の各態様を提示する。なお、下記第2及び第22の態様が請求項1乃至21に係る発明に相当している。
【0011】
第1の態様による通信装置は、所定の情報をパケット化して、時間間隔を変えつつ間欠的に発生する無線信号によって送信する送信手段と、前記送信手段が前記無線信号を発生していないときに、前記無線信号と同じ搬送波周波数の無線信号による情報を受信する受信手段と、を備えたものである。前記無線信号としては、電波信号、光信号、超音波信号などの種々の無線信号から、用途に応じて適宜選択することができる。前記時間間隔は、所定の範囲内において、ランダムに変化させてもよいし、あるいは、所定パターンに従って変化させてもよい。
【0012】
この第1の態様によれば、送信と受信とで同じ搬送波周波数が用いられているので、コストダウン及び処理の簡単化を図ることができる。そして、前記第1の態様によれば、情報をパケット化して、時間間隔を変えつつ間欠的に発生する無線信号によって送信するとともに、送信していないときに無線信号を受信するので、前記第1の態様による通信装置を複数用いて相互に通信を行う場合、ある時点で複数の通信装置から同時に無線信号が発生して混信が生じても、その後に各通信装置から発生する無線信号の発生タイミングが互いに異なることとなり、混信が生じなくなる。したがって、確実に通信が行われ、混信による障害が起きるおそれがない。
【0013】
第2の態様による情報伝送装置は、前記複数の車両にそれぞれ搭載された複数の車上用通信装置を備え、前記各車上用通信装置が前記第1の態様による通信装置であり、複数の車両間で通信を行うものである。
【0014】
この第2の態様によれば、各車上用通信装置として前記第1の態様による通信装置が用いられているので、コストダウンを図りつつ混信による障害を防止して、車両間の通信を行うことができる。
【0015】
第3の態様による情報伝送装置は、前記第2の態様において、前記複数の車両が通過する付近の地上側に配置された地上用通信装置を備え、該地上用通信装置が前記第1の態様による通信装置であり、前記各車両と地上との間で通信を行うものである。
【0016】
この第3の態様によれば、地上用通信装置としても前記第1の態様による通信装置が用いられているので、コストダウンを図りつつ混信による障害を防止して、車両間の通信のみならず車両・地上間の通信も行うことができる。
【0017】
第4の態様による情報伝送装置は、車両に搭載された車上用通信装置と、前記車両が通過する付近の地上側に配置された地上用通信装置を備え、前記車上用通信装置及び前記地上用通信装置がそれぞれ前記第1の態様による通信装置であり、前記車両と地上との間で通信を行うものである。
【0018】
この第4の態様によれば、車上用通信装置及び地上用通信装置としてそれぞれ前記第1の態様による通信装置が用いられているので、コストダウンを図りつつ混信による障害を防止して、車両・地上間の通信を行うことができる。
【0019】
第5の態様による車両運行補助装置は、前記第2又は第3の態様による情報伝送装置と、前記各車両に搭載された車上用受信情報処理手段であって、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行う車上用受信情報処理手段と、を備えたものである。
【0020】
この第5の態様によれば、前記第2又は第3の態様による情報伝送装置が用いられているので、コストダウンを図りつつ、他車からの情報に基づいて、自車において自車の運行又は走行に関連する情報提示、警報又は制御を適切に行うことができ、車両の運行を一層適切に行うことができる。
【0021】
第6の態様による車両運行補助装置は、前記第5の態様において、(a)前記各車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の現在位置情報を含み、(b)前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、自車の現在位置情報と、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された他車の現在位置情報とに基づいて、自車と当該他車との離隔距離を演算する演算手段を含み、(c)前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車に対して他車が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うものである。
【0022】
この第6の態様によれば、自車において自車と他車との離隔距離に応じた表示、警報、制御が可能となる。
【0023】
第7の態様による車両運行補助装置は、前記第5の態様において、(a)前記各車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の車両識別情報を含み、(b)前記各車両に搭載され所定の他車の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する他車識別情報記憶手段を備え、(c)前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記他車識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された他車の車両識別情報又はこれに関連する情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行うものである。
【0024】
この第7の態様によれば、所望の他車からの情報を選択的に利用して、自車において自車の運行又は走行に関連する情報提示、警報、制御を行うことができる。
【0025】
第8の態様による車両運行補助装置は、前記第5の態様において、(a)前記各車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の現在位置情報及び自車の車両識別情報を含み、(b)前記各車両に搭載され所定の他車の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する他車識別情報記憶手段を備え、(c)前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記他車識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された他車の車両識別情報に関連する現在位置情報と、自車の現在位置情報とに基づいて、自車と当該他車との離隔距離を演算する演算手段を含み、(d)前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車に対して前記識別された他車が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うものである。
【0026】
この第8の態様によれば、自車と所望の他車との離隔距離を選択的に利用して、自車において当該離隔距離に応じた表示、警報、制御が可能となる。
【0027】
第9の態様による車両運行補助装置は、前記第7又は第8の態様において、前記各他車識別情報記憶手段が記憶している前記識別情報は、緊急車両の車両識別情報を識別するための識別情報であるものである。
【0028】
この第9の態様によれば、緊急車両からの情報を選択的に利用して、自車において、自車の運行又は走行に関連する情報提示、警報、制御を行ったり、自車と緊急車両との離隔距離に応じた表示、警報、表示を行ったりすることができる。したがって、前記第9の態様によれば、通信可能な距離を適宜設定しておけば、例えば、自車の運転手は、緊急車両のサイレンや回転灯を認識する前に、緊急車両を認識してこれに備えることができ、焦ることなく緊急車両に走行レーンを譲ったり減速又は停止したりすることができ、ひいては交通安全を高めることができる。
【0029】
第10の態様による車両運行補助装置は、(a)前記第3又は第4の態様による情報伝送装置と、(b)前記車両に搭載された車上用受信情報処理手段であって、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行う車上用受信情報処理手段と、(c)地上側に配置された地上用受信情報処理手段であって、前記地上用通信装置の受信手段により受信された情報に基づいて、前記地上用通信装置が配置された地点付近に対しての前記車両に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行う地上用受信情報処理手段と、を備えたものである。
【0030】
この第10の態様によれば、前記第3又は第4の態様による情報伝送装置が用いられているので、コストダウンを図りつつ、地上からの情報に基づいて、車両において、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報又は制御を適切に行うことができ、車両の運行を一層適切に行うことができる。また、前記第10の態様によれば、車両からの情報に基づいて、地上において情報提示、警報又は制御を行うことができる。
【0031】
第11の態様による車両運行補助装置は、前記第10の態様において、(a)前記地上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、当該地上用通信装置が配置された地点付近の位置を示す地点位置情報を含み、(b)前記車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、自車の現在位置情報と、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された前記地点位置情報とに基づいて、自車と前記地点付近の位置との離隔距離を演算する演算手段を含み、(c)前記車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車が前記地点に対して接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うものである。
【0032】
この第11の態様によれば、車両において、自車と地上用通信装置が配置された地点付近の位置との離隔距離に応じた表示、警報、制御が可能となる。
【0033】
第12の態様による車両運行補助装置は、前記第10の態様において、(a)前記地上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、当該地上用通信装置が配置された地点付近の状況を識別する地点状況識別情報を含み、(b)前記車両に搭載され所定の地点状況識別情報を識別するための識別情報を記憶する地点状況識別情報記憶手段を備え、(c)前記車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記地点状況識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された地点状況識別情報又はこれに関連する情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行うものである。
【0034】
この第12の態様によれば、所望の地点からの情報を選択的に利用して、車両において自車の運行又は走行に関連する情報提示、警報、制御を行うことができる。
【0035】
第13の態様による車両運行補助装置は、前記第10の態様において、(a)前記地上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、当該地上用通信装置が配置された地点付近の位置を示す地点位置情報と、当該地上用通信装置が配置された地点付近の状況を識別する地点状況識別情報とを含み、(b)前記車両に搭載され所定の地点状況識別情報を識別するための識別情報を記憶する地点状況識別情報記憶手段を備え、(c)前記車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記地点状況識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された地点状況識別情報に関連する地点位置情報と、自車の現在位置情報とに基づいて、自車と前記地点付近の位置との離隔距離を演算する演算手段を含み、(d)前記車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車が前記地点に対して接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うものである。
【0036】
この第13の態様によれば、自車と所望の地点付近の位置との離隔距離を選択的に利用して、車両において当該離隔距離に応じた表示、警報、制御が可能となる。
【0037】
第14の態様による車両運行補助装置は、前記第12又は第13の態様において、前記地点状況識別情報は、当該地点付近が工事、保守又は点検等の作業箇所であることを示すとともに当該作業箇所を識別する情報であるものである。
【0038】
この第14の態様によれば、車両の運転手が作業箇所付近を通過する際に減速させたり、作業箇所付近を通過する車両を自動的に減速させたりすることが可能となる。したがって、作業者の安全性が高まる。
【0039】
第15の態様による車両運行補助装置は、前記第10乃至第14のいずれかの態様において、(a)前記車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の現在位置情報を含み、(b)前記地上用受信情報処理手段は、前記地上用通信装置が配置されている地点付近の位置を示す地点位置情報と、前記地上用通信装置の受信手段により受信された前記車両の現在位置情報とに基づいて、前記地点付近の位置と前記車両との離隔距離を演算する演算手段を含み、(c)前記地上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて前記地点に対して車両が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に信号機を制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うものである。
【0040】
この第15の態様によれば、地上において、地上用通信装置が配置された地点付近の位置と車両と離隔距離に応じた表示や警報や信号機制御が可能となる。
【0041】
第16の態様による車両運行補助装置は、前記第10乃至第14のいずれかの態様において、(a)前記車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の車両識別情報を含み、(b)地上側に配置され所定の車両の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する車両識別情報記憶手段を備え、(c)前記地上用受信情報処理手段は、前記地上用通信装置の受信手段により受信された情報のうちの、前記車両識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された車両識別情報又はこれに関連する情報に基づいて、前記地上用通信装置が配置された地点付近に対しての前記車両に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行うものである。
【0042】
この第16の態様によれば、所望の車両からの情報を選択的に利用して、地上において情報提示や警報や制御を行うことができる。
【0043】
第17の態様による車両運行補助装置は、前記第10乃至第14のいずれかの態様において、(a)前記車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の現在位置情報及び自車の車両識別情報を含み、(b)地上側に配置され所定の車両の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する車両識別情報記憶手段を備え、(c)前記地上用受信情報処理手段は、前記地上用通信装置の受信手段により受信された情報のうちの、前記車両識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された車両識別情報に関連する現在位置情報と、前記地上用通信装置が配置されている地点付近の位置を示す地点位置情報とに基づいて、前記地点付近の位置と前記車両との離隔距離を演算する演算手段を含み、(d)前記地上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて前記地点に対して前記識別された車両が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に信号機を制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うものである。
【0044】
この第17の態様によれば、地上用通信装置が配置された地点付近の位置と所望の車両との離隔距離を選択的に利用して、地上において当該離隔距離に応じた表示や警報や信号機制御が可能となる。
【0045】
第18の態様による車両運行補助装置は、前記第16又は第17の態様において、前記車両情報記憶手段が記憶している前記識別情報は、緊急車両の車両識別情報を識別するための識別情報であるものである。
【0046】
この第18の態様によれば、緊急車両からの情報を選択的に利用することができる。
【0047】
第19の態様による車両運行補助装置は、(a)複数の車両にそれぞれ搭載された複数の車上用通信装置を有する情報伝送装置であって、前記各車両について、少なくとも自車と他車である緊急車両との間で、無線通信を行う情報伝送装置と、(b)前記各車両に搭載された車上用受信情報処理手段であって、当該車両に搭載された前記車上用通信装置により受信された情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行う車上用受信情報処理手段と、を備えたものである。
【0048】
この第19の態様によれば、他車である緊急車両から無線通信により得た情報を利用して、自車において、自車の運行又は走行に関連する情報提示、警報、制御を行うことができる。したがって、前記第19の態様によれば、通信可能な距離を適宜設定しておけば、例えば、自車の運転手は、緊急車両のサイレンや回転灯を認識する前に、緊急車両を認識してこれに備えることができ、焦ることなく緊急車両に走行レーンを譲ったり減速又は停止したりすることができ、ひいては交通安全を高めることができる。
【0049】
第20の態様による車両運行補助装置は、前記第19の態様において、(a)前記各車両に搭載された前記車上用通信装置は、自車の現在位置情報を送信し、(b)前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、自車の現在位置情報と、当該車両に搭載された前記車上用通信装置により受信された他車の現在位置情報とに基づいて、自車と当該他車との離隔距離を演算する演算手段を含み、(c)前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車に対して他車が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うものである。
【0050】
この第20の態様によれば、車両において、自車と緊急車両との離隔距離に応じた表示、警報、制御が可能となる。したがって、緊急車両の状況をより適切に把握することができ、緊急車両に対してより適切な対処が可能となる。また、緊急車両が自車に対して接近して来るのか遠ざかっていくのかを判断することも可能になり、例えば、自車の運転者は、緊急車両のサイレンが聞こえるが自車に接近してくるのか否かで動揺することがなくなる。
【0051】
第21の態様による車両運行補助装置は、前記第19の態様において、(a)前記各車両に搭載された前記車上用通信装置は、自車の車両識別情報を送信し、(b)前記各車両に搭載され、緊急車両の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する他車識別情報記憶手段を備え、(c)前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記車上通信装置により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記他車識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された緊急車両の車両識別情報又はこれに関連する情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行うものである。
【0052】
この第21の態様によれば、緊急車両からの情報を選択的に利用して、自車において、自車の運行又は走行に関連する情報提示、警報、制御を行うことができる。したがって、例えば、一般車両を緊急車両と誤認識するような自体が防止され、好ましい。
【0053】
第22の態様による車両運行補助装置は、前記第19の態様において、(a)前記各車両に搭載された前記車上用通信装置は、自車の現在位置情報及び自車の車両識別情報を送信し、(b)前記各車両に搭載され、緊急車両の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する他車識別情報記憶手段を備え、(c)前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記車上用通信装置により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記他車識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された緊急車両の車両識別情報に関連する現在位置情報と、自車の現在位置情報とに基づいて、自車と当該他車との離隔距離を演算する演算手段を含み、(d)前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車に対して前記識別された緊急車両が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うものである。
【0054】
この第22の態様によれば、前記第20の態様による利点と前記第21の態様の利点を併せて得ることができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、混信による通信障害を防止しつつ、単一の通信チャンネルを用いてコストダウン及び処理の簡単化を図ることができ、自動車やその他の車両の車両相互間の通信や、車両と地上との間の通信などに好適に利用することができる情報伝送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態による車両運行補助装置の配置を模式的に示す概略平面図である。
【図2】図1中の車載装置及び地上装置の送信信号及び受信信号のタイミング及び強度を模式的に示すタイムチャートである。
【図3】車載装置及び地上装置が送信する情報のデータフォーマットの一例を示す図である。
【図4】図1中の車載装置を模式的に示す機能ブロック図である。
【図5】図4中のメモリの記憶内容の一例を模式的に示す図である。
【図6】図4中の表示部の表示パネルの一例を示す図である。
【図7】図4中の受信データ処理部の動作の一例を示す概略フローチャートである。
【図8】図1中の地上装置を模式的に示す機能ブロック図である。
【図9】図8中のメモリの記憶内容の一例を模式的に示す図である。
【図10】図8中の表示部の表示パネルの一例を示す図である。
【図11】図8中の受信データ処理部の動作の一例を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明による情報伝送装置及び車両運行補助装置について、図面を参照して説明する。
【0058】
図1は、本発明の一実施の形態による車両運行補助装置の配置を模式的に示す概略平面図である。図1(b)は、図1(a)に示す状態から数秒経過した後の状態を示している。
【0059】
本実施の形態による車両運行補助装置は、図1に示すように、道路2上を走行する車両A,B,Cにそれぞれ搭載された車載装置1A,1B,1Cと、道路2の所定の地上作業箇所(工事、保守又は点検等の作業箇所。以下、説明の便宜上、「保守現場」という。)付近に配置された地上装置3と、を備えている。図1に示す例では、車両Bは救急車やパトロールカー等の緊急車両であり、車両A,Cはそれ以外の一般車両である。また、図面には示していないが、本実施の形態による車両運行補助装置は、他の車両にそれぞれ搭載され車載装置1A,1B,1Cと同じ構成を有する車載装置、及び、異なる保守現場付近に配置され地上装置3と同じ構成を有する地上装置も、備えている。
【0060】
図2は、図1中の車載装置1A,1B,1C及び地上装置3の送信信号及び受信信号のタイミング及び強度を模式的に示すタイムチャートである。車両Aの車載装置1Aのアンテナ11A、車両Bの車載装置1Bのアンテナ11B、車両Cの車載装置1Cのアンテナ11C、及び、地上装置3のアンテナ12から、それぞれ図2(a)(c)(d)(e)に示す無線信号(本実施の形態では、電波信号)が時間間隔を変えつつ間欠的に送信され、各アンテナ11A,11B,11C,12は互いの通信エリア内に入ると、他のアンテナから送信された無線信号を受信する。各アンテナ11A,11B,11C,12から送信される無線信号の周波数は互いに同じ周波数であるが、前述したように、アンテナ11A,11B,11C,12から送信される無線信号はそれぞれ時間間隔を変えつつ間欠的に送信されるので、複数の無線信号がある時点で同時に送信されて混信が生じても、その後に発生する無線信号の発生タイミングが互いに異なることになり、混信が生じなくなる。したがって、確実に通信が行われ、混信による障害が起きるおそれがない。図2に示す例では、時点t1で車両A,Bの車載装置11A,1Bから送信された無線信号が同時に送信されて混信しているが、その後は各無線信号の発生タイミングが異なっている。
【0061】
なお、図2(b)は、車両Aの車載装置1Aが車両Bのアンテナ11Bから送信された無線信号の受信信号を示している。図2に示す例は、車両Aと車両Bとが次第に接近していき、両車両A,Bにそれぞれ搭載された車上装置1A,1B間の通信エリア内に入った時点t2で、車上装置1Aが車上装置1Bからの無線信号の受信が開始され、時点t2から所定の処理時間経過後の時点t3以降、車上装置1Aにおいて、車両Bが通信エリア内に入ったことが検知されて後述する表示部29のランプ31(図6参照)が点灯する状況を示している。なお、図2では、車両B,Cの車載装置1B,1Cの受信信号及び地上装置3の受信信号については、省略している。
【0062】
図3は、車載装置1A,1B,1C及び地上装置3が送信する情報のデータフォーマットの一例を示す図である。車載装置1A,1B,1C及び地上装置3は、各無線信号送信時に、所定の情報を図3に示すデータフォーマットでパケット化して、FSK(周波数偏移変調)等の変調により搬送波信号に載せて送信する。このデータフォーマットについては、後に詳述する。
【0063】
車載装置1A,1B,1Cは同じ構成を有しているので、ここでは、車載装置1Aについてのみ、図4を参照して説明する。図4は、車載装置1Aを模式的に示す機能ブロック図である。車載装置1Aは、図4に示すように、送信データ生成部21と、送信制御部22と、送信機23と、アンテナ11Aを送信機23側と受信機25側とに切り替えて接続する切替スイッチ24と、受信機25と、復調部26と、受信データ処理部27と、メモリ28と、表示部29とを備えている。
【0064】
図5は、メモリ28の記憶内容の一例を模式的に示す図である。メモリ28には、図5に例示するように、自車Aの車両識別情報である車両識別番号が格納されている。本実施の形態では、車両識別番号は、緊急車両である場合には下1桁のアルファベットがY、一般車両である場合にはY及びZ以外の任意のアルファベットとなるように、採番されている。なお、後述する保守現場番号は、車両識別番号と同じ形式であるが、下1桁のアルファベットがZとなるように採番され、車両識別番号と識別可能とされている。また、メモリ28には、図5に示すように、緊急車両の車両識別番号を識別するための識別情報(緊急車両識別データ)として、車両識別番号の下1桁の「Y」も、格納されている。さらに、メモリ28には、図5に示すように、後述する保守現場番号を識別するための識別情報(保守現場識別データ)として、保守現場番号の下1桁の「Z」も、格納されている。もっとも、緊急車両番号や保守現場番号を識別するための識別情報として、緊急車両の車両識別番号のリストや保守現場番号のリストを、メモリ28に格納しておいてもよい。
【0065】
送信データ生成部21は、メモリ28に記憶されている自車の車両識別番号と、自車Aの現在の走行速度を示す走行速度信号と、自車Aの現在位置を示す現在位置信号とに基づいて、図3に示すデータフォーマットでパケット化した送信データを生成する。車両Aは自車の走行速度を検出する速度検出器を有しているので、この速度検出器からの信号を前記走行速度信号として用いればよい。また、車両Aは自車の現在位置を検出する検出器を予め有していれば、この検出器からの信号を前記現在位置信号として用いればよい。もっとも、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機やDGPS(Differential Global Positioning System)受信機などを設け、この受信機からの信号を前記現在位置信号として用いてもよい。
【0066】
送信データ生成部21が生成する送信データは、図3に示すように、送信データの始めを示しビット同期やキャラクタ同期を取るためのダミービット列からなるプリアンブルと、識別番号としての自車Aの車両識別番号を示すビット列と、自車Aの現在位置を示すビット列と、自車Aの現在の走行速度を示すビット列と、誤り訂正符号(代わりに、チェックサムなどの誤り検出符号を用いてもよい。)のビット列と、送信データの終わりを示すビット列からなるエンドデータと、からなる。
【0067】
なお、後述するように、地上装置3のアンテナ12から出力される無線信号で送信される送信データのデータフォーマットも、データ形式としては、送信データ生成部21が生成する前記送信データのデータフォーマットと共通する。ただし、識別番号として、車両識別番号に代えて、自己の工事、保守又は点検等の作業箇所(以下、「保守現場」という。)の識別情報としての保守現場番号が用いられ、現在位置として、自己の保守現場の位置が用いられる。また、保守現場には走行速度は存在しないため、走行速度としてダミーデータが用いられる。
【0068】
送信制御部22は、所定の搬送波周波数の無線信号(本実施の形態では、電波信号)が、送信機23からアンテナ11Aを介して、図2(a)に示すように時間間隔を変えつつ間欠的に発生するとともに、この間欠的に発生する無線信号がそれぞれ送信データ生成部21により生成された送信データで変調されるように、送信機23及び切替スイッチ24を制御する。送信機23は、送信制御部22による制御に従ってアンテナ11Aを駆動して、アンテナ11Aから前記無線信号を送信させる。なお、送信する無線信号の時間間隔は、例えば、所定の範囲(例えば、1秒〜2秒の範囲)でランダムに変化するようにしてもよい(この場合、例えば、乱数発生部を用いて順次発生した乱数に時間間隔を割り当てればよい。)し、予め定めた所定のパターンで変化するようにしてもよい。
【0069】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、送信データ生成部21、送信制御部22、送信機23、切替スイッチ24及びアンテナ11Aが、所定の情報(本実施の形態では、車両識別番号、現在位置及び走行速度)をパケット化して、時間間隔を変えつつ間欠的に発生する無線信号によって送信する送信手段を構成している。
【0070】
切替スイッチ24は、送信制御部22による制御によって、前記無線信号を送信していない期間においては、アンテナ11Aを受信機24に接続して、受信待機状態にする。この受信待機状態において、受信機24は、送信機23からアンテナ11Aを介して送信した無線信号と同じ搬送周波数の無線信号(図1中の車両B,Cの車載装置1B,1Cのアンテナ11B,11Cから送信された無線信号や図1中の地上装置3のアンテナ12から送信された無線信号など)を、アンテナ11Aを介して受信する。復調部26は、この受信信号に対して誤り訂正処理等を含む復号化処理を行い、他車や保守現場の車両識別番号(又は保守現場番号)、現在位置、走行速度(保守現場の場合は走行速度は無視)の各データを復調する。
【0071】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、アンテナ11A、切替スイッチ24、受信機25及び復調部26が、前記送信手段が無線信号を発生していないときに、その無線信号と同じ搬送波周波数の無線信号による情報を受信する受信手段を構成している。この受信手段と前記送信手段とによって、通信装置が構成されている。また、車両Aの車載装置1Aの通信装置と、この通信装置に相当する、車両B,Cの車載装置1B,1Cの通信装置とによって、複数の車両A,B,C間で通信を行う情報伝送装置が構成されている。さらに、車両Aの車載装置1Aの通信装置と、車両Bの車載装置1Bの通信装置と、車両Cの車載装置1Cの通信装置と、前記通信装置に相当する、地上装置3の通信装置とによって、各車両A,B,Cと地上との間で通信を行う情報伝送装置が構成されている。
【0072】
図4中の表示部29の表示パネルの一例を、図6に示す。この表示部29は、自車Aの運転席付近に取り付けられ、図6に示すように、緊急車両が自車の通信エリア内に存在する旨を示す表示ランプ31と、保守現場が自車の通信エリア内に存在する旨を示す表示ランプ32と、自車Aに対して緊急車両や保守現場が接近中である旨を示す接近中表示部34(この接近中表示部34は、例えば、背後のランプにより「接近中」の文字が点灯・消灯されるように構成されている。)と、通信エリア内の緊急車両又は保守現場の位置と自車Aとの離隔距離、通信エリア内の緊急車両の走行速度をそれぞれ示す所定数の7セグメントLED33と、を有している。表示部29のこれらの表示は、自車Aの運行又は走行に関連する情報提示に相当している。なお、表示部29としては、カーナビゲーション装置等の液晶パネル等を利用することもできる。
【0073】
図4中の受信データ処理部27は、前記受信手段により受信された情報(すなわち、本実施の形態では、復調部26により得られた、他車や保守現場の車両識別番号(又は保守現場番号)、現在位置、走行速度(保守現場の場合は走行速度は無視)の各データ)に基づいて、表示部29を制御して、自車Aの運行又は走行に関連する情報提示を、自車Aの運転者に対して行う。
【0074】
受信データ処理部27の動作の一例について、図7を参照して説明する。図7は、受信データ処理部27の動作の一例を示す概略フローチャートである。
【0075】
受信データ処理部27は、動作を開始すると、表示部29の各表示を消灯してリセットするなどの初期化を行い(ステップS1)、前記受信手段により信号が新たに受信されたか否か(すなわち、本実施の形態では、他車や保守現場の車両識別番号(又は保守現場番号)、現在位置、走行速度(保守現場の場合は走行速度は無視)の各データが、復調部26により新たに得られたか否か)を判定する(ステップS2)。信号が新たに受信されなければ、表示部29の各表示を消灯してリセットした(ステップS3)後、ステップS2へ戻る。一方、信号が新たに受信されると、ステップS4へ移行する。
【0076】
ステップS4において、受信データ処理部27は、最新に受信されたデータのうちの識別番号(車両識別番号又は保守現場番号)が、緊急車両の車両識別番号であるか否かを、メモリ28に記憶されている図5に示す緊急車両識別データに基づいて判定する。緊急車両の車両識別番号であればステップS7へ移行し、緊急車両の車両識別番号でなければステップS5へ移行する。
【0077】
ステップS5において、受信データ処理部27は、最新に受信されたデータのうちの識別番号(車両識別番号又は保守現場番号)が保守現場番号であるか否かを、メモリ28に記憶されている図5に示す保守現場識別データに基づいて判定する。保守現場番号であればステップS6へ移行し、保守現場番号でなければステップS2へ戻る。
【0078】
ステップS6において、受信データ処理部27は、表示部29のランプ32を点灯させて「保守現場エリア内」を表示させ、ステップS8へ移行する。
【0079】
ステップS7において、受信データ処理部27は、表示部29のランプ31を点灯させて「緊急車両エリア内」を表示させ、ステップS8へ移行する。
【0080】
ステップS8において、受信データ処理部27は、自車Aの現在位置を示す現在位置信号と、最新に受信された緊急車両の現在位置(ステップS4のYESによりステップS8へ移行した場合)又は最新に受信された保守現場の位置(現在位置)(ステップS5のYESによりステップS6へ移行した場合)とに基づいて、自車Aの現在位置と、当該緊急車両の現在位置(ステップS4のYESによりステップS8へ移行した場合)又は当該保守現場の位置(現在位置)(ステップS5のYESによりステップS6へ移行した場合)との、離隔距離を算出する。
【0081】
次に、受信データ処理部27は、ステップS8で最新に算出された離隔距離を表示部29に表示させる(ステップS9)。
【0082】
その後、受信データ処理部27は、同じ識別番号(車両識別番号又は保守現場番号)についてステップS8で最新に算出された離隔距離と前回算出された離隔距離との大小によって、自車Aに対して当該緊急車両又は保守現場が接近中である(すなわち、今回の離隔距離が前回の離隔距離より短くなった)か否かを判定する(ステップS10)。接近中でなければステップS2へ戻り、接近中であれば、表示部29の接近中表示部34を点灯させて「接近中」を表示させた(ステップS11)後、ステップS2へ戻る。
【0083】
本実施の形態によれば、このような動作によって、自車Aと緊急車両とが近づいていき、自車Aが緊急車両との通信エリア(通信エリアは、地理的条件等によっても異なるが、送信強度等を適宜設定することによって、例えば、数百m〜数kmに設定できる。)内に入ると、表示部29に「緊急車両エリア内」が表示されるとともに緊急車両との離隔距離及び緊急車両の走行速度が表示される。また、自車Aに対して緊急車両が接近中であれば、表示部29に「接近中」が表示される。したがって、自車Aの運転者は、これらの表示を見ることによって、緊急車両のサイレンや回転灯を認識する前に、緊急車両を認識してこれに備えることができ、焦ることなく緊急車両に走行レーンを譲ったり減速又は停止したりすることができ、ひいては交通安全を高めることができる。また、緊急車両が接近中か否か知ることができるので、自車の運転者は、サイレンが聞こえるが緊急車両が自車に接近してくるか否かが不明であることにより動揺するような事態が防止される。本実施の形態のように「接近中」を表示することが好ましいが、その表示を行わなくても、運転者は、離隔距離を見ることによって、その距離が長くなるのか短くなるのかにより緊急車両が接近してくるのか否かを知ることは、可能である。なお、緊急車両の走行速度の代わりに又は緊急車両の走行速度と共に、表示部29に自車と緊急車両との相対速度を表示してもよい。
【0084】
また、本実施の形態によれば、前述した動作によって、自車Aが保守現場に近づいていき、地上装置3との通信エリア内に入ると、表示部29に「保守現場エリア内」が表示されるとともに保守現場との離隔距離が表示される。また、自車Aが保守現場に対して接近中であれば、表示部29に「接近中」が表示される。したがって、自車Aの運転者は、これらの表示を見ながら、保守現場を認識してこれに備えることができ、保守現場付近で自車Aを適切な程度まで減速させたり、保守員に注意を払いながら走行することができ、これにより、保守員の安全性が高まる。
【0085】
次に、本実施の形態による車両運行補助装置の図1中の地上装置3について、図8乃至図11を参照して説明する。図8は、地上装置3を模式的に示す機能ブロック図である。図9は、図8中のメモリ48の記憶内容の一例を模式的に示す図である。図10は、図8中の表示部49の表示パネルの一例を示す図である。図11は、図8中の受信データ処理部47の動作の一例を示す概略フローチャートである。
【0086】
地上装置3は、図8に示すように、基本的には前述した車載装置1A,1B,1Cの場合と同様に、送信データ生成部41と、送信制御部42と、送信機43と、アンテナ12を送信機43側と受信機45側とに切り替えて接続する切替スイッチ44と、受信機45と、復調部46と、受信データ処理部47と、メモリ48と、表示部49とを備えている。さらに、地上装置3は、警報音を発生する警報音発生部50も備えている。
【0087】
メモリ48には、図9に例示するように、識別情報として、地上装置3が配置されている地点付近の状況を識別する地点状況識別情報(本実施の形態では、当該地点付近が保守現場であることを示すとともに当該保守現場を識別する情報としての、保守現場番号(自己の保守現場の保守現場番号))が格納されている。また、メモリ48には、図9に示すように、自己の保守現場の位置(地上装置3が配置されている地点付近の位置に相当)も格納されている。さらに、メモリ48には、図9に示すように、緊急車両の車両識別番号を識別するための識別情報(緊急車両識別データ)として、車両識別番号の下1桁の「Y」も、格納されている。
【0088】
送信データ生成部41は、メモリ48に記憶されている自己の保守現場の保守現場番号と、自己の保守現場の位置(現在位置)とに基づいて、図3に示すデータフォーマットでパケット化した送信データを生成する。
【0089】
送信データ生成部41が生成する送信データは、図3に示すように、図4中の送信データ生成部21が生成する送信データのプリアンブルと同じプリアンブルと、識別番号としての自己の保守現場の保守現場番号を示すビット列と、自己の保守現場の位置(現在位置)を示すビット列と、走行速度としてのダミーデータを示すビット列と、誤り訂正符号(代わりに、チェックサムなどの誤り検出符号を用いてもよい。)のビット列と、送信データの終わりを示すビット列からなるエンドデータと、からなる。このように、送信データ生成部41が生成する送信データのデータフォーマットは、図4中の送信データ生成部21が生成する送信データのデータフォーマットと共通している。この点は、既に説明した通りである。
【0090】
送信制御部42、送信機43、切替スイッチ44、受信機45及び復調部46は、利用する送信データが異なるだけで、他の点については、図4中の送信制御部22、送信機23、切替スイッチ24、受信機25及び復調部26とそれぞれ同一であり、アンテナ12から送信する無線信号の搬送波周波数や受信する無線信号の搬送波周波数や変調方式についても、同一である。
【0091】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、送信データ生成部41、送信制御部42、送信機43、切替スイッチ44及びアンテナ12が、所定の情報(本実施の形態では、保守現場番号及び現在位置)をパケット化して、時間間隔を変えつつ間欠的に発生する無線信号によって送信する送信手段を構成している。また、本実施の形態では、アンテナ12、切替スイッチ44、受信機45及び復調部46が、前記送信手段が無線信号を発生していないときに、その無線信号と同じ搬送波周波数の無線信号による情報を受信する受信手段を構成している。この受信手段と前記送信手段とによって、通信装置が構成されている。
【0092】
本実施の形態では、図8中の表示部49は、図10に示すように、緊急車両が自己の保守現場の通信エリア内に存在する旨を示す表示ランプ51と、一般車両が自己の保守現場の通信エリア内に存在する旨を示す表示ランプ52と、自己の保守現場に対して緊急車両や一般車両が接近中である旨を示す接近中表示部54(この接近中表示部54は、例えば、背後のランプにより「接近中」の文字が点灯・消灯されるように構成されている。)と、通信エリア内の緊急車両又は一般車両の位置と自己の保守現場との離隔距離、通信エリア内の緊急車両又は一般車両の走行速度をそれぞれ示す所定数の7セグメントLED53と、を有している。表示部29のこれらの表示は、自己の保守現場に対しての車両に関連する情報提示に相当している。表示部49の表示は保守現場の安全管理者(あるいは、いわゆる見張り役)に対してのみ知ることができるように構成してもよいが、これらの表示のうち、「接近中」の表示については、他の作業者も知り得るように、例えば表示面積を大きくすることが好ましい。
【0093】
また、警報音発生部50としては、例えば、スピーカーやサイレン等が用いられ、自己の保守現場の付近を通過することになる車両が当該保守現場に対して接近中である旨の、警報音を発生する。この警報音は、保守員の全員に聞こえるようにしておくことが好ましい。
【0094】
ここでは、地上装置3が設置されている保守現場は、図面には示していないが、道路の一方の片側車線の全体に渡るものであり、他方の片側車線を上り車両及び下り車両が交互に通行するようになっているものとする。そして、保守現場付近において車両が通行し得る前記他方の片側車線の入口にはそれぞれ上り車両と下り車両とを交互に通行させるための信号機が設置されているものとする。もっとも、本発明では、保守現場がこのような現場に限定されるものではないことは、言うまでもない。
【0095】
受信データ処理部47の動作の一例について、図11を参照して説明する。図11は、受信データ処理部47の動作の一例を示す概略フローチャートである。
【0096】
受信データ処理部47は、動作を開始すると、表示部49の各表示を消灯してリセットするなどの初期化を行い(ステップS31)、前記受信手段により信号が新たに受信されたか否か(すなわち、本実施の形態では、車両の車両識別番号、現在位置、走行速度の各データが、復調部46により新たに得られたか否か)を判定する(ステップS32)。信号が新たに受信されなければ、表示部49の各表示を消灯してリセットし、警報音発生部50から発生していた警報音を停止させるとともに、後述する信号機制御信号の出力を停止させた(ステップS33)後、ステップS32へ戻る。一方、信号が新たに受信されると、ステップS34へ移行する。
【0097】
ステップS34において、受信データ処理部47は、最新に受信されたデータのうちの車両識別番号が、緊急車両の車両識別番号であるか否かを、メモリ48に記憶されている図9に示す緊急車両識別データに基づいて判定する。緊急車両の車両識別番号であればステップS35へ移行し、緊急車両の車両識別番号でなければステップS43へ移行する。
【0098】
ステップS35において、受信データ処理部47は、表示部49のランプ51を点灯させて「緊急車両エリア内」を表示させる。
【0099】
次に、受信データ処理部47は、メモリ48に格納されている自己の保守現場の位置と、最新に受信された緊急車両の現在位置とに基づいて、自己の保守現場の位置と当該緊急車両の現在位置との離隔距離を算出し(ステップS36)、この離隔距離を表示部49に表示させる(ステップS37)。
【0100】
次いで、受信データ処理部47は、同じ車両識別番号についてステップS36で最新に算出された離隔距離と前回算出された離隔距離との大小によって、自己の保守現場に対して当該緊急車両が接近中である(すなわち、今回の離隔距離が前回の離隔距離より短くなった)か否かを判定する(ステップS38)。接近中でなければステップS32へ戻り、接近中であれば、表示部49の接近中表示部54を点灯させて「接近中」を表示させる(ステップS39)。
【0101】
その後、受信データ処理部47は、ステップS36で最新に算出された離隔距離が所定距離以下であるか否かを判定する(ステップS40)。所定距離以下でなければステップS32へ戻り、所定距離以下であれば、警報音発生部50に警報音を発生させ(ステップS41)、自己の保守現場付近において車両が通行し得る片側車線の両側の入口にそれぞれ設けた前記信号機を両方とも「赤」にするための信号機制御信号を出力した後(ステップS42)、ステップS32へ戻る。この信号機制御信号の出力処理は、前記離隔距離に基づいて行う車両に関連する制御に相当している。図示しない信号機制御装置は、この制御信号を受けて、両側の入口の信号機を両方とも「赤」にする。これにより、当該保守現場付近の一般車両の通行が上下両方とも規制され、緊急車両のみが優先的に通行し得るようになる。なお、受信データ処理部47から前記信号制御信号が出力されていない場合には、前記信号制御装置は、片側車線を上り車両及び下り車両が交互に通行されるための通常の信号機制御を行うようになっている。
【0102】
ステップS43において、受信データ処理部47は、表示部49のランプ52を点灯させて「一般車両エリア内」を表示させる。
【0103】
次に、受信データ処理部47は、メモリ48に格納されている自己の保守現場の位置と、最新に受信された一般車両の現在位置とに基づいて、自己の保守現場の位置と当該一般車両の現在位置との離隔距離を算出し(ステップS44)、この離隔距離を表示部49に表示させる(ステップS45)。
【0104】
次いで、受信データ処理部47は、同じ車両識別番号についてステップS43で最新に算出された離隔距離と前回算出された離隔距離との大小によって、自己の保守現場に対して当該一般車両が接近中である(すなわち、今回の離隔距離が前回の離隔距離より短くなった)か否かを判定する(ステップS46)。接近中でなければステップS32へ戻り、接近中であれば、表示部49の接近中表示部54を点灯させて「接近中」を表示させる(ステップS47)。
【0105】
その後、受信データ処理部47は、ステップS44で最新に算出された離隔距離が所定距離以下であるか否かを判定する(ステップS48)。所定距離以下でなければステップS32へ戻り、所定距離以下であれば、警報音発生部50に警報音を発生させ(ステップS49)、ステップS32へ戻る。この場合には、前述したステップS42に相当する処理は行われない。
【0106】
本実施の形態によれば、このような動作によって、車両A,B,Cが保守現場に近づいていき、地上装置3との通信エリア内に入ると、当該車両が緊急車両であるか一般車両であるかに応じて表示部49のランプ51又は52が点灯されるとともに、自己の保守現場と当該車両との離隔距離が表示される。また、当該車両が自己の保守現場に対して接近中であれば、表示部49に「接近中」が表示される。さらに、自己の保守現場と当該車両との離隔距離が所定距離以下になると、警報音発生部50から警報音が発せられる。したがって、保守現場の保守員は車両に対して適切に注意を払うことができ、保守員の安全性が高まる。また、本実施の形態では、自己の保守現場と緊急車両との離隔距離が所定距離以下になると、前述した信号機制御信号が出力され、両側の入口の信号機が両方とも「赤」にされ、緊急車両が優先されて、緊急車両の円滑な誘導が可能となる。
【0107】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明では、例えば、前記実施の形態を以下に説明するように種々に変形してもよい。
【0108】
前記実施の形態において、地上装置3が保守現場の大きさ(例えば、保守現場が占める車線数又は1車線に占める割合など)も送信し、車載装置1A,1B,1Cにおいて表示部29に当該大きさを例えば3段階(大、中、小)のように表示するようにしてもよい。
【0109】
また、前記実施の形態において、車両の運転者に警報音を発生する警報音発生部を設け、図4中の受信データ処理部27は、図7中のステップS8で算出した離隔距離が所定距離以下であるか否かを判定し、所定距離以下である場合に前記警報音発生部から警報音を発生させてもよい。
【0110】
また、前記実施の形態において、図4中の受信データ処理部27は、図7中のステップS8で算出した離隔距離が所定距離以下であるか否かを判定し、所定距離以下である場合に自車の運転制御装置に減速制御指令を発するようにし、自車を強制的に減速制御するようにしてもよい。
【0111】
さらに、保守現場に関して考慮する必要がない場合には、前記実施の形態において、地上装置3を取り除き、図7中のステップS5,S6を取り除いてもよい。この場合、図5に示すメモリ48の記憶内容から保守現場識別データは取り除いておく。
【0112】
さらにまた、車両上において緊急車両を考慮する必要がない場合には、図7中のステップS4,S7を取り除いて、ステップS2でYESの場合に直接ステップS5へ移行するようにしてもよい。この場合、図5に示すメモリ48の記憶内容から緊急車両識別データは取り除いておく。
【0113】
また、前記実施の形態では、車載装置1A,1B,1Cにおいて離隔距離を算出してこれを用いているが、本発明では、必ずしも離隔距離を算出する必要はない。
【0114】
さらに、前記実施の形態では、地上装置3において離隔距離を算出してこれを用いているが、本発明では、必ずしも離隔距離を算出する必要はない。
【0115】
さらにまた、前記実施の形態では、地上装置3は保守現場付近に設置されていたが、例えば、事故現場や山崩れ等による通行不能箇所等に配置し、その旨の情報と位置情報とを送信するようにし、車載装置1A,1B,1Cにおいて、それらの情報を受信した場合に、自車を強制的に停車させるなどの処理を行ってもよい。
【0116】
また、前記実施の形態では、特別に識別すべき車両として緊急車両の例を挙げたが、本発明では、識別すべき車両は必ずしも緊急車両に限定されるものではない。
【0117】
また、前記実施の形態では、図2を参照して説明した通信方式(無線信号を時間間隔を変えつつ間欠的に送信するとともに、送信していないときに同じ搬送周波数の無線信号を受信する方式)が採用されていたが、本発明では、この通信方式に代えて他の通信方式を採用してもよい。
【0118】
さらに、前記実施の形態は、車両として道路上を走行する自動車に適用した例であったが、本発明は、その他の車両についても適用することができる。
【0119】
以上、本発明の一実施の形態とその種々の変形例について説明したが、本発明はこれらの実施の形態や変形例に限定されるものではない。
【0120】
また、本発明によれば、緊急車両を容易に認識することができ、ひいては交通安全を高めることができる車両運行補助装置を提供することができる。
【0121】
さらに、本発明によれば、工事、保守又は点検等の地上作業の作業員の安全性の向上を図ることができる車両運行補助装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0122】
A,B,C 車両
1A,1B,1C 車載装置
2 道路
3 地上装置
11A,11B,11C,12 アンテナ
21,41 送信データ生成部
22,42 送信制御部
23,43 送信機
24,44 切替スイッチ
25,45 受信機
26,46 復調部
27,47 受信データ処理部
28,48 メモリ
29,49 表示部
50 警報音発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両にそれぞれ搭載された複数の車上用通信装置を備えた情報伝送装置であって、
前記各車上用通信装置は、所定の情報をパケット化して、ランダムにあるいは所定パターンに従って時間間隔を変えつつ間欠的に発生する無線信号によって送信する送信手段と、前記送信手段が前記無線信号を発生していないときに、前記無線信号と同じ搬送波周波数の無線信号による情報を受信する受信手段と、を有し、
複数の車両間で通信を行うことを特徴とする情報伝送装置。
【請求項2】
前記複数の車両が通過する付近の地上側に配置された地上用通信装置を備え、 前記地上用通信装置は、所定の情報をパケット化して、ランダムにあるいは所定パターンに従って時間間隔を変えつつ間欠的に発生する無線信号によって送信する送信手段と、前記送信手段が前記無線信号を発生していないときに、前記無線信号と同じ搬送波周波数の無線信号による情報を受信する受信手段と、を有し、
前記各車両と地上との間で通信を行うことを特徴とする請求項1記載の情報伝送装置。
【請求項3】
車両に搭載された車上用通信装置と、前記車両が通過する付近の地上側に配置された地上用通信装置を備え、
前記車上用通信装置及び前記地上用通信装置はそれぞれ、所定の情報をパケット化して、ランダムにあるいは所定パターンに従って時間間隔を変えつつ間欠的に発生する無線信号によって送信する送信手段と、前記送信手段が前記無線信号を発生していないときに、前記無線信号と同じ搬送波周波数の無線信号による情報を受信する受信手段と、を有し、
前記車両と地上との間で通信を行うことを特徴とする情報伝送装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の情報伝送装置と、
前記各車両に搭載された車上用受信情報処理手段であって、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行う車上用受信情報処理手段と、
を備えたことを特徴とする車両運行補助装置。
【請求項5】
前記各車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の現在位置情報を含み、
前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、自車の現在位置情報と、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された他車の現在位置情報とに基づいて、自車と当該他車との離隔距離を演算する演算手段を含み、
前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車に対して他車が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする請求項4記載の車両運行補助装置。
【請求項6】
前記各車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の車両識別情報を含み、
前記各車両に搭載され所定の他車の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する他車識別情報記憶手段を備え、
前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記他車識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された他車の車両識別情報又はこれに関連する情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項4記載の車両運行補助装置。
【請求項7】
前記各車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の現在位置情報及び自車の車両識別情報を含み、
前記各車両に搭載され所定の他車の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する他車識別情報記憶手段を備え、
前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記他車識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された他車の車両識別情報に関連する現在位置情報と、自車の現在位置情報とに基づいて、自車と当該他車との離隔距離を演算する演算手段を含み、
前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車に対して前記識別された他車が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする請求項4記載の車両運行補助装置。
【請求項8】
前記各他車識別情報記憶手段が記憶している前記識別情報は、緊急車両の車両識別情報を識別するための識別情報であることを特徴とする請求項6又は7記載の車両運行補助装置。
【請求項9】
請求項2又は3記載の情報伝送装置と、
前記車両に搭載された車上用受信情報処理手段であって、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行う車上用受信情報処理手段と、
地上側に配置された地上用受信情報処理手段であって、前記地上用通信装置の受信手段により受信された情報に基づいて、前記地上用通信装置が配置された地点付近に対しての前記車両に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行う地上用受信情報処理手段と、
を備えたことを特徴とする車両運行補助装置。
【請求項10】
前記地上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、当該地上用通信装置が配置された地点付近の位置を示す地点位置情報を含み、
前記車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、自車の現在位置情報と、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された前記地点位置情報とに基づいて、自車と前記地点付近の位置との離隔距離を演算する演算手段を含み、
前記車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車が前記地点に対して接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする請求項9記載の車両運行補助装置。
【請求項11】
前記地上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、当該地上用通信装置が配置された地点付近の状況を識別する地点状況識別情報を含み、
前記車両に搭載され所定の地点状況識別情報を識別するための識別情報を記憶する地点状況識別情報記憶手段を備え、
前記車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記地点状況識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された地点状況識別情報又はこれに関連する情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項9記載の車両運行補助装置。
【請求項12】
前記地上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、当該地上用通信装置が配置された地点付近の位置を示す地点位置情報と、当該地上用通信装置が配置された地点付近の状況を識別する地点状況識別情報とを含み、
前記車両に搭載され所定の地点状況識別情報を識別するための識別情報を記憶する地点状況識別情報記憶手段を備え、
前記車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記受信手段により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記地点状況識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された地点状況識別情報に関連する地点位置情報と、自車の現在位置情報とに基づいて、自車と前記地点付近の位置との離隔距離を演算する演算手段を含み、
前記車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車が前記地点に対して接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする請求項9記載の車両運行補助装置。
【請求項13】
前記地点状況識別情報は、当該地点付近が工事、保守又は点検等の作業箇所であることを示すとともに当該作業箇所を識別する情報であることを特徴とする請求項11又は12記載の車両運行補助装置。
【請求項14】
前記車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の現在位置情報を含み、
前記地上用受信情報処理手段は、前記地上用通信装置が配置されている地点付近の位置を示す地点位置情報と、前記地上用通信装置の受信手段により受信された前記車両の現在位置情報とに基づいて、前記地点付近の位置と前記車両との離隔距離を演算する演算手段を含み、
前記地上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて前記地点に対して車両が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に信号機を制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の車両運行補助装置。
【請求項15】
前記車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の車両識別情報を含み、
地上側に配置され所定の車両の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する車両識別情報記憶手段を備え、
前記地上用受信情報処理手段は、前記地上用通信装置の受信手段により受信された情報のうちの、前記車両識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された車両識別情報又はこれに関連する情報に基づいて、前記地上用通信装置が配置された地点付近に対しての前記車両に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の車両運行補助装置。
【請求項16】
前記車両に搭載された前記車上用通信装置の前記送信手段が送信する情報は、自車の現在位置情報及び自車の車両識別情報を含み、
地上側に配置され所定の車両の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する車両識別情報記憶手段を備え、
前記地上用受信情報処理手段は、前記地上用通信装置の受信手段により受信された情報のうちの、前記車両識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された車両識別情報に関連する現在位置情報と、前記地上用通信装置が配置されている地点付近の位置を示す地点位置情報とに基づいて、前記地点付近の位置と前記車両との離隔距離を演算する演算手段を含み、
前記地上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて前記地点に対して前記識別された車両が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に信号機を制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の車両運行補助装置。
【請求項17】
前記車両情報記憶手段が記憶している前記識別情報は、緊急車両の車両識別情報を識別するための識別情報であることを特徴とする請求項15又は16記載の車両運行補助装置。
【請求項18】
複数の車両にそれぞれ搭載された複数の車上用通信装置を有する情報伝送装置であって、前記各車両について、少なくとも自車と他車である緊急車両との間で、無線通信を行う情報伝送装置と、
前記各車両に搭載された車上用受信情報処理手段であって、当該車両に搭載された前記車上用通信装置により受信された情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行う車上用受信情報処理手段と、
を備えたことを特徴とする車両運行補助装置。
【請求項19】
前記各車両に搭載された前記車上用通信装置は、自車の現在位置情報を送信し、
前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、自車の現在位置情報と、当該車両に搭載された前記車上用通信装置により受信された他車の現在位置情報とに基づいて、自車と当該他車との離隔距離を演算する演算手段を含み、
前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車に対して他車が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする請求項18記載の車両運行補助装置。
【請求項20】
前記各車両に搭載された前記車上用通信装置は、自車の車両識別情報を送信し、
前記各車両に搭載され、緊急車両の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する他車識別情報記憶手段を備え、
前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記車上通信装置により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記他車識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された緊急車両の車両識別情報又はこれに関連する情報に基づいて、当該車両の運行又は走行に関連する情報提示、警報及び制御のうちの少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項18記載の車両運行補助装置。
【請求項21】
前記各車両に搭載された前記車上用通信装置は、自車の現在位置情報及び自車の車両識別情報を送信し、
前記各車両に搭載され、緊急車両の車両識別情報を識別するための識別情報を記憶する他車識別情報記憶手段を備え、
前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、当該車両に搭載された前記車上用通信装置により受信された情報のうちの、当該車両に搭載された前記他車識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に基づいて識別された緊急車両の車両識別情報に関連する現在位置情報と、自車の現在位置情報とに基づいて、自車と当該他車との離隔距離を演算する演算手段を含み、
前記各車両に搭載された前記車上用受信情報処理手段は、前記演算手段により演算された離隔距離を表示させる処理、前記離隔距離に基づいて自車に対して前記識別された緊急車両が接近中である場合にその旨を表示させる処理、前記離隔距離が所定距離以下である場合に警報を発生させる処理、及び、前記離隔距離が所定距離以下である場合に自車の速度が所定速度以下となるように制御する処理のうちの、少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする請求項18記載の車両運行補助装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−108247(P2011−108247A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270555(P2010−270555)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【分割の表示】特願2001−176648(P2001−176648)の分割
【原出願日】平成13年6月12日(2001.6.12)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】