説明

情報保護システムおよび画像形成装置および画像読取装置およびネットワーク画像形成装置および情報保護方法

【課題】用紙に記録された情報をより効率よく保護することができる情報保護システムおよび画像形成装置および画像読取装置およびネットワーク画像形成装置および情報保護方法を提供すること目的とする。
【解決手段】用紙にICチップを内蔵し、当該ICチップに書き込んだ情報を参照し、当該用紙に記録される情報を保護可能とすることを特徴とする情報保護システム。したがって、保護対象となる情報(画像)が形成される用紙自体を管理対象物として取り扱うことができるので、面倒な処理が不要で、確実な情報保護を実現することができるという効果を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に記録された情報を保護可能な情報保護システムおよび画像形成装置および画像読取装置およびネットワーク画像形成装置および情報保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に記録された情報を保護する情報保護システムとしては、例えば、記録される画像(情報)に電子透かし等の技術を利用して所定の管理情報を埋め込み、当該管理情報を利用して、印刷物の機密管理や著作権保護、複写禁止機能を実現することを可能としたものが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−80136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来方法では、管理情報を埋め込むために、原画像の画質が損なわれるおそれがあり、また、用紙に印刷された画像から元の画像データを再現する際に埋め込んだ管理情報を正確に取り出すことが困難である等の不具合を生じるおそれがある。
【0004】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、用紙に記録された情報をより効率よく保護することができる情報保護システムおよび画像形成装置および画像読取装置およびネットワーク画像形成装置および情報保護方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、用紙にICチップを内蔵し、当該ICチップに書き込んだ情報を参照し、当該用紙に記録される情報を保護可能とすることを特徴とする情報保護システムである。
【0006】
また、前記ICチップへの情報の書き込みは、前記用紙へ情報を記録する際に行われる。
【0007】
また、前記ICチップへの情報の書き込みは、前記用紙へ情報を記録する画像形成装置に備えられたICチップ情報書き込み手段により行われる。
【0008】
また、前記ICチップ情報書き込み手段が前記ICチップに書き込む情報には、少なくとも前記画像形成装置の属性情報を含むものである。
【0009】
また、前記ICチップ情報書き込み手段が前記ICチップに書き込む情報には、少なくとも前記用紙へ記録する情報の所有者の属性情報を含むものである。
【0010】
また、前記ICチップ情報書き込み手段が前記ICチップに書き込む情報には、前記用紙に記録されている情報の複製を許可するかまたは不許可するかの情報をさらに含むこととしたものである。
【0011】
また、前記ICチップ情報書き込み手段が前記ICチップに書き込む情報には、複製を不許可とする場合の処理方法をさらに含むこととしたものである。
【0012】
また、用紙に画像を形成する画像形成装置において、用紙に内蔵されたICチップに情報を書き込むICチップ書き込み手段を備えたものである。
【0013】
また、用紙に画像を形成する画像形成機能と、用紙に画像を読み取る画像読取機能を少なくとも備えた画像形成装置において、用紙に内蔵されたICチップに情報を書き込むICチップ書き込み手段と、上記ICチップから情報を読み出すICチップ読み出し手段を備えたものである。
【0014】
また、用紙に記録された画像を読み取る画像読取装置において、用紙に内蔵されたICチップから情報を読み出すICチップ読み出し手段を備えたものである。
【0015】
また、用紙に記録された画像を複製する複写機において、用紙に内蔵されたICチップから情報を読み出すICチップ読み出し手段を備えたものである。
【0016】
また、用紙に画像を読み取る画像読取機能と、ネットワークへ接続し、このネットワークを介して他の端末装置との間でデータのやりとりを行う通信機能を、少なくとも備えたネットワーク画像形成装置において、用紙に内蔵されたICチップから情報を読み出すICチップ読み出し手段と、上記ICチップ読み出し手段が上記ICチップから情報を読み出したとき、その読み出した情報に含まれるネットワークアドレスに、上記用紙の画像が読み取られた旨を通知する通信手段を備えたものである。
【0017】
また、用紙にICチップを内蔵し、当該ICチップに書き込んだ情報を参照し、当該用紙に記録される情報を保護可能とすることを特徴とする情報保護方法である。
【発明の効果】
【0018】
したがって、本発明によれば、保護対象となる情報(画像)が形成される用紙自体を管理対象物として取り扱うことができるので、面倒な処理が不要で、確実な情報保護を実現することができるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例にかかる用紙を示している。
【0021】
同図において、用紙PPの中央部には、ICチップCCが埋め込まれている。このICチップCCは、外部手段との間で情報のやりとりを可能とするためのアンテナを内蔵し、また、情報を1回のみ書き込むことができるワンタイム記録機能を有したメモリ機能を備えている。
【0022】
このようなICチップCCには、例えば、図2に示すような情報群を記憶することができる。また、上述したように、ICチップCCへの情報記録は1回のみ行うことができ、一旦記録した情報の書き換えは行うことができない。
【0023】
同図において、「メーカ名(16バイト)」は、用紙PPに保護対象となる画像を形成した画像形成装置のメーカ名であり、「機種名(16バイト)」は、用紙PPに保護対象となる画像を形成した画像形成装置の機種名であり、「型番(16バイト)」は、用紙PPに保護対象となる画像を形成した画像形成装置の型番(シリアル番号等)であり、「通信インタフェース装置に付与されている物理アドレス(6バイト)」は、用紙PPに保護対象となる画像を形成した画像形成装置に備えられている通信インタフェースの物理アドレスであり、「通信インタフェースのIPアドレス(16バイト)」は、用紙PPに保護対象となる画像を形成した画像形成装置に備えられている通信インタフェース装置に付与されているIPアドレスである。
【0024】
また、「印刷年月日(8バイト)」は、用紙PPに情報(画像)を印刷したときの年月日時刻であり、「印刷者名(30バイト)」は、用紙PPに情報を印刷したユーザの名称(ユーザ名等)であり、「印刷者のメールアドレス(64バイト)」は、印刷者へ連絡する宛先の電子メールアドレスであり、「印刷者のPC(パーソナルコンピュータ装置)のIPアドレス(16バイト)」は、印刷者が利用したパーソナルコンピュータ装置の通信インタフェース装置に付与されているIPアドレスであり、「印刷者のPCの物理アドレス(6バイト)」は、印刷者が利用したパーソナルコンピュータ装置の通信インタフェース装置に付与されている物理アドレスである。
【0025】
また、「複製の可否フラグ(1バイト)」は、用紙PPに印刷された情報の複製を許すかどうかを指示するものであり、「複製不可の場合の処理方法(1バイト)」は、複製不可の場合に機器が行うべき処理方法(印刷しない、読み取れない態様で印刷する、印刷せず電子メールで通知する等)を指示するものである。
【0026】
これらの情報群のうち、用紙PPに情報を印刷する画像形成装置が取り扱い可能な情報が、ICチップCCに記憶される。例えば、画像形成装置がスタンドアローンで使用されている場合、通信機能が搭載されていないので、通信関係の情報は登録されない。また、印刷者が指定されない印刷動作を行う場合には、印刷者に関する情報は登録されない。また、複製不可の場合の処理方法に印刷せず電子メールで通知するという内容が保存される場合には、通知先のメールアドレスが必要なので、印刷者のメールアドレスには情報がセットされる。
【0027】
なお、ICチップCCに格納される情報群としては、図2に示すものに限らず、使用形態に応じた任意のものを適用することができる。例えば、装置の利用形態、または、ユーザが所望するセキュリティレベルに応じて、格納する情報の数を増減することができる。
【0028】
図3は、本発明の一実施例にかかる情報保護システムに適用されるプリンタ装置(画像形成装置)の一例を示している。
【0029】
同図において、システム制御部1は、このプリンタ装置の各部の制御処理、および、画像形成処理などの各種制御処理を行うものであり、システムメモリ2は、システム制御部1が実行する制御処理プログラム、および、処理プログラムを実行するときに必要な各種データなどを記憶するとともに、システム制御部1のワークエリアを構成するものであり、パラメータメモリ3は、このプリンタ装置に固有な各種の情報を記憶するためのものであり、時計回路4は、現在時刻情報を出力するものであり、操作表示部5は、このプリンタ装置を操作するためのもので、各種の操作キー、および、各種の表示器からなる。
【0030】
ページバッファ6は、印刷する1ページ分の画像データを保持するものであり、プリンタエンジン7は、ページバッファ6に保持されている画像データの画像を用紙PPに記録出力するためのものであり、搬送系ユニット8は、用紙PPを保持している用紙カセット等から用紙を分離してプリンタエンジン7の画像記録位置へと搬送するためのものである。
【0031】
ICチップ読取書込部9は、用紙PPに内蔵されているICチップCCから情報を読み出すとともに、ICチップCCに情報を書き込むためのものであり、ICチップセンサ10は、ICチップCCとの間で信号をやりとりするためのものである。また、ICチップセンサ10は、搬送系ユニット8において、用紙PPの搬送路の途中で、用紙カセット等に収容されている他の用紙PPの影響を受けずに且つ他の用紙PPへの影響がない位置に配設されている。
【0032】
外部装置インタフェース回路11は、外部のパーソナルコンピュータ装置に接続して、印刷データ等をやりとりするためのものである。
【0033】
これらの、システム制御部1、システムメモリ2、パラメータメモリ3、時計回路4、操作表示部5、ページバッファ6、プリンタエンジン7、搬送系ユニット8,ICチップ読取書込部9、および、外部装置インタフェース回路11は、内部バス12に接続されており、これらの各要素間でのデータのやりとりは、主としてこの内部バス12を介して行われている。
【0034】
また、このプリンタ装置がICチップCCに書き込む情報としては、例えば、「メーカ名」、「機種名」、「型番」、「印刷年月日」、「印刷者名(印刷ユーザが通知される場合)」、「印刷者のメールアドレス(印刷ユーザからメールアドレスが通知される場合)」、「印刷者のPCのIPアドレス(印刷PCから通知される場合)」、「印刷者のPCの物理アドレス(印刷PCから通知される場合)」、「複製の可否フラグ(印刷時の指定による)」、および、「複製不可の場合の処理方法(印刷せず電子メールで通知するを設定可能)」である。
【0035】
図4は、本発明の一実施例にかかる情報保護システムに適用される複写機(画像形成装置)の一例を示している。
【0036】
同図において、システム制御部21は、この複写機の各部の制御処理、および、画像形成処理などの各種制御処理を行うものであり、システムメモリ22は、システム制御部21が実行する制御処理プログラム、および、処理プログラムを実行するときに必要な各種データなどを記憶するとともに、システム制御部21のワークエリアを構成するものであり、パラメータメモリ23は、この複写機に固有な各種の情報を記憶するためのものであり、時計回路24は、現在時刻情報を出力するものであり、操作表示部25は、この複写機を操作するためのもので、各種の操作キー、および、各種の表示器からなる。
【0037】
ページバッファ26は、印刷する1ページ分の画像データを保持するものであり、プリンタエンジン27は、ページバッファ26に保持されている画像データの画像を用紙PPに記録出力するためのものであり、搬送系ユニット28は、用紙PPを保持している用紙カセット等から用紙を分離してプリンタエンジン27の画像記録位置へと搬送するためのものである。
【0038】
原稿読取ユニット29は、複写原稿を読み取るためのものであり、載置された複数枚の複写原稿を1枚ずつ分離して読取位置へと搬送する自動用紙搬送ユニットを含む。
【0039】
ICチップ読取部30は、読取原稿として用いられる用紙PPに内蔵されているICチップCCから情報を読み出すためのものであり、ICチップセンサ31は、ICチップCCとの間で信号をやりとりするためのものである。また、ICチップセンサ31は、原稿読取ユニット29において、読取原稿の搬送路の途中で、原稿台等に載置されている他の読取原稿の影響を受けない位置に配設されている。
【0040】
これらの、システム制御部21、システムメモリ22、パラメータメモリ23、時計回路24、操作表示部25、ページバッファ26、プリンタエンジン27、搬送系ユニット28,原稿読取ユニット29、および、ICチップ読取部30は、内部バス32に接続されており、これらの各要素間でのデータのやりとりは、主としてこの内部バス32を介して行われている。
【0041】
また、この複写機がICチップCCに書き込む情報としては、例えば、「メーカ名」、「機種名」、「型番」、「印刷年月日」、「印刷者名(印刷ユーザが指定される場合)」、「複製の可否フラグ(印刷時の指定による)」、および、「複製不可の場合の処理方法」である。
【0042】
図5は、本発明の一実施例にかかる情報保護システムに適用されるネットワーク複合機(画像形成装置)の一例を示している。このネットワーク複合機は、ネットワークを介して電子メールをやりとりする機能、原稿画像を読み取る機能、原稿画像の読取画像を電子メールで指定された宛先へ送信するスキャン・ツー・イーメール機能、および、複写機能を備えている。
【0043】
同図において、システム制御部41は、このネットワーク複合機の各部の制御処理、および、画像形成処理などの各種制御処理を行うものであり、システムメモリ42は、システム制御部41が実行する制御処理プログラム、および、処理プログラムを実行するときに必要な各種データなどを記憶するとともに、システム制御部41のワークエリアを構成するものであり、パラメータメモリ43は、このネットワーク複合機に固有な各種の情報を記憶するためのものであり、時計回路44は、現在時刻情報を出力するものであり、操作表示部5は、このネットワーク複合機を操作するためのもので、各種の操作キー、および、各種の表示器からなる。
【0044】
ページバッファ46は、印刷する1ページ分の画像データを保持するものであり、プリンタエンジン47は、ページバッファ46に保持されている画像データの画像を用紙PPに記録出力するためのものであり、搬送系ユニット48は、用紙PPを保持している用紙カセット等から用紙を分離してプリンタエンジン47の画像記録位置へと搬送するためのものである。
【0045】
ICチップ読取書込部49は、用紙PPに内蔵されているICチップCCから情報を読み出すとともに、ICチップCCに情報を書き込むためのものであり、ICチップセンサ50は、ICチップCCとの間で信号をやりとりするためのものである。また、ICチップセンサ50は、搬送系ユニット48において、用紙PPの搬送路の途中で、用紙カセット等に収容されている他の用紙PPの影響を受けずに且つ他の用紙PPへの影響がない位置に配設されている。
【0046】
原稿読取ユニット51は、複写原稿を読み取るためのものであり、載置された複数枚の複写原稿を1枚ずつ分離して読取位置へと搬送する自動用紙搬送ユニットを含む。
【0047】
ICチップ読取部52は、読取原稿として用いられる用紙PPに内蔵されているICチップCCから情報を読み出すためのものであり、ICチップセンサ53は、ICチップCCとの間で信号をやりとりするためのものである。また、ICチップセンサ53は、原稿読取ユニット51において、読取原稿の搬送路の途中で、原稿台等に載置されている他の読取原稿の影響を受けない位置に配設されている。
【0048】
ローカルエリアネットワークインターフェース回路54は、このネットワーク複合機をローカルエリアネットワーク(図示略)に接続するためのものであり、ローカルエリアネットワーク伝送制御部55は、ローカルエリアネットワークを介して、他のデータ端末装置との間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理(電子メール通信制御処理を含む)を実行するためのものである。
【0049】
これらの、システム制御部41、システムメモリ42、パラメータメモリ43、時計回路44、操作表示部45、ページバッファ46、プリンタエンジン47、搬送系ユニット48、ICチップ読取書込部49、原稿読取ユニット51、ICチップ読取部53、および、ローカルエリアネットワーク伝送制御部55は、内部バス56に接続されており、これらの各要素間でのデータのやりとりは、主としてこの内部バス56を介して行われている。
【0050】
また、このネットワーク複合機が用紙PPに画像を印刷する際に、ICチップ読取書込部49からICチップCCに書き込む情報としては、例えば、「メーカ名」、「機種名」、「型番」、「通信インタフェース装置に付与されている物理アドレス」、「通信インタフェースのIPアドレス」、「印刷年月日」、「印刷者名(印刷ユーザが指定される場合)」、「印刷者のメールアドレス(印刷ユーザがメールアドレスを入力した場合)」、「印刷者のPCのIPアドレス(印刷PCから通知される場合)」、「印刷者のPCの物理アドレス(印刷PCから通知される場合)」、「複製の可否フラグ(印刷時の指定による)」、および、「複製不可の場合の処理方法(印刷せず電子メールで通知するを設定可能)」である。
【0051】
図6は、図3に示したプリンタ装置の1ページ分の印刷時の処理の一例を示している。
【0052】
まず、パーソナルコンピュータ装置より印刷データを受信して一時保存し(処理101)、所定の印刷処理を開始するとともに(処理102)、用紙の搬送を開始する(処理103)。
【0053】
用紙の搬送途中で、ICチップ読取書込部9は、ICチップセンサ10による読取動作を行い(処理104)、ICチップCCを検出できた場合には(判断105の結果がYES)、ICチップ読取書込部9により、上述した情報をICチップCCへ書き込む(処理106)。
【0054】
そして、印刷後の用紙を排紙する(処理107)。
【0055】
なお、判断105の結果がNOになるときには、ICチップCCが内蔵されていないので、処理106を行わず、処理107と進む。
【0056】
図7は、図4に示した複写機の1ページ分の複写時の処理の一例を示している。
【0057】
まず、ICチップ読取部30により、ICチップセンサ31による読取動作を行い(処理201)、原稿台に載置されている等の読取原稿にICチップCCを検出できたかどうかを調べる(判断202)。判断202の結果がNOになるときには、通常の複写動作を行う(処理203)。
【0058】
また、判断202の結果がYESになるときには、ICチップCCより情報を読み出す(処理204)。そして、読み出した情報を調べて「複製不可フラグ」により「複製不可」が設定されているかどうかを調べる(判断205)。判断205の結果がNOになるときには、複製可能なので、処理203へ進み、通常の複写動作を行う。
【0059】
判断205の結果がYESになるときには、読み出した情報を調べて「複製不可の場合の処理方法」に有為な処理方法が指定されているかどうかを調べる(判断206)。判断206の結果がYESになるときには、「複製不可の場合の処理方法」の内容が「印刷しない」であるかどうかを調べる(判断207)。判断207の結果がYESになるときには、操作表示部25に複写エラーを表示して(処理208)、このときに指定された複写動作を行わない。また、判断206の結果がNOになるときには、処理208へ進み、複写エラーを表示して複写動作を行わない。
【0060】
また、判断207の結果がNOになるときには、「複製不可の場合の処理方法」の内容が「読取不可印刷」であるかどうかを調べる(判断209)。判断209の結果がYESになるときには、原稿読取ユニット29により読取原稿の画像を読み取り(処理210)、それによって得た読取画像データに所定のマスクパターンを合成し(処理211)、合成後の画像データの画像をプリンタエンジン27により記録出力する(処理212)。
【0061】
また、判断209の結果がNOになるときには、処理208へ進み、複写エラーを表示して複写動作を行わない。
【0062】
図8は、図5に示したネットワーク複合機の1ページ分の複写動作時の処理の一例を示している。
【0063】
まず、ICチップ読取部52により、ICチップセンサ53による読取動作を行い(処理301)、原稿台に載置されている等の読取原稿にICチップCCを検出できたかどうかを調べる(判断302)。判断302の結果がNOになるときには、通常の複写動作を行う(処理303)。
【0064】
また、判断302の結果がYESになるときには、ICチップCCより情報を読み出す(処理304)。そして、読み出した情報を調べて「複製不可フラグ」により「複製不可」が設定されているかどうかを調べる(判断305)。判断305の結果がNOになるときには、複製可能なので、処理303へ進み、通常の複写動作を行う。
【0065】
判断305の結果がYESになるときには、読み出した情報を調べて「複製不可の場合の処理方法」に有為な処理方法が指定されているかどうかを調べる(判断306)。判断306の結果がYESになるときには、「複製不可の場合の処理方法」の内容が「印刷しない」であるかどうかを調べる(判断307)。判断307の結果がYESになるときには、操作表示部25に複写エラーを表示して(処理308)、このときに指定された複写動作を行わない。また、判断306の結果がNOになるときには、処理308へ進み、複写エラーを表示して複写動作を行わない。
【0066】
また、判断307の結果がNOになるときには、「複製不可の場合の処理方法」の内容が「読取不可印刷」であるかどうかを調べる(判断309)。判断309の結果がYESになるときには、原稿読取ユニット51により読取原稿の画像を読み取り(処理310)、それによって得た読取画像データに所定のマスクパターンを合成し(処理311)、合成後の画像データの画像をプリンタエンジン47により記録出力する(処理312)。
【0067】
また、判断309の結果がNOになるときには、「複製不可の場合の処理方法」に「印刷せず電子メールで通知する」が設定されているので、読み出した情報から「印刷者のメールアドレス」を取り出して、複写された旨をその取り出したメールアドレスへ通知する電子メールを作成し(処理313)、その作成した電子メールを送信する(処理314)。このときには、複写動作を行わない。なお、判断309の結果がNOになるときで、「印刷者のメールアドレス」に有為な情報がセットされていない場合、電子メールを作成しないか、あるいは、あらかじめ設定されている管理者のメールアドレスを「印刷者のメールアドレス」として適用することができる。
【0068】
このようにして、本実施例では、用紙PPにICチップCCを内蔵し、このICチップCCに格納した情報を参照して、用紙PPに印刷された情報(画像)を保護する動作を行うことができるので、非常に汎用性が高く、また、確実な情報保護を行うことができる。
【0069】
また、用紙PPに印刷した画像の所有者(印刷者)を、画像形成装置の操作表示部等に表示させることで、当該用紙PPの画像を複製しようとしたユーザに画像の所有者(印刷者)を通知することができるので、例えば、不正コピーを試みたユーザは画像の所有者に対して、当該画像の印刷を依頼することができ便利である。
【0070】
また、ICチップに書き込む情報を選択させるようにすることもできる。この場合、ユーザの使用状況に応じたセキュリティレベルを提供することができる。
【0071】
また、ICチップに書き込まれている情報を表示、印刷することもできる。その場合、ユーザが用紙PPの管理情報を取得できるので、便利である。
【0072】
なお、本発明の情報保護システムは、上述した実施例で示した画像形成装置以外についても、同様にして適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施例にかかる用紙を示した概略図。
【図2】ICチップCCに格納する情報群の一例を示した概略図。
【図3】本発明の一実施例にかかる情報保護システムに適用されるプリンタ装置(画像形成装置)の一例を示したブロック図。
【図4】本発明の一実施例にかかる情報保護システムに適用される複写機(画像形成装置)の一例を示したブロック図。
【図5】本発明の一実施例にかかる情報保護システムに適用されるネットワーク複合機(画像形成装置)の一例を示したブロック図。
【図6】図3に示したプリンタ装置の1ページ分の印刷時の処理の一例を示したフローチャート。
【図7】図4に示した複写機の1ページ分の複写時の処理の一例を示したフローチャート。
【図8】図5に示したネットワーク複合機の1ページ分の複写動作時の処理の一例を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0074】
PP 用紙
CC ICチップ
9,49 ICチップ読取書込部
10,31,50,53 ICチップセンサ
30,51 ICチップ読取部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙にICチップを内蔵し、当該ICチップに書き込んだ情報を参照し、当該用紙に記録される情報を保護可能とすることを特徴とする情報保護システム。
【請求項2】
前記ICチップへの情報の書き込みは、前記用紙へ情報を記録する際に行われることを特徴とする請求項1記載の情報保護システム。
【請求項3】
前記ICチップへの情報の書き込みは、前記用紙へ情報を記録する画像形成装置に備えられたICチップ情報書き込み手段により行われることを特徴とする請求項2記載の情報保護システム。
【請求項4】
前記ICチップ情報書き込み手段が前記ICチップに書き込む情報には、少なくとも前記画像形成装置の属性情報を含むことを特徴とする請求項3記載の情報保護システム。
【請求項5】
前記ICチップ情報書き込み手段が前記ICチップに書き込む情報には、少なくとも前記用紙へ記録する情報の所有者の属性情報を含むことを特徴とする請求項3記載の情報保護システム。
【請求項6】
前記ICチップ情報書き込み手段が前記ICチップに書き込む情報には、前記用紙に記録されている情報の複製を許可するかまたは不許可するかの情報をさらに含むことを特徴とする請求項4または請求項5記載の情報保護システム。
【請求項7】
前記ICチップ情報書き込み手段が前記ICチップに書き込む情報には、複製を不許可とする場合の処理方法をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の情報保護システム。
【請求項8】
用紙に画像を形成する画像形成装置において、
用紙に内蔵されたICチップに情報を書き込むICチップ書き込み手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
用紙に画像を形成する画像形成機能と、用紙に画像を読み取る画像読取機能を少なくとも備えた画像形成装置において、
用紙に内蔵されたICチップに情報を書き込むICチップ書き込み手段と、
上記ICチップから情報を読み出すICチップ読み出し手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
用紙に記録された画像を読み取る画像読取装置において、
用紙に内蔵されたICチップから情報を読み出すICチップ読み出し手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
用紙に記録された画像を複製する複写機において、
用紙に内蔵されたICチップから情報を読み出すICチップ読み出し手段を備えたことを特徴とする複写機。
【請求項12】
用紙に画像を読み取る画像読取機能と、ネットワークへ接続し、このネットワークを介して他の端末装置との間でデータのやりとりを行う通信機能を、少なくとも備えたネットワーク画像形成装置において、
用紙に内蔵されたICチップから情報を読み出すICチップ読み出し手段と、
上記ICチップ読み出し手段が上記ICチップから情報を読み出したとき、その読み出した情報に含まれるネットワークアドレスに、上記用紙の画像が読み取られた旨を通知する通信手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
用紙にICチップを内蔵し、当該ICチップに書き込んだ情報を参照し、当該用紙に記録される情報を保護可能とすることを特徴とする情報保護方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−80631(P2006−80631A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259763(P2004−259763)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】