情報処理システム
【課題】通信ネットワーク上の機器の処理動作の内容を示すログ情報を、大きな負荷を要すること無く収集する。
【解決手段】クライアント2は、クライアントグループ60に属するクライアント2〜5の識別情報が記録された回覧板情報30をサーバ1から受信した際に、自機の処理動作にかかる負荷の大小を判別し、この負荷が予め定めた基準より低い場合には、クライアントグループ60に属する他のクライアント3〜5が発行するログ情報40を取得し、この取得した情報を、自機が発行するログ情報40とあわせ、中間収集済みログ情報50として、サーバ1に送信する。また、クライアント6は、クライアントグループ70に属するクライアント2〜5の識別情報が記録された回覧板情報30をサーバ1から受信した際に、クライアント7〜9およびサーバ1との間で、クライアント3〜5およびサーバ1との間で行なわれた処理と同様の処理を行なう。
【解決手段】クライアント2は、クライアントグループ60に属するクライアント2〜5の識別情報が記録された回覧板情報30をサーバ1から受信した際に、自機の処理動作にかかる負荷の大小を判別し、この負荷が予め定めた基準より低い場合には、クライアントグループ60に属する他のクライアント3〜5が発行するログ情報40を取得し、この取得した情報を、自機が発行するログ情報40とあわせ、中間収集済みログ情報50として、サーバ1に送信する。また、クライアント6は、クライアントグループ70に属するクライアント2〜5の識別情報が記録された回覧板情報30をサーバ1から受信した際に、クライアント7〜9およびサーバ1との間で、クライアント3〜5およびサーバ1との間で行なわれた処理と同様の処理を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワーク網に接続される複数の機器のログ情報を収集する機能を有する情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーバ側のコンピュータ、および、端末側のコンピュータが通信ネットワークを介して接続されるシステムでは、例えば特許文献1に開示されたように、サーバ側のコンピュータが、端末側のコンピュータと1台ずつ通信を行なうことで、端末側のコンピュータの処理動作の内容を示すログ情報を収集するものがある。
【特許文献1】特開2002−41330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
昨今のコンピュータの普及や、IPv6ネットワーク網の浸透などにより、通信ネットワーク上において数多くの機器が接続されるようになっている。このような状況で、前述したように、サーバ側のコンピュータが、各機器と1台ずつ通信を行なって、当該機器のログ情報を収集するには、収集側となるサーバ側のコンピュータに非常に大きな負荷がかかってしまう。よって、サーバ側のコンピュータをより高性能のものとしたり、当該サーバ側のコンピュータ設置台数を増やしたりする必要があり、コストの増大を引き起こしてしまう。
【0004】
そこで、本発明の目的は、通信ネットワーク上の機器の処理動作の内容を示すログ情報を、大きな負荷を要すること無く収集することが可能になる情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明に係わる情報処理システムは、処理動作の内容を示す収集対象情報を生成する生成手段を備える複数の端末装置、および、サーバ装置がネットワークを介して接続されるシステムであって、端末装置は、複数のグループのいずれかに属し、生成手段により生成した収集対象情報を読み出し、同一のグループに属する他の端末装置の前記生成手段により生成された収集対象情報を取得し、この取得した収集対象情報を、前述のように読み出した収集対象情報とともに前記サーバ装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係わる情報処理システムでは、処理動作に関する情報を生成して、これを読み出し、かつ、複数のグループのうちいずれかのグループに属する端末装置は、同一のグループに属する他の端末装置の前記生成手段により生成された収集対象情報を取得して、この取得した収集対象情報を、前述のように読み出した収集対象情報とともに前記サーバ装置に送信するので、1台の機器に大きな負荷がかからなくなる。よって、大きな負荷を要することなく、各端末装置が生成する収集対象情報を収集することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムの概要の一例を示すブロック図である。
このコンピュータシステムは、P2P(ピアツーピア)技術を利用したコンピュータシステムであり、サーバ1、および、クライアント(端末機器)2〜9が、ネットワーク10を介して相互に通信可能に接続される。ネットワーク10は、有線電話回線、無線電話回線、無線、専用ケーブル、赤外線、光ファイバ網インターネットなどの通信ネットワークである。
【0008】
クライアント2〜9は、収集対象情報を記録する機能、および、この収集対象情報を外部に送信する機能を有する。以後、クライアント2〜9は、収集対象情報の一種であるログ情報を記録および送信するものとして説明する。クライアント2〜9の各機器が記録するログ情報は、自機がデータ通信などの各種処理を行なった際の内容や処理時刻を示す情報である。
【0009】
また、クライアント2〜9の各機器は、予め定義された複数のクライアントグループのいずれかに属しており、ログ情報の送信要求がなされた場合に、同一のグループに属する機器が発行するログ情報を収集して、この収集した情報を、自機が発行したログ情報とあわせてサーバ1に送信する機能を有する。
サーバ1は、クライアント2〜9からログ情報が送信された場合に、これを受信して管理する機能を有する。
【0010】
図2は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1の内部構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、サーバ1は、通信部11、ログ管理部12、回覧板管理部13、クライアント情報登録部14、回覧板情報記録部15、クライアント情報記録部16、および、ログ情報記録部17を備える。回覧板情報記録部15、クライアント情報記録部16、ログ情報記録部17は、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリなどの記憶媒体である。
【0011】
通信部11は、ネットワーク10を介して、クライアント2〜9と通信を行なう。ログ管理部12は、クライアント2〜9が発行したログ情報を収集して、これを管理する。回覧板管理部13は、回覧板情報の作成、発行および管理にかかる処理を行なう。回覧板情報とは、クライアント2〜9のうち、ログ情報の収集対象となる機器の識別情報を、予め定めた順序に沿って記録した情報である。
【0012】
クライアント情報登録部14は、クライアント2〜9に関する情報を登録および管理する処理を行なう。回覧板情報記録部15は、クライアント2〜9に送信する回覧板情報を管理するための情報を記録する。クライアント情報記録部16は、クライアント2〜9の各機器に付与された固有の識別情報を記録する。ログ情報記録部17は、収集されたログ情報を記録する。
【0013】
図2に示すように、ログ管理部12は、ログ情報収集部121、および、ログ情報受信部122を備える。ログ情報収集部121は、クライアント2〜9から送信されて通信部11により受信したログ情報を収集する。ログ情報受信部122の機能については後述する。回覧板管理部13は、回覧板作成部131、回覧板発行部132、およびメモリ133を備える。これらの機能については後述する。
【0014】
図3は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアント2の内部構成例を示すブロック図である。なお、クライアント3〜9の内部構成は、クライアント2の内部構成と同様である。
【0015】
図3に示すように、クライアント2は、通信部21、ログ管理部22、負荷状態監視装置23、回覧板処理装置24、ログ情報処理部25、ログ情報記録部26、およびメモリ27を備える。ログ情報記録部26は、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリなどの記憶媒体である。
【0016】
通信部21は、サーバ1や他のクライアントとの通信を行なう。ログ管理部22は、自機の処理動作の内容を示すログ情報を管理する。負荷状態監視装置23は、自機の処理動作にかかる負荷状態を数値化して監視する。負荷状態とは、例えば図示しないCPUの使用率などである。
【0017】
回覧板処理装置24は、サーバ1または他のクライアントから送信された回覧板情報にかかる処理を行なう。ログ情報処理部25は、自機の負荷状態を示す値が定められた基準値より低い場合に、他のクライアント3〜9のうち、回覧板情報に記録された識別情報に対応する機器からログ情報を収集したり、他の機器からのリクエストに従って自機が発行するログ情報を送信したりする。ログ情報記録部26は、自機のログ情報を記録する。
【0018】
クライアント2は、例えばパーソナルコンピュータであってもよいし、ネットワーク上のルータなど、処理動作の内容を示すログ情報を記録する機能を有する機器であれば、その種別は問わない。
【0019】
回覧板処理装置24は、自機の負荷状態を負荷状態監視装置23に問い合わせて確認し、負荷状態の値が前述した基準値以上である場合には、回覧板情報において、自機の次の送信順として記録されている識別情報に対応する機器に回覧板情報を送信する。
【0020】
また、回覧板処理装置24は、前述した負荷状態の値が基準値より低い場合には、ログ情報処理部25を用いて、回覧板情報に登録されている識別情報に対応するすべての機器からログ情報を収集し、この収集したログ情報をサーバ1に送信する。
【0021】
ログ情報処理部25は、回覧板情報で示される識別情報に対応する機器よりログ情報を収集する機能、および、他の機器からのリクエストにしたがって、自機のログ情報を出力する機能を有する。
【0022】
図4は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1とクライアント2〜9の間における、各種情報の送受信の形態の一例を示すブロック図である。
図4に示した例では、サーバ1は、2つの回覧板情報30を発行する。1つめの回覧板情報30は、クライアント2〜5に対して送信される情報であり、2つめの回覧板情報30は、クライアント6〜9に対して送信される情報である。
【0023】
クライアント2〜5のうち何れかの機器は、クライアント2〜5が発行するログ情報40を纏め、これを1つめの中間収集済みログ情報50としてサーバ1に送信する。また、クライアント6〜9のうち何れかの機器は、クライアント6〜9が発行するログ情報40を纏め、これを2つめの中間収集済みログ情報50としてサーバ1に送信する。
【0024】
1つ目の回覧板情報30では、クライアント2〜5を、クライアントグループ60に属する機器として定義しており、2つ目の回覧板情報30では、クライアント6〜9を、クライアントグループ70に属する機器として定義している。
【0025】
前述したクライアントグループ60に属する機器の情報は、クライアント2〜5に対して発行される、1つ目の回覧板情報30に記録され、クライアントグループ70に属する機器の情報は、クライアント6〜9に対して発行される、2つめの回覧板情報30に記録される。
【0026】
図5は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1が発行する回覧板情報30の構成の一例を表形式で示す図である。
回覧板情報30は、図5に示したように、回覧板ID、回覧板の生存期限、回覧板宛先テーブルの情報などが対応付けられて管理される情報である。回覧板IDは、発行される回覧板情報30ごとに固有の識別情報である。回覧板の生存期限は、回覧板情報30の発行後、収集対象のログ情報の収集完了の期限日時である。
【0027】
回覧板宛先テーブルは、各種クライアントのうち、同一のクライアントグループに属する機器、つまり、1つの回覧板情報30の送信対象である機器の識別情報を管理するテーブルである。この識別情報は、機器ごとに付与される固有のID(PCID)、およびIPアドレスである。
【0028】
図5では、前述したクライアント2〜9と関係ない8台分の機器の識別情報が回覧板宛先テーブルに記録された回覧板情報30の例を示すが、ログ情報40の収集対象の機器がクライアント2〜5である場合には、回覧板宛先テーブルには、クライアント2〜5の計4台分のPCIDおよびIPアドレスのみが記録される。
【0029】
回覧板情報30は、回覧板宛先テーブルの最上段に記述されている識別情報に対応した機器に最初に送信され、以後、回覧板宛先テーブルの最下段に向かった方向に沿った順番で、各識別情報と対応する機器に順次送信される。
【0030】
また、回覧板宛先テーブルの最下段には、サーバ1の識別情報であるPCID(“0000”)およびIPアドレス(“10.1.1.0”)が記録されている。つまり、回覧板情報30が、各機器に順次送信された場合には、当該回覧板情報30は、最終的にはサーバ1へ戻ることになる。
【0031】
ただし、回覧板情報30が送信された各機器、つまり、回覧板宛先テーブルの最下段以外の箇所に記録されたPCIDおよびIPアドレスに対応する各機器のうちいずれかが、同一のクライアントグループに属するすべての機器が発行したログ情報40を収集して、この収集したログ情報が、自機が発行したログ情報ととともにサーバ1に送信された場合には、以後、回覧板情報30は送信されない。
【0032】
次に、以上のように構成されたコンピュータシステムの処理動作について説明する。
図6は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1による回覧板情報発行までの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0033】
サーバ1は、常に起動しているものとする。クライアント2〜9は、起動すると、サーバ1に、自機のPCIDおよびIPアドレスを送信する。この送信された情報は、サーバ1の通信部11により受信されたのち、クライアント情報登録部14に出力される。
【0034】
クライアント情報登録部14は、PCIDおよびIPアドレスを入力すると、これらの情報を関連付けた上で、クライアント情報記録部16に記録する。
また、クライアント情報登録部14は、クライアント情報記録部16に記録したPCIDおよびIPアドレスに対応する機器に対して定期的にポーリングを行い、その機器の有効性を確認する。確認が取れない場合には、その機器がネットワーク10を介して接続されていないとみなし、当該機器のPCIDおよびIPアドレスをクライアント情報記録部16から削除する。
【0035】
サーバ1は、回覧板管理部13の回覧板作成部131により回覧板情報30を作成する。なお、回覧板情報30の送信対象の機器の数、つまり回覧板情報30内の回覧板宛先テーブルに記録できるPCIDおよびIPアドレスの数は予め定められる。
【0036】
回覧板情報30を作成するにあたり、回覧板管理部13の回覧板作成部131は、回覧板IDを生成して、回覧板管理部13内のメモリ133に一時的に記憶する。(ステップS1)。回覧板IDは、例えば数字やアルファベットを組み合せて構成した文字列である。
【0037】
図7は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1の回覧板情報記録部15に記録された回覧板情報記録テーブルの構成の一例を表形式で示す図である。
【0038】
この回覧板情報記録テーブルでは、サーバ1の回覧板作成部131が発行した回覧板情報30の回覧板ID、回覧板の発行時刻、生存期限、回収時刻、ログ回収の可否情報が対応付けて管理される。
【0039】
回収時刻とは、回覧板情報30がサーバ1から送信対象の各機器に送信されたのち、この送信対象の各機器が発行したログ情報40の回収が生存期限で示された時刻より前に終了したことを示す情報を、送信元であるサーバ1が受信した時刻を示す。
【0040】
サーバ1の回覧板管理部13は、回覧板情報30を発行した際に、この回覧板情報30の回覧板IDを回覧板情報記録テーブルの「回覧板ID」の欄に記録し、図示しない計時部により計時した現在時刻の情報を、「回覧板ID」の欄と対応する「発行時刻」の欄に記録し、発行時刻の2時間後の時刻情報を、「回覧板ID」の欄と対応する「生存期限」の欄に記録する。
【0041】
回覧板管理部13は、回覧板情報記録テーブルの「回収時刻」の欄に時刻情報が書き込まれた際に、この欄と対応する「ログ回収成功」の欄に回収成功を示す「○」を書き込む。一方、現在時刻が、回覧板情報記録テーブルの「生存期限」の欄に書き込まれた時刻より後となった場合には、回覧板情報30がネットワーク10の障害などにより行方不明または消失したとみなし、「生存期限」の欄と対応する「ログ回収成功」の欄に回収失敗を示す「×」を書き込む。回収成功とも回収失敗とも不明の場合には、該当する回覧板情報30が各機器の間で回覧中であるとみなし、「生存期限」の欄と対応する「ログ回収成功」の欄は空欄とする。
【0042】
図8は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1のクライアント情報記録部16に記録されたクライアント情報記録テーブルの構成の一例を表形式で示す図である。
【0043】
このクライアント情報記録テーブルでは、各種クライアントのPCID、IPアドレス、最終登録時回覧板IDが対応付けて管理される。
【0044】
最終登録時回覧板IDは、PCIDおよびIPアドレスのデータが登録される最新の回覧板情報30の回覧板IDである。つまり、クライアント情報記録テーブル上の「最終登録時回覧板ID」の欄に記録された情報は、対応するPCIDおよびIPアドレスの情報が、新たに作成された回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記録されるごとに更新される。
【0045】
前述したステップS1の処理後、回覧板管理部13は、各種クライアント2〜9のうち、任意または予め定めた法則にしたがって選択した一台の機器のPCID、および、このPCIDに対応するIPアドレスを、クライアント情報記録部16内のクライアント情報記録テーブル(図8参照)から読み出す(ステップS2)。この読み出した情報は、回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記録するための情報である。
【0046】
回覧板管理部13は、ステップS2の処理で読み出したPCIDおよびIPアドレスと対応付けられる最終登録時回覧板IDを検索し、この検索した回覧板ID、および、回覧板情報記録部15中の回覧板情報記録テーブル(図7参照)とを照合することで、ステップS2の処理で読み出したPCIDおよびIPアドレスが登録されている回覧板情報30の回覧板IDを検索する(ステップS3)。
【0047】
回覧板管理部13は、ステップS3の処理で検索した回覧板IDが付された回覧板情報30が各種クライアントの間で回覧中であるか否かを判別する(ステップS4)。具体的には、回覧板管理部13は、回覧板情報テーブル(図7参照)において、ステップS3の処理で検索した回覧板IDが記録される欄と対応した「ログ回収成功」の欄に「○」も「×」も記録されていなければ、回覧中であると判別し、当該「ログ回収成功」の欄に「○」および「×」のいずれかが記録されていれば、回覧中でないと判別する。
【0048】
ステップS4の処理の結果、「YES」と判別された場合には、ステップS2の処理に戻り、ステップS4の処理の結果、「NO」と判別された場合には、回覧板管理部13の回覧板作成部131は、ステップS2の処理で検索したPCIDおよびIPアドレスを、ステップS1の処理で発行した回覧板IDが付される回覧板情報30の送信先として、回覧板管理部13内のメモリ133に一時的に記憶する(ステップS5)。
【0049】
回覧板管理部13は、ステップS5の処理で記憶したPCIDおよびIPアドレスの数が、1つの回覧板情報30を送信可能な機器の数とそれぞれ一致したか否かを判別する(ステップS6)。
【0050】
ステップS6の処理の結果、「YES」と判別された場合には、他の機器のPCIDおよびIPアドレスを回覧板情報30の送信対象に加えるためにステップS2の処理に戻り、ステップS4の処理の結果、「NO」と判別された場合には、回覧板作成部131は、現在時刻の2時間後の時刻を、ステップS1の処理で発行した回覧板IDが付される新たな回覧板情報30の生存期限として、回覧板管理部13内のメモリ133に一時的に記憶する(ステップS7)。
【0051】
回覧板作成部131は、ステップS1の処理により発行された回覧板ID、ステップS5の処理により回覧板管理部13内のメモリ133に記憶された全てのPCIDおよびIPアドレス、および、ステップS7の処理により回覧板管理部13内のメモリ133に記憶された生存期限の情報をもとに、新たな回覧板情報30を生成する。ステップS5の処理により取得したPCIDおよびIPアドレスは、その取得順に沿った配列により、新たな回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記録される情報である。
【0052】
回覧板管理部13の回覧板発行部132は、回覧板作成部131により作成した新たな回覧板情報30を、通信部11を介することで、回覧板宛先テーブルの最上段に記録されるPCIDおよびIPアドレスに対応する機器に送信する(ステップS8)。
【0053】
なお、回覧板情報30へのPCIDおよびIPアドレスの記録は、前述した手順に限らず、例えば、現在回覧中の回覧板情報30に記録されていないPCIDおよびIPアドレスに対応する機器を検索することで選択してもよい。
【0054】
図9は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアント2による、ログ情報収集処理の一例を示すフローチャートである。その他のクライアント3〜9の処理動作は、クライアント2の処理動作と同様である。ここでは、サーバ1が発行した回覧板情報30の送信先がクライアント2である場合について説明する。
【0055】
クライアント2は、サーバ1から送信された回覧板情報30を、通信部21により受信すると、この受信した回覧板情報30を回覧板処理装置24に出力する(ステップA1)。
【0056】
回覧板処理装置24は、ステップA1の処理後、負荷状態監視装置23に負荷状態の計算を指示する。負荷状態監視装置23は、回覧板処理装置24からの指示にしたがって、自機の処理動作にかかる負荷の値を計算する。クライアント2は、この計算した値が予め定めた基準値より低いか否かを判別する(ステップA2)。
【0057】
ステップA2の処理の結果「YES」と判別された場合には、クライアント2のログ情報処理部25は、ステップS1の処理により受信した回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記録されるPCIDとIPアドレスに対応する機器が発行するログ情報40を収集する処理を行なう。
【0058】
具体的には、ログ情報処理部25は、ステップS1の処理により受信した回覧板情報30の回覧板宛先テーブルの最上段より1つ下の段に記録されたPCIDとIPアドレスを取得して(ステップA3)、この取得したPCIDとIPアドレスに対応する機器に制御信号を送信する(ステップA4)。この制御信号は、ログ情報40の送信リクエスト信号であり、自機、つまり、クライアント2のPCIDとIPアドレスの情報を含む。ログ情報40の送信リクエストに対するログ情報の送信処理については後述する。
【0059】
ステップA4の処理により送信された制御信号にしたがって、他の機器から送信されたログ情報40を、クライアント2の通信部21が受信すると(ステップA5)、クライアント2は、この受信したログ情報40を、クライアント2内のメモリ27に一時的に記憶する(ステップA6)。
【0060】
ログ情報処理部25は、ステップS1の処理により受信した回覧板情報30の回覧板宛先テーブルにおいて、ステップS3の処理で取得したPCIDとIPアドレスが記録される段の1つ下の段に記録されたPCIDとIPアドレスを取得する(ステップA7)。
【0061】
ログ情報処理部25は、ステップS7の処理で取得したPCIDとIPアドレスが、ステップS1の処理により受信した回覧板情報30の回覧板宛先テーブルの最下段に記録されているか否かを判別する(ステップA8)。
【0062】
前述したように、回覧板宛先テーブルの最下段には、サーバ1のPCIDとIPアドレスが記録されるので、ステップA8の処理により「NO」と判別された場合には、ログ情報処理部25は、ログ情報40の収集対象の機器が残っているとみなし、ステップA7の処理で取得したPCIDとIPアドレスに対応する機器に、ログ情報40の送信を求める制御信号を送信する(ステップA8→A4)。
【0063】
一方、ステップA8の処理により「NO」と判別された場合には、ログ情報処理部25は、回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記録された機器が発行したログ情報40が全て収集されたとみなし、ログ管理部22に対し、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を読み出す指示を行なう。ログ管理部22は、ログ情報処理部25からの指示にしたがって、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を読み出すと、これをクライアント2内のメモリ27に一時的に記憶する。
【0064】
そして、回覧板処理装置24は、自機のログ情報40、および、ステップA6の処理によりクライアント2内のメモリ27に記憶していた他の各種クライアントのログ情報40を纏めた中間収集済みログ情報50、ならびに、ステップA1の処理により受信した回覧板情報30に記録される回覧板IDの情報を、通信部21を介してサーバ1に送信する(ステップA9)。
ログ情報処理部25は、クライアント2内のメモリ27に記憶していたログ情報40を全て消去する(ステップA10)。
【0065】
前述したステップA2の処理の結果、「NO」と判別された場合、つまり、自機の処理動作の負荷の値が基準値以上であると判別された場合には、ログ情報処理部25は、ステップS1の処理により受信した回覧板情報30の回覧板宛先テーブルから、自機のPCIDとIPアドレスを検索し(ステップA11)、回覧板宛先テーブルの各段において、ステップA11の処理で検索したPCIDとIPアドレスが記録される段より1つ下の段に記録されるPCIDとIPアドレスを取得する(ステップA12)。
【0066】
そして、回覧板処理装置24は、ステップA12の処理で取得したPCIDとIPアドレスに対応する機器に対し、ステップA1の処理で受信した回覧板情報30を、通信部21を介して送信する(ステップA13)。各機器のうち、ステップA13の処理により送信された回覧板情報30を送信先の機器は、前述したステップA1に該当する処理、つまり、回覧板情報30の受信処理を行なったのち、前述したステップA2以降の処理を行なう。
【0067】
例えば、回覧板情報30の送信対象機器、つまり、回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記載されたPCIDとIPアドレスに対応する機器が、前述したクライアントグループ60に属するクライアント2〜5であり、回覧板情報30の送信順がクライアント2,3,4,5の順で送信される場合には、最初の送信先であるクライアント2の処理負荷が重く、クライアント2〜5が発行するログ情報40の収集を行なわなかった場合には、次の送信対象機器であるクライアント3に対し、前述した各機器のログ情報40の収集を求めることになる。
【0068】
よって、クライアントグループ60に属する各種クライアントのうち、いずれか一台の機器の処理負荷の値が基準値より低ければ、回覧板情報30の送信を終了した上で、この機器により、クライアントグループ60に属する各機器が発行するログ情報をすべて収集して、自機が発行したログ情報とともに、サーバ1に送信することができる。
【0069】
また、クライアントグループ60に属する全ての機器の処理動作のパラメータが基準値以上である場合には、ログ情報40の収集は行なわれず、回覧板情報30のみがサーバ1に返されることになる。この場合には、予め定められた時刻になる、または予め定められた時間が経過した際に、新たな回覧板情報30をサーバ1により作成して、これをクライアント2〜5に再び送信すればよい。
【0070】
次に、前述したステップA4の処理による制御信号の送信先である各機器による、ログ情報40の送信処理については後述する。
図10は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアント3〜9による、ログ情報送信処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、ログ情報40の収集を行なう機器がクライアント2である場合について説明する。
【0071】
クライアント3〜9のうち、クライアント2によるログ情報40の送信リクエストの対象となる機器の通信部21が、ステップA3の処理により送信された制御信号を受信した場合(ステップB1)には、ログ情報処理部25は、ログ管理部22に対し、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を読み出す指示を行なう。ログ管理部22は、ログ情報処理部25からの指示にしたがって、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を読み出す(ステップB2)。
【0072】
ログ情報処理部25は、ステップB2の処理で読み出されたログ情報40を、通信部21を介して、ステップA1の処理で受信した制御信号の出力元の機器、つまり、ステップA1の処理で受信した制御信号に含まれるPCIDとIPアドレスに対応する機器に送信する(ステップB3)。
【0073】
ステップB3の処理後、ログ情報処理部25は、ログ管理部22に対し、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を消去する指示を行なう。ログ管理部22は、ログ情報処理部25からの指示にしたがって、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を消去する(ステップB4)。
【0074】
次に、前述した中間収集済みログ情報50をサーバ1が受信した際の処理について説明する。図11は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1によるログ情報収集後の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0075】
前述したステップA9の処理により送信された中間収集済みログ情報50および回覧板IDの情報を、サーバ1の通信部11が受信した(ステップC1)場合には、ログ管理部12のログ情報収集部121は、現在時刻をメモリ27に一時的に記憶した上で、ステップC1の処理で受信した回覧板IDの文字列を認識する。
【0076】
ログ情報収集部121は、認識した回覧板IDが発行済みのIDであるかを確認する旨を回覧板管理部13に指示する。この指示内容には、認識した回覧板IDの情報が含まれる。
【0077】
回覧板管理部13は、ログ情報収集部121による指示にしたがって、この指示内容の一部である回覧板ID、および、回覧板情報記録部15に記録される回覧板情報記録テーブル(図7参照)とを照合する。回覧板管理部13は、この照合の結果、前述のように認識した回覧板IDと同一のIDが回覧板情報記録テーブルに記録されていれば、認識した回覧板IDが正当である旨を示す情報をログ管理部12のログ情報収集部121に出力する(ステップC2)。
【0078】
ログ管理部12のログ情報収集部121は、回覧板IDが正当である旨を示す情報を回覧板管理部13から入力した際に、ステップC1の処理で受信した中間収集済みログ情報50をログ情報記録部17に記録する(ステップC3)。
【0079】
そして、回覧板管理部13は、メモリ27に記憶された現在時刻の情報を読み出し、この情報を、回覧板情報記録部15に記録される回覧板情報記録テーブル(図7参照)中の、前述のように認識した回覧板IDと対応する「回収時刻」の欄に記録する(ステップC4)。
【0080】
このように、サーバ1がステップC1〜C4の処理を行なうことで、前述したステップS8の処理により発行した回覧板情報30中で予め定めた複数の機器が発行したログ情報40を、中間収集済みログ情報50としてサーバ1のログ情報記録部17に格納することができる。
【0081】
前述した各種クライアント2〜9では、処理動作を行なうたびにログ情報40の発行を行なって、これをログ情報記録部17(図2参照)に記録する処理を行なうが、このログ情報40のデータサイズは、処理動作の回数の増加にしたがって増加する。よって、サーバ1から送信された回覧板情報30が、ネットワーク10の障害などにより長時間にわたって送信されない状態が継続すると、ログ情報40のデータサイズが肥大化してしまう。
【0082】
本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムの各種クライアント2〜9は、回覧板情報30の送信の有無に関係なく、自機が発行したログ情報40をサーバ1に送信する機能を有する。
【0083】
具体的には、クライアント2を例にとると、ログ管理部22は、ログ情報記録部26に記録されたログ情報40のデータサイズを測定する機能を有する。ログ管理部22は、ログ情報記録部26に記録されたログ情報40のデータサイズが、予め定められた基準値以上であると判別した場合には、回覧板処理装置24に対して、ログ情報記録部26に記録されたログ情報40をサーバ1に送信する指示を行なう。
【0084】
回覧板処理装置24は、ログ管理部22からの指示にしたがって、通信部21に対し、サーバ1との通信を確立するための指示を行なう。この指示にしたがった通信の確立後、ログ管理部22は、ログ情報記録部26からログ情報40を読み出して、これをサーバ1へ送信する。サーバ1に送信される情報には、自機のPCIDおよびIPアドレスの情報が含まれる。ログ情報40の送信が成功した場合には、ログ管理部22は、ログ情報記録部26に記憶されたログ情報を消去する。
【0085】
サーバ1は、クライアント2から送信されたログ情報40を通信部11を介して受信すると、これをログ情報受信部122に出力する。ログ情報受信部122は、送信元の機器のPCIDおよびIPアドレスの情報を認識して、これらの情報をクライアント情報登録部14に出力する。
【0086】
クライアント情報登録部14は、ログ情報受信部122から入力した情報と、クライアント情報記録部16に記録されたクライアント情報記録テーブル(図8参照)とを照合し、ログ情報40の送信元の機器のPCIDおよびIPアドレスと同一の情報がクライアント情報記録テーブルに含まれている場合には、送信元の機器のPCIDおよびIPアドレスが正当な情報であるとみなし、この旨を示す情報をログ情報受信部122に出力する。
【0087】
そして、ログ情報受信部122は、前述のように受信したログ情報40をログ情報記録部17に記録する。
【0088】
以上説明したように、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムでは、ネットワーク10を介して接続された各種クライアント2〜9を、複数のグループのいずれかに属する機器として管理し、同一グループ内の処理負荷の低い機器により、同一のグループに属する他の機器が発行するログ情報40を収集するとともに、自機が発行したログ情報40を読み出して、これらを中間収集済みログ情報50としてサーバ1に出力するので、各種クライアント2〜9が発行するログ情報40をサーバ1に格納するための処理負荷が一台の機器に集中することなく収集することができる。
【0089】
なお、この発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムの概要の一例を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバの内部構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアントの内部構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバとクライアントの間における、各種情報の送受信の形態の一例を示すブロック図。
【図5】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1が発行する回覧板情報の構成の一例を表形式で示す図。
【図6】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1による回覧板情報発行までの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバの回覧板情報記憶部に記録される回覧板情報記録テーブルの構成の一例を表形式で示す図。
【図8】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバのクライアント情報記憶部に記録されるクライアント情報記録テーブルの構成の一例を表形式で示す図。
【図9】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアント2による、ログ情報収集処理の一例を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアント2による、ログ情報送信処理の一例を示すフローチャート。
【図11】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバによるログ情報収集後の処理動作の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0091】
1…サーバ、2〜9…クライアント、10…ネットワーク、11…通信部、12…ログ管理部、13…回覧板管理部、14…クライアント情報登録部、15…回覧板情報記録部、16…クライアント情報記録部、17…ログ情報記録部、21…通信部、22…ログ管理部、23…負荷状態監視装置、24…回覧板処理装置、25…ログ情報処理部、26…ログ情報記録部、27,133…メモリ、30…回覧板情報、40…ログ情報、50…中間収集済みログ情報、60,70…クライアントグループ、121…ログ情報収集部、122…ログ情報受信部、131…回覧板作成部、132…回覧板発行部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワーク網に接続される複数の機器のログ情報を収集する機能を有する情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーバ側のコンピュータ、および、端末側のコンピュータが通信ネットワークを介して接続されるシステムでは、例えば特許文献1に開示されたように、サーバ側のコンピュータが、端末側のコンピュータと1台ずつ通信を行なうことで、端末側のコンピュータの処理動作の内容を示すログ情報を収集するものがある。
【特許文献1】特開2002−41330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
昨今のコンピュータの普及や、IPv6ネットワーク網の浸透などにより、通信ネットワーク上において数多くの機器が接続されるようになっている。このような状況で、前述したように、サーバ側のコンピュータが、各機器と1台ずつ通信を行なって、当該機器のログ情報を収集するには、収集側となるサーバ側のコンピュータに非常に大きな負荷がかかってしまう。よって、サーバ側のコンピュータをより高性能のものとしたり、当該サーバ側のコンピュータ設置台数を増やしたりする必要があり、コストの増大を引き起こしてしまう。
【0004】
そこで、本発明の目的は、通信ネットワーク上の機器の処理動作の内容を示すログ情報を、大きな負荷を要すること無く収集することが可能になる情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明に係わる情報処理システムは、処理動作の内容を示す収集対象情報を生成する生成手段を備える複数の端末装置、および、サーバ装置がネットワークを介して接続されるシステムであって、端末装置は、複数のグループのいずれかに属し、生成手段により生成した収集対象情報を読み出し、同一のグループに属する他の端末装置の前記生成手段により生成された収集対象情報を取得し、この取得した収集対象情報を、前述のように読み出した収集対象情報とともに前記サーバ装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係わる情報処理システムでは、処理動作に関する情報を生成して、これを読み出し、かつ、複数のグループのうちいずれかのグループに属する端末装置は、同一のグループに属する他の端末装置の前記生成手段により生成された収集対象情報を取得して、この取得した収集対象情報を、前述のように読み出した収集対象情報とともに前記サーバ装置に送信するので、1台の機器に大きな負荷がかからなくなる。よって、大きな負荷を要することなく、各端末装置が生成する収集対象情報を収集することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムの概要の一例を示すブロック図である。
このコンピュータシステムは、P2P(ピアツーピア)技術を利用したコンピュータシステムであり、サーバ1、および、クライアント(端末機器)2〜9が、ネットワーク10を介して相互に通信可能に接続される。ネットワーク10は、有線電話回線、無線電話回線、無線、専用ケーブル、赤外線、光ファイバ網インターネットなどの通信ネットワークである。
【0008】
クライアント2〜9は、収集対象情報を記録する機能、および、この収集対象情報を外部に送信する機能を有する。以後、クライアント2〜9は、収集対象情報の一種であるログ情報を記録および送信するものとして説明する。クライアント2〜9の各機器が記録するログ情報は、自機がデータ通信などの各種処理を行なった際の内容や処理時刻を示す情報である。
【0009】
また、クライアント2〜9の各機器は、予め定義された複数のクライアントグループのいずれかに属しており、ログ情報の送信要求がなされた場合に、同一のグループに属する機器が発行するログ情報を収集して、この収集した情報を、自機が発行したログ情報とあわせてサーバ1に送信する機能を有する。
サーバ1は、クライアント2〜9からログ情報が送信された場合に、これを受信して管理する機能を有する。
【0010】
図2は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1の内部構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、サーバ1は、通信部11、ログ管理部12、回覧板管理部13、クライアント情報登録部14、回覧板情報記録部15、クライアント情報記録部16、および、ログ情報記録部17を備える。回覧板情報記録部15、クライアント情報記録部16、ログ情報記録部17は、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリなどの記憶媒体である。
【0011】
通信部11は、ネットワーク10を介して、クライアント2〜9と通信を行なう。ログ管理部12は、クライアント2〜9が発行したログ情報を収集して、これを管理する。回覧板管理部13は、回覧板情報の作成、発行および管理にかかる処理を行なう。回覧板情報とは、クライアント2〜9のうち、ログ情報の収集対象となる機器の識別情報を、予め定めた順序に沿って記録した情報である。
【0012】
クライアント情報登録部14は、クライアント2〜9に関する情報を登録および管理する処理を行なう。回覧板情報記録部15は、クライアント2〜9に送信する回覧板情報を管理するための情報を記録する。クライアント情報記録部16は、クライアント2〜9の各機器に付与された固有の識別情報を記録する。ログ情報記録部17は、収集されたログ情報を記録する。
【0013】
図2に示すように、ログ管理部12は、ログ情報収集部121、および、ログ情報受信部122を備える。ログ情報収集部121は、クライアント2〜9から送信されて通信部11により受信したログ情報を収集する。ログ情報受信部122の機能については後述する。回覧板管理部13は、回覧板作成部131、回覧板発行部132、およびメモリ133を備える。これらの機能については後述する。
【0014】
図3は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアント2の内部構成例を示すブロック図である。なお、クライアント3〜9の内部構成は、クライアント2の内部構成と同様である。
【0015】
図3に示すように、クライアント2は、通信部21、ログ管理部22、負荷状態監視装置23、回覧板処理装置24、ログ情報処理部25、ログ情報記録部26、およびメモリ27を備える。ログ情報記録部26は、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリなどの記憶媒体である。
【0016】
通信部21は、サーバ1や他のクライアントとの通信を行なう。ログ管理部22は、自機の処理動作の内容を示すログ情報を管理する。負荷状態監視装置23は、自機の処理動作にかかる負荷状態を数値化して監視する。負荷状態とは、例えば図示しないCPUの使用率などである。
【0017】
回覧板処理装置24は、サーバ1または他のクライアントから送信された回覧板情報にかかる処理を行なう。ログ情報処理部25は、自機の負荷状態を示す値が定められた基準値より低い場合に、他のクライアント3〜9のうち、回覧板情報に記録された識別情報に対応する機器からログ情報を収集したり、他の機器からのリクエストに従って自機が発行するログ情報を送信したりする。ログ情報記録部26は、自機のログ情報を記録する。
【0018】
クライアント2は、例えばパーソナルコンピュータであってもよいし、ネットワーク上のルータなど、処理動作の内容を示すログ情報を記録する機能を有する機器であれば、その種別は問わない。
【0019】
回覧板処理装置24は、自機の負荷状態を負荷状態監視装置23に問い合わせて確認し、負荷状態の値が前述した基準値以上である場合には、回覧板情報において、自機の次の送信順として記録されている識別情報に対応する機器に回覧板情報を送信する。
【0020】
また、回覧板処理装置24は、前述した負荷状態の値が基準値より低い場合には、ログ情報処理部25を用いて、回覧板情報に登録されている識別情報に対応するすべての機器からログ情報を収集し、この収集したログ情報をサーバ1に送信する。
【0021】
ログ情報処理部25は、回覧板情報で示される識別情報に対応する機器よりログ情報を収集する機能、および、他の機器からのリクエストにしたがって、自機のログ情報を出力する機能を有する。
【0022】
図4は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1とクライアント2〜9の間における、各種情報の送受信の形態の一例を示すブロック図である。
図4に示した例では、サーバ1は、2つの回覧板情報30を発行する。1つめの回覧板情報30は、クライアント2〜5に対して送信される情報であり、2つめの回覧板情報30は、クライアント6〜9に対して送信される情報である。
【0023】
クライアント2〜5のうち何れかの機器は、クライアント2〜5が発行するログ情報40を纏め、これを1つめの中間収集済みログ情報50としてサーバ1に送信する。また、クライアント6〜9のうち何れかの機器は、クライアント6〜9が発行するログ情報40を纏め、これを2つめの中間収集済みログ情報50としてサーバ1に送信する。
【0024】
1つ目の回覧板情報30では、クライアント2〜5を、クライアントグループ60に属する機器として定義しており、2つ目の回覧板情報30では、クライアント6〜9を、クライアントグループ70に属する機器として定義している。
【0025】
前述したクライアントグループ60に属する機器の情報は、クライアント2〜5に対して発行される、1つ目の回覧板情報30に記録され、クライアントグループ70に属する機器の情報は、クライアント6〜9に対して発行される、2つめの回覧板情報30に記録される。
【0026】
図5は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1が発行する回覧板情報30の構成の一例を表形式で示す図である。
回覧板情報30は、図5に示したように、回覧板ID、回覧板の生存期限、回覧板宛先テーブルの情報などが対応付けられて管理される情報である。回覧板IDは、発行される回覧板情報30ごとに固有の識別情報である。回覧板の生存期限は、回覧板情報30の発行後、収集対象のログ情報の収集完了の期限日時である。
【0027】
回覧板宛先テーブルは、各種クライアントのうち、同一のクライアントグループに属する機器、つまり、1つの回覧板情報30の送信対象である機器の識別情報を管理するテーブルである。この識別情報は、機器ごとに付与される固有のID(PCID)、およびIPアドレスである。
【0028】
図5では、前述したクライアント2〜9と関係ない8台分の機器の識別情報が回覧板宛先テーブルに記録された回覧板情報30の例を示すが、ログ情報40の収集対象の機器がクライアント2〜5である場合には、回覧板宛先テーブルには、クライアント2〜5の計4台分のPCIDおよびIPアドレスのみが記録される。
【0029】
回覧板情報30は、回覧板宛先テーブルの最上段に記述されている識別情報に対応した機器に最初に送信され、以後、回覧板宛先テーブルの最下段に向かった方向に沿った順番で、各識別情報と対応する機器に順次送信される。
【0030】
また、回覧板宛先テーブルの最下段には、サーバ1の識別情報であるPCID(“0000”)およびIPアドレス(“10.1.1.0”)が記録されている。つまり、回覧板情報30が、各機器に順次送信された場合には、当該回覧板情報30は、最終的にはサーバ1へ戻ることになる。
【0031】
ただし、回覧板情報30が送信された各機器、つまり、回覧板宛先テーブルの最下段以外の箇所に記録されたPCIDおよびIPアドレスに対応する各機器のうちいずれかが、同一のクライアントグループに属するすべての機器が発行したログ情報40を収集して、この収集したログ情報が、自機が発行したログ情報ととともにサーバ1に送信された場合には、以後、回覧板情報30は送信されない。
【0032】
次に、以上のように構成されたコンピュータシステムの処理動作について説明する。
図6は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1による回覧板情報発行までの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0033】
サーバ1は、常に起動しているものとする。クライアント2〜9は、起動すると、サーバ1に、自機のPCIDおよびIPアドレスを送信する。この送信された情報は、サーバ1の通信部11により受信されたのち、クライアント情報登録部14に出力される。
【0034】
クライアント情報登録部14は、PCIDおよびIPアドレスを入力すると、これらの情報を関連付けた上で、クライアント情報記録部16に記録する。
また、クライアント情報登録部14は、クライアント情報記録部16に記録したPCIDおよびIPアドレスに対応する機器に対して定期的にポーリングを行い、その機器の有効性を確認する。確認が取れない場合には、その機器がネットワーク10を介して接続されていないとみなし、当該機器のPCIDおよびIPアドレスをクライアント情報記録部16から削除する。
【0035】
サーバ1は、回覧板管理部13の回覧板作成部131により回覧板情報30を作成する。なお、回覧板情報30の送信対象の機器の数、つまり回覧板情報30内の回覧板宛先テーブルに記録できるPCIDおよびIPアドレスの数は予め定められる。
【0036】
回覧板情報30を作成するにあたり、回覧板管理部13の回覧板作成部131は、回覧板IDを生成して、回覧板管理部13内のメモリ133に一時的に記憶する。(ステップS1)。回覧板IDは、例えば数字やアルファベットを組み合せて構成した文字列である。
【0037】
図7は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1の回覧板情報記録部15に記録された回覧板情報記録テーブルの構成の一例を表形式で示す図である。
【0038】
この回覧板情報記録テーブルでは、サーバ1の回覧板作成部131が発行した回覧板情報30の回覧板ID、回覧板の発行時刻、生存期限、回収時刻、ログ回収の可否情報が対応付けて管理される。
【0039】
回収時刻とは、回覧板情報30がサーバ1から送信対象の各機器に送信されたのち、この送信対象の各機器が発行したログ情報40の回収が生存期限で示された時刻より前に終了したことを示す情報を、送信元であるサーバ1が受信した時刻を示す。
【0040】
サーバ1の回覧板管理部13は、回覧板情報30を発行した際に、この回覧板情報30の回覧板IDを回覧板情報記録テーブルの「回覧板ID」の欄に記録し、図示しない計時部により計時した現在時刻の情報を、「回覧板ID」の欄と対応する「発行時刻」の欄に記録し、発行時刻の2時間後の時刻情報を、「回覧板ID」の欄と対応する「生存期限」の欄に記録する。
【0041】
回覧板管理部13は、回覧板情報記録テーブルの「回収時刻」の欄に時刻情報が書き込まれた際に、この欄と対応する「ログ回収成功」の欄に回収成功を示す「○」を書き込む。一方、現在時刻が、回覧板情報記録テーブルの「生存期限」の欄に書き込まれた時刻より後となった場合には、回覧板情報30がネットワーク10の障害などにより行方不明または消失したとみなし、「生存期限」の欄と対応する「ログ回収成功」の欄に回収失敗を示す「×」を書き込む。回収成功とも回収失敗とも不明の場合には、該当する回覧板情報30が各機器の間で回覧中であるとみなし、「生存期限」の欄と対応する「ログ回収成功」の欄は空欄とする。
【0042】
図8は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1のクライアント情報記録部16に記録されたクライアント情報記録テーブルの構成の一例を表形式で示す図である。
【0043】
このクライアント情報記録テーブルでは、各種クライアントのPCID、IPアドレス、最終登録時回覧板IDが対応付けて管理される。
【0044】
最終登録時回覧板IDは、PCIDおよびIPアドレスのデータが登録される最新の回覧板情報30の回覧板IDである。つまり、クライアント情報記録テーブル上の「最終登録時回覧板ID」の欄に記録された情報は、対応するPCIDおよびIPアドレスの情報が、新たに作成された回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記録されるごとに更新される。
【0045】
前述したステップS1の処理後、回覧板管理部13は、各種クライアント2〜9のうち、任意または予め定めた法則にしたがって選択した一台の機器のPCID、および、このPCIDに対応するIPアドレスを、クライアント情報記録部16内のクライアント情報記録テーブル(図8参照)から読み出す(ステップS2)。この読み出した情報は、回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記録するための情報である。
【0046】
回覧板管理部13は、ステップS2の処理で読み出したPCIDおよびIPアドレスと対応付けられる最終登録時回覧板IDを検索し、この検索した回覧板ID、および、回覧板情報記録部15中の回覧板情報記録テーブル(図7参照)とを照合することで、ステップS2の処理で読み出したPCIDおよびIPアドレスが登録されている回覧板情報30の回覧板IDを検索する(ステップS3)。
【0047】
回覧板管理部13は、ステップS3の処理で検索した回覧板IDが付された回覧板情報30が各種クライアントの間で回覧中であるか否かを判別する(ステップS4)。具体的には、回覧板管理部13は、回覧板情報テーブル(図7参照)において、ステップS3の処理で検索した回覧板IDが記録される欄と対応した「ログ回収成功」の欄に「○」も「×」も記録されていなければ、回覧中であると判別し、当該「ログ回収成功」の欄に「○」および「×」のいずれかが記録されていれば、回覧中でないと判別する。
【0048】
ステップS4の処理の結果、「YES」と判別された場合には、ステップS2の処理に戻り、ステップS4の処理の結果、「NO」と判別された場合には、回覧板管理部13の回覧板作成部131は、ステップS2の処理で検索したPCIDおよびIPアドレスを、ステップS1の処理で発行した回覧板IDが付される回覧板情報30の送信先として、回覧板管理部13内のメモリ133に一時的に記憶する(ステップS5)。
【0049】
回覧板管理部13は、ステップS5の処理で記憶したPCIDおよびIPアドレスの数が、1つの回覧板情報30を送信可能な機器の数とそれぞれ一致したか否かを判別する(ステップS6)。
【0050】
ステップS6の処理の結果、「YES」と判別された場合には、他の機器のPCIDおよびIPアドレスを回覧板情報30の送信対象に加えるためにステップS2の処理に戻り、ステップS4の処理の結果、「NO」と判別された場合には、回覧板作成部131は、現在時刻の2時間後の時刻を、ステップS1の処理で発行した回覧板IDが付される新たな回覧板情報30の生存期限として、回覧板管理部13内のメモリ133に一時的に記憶する(ステップS7)。
【0051】
回覧板作成部131は、ステップS1の処理により発行された回覧板ID、ステップS5の処理により回覧板管理部13内のメモリ133に記憶された全てのPCIDおよびIPアドレス、および、ステップS7の処理により回覧板管理部13内のメモリ133に記憶された生存期限の情報をもとに、新たな回覧板情報30を生成する。ステップS5の処理により取得したPCIDおよびIPアドレスは、その取得順に沿った配列により、新たな回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記録される情報である。
【0052】
回覧板管理部13の回覧板発行部132は、回覧板作成部131により作成した新たな回覧板情報30を、通信部11を介することで、回覧板宛先テーブルの最上段に記録されるPCIDおよびIPアドレスに対応する機器に送信する(ステップS8)。
【0053】
なお、回覧板情報30へのPCIDおよびIPアドレスの記録は、前述した手順に限らず、例えば、現在回覧中の回覧板情報30に記録されていないPCIDおよびIPアドレスに対応する機器を検索することで選択してもよい。
【0054】
図9は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアント2による、ログ情報収集処理の一例を示すフローチャートである。その他のクライアント3〜9の処理動作は、クライアント2の処理動作と同様である。ここでは、サーバ1が発行した回覧板情報30の送信先がクライアント2である場合について説明する。
【0055】
クライアント2は、サーバ1から送信された回覧板情報30を、通信部21により受信すると、この受信した回覧板情報30を回覧板処理装置24に出力する(ステップA1)。
【0056】
回覧板処理装置24は、ステップA1の処理後、負荷状態監視装置23に負荷状態の計算を指示する。負荷状態監視装置23は、回覧板処理装置24からの指示にしたがって、自機の処理動作にかかる負荷の値を計算する。クライアント2は、この計算した値が予め定めた基準値より低いか否かを判別する(ステップA2)。
【0057】
ステップA2の処理の結果「YES」と判別された場合には、クライアント2のログ情報処理部25は、ステップS1の処理により受信した回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記録されるPCIDとIPアドレスに対応する機器が発行するログ情報40を収集する処理を行なう。
【0058】
具体的には、ログ情報処理部25は、ステップS1の処理により受信した回覧板情報30の回覧板宛先テーブルの最上段より1つ下の段に記録されたPCIDとIPアドレスを取得して(ステップA3)、この取得したPCIDとIPアドレスに対応する機器に制御信号を送信する(ステップA4)。この制御信号は、ログ情報40の送信リクエスト信号であり、自機、つまり、クライアント2のPCIDとIPアドレスの情報を含む。ログ情報40の送信リクエストに対するログ情報の送信処理については後述する。
【0059】
ステップA4の処理により送信された制御信号にしたがって、他の機器から送信されたログ情報40を、クライアント2の通信部21が受信すると(ステップA5)、クライアント2は、この受信したログ情報40を、クライアント2内のメモリ27に一時的に記憶する(ステップA6)。
【0060】
ログ情報処理部25は、ステップS1の処理により受信した回覧板情報30の回覧板宛先テーブルにおいて、ステップS3の処理で取得したPCIDとIPアドレスが記録される段の1つ下の段に記録されたPCIDとIPアドレスを取得する(ステップA7)。
【0061】
ログ情報処理部25は、ステップS7の処理で取得したPCIDとIPアドレスが、ステップS1の処理により受信した回覧板情報30の回覧板宛先テーブルの最下段に記録されているか否かを判別する(ステップA8)。
【0062】
前述したように、回覧板宛先テーブルの最下段には、サーバ1のPCIDとIPアドレスが記録されるので、ステップA8の処理により「NO」と判別された場合には、ログ情報処理部25は、ログ情報40の収集対象の機器が残っているとみなし、ステップA7の処理で取得したPCIDとIPアドレスに対応する機器に、ログ情報40の送信を求める制御信号を送信する(ステップA8→A4)。
【0063】
一方、ステップA8の処理により「NO」と判別された場合には、ログ情報処理部25は、回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記録された機器が発行したログ情報40が全て収集されたとみなし、ログ管理部22に対し、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を読み出す指示を行なう。ログ管理部22は、ログ情報処理部25からの指示にしたがって、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を読み出すと、これをクライアント2内のメモリ27に一時的に記憶する。
【0064】
そして、回覧板処理装置24は、自機のログ情報40、および、ステップA6の処理によりクライアント2内のメモリ27に記憶していた他の各種クライアントのログ情報40を纏めた中間収集済みログ情報50、ならびに、ステップA1の処理により受信した回覧板情報30に記録される回覧板IDの情報を、通信部21を介してサーバ1に送信する(ステップA9)。
ログ情報処理部25は、クライアント2内のメモリ27に記憶していたログ情報40を全て消去する(ステップA10)。
【0065】
前述したステップA2の処理の結果、「NO」と判別された場合、つまり、自機の処理動作の負荷の値が基準値以上であると判別された場合には、ログ情報処理部25は、ステップS1の処理により受信した回覧板情報30の回覧板宛先テーブルから、自機のPCIDとIPアドレスを検索し(ステップA11)、回覧板宛先テーブルの各段において、ステップA11の処理で検索したPCIDとIPアドレスが記録される段より1つ下の段に記録されるPCIDとIPアドレスを取得する(ステップA12)。
【0066】
そして、回覧板処理装置24は、ステップA12の処理で取得したPCIDとIPアドレスに対応する機器に対し、ステップA1の処理で受信した回覧板情報30を、通信部21を介して送信する(ステップA13)。各機器のうち、ステップA13の処理により送信された回覧板情報30を送信先の機器は、前述したステップA1に該当する処理、つまり、回覧板情報30の受信処理を行なったのち、前述したステップA2以降の処理を行なう。
【0067】
例えば、回覧板情報30の送信対象機器、つまり、回覧板情報30の回覧板宛先テーブルに記載されたPCIDとIPアドレスに対応する機器が、前述したクライアントグループ60に属するクライアント2〜5であり、回覧板情報30の送信順がクライアント2,3,4,5の順で送信される場合には、最初の送信先であるクライアント2の処理負荷が重く、クライアント2〜5が発行するログ情報40の収集を行なわなかった場合には、次の送信対象機器であるクライアント3に対し、前述した各機器のログ情報40の収集を求めることになる。
【0068】
よって、クライアントグループ60に属する各種クライアントのうち、いずれか一台の機器の処理負荷の値が基準値より低ければ、回覧板情報30の送信を終了した上で、この機器により、クライアントグループ60に属する各機器が発行するログ情報をすべて収集して、自機が発行したログ情報とともに、サーバ1に送信することができる。
【0069】
また、クライアントグループ60に属する全ての機器の処理動作のパラメータが基準値以上である場合には、ログ情報40の収集は行なわれず、回覧板情報30のみがサーバ1に返されることになる。この場合には、予め定められた時刻になる、または予め定められた時間が経過した際に、新たな回覧板情報30をサーバ1により作成して、これをクライアント2〜5に再び送信すればよい。
【0070】
次に、前述したステップA4の処理による制御信号の送信先である各機器による、ログ情報40の送信処理については後述する。
図10は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアント3〜9による、ログ情報送信処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、ログ情報40の収集を行なう機器がクライアント2である場合について説明する。
【0071】
クライアント3〜9のうち、クライアント2によるログ情報40の送信リクエストの対象となる機器の通信部21が、ステップA3の処理により送信された制御信号を受信した場合(ステップB1)には、ログ情報処理部25は、ログ管理部22に対し、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を読み出す指示を行なう。ログ管理部22は、ログ情報処理部25からの指示にしたがって、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を読み出す(ステップB2)。
【0072】
ログ情報処理部25は、ステップB2の処理で読み出されたログ情報40を、通信部21を介して、ステップA1の処理で受信した制御信号の出力元の機器、つまり、ステップA1の処理で受信した制御信号に含まれるPCIDとIPアドレスに対応する機器に送信する(ステップB3)。
【0073】
ステップB3の処理後、ログ情報処理部25は、ログ管理部22に対し、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を消去する指示を行なう。ログ管理部22は、ログ情報処理部25からの指示にしたがって、ログ情報記録部26に記録されるログ情報40を消去する(ステップB4)。
【0074】
次に、前述した中間収集済みログ情報50をサーバ1が受信した際の処理について説明する。図11は、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1によるログ情報収集後の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0075】
前述したステップA9の処理により送信された中間収集済みログ情報50および回覧板IDの情報を、サーバ1の通信部11が受信した(ステップC1)場合には、ログ管理部12のログ情報収集部121は、現在時刻をメモリ27に一時的に記憶した上で、ステップC1の処理で受信した回覧板IDの文字列を認識する。
【0076】
ログ情報収集部121は、認識した回覧板IDが発行済みのIDであるかを確認する旨を回覧板管理部13に指示する。この指示内容には、認識した回覧板IDの情報が含まれる。
【0077】
回覧板管理部13は、ログ情報収集部121による指示にしたがって、この指示内容の一部である回覧板ID、および、回覧板情報記録部15に記録される回覧板情報記録テーブル(図7参照)とを照合する。回覧板管理部13は、この照合の結果、前述のように認識した回覧板IDと同一のIDが回覧板情報記録テーブルに記録されていれば、認識した回覧板IDが正当である旨を示す情報をログ管理部12のログ情報収集部121に出力する(ステップC2)。
【0078】
ログ管理部12のログ情報収集部121は、回覧板IDが正当である旨を示す情報を回覧板管理部13から入力した際に、ステップC1の処理で受信した中間収集済みログ情報50をログ情報記録部17に記録する(ステップC3)。
【0079】
そして、回覧板管理部13は、メモリ27に記憶された現在時刻の情報を読み出し、この情報を、回覧板情報記録部15に記録される回覧板情報記録テーブル(図7参照)中の、前述のように認識した回覧板IDと対応する「回収時刻」の欄に記録する(ステップC4)。
【0080】
このように、サーバ1がステップC1〜C4の処理を行なうことで、前述したステップS8の処理により発行した回覧板情報30中で予め定めた複数の機器が発行したログ情報40を、中間収集済みログ情報50としてサーバ1のログ情報記録部17に格納することができる。
【0081】
前述した各種クライアント2〜9では、処理動作を行なうたびにログ情報40の発行を行なって、これをログ情報記録部17(図2参照)に記録する処理を行なうが、このログ情報40のデータサイズは、処理動作の回数の増加にしたがって増加する。よって、サーバ1から送信された回覧板情報30が、ネットワーク10の障害などにより長時間にわたって送信されない状態が継続すると、ログ情報40のデータサイズが肥大化してしまう。
【0082】
本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムの各種クライアント2〜9は、回覧板情報30の送信の有無に関係なく、自機が発行したログ情報40をサーバ1に送信する機能を有する。
【0083】
具体的には、クライアント2を例にとると、ログ管理部22は、ログ情報記録部26に記録されたログ情報40のデータサイズを測定する機能を有する。ログ管理部22は、ログ情報記録部26に記録されたログ情報40のデータサイズが、予め定められた基準値以上であると判別した場合には、回覧板処理装置24に対して、ログ情報記録部26に記録されたログ情報40をサーバ1に送信する指示を行なう。
【0084】
回覧板処理装置24は、ログ管理部22からの指示にしたがって、通信部21に対し、サーバ1との通信を確立するための指示を行なう。この指示にしたがった通信の確立後、ログ管理部22は、ログ情報記録部26からログ情報40を読み出して、これをサーバ1へ送信する。サーバ1に送信される情報には、自機のPCIDおよびIPアドレスの情報が含まれる。ログ情報40の送信が成功した場合には、ログ管理部22は、ログ情報記録部26に記憶されたログ情報を消去する。
【0085】
サーバ1は、クライアント2から送信されたログ情報40を通信部11を介して受信すると、これをログ情報受信部122に出力する。ログ情報受信部122は、送信元の機器のPCIDおよびIPアドレスの情報を認識して、これらの情報をクライアント情報登録部14に出力する。
【0086】
クライアント情報登録部14は、ログ情報受信部122から入力した情報と、クライアント情報記録部16に記録されたクライアント情報記録テーブル(図8参照)とを照合し、ログ情報40の送信元の機器のPCIDおよびIPアドレスと同一の情報がクライアント情報記録テーブルに含まれている場合には、送信元の機器のPCIDおよびIPアドレスが正当な情報であるとみなし、この旨を示す情報をログ情報受信部122に出力する。
【0087】
そして、ログ情報受信部122は、前述のように受信したログ情報40をログ情報記録部17に記録する。
【0088】
以上説明したように、本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムでは、ネットワーク10を介して接続された各種クライアント2〜9を、複数のグループのいずれかに属する機器として管理し、同一グループ内の処理負荷の低い機器により、同一のグループに属する他の機器が発行するログ情報40を収集するとともに、自機が発行したログ情報40を読み出して、これらを中間収集済みログ情報50としてサーバ1に出力するので、各種クライアント2〜9が発行するログ情報40をサーバ1に格納するための処理負荷が一台の機器に集中することなく収集することができる。
【0089】
なお、この発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムの概要の一例を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバの内部構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアントの内部構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバとクライアントの間における、各種情報の送受信の形態の一例を示すブロック図。
【図5】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1が発行する回覧板情報の構成の一例を表形式で示す図。
【図6】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバ1による回覧板情報発行までの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバの回覧板情報記憶部に記録される回覧板情報記録テーブルの構成の一例を表形式で示す図。
【図8】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバのクライアント情報記憶部に記録されるクライアント情報記録テーブルの構成の一例を表形式で示す図。
【図9】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアント2による、ログ情報収集処理の一例を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのクライアント2による、ログ情報送信処理の一例を示すフローチャート。
【図11】本発明の実施形態にしたがったコンピュータシステムのサーバによるログ情報収集後の処理動作の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0091】
1…サーバ、2〜9…クライアント、10…ネットワーク、11…通信部、12…ログ管理部、13…回覧板管理部、14…クライアント情報登録部、15…回覧板情報記録部、16…クライアント情報記録部、17…ログ情報記録部、21…通信部、22…ログ管理部、23…負荷状態監視装置、24…回覧板処理装置、25…ログ情報処理部、26…ログ情報記録部、27,133…メモリ、30…回覧板情報、40…ログ情報、50…中間収集済みログ情報、60,70…クライアントグループ、121…ログ情報収集部、122…ログ情報受信部、131…回覧板作成部、132…回覧板発行部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理動作の内容を示す収集対象情報を生成する生成手段を備える複数の端末装置、および、サーバ装置がネットワークを介して接続されるシステムであって、
前記それぞれの端末装置は、
複数の端末装置グループのいずれかに属し、
前記生成手段により生成した収集対象情報を読み出す読み出し手段と、
同一の端末装置グループに属する他のすべての端末装置の前記生成手段により生成された収集対象情報を取得する取得手段と、
この取得手段により取得した収集対象情報を、前記読み出し手段により読み出した収集対象情報とともに前記サーバ装置に送信する手段と
を備える
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、
前記端末装置グループごとに、同一の端末装置グループに属する各端末装置の識別情報を記録したグループ情報を、このグループ情報で示される識別情報に対応する各端末装置のいずれかに送信する送信手段をさらに備え、
前記端末装置は、
処理動作の負荷の状態を診断する診断手段と、
前記送信されたグループ情報を受信した際に、前記診断手段により診断した処理動作の負荷の状態が予め定められた条件を満たしていない場合に、前記受信したグループ情報を、このグループ情報で示される識別情報に対応する他の端末装置に送信する手段と
をさらに備え、
前記端末装置の取得手段は、
前記送信されたグループ情報を受信した際に、前記診断手段により診断した処理動作の負荷の状態が予め定められた条件を満たしている場合に、前記グループ情報で示される識別情報に対応する他のすべての端末装置の生成手段により生成した収集対象情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項1】
処理動作の内容を示す収集対象情報を生成する生成手段を備える複数の端末装置、および、サーバ装置がネットワークを介して接続されるシステムであって、
前記それぞれの端末装置は、
複数の端末装置グループのいずれかに属し、
前記生成手段により生成した収集対象情報を読み出す読み出し手段と、
同一の端末装置グループに属する他のすべての端末装置の前記生成手段により生成された収集対象情報を取得する取得手段と、
この取得手段により取得した収集対象情報を、前記読み出し手段により読み出した収集対象情報とともに前記サーバ装置に送信する手段と
を備える
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、
前記端末装置グループごとに、同一の端末装置グループに属する各端末装置の識別情報を記録したグループ情報を、このグループ情報で示される識別情報に対応する各端末装置のいずれかに送信する送信手段をさらに備え、
前記端末装置は、
処理動作の負荷の状態を診断する診断手段と、
前記送信されたグループ情報を受信した際に、前記診断手段により診断した処理動作の負荷の状態が予め定められた条件を満たしていない場合に、前記受信したグループ情報を、このグループ情報で示される識別情報に対応する他の端末装置に送信する手段と
をさらに備え、
前記端末装置の取得手段は、
前記送信されたグループ情報を受信した際に、前記診断手段により診断した処理動作の負荷の状態が予め定められた条件を満たしている場合に、前記グループ情報で示される識別情報に対応する他のすべての端末装置の生成手段により生成した収集対象情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−85372(P2006−85372A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268677(P2004−268677)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
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