説明

情報処理装置、情報処理方法およびプログラム

【課題】Webアプリケーションから画像形成装置に投入した印刷ジョブを実行している際に、エラーが生じた場合、そのエラー内容を示す画面が必ず最前面に表示されるため、生じているエラーとは直接関係のないWebアプリケーションの画面上にも表示されることとなり、複数のWebアプリケーションが存在する画像形成装置の操作性の考慮がなされていないという課題がある。
【解決手段】情報処理装置は、サーバから受信した情報に基づいて生成される複数のWebアプリケーションに関する各画面を択一的に選択して表示するための表示手段と、前記Webアプリケーションを介して投入されたジョブのエラーの発生を検知するエラー検知手段と、前記発生したエラーが影響を与えるWebアプリケーションが選択されて表示される場合のみ、前記エラーの発生を示すエラー画面を前記表示手段にて表示させるように制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Webブラウザにて、Webアプリケーションを表示中に、Webアプリケーションによって画像形成装置に投入されたジョブにてエラーが生じた際のエラー表示制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、MFP(Multi-Function Peripheral)やLBP(Laser Beam Printer)に代表される画像形成装置と、Webアプリケーションが搭載されたWebサーバとなる装置で構成されるシステムがある。
【0003】
このシステムは、ユーザが画像形成装置上のWebブラウザを介してサーバに搭載されているWebアプリケーションにアクセスし、ユーザの指示に従って、Webアプリケーションが画像形成装置に印刷ジョブを投入するものである。Webアプリケーションを用いる場合には、各画像形成装置にローカルに記憶されているジョブ制御用のアプリケーションを用いる場合と比較して、種々の利点がある。例えば、多数の画像形成装置を設置して利用している場合を想定する。ここである設定を変更しようとする場合には、通常はローカルに記憶されているアプリケーションを個々に変更する必要がある。しかしながら、Webアプリケーションを用いることで、サーバに搭載されているWebアプリケーションの設定を変更することのみによって、これを利用する全ての画像形成装置の設定を実質的に変更することが可能となる。また、Webアプリケーションを使用する場合には各利用者の設定をサーバが管理することが可能となるため、利用者が別の画像形成装置を使用する場合でも同一の設定で画像形成装置を利用することも可能となる。
【0004】
このようなシステムでは、例えばWebアプリケーションから画像形成装置に投入した印刷ジョブを実行している際に、ジャムエラーなどのエラーが生じた場合、そのエラー内容を示す画面が最前面に表示される。そして、その後も、エラーが生じている間は、エラー画面が常に最前面に表示される。これは、画像形成装置を利用するユーザに注意を促すという点で、一目で分かりやすいというメリットがある。
【0005】
このようなエラー画面の表示を制御する従来の手段としては、エラーが複数生じた際に、エラーにあらかじめ優先順位を付けておき、その順位に従ってエラー画面を表示するといった仕組みが挙げられる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−052018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のエラー画面の表示を制御する技術や、エラーが発生した場合にエラー画面を表示する上記のシステムでは、ユーザに注意を促すために、画像形成装置でエラーが生じた場合、エラー画面が常に最前面に表示される。このため、生じているエラーとは直接関係のないWebアプリケーションの画面上にもエラー画面が表示されてしまっている。従って、複数のWebアプリケーションを表示することが可能なブラウザを用いる場合の画像形成装置の操作性の考慮がなされていないという課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、前述の課題を解決しつつ、よりユーザの操作性の面での利便性を向上させる技術を提供ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報処理装置は、ネットワークを介して接続された複数の外部装置と通信し、該外部装置それぞれが備えるWebアプリケーションからの要求に従って処理を実行する情報処理装置であって、前記外部装置から受信した情報を基に複数の前記Webアプリケーションに対応する各画面を作成し、該各画面のうち選択された画面を最前面に表示する表示手段、前記Webアプリケーションのうち、第1のWebアプリケーションを介して実行を指示されたジョブの処理中にエラーが発生した際、前記表示手段によって前記第1のWebアプリケーションに対応する第1の画面が選択されて最前面に表示されているか否かを判定する判定手段、前記判定手段が、前記第1の画面が最前面に表示されていると判断すると、前記表示手段は前記エラーを通知するための画面を前記最前面に表示し、
前記第1の画面が最前面に表示されていないと判断すると、前記表示手段は、前記エラーを通知するための画面を前記最前面に表示しないように前記表示手段を制御するエラー表示制御手段を備える。
【0010】
また、本発明の情報処理装置は、ネットワークを介して接続された複数の外部装置と通信し、該外部装置それぞれが備えるWebアプリケーションからの要求に従って処理を実行する情報処理装置であって、前記外部装置から受信した情報を基に複数の前記Webアプリケーションに対応する各画面を作成し、該各画面のうち選択された画面を最前面に表示する表示手段、前記Webアプリケーションのうち、第1のWebアプリケーションを介して実行を指示されたジョブの処理中にエラーが発生した際、前記表示手段によって前記第1のWebアプリケーションに対応する第1の画面が選択されて最前面に表示されているか否かを判定する判定手段、前記判定手段が、前記第1の画面が最前面に表示されていると判断すると、前記表示手段は前記エラーを通知するための画面を前記最前面に表示し、前記第1の画面が最前面に表示されていないと判断すると、前記表示手段は、前記エラーを通知するための画面を前記最前面に簡易的に表示する前記表示手段を制御するエラー表示制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置においてエラーが生じた場合であっても、ブラウザ上に表示させるアプリケーション毎の最適なエラー画面表示制御が可能となる。特に、Webブラウザ上に、複数のWebアプリケーションに関する画面が択一的に表示可能な状態においては、エラーと無関係のアプリケーションの画面上にはエラー画面を表示させずに済むため、操作性の面でユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のシステム構成の一例を示す図である。
【図2】本実施形態のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【図3】本実施形態のブラウザでウィンドウ表示をする際の処理の一例を示すフローチャート図である。
【図4】本実施形態のジョブエラーが発生した場合の処理の一例を示すフローチャート図である。
【図5】本実施形態のエラーに応じた画面表示を行う処理の一例を示すフローチャート図である。
【図6】本実施形態のエラー解除がされた場合の処理の一例を示すフローチャート図である。
【図7】本実施形態の表示画面の一例を示す図である。
【図8】本実施形態のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明のシステム全体の構成の一例を示すシステム構成図である。
本実施形態のシステムは、画像形成装置101とWebアプリケーションA102を搭載するWebサーバA103とWebアプリケーションB104を搭載するWebサーバB105とドキュメント106を搭載するファイルサーバ107によって構成される。そして、それぞれはネットワークを介して接続されている。
【0014】
ユーザ100は画像形成装置101を操作することで、WebアプリケーションA102やWebアプリケーションB104を利用することができる。例えば、画像形成装置101にはタブブラウザが搭載されており、タブブラウザはWebサーバと通信して画像形成装置の表示画面に「印刷」などのジョブについてのユーザインタフェース画面を表示する。そして、このユーザインタフェース画面を介してユーザ100がジョブを投入することを指示すると、例えばWebサーバA103に格納されているWebアプリケーションA102から画像形成装置101に対するジョブが送信される。画像形成装置101は、送信されるジョブに基づいて、例えば「印刷」の処理を実行することになる。このように、WebアプリケーションA102およびWebアプリケーションB104は画像形成装置101に対して、スキャンジョブ実行や印刷ジョブ実行の指示を行うことができる。その他、画像形成装置101はWebアプリケーションから投入されるジョブに基づいてファイルサーバ107へドキュメント106のアップロードを行うことができる(送信ジョブ)。さらに、画像形成装置101はファイルサーバ107上のドキュメント106を印刷することができる(印刷ジョブ)。
【0015】
Webアプリケーションは、このように画像形成装置101の外部に搭載されているものである。そして、画像形成装置101は、このWebアプリケーションを利用するためのインターフェースとしてWebブラウザを用いる。本実施形態においては、このWebブラウザが複数存在する。そして、このブラウザ画面内のタブを押下することによって複数存在するWebブラウザの中からブラウザを表示するための画面内の前面に表示されるWebブラウザを切り替えることが可能であるタブブラウザを用いる。タブブラウザは、例えばサーバから受信したHTML(HyperText Markup Language)ファイルに基づいて生成される複数のWebアプリケーションに関する各画面を択一的に選択して表示することができる。
【0016】
例えば、上述したWebアプリケーションA102を利用する際、Webブラウザ表示用画面内のタブAを選択することで、WebアプリケーションA102に対応した画面をブラウザ表示用画面の前面に表示することができる。すなわち、第1のWebアプリケーションに対応する第1の画面を表示することができる。
【0017】
同様にWebアプリケーションB104を利用する際は、Webブラウザ表示用画面内のタブBを選択することで、WebアプリケーションB104に対応した画面をブラウザ表示用画面の前面に表示することができる。
【0018】
なお、本システムの機器間の接続形態としては、有線・無線のどちらであってもよい。また、画像形成装置101はWebアプリケーションに関する画面の表示とドキュメントを利用したジョブの実行が可能であれば良く、MFP・LBPに限定するものではない。WebサーバA103とWebサーバB105は、Webアプリケーションを実行する機能であれば良く、PCのほか、種々の情報端末装置を用いることができる。ファイルサーバ107はドキュメントデータをストックする機能があれば良く、PCに限定するものではない。また、図1においては、複数のサーバを設けて各々異なる処理を実施する例を挙げているが、各機能を単一のサーバにおいて実現することももちろん可能である。
【0019】
本システムにおける基本動作の流れとしては、大別して、Webアプリケーションの表示とジョブ実行時のエラー画面表示制御の二つに分けられる。これらについては、図3以降のフローチャートにて後述する。
【0020】
<装置構成>
図8は、本発明の一実施形態を示す画像形成装置の基本的な構成を説明するブロック図である。本発明の一実施形態を示す画像形成装置は、CPU801、ROM802、RAM803、HDD804、表示部805、操作部806、エンジンI/F807、ネットワークI/F808、外部I/F809、システムバス810を備えている。
【0021】
上述構成を詳述すると、CPU801は、装置全体の制御及び演算処理等を行う中央処理装置であり、ROM802に格納されたプログラムに基づき後述に示す各処理を実行する。ROM802は、読み出し専用メモリであり、システム起動プログラムやプリンタエンジンの制御を行うプログラムやタブブラウザのプログラム等の記憶領域である。また、ROM802には、エラー画面を表示したり、これを制御するためのプログラム等も記憶される。RAM803は、ランダムアクセスメモリであり、サーバから受信するWebアプリケーションに関する画面を表示するための情報などの各情報が一時的に格納される。HDD804は、例えばハードディスク等から構成されており、データをスプールしたり、プログラムや各情報ファイル・画像データ等を格納したり、作業用領域として利用されたりする。表示部805は、例えば液晶等による表示を行うものであり、装置の設定状態や、現在の装置内部の処理、エラー状態などの表示に使用される。操作部806は、設定の変更やジョブの投入などを行うために使用されるものであり、表示部805に表示されたUI画面等より操作を可能とする。エンジンI/F807は、実際にプリンタエンジンを制御するコマンド等をやり取りする部分である。ネットワークI/F808は、該ネットワークI/F808を介して本装置をネットワークに接続するためのものである。外部I/F809は、パラレル(またはシリアル)などのインターフェースを介して外部装置と接続されるものである。システムバス810は、上述の構造要素間のデータ通路となるべきものである。
【0022】
<ソフトウェアモジュールの構成>
図2は、本発明の画像形成装置101内部のソフトウェアの構造図の一例である。図2に示す各ソフトウェアは、画像形成装置101のCPU801が、ROM802やRAM803に格納されているプログラムを読み出して実行することで実施されることになる。
【0023】
ウィンドウ表示制御モジュール200は、画像形成装置101の表示部805のユーザインタフェース(UI)へ表示する画面のウィンドウの制御を行うことが可能である。制御するウィンドウの実例としては、ROM802に格納されている組み込みWebブラウザ204を表示するための組み込みWebブラウザ用ウィンドウ202や、エラーが生じた際にエラー画面を表示するためのエラーUI用ウィンドウ203がある。組み込みWebブラウザ用ウィンドウ202は、組み込みWebブラウザ204のウィンドウ内の表示制御や、タブ表示情報制御を行うことができる。タブ表示情報制御とは、組み込みWebブラウザが前面に表示されていることを示す情報や、どのタブにどのWebアプリケーションが関連付けられて表示されているかを示す情報を受信するように制御を行うことが挙げられる。ウィンドウ内の表示制御とは、例えば表示部805に表示されるウィンドウにWebブラウザ204の画面を表示するように制御することが挙げられる。また、ウィンドウ内の表示制御には、例えばタブをユーザが押下したことを示す組み込みWebブラウザ204からの情報に基づいて、表示するウィンドウ画面を切り替える制御も含まれる。さらには後述するように、エラーUI表示制御モジュール205によってエラー画面の表示がされていたときにエラーが解消された場合に、Webブラウザ204の画面を表示するように制御することも含まれる。組み込みWebブラウザ204は、WebアプリケーションA102やWebアプリケーションB104と通信し、HTMLデータの取得やHTMLデータのレンダリングやタブへの表示制御を行うことが可能である。タブへの表示制御とは、例えばユーザがタブを押下した場合に、ウィンドウの切り替え制御を行うために、組み込みWebブラウザ用ウィンドウ202に通知する制御のことである。
【0024】
また、WebアプリケーションA102はジョブ制御モジュール201に対してネットワークを経由してリモートでジョブAを投入することが可能である。このジョブは、画像形成装置の機能を実行させるための命令のことである。ジョブの例としては、「コピー」、「スキャン」、および「印刷」が挙げられる。本実施形態は、Webアプリケーションのように外部からのジョブを画像形成装置が受信して、これに基づいてジョブを実行し、このジョブの実行中にエラーが発生した場合のエラー画面の表示制御を行う例について説明する。詳細については後述する。
【0025】
エラーUI用ウィンドウ203はエラーUIA206を表示制御するエラーUI表示制御モジュール205のウィンドウ内での表示制御を行うことが可能である。具体的には、エラーが発生した場合には、そのエラーに対応したエラー画面をウィンドウに表示させる制御を行う。エラーUIA206は、エラーが発生したことを示すエラー画面を含むインターフェースのことである。なお、エラーUIA206は、外部接続された記憶装置に記録されていてもよいし、あるいはネットワークを介してサーバから取得してもよい。
【0026】
エラーUI表示制御モジュール205は組み込みWebブラウザ用ウィンドウ202と通信し、組み込みWebブラウザ204に表示されているWebアプリケーション群に関する情報の取得や表示制御を行うことが可能である。例えば、ブラウザを利用した画面が表示部805の前面に表示されていることを示す情報や、アプリケーションを識別する情報を取得したり、所定の場合にエラー画面を表示させるように制御を行うことが挙げられる。また、エラーUI表示制御モジュール205はジョブ制御モジュール201からジョブAの状態を取得することが可能である。例えば、ジョブAの実行中にエラーが発生したことを示す状態や、ジョブAの実行が成功したことを示す状態を取得することができる。また、ジョブAに関連して発生したエラーが解除されたことを示す状態を取得することも可能である。
【0027】
<処理の流れ>
図3は、本実施形態の一例を示すフローチャートである。図3は、組み込みWebブラウザ204にWebアプリケーションが表示される例を示す。すなわち、ジョブによるエラーが発生していない状態の例を示す図である。これを利用して、図1と図2で記載したシステムにおいて、組み込みWebブラウザ204へのWebアプリケーション表示から、エラーUI表示制御モジュールにWebアプリケーションの情報が保持されるまでの流れを説明する。エラーUI表示制御モジュールに送られるアプリケーションの識別情報は、エラーが発生した際のエラー画面の表示制御に用いられる。
【0028】
まず、ユーザ100が画像形成装置101にて組み込みWebブラウザ204を操作し、S300にて、組み込みWebブラウザ204がWebサーバA103のURLへアクセスする。次に、S301にて、WebサーバA103はWebアプリケーションAのHTMLデータを組み込みWebブラウザ204へ送信する。なお、このWebアプリケーションは、上述したように画像形成装置のジョブに関するアプリケーションであってもよいし、あるいは一般的なWebサイトの所定のページに相当するものであってもよい。S302にて、組み込みWebブラウザ204は受信したHTMLデータをレンダリングし、自己のタブウィンドウ内に表示する。成功した場合はS303へ進む。失敗した場合はS306へ進みエラー処理を行う。
【0029】
S303にて、組み込みWebブラウザ204は、組み込みWebブラウザ用ウィンドウ202に対して、タブウィンドウの表示情報と表示しているWebアプリケーションA102のID(Webアプリケーション識別情報)を通知する。すなわち、組み込みWebブラウザ204は、Webアプリケーション識別情報通知手段として機能する。これらの通知される情報は、タブを用いるWebブラウザの中のどのタブに、どのWebアプリケーションが関連付けて表示されているかについての情報である。S304にて、組み込みWebブラウザ用ウィンドウ202は、エラーUI表示制御モジュール205に対して、S303と同様に、タブウィンドウの表示情報と表示しているWebアプリケーションA102のIDを通知する。S305にて、エラーUI表示制御モジュール205はタブウィンドウの表示情報とWebアプリケーションA102のIDを保持管理し、終了する。
【0030】
図4は、本実施形態のフローチャートである。これを利用して、図1と図2で記載したシステムにおいて、Webアプリケーションのジョブ投入からエラー画面生成までの流れを説明する。
ユーザ100が画像形成装置101にて組み込みWebブラウザ204に表示されているWebアプリケーションA102を操作し、S400にてジョブAが投入される。S400をより詳細に説明すると、Webブラウザ204に表示されているWebアプリケーションA102の画面上のユーザインタフェースを操作して、ユーザ100はジョブAを投入する指示を入力する。これに対して、Webアプリケーションが格納されているサーバから画像形成装置に対してジョブAが投入され、ジョブ実行の要求がなされることになる。
【0031】
S401にて、ジョブ制御モジュール201はジョブAを実行する。S402にて、ジョブ制御モジュール201でジョブA実行中にエラーが生じた場合S403へ進み、生じなかった場合は終了する。S403にて、ジョブ制御モジュール201はジョブAのエラーイベント情報をエラーUI表示制御モジュール205へ通知する。このエラーイベント情報には、例えば投入されたWebアプリケーションの識別情報(WebアプリID)、ジョブの種別、およびエラーの種別などが含まれる。このように、ジョブ制御モジュール201は、エラーの発生を検知するエラー検知手段として機能する。なお、エラーが発生したことを検知する方法としては、従来より行われている種々の技術を適用することができるため、ここではその説明は省略する。
【0032】
S404にて、エラーUI表示制御モジュール205は、自身で保持している情報(タブウィンドウ表示情報、WebアプリID等)とエラーイベント情報(WebアプリID、ジョブの種別、エラー種別等)を比較する。この比較によって、管理対象のアプリケーションIDがエラーイベント情報に含まれているかどうかを判断する。すなわち、Webアプリケーションに関する画面表示に成功し、かつこのWebアプリケーションによって投入されたジョブによってエラーが発生したか否かを判定する。判定結果が管理対象のアプリケーションIDがエラーイベント情報に含まれていた場合はS405へ進む。含まれていなかった場合は処理を終了する。S405にて、エラーUI表示制御モジュール205は、生じているエラーに応じたエラー画面を生成し、終了する。具体的には、エラーイベント情報に含まれるエラーの種別に応じたエラー画面を、Webアプリケーションを投入したウィンドウ画面に置き換えるように表示する制御を行う。このように、所定のエラーが発生した場合には、そのエラー画面をウィンドウ画面上に表示することでユーザに注意を喚起できる。
【0033】
図5は、本実施形態のフローチャートである。これを利用して、図1と図2で記載したシステムにおいて、Webアプリケーションがブラウザ画面の最前面に表示された際、エラー画面が差し替え表示されるまでの流れを説明する。すなわち、発生しているエラーと無関係のWebアプリケーションの画面がタブによって切り替えられた場合のエラー画面の表示の有無についての処理の流れを説明する。
【0034】
ユーザ100が画像形成装置101にて組み込みWebブラウザ204を操作し、WebアプリケーションA102がブラウザ画面の最前面に表示される。S500にて、組み込みWebブラウザ204は組み込みWebブラウザ用ウィンドウ202上で最前面に表示されているタブウィンドウを識別する情報(表示タブ情報)を通知する。この表示タブ情報には、タブのウィンドウ内にて表示されているWebアプリケーションを識別するためのアプリケーションIDが含まれる。
【0035】
S501にて、組み込みWebブラウザ用ウィンドウ202はエラーUI表示制御モジュール205へ組み込みWebブラウザ204が最前面に表示されたことをイベント通知する。また、併せて、S502にて最前面に表示されているタブ情報(表示タブ情報)をイベント通知する。S503にて、エラーUI表示制御モジュール205は、S305で通知された自身で保持している情報とS501、S502でイベント通知された情報を比較し、管理対象となるアプリケーションIDがイベント通知された情報に含まれているかどうかを判断する。含まれていた場合はS504へ進む。含まれていなかった場合は終了する。S504にて、エラーUI表示制御モジュール205はエラーUI用ウィンドウ203へ、事前に生成したエラーに応じたエラー画面データを渡す。S505にて、エラーUI用ウィンドウ203は受け取ったエラー画面をUI上、最前面に表示し終了する。
【0036】
なお、図5の例においては、組み込みWebブラウザ用ウィンドウ202とエラーUI表示制御モジュール205との間で情報をやり取りしてエラー画面の差し替え制御を行う例について説明した。しかしながら、図2で示したウィンドウ表示制御モジュール200によって表示されるウィンドウ画面の切り替え制御が行われてもよい。
【0037】
このように処理を行うことによって、エラーが発生しているジョブを投入したWebアプリケーションがウィンドウ上の前面に表示される場合のみ、エラー画面を表示することができる。このため、エラーと無関係のアプリケーションをタブ切り替えなどによって利用するユーザに対してはエラーが発生している場合であってもエラー画面を表示させずに済むため、ユーザの操作性に関する利便性が向上する。
【0038】
なお、上記説明においては、一例としてウィンドウの「最前面」に表示されたアプリケーションのエラー画面についての説明を行った。しかしながら、本実施形態においては、「最前面」に限定されるものではない。ユーザがWebブラウザを利用して投入したジョブに関するエラーとは無関係のWebアプリケーションを利用する場合にエラー画面が表示され、操作性が低下する煩わしさを解消可能であればよい。例えば、Webアプリケーションの画面がウィンドウ画面中の一部に表示され、他のローカルのアプリケーションと併せて表示される場合であっても、Webアプリケーションの画面側にエラー画面を表示させないように制御することも本実施形態の範疇である。
【0039】
また、ユーザがWebブラウザを利用して投入したジョブに関するエラーとは無関係のWebアプリケーションを利用する場合に、エラー画面を最前面に全く表示しないのではなく、簡易的にウィンドウ画面中の一部に表示してもよい。
【0040】
また、上記の説明においては、ジョブを投入したWebアプリケーションを前面表示する場合のエラー画面の表示制御について説明を行った。しかしながら、投入したジョブによって生じたエラーが影響を与える他のWebアプリケーションの画面が選択されて表示される場合には、そのWebアプリケーションについてもジョブの投入の有無に関わらずにエラー画面を表示する制御をしてもよい。例えば、画像形成装置内で「コピー」のジョブを実行中に、インクタンクにエラーが発生している場合には、「コピー」のほかにも「印刷」に関するWebアプリケーションがWebブラウザで選択された場合にもエラー画面を表示させる。一方で、「スキャン」に関するWebアプリケーションがWebブラウザで選択された場合には、エラー画面を表示させないように制御をすることができる。このような制御は、エラーUI表示制御モジュール205において、アプリケーションIDと、このアプリケーションIDにて識別されるWebアプリケーションに影響を与えるエラーの種別を管理することで可能となる。例えば、ジョブ制御モジュール201によるエラーイベント通知の際に通知されるエラー種別を、エラーUI表示制御モジュール205が自身で管理している情報と比較しておく。そして、エラーが影響を与えるエラー種別が関連付けられたアプリケーションIDを前面に表示するよう選択がなされた場合には、ジョブを投入したアプリケーションとは別の画面であってもエラー画面を表示させるように制御する。
【0041】
図6は、本発明のフローチャートである。これを利用して、図1と図2で記載したシステムにおいて、エラーが解除された際、エラー画面が非表示になりWebアプリケーションが最前面に表示されるまでの流れを説明する。
【0042】
画像形成装置101にて生じていたエラーが解除されると、ジョブ制御モジュール201からエラーUI表示制御モジュール205へS600にてジョブAのエラー解除イベント情報を通知する。すなわち、ジョブ制御モジュール201は、エラー解除通知手段として機能する。S601にて、エラーUI表示制御モジュール205で保持している情報とジョブAのエラー解除イベント情報を比較し、管理対象となるアプリケーションIDがエラー解除イベント情報に含まれているかどうかを判断する。含まれていた場合はS602へ進む。含まれていなかった場合は終了する。なお、エラー解除を認識する方法としても、従来から行われている種々の方法を適用することが可能であるため、ここでの説明は省略する。
【0043】
S602にて、エラーUI表示制御モジュール205は、表示していた対象となるエラー画面の削除処理を行いS603へ進む。S603にて、エラーUI表示制御モジュール205は、組み込みWebブラウザ用ウィンドウ202へエラーが起きていたジョブAと紐づくWebアプリケーションAを最前面表示する指示を行い終了する。
【0044】
本実施形態により、画像形成装置101上の組み込みWebブラウザ204上に、複数のWebアプリケーションが表示される状態で、Webアプリケーションからジョブが投入され、ジョブ実行中にエラーが発生しエラー画面を表示する際の利便性が向上する。すなわち、図7(a)のようにエラーと関連のあるWebアプリ上にのみエラー画面を表示させるといった、最前面に表示されているWebアプリケーション毎の最適なエラー画面表示制御が可能となり、操作性の面でユーザの利便性が向上する。
【0045】
なお、上記例においては、一つのエラーが発生する例について説明したが、複数のエラーが発生した場合であっても同様に処理を行うことができる。この場合、例えば図7(b)に示すように、各タブを押下することで、各エラーに対応したエラー画面を表示させることも可能である。例えば、エラーの種別と、エラーが影響を与えるアプリケーションとを関連付けした情報を利用することで、タブの切り替えを行った場合に各エラーに対応したエラー画面を表示することが可能となる。
【0046】
上記説明においては、画像形成装置を例にして説明を行ったが、情報処理装置を用いて本発明を構成することも可能である。例えば、サーバおよび画像形成装置と情報をやりとりして、Webアプリケーションの投入やWebアプリケーションに関する画面を表示するブラウザ機能を搭載した装置を用いて本発明を構成してもよい。
【0047】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された複数の外部装置と通信し、該外部装置それぞれが備えるWebアプリケーションからの要求に従って処理を実行する情報処理装置であって、
前記外部装置から受信した情報を基に複数の前記Webアプリケーションに対応する各画面を生成し、該各画面のうち選択された画面を最前面に表示する表示手段、
前記Webアプリケーションのうち、第1のWebアプリケーションを介して指示されたジョブの実行中にエラーが発生した際、前記表示手段によって前記第1のWebアプリケーションに対応する第1の画面が選択されて最前面に表示されているか否かを判定する判定手段、
前記判定手段が、前記第1の画面が最前面に表示されていると判断すると、前記表示手段は前記エラーを通知するための画面を前記最前面に表示し、
前記第1の画面が最前面に表示されていないと判断すると、前記表示手段は、前記エラーを通知するための画面を前記最前面に表示しないように前記表示手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
ネットワークを介して接続された複数の外部装置と通信し、該外部装置それぞれが備えるWebアプリケーションからの要求に従って処理を実行する情報処理装置であって、
前記外部装置から受信した情報を基に複数の前記Webアプリケーションに対応する各画面を生成し、該各画面のうち選択された画面を最前面に表示する表示手段、
前記Webアプリケーションのうち、第1のWebアプリケーションを介して指示されたジョブの実行中にエラーが発生した際、前記表示手段によって前記第1のWebアプリケーションに対応する第1の画面が選択されて最前面に表示されているか否かを判定する判定手段、
前記判定手段が、前記第1の画面が最前面に表示されていると判断すると、前記表示手段は前記エラーを通知するための画面を前記最前面に表示し、
前記第1の画面が最前面に表示されていないと判断すると、前記表示手段は、前記エラーを通知するための画面を前記最前面に簡易的に表示する前記表示手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記表示手段によってWebアプリケーションに対応する画面が表示された場合、前記Webアプリケーションを識別するためのWebアプリケーション識別情報を通知する通知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記通知手段によって通知された識別情報を用いて、前記ジョブのエラーが前記Webアプリケーション識別情報によって識別されるWebアプリケーションに関するエラーか否かを判定し、該判定の結果、該エラーが前記Webアプリケーション識別情報によって識別されるWebアプリケーションに関するエラーである場合に、該エラーを通知するための画面を前記最前面に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記エラーが解除されたことを通知するエラー解除通知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記エラー解除通知手段によって通知されたエラーを通知するエラー画面を当該エラーに関連するWebアプリケーションに関する画面上に表示させないように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記発生したエラーが影響を与えないWebアプリケーションに関する画面が選択されて表示される場合、前記発生したエラーのエラー画面を表示させないように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示手段はタブブラウザであり、前記複数のWebアプリケーションに対応する各画面を重ねた状態で画面上に表示し、選択されたタブに対応する画面を最前面に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ネットワークを介して接続された複数の外部装置と通信し、該外部装置それぞれが備えるWebアプリケーションからの要求に従って処理を実行し、
前記外部装置から受信した情報を基に複数の前記Webアプリケーションに対応する各画面を生成し、該各画面のうち選択された画面を最前面に表示する表示手段を有する情報処理装置の制御方法であって、
前記Webアプリケーションのうち、第1のWebアプリケーションを介して指示されたジョブの実行中にエラーが発生した際、前記表示手段によって前記第1のWebアプリケーションに対応する第1の画面が選択されて最前面に表示されているか否かを判定する判定ステップ、
前記判定ステップが、前記第1の画面が最前面に表示されていると判断すると、前記表示手段は前記エラーを通知するための画面を前記最前面に表示し、
前記第1の画面が最前面に表示されていないと判断すると、前記表示手段は、前記エラーを通知するための画面を前記最前面に表示しないように前記表示手段を制御する制御ステップを備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項8】
ネットワークを介して接続された複数の外部装置と通信し、該外部装置それぞれが備えるWebアプリケーションからの要求に従って処理を実行し、
前記外部装置から受信した情報を基に複数の前記Webアプリケーションに対応する各画面を生成し、該各画面のうち選択された画面を最前面に表示する表示手段を有する情報処理装置であって、
前記Webアプリケーションのうち、第1のWebアプリケーションを介して指示されたジョブの実行中にエラーが発生した際、前記表示手段によって前記第1のWebアプリケーションに対応する第1の画面が選択されて最前面に表示されているか否かを判定する判定ステップ、
前記判定ステップが、前記第1の画面が最前面に表示されていると判断すると、前記表示手段は前記エラーを通知するための画面を前記最前面に表示し、
前記第1の画面が最前面に表示されていないと判断すると、前記表示手段は、前記エラーを通知するための画面を前記最前面に簡易的に表示する前記表示手段を制御する制御ステップを備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−39874(P2011−39874A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187789(P2009−187789)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】