説明

情報処理装置

【課題】記録媒体から読み取った識別情報に応じて情報提供を行う情報処理システムにおいて、識別情報を読み取ったときの取得条件を考慮して、提供する情報を柔軟に変化させる。
【解決手段】情報処理システムは画像形成装置10によって実現され、カード媒体21等に記録された識別情報を読み取る識別情報読み取り手段と、情報提供可能な情報を予め管理保持する情報管理手段と、読み取った識別情報に基づいて、情報管理手段から情報を抽出する情報抽出手段と、抽出した情報を出力する情報出力手段とを備える。そして情報抽出手段は、読み取った識別情報だけでなく、その識別情報の取得条件を考慮して抽出情報を選択する。取得条件には、例えば識別情報を読み取った日時、読み取りの回数、システムの設置場所などを用いる。また情報管理手段や情報抽出手段などを外部のサーバに設けることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関し、より詳細には、個人を識別可能な情報を記録した媒体を使用して、その媒体から読み込んだ情報に応じて所定の情報を出力できるようにした情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
会員カードのような顧客情報を記録したカードからその記録情報を読み込んで、読み込んだ記録情報に応じて情報提供を行うことができるようにした機器やシステムがある。
例えば特許文献1には、会員カードを利用した顧客サービスの提供によって集客効果の向上を効果的に促進するとともに、その顧客サービスのために不可欠となる引換券の発券業務に伴って遊技場側の負担増を防止するようにした顧客管理システムが開示されている。
【0003】
特許文献1の顧客管理システムでは、入力端末は、予め登録された顧客を特定可能なIDコードを会員カードから読み込み、その会員カードが適正なものであると判断した場合には、予め設定された顧客サービスに関する情報をモニタにより表示させる。また、入力端末は、表示された顧客サービスを受けるような操作が行われたときに、顧客サービスを受けるために必要な引換券をプリンタによって発行するとともに、その顧客サービスに関するデータをPOS端末及びホストコンピュータへ送信する。
【特許文献1】特開平8−103549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の顧客管理システムでは、所定のサービス会員等の個人に対して提供可能なサービスの情報は、サービス会員を識別する識別情報に応じて予め用意されたものである。この場合に、識別情報に対応して提示される情報は、識別情報と1対1の関係にあり、識別情報に応じた情報提供を柔軟に変化させるものではなかった。
【0005】
例えば、サービス会員に情報を提供する場合に、サービス会員等に対して提供可能な情報一覧を一旦画面表示し、その表示されたメニューの中から選択された情報をプリント出力するようなシステムもある。
しかしながら、このような場合にも、予め用意された情報は、サービス会員等を識別する識別情報に対して1対1で用意されるものであり、その用意された情報のなかから、利用者が特定の情報を選択できるようにしているにすぎない。つまり、識別情報に応じて何らかの情報提供を行う際に、利用日時や利用場所等の情報の取得条件を考慮して、提供する情報を柔軟に変化させることにより、利用者に高い利便性を与えることができるようにしたシステムは、上記先行技術には何ら開示されていない。
【0006】
本発明は、上述のごとくの実情に鑑みてなされたもので、個人を特定可能な識別情報を保持する記録媒体から読み取った識別情報に応じて何らかの情報提供を行う情報処理システムにおいて、識別情報を読み取ったときの取得条件を考慮して、提供する情報を柔軟に変化させることにより、利用者に高い利便性を与えることができるようにした情報処理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、個人を特定可能な識別情報を保持する記録媒体から、識別情報を読み取る識別情報読み取り手段と、情報提供可能な情報を予め管理保持する情報管理手段と、識別情報読み取り手段が読み取った識別情報に基づいて、情報管理手段から情報を抽出する情報抽出手段と、情報抽出手段が抽出した情報を出力する情報出力手段とを備えた情報処理システムにおいて、情報抽出手段は、識別情報読み取り手段が読み取った識別情報と、識別情報の取得条件とから、予め用意された情報の中から提供すべき情報を選択して抽出することを特徴としたものである。
【0008】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、情報抽出手段が、取得条件として、識別情報読み取り手段が識別情報を読み取ったときの日時を用い、日時に従って抽出する情報を変化させることを特徴としたものである。
【0009】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、情報抽出手段が、取得条件として、識別情報読み取り手段が識別情報を読み取ったときに、識別情報から識別される特定の個人に対して情報を提供した回数を用い、情報を提供した回数に従って抽出する情報を変化させることを特徴としたものである。
【0010】
第4の技術手段は、第1の技術手段において、情報抽出手段が、取得条件として、情報処理装置が設置されている場所の特性を用い、場所の特性に従って抽出する情報を変化させることを特徴としたものである。
【0011】
第5の技術手段は、第1の技術手段において、情報抽出手段が、識別情報から特定される個人情報に応じて、抽出する情報に優先順位を設け、優先順位に応じて抽出する情報を決定することを特徴としたものである。
【0012】
第6の技術手段は、第1ないし第5のいずれか1の技術手段において、情報処理システムが、複写機能とプリント機能とを備えた画像形成装置であって、情報出力手段が、プリント機能を実現するプリント手段によって情報をプリント出力可能としたことを特徴としたものである。
【0013】
第7の技術手段は、第1ないし第5のいずれか1の技術手段において、情報処理システムが、少なくとも識別情報読み取り手段と情報出力手段とを備え、情報出力手段としてプリント機能を実現するプリント手段を有する画像形成装置と、画像形成装置に通信回線を介して接続され、少なくとも情報管理手段を備えたサーバとからなることを特徴としたものである。
【0014】
第8の技術手段は、第6または第7の技術手段において、画像形成装置が、情報抽出手段が抽出した情報を表示する表示手段を備え、情報出力手段が、表示手段とプリント手段とのいずれかまたは両方を使用して抽出した情報を出力することを特徴としたものである。
【0015】
第9の技術手段は、第8の技術手段において、情報出力手段が、抽出した情報を表示手段に表示した後、所定の入力操作に従ってプリント手段に情報を出力させることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0016】
個人を特定可能な識別情報を保持する記録媒体から読み取った識別情報に応じて何らかの情報提供を行う情報処理システムにおいて、識別情報を読み取ったときの取得条件を考慮して、提供する情報を柔軟に変化させることにより、利用者に高い利便性を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係わる情報処理システムの一実施形態を説明するための図である。本発明による情報処理システムでは、例えば所定のサービス会員などの個人を特定できる識別情報から識別情報を読み取ることにより、その識別情報に応じた情報出力を行うことができる。本実施形態では、このような識別情報を保持する記録媒体として、カード媒体21や携帯端末装置22を好適に適用することができる。
【0018】
本発明に適用する記録媒体としては、上記のような識別情報を記録保持し、これを所定の手段で読み取ることができる構成であればよく、その種類や形式を限定するものではない。例えばカード型記録媒体としては、磁気記録型のカード媒体やICカードによるカード媒体を適用することができる。またICカードであれば、接触型であってもよく非接触型であってもよい。また携帯端末装置の場合には、携帯電話やPDAなどを適用することができる。
【0019】
またこのほか、識別情報を保持する記録媒体として、各種のメモリカードやディスク型記録媒体などを適用してもよい。また指紋や静脈、顔、声紋、瞳の虹彩等による生体認証(バイオメトリクス)によって識別情報を入力できるようにしてもよい。この場合、識別情報を保持する記録媒体は人体そのものとして解される。
【0020】
識別情報は、例えばその媒体の所有者のID(身分証明)情報であり、そのIDを入手したシステムにおいて、予めその所有者によって入力された個人情報を特定してIDの認証を可能とするような情報である。
【0021】
本実施形態では、上記の記録媒体から識別情報を読み出して、その識別情報に基づいて情報提供を行う装置として画像形成装置10が用いられる。画像形成装置10は、上記のようなカード媒体等から識別情報を読み取る識別情報読み取り手段と、情報提供可能な情報を予め管理保持する情報管理手段と、識別情報読み取り手段が読み取った識別情報に基づいて、提供すべき情報を情報管理手段から抽出する情報抽出手段と、情報抽出手段が抽出した情報を出力する情報出力手段とを備えている。以下にこれらの具体的構成例を説明する。
【0022】
図2は、上記図1の画像形成装置の内部構成例を説明するためのブロック図である。画像形成装置は、カード媒体や携帯電話などの携帯端末装置から上記の識別情報を読み出すためのI/F部103を備えている。I/F部103は、特定の記録媒体から情報取得が可能に構成されるもので、上記の識別情報読み取り手段に該当する。I/F部103で読み取った識別情報は、メモリ104に保持されて識別情報の認証に用いられる。
【0023】
操作部101は、テンキーやボタンなどのハードキー群やタッチパネルなどからなり、利用者による入力操作を可能としている。また表示部102は、各種情報画面を表示する液晶パネルなどからなり、利用者に対して提供する情報を出力する情報出力手段の一つとして機能させることができる。
認証部105は、I/F部103が記録媒体から読み取った識別情報を用い、その識別情報を認証する。そして利用者に対して所定の情報出力を行う識別情報であることが認証された場合にはその旨を制御部106に伝える。また制御部106は上記の各要素を制御する。
【0024】
ネットワーク通信部111は、公衆回線網やLANなどの所定の通信ネットワークとのI/Fを構成する。ネットワーク通信部111により通信ネットワークから取得したデータは、記憶部113に保持される。記憶部113はHDD,ROMなどの記憶手段である。
【0025】
スキャナ部112は、原稿画像を読み取って原稿画像データを取得し、記憶部113に記憶させる。またプリント部115は、スキャナ部112で読み込んだ原稿画像データや、ネットワーク通信部111を介して外部から入力した印刷データなどを印刷出力する情報出力手段である。そして制御部114は、これら各要素を制御する。
【0026】
記憶部113は、利用者に提供するための情報を記憶保持して管理する情報管理手段である。利用者に提供するために記憶部113に保持する情報は、スキャナ部112によって取り込まれたデータであってもよく、ネットワーク通信部111を介して外部機器から提供されたデータであってもよい。また所定の記憶媒体から入力されたものであってもよい。制御部114は、I/F部103から読み取った識別情報と、その識別情報の取得条件とに基づいて記憶部113に記憶保持した情報を抽出する情報抽出手段として機能する。制御部114は、抽出した情報をプリント部115や表示部102に出力させる。
【0027】
例えば、特定のサービスプロバイダーが所定の会員サービスを提供するときに、認証部105は、I/F部103から取得した識別情報に基づいて、その識別情報を入力した利用者がそのサービス会員であるかどうかを認証する。
制御部114では、このようなサービス会員であることを認証する情報に従って、例えばサービス情報を記憶部113から抽出して出力させることができる。そしてこのときに、その識別情報の取得条件に応じて出力情報の内容を柔軟に変化させることができる。これらの出力情報の抽出処理の具体例は後述する。
【0028】
記憶部113に記憶させた情報を出力させる場合、制御部114は、情報出力手段である表示部102と、プリント部115とのいずれかまたは両方を使用して情報出力させることができる。例えば記憶部113から抽出した情報を、表示部102にのみ表示出力させるようにしてもよく、あるいは表示部102には表示させずにプリント部115からプリント出力させるようにしてもよい。あるいは表示部102に表示させるとともに、プリント部115から出力させるようにしてもよい。
【0029】
また記憶部113から利用者に提供可能な情報を抽出し、この情報を表示部102に一旦表示させた後に、利用者の選択操作等に応じて表示情報の一部または全てをプリント部115からプリント出力させるようにしてもよい。あるいは記憶部113からの抽出情報を表示部102に表示させ、プリント出力を承認する利用者の操作があった場合にプリント部115からプリント出力させるようにしてもよい。この場合、表示部102に表示させる情報は、プリント出力させる情報の抜粋や要約、あるいはサムネイル情報なでであってもよい。
【0030】
図3は、本発明の情報処理システムで管理する情報ファイルの例を説明するための図である。画像形成装置10の記憶部113には、利用者の記録媒体から読み取った識別情報に基づいて提供可能な情報がファイル管理されている。
例えば、新聞、本、レジャー、観光、イベント、お店キャンペーン情報などのファイルが保持管理される。新聞のファイルには、新聞各誌a,b,c・・の記事情報が保持される。また本のファイルには、各種の本として、い,ろ,は・・の情報が保持される。これらのその本の紹介や書評記事であったり、その本の一部を抜粋する情報であったりする。
【0031】
またレジャーのファイルには、週末のレジャーに関する情報や今月のレジャーに関する情報が保持される。またレジャーのジャンル別に整理したレジャー情報であったり、あるいはその画像形成装置の設置場所近郊のレジャー情報などであってもよい。
また観光のファイルには、大阪,京都,奈良などの観光地情報が保持される。あるいはその画像形成装置の設置場所近郊の観光情報などであってもよい。
【0032】
またイベントのファイルには、週末のイベントに関する情報や今月のレジャーに関する情報が保持される。またイベントの種類別、例えばコンサートや美術展などの種類別に整理したイベント情報であったり、あるいはその画像形成装置の設置場所近郊のイベント情報、例えば町内の夏祭りなどの情報であってもよい。
またお店キャンペーン情報のファイルには、A店,B店,C店・・・の情報が保持される。店舗情報は、画像形成装置の設置場所近郊の店舗のキャンペーン情報であったり、観光地やレジャー先の店舗情報であってもよい。
【0033】
上記のように画像形成装置10の記憶部113には、利用者に提供すべき情報ファイルが保持されるが、提供用の情報としては、勿論これらに限られることなく利用者や情報提供者のニーズなどに応じて、適宜種々の情報を保持させることができる。
【0034】
そして本実施形態の情報処理システムは、上述のように各種の情報提供サービスに適用することができる。この場合、本実施形態の画像形成装置10を、例えばコンビニエンスストアや駅構内の売店などに設置し、サービスプロバイダーと利用者との契約によってサービス提供を実施する。
例えば、利用者は、予めそのサービスプロバイダーとサービス提供の契約を結んでおく。そしてサービスプロバイダーから提供されたID(識別情報)を入手し、カード媒体や携帯端末装置に記憶保持させておく。サービスプロバイダーは、画像形成装置のメモリ104にそのIDの認証情報を保持させ、そのIDが入力したときに認証部105によって認証を可能としておく。
【0035】
例えば、利用者が毎朝、画像形成装置10の設置場所まで出向き、IDを所定の方法で入力すると、画像形成装置10は新聞aをプリント出力する。この場合、画像形成装置10は、入力したIDを認証部105で認証し、認証した結果サービスの契約が有効であれば、そのIDに予め登録された条件に従って、記憶部113に記憶した情報から所定の情報を抽出し、プリント部115でプリントする。このときに上述のように表示部102で情報を表示させたり、提供可能な情報を表示部102に表示した後、利用者の選択操作等に応じてプリント部115によるプリント出力を行う。
【0036】
画像形成装置10に保持させる情報のファイルは、上記のようなサービスプロバイダーよって予め画像形成装置10に保持させることができる。またこのようなサービスプロバイダーに対して店舗やイベント主催者などが情報を提供することが考えられる。サービスプロバイダーは、通信ネットワークを使用して画像形成装置10に情報を送信したり、あるいは画像形成装置10ごとにスキャナ部を使用して情報を直接読み込ませるようにする。このとき新聞情報などは定期的に画像形成装置に配信されるようにしてもよい。またこのようなサービスプロバイダーのみならず、店舗やイベント主催者など種々の主体が画像形成装置10に直接に情報を読み込ませて保持させておくことも考えられる。
【0037】
次に画像形成装置10に保持させた情報の抽出処理について説明する。
上記のように画像形成装置10が利用者の識別情報に応じて情報提供する場合、本発明では、利用者の識別情報だけでなく、画像形成装置10による識別情報の取得条件を考慮して提供情報の抽出条件を変化させる。
例えば、上記の取得条件とてして、画像形成装置10のI/F部103が、利用者の保持する記録媒体から識別情報を読み取ったときの日時を用いることができる。そしてその日時に従って、抽出する情報を柔軟に変化させることができる。
【0038】
例えば、利用者が毎朝、画像形成装置10の場所まで出向き、IDを所定の方法で入力すると、画像形成装置10はその日の朝刊をプリント出力する。また利用者が平日の夕方、画像形成装置10にIDを入力した場合には、通勤の帰りなどに最適な近郊の店舗情報や、その日の夕刊紙情報などをプリント出力させる。あるいは、休日にIDを入力した場合には、レジャー情報やイベント情報などを優先的に抽出してプリント出力させる。
【0039】
このように、画像形成装置10が情報を抽出するために使用する識別情報の取得条件として、識別情報を読み取ったときの日時を用いることにより、提供する情報を日時に応じて柔軟に変化させ、利用者に対するサービス提供の質を向上させることができる。また利用者にとっても利用者のニーズなどに応じて最適な情報を得ることができるようになる。
【0040】
またこのときに、利用者は予め情報提供の内容の優先順位を指定しておくことができる。つまり、画像形成装置10から利用者に提供する情報の優先順位を、利用者の識別情報に従って利用者ごとに定めておくことができる。これらの利用者情報は、メモリ104もしくは記憶部113に予め記憶され、制御部114が利用者に提供する情報を記憶部113から抽出する際に、記憶した利用者情報に従って抽出情報を選択する。
【0041】
例えば、利用者が朝の所定の時間帯では新聞b誌を出力させ、休日の午前中の時間帯では、近郊のレジャーに関する情報を出力させるように登録していた場合、画像形成装置10では、識別情報を取得した日時情報に基づいて、その登録情報に関わる情報を抽出してプリント部115や表示部102に出力させることができる。
【0042】
次に画像形成装置10による情報の取得条件の他の例として、画像形成装置10のI/F部103が、識別情報から識別される特定の個人に対して情報を提供した回数を用いることができる。そしてその回数に従って抽出する情報を変化させる。
この場合、画像形成装置10では、識別情報から特定される個人について、例えば一日あたりの情報提供サービスの利用回数をカウントして保持しておく。そしてその一日当たりの利用回数に応じて、提供する情報を変化させる。
【0043】
例えば、特定の個人が一日のうち最初に情報提供サービスを利用したときには、画像形成装置10は新聞情報を出力し、一日のうち2回目の利用であるときには、近郊のレジャー情報を出力させ、3回目の利用であるときには店舗情報を出力させる、などの処理を行わせることができる。
またこの場合にも、利用者は予め情報提供の優先順位を指定しておくことができる。つまり、画像形成装置10から利用者に提供する情報の優先順位を、利用者の識別情報に従って利用者ごとに定めておくことができる。
【0044】
このように、識別情報の取得条件として、識別情報を読み取った回数を用いることにより、例えば一日のうちで同じ情報が同じ利用者に出力されてしまうようなことがなく、利用者に対するサービス提供の質を向上させることができる。また利用者にとっても利用者のニーズなどに応じて最適な情報を得ることができるようになる。
【0045】
さらに、画像形成装置10による情報の他の取得条件として、画像形成装置10が設置されている場所の条件を用いることができる。そしてその場所の条件に従って抽出する情報を変化させることができる。
例えば都市部のオフィス街に設置されている画像形成装置10の場合には、金融や経済、あるいは技術動向などのビジネス情報を主として出力させ、例えば地方の観光地などに設置されている画像形成装置10では観光情報を主として出力させるようにする。あるいは、学校の前のコンビニエンスストアに設置されている画像形成装置10では、学校のイベント情報を出力させるようにしたり、商店街の近くに設置された画像形成装置10の場合には、その商店街の売り出し情報などを出力させるようにすることができる。
【0046】
またこの場合にも、利用者は予め情報提供の優先順位を指定しておくことができる。つまり、画像形成装置10から利用者に提供する情報の優先順位を、利用者の識別情報に従って利用者ごとに定めておくことができる。
このように、識別情報の取得条件として、画像形成装置が設置されている場所の条件を用いることにより、画像形成装置が設置された場所の特性や周囲の環境などに応じて提供情報を柔軟に変化させ、利用者に対するサービス提供の質を向上させることができる。また利用者にとっても利用者のニーズなどに応じて最適な情報を得ることができるようになる。
【0047】
この他、例えば画像形成装置が持つプリンタ機能の能力に応じて抽出する情報を変化させることも考えられる。例えば画像形成装置が、高精細なカラー印字が可能なプリント機能を備える場合には、カラー写真画像による情報提供を行い、比較的低レベルのプリント機能を備える場合には、テキスト文字にのみによる情報提供を行う。このように管理することで、利用者に有用でかつ適切な情報を提供することができる。つまり識別情報の取得条件として、識別情報を取得した画像形成装置が備えるプリント機能の品質レベルを加えるようにしてもよい。
【0048】
図4は、本発明の情報処理システムにおける情報出力処理の一例を説明するためのフローチャートで、上記実施形態で画像形成装置が実施する処理例を説明するものである。
画像形成装置は、まず利用者が携行するカード媒体や携帯端末装置から、識別情報を取得する(ステップS1)。識別情報は、上述のように所定の会員サービスの会員IDなどである。そして識別情報を認証し(ステップS2)、その識別情報が情報提供サービスの対象となっているかどうかを確認する(ステップS3)。
【0049】
情報提供サービスが不可能な識別情報であれば、画像形成装置の表示部に対してその旨を表示する(ステップS8)。このときに、サービス利用ができないことを単に表示するのみならず、例えば、本会員サービスに入会すると種々の情報提供サービスを受けることができる旨の案内表示を行うようにしてもよい。
【0050】
一方、上記ステップS3において本会員サービスの会員の識別情報であれば、その識別情報の取得条件を確認する(ステップS4)。取得条件としては、上述のように利用者が情報提供サービス利用した日時、識別情報から特定される利用者の利用回数、利用場所(画像形成装置が設置された場所)などが用いられる。そして確認した取得条件に従って、予め記憶保持している情報から利用者に提供すべき情報を抽出する(ステップS5)。
【0051】
次に抽出した情報をただちにプリント出力するかどうかを判別する(ステップS6)。例えば、一旦画像形成装置の表示部に抽出情報を表示させた上でプリント出力する設定の場合、抽出情報をただちにプリント出力することはできない。ここでプリント出力がOKであれば、抽出情報のプリント出力を行う(ステップS7)。
【0052】
また上記ステップS6でプリント出力が不可であれば、プリント可能な情報を表示部に表示する(ステップS9)。そして表示した全ての情報もしくは選択された特定の情報に対するプリント指示が入力された場合(ステップS10−YES)、その指示された抽出情報をプリント出力する(ステップS7)。
【0053】
また表示した情報に対するプリント指示がない場合(ステップS10−NO)、プリントのキャンセル指示の入力があるかどうか判別して(ステップS11)、キャンセルする場合には処理を終了し、キャンセルがない場合にはステップS10でプリント指示を待つ。
【0054】
(第2の実施形態)
図5は、本発明に係わる情報処理システムの他の実施形態を説明するための図である。上記第1の実施形態では、利用者に提供すべき情報を保持し、利用者が保持する記録媒体から識別情報を読み取って、その識別情報に基づいて情報を抽出して出力する処理を画像形成装置10が単独で行っていた。これに対して第2の実施形態では、本発明に関わる情報処理システムを、画像形成装置10と、画像形成装置10に通信ネットワーク40を介して接続されるサーバ30とによって実施可能としている。
【0055】
本実施形態では、利用者に提供可能な情報を管理保持する情報管理手段と、記録媒体から読み取った識別情報に基づいて情報管理手段から情報を抽出する情報抽出手段とをサーバ30に設ける。
画像形成装置10では、カード媒体21や携帯端末装置22などの記録媒体から利用者の識別情報を読み取る識別情報読み取り手段を備え、識別情報読み取り手段が読み取った識別情報を、通信ネットワーク40を介してサーバ30に送信する。サーバ30の情報抽出手段は、画像形成装置10から送信された識別情報を認証し、その認証結果に従って利用者に提供する情報を情報管理手段から抽出する。そして抽出した情報を通信ネットワーク40を介して画像形成装置10に送信する。
【0056】
画像形成装置10は、スキャナユニットで読み込んだ原稿画像を印刷出力する複写機能と、外部機器等から入力する印刷出力するプリント機能とを使用する情報出力手段を備えていて、サーバ30の情報抽出手段が抽出した情報を適宜出力する。
【0057】
この場合、識別情報読み取り手段が読み取った識別情報を認証する認証手段は、サーバ30に備えられるが、図2に示すように画像形成装置10が備えていてもよい。このとき画像形成装置の認証部105は、実施形態1と同様にI/F部103が読み取った識別情報を認証する。画像形成装置10ではその認証が成功すれば、識別情報をサーバ30に送信して情報を抽出させる。
【0058】
さらに本実施形態では、画像形成装置10で読み取った識別情報の認証のみを行う認証用サーバと、情報管理を行う情報管理用サーバとを分離する構成を採ってもよい。この場合、画像形成装置10で読み取った識別情報は認証用サーバへと送信され、その認証結果を画像形成装置10に返信し、画像形成装置10は認証が成功した識別情報を情報管理用サーバに送信する。あるいは認証サーバが直接に情報管理用サーバに識別情報と認証結果を送るようにしてもよい。そして情報管理用サーバは、認証された識別情報に基づいて、利用者に提供する情報を抽出して画像形成装置10に送信する。
【0059】
またサーバ30に管理保持されている情報を抽出する情報抽出手段は、サーバ30ではなく画像形成装置10側に備えられていてもよい。この場合、サーバ30で管理保持されている情報ファイルに画像形成装置10がアクセスし、認証された識別情報に応じて所定の条件で情報を抽出し、サーバ30から画像形成装置10に転送させるようにする。
【0060】
すなわち本実施形態では、上記第1の実施形態の画像形成装置10と同様の動作を、画像形成装置10とサーバ30とが協働することによって実行することができる。また本実施形態によれば、利用者に提供するための情報をサーバ30で管理しているため、通信ネットワーク40を介して接続される複数の画像形成装置10に対して同一の情報を適宜提供することができる。また利用者の使用状況をサーバ30で一括管理できるため、一人の利用者が異なる画像形成装置10を利用した場合にも、そのサービスの利用回数を確実に管理することができる。
【0061】
上記のように本実施形態の情報処理システムは、基本的に第1の実施形態の機能を画像形成装置10とサーバ30、さらに必要に応じて他のサーバ等の機器に分散して保持させた構成を備える。従って記録媒体の適用例や、管理する情報ファイルの例、あるいは情報抽出の条件、情報出力処理の手順等については第1の実施形態と同様であり、その繰り返しの説明は省略する。
【0062】
図6は、本発明に関わる情報処理システムを使用した情報提供サービスの運用例を説明するための図である。ここでは通信回線を介して接続される画像形成装置に対して、サーバが保持管理する管理情報を提供するためのネットワークシステムの構成例を示している。
会員サービスによる情報提供サービスは、本社50で運営されている。本社50には、本情報提供サービスを運営するためのサーバ30が設置される。
【0063】
そして例えばサーバ30には、インターネット/イントラネット41を介してサーバ31,32が接続され、サーバ31には社内LANなどによるネットワークシステムが接続される。このネットワークシステムには、例えば複数のPC11,FAX12,プリンタ13と、画像形成装置10とが接続される。
【0064】
またサーバ30には、インターネット/イントラネット42を介して、複数のコンビニエンスストア(Aストア,Bストア,Cストア)60のPC端末61が接続される。PC端末61はストア内のサーバとして機能し、画像形成装置10を接続するとともにPOS端末60などを接続する。
【0065】
上記のような構成例において、社内LANのネットワークシステムやコンビニエンスストアに設置された画像形成装置10によって、上記のような本発明に関わる画像処理システムの情報出力処理を実施することができる。すなわち、画像形成装置10には、カード媒体や携帯端末装置に記憶保持された識別情報を読みとる識別情報読み取り手段と、識別情報に基づいて抽出された情報を出力する情報出力手段が少なくとも備えられ、利用者は適宜画像形成装置10に出向くことで情報出力サービスを利用することができる。
【0066】
そして、利用者に提供するための情報を保持管理する情報管理手段は、本社50のサーバ30に設けられる。あるいは他のサーバ32などに設けておいてもよい。また識別情報を認証する機能も本社50のサーバや、他のサーバ32に適宜設けることができる。またこのようなネットワークを介した構成であっても、上記第1の実施形態のように、画像形成装置10に情報管理手段や認証手段を備える構成であってもよい。
【0067】
利用者は、任意の画像形成装置10で情報提供サービスを利用することができる。そしてその利用時の日時や利用回数、画像形成装置10の設置場所、及び利用者が登録した情報提供の優先順位などに応じて、適切な情報が抽出されて画像形成装置10に出力される。またこの場合に、利用者の利用状況は、本社50のサーバ30で管理される。従って、例えば一日のうちに、違う場所の画像形成装置10で情報提供サービスを利用した場合であっても、そのサービスの利用回数に応じた情報提供を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係わる情報処理システムの一実施形態を説明するための図である。
【図2】図1の画像形成装置の内部構成例を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明の情報処理システムで管理する情報ファイルの例を説明するための図である。
【図4】本発明の情報処理システムにおける情報出力処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係わる情報処理システムの他の実施形態を説明するための図である。
【図6】本発明に関わる情報処理システムを使用した情報提供サービスの運用例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
10…画像形成装置、11…PC、12…FAX、13…プリンタ、21…カード媒体、22…携帯端末装置、30,31,32…サーバ、40…通信ネットワーク、41…イントラネット、42…イントラネット、50…本社、60…POS端末、61…PC端末、101…操作部、102…表示部、103…I/F部、104…メモリ、105…認証部、106…制御部、111…ネットワーク通信部、112…スキャナ部、113…記憶部、114…制御部、115…プリント部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人を特定可能な識別情報を保持する記録媒体から、該識別情報を読み取る識別情報読み取り手段と、情報提供可能な情報を予め管理保持する情報管理手段と、該識別情報読み取り手段が読み取った識別情報に基づいて、前記情報管理手段から情報を抽出する情報抽出手段と、該情報抽出手段が抽出した情報を出力する情報出力手段とを備えた情報処理システムにおいて、
前記情報抽出手段は、前記識別情報読み取り手段が読み取った前記識別情報と、該識別情報の取得条件とから、前記予め用意された情報の中から提供すべき情報を選択して抽出することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、前記情報抽出手段は、前記取得条件として、前記識別情報読み取り手段が識別情報を読み取ったときの日時を用い、該日時に従って前記抽出する情報を変化させることを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、前記情報抽出手段は、前記取得条件として、前記識別情報読み取り手段が識別情報を読み取ったときに、該識別情報から識別される特定の個人に対して情報を提供した回数を用い、該情報を提供した回数に従って前記抽出する情報を変化させることを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、前記情報抽出手段は、前記取得条件として、前記情報処理装置が設置されている場所の特性を用い、該場所の特性に従って前記抽出する情報を変化させることを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、前記情報抽出手段は、前記識別情報から特定される個人情報に応じて、前記抽出する情報に優先順位を設け、該優先順位に応じて前記抽出する情報を決定することを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1に記載の情報処理システムにおいて、該情報処理システムは、複写機能とプリント機能とを備えた画像形成装置であって、前記情報出力手段は、前記プリント機能を実現するプリント手段によって情報をプリント出力可能としたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1に記載の情報処理システムにおいて、該情報処理システムは、少なくとも前記識別情報読み取り手段と前記情報出力手段とを備え、該情報出力手段としてプリント機能を実現するプリント手段を有する画像形成装置と、該画像形成装置に通信回線を介して接続され、少なくとも前記情報管理手段を備えたサーバとからなることを特徴とする情報処理システム
【請求項8】
請求項6または7に記載の情報処理システムにおいて、前記画像形成装置は、前記情報抽出手段が抽出した情報を表示する表示手段を備え、前記情報出力手段は、前記表示手段と前記プリント手段とのいずれかまたは両方を使用して前記抽出した情報を出力することを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理システムにおいて、前記情報出力手段は、前記抽出した情報を前記表示手段に表示した後、所定の入力操作に従って前記プリント手段に情報を出力させることを特徴とする情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−33471(P2008−33471A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204133(P2006−204133)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】