説明

情報処理装置

【課題】暗号化された複数のコンテンツデータを簡単な構成で並行して復号することを実現する情報処理装置を提供する。
【解決手段】収納部8に取り外し自在に収納されるスクランブル鍵生成装置8Aの使用権の獲得は、2台のI/O処理装置((A),(B))6によって争われる。コンテンツ視聴プログラム100は、I/O処理装置((C),(D))7から入力される暗号化コンテンツデータをバッファリングしつつ、この暗号化コンテンツデータの暗号化解除に用いる鍵データを生成するためのスクランブル鍵生成装置8Aの使用権の獲得をI/O処理装置(B)6に依頼する。そして、I/O処理装置(B)6は、自装置で入力された暗号化コンテンツデータのデスクランブル処理を優先しつつ、この依頼されたスクランブル鍵生成装置8Aの使用権の獲得を代行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば地上デジタル放送等の暗号化されたコンテンツデータを視聴する機能を搭載するパーソナルコンピュータ等に適用して好適な復号処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送等のコンテンツデータは、限定受信が可能となるように、暗号化されて放送される。このようなコンテンツデータを再生するための装置として、ICカードの収納部と、CPUと、複数系統のチューナおよびデスクランブル部と、を備えるデジタル放送受信機が知られている(例えば特許文献1等参照)。
【0003】
このデジタル放送受信機においては、暗号化されたコンテンツデータは、チューナで復調された後、ICカードが生成する鍵データによってデスクランブル部で復号される。このとき、CPUは、各デスクランブル部に鍵データが順次供給されるようにICカードを制御する。これにより、1枚のICカードで同時に複数のコンテンツデータを復号することが可能となる。
【特許文献1】特開平11−155139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えばチューナおよびデスクランブル部の系統数をさらに増加させる場合を考える。この場合、特許文献1に記載の手法を適用して、ICカードの使用権を各系統に均等に割り振ろうとすると、すべての系統において、ICカードからの鍵データの供給が一様に遅延し、リアルタイム性を確保できなくなるおそれが発生する。そのため、このような事態を招くことなく、例えばチューナおよびデスクランブル部の系統数を増加するための新たな仕組みが強く望まれている。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、暗号化された複数のコンテンツデータを簡単な構成で並行して復号することを実現する情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、この発明の情報処理装置は、暗号化されたコンテンツデータを復号するための鍵データを生成する鍵生成装置を取り外し自在に収納する収納部と、暗号化されたコンテンツデータを入力し、当該暗号化されたコンテンツデータを復号するための鍵データを前記収納部に収納された前記鍵生成装置に生成させ、その鍵データを用いて当該暗号化されたコンテンツデータを復号する第1および第2の暗号化データ処理装置と、前記収納部に収納された前記鍵生成装置の使用権を前記第1および第2の暗号化データ処理装置に排他選択的に付与するための調停を行う調停手段と、暗号化されたコンテンツデータを入力する1以上の暗号化データ入力装置と、前記1以上の暗号化データ入力装置により入力された暗号化されたコンテンツデータを一時的に蓄積する蓄積部と、前記蓄積部に蓄積された暗号化されたコンテンツデータを復号するための鍵データを前記収納部に収納された前記鍵生成装置に生成させる鍵データ取得処理を前記第2の暗号化データ処理装置に対して依頼し、前記第2の暗号化データ処理装置を介して取得された鍵データを用いて当該暗号化されたコンテンツデータを復号する暗号化データ復号部と、を具備し、前記第2の暗号化データ処理装置は、自装置が入力した暗号化されたコンテンツデータを復号するための鍵データの取得処理を優先しつつ、前記暗号化データ復号部から依頼された鍵データの取得処理を代行する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、暗号化された複数のコンテンツデータを簡単な構成で並行して復号することが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置のシステム構成を示す図である。この情報処理装置は、例えばパーソナルコンピュータとして実現されている。
【0010】
図1に示すように、本コンピュータは、CPU1、主メモリ2、記憶装置3、表示コントローラ4、キーボードコントローラ5、2台のI/O処理装置((A),(B))6および2台のI/O処理装置((C),(D))7、収納部8等を備えている。
【0011】
本コンピュータは、放送番組データ、外部機器から入力されるビデオデータといった暗号化(スクランブル化)されたコンテンツデータを再生および記録することができる。即ち、本コンピュータは、テレビジョン放送信号によって放送される暗号化された放送番組データの視聴および録画を実行するためのテレビジョン(TV)機能を有している。このTV機能は、本コンピュータにインストールされるコンテンツ視聴プログラム100(ホストシステム)によって実現される。また、このTV機能は、外部機器から入力される暗号化されたビデオデータを記録する機能および記録済みの放送番組データまたはビデオデータを再生する機能も有している。
【0012】
CPU1は、本コンピュータの動作を制御するプロセッサであり、記憶装置3から主メモリ2にロードされる、基本ソフトウェアであるオペレーティングシステムや、このオペレーティングシステムの制御下で動作する、ユーティリティを含む各種アプリケーションプログラムを実行する。この各種アプリケーションプログラムの中に、前述のコンテンツ視聴プログラム100が含まれている。
【0013】
主メモリ2は、本コンピュータの主記憶としての役割を担う例えばDRAM等からなる記録メディアであり、一方、記憶装置3は、本コンピュータの補助記憶としての役割を担う例えばHDD等からなる記録メディアである。
【0014】
表示コントローラ4は、本コンピュータが提供するユーザインタフェースのアウトプット側を担うデバイスであり、一方、キーボードコントローラ5は、本コンピュータが提供するユーザインタフェースのインプット側を担うデバイスである。
【0015】
また、2台のI/O処理装置6および2台のI/O処理装置7は、いずれも、暗号化されたコンテンツデータを入力するためのデバイスである。即ち、本コンピュータは、暗号化されたコンテンツデータの入力系統を合計4系統有しているわけである。暗号化されたコンテンツデータは、収納部8に取り外し自在に収納されるスクランブル鍵生成装置8Aによって適宜生成される鍵データを使って復号される。よって、例えば4系統すべてで暗号化されたコンテンツデータが入力される場合、このスクランブル鍵生成装置8Aの使用権の付与を(単純に均等分けするのではなく)適切に割り当てるための仕組みが必要となることがある。本コンピュータは、このスクランブル鍵生成装置8Aの使用権の付与を適切に割り当てるための仕組みを実現したものであり、以下、この点について詳述する。
【0016】
図1に示すように、I/O処理装置((A),(B))6は、制御プロセッサ部61、デスクランブル処理部62、暗号処理部63、ホストインターフェース部64、情報共有レジスタ65等を備えている。収納部8に取り外し自在に収納されるスクランブル鍵生成装置8Aは、この2台のI/O処理装置6とのみ接続されており、その使用権は、これらに排他選択的に付与される。この使用権の付与制御は、アービタ66によって司られ、ここでは、当該アービタ66がI/O処理装置(A)6側に設けられるものとする。
【0017】
アービタ66が設けられるI/O処理装置(A)6をマスタ、もう一方のI/O処理装置(B)6をスレーブとする。マスタであるI/O処理装置(A)6の制御プロセッサ部61は、初期処理として、スクランブル鍵生成装置8Aとの間で認証を実行する。この認証の実行によって当事者だけが知り得る情報が作成される。この情報は、スクランブル鍵生成装置8Aとの通信に必須の情報であり、所定のタイミングで更新される。この情報を2台のI/O処理装置((A),(B))6で共有するために、情報共有レジスタ65が設けられる。即ち、I/O処理装置((A),(B))6にそれぞれ設けられる情報共有レジスタ65は、同じ値が保持されるように構成されている。
【0018】
I/O処理装置6は、制御プロセッサ部61によって全体の制御を司られ、暗号化されたコンテンツデータが入力されると、アービタ66にスクランブル鍵生成装置8Aの使用許可を要求する。この使用許可をアービタ66から獲得すると、情報共有レジスタ65からスクランブル鍵生成装置8Aと通信するために必要な情報を読み出し、この情報を使って、入力されたコンテンツデータの暗号化を解く鍵データの生成に必要な情報をスクランブル鍵生成装置8Aに送信する。スクランブル鍵生成装置8Aから鍵データが送信されてきたら、デスクランブル処理部62が、この鍵データを使って、コンテンツデータの暗号化を解く。この鍵データの受領時に、制御プロセッサ部61は、情報共有レジスタ65によって保持される、スクランブル鍵生成装置8Aと通信するために必要な情報の書き換えを実施する。
【0019】
デスクランブル処理部62によって復号されたコンテンツデータは、(主メモリ2にロードされて動作する)コンテンツ視聴プログラム100に渡され、コンテンツ視聴プログラム100によって再生されて表示コントローラ4経由で表示され、または、記憶装置3に記録されることになるが、本コンピュータにおいては、I/O処理装置6、(コンテンツ視聴プログラム100がロードされる)主メモリ2、記憶装置3、表示コントローラ4間のデータ授受は、汎用的なバスを介して行われる。そこで、本コンピュータは、暗号化されたコンテンツデータに関わるデータ授受を汎用的なバスを介して行うにあたり、独自の暗号化を実行する。この暗号化を(I/O処理装置6において)実行するのが暗号処理部63である。
【0020】
ホストインターフェース部64は、汎用的なバスを介したデータ授受の制御を司り、暗号処理部63によって再暗号化されたコンテンツを、当該汎用的なバスを介してコンテンツ視聴プログラム100に引き渡す。
【0021】
ここで、このような構成をもつ2台のI/O処理装置6に対するスクランブル鍵生成装置8Aの使用権の排他選択的な付与を、アービタ66がどのように行うのかについて、図2を参照して説明する。
【0022】
アービタ66は、”S0”、”S1”、”S2”、”S3”の4つの状態を管理し、I/O処理装置((A),(B))6それぞれからの使用権の獲得要求を受けて、この4つの状態間を遷移する。
【0023】
”S0”,”S2”は、いずれのI/O処理装置6にもスクランブル鍵生成装置8Aの使用権を付与していない状態であり、”S0”が初期状態である。この”S0”時にI/O処理装置(A)6から使用権の獲得要求(req0=1)を受けると、アービタ66は、当該I/O処理装置(A)6に使用権を付与し、管理する状態を”S1”に遷移させる。即ち、”S1”は、I/O処理装置(A)6にスクランブル鍵生成装置8Aの使用権を付与している状態である。
【0024】
一方、”S0”時にI/O処理装置(B)6のみから使用権の獲得要求(req0=0 & req1=1)を受けると、アービタ66は、当該I/O処理装置(B)6に使用権を付与し、管理する状態を”S3”に遷移させる。即ち、”S3”は、I/O処理装置(B)6にスクランブル鍵生成装置8Aの使用権を付与している状態である。よって、仮に、この”S0”時に、I/O処理装置(A),(B)6双方から使用権の獲得要求を受けると、アービタ66は、I/O処理装置(A)6の方に使用権を付与し、管理する状態を”S1”に遷移させることになる。
【0025】
”S1”への移行後、I/O処理装置(A)6がスクランブル鍵生成装置8Aの使用を終了させると、アービタ66は、管理する状態を”S2”に遷移させる。前述のように、この”S2”は、いずれのI/O処理装置6にもスクランブル鍵生成装置8Aの使用権を付与していない状態である。この”S2”時にI/O処理装置(B)6から使用権の獲得要求(req1=1)を受けると、アービタ66は、当該I/O処理装置(B)6に使用権を付与し、管理する状態を”S3”に遷移させる。一方、I/O処理装置(A)6のみから使用権の獲得要求(req1=0 & req0=1)を受けると、アービタ66は、当該I/O処理装置(A)6に使用権を付与し、管理する状態を”S1”に遷移させる。よって、仮に、この”S2”時に、I/O処理装置(A),(B)6双方から使用権の獲得要求を受けると、アービタ66は、”S0”時とは逆に、I/O処理装置(B)6の方に使用権を付与し、管理する状態を”S3”に遷移させることになる。
【0026】
このアービタ66の制御によって、スクランブル鍵生成装置8Aの使用権は、I/O処理装置((A),(B))6間においては均等に付与されることになる。
【0027】
そして、このI/O処理装置((A),(B))6から汎用的なバスを介してコンテンツ視聴プログラム100に引き渡される再暗号化されたコンテンツは、当該コンテンツ視聴プログラム100において、復号処理部101aによってその暗号化が解かれ、再生・録画処理部102に供給されて再生または録画が行われる。表示コントローラ4も、暗号化されたコンテンツデータに関わるデータ授受を汎用的なバスを介して行うための暗号化機能を有しており、(コンテンツ視聴プログラム100がロードされる)主メモリ2および当該表示コントローラ4間で授受されるデータの機密性は確保される。また、記憶装置3に対しては、コンテンツ視聴プログラム100によって暗号化されたコンテンツデータが転送されて記録されるようになっている。以上が、本コンピュータにおける、I/O処理装置((A),(B))6によって入力される暗号化されたコンテンツデータの処理の流れである。
【0028】
次に、本コンピュータにおける、I/O処理装置((C),(D))7によって入力される暗号化されたコンテンツデータの処理の流れを説明する。
【0029】
I/O処理装置7は、制御プロセッサ部71によって全体の制御を司られ、暗号化されたコンテンツデータが入力されると、暗号処理部72によって、暗号化されたコンテンツデータに関わるデータ授受を汎用バスを介して行うための暗号化を行う。そして、この2重に暗号化されたコンテンツデータをホストインターフェース部73によって(主メモリ2にロードされて動作する)コンテンツ視聴プログラム100に引き渡す。
【0030】
コンテンツ視聴プログラム100に渡された(2重に)暗号化されたコンテンツデータは、蓄積処理部103によってバッファリングされる。ここでは、そのバッファ領域(蓄積部)が記憶装置3に確保されるものとする。復号処理部101bは、通信/デスクランブル処理部104と同期を取りながら、バッファリングされた(2重に)暗号化されたコンテンツデータを適宜に読み出し、I/O処理装置7の暗号処理部72による暗号化を解いて通信/デスクランブル処理部104に転送する。一方、(I/O処理装置7における入力時の状態である)暗号化されたコンテンツデータを受け取った通信/デスクランブル処理部104は、当該受け取ったコンテンツデータの暗号化を解く鍵データの生成に必要な情報をI/O処理装置(B)6に送信して、スクランブル鍵生成装置8Aに鍵データを生成させる処理を当該I/O処理装置(B)6に依頼する。
【0031】
この依頼を受けたI/O処理装置(B)6の制御プロセッサ部61は、自装置6が入力する暗号化コンテンツ用の鍵データ取得を優先しつつ、依頼された鍵データ取得のためにもスクランブル鍵生成装置8Aの使用権の獲得を試みる。スクランブル鍵生成装置8Aの使用権が付与されたら、コンテンツ視聴プログラム100から受信した、鍵データの生成に必要な情報をスクランブル鍵生成装置8Aに送信し、スクランブル鍵生成装置8Aから送信されてきた鍵データをコンテンツ視聴プログラム100に返送する。なお、この依頼された鍵データ取得のためにスクランブル鍵生成装置8Aの使用権の獲得の試行を開始した場合であっても、その後、自装置6が入力する暗号化コンテンツ用の鍵データを取得する必要が生じた場合においては、自装置6用のための鍵データ取得を実行する。
【0032】
コンテンツ視聴プログラム100の通信/デスクランブル処理部104は、I/O処理装置(B)6から返送された鍵データを使って、コンテンツデータの暗号化を解き、再生・録画処理部102に供給する。これにより、再生・録画処理部102による録画が行われる。
【0033】
このように、スクランブル鍵生成装置8Aの使用権の獲得は、第1に、I/O処理装置((A),(B))6の2者間で争われ、第2に、I/O処理装置(B)6が、いわゆる余力の範囲内において、I/O処理装置((C),(D))7のためのスクランブル鍵生成装置8Aの使用権の獲得を代行する。従って、I/O処理装置((C),(D))7については、暗号化されたコンテンツデータの入力と、その暗号化を解くための鍵データの取得との間にタイムラグが発生する可能性がある。そのため、本コンピュータは、蓄積処理部103によるバッファリングを介在させ、このタイムラグを吸収する。
【0034】
視点を換えると、暗号化されたコンテンツデータの入力系統の追加を、このI/O処理装置((C),(D))7の形式で行うことにより、本コンピュータにおいては、少なくともI/O処理装置((A),(B))6の2系統については、リアルタイム性を損なうことを防止できる。従って、例えば、2つの暗号化コンテンツを同時に視聴しつつ、さらに2つの暗号化コンテンツを同時に録画するような場合、リアルタイム性の要求される視聴用の2つの暗号化コンテンツをI/O処理装置((A),(B))6にて入力し、リアルタイム性の要求されない録画用の2つの暗号化コンテンツをI/O処理装置((C),(D))7にて入力するようにすれば良いことになる。
【0035】
また、例えば図3に示すように、2つの画像(画像A,B)をメイン画像、2つの画像(画像C,D)をサブ画像と位置づけて、4つの暗号化コンテンツを同時に視聴する場合においても、2つのメイン画像をI/O処理装置((A),(B))6にて入力し、2つのサブ画像をI/O処理装置((C),(D))7にて入力し録画したものを再生するようにすれば、メイン画像のリアルタイム性はいわゆるコマ落ち等を発生させることなく確保される。一方、サブ画像については、鍵データの供給が遅延する場合が考えられるが、適当な視聴再生単位、例えばテレビ放送での1番組について、通信/デスクランブル処理部104での処理が終わり録画が完了したものを再生表示する。
【0036】
このように、暗号化されたコンテンツデータの入力系統を追加する際、当該追加した入力系統を既存の入力系統と同等に位置づけて、スクランブル鍵生成装置8Aの使用権を均等に割り振るのではなく、既存の入力系統の下段に位置づけ、当該既存の入力系統の余力の範囲内でスクランブル鍵生成装置8Aの使用権を割り当てるようにし、かつ、この段階的な割り当てを可能とすべく、追加した入力系統にバッファリング機能を介在させた本コンピュータでは、暗号化された複数のコンテンツデータを簡単な構成で並行して復号することが実現される。
【0037】
図4は、I/O処理装置((C),(D))7が下段に位置づけられたI/O処理装置(B)6のデスクランブル処理に関わる動作手順を示すフローチャートである。
【0038】
I/O処理装置(B)6の制御プロセッサ部61は、第1に、自装置のデスクランブル処理の必要性を判定し(ステップA1)、自装置のデスクランブル処理が有れば(ステップA1のYES)、この自装置のデスクランブル処理のために、スクランブル鍵生成装置8Aの使用権の獲得を試みる(ステップA2)。
【0039】
スクランブル鍵生成装置8Aの使用権が獲得できたら(ステップA3のYES)、制御プロセッサ部61は、鍵データ取得処理を行い(ステップA4)、取得した鍵データを使ったデスクランブル処理をデスクランブル処理部62に実行させる(ステップA5)。
【0040】
一方、自装置のデスクランブル処理が無ければ(ステップA1のNO)、制御プロセッサ部61は、第2に、(I/O処理装置((C),(D))7によって入力された暗号化コンテンツに関する)ホストシステムのデスクランブル処理の必要性を判定する(ステップA6)。ホストシステムのデスクランブル処理が有れば(ステップA6のYES)、制御プロセッサ部61は、このホストシステムのデスクランブル処理のために、スクランブル鍵生成装置8Aの使用権の獲得を試みる(ステップA7)。
【0041】
ここで、もし、スクランブル鍵生成装置8Aの使用権が獲得できなかったら(ステップA8のNO)、ステップA1に戻って、自装置のデスクランブル処理の必要性判定から動作制御を再開する。これにより、自装置のデスクランブル処理の優位性を確保する。スクランブル鍵生成装置8Aの使用権が獲得できたら(ステップA8のYES)、制御プロセッサ部61は、鍵データ取得処理を行い(ステップA9)、取得した鍵データをホストシステムに送信する(ステップA10)。
【0042】
このように、バッファリング機能を介在させてI/O処理装置((C),(D))7を増設することに加えて、I/O処理装置(B)6が、自装置のデスクランブル処理を優先しつつ、(I/O処理装置((C),(D))7によって入力された暗号化コンテンツに関する)ホストシステムのデスクランブル処理のための鍵データ取得処理を代行する処理手順を備えることにより、本コンピュータは、暗号化された複数のコンテンツデータを簡単な構成で並行して復号することが実現される。
【0043】
ところで、以上では、I/O処理装置((C),(D))7の増設にあたって介在させるバッファリング機能を、ホストシステム、即ち、コンテンツ視聴プログラム100に持たせる例を説明したが、これに限らず、このバッファリング機能をホストシステムから切り離して、例えば、図5に示すように、I/O処理装置((C),(D))7とホストシステムとの間に、上記バッファリング機能を司るサブシステム9を介在させて設けるようにしても良い。サブシステム9は、暗号化コンテンツをバッファリングするために別途設置される蓄積装置10を使って、I/O処理装置((C),(D))7のバッファリングを実行する。これにより、(種々のプログラムが並列に動作する可能性のあるコンピュータの)CPU1の負荷を軽減することができる。
【0044】
このように、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の一実施形態に係る情報処理装置のシステム構成を示す図
【図2】同実施形態の情報処理装置に収納されるスクランブル鍵生成装置の使用権の排他選択的な付与原理を説明するための図
【図3】同実施形態の情報処理装置で実行可能な4つの入力系統で入力される暗号化コンテンツデータの同時表示の例を示す図
【図4】他のI/O処理装置が下段に位置づけられたI/O処理装置のデスクランブル処理に関わる動作手順を示すフローチャート
【図5】同実施形態の情報処理装置のシステム構成の一変形例を示す図
【符号の説明】
【0046】
1…CPU、2…主メモリ、3…記憶装置、4…表示コントローラ、5…キーボードコントローラ、6,7…I/O処理装置、8…収納部、8A…スクランブル鍵生成装置、9…サブシステム、10…蓄積装置、13…記憶装置、61,71…制御プロセッサ部、62…デスクランブル処理部、63,72…暗号処理部、64,73…ホストインターフェース部、65…情報共有レジスタ、66…アービタ、100…コンテンツ視聴プログラム(ホストシステム)、101a,101b…復号処理部、102…再生・録画処理部、103…蓄積処理部、104…通信/デスクランブル処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化されたコンテンツデータを復号するための鍵データを生成する鍵生成装置を取り外し自在に収納する収納部と、
暗号化されたコンテンツデータを入力し、当該暗号化されたコンテンツデータを復号するための鍵データを前記収納部に収納された前記鍵生成装置に生成させ、その鍵データを用いて当該暗号化されたコンテンツデータを復号する第1および第2の暗号化データ処理装置と、
前記収納部に収納された前記鍵生成装置の使用権を前記第1および第2の暗号化データ処理装置に排他選択的に付与するための調停を行う調停手段と、
暗号化されたコンテンツデータを入力する1以上の暗号化データ入力装置と、
前記1以上の暗号化データ入力装置により入力された暗号化されたコンテンツデータを一時的に蓄積する蓄積部と、
前記蓄積部に蓄積された暗号化されたコンテンツデータを復号するための鍵データを前記収納部に収納された前記鍵生成装置に生成させる鍵データ取得処理を前記第2の暗号化データ処理装置に対して依頼し、前記第2の暗号化データ処理装置を介して取得された鍵データを用いて当該暗号化されたコンテンツデータを復号する暗号化データ復号部と、
を具備し、
前記第2の暗号化データ処理装置は、自装置が入力した暗号化されたコンテンツデータを復号するための鍵データの取得処理を優先しつつ、前記暗号化データ復号部から依頼された鍵データの取得処理を代行する手段を有する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1および第2の暗号化データ処理装置は、前記収納部に収納された前記鍵生成装置との通信に必須の情報であって、所定のタイミングで更新される情報を共有するための情報共有部を各々備えることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記収納部は、ICカードを取り外し自在に収納するカードスロットであることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1および第2の暗号化データ処理装置ならびに前記1以上の暗号化データ入力装置は、テレビジョン放送信号によって放送される暗号化された放送番組データを入力することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−130617(P2009−130617A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303304(P2007−303304)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】