説明

情報処理装置

【課題】情報処理装置において省電力化を図る。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置1は、リセット時間よりも短い設定時間であって、動作状態毎に異なる設定時間の値を記憶し、変移した動作状態に対応する設定時間を周期としてタイマ初期化信号を出力するタイマ初期化処理と、再起動開始信号の入力に応じて再起動する再起動処理を実行する制御部11と、タイマ初期化信号が入力されてからの経過時間を計時するとともに、経過時間がリセット時間に至った場合、制御部に対して再起動開始信号を出力する監視部12と、を備えたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関するものであって、特に、バッテリーを駆動電力として使用する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各種情報処理装置では、小型化が図られるとともに、バッテリー駆動を実現することで可搬可能な形態となったものが多く使用されている。カラオケボックスなどで歌唱を楽しむカラオケ装置においても、選曲を行うためのリモコン装置は、従来、冊子で配布されていた歌本に記載された番号をテンキーで入力する簡単なものから、データベース化された歌本を、液晶表示画面などに表示させて選曲を行う情報処理装置へと変化したものとなっている。
【0003】
このような情報処理装置としてのカラオケ用リモコン装置においても、長時間の利用が必要とされており、バッテリーの大容量化の他、各所における低消費電力化が図られている。一方、情報処理装置では、プログラム暴走が起こったときの対処として、ウォッチドッグタイマを利用して再起動処理が行われている。特許文献1には、このウォッチドッグタイマにおいて補償用電池の消耗、すなわち、省電力化を図ることが開示されている。
【0004】
具体的には、交流電源通電時と交流電源停電時とで、ウォッチドッグタイマ回路の計時用カウンタへの入力クロックの周波数を切り替え、最適なタイムアップを実現し、補償用電池の消耗防止を図ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−34385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1では、ウォッチドッグタイマ自体に対する入力クロックを切り替えるものであって、CPUなど主な電力消費源で実行される処理に対しては何も行っておらず、格別な低消費電力化を図ることは期待することができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、複数種類の動作状態に変移する情報処理装置であって、リセット時間よりも短い設定時間であって、前記動作状態毎に異なる設定時間の値を記憶し、変移した前記動作状態に対応する設定時間を周期としてタイマ初期化信号を出力するタイマ初期化処理と、再起動開始信号の入力に応じて再起動する再起動処理を実行する制御部と、前記タイマ初期化信号が入力されてからの経過時間を計時するとともに、前記経過時間がリセット時間に至った場合、前記制御部に対して前記再起動開始信号を出力する監視部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
さらに、本発明に係る情報処理装置において、前記動作状態は、通常の活性状態と、前記通常の活性状態よりも消費電力が少ない省電力状態であって、前記省電力状態に対応付けられた設定時間は、前記通常の活性状態に対応付けられた設定時間よりも長いことを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本発明に係る情報処理装置において、前記動作状態は、前記制御部で処理中の
処理タスク数であって、前記設定時間は、処理タスク数が多い状態ほど短く設定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、情報処理装置の状態(モード)変移に応じて、監視部(ウォッチドッグタイマ)に対するタイマ初期化信号の出力周期を変化させることで、情報処理装置における省電力化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る制御部でのメイン処理を示すフロー図。
【図3】本発明の実施形態に係る移行判定処理を示すフロー図。
【図4】本発明の実施形態で使用する各種情報を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係る省電力モード移行処理を示すフロー図。
【図6】本発明の実施形態に係るCPUタイマ設定時間を示す図。
【図7】本発明の実施形態に係る省電力モードからの復帰処理を示すフロー図。
【図8】本発明の他の実施形態で使用する各種情報を示す図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る移行判定処理を示すフロー図。
【図10】本発明の他の実施形態に係る省電力モード移行処理を示すフロー図。
【図11】本発明の他の実施形態に係るCPUタイマ設定時間を示す図。
【図12】本発明の他の実施形態に係る省電力モードからの復帰処理を示すフロー図。
【図13】本発明の他の実施形態に係るハイバネートモード移行処理を示すフロー図。
【図14】本発明の他の実施形態に係るハイバネートモードからの復帰処理を示すフロー図。
【図15】本発明の実施形態に係るバッテリー残量検出を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成示すブロック図である。本実施形態では、情報処理装置としてカラオケシステムにて利用されるリモコン装置となっている。情報処理装置1は、メイン基板20、電源管理基板10を主な構成として備えている。メイン基板21は、電源管理基板10に備えられるバッテリー3から電源部21に供給される電源にて、各種処理を実行する。本実施形態のリモコン装置では、メイン基板20に表示ユニット4、無線LAN5などのユニットが接続されており、表示ユニット4に対する各種情報の表示、並びに、無線LAN5を利用した外部機器との通信を実行する。また、表示ユニット4には、タッチパネルが設けられており、これを利用してユーザーからの各種入力を受け付ける。
【0013】
また、メイン基板20は、UART(Universal Asynchronous
Receiver Transmitter)、I/Oを介して電源管理基板10と互いに通信を行い、電源管理に関する制御を可能としている。
【0014】
電源管理基板10は、情報処理装装置1(リモコン装置)における電源を管理する手段であって、本実施形態では、バッテリー3からメイン基板20に供給される電源の管理を実行する。
【0015】
制御部11は、この電源管理基板10を統括して管理する手段であって、その主構成としてCPUを備えて構成される。CPUの他、プログラムを記憶したROM、各種情報を一時的に蓄えるRAMなどを含めて構成されるものであってもよい。
【0016】
AD変換部13は、バッテリー3から得られる各種情報を制御部11に伝達する手段であって、バッテリー3の残量、温度、電圧などを監視して、制御部11に伝達する。
【0017】
スイッチ14は、バッテリー3が蓄える電力をメイン基板14の電源部21に供給、あるいは供給しない(切断)状態に切り換える手段であって、制御部11の指令に応じてその状態を切り換える。
【0018】
WDT12(ウォッチドッグタイマ、本発明における「監視部」)は、情報処理装置1がプログラム暴走など、制御不可能となったときに、情報処理装置1を再起動させ制御不可能な状態を解消するための時限装置であって、所定時間(期間)制御部11からタイマ初期化信号が入力されない場合、再起動開始信号を制御部11に対して出力する。再起動開始信号を受信した制御部11は、再起動処理を実行する。制御部11が正常状態であれば、定期的にタイマ初期化信号が出力され、WDT12は再起動開始信号を出力することはないが、制御部11がプログラム暴走などを起こした場合、タイマ初期化信号の出力が停止、あるいは、出力周期が長くなり、再起動開始信号が発せられる。
【0019】
本実施形態では、この制御部11が発する再起動開始信号に特徴を有するものであって、特に、情報処理装置1が変移する複数種類の動作状態に応じて、タイマ初期化信号の出力周期を変化させることで省電力化を図ることとしている。
【0020】
図2は、本発明の実施形態に係る制御部11でのメイン処理を示すフロー図、また、図3は、本発明の実施形態に係る移行判定処理を示すフロー図、図4は、本発明の実施形態で使用する各種情報を示す図である。
【0021】
本実施形態における情報処理装置1、具体的には電源管理基板10の制御部11は、通常モード(本発明における「通常の活性状態」)、省電力モード(本発明における「省電力状態」)の2つの状態のどちらかの状態を取ることとなる。図2は、制御部11で実行されるメイン処理であって、制御部11にて処理が開始、すなわち、情報処理装置1の電源がオン状態となった場合、まず、現在レジスタ、直前レジスタにそれぞれ初期値0(通常モード)を与えるS。そして情報処理装置1自身の現在の動作状態をチェックするために、現在レジスタがチェックされる(S101)。図4には、現在レジスタのデータ構成が示されている。この図に示されるように現在レジスタには、1ビットのフラグを立てたデータにて構成され、1が省電力モードの状態、0が通常モードの状態となっていることを示している。
【0022】
S101の判定結果に基づいて、通常モードであると判定された場合には、現在行っている処理を継続して実行する。制御部11の処理としては、AD変換部13によるバッテリー3周りの監視、並びに、メイン基板20に対する各種情報のやり取りなどである。これらの通常モードでの処理を継続しつつ、通常モードから省電力モードへ移行すべきかを判定する移行判定処理を実行する(S200)。具体的な処理は後述の図3(移行判定処理)で説明する。一方、現在レジスタが通常モードでない、すなわち、省電力モードである場合には、S104の処理へと進む。
【0023】
S104では、現在レジスタと直前レジスタを比較し、S105の判定で、現在レジスタが1、直前レジスタが0となっていた場合には、通常モードから省電力モードへ移行したと判断し、省電力モードへの移行処理S300を実行する。具体的な処理は後述の図5(省電力モード移行処理)で説明する。S106では、制御部11は、設定時間、すなわち、タイマ初期化信号を出力する周期が経過かしたか否かを判定する。設定時間経過した場合、タイマ初期化信号をWDT12に出力する再スタート処理を実行する(S107)
。そして、現在レジスタの内容を直前レジスタにコピーして一連の処理を終了し、S101に戻る。
【0024】
図3は、前述の本発明の実施形態に係る(S200)で実行する移行判定処理である。すなわち、通常モードから省電力モードへの移行を判定するための処理となっている。S201では、省電力モードへの移行条件が判定される。移行条件としては、AD変換部13を用いて監視するバッテリーの各種状態が利用される。具体的には、バッテリー3に設けられたセンサで、情報処理装置1内において、動作不能の直前状態で示される電圧(クリティカルLow)を検出した場合のようなエラー状態である。もしくは、ユーザーが情報処理装置1の電源スイッチを所定期間操作し続けた場合などである。このように本実施形態では、エラー状態を検出した場合や、電源スイッチを操作した場合、完全な電源オフ状態ではなく省電力モードに移行する(S202:YES)。
【0025】
S201にて移行条件を満たすことが判定された場合には、スイッチ14をオフ状態とすることでメイン基板20に対する電源供給を停止する。S203では、情報処理装置1が充電中か否か、すなわち、商用電源からバッテリー3に対して充電が行われている最中か否かが判定される。充電中でない場合には現在レジスタを1にセットして処理を終了する。一方、充電中である場合には、直前レジスタを1にセットすることなく処理を終了する。
【0026】
また、前記センサが、バッテリー3の動作状態として、クリティカルLowを検出せず(S201:NO)、例えば、異常発熱、異常高電圧、異常高電流、異常充電期間などの状態を検出した場合(S205:YES)には、現在のバッテリー状態が異常な状態にあると判定する。このときには省電力モードに移行せずに、また、直前レジスタを1にセットすることもなく、メイン基板20に対する電源供給を停止する(S206)。それ以外の状態(S205:NO)であれば、メイン基板の電源供給を維持し、直前レジスタを変更することなく処理を終了する。
【0027】
このように移行判定処理では、メイン基板20に対する電源供給の管理、並びに、省電力モードに移行した際の直前レジスタの変更が実行される。したがって、図2のメイン処理では、通常モードから省電力モードに移行した場合、S105にてYeSの判定となり、次に説明する通常モードから省電力モードへの移行処理S300が実行される。
【0028】
図5は、省電力モード移行処理、すなわち通常モードから省電力モードへの移行処理を示したフロー図である。処理が開始されると、各種設定を変更する都合上、CPUタイマを一時停止させる(S301)。さらに、S302〜S304では各種処理の停止、周波数の低下を実行することで電力消費を抑える。本実施形態では、AD変換部13を停止することでバッテリー3周りの監視を中断(S302)し、UART処理、すなわち、メイン基板20との各種情報の送受信を停止(S303)し、制御部11を構成するCPUの動作周波数を低下させる(S304)で電力消費を抑えることとしている。
【0029】
さらに、S305では、制御部11がWDT12に対して出力するタイマ初期化信号に関する設定時間を長く、すなわち、当該信号を出力する周期を省電力モードに対応付けて設定されている時間に変更する。図6には、実施形態における設定時間長の関係が示されている。通常モードにおいて制御部11が出力するタイマ初期化信号の周期をTa、省電力モードにおいて制御部11が出力するタイマ初期化信号の周期をTb、WDT12における監視時間Tcとしている。監視時間Tcは、この時間長、制御部11からWDT12に対しタイマ初期化信号が入力されないときに再起動開始信号を出力する時間である。
【0030】
図に示されるように、これらの時間長の関係はTa>Tb>Tcとなっている。本実施
形態では、Tcを4秒、Tbが3秒、Taが0.5秒に設定されている。このように、省電力モードでは、タイマ初期化信号を出力する周期Tbを、通常モードの周期Tbより長くすることで、タイマ初期化信号を出力するための処理(再スタート処理:S107)の頻度を抑えて省電力化が図られる。
【0031】
設定時間の変更後、CPUタイマの計時を再開させ(S306)S省電力モード移行処理を終了する。
【0032】
図7は、本発明の実施形態に係る省電力モードからの復帰処理を示すフロー図である。本実施形態では、省電力モードから通常モードへの移行(復帰)を、ユーザーから電源スイッチの操作があったことを契機として実行している。省電力モード中に電源スイッチの操作があったことを判定した場合(S401)には、図5の省電力モード移行処理で変更した各種状態を元に戻す処理を再開、または、元に戻す(S402〜S405)。
【0033】
そして、S406では、制御部11がWDT12に対して出力するタイマ初期化信号に関する設定時間、すなわち、当該信号を出力する周期を通常モードに応じた時間長に変更する。この設定時間は、図6で説明したように最も短い時間長Taであって、本実施形態では0.5秒となっている。各設定が完了した後、CPUタイマの動作を再開させ(S407)、現在レジスタを0にセットし(S408)、スイッチ14を閉状態に変更することでメイン基板20に対して電源供給を開始(S409)し、復帰処理を終了する。
【0034】
以上、本実施形態では、通常モードと、省電力モードの2つの状態に変移する情報処理装置において、各状態に応じた設定時間を設定することで、WDT12に対してタイマ初期化信号を出力する再スタート処理の頻度を変更し、通常モードに対して、省電力モードでの電力消費を抑えることとしている。情報処理装置がとりうる状態としては、このような2つの状態に限らず、制御部11で処理しているタスクの数としてもよい。
【0035】
図8は、このタスク数を監視する他の実施形態で使用する各種情報のデータ構成が示されている。現在レジスタと直前レジスタについては、前述の実施形態と同様であって、これらレジスタ以外に、処理中のタスク数を監視するタスク数レジスタが設けられている。本実施形態におけるタスクとしては、メイン基板20の動作、UARTを使用したメイン基板20での各種処理、AD変換部13に対する処理、メイン基板20にて扱う表示ユニット(液晶ディスプレイ(LCD)、タッチパネル)関連の処理などがあげられる。
【0036】
制御部11にて行うメイン処理については、前述の実施形態で説明した図2の処理フローと同様であるため、ここではその説明を省略する。そして、前述の実施形態と同様の点についてもその説明を省略する。
【0037】
図9は、通常モードから省電力モードへの移行判定処理を示した図である。前述の実施形態とはS202a、S206aの処理で異なっている。具体的には、メイン基板20に対する電源をオフする、すなわち、スイッチ14を開放するときに、当該処理を1つのタスクとみなして、タスク数Nを1だけ減算する処理が実行される。
【0038】
図10に示される省電力モード移行処理では、S302aのAD変換部13と、S303aのUART処理をそれぞれ1つのタスクとみなして、タスク数を1減算する処理を実行する。このように省電力モードでは、S202a、S302a、S303aにてタスク数が合計3減算されることとなる。S305aではタスク数Nに応じた設定時間に変更される。
【0039】
図11は、本実施形態に係るCPUタイマ設定時間を示す図である。本実施形態では、
通常モードで実行するタスク数Nが4となっている。タスク数が3だけ減算された省電力モードではタスク数Nが1となり、当該タスク数に応じて設定されている設定時間が設定される。本実施形態の情報処理装置は、通常モード、省電力モードの他にハイバネーションモードへの移行が可能とされている。このハイバネーションモードは、表示ユニット4に関する処理を停止させた処理であって、ちょうど消費電力に関して、通常モードと省電力モードの間に位置するモードとなっている。このハイバネーションモードでは迅速な復帰が可能である。
【0040】
図13には、このハイバネーションモード移行処理を示すフロー図が示されている。ハイバネーションモードへ移行するか否かは、例えば、情報処理装置に対してユーザーから一定期間入力操作がないときなどを条件として判断される。ハイバネーションモードへの移行が判断されると、前述の実施形態と同様、CPUタイマを一時停止させた(S502)上で、各種設定の変更を行う。ここでは、表示ユニット4(LCD、タッチパネルなど)に対する処理に対する処理を停止、すなわち、メイン基板20から表示ユニット4に対する電源供給を停止する。このとき、タスク数を1だけ減算しておく。S504では、タスク数Nに応じた設定時間が設定される。ハイバネーションモードでは、通常モードのタスク数Nが4であるため、タスク数Nは3となる。
【0041】
図11に示されるようにハイバネーションモードの設定時間は、省電力モードと通常モードの設定時間の中間長となる。このように本実施形態では、タスク数に応じた設定時間が設定されることとなる。タスク数Nと設定時間の関係は、テーブル、あるいは、計算式にて予め制御部11内に記憶されることとなる。
【0042】
省電力モードからの復帰処理は、前述の実施形態の処理と略同様となっている。図12には、省電力モードからの復帰処理を示すフロー図が示されている。各処理の再開、動作周波数の復帰が実行されることとなるが、ここでは特に、移行処理にてタスク数Nを減算した、AD変換部13の処理再開(S402a)、UART処理再開(S403a)、そしてメイン基板20に対する電源供給開始(S408a)においてそれぞれタスク数を1ずつ加算することとしている。したがって、タスク数Nは3加算されることで通常モードの4に変更される(S409a)。
【0043】
図14には、ハイバネーションモードからの復帰処理が示されている。この復帰処理は、省電力モードからの復帰と同様、ユーザーにより電源スイッチが操作されたことで実行される。設定を変更することとなるためS602にてCPUタイマを一時停止して、メイン基板20に、表示ユニット4に対する電源供給を再開させる。このとき、タスク数Nお1加算することで、タスク数Nは4(通常モードのタスク数N)となる。S604では、このタスク数Nに応じた設定時間Taに変更し、CPUタイマを再開(S605)した後、処理を終了する。
【0044】
以上、本実施形態では、制御部11にて処理しているタスク数を監視し、タスク数に応じてタイマ初期化信号の出力周期(設定時間)を設定し、情報処理装置1の消費電力を抑制することが可能となる。
【0045】
また、AD変換部13にて行うバッテリー3の監視時間間隔を変更した場合の実施形態を説明しておく。図15は、制御部11にて実行するAD変換部13の読取間隔、すなわち、バッテリー3側に設けられた各種センサの読取間隔と、バッテリー残量の関係をグラフ化した図である。バッテリー残量は、省電力モードでは、通常モードと比較して緩やかにバッテリー残量が減少する。本実施形態では、通常モードと省電力モードのバッテリー残量チェック間隔を変更することとしている。
【0046】
具体的には、通常モードは残量チェック間隔をT1に、省電力モードでは残量チェック間隔をT2に設定し、両者の時間長をT2>T1に設定している。図から分かるように、省電力モードでは、残量チェック間隔を長く設定してもバッテリー残量を、通常モードと同様の残量間隔で検出することが可能となる。このように制御部11は、バッテリー残量のチェック間隔を情報処理装置1が変移した状態に応じて変更することで、AD変換部13に対する処理の頻度を変更した場合でも、略一定の残量間隔でチェックを行うとともに、省電力化を図ることが可能となる。
【0047】
本実施形態では、通常モードと省電力モードについて説明したが、前述のタスク数Nを監視することで、タスク数Nに応じて残量チェック間隔を変更することも可能である。その場合、タスク数Nが少ないほど、残量チェック間隔を大きく設定することとなる。
【0048】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0049】
1…リモコン装置(情報処理装置)、10…電源管理基板、11…制御部、12…WDT(ウォッチドッグタイマ)、13…AD変換部、14…スイッチ、20…メイン基板、21…電源部、3…バッテリー、4…表示ユニット、5…無線LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の動作状態に変移する情報処理装置において、
リセット時間よりも短い設定時間であって、前記動作状態毎に異なる設定時間の値を記憶し、変移した前記動作状態に対応する設定時間を周期としてタイマ初期化信号を出力するタイマ初期化処理と、再起動開始信号の入力に応じて再起動する再起動処理を実行する制御部と、
前記タイマ初期化信号が入力されてからの経過時間を計時するとともに、前記経過時間がリセット時間に至った場合、前記制御部に対して前記再起動開始信号を出力する監視部と、を備えたことを特徴とする
情報処理装置。
【請求項2】
前記動作状態は、通常の活性状態と、前記通常の活性状態よりも消費電力が少ない省電力状態であって、
前記省電力状態に対応付けられた設定時間は、前記通常の活性状態に対応付けられた設定時間よりも長いことを特徴とする
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記動作状態は、前記制御部で処理中の処理タスク数であって、
前記設定時間は、処理タスク数が多い状態ほど短く設定されていることを特徴とする
請求項1に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−147327(P2012−147327A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5099(P2011−5099)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】