説明

情報提示装置および当該情報の提示制御に用いられる情報提示プログラム等

【課題】 運転者に経路案内情報を提示するだけでなく、車両外部の状況を撮影した画像情報に基づいて、経路案内情報に関連する事物の特徴を提示することにより、運転者に確実に経路誘導を行なうことを可能にする情報提示装置および当該情報の提示制御に用いられる情報提示プログラム等を提供することを目的とする。
【解決手段】 車両を運転する運転者に対して経路誘導を行なうための誘導情報Srを提示するスピーカ17と、前記車両の外部を撮影して外部画像情報を取得する外部画像情報取得部8と、前記取得した外部画像情報に基づいて、前記誘導情報Srに関連する事物の事物特徴情報Spを取得する事物特定情報生成部12Bと、前記取得した事物特徴情報Spを、前記誘導情報Srに関連づけて運転者に対して提示する前記スピーカ17とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、情報提示装置および当該情報の提示制御に用いられる情報提示プログラム等の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両などに搭載された液晶表示パネルなどのディスプレイ上に地図を表示させ、さらに音声による経路案内にて、車両等の移動体の移動を誘導するナビゲーションシステムが広く一般化している。
【0003】
一方、予め記憶させた特定の運転情報の提供するだけではなく、自車両の走行環境に関連する走行環境情報を収集し、車両の運転上有用な情報を選定して運転者に提供するナビゲーションシステムに関する技術も開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平06−195595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のナビゲーション装置によって、経路案内がされた場合に、運転者が当該経路案内を適切に理解できない場合があった。このような場合に運転者は車両を運転中であることから、ナビゲーション装置の表示ディスプレイを注視することもできずに、結局、経路案内の内容を正しく理解することができないままであるという問題があった。
【0005】
そこで、本願は上記課題を解決すべくなされたものであり、運転者に経路案内情報を提示するだけでなく、車両外部の状況を撮影した画像情報に基づいて、経路案内情報に関連する事物の特徴を提示することにより、運転者に確実に経路誘導を行なうことを可能にする情報提示装置および当該情報の提示制御に用いられる情報提示プログラム等を提供することを目的の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、移動体を運転する運転者に対して経路誘導を行なうための経路案内情報を提示する経路案内情報提示手段と、前記移動体の外部を撮影して外部画像情報を取得する外部画像情報取得手段と、前記取得した外部画像情報に基づいて、前記経路案内情報に関連する事物の関連事物特徴情報を取得する関連事物特徴情報取得手段と、前記取得した関連事物特徴情報を、前記経路案内情報に関連づけて運転者に対して提示する関連事物特徴情報提示手段とを有することを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、移動体に搭載される経路誘導装置であって、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の情報提示装置を備えることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、移動体を運転する運転者に対して経路誘導を行なうための経路案内情報を提示する経路案内情報提示工程と、前記移動体の外部を撮影して外部画像情報を取得する外部画像情報取得工程と、前記取得した外部画像情報に基づいて、前記経路案内情報に関連する事物の関連事物特徴情報を取得する関連事物特徴情報取得工程と、前記取得した関連事物特徴情報を、前記経路案内情報に関連づけて運転者に対して提示する関連事物特徴情報提示工程とを有することを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、コンピュータを、移動体を運転する運転者に対して経路誘導を行なうための経路案内情報を提示し、前記移動体の外部を撮影して外部画像情報を取得し、前記取得した外部画像情報に基づいて、前記経路案内情報に関連する事物の関連事物特徴情報を取得し、前記取得した関連事物特徴情報を、前記経路案内情報に関連づけて運転者に対して提示するよう機能させることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の情報提示プログラムが、前記コンピュータにより読取可能に記録されていることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本願の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本願に係る情報提示装置を、移動体としての車両に搭載された、経路誘導装置としての車載用のナビゲーション装置1に適用した場合の実施形態である。
【0012】
[第1の実施の形態]
[ナビゲーション装置の構成および機能]
始めに、図1を参照して、本実施形態にかかるナビゲーション装置1の構成および機能を説明する。図1は、本実施形態におけるナビゲーション装置1の概要構成を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態のナビゲーション装置1は、図1に示すように、GPS(Global Positioning System)に属する複数の人工衛星からの電波を、アンテナATを介してGPSデータとして受信するGPS受信部2と、GPSデータおよび走行データに基づいて自車位置を算出する自車位置算出部3と、VICS(Vehicle Information Communication System)データを受信するVICSデータ受信部4と、地図データなどのデータが予め記録されている地図データベース5Aを有する記憶部5からデータを読み出す地図データ読出部6と、ユーザが各設定を行なうとともにシステムに命令を入力する際に用いられる操作入力部7と、車両に設置されて車両外部を撮影するカメラ8Aと、当該撮影した画像をナビゲーション装置1内に取り込む外部画像取得部8と、車両の車速を検出する車速検出部9Aと、車両が進行している進行方向を検出するジャイロセンサ部9Bと、取得した車両外部の画像を解析する画像解析部10と、レーザレーダなどにより構成され、車両と、車両外部の事物との距離を測定し距離情報を取得する距離測定部11と、経路誘導に関する情報に基づいて対応する経路案内情報としての誘導情報を生成する誘導情報生成部12A、及び経路誘導に関連する事物の特徴情報を生成する事物特徴情報生成部12Bとを有する音声情報生成部12と、地図データ等を表示する表示部13と、バッファメモリ14を用いて表示部13を制御する表示制御部15と、誘導情報や事物特徴情報などの音声情報を出力用の音声信号に変換する音声処理回路部16と、当該音声信号に基づいて音声を出力するスピーカ17と、システム全体を制御するシステム制御部18とを含んで構成されており、各構成部分は、バス19を介して相互に接続されている。
【0014】
GPS受信部2は、GPSに属する複数の人工衛星からの電波を、アンテナATを介して受信するとともに、この受信した電波に基づいて車両等の移動体の現在位置の擬似座標値を計算してGPSデータとして自車位置算出部3に出力されるように構成されている。
【0015】
自車位置算出部3は、移動体位置情報取得手段として機能し、車速検出部9A、ジャイロセンサ部9B及びGPS受信部2とシステム制御部18との間で処理を行なうようになっており、入力されたGPSデータと車速等の走行データに基づいて車両位置を算出して当該車両位置を移動体位置情報としての車両位置データとしてシステム制御部18に出力するように構成されている。
【0016】
なお、この車両位置データは、システム制御部18において後述する地図データと照合されてマップマッチング処理等が実行されるようになっている。VICSデータ受信部4は、FM多重放送などの電波を受信することによって、VICSデータを取得するようになっており、取得したVICSデータをシステム制御部18に出力するように構成されている。なお、VICSとは、道路交通情報通信システムのことを示し、VICSデータとは、交通規制情報や渋滞情報等の道路交通情報をいう。
【0017】
記憶部5は、道路地図等の地図データ等を記憶する地図データベース5Aを有して構成される。この地図データとは、ナビゲーション動作に必要な地図データであって、運転者によって車両の現在位置から目的地までの経路が設定された場合に、車両の経路誘導開始前に車両の現在位置、設定された目的地までの経路に基づいて、地図データ読出部6によって記憶部5の地図データベース5Aから該当する地図データが取得されて表示部13に出力されるよう構成されている。
【0018】
操作入力部7は、入力ボタン及び数字キー等の多数のキーを含んで構成されており、特に、車両走行情報の表示命令、車両が到達すべき目的地の入力および設定などの運転者の命令を入力するために用いられるよう構成されている。
【0019】
外部画像取得部8は、カメラ8Aと共に外部画像取得手段として機能し、車両に設置され車両進行方向、つまり、車両前方を撮影するカメラ8Aを備えて構成され、当該カメラ8Aにて撮影された画像を外部画像情報として取得し、撮影された画像のノイズを除去したり、二値化やエッジ検出等の手法を用いて、収集した画像の中から特徴となる事物の画像を識別した後に画像解析部10に出力する。
【0020】
車速検出部9Aは、例えば車両の走行速度等の走行データを検出するようになっており、検出した走行データを自車位置算出部3に出力するようになっている。具体的には、車速検出部9Aは、車両の走行速度を検出し、その検出した速度をパルス又は電圧の形態を有する速度データに変換して自車位置算出部3に出力されるように構成されている。
【0021】
ジャイロセンサ部9Bは、例えば車両の方位角、即ち車両が進行している進行方向等を検出し、検出した方位角をパルス又は電圧の形態を有する方位角データに変換して自車位置算出部3に出力するように構成されている。
【0022】
画像解析部10は、システム制御部18及び事物特徴情報生成部12Bと共に関連事物特徴情報取得手段として機能し、システム制御部18の指示情報Dに基づいて、外部画像取得部8によって取得した外部画像情報を解析し、経路案内情報に関連する事物の形状・色彩・模様・大きさ・位置等から、当該事物を特定する解析を行ない、解析結果を画像解析情報Iとして事物特徴情報生成部12Bへ出力する。
【0023】
なお、予め道路上に設置される事物(例えば、信号機、工事中の案内看板、方面看板等)、或いは車両走行中に、カメラ8Aによって撮影される可能性のある種々の事物(例えば、理髪店の白・赤・青のスタンド、他車両、人等)については、その形状情報・大きさ情報・位置情報などを予め画像解析部10内の図示しないデータベース等に記憶させておき、これらと、外部画像取得部8によって取得した外部画像情報内の特徴となる事物の画像とを照合して、その結果を画像解析情報Iとして事物特徴情報生成部12Bへ出力する。
【0024】
距離測定部11は、距離情報取得手段として機能し、レーザレーダ等により構成され、車両外部の事物と車両との距離を測定し、距離情報を取得して画像解析部10に出力するよう構成される。
【0025】
音声情報生成部12は、誘導情報生成部12Aと、事物特定情報生成部12Bとを含んで構成され、生成した音声情報を音声信号として音声処理回路部16へ出力する。
【0026】
まず、誘導情報生成部12Aは、システム制御部18の制御に基づいて取得した地図データに従って行なわれるナビゲーション動作中に、システム制御部18等によって、次の交差点における車両の進行方向や、車両の現在位置、或いは走行案内上運転者に直接告知すべき通行止め情報等を含む経路誘導に関する情報に基づいて対応する経路案内情報としての誘導情報Srを生成する。当該誘導情報Srは、音声情報であって、例えば「100m先、右折です。」等の内容を有する。そして、この生成された誘導情報Srは、音声処理回路部16へ出力される。
【0027】
事物特徴情報生成部12Bは、画像解析部10によって取得した画像解析情報Iに対応する関連事物特徴情報としての事物特徴情報Spを生成する。
【0028】
表示部13は、例えば、液晶表示、CRTによって構成され、表示制御部15の制御にしたがって記憶部5から取得した地図データを種々の態様として表示するとともに、これに重畳して車両位置などの経路案内に必要な各種状態を表示するよう構成されている。
【0029】
表示制御部15には、システム制御部18を介して入力された地図データが入力されるようになっており、表示制御部15は、このシステム制御部18の指示に基づいて表示部13に表示すべき地図データを生成し、バッファメモリ14に一時的に保存しつつ、所定のタイミングでバッファメモリ14から表示する地図データを読み出して表示部13に表示出力するよう構成されている。
【0030】
音声処理回路部16は、スピーカ17と共に音声出力手段として機能すると共に、誘導情報生成部12A及び事物特徴情報生成部12Bと共に経路案内情報提示手段及び関連情報提示手段として機能し、誘導情報生成部12Aにて生成された誘導情報Srに対して、事物特定情報生成部12Bにて生成された事物特徴情報Spが関連づけられた音声信号を生成し、当該音声信号を、システム制御部18の制御に基づいてスピーカ17を介して拡声するように構成されている。なお、関連事物特徴情報を提示する具体的な処理動作については、後に詳述する。
【0031】
システム制御部18は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、作業用RAM(Random Access Memory)、情報提示プログラム等を含む各種制御プログラムやデータ等を記憶するROM(Read Only Memory)及び発振回路等を備えて構成されており、図示しない操作部からの操作信号に基づいて、当該操作信号に含まれている操作情報に対応する動作を実現すべく上記各構成部材を制御するための制御情報を生成し、バス19を介して当該制御情報を該当する構成部材に出力して当該各構成部材の動作を統轄制御する。
【0032】
より具体的には、GPS受信ポート、キー入力ポート、表示部13の制御ポート等の各種入出力ポートを含み、ナビゲーション処理のための全般的な機能を総括的に制御するようになっている。
【0033】
また、システム制御部18は、ナビゲーション動作を行なう際に、自車位置算出部3から出力された車両位置データと地図データに基づいてマップマッチングなどの補正処理を行なうとともに、表示部13において車両の現在位置を含む周辺地域を示す地図上に経路情報が表示されるよう制御し、当該経路情報の経路誘導に関する情報を誘導情報生成部12Aに出力する。
【0034】
また、システム制御部18は、画像解析部10及び事物特定情報生成部12Bと共に関連事物特徴情報取得手段として機能し、上記経路誘導に関する情報に関連する事物の特徴情報を取得するために、画像解析を指示する指示情報Dを画像解析部10に出力する。
【0035】
また、システム制御部18は、地図データ取得手段として機能し、運転者が操作入力部7を操作することにより目的地が入力され、経路が設定された場合に、経路誘導開始前に、設定された経路および設定された転送条件に基づいて地図データベース5Aに記憶されている地図データを取得して経路情報として表示部13に出力することができるよう構成されている。
【0036】
[関連事物特徴情報提示動作]
次に、本実施形態にかかる関連事物特徴情報提示動作の具体的手法について図1及び図2を参照して説明する。
【0037】
図2は、ナビゲーション装置1における関連事物特徴情報提示処理を示すフローチャートである。なお、図2の処理は、システム制御部18において上記情報提示プログラムが実行されることにより行われる。
【0038】
また、当該ナビゲーション装置1は既に起動されているものとし、既に操作入力部7から運転者によって設定された経路に対応する地図データが地図データベース5Aより取得されて表示部13に表示されているものとする。
【0039】
まず、システム制御部18は、自車位置算出部3から出力された車両位置データと地図データに基づいて経路誘導に関する情報を誘導情報生成部12Aに出力する(ステップS1)。具体的には、自車位置算出部3から出力された車両位置データと地図データに基づいてマップマッチングなどの補正処理を行なうとともに、経路誘導に関する情報を誘導情報生成部12Aに出力する。
【0040】
そして、当該経路誘導に関する情報に関連する事物の特徴情報を取得するための画像解析を指示する指示情報Dを、画像解析部10に出力する(ステップS2)。
【0041】
そして、画像解析部10は、指示情報Dに従って、外部画像取得部8によって取得された外部画像情報の解析を行ない、画像解析情報Iを取得する(ステップS3)。この際、画像解析部10は、指示情報Dをシステム制御部18から受信すると、外部画像情報を要求する要求信号を外部画像取得部8に送信し、当該要求信号を受信した外部画像取得部8が外部画像を撮影、取得した外部画像情報を画像解析部10に出力するよう構成する。
【0042】
例えば、システム制御部18より送信された指示情報Dの内容が「100m前方右側にある事物の特定」であって、実際に車両の100m前方右側に、赤色の乗用車が駐車されており、外部画像取得部8によって取得した外部画像情報に、当該赤色の乗用車が映し出されている場合には、距離測定部11によって取得した距離情報に基づいて当該外部画像情報を画像解析してその事物の形状・色彩・模様・大きさ・位置等から経路案内情報に関連する事物が「赤色の乗用車」であることを特定する。そして、画像解析の解析結果として、画像解析情報I「赤色の乗用車」を取得する。
【0043】
次に、画像解析部10は、画像解析の結果取得された画像解析情報Iを事物特徴情報生成部12Bへ出力する(ステップS4)。
【0044】
そして、誘導情報生成部12Aは、ステップS1において取得した経路誘導に関する情報に基づいて、誘導情報Srを生成し(ステップS5)、事物特徴情報生成部12Bは、ステップS4において取得した画像解析情報Iに基づいて事物特徴情報Spを生成する(ステップS6)。例えば、画像解析情報Iによって経路案内情報に関連する事物が「赤色の乗用車」であることが解析された場合には、「現在、赤色の乗用車があります。」という内容の事物特徴情報Spを生成する。
【0045】
次に、システム制御部18の制御に基づいて、ステップS5にて生成された誘導情報Sr及びステップS6にて生成された事物特徴情報Spは、音声処理回路部16によって音声信号とされ、関連事物特徴情報としてスピーカ17によって音声出力されて、運転者に提示される(ステップS7)。例えば、事物特徴情報Spが「現在、赤色の乗用車があります。」という内容であるときには、誘導情報Sr「100m先、右折です」と関連付けられて、「100m先、右折です。現在赤色の乗用車があります。」という音声信号が生成されて、スピーカ17を介して音声出力され運転者に案内されることになる。なお、ステップS3において、外部画像取得部8は、画像解析部10からの要求信号に応じて外部画像情報を当該画像解析部10に出力するよう構成したが、これには限らず、例えば、外部画像取得部8は、常時最新の外部画像情報を画像解析部10に対して出力し続けるよう構成してもよい。
【0046】
さらに、経路案内情報に関連する事物が店舗の看板、交通標語看板などである場合には、画像解析部10に、文字認識手段を設けて、看板等に記載されている文字を認識することにより、「○×スキー場まであと2キロ」等の事物特徴情報Spを取得して運転者に音声にて提供するよう構成してもよい。
【0047】
上述した第1の実施の形態によれば、車両外部を撮影して経路案内情報に関連する事物の特徴情報を取得して、当該関連事物特徴情報を運転者に経路案内情報に関連付けて提示することにより、運転者は、経路案内情報の内容をより確実に理解することが可能になる。
【0048】
[第2の実施の形態]
次に、本願に好適な第2の実施の形態について説明する。この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態の構成に加え、経路案内情報に関連する事物の状態の変化を変化情報として取得し、当該変化情報を運転者に提示する構成を更に付加したものである。
【0049】
[ナビゲーション装置の構成および機能]
第2の実施の形態におけるナビゲーション装置1の構成および機能を説明する。
【0050】
画像解析部10は、システム制御部18の指示情報Dに基づいて、外部画像取得部8によって取得した外部画像情報を解析し、経路案内情報に関連する事物の形状・色彩・模様・大きさ・位置等から、当該事物を特定する解析を行ない、事物特徴情報Spを取得して当該事物特徴情報Spをシステム制御部18内に有する図示しないキャッシュメモリの事物特徴情報保存領域に記憶させると共に、解析結果を画像解析情報Iとして事物特徴情報生成部12Bへ出力する。
【0051】
また、事物特徴情報生成部12Bは、画像解析部10によって取得した画像解析情報Iに基づいて、経路案内情報に関連する事物の状態の変化を示す変化情報Svを生成する。より具体的には、画像解析情報Iに基づいてキャッシュメモリの事物特徴情報保存領域に記憶させた関連する事物の事物特徴情報Spと、現在の画像解析情報Iによる解析結果にて取得された関連する事物の事物特徴情報Spとを比較することにより、変化情報Svを生成する。そして、生成された変化情報Svは、音声処理回路部16へ出力される。なお、変化情報Svとは、例えば、画像解析情報Iによって特定された関連事物が「信号機」である場合には、当該信号機の色の変化等の特徴の変化を変化情報Svとして生成する。
【0052】
また、音声処理回路部16は、事物特定情報生成部12Bにて生成された変化情報Svに基づいて音声信号を生成し、システム制御部18の指示に基づいてスピーカ17を介して拡声するように構成されている。なお、ナビゲーション装置1のその他の構成および機能は、上述の第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0053】
[変化情報提示動作]
次に、図3を参照して、ナビゲーション装置1の動作を説明する。なお、図3の処理は、システム制御部18において上記情報提示プログラムが実行されることにより行われる。
【0054】
図3は、ナビゲーション装置1における変化情報提示処理を示すフローチャートである。なお、当該ナビゲーション装置1は既に起動されているものとし、操作入力部7から運転者によって設定された経路に対応する地図データが地図データベース5Aより取得されて表示部13に表示されているものとする。また、当該変化情報提示処理は、システム制御部18の制御に基づいて、上述した関連事物特徴情報提示処理がされ、上記誘導情報Sr及び事物特定情報Spとがスピーカ17を介して音声出力されたことにより、開始されるものとする。
【0055】
まず、上記誘導情報Sr及び事物特定情報Spとがスピーカ17を介して運転者に案内されて変化情報提示処理が開始されると、GPS受信部2によって取得されたGPSデータと、車速検出部9A及びジャイロセンサ部9Bによって取得された車速等の走行データに基づいて、車両が当該変化情報提示処理が開始されるきっかけとなった経路案内情報の対象範囲内に存在するか否かをシステム制御部18が判定する(ステップS11)。
【0056】
そして、車両が当該変化情報提示処理が開始されるきっかけとなった経路案内情報の対象範囲内に存在する場合には(ステップS11:Yes)、システム制御部18は、当該経路案内情報に関連する事物の事物特徴情報を取得するための画像解析を指示する指示情報Dを、画像解析部10に出力し(ステップS12)ステップS13へ移行する。他方、車両が当該変化情報提示処理が開始されるきっかけとなった経路案内情報の対象範囲内に存在しない場合には(ステップS11:No)、処理を終了する。
【0057】
そして、画像解析部10は、指示情報Dに従って、外部画像取得部8によって取得された外部画像情報の解析を行ない、経路案内情報に関連する事物の事物特徴情報Spを取得する。(ステップS13)。より具体的には、画像解析部10は、指示情報Dをシステム制御部18から受信すると、外部画像情報を要求する要求信号を外部画像取得部8に送信し、当該要求信号を受信した外部画像取得部8が外部画像を撮影、取得した外部画像情報を画像解析部10に出力するよう構成する。そして、外部画像取得部8によって取得した外部画像情報を解析し、経路案内情報に関連する事物の形状・色彩・模様・大きさ・位置等から、当該事物を特定する解析を行ない、事物特徴情報Spを取得する。
【0058】
次に、システム制御部18のキャッシュメモリ内の事物特徴情報保存領域に、経路案内情報に関連する事物の事物特徴情報Spが記憶されているか否かを判定する(ステップS14)。
【0059】
事物特徴情報保存領域内に事物特徴情報Spが記憶されていない場合には(ステップS14:No)、ステップS13にて取得した事物特徴情報Spを事物特徴情報保存領域に記憶させ(ステップS15)、ステップS11の処理に戻る。
【0060】
他方、ステップS14において、システム制御部18のキャッシュメモリ内の事物特徴情報保存領域に、経路案内情報に関連する事物の事物特徴情報Spが記憶されている場合には(ステップS14:Yes)、ステップS13において取得した事物特徴情報Spと、事物特徴情報保存領域内に記憶された事物特徴情報Spとが同一であるか否かを判定する(ステップS16)。より具体的には、画像解析情報Iに基づいてキャッシュメモリの事物特徴情報保存領域に記憶させた関連する事物の事物特徴情報Spと、現在の画像解析情報Iによる解析結果にて取得された関連事物の事物特徴情報Spとが同一であるか否かを判定する。
【0061】
そして、ステップS13において取得した事物特徴情報Spと、事物特徴情報保存領域内に記憶された事物特徴情報Spとが同一でないと判定された場合には(ステップS16:No)、事物特徴情報生成部12Bが変化情報Svを生成する(ステップS17)。例えば、画像解析情報Iに基づいて特定された関連事物が「信号機」である場合には、当該「信号機」の色の変化等の特徴の変化を変化情報Svとして生成する。
【0062】
他方、ステップS13において取得した事物特徴情報Spと、事物特徴情報保存領域内に記憶された事物特徴情報Spとが同一であると判定された場合には(ステップS16:Yes)、ステップS11の処理に戻る。
【0063】
そして、システム制御部18の制御に基づいて、ステップS17にて生成された変化情報Svは、音声処理回路部16によって音声信号とされた後に、スピーカ17によって音声出力されて運転者に提示される(ステップS18)。例えば生成された変化情報Svが、「信号機」の色が赤色から青色に変化したという情報である場合には、当該変化情報Svに基づいて「現在赤色から青色に変化した信号機があります。」という音声信号が生成されて、運転者にスピーカ17を介して音声にて提示されることになる。
【0064】
上述した第2の実施の形態によれば、車両外部を撮影して経路案内情報に関連する事物の状態の変化を取得して、その変化を運転者に提示することにより、運転者は、経路案内情報の内容をより確実に理解することが可能になる。
【0065】
また、経路誘導に関する情報に基づいて対応する経路案内情報としての誘導情報Srと、関連する事物の特徴情報である事物特徴情報Spとが提示された後に変化情報Svの提示を行なっているので、経路案内情報に関連付けて、経路案内情報に関連する事物の状態の変化を提示することが可能になり、運転者に対して経路案内情報の内容をよりわかり易く提示することが可能になる。
【0066】
なお、上述した実施の形態においては、経路案内情報に関連する事物の状態の変化として「信号機」の変化を一例として説明したが、例えば「店舗の看板」のネオンの色の変化を事物特徴情報の変化情報Svとしてもよい。また、経路案内情報に関連する事物の状態の変化であって、外部画よ像情報に基づいて画像解析が可能な、形状や大きさの変化、動作変化等であってもよい。例えば、交差点を曲がった車両や通過した車両等がある場合には、例えば、「今、前方の車両が右折した交差点です。」や、「前方の車両が横切った交差点です。」等の内容の変化情報Svを生成して運転者に提示することにより、運転者に対して経路案内情報の内容をわかり易く提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施の形態におけるナビゲーション装置1の概要構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態におけるナビゲーション装置1における関連事物特徴情報提示処理を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態におけるナビゲーション装置1における変化情報提示処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1…ナビゲーション装置
2…GPS受信部
3…自車位置算出部
4…VICSデータ受信部
5…記憶部
5A…地図データベース
6…地図データ読出部
7…操作入力部
8…外部画像取得部
8A…カメラ
9A…車速検出部
9B…ジャイロセンサ部
10…画像解析部
11…距離測定部
12…音声情報生成部
12A…誘導情報生成部
12B…事物特定情報生成部
13…表示部
14…バッファメモリ
15…表示制御部
16…音声処理回路
17…スピーカ
18…システム制御部
19…バス
Sr…誘導情報
Sp…事物特徴情報
Sv…変化情報
I…画像解析情報
D…指示情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を運転する運転者に対して経路誘導を行なうための経路案内情報を提示する経路案内情報提示手段と、
前記移動体の外部を撮影して外部画像情報を取得する外部画像情報取得手段と、
前記取得した外部画像情報に基づいて、前記経路案内情報に関連する事物の関連事物特徴情報を取得する関連事物特徴情報取得手段と、
前記取得した関連事物特徴情報を、前記経路案内情報に関連づけて運転者に対して提示する関連事物特徴情報提示手段と
を有することを特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提示装置において、
前記経路案内情報に関連する事物の状態の変化情報を取得する変化情報取得手段と、
前記取得した変化情報を、前記経路案内情報に関連づけて運転者に対して提示する変化情報提示手段を有することを特徴とする情報提示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報提示装置において、
前記変化情報は、前記経路案内情報に関連する事物の色の変化情報であることを特徴とする情報提示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の情報提示装置において、
前記経路案内情報及び前記関連事物特徴情報は、音声情報であって、
前記経路案内情報提示手段及び前記関連事物特徴情報提示手段は、音声出力手段であることを特徴とする情報提示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の情報提示装置において、
前記運転者の指示に基づいて選択された地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記移動体の位置を特定して移動体位置情報を取得する移動体位置情報取得手段と、
前記移動体と移動体外部の事物との距離を測定して距離情報を取得する距離情報取得手段と、
を有し、
前記関連事物特徴情報取得手段は、前記外部画像情報と、前記地図データと、前記移動体位置情報と、前記距離情報と、に基づいて前記関連事物特徴情報を取得することを特徴とする情報提示装置。
【請求項6】
移動体に搭載される経路誘導装置であって、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の情報提示装置を備えることを特徴とする経路誘導装置。
【請求項7】
移動体を運転する運転者に対して経路誘導を行なうための経路案内情報を提示する経路案内情報提示工程と、
前記移動体の外部を撮影して外部画像情報を取得する外部画像情報取得工程と、
前記取得した外部画像情報に基づいて、前記経路案内情報に関連する事物の関連事物特徴情報を取得する関連事物特徴情報取得工程と、
前記取得した関連事物特徴情報を、前記経路案内情報に関連づけて運転者に対して提示する関連事物特徴情報提示工程と
を有することを特徴とする情報提示方法。
【請求項8】
コンピュータを、移動体を運転する運転者に対して経路誘導を行なうための経路案内情報を提示し、
前記移動体の外部を撮影して外部画像情報を取得し、
前記取得した外部画像情報に基づいて、前記経路案内情報に関連する事物の関連事物特徴情報を取得し、
前記取得した関連事物特徴情報を、前記経路案内情報に関連づけて運転者に対して提示するよう機能させることを特徴とする情報提示プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報提示プログラムが、前記コンピュータにより読取可能に記録されていることを特徴とする情報記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−232370(P2007−232370A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−100385(P2004−100385)
【出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】