説明

情報表示装置、情報表示方法および情報表示プログラム

【課題】走行中の車両に関する情報を容易に取得させ、表示画面を用いた走行中のエンターテインメント性を向上させること。
【解決手段】車両に搭載される情報表示装置であって、車両の速度情報およびオーディオ出力情報を取得する取得部101と、表示画面103を制御して、道路と、道路の脇の建造物とを3次元に立体的に見えるように表示し、車両の速度情報に基づいて、車両の速度に応じて、建造物を移動させて表示するとともに、オーディオ出力情報の出力レベルに応じて、建造物の表示を動的に変化させるように表示する表示制御部102と、を備え、表示制御部102は、最新の出力レベルに応じて、建造物の表示の移動方向における最後部の建造物の表示を動的に変化させ、変化を維持しつつ移動方向における最先部へ当該物を移動させて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置、情報表示方法および情報表示プログラムに関する。ただし、本発明の利用は前述の情報表示装置、情報表示方法および情報表示プログラムには限らない。
【背景技術】
【0002】
従来、音声出力装置が出力する音声信号の変化は、音声出力装置に設けられたLEDなどのレベルメータを用いて表示するのが一般的であった。また、車載ナビゲーション装置は、地図情報を表示する表示画面が設けられている。車両には、車載オーディオ装置と、車載ナビゲーション装置とをそれぞれ搭載する場合もある。
【0003】
また、上記車載オーディオ装置の機能を有する車載ナビゲーション装置もある。これら異なる装置の表示内容を同じ表示画面に表示させる技術が開示されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。この技術は、車両の走行経路を案内するために用いる地図情報に含まれるオブジェクトの形態を、入力される音の信号のスペクトラムに連携して動的に変化させるように表示するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2003−106862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来の車載オーディオ装置の表示部と、車載ナビゲーション装置の表示画面は、異なる表示箇所に表示されるものであり、表示内容の確認に手間がかかった。また、特許文献1に開示された技術は、入力される音の信号のスペクトラムによって地図情報に含まれるオブジェクトの形態が変化するため、車両の現在地における実際のオブジェクト、たとえば建造物の形状が変わり、搭乗者は表示されている建造物に対応した実際の建造物を見つけることができない恐れがある。このように、エンターテインメント性を追求するためにオブジェクトの形態を変化させると、車載ナビゲーション装置が提供しようとする経路案内に支障が生じるという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明にかかる情報表示装置は、車両に搭載される情報表示装置であって、前記車両の速度情報およびオーディオ出力情報を取得する取得手段と、表示画面を制御して、道路と、当該道路の脇の建造物とを3次元に立体的に見えるように表示し、前記車両の速度情報に基づいて、前記車両の速度に応じて、前記建造物を移動させて表示するとともに、前記オーディオ出力情報の出力レベルに応じて、前記建造物の表示を動的に変化させるように表示する表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、最新の出力レベルに応じて、前記建造物の表示の移動方向における最後部の建造物の表示を動的に変化させ、当該変化を維持しつつ当該移動方向における最先部へ当該建造物を移動させて表示することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明にかかる情報表示装置は、車両に搭載される情報表示装置であって、前記車両の現在地情報および当該現在地情報に対応する地図情報と、オーディオ出力情報とを取得する取得手段と、表示画面を制御して、道路と、当該道路の脇の建造物とを3次元に立体的に見えるように表示し、前記地図情報に基づいて、前記建造物を移動させて表示するとともに、前記オーディオ出力情報の出力レベルに応じて、前記建造物の表示を動的に変化させるように表示する表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、最新の出力レベルに応じて、前記建造物の表示の移動方向における最後部の建造物の表示を動的に変化させ、当該変化を維持しつつ当該移動方向における最先部へ当該建造物を移動させて表示することを特徴とする。
【0008】
また、請求項7に記載の発明にかかる情報表示方法は、車両に搭載される情報表示装置に情報を表示する情報表示方法であって、前記車両の速度情報およびオーディオ出力情報を取得する取得工程と、道路と、当該道路の脇の建造物とを3次元に立体的に見えるように表示し、前記車両の速度情報に基づいて、速度に応じて、前記建造物を移動させて表示するとともに、前記オーディオ出力情報に基づいて、出力レベルに応じて、前記建造物の表示を動的に変化させるように表示する表示工程と、を含み、前記表示工程では、最新の出力レベルに応じて、前記建造物の移動方向における最後部の建造物の表示を動的に変化させ、当該変化を維持しつつ当該移動方向における最先部へ当該建造物を移動させて表示することを特徴とする。
【0009】
また、請求項8に記載の発明にかかる情報表示方法は、車両に搭載される情報表示装置に情報を表示する情報表示方法であって、前記車両の現在地情報および当該現在地情報に対応する地図情報と、オーディオ出力情報とを取得する取得工程と、道路と、当該道路の脇の建造物とを3次元に立体的に見えるように表示し、前記地図情報に基づいて、前記建造物を移動させて表示するとともに、前記オーディオ出力情報に基づいて、前記出力レベルに応じて、前記建造物の表示を動的に変化させるように表示する表示工程と、を含み、前記表示工程は、最新の出力レベルに応じて、前記建造物の表示の移動方向における最後部の建造物の表示を動的に変化させ、当該変化を維持しつつ当該移動方向における最先部へ当該建造物を移動させて表示することを特徴とする。
【0010】
また、請求項9に記載の発明にかかる情報表示プログラムは、請求項7または8に記載の情報表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報表示装置、情報表示方法および情報表示プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(情報表示装置の機能的構成)
まず、この発明の実施の形態にかかる情報表示装置の内容について説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかる情報表示装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
図1において、車両(四輪車、二輪車を含む)などに備えられた情報表示装置は、取得部101と、表示制御部102と、表示画面103とを含む構成となっている。
【0014】
取得部101は、音声出力装置が出力するオーディオ出力情報(以下、音声信号と称す)の出力レベルを取得する。音声出力装置としては、車両に取り付けられた車載オーディオ機器や、携帯型CDプレーヤーなどのオーディオ機器や、ラジオやテレビなどの放送電波を受信する受信機器であり、出力レベルはたとえば音量レベルである。また、取得部101は、車両の速度情報およびエンジン回転数情報の少なくともいずれかを取得する。また、取得部101は、車両の傾斜角情報および横G情報の少なくともいずれかを取得する。
【0015】
さらに、取得部101は、上記情報以外の車両の状態に関する情報、たとえば、加速度情報、角速度情報、電圧情報、方向情報、時刻情報、緯度経度情報、トルク情報、馬力情報などをあわせて取得するようにしてもよい。
【0016】
さらに、取得部101は、車両の現在地情報および現在地情報に対応する地図情報をあわせて取得するようにしてもよい。現在地情報および地図情報は、目的地までの道路を経路案内する車載ナビゲーション装置の機能を用いることができる。地図情報には、緯度経度毎に道路の道すじや、建造物の敷地面積、形状、高さ(階数)などの情報を含んでいる。
【0017】
表示制御部102は、地図情報に基づいて走行中の道路に沿った建造物に関する情報を表示させることができる。たとえば、走行中の車両の現在地における建造物の形状などの情報を地図情報から読み出して3次元に立体的に表示させることができる。
【0018】
表示制御部102は、一つの表示画面103を制御して、道路およびその道路の路側帯を3次元に立体的に見えるように表示する。また、車両の速度情報と、エンジン回転数情報に基づき、速度と、エンジン回転数を数値で表示する。
【0019】
また、表示制御部102は、一つの表示画面103を制御して、道路を3次元に立体的に見えるように表示する。また、車両の横G情報の横Gに応じて、道路の表示を動的に変化させるように表示してもよい。たとえば、左側に横Gが発生した場合に、車両は右側へカーブを切っていると判断し、道路が右側方向へ向いているように表示する。反対に、右側に横Gが発生した場合に、車両は左側へカーブを切っていると判断し、道路が左側方向へ向いているように表示する。そして、横Gの量によって左右の方向量を決定する。したがって、横Gが左右いずれにも発生していない場合は、直進していると判断し、道路が前方方向を向いている(左右いずれにも向いていない)ように表示する。
【0020】
また、表示制御部102は、道路上に車両を示す画像を表示画面103に表示するとともに、表示画面103に表示された道路の脇に示す背景を流れているように表示する。すなわち、道路の奥側から建造物を出現させるように表示し、その建造物を道路に沿って手前へ移動させるように表示し、その建造物が最も手前側に移動してきたところで、その建造物を消去するように表示する。これによって、表示画面103に表示された車両が道路上を走行しているように見せることができる。
【0021】
さらに、取得部101が、車両の速度情報を取得し、表示制御部102が、取得部101によって取得された速度情報に基づいて、上記背景を移動させる速度を変更する。これによって、たとえば、車両が停車すれば背景の移動も止まり、速度を上げるほど背景の移動速度も増加させることができ、速度に関する感覚を表示画面103を通じて認識することができる。
【0022】
そして、表示制御部102は、取得部101によって取得された音声信号の出力レベルを道路の脇に示す背景に表示する。具体的には、背景が建造物であるとき、入力された音声信号の出力レベルを建造物の高さ方向にバー表示する。このバーは、音声信号のレベルメータのように、入力された音声信号の出力レベルに対応して変化するように表示する。
【0023】
また、車両の速度に応じて建造物が移動する表示とした場合には、最も奥側に位置する建造物に現在の出力レベルをバー表示することにより、手前側に移動してくる建造物には過去の出力レベルを表示することができる。
【0024】
このように、上記本実施の形態によれば、車両の移動速度と、オーディオ出力情報の出力レベルとを関連付け、それぞれに変化を動的に表示することができ、エンターテインメント性を向上させることができる。
【0025】
また、表示画面103は、専用の表示画面であってもよく、また、車載ナビゲーション装置の表示画面であってもよい。表示画面103が、車載ナビゲーション装置の表示画面を用いることによって、車載ナビゲーション装置を備えた車両にあっては、別途表示画面103を装着しなくてもよい。また、車載ナビゲーション装置の表示画面を用いることによって、運転者だけでなく助手席の同乗者も表示内容を容易に確認することができ、運転のナビゲーションを容易におこなうことができる。
【0026】
したがって、車載ナビゲーション装置を用いて、ナビゲーション機能を用いていない場合であってもエンターテインメント性を向上させることができる。すなわち、経路案内時の地図情報を表示する代わりに、現在走行中の車両の速度情報とオーディオ出力情報の出力レベルを同時に表示することで、運転者あるいは同乗者がドライブをより楽しむことができる。
【0027】
(情報表示装置の処理の手順)
つぎに、この発明の実施の形態にかかる情報表示装置の処理の手順について説明する。図2は、この発明の実施の形態にかかる情報表示装置の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0028】
図2のフローチャートにおいて、まず、表示画面103がONされているか否かを判断する(ステップS201)。そして、ONされるのを待って、ONされた場合は(ステップS201:Yes)、オーディオ出力情報を取得し(ステップS202)、取得されたオーディオ出力情報を表示画面103に表示する(ステップS203)。この際、車両のエンジン回転数情報、傾斜角情報、横G(gravity)情報などの他の情報を取得して表示画面103の所定の領域にあらかじめ定められた表示方法で表示してもよい。
【0029】
また、速度情報を取得し(ステップS204)、取得された速度情報を表示画面103に表示する(ステップS205)。つぎに、表示画面103がOFFされたか否かを判断し(ステップS206)、OFFされていない場合は(ステップS206:No)、所定の時間(たとえば数msec)が経過したかを判断する(ステップS207)。ここで、所定時間が経過するのを待って、経過した場合は(ステップS207:Yes)、ステップS202へ戻って、速度情報および状態情報の取得・表示を繰り返しておこなう。
【0030】
このように処理することによって、刻々と変化するオーディオ出力情報および速度情報を表示画面103に表示することができる。そして、ステップS206において、表示画面がOFFされた場合は(ステップS206:Yes)、一連の処理を終了する。
【0031】
ステップS203により表示するオーディオ出力情報と、ステップS205により表示する速度情報は、前述したように、道路と建造物を用いて一つの表示画面103上で3次元に立体的に見えるように表示することができる。
【実施例】
【0032】
(ハードウエア構成)
つぎにこの発明の実施例にかかる情報表示装置のハードウエア構成について説明する。図3は、この発明の実施例にかかる情報表示装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
図3において、情報表示装置は、表示制御部102として機能するCPU301と、RAM302と、ROM303と、メモリ304と、時計305とを含む構成となっている。また、ユーザ操作部310と、走行中の車両の速度を検出する速度センサ311と、車両のエンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサ312と、車両の傾斜角を検出する傾斜角センサ313と、車両の加速度を検出する加速度センサ314と、コーナリングの際の車両の角速度を検出する角速度センサ315と、コーナリングの際、遠心力によって発生する外向きの力(重力)である横Gを検出する横Gセンサ316とが、表示制御部102に接続されている。
【0034】
また、人工衛星からの電波を受信することによって車両の位置(緯度経度情報)を検出するGPS317、車両の進行方向を検出するジャイロセンサ318、車両の電気系統の電圧センサ319とが、表示制御部102に接続されている。これらの各センサ311〜319によって取得部101の機能を実現する。また、表示画面103として機能するディスプレイ320と、さらには、アンプ321が、表示制御部102に接続されている。
【0035】
また、図示しない音声出力装置から出力されるオーディオ出力情報は、インタフェース(I/F)323を介して入力される。インタフェース323を介して入力されたオーディオ出力情報は、アンプ321により増幅され、スピーカ322を介して音声出力される。この他、インタフェース323は、外部の通信装置と無線によってデータ通信をおこなうことができる。
【0036】
ここで、CPU301は表示制御をするとともに、情報表示装置の全体を制御する。RAM302は、CPU301のワークエリアとして使用される。ROM303は、情報表示装置の基本処理プログラムを記憶している。メモリ304は、各種情報を記憶する。具体的には、たとえば、ハードディスク(HD)であり、その代わりにあるいはHDに加えて、DVD、コンパクトディスク(CD)などの着脱可能な記録媒体であってもよい。また、時計305は、現在時刻に関する情報を計時し記憶する。
【0037】
ユーザ操作部310は、たとえば、リモコン、タッチパネル、情報表示装置に備えられたボタンなどによってその機能を実現する。また、ディスプレイ320は、具体的には、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを含む。
【0038】
さらに、図示を省略するが、一般的な車載ナビゲーション装置が備える地図DBと、ナビゲーション制御部と、位置認識部と、案内音出力部と、地点検索部と、経路取得部と、経路誘導部と、案内音生成部と、を含む構成となっていてもよい。
【0039】
ここで、ナビゲーション制御部は、位置認識部によって算出された自車位置情報と、地図DBとに基づいて、ディスプレイ320へ地図上のどの位置を走行しているかを出力する。
【0040】
案内音出力部は、アンプ321を用いて一つまたは複数のスピーカ322への出力を制御することによって、案内音を再生する。
【0041】
地点検索部は、ユーザ操作部310から入力された情報に基づいて、任意の地点を検索し、これをディスプレイ320へ出力する。また、経路取得部は、地点検索部によって得られた地点情報に基づいて、当該地点までの最適な経路を算出する。また、経路誘導部は、経路取得部によって得られた情報と自車位置情報に基づいて、リアルタイムな経路誘導情報の生成をおこなう。
【0042】
案内音生成部は、パターンに対応したトーンと音声のデータを生成する。すなわち、経路情報に基づいて、案内ポイントに対応した仮想音源の設定と音声ガイダンス情報の生成をおこない、これを案内音出力部へ出力する。
【0043】
(情報表示装置の表示例)
つぎに、この発明の実施例にかかる情報表示装置の表示の一例について説明する。図4および図5は、この発明の実施例にかかる情報表示装置の表示画面の表示内容の一例を示す説明図である。図4において、表示画面103上の400は車両を示しており、401は前方方向へ延びて見えるように表示した道路である。道路401は、道すじが3次元に立体的に見えるように表示するために、表示画面103の上部(道路401の奥側)へ行くにしたがって細くなるよう表示する。また、運転者または同乗者の操作によって車両400のみを不表示とすることもできる。その場合に、実際にフロントガラスから運転者または同乗者が見ることができる風景に似せて表示画面103に表示するようにしてもよい。
【0044】
また、道路401の両脇には、所定の角度を有する路側帯402a(右側)、402b(左側)が存在する。路側帯402aの右側に複数の建造物420と、路側帯402bの左側に複数の建造物421を表示し、その建造物420、421を道路401に沿って前方側から手前側に移動させるように表示する。この建造物420、421は、あらかじめ用意された架空の建造物であってもよいし、後述するように地図情報に含まれている実際の建造物を表示させることもできる。
【0045】
建造物420、421には、それぞれレベル・バー420a〜420c、421a〜421cが表示される。これらのレベル・バー420a〜420c、421a〜421cは、オーディオ出力情報(音声信号)の出力レベル(音量レベル)にあわせて建造物420、421の下部から上部に向かう高さ方向に変化するよう表示される。レベル・バー420a〜420c、421a〜421cの最上部の位置が出力レベルを示す。建造物420、421は、ワイヤーフレームにより線を用いて表示したり、ポリゴンのように面の組み合わせで表示する。また、レベル・バー420a〜420c、421a〜421cは、建造物420、421の内部を所定の色を用いて表示する。
【0046】
404aは、所定の角度を有する路側帯402aによって設けられた速度情報表示領域(右側)であり、図4においては、現在の速度である『106km/h』を表示している。また、404bは、所定の角度を有する路側帯402bによって設けられたエンジン回転数情報表示領域(左側)であり、図4においては、現在のエンジン回転数である『7800rpm』を表示している。
【0047】
また、車両400の速度に対応して、道路401と建造物420、421が移動する速度を変更するよう表示することができる。具体的には、車両400の速度が遅いときには道路401と建造物420、421が移動する速度が遅く、車両400の速度が速くなるにつれて道路401と建造物420、421が移動する速度が速くなるよう表示する。
【0048】
405aは加速度情報表示マーク(加速側)であり、405bは加速度情報表示マーク(減速側)であり、加速度情報表示マーク405a、405bのいずれか一方の色が変化する。これは、車両400の前方に見えるように表示した加速度情報表示マーク(加速側)405aの色が変化することによって加速している状況を示し、逆に、車両400の後方に見えるように表示した加速度情報表示マーク(減速側)405bの色が変化することによって減速している状況を示している。
【0049】
406aはそれぞれ横G情報表示マーク(右側)であり、406bはそれぞれ横G情報表示マーク(左側)である。横G情報表示マーク406a、406bは、横Gの量に応じて、横Gが小さい場合は内側のマークの色などを変化させ、横Gが大きくなるにしたがって、外側のマークの色などを変化させる。そして、あらかじめ定められた最大量になった場合に、一番外側のマークの色などを変化させる。したがって、直進していていずれの方向にも横Gがかかっていない場合は、いずれのマークにおいても色などは変化させない。
【0050】
407は傾斜情報表示領域(SLOPE)であり、レベルメータを表示することによって現時点における傾斜量を表示する。また、その近傍に傾斜量を数字で表示してもよい(図4における『+3.5%』)。また、傾斜量に応じて、道路401もその傾斜の見せ方を変化させる。具体的には、先端部分401aと基点部分401bの幅を変化させる。
【0051】
408は電圧情報表示領域(VOLT)であり、レベルメータを表示することによって現時点における電圧を表示する。VOLT408は、電圧が高くなるほど上側に変化し、反対に、電圧が低くなるほど下側に変化する。また、VOLT408は、アナログ表示とあわせてデジタル表示もおこなう(図4における『12.2(V)』)。
【0052】
409は目的地方向情報表示バーであり、このバー409が現在地から設定された目的地が存在する方向を示している。図4においては、現在の進行方向の左前方方向が目的地であることを示している。
【0053】
410は時刻情報表示領域であり、図4においては、デジタル表示によって現在時刻である『11:56(PM)』を示している。この表示は針式時計によるアナログ表示であってもよい。また、24時間表示であってもよい。
【0054】
411は緯度経度情報表示領域であり、GPS317から取得した現在位置である北緯『N35’28”23.5』と、東経『E138’42”38.4』をデジタル表示する。
【0055】
412は目的地情報表示領域であり、あらかじめ設定した目的地の場所(『Beach Street』)と、その目的地までの距離(『50.8km』)を示している。また、左端に表示された旗は、表示されている場所が目的地であることを示すためのマークであり、このマークを表示することによって、『Beach Street』が現在地と誤認しないようにしている。
【0056】
そして、最も手前に位置する建造物420、421に現在の出力レベルをレベル・バー420c、421cを用いて表示し、奥側に位置する建造物420、421には所定時間単位ずつ過去の出力レベルをレベル・バー420b、420a、421b、421aにより表示することもできる。
【0057】
また、車両400の速度に対応して建造物420、421を道路401に沿って手前側に移動させるように表示する場合には、建造物420、421が奥から手前側に移動して消去されるまでの期間中において変化する出力レベルを建造物420、421にバー表示することができる。また、現在の出力レベルを表示しているレベル・バー420a、421aだけは出力レベルに応じてバーの高さが変化するように表示するとともに、手前側に移動してくる建造物420、421のレベル・バー420b、420c、421b、421cについては、移動する直前に表示したバーの高さを固定することにより、ホールド機能を働かせたように過去の出力レベルを保持して表示することができる。これらのように、出力レベルの変化状態を移動する建造物420、421に表示させてエンターテインメント性を向上させることができるようになる。
【0058】
レベル・バー420b、420c、421b、421cは、たとえば、建造物420、421の下部から上部まで所定の同一色を用いて表示する。また、建造物420、421の下部側は薄い色とし上部につれて濃い色となるよう表示してもよい。また、オーディオのレベルメータのように、建造物420、421の下部から所定の高さまでの範囲の色(たとえば緑)と、所定の高さから上部までの範囲の色(たとえば赤)は、異なる色を用いて表示してもよい。
【0059】
また、取得したオーディオ出力情報が左右に独立した(ステレオ)音声信号の場合には、道路401の右側の建造物420には、右側の音声信号の出力レベルに応じたレベル・バー420a〜420cを表示させ、左側の建造物421には、左側の音声信号の出力レベルに応じたレベル・バー421a〜421cを表示させることができる。
【0060】
また、前述の説明では、建造物420、421が架空の建造物であり、この建造物420、421の内部にオーディオ出力情報の出力レベルを表示する例を説明した。建造物420、421は、オーディオ出力情報の出力レベルに応じて高さを変える表示をおこなってもよい。この場合、レベル・バー420a〜420c、421a〜421cの高さが建造物420、421の高さとして表示される。
【0061】
また、表示画面103の最も手前側に表示されている建造物420、421により現在の出力レベルを表示し、奥側に表示されている建造物420、421には未来の出力レベルを表示することもできる。具体的には、取得部101(図1参照)は、あらかじめ音楽などの音声信号を取得しておくことにより、未来の出力レベルを表示画面103に表示することができる。
【0062】
また、前述の説明では、オーディオ出力情報の出力レベルは音量レベルとしたが、オーディオ出力情報の出力レベルは、周波数帯域別の出力レベルとすることもできる。たとえば、表示画面103の奥側の建造物420、421には低音の周波数帯域の出力レベルを表示し、手前側の建造物420、421に高音の周波数帯域の出力レベルを表示することができる。これと逆に、表示画面103の奥側の建造物420、421には高音の周波数帯域の出力レベルを表示し、手前側の建造物420、421に低音の周波数帯域の出力レベルを表示してもよい。
【0063】
また、建造物420、421は、上記地図情報から取得した実際の建造物であってもよい。実際の建造物の場合には、表示画面103に表示される建造物420、421の高さや形状はまちまちであり、特に高さは揃わないことが多い。このため、レベル・バー420a〜420c、421a〜421cの最大の高さ位置は、あらかじめ定めた高さまでの範囲で変更可能なように設定しておいてもよい。また、レベル・バー420a〜420c、421a〜421cの最大の高さ位置は、建造物420、421の高さにかかわらずに一定とし、建造物420、421の最上部を越える表示をおこなってもよい。また、車両400の現在地周辺の建造物420、421の高さの情報に基づいて、この現在地周辺における平均的な建造物420、421の高さを求め、この平均の高さをレベル・バー420a〜420c、421a〜421cの最大の高さ位置として設定してもよい。
【0064】
表示画面103に表示する建造物420、421の大きさは、道路401に沿う方向に対して一定ではなく、大きかったり小さかったりする。このような場合、たとえば、一つの建造物420に複数のレベル・バー420a〜420cを表示させたり、複数の建造物420を用いて一つのレベル・バー420aを表示させることもできる。
【0065】
また、実際に車両400が走行している現在地には、建造物420、421が存在しないこともある。このような場合には、背景である地形と空の境界を用いて複数の領域にそれぞれレベル・バー420a〜420c、421a〜421cを表示したり、川や田畑などの境界を用いて複数の領域にそれぞれレベル・バー420a〜420c、421a〜421cを表示することができる。
【0066】
図5は、車両の現在地に建造物420、421や境界が明確ではない現在地における表示例を示す図である。図5に示す例では、現在地が平坦な地形であり背景として建造物などが表示されていない状態である。このような場合、該当する現在地の地図情報には建造物などの情報がないため、路側帯402aの右側の領域501aと、路側帯402bの左側の領域501bには、何も表示されない。
【0067】
これらの領域501a、501bに、レベル・バー502を表示させる。レベル・バー502は、オーディオ出力情報の出力レベルに応じて道路401の路側帯402a、402bから左右方向に長さが変化する形で表示される。レベル・バー502は、道路401の奥側から手前側に複数表示される。複数のレベル・バー502は、上記のように建造物420、421を用いた場合の各種表示例と同様に、道路401の奥側に現在の出力レベルを表示し手前側に過去の出力レベルを表示したり、ステレオ表示するなど、各種の表示をおこなうことができる。
【0068】
このように、地図情報を用いた表示をおこなう際には、車両400の現在地における道路401と、建造物420、421を3次元に立体的に見えるように表示画面103に表示し、あわせて、表示されている建造物420、421を用いてオーディオ出力情報の出力レベルを表示することができる。地図情報とオーディオ出力情報という、本来は異なる表示形態となる情報を別の領域にそれぞれ表示するのではなく、一つの画面を有効に利用しつつ煩雑になることなく表示することができるため、表示画面103の全体を有効に利用することができるようになる。
【0069】
また、地図情報を用いて道路401と、背景である建造物420、421などを表示する際には、建造物420、421自体の形状(たとえば高さや幅、長さなど)を実際の形状で表示することにより、経路案内時に搭乗者が現在地を確認するために、目安とする必要な建物を表示画面103に表示させることができる。搭乗者は、表示画面103の表示を見ながら車両400の外の実際の建造物を形状にしたがって容易に探し出すことができるようになる。このように、エンターテインメント性と実用性を両立させた表示をおこなうことができる。
【0070】
(情報表示装置の実装例)
図6は、この発明の実施例にかかる情報表示装置の実装の一例を示す説明図である。図6に示すように、車両内の運転席と助手席との間に車載ナビゲーション装置601が装着されている。車載ナビゲーション装置601のディスプレイはオンダッシュ、インダッシュのいずれの方式であってもよい。
【0071】
また、表示画面103は、車載ナビゲーション装置601の表示画面であってもよい。表示画面103が、車載ナビゲーション装置601の表示画面を用いることによって、車載ナビゲーション装置601を備えた車両にあっては、別途表示画面103を装着しなくてもよい。また、車載ナビゲーション装置601の表示画面を用いることによって、運転者だけでなく助手席の同乗者も表示内容を容易に確認することができ、運転のナビゲーションを容易におこなうことができる。このような車載ナビゲーション装置601を用いて、ナビゲーション機能を用いていない場合のエンターテインメント性の向上も図ることができる。
【0072】
以上説明したように、本実施例によれば、車両の走行状態に応じた立体的な表示をおこない、この立体的な表示を利用してオーディオ出力情報を同じ表示画面103に同時に表示できるため、異なる形態の表示内容を煩雑になることがなくいずれも容易に確認できるようになる。また、表示画面103を用いた走行中におけるエンターテインメント性を向上させることができる。ナビゲーション機能を用いる場合には、地図情報を用いて建造物の形状などを実際の構造状態を崩すことなく表示しつつ、表示される建造物を用いてオーディオ出力情報も表示することができ、実用性とエンターテインメント性を両立させた表示がおこなえるようになる。さらに、車両の走行状態に応じて建造物が移動するように表示させ、この建造物の移動の時間と、オーディオ出力情報の時間的変化とを関連付けて表示させることにより、流れる音楽などの出力レベルの変化状態を時間的変化に乗せる形で表示することができるため、エンターテインメント性をさらに向上できるようになる。
【0073】
なお、本実施の形態における情報表示方法は、あらかじめ用意されたコンピュータ読み取り可能なプログラムであってもよく、またそのプログラムをサーバーを含むパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現される。このプログラムは、HD、FD、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】この発明の実施の形態にかかる情報表示装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる情報表示装置の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施例にかかる情報表示装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施例にかかる情報表示装置の表示画面の表示内容の一例を示す説明図である。
【図5】この発明の実施例にかかる情報表示装置の表示画面の表示内容の別の一例を示す説明図である。
【図6】この発明の実施例にかかる情報表示装置の実装の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0075】
101 取得部
102 表示制御部
103 表示画面
400 車両
401 道路
402a、402b 路側帯
411 緯度経度情報表示領域
412 目的地情報表示領域
420、421 建造物
420a〜420c、421a〜421c、502 レベル・バー
601 車載ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される情報表示装置であって、
前記車両の速度情報およびオーディオ出力情報を取得する取得手段と、
表示画面を制御して、道路と、当該道路の脇の建造物とを3次元に立体的に見えるように表示し、前記車両の速度情報に基づいて、前記車両の速度に応じて、前記建造物を移動させて表示するとともに、前記オーディオ出力情報の出力レベルに応じて、前記建造物の表示を動的に変化させるように表示する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、最新の出力レベルに応じて、前記建造物の表示の移動方向における最後部の建造物の表示を動的に変化させ、当該変化を維持しつつ当該移動方向における最先部へ当該建造物を移動させて表示することを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
車両に搭載される情報表示装置であって、
前記車両の現在地情報および当該現在地情報に対応する地図情報と、オーディオ出力情報とを取得する取得手段と、
表示画面を制御して、道路と、当該道路の脇の建造物とを3次元に立体的に見えるように表示し、前記地図情報に基づいて、前記建造物を移動させて表示するとともに、前記オーディオ出力情報の出力レベルに応じて、前記建造物の表示を動的に変化させるように表示する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、最新の出力レベルに応じて、前記建造物の表示の移動方向における最後部の建造物の表示を動的に変化させ、当該変化を維持しつつ当該移動方向における最先部へ当該建造物を移動させて表示することを特徴とする情報表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記取得手段によって取得されたオーディオ出力情報のうちの左側チャンネルの出力レベルに応じて、前記道路の左右のいずれか一方の建造物の表示を動的に変化させ、前記オーディオ出力情報のうちの右側チャンネルの出力レベルに応じて、前記左側チャンネルの出力レベルに応じて表示を動的に変化させた建造物とは別のもう一方の建造物の表示を動的に変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記建造物の形状を動的に変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記建造物の表示形態を動的に変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記道路上に車両を示す画像を表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の情報表示装置。
【請求項7】
車両に搭載される情報表示装置に情報を表示する情報表示方法であって、
前記車両の速度情報およびオーディオ出力情報を取得する取得工程と、
道路と、当該道路の脇の建造物とを3次元に立体的に見えるように表示し、前記車両の速度情報に基づいて、速度に応じて、前記建造物を移動させて表示するとともに、前記オーディオ出力情報に基づいて、出力レベルに応じて、前記建造物の表示を動的に変化させるように表示する表示工程と、
を含み、
前記表示工程では、最新の出力レベルに応じて、前記建造物の移動方向における最後部の建造物の表示を動的に変化させ、当該変化を維持しつつ当該移動方向における最先部へ当該建造物を移動させて表示することを特徴とする情報表示方法。
【請求項8】
車両に搭載される情報表示装置に情報を表示する情報表示方法であって、
前記車両の現在地情報および当該現在地情報に対応する地図情報と、オーディオ出力情報とを取得する取得工程と、
道路と、当該道路の脇の建造物とを3次元に立体的に見えるように表示し、前記地図情報に基づいて、前記建造物を移動させて表示するとともに、前記オーディオ出力情報に基づいて、前記出力レベルに応じて、前記建造物の表示を動的に変化させるように表示する表示工程と、
を含み、
前記表示工程は、最新の出力レベルに応じて、前記建造物の表示の移動方向における最後部の建造物の表示を動的に変化させ、当該変化を維持しつつ当該移動方向における最先部へ当該建造物を移動させて表示することを特徴とする情報表示方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の情報表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする情報表示プログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−162551(P2006−162551A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358399(P2004−358399)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(596125930)パイオニアデザイン株式会社 (21)
【Fターム(参考)】