情報配信システム、情報配信方法およびプログラム
【課題】真に有用な情報のみを配信可能とし、かつリピート率を向上させる。
【解決手段】路側無線装置４０Ａ,４０Ｂから複数のコンテンツを含む情報を受信可能な通信部と、通信部で受信したコンテンツのうち特典を受けることができる情報（所定の情報）を記憶して蓄積するための特定の記憶部と、蓄積された後、再度路側無線装置４０Ａ,４０Ｂとの通信エリアに入った際、特典を受けることができる情報（所定の情報）を特定の記憶部から読み出して路側無線装置４０Ａ,４０Ｂにアップリンクする制御部とを有する車載器２０を含む情報配信システム１０とした。
【解決手段】路側無線装置４０Ａ,４０Ｂから複数のコンテンツを含む情報を受信可能な通信部と、通信部で受信したコンテンツのうち特典を受けることができる情報（所定の情報）を記憶して蓄積するための特定の記憶部と、蓄積された後、再度路側無線装置４０Ａ,４０Ｂとの通信エリアに入った際、特典を受けることができる情報（所定の情報）を特定の記憶部から読み出して路側無線装置４０Ａ,４０Ｂにアップリンクする制御部とを有する車載器２０を含む情報配信システム１０とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、情報配信システム、情報配信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１は、道路に設けた路側機と車両に設けた車載情報端末装置の間で、ＤＳＲＣ（Ｄｅｄｉｃａｔｅｄ Ｓｈｏｒｔ Ｒａｎｇｅ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎｓ：狭域通信）を利用して通信し、路側機近傍を通過する車両に対して、近郊の広告情報をスポット的に提供する広告配信システムを開示する。この広告配信システムにより提供された広告情報は、車載情報端末装置のディスプレイ上に表示されることにより、乗員に広告情報を通知できるようになっている。
【０００３】
特許文献２は、センター装置と車載器が相互通信を行ない、現在地の地域の広告情報を受信することができる広告配信システムを開示する。この広告配信システムにより提供された広告情報は、車両の外方にその広告情報を表示させることにより、ＤＳＲＣ車載器を搭載していない他の車両の乗員にもその広告情報を通知することができるようになっている。
【０００４】
【特許文献１】特開２００１−１０１５８７号公報（特許請求の範囲など）
【特許文献２】特開２００４−２７９５０９号公報（特許請求の範囲など）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、特許文献１および特許文献２に開示されるシステムにおいて配信される広告情報は、個人を特定しないで配信される大衆向けの広告情報であり、必ずしもユーザにとって有益な情報であるとは限らない。
【０００６】
また、サービスや商品を提供する業者は、再度来店してくれるリピーターを増やしたいと考え、クーポンやポイントなどの特典をユーザに与えているが、リピート率が上がっていないのが現状である。これは、特許文献１や特許文献２の広告配信システムを利用しても同様である。
【０００７】
そこで、本発明は、真に有用な情報のみを配信可能とし、かつリピート率の向上が期待される情報配信システム、情報配信方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明に係る情報配信システムは、所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって車両に搭載される端末と、端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、路側無線装置と通信を介して複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムであって、端末は、路側無線装置から複数のコンテンツを含む情報を受信可能な通信部と、通信部で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するための特定の記憶部と、蓄積された後、再度路側無線装置との通信エリアに入った際、所定の情報を特定の記憶部から読み出して路側無線装置にアップリンクする制御部と、を有するものである。
【０００９】
本発明に係る情報配信システムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、端末は、特定の情報を路側無線装置に送信するものである。
【００１０】
本発明に係る情報配信システムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、路側無線装置は、端末からアップリンクされた特典を受けることができる特定の情報を含むものが送信されてきた場合には、特定の情報に対応する特典情報を端末に対して送信するものである。
【００１１】
本発明に係る情報配信システムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、所定の情報は、情報配信サーバを利用するサービス事業者が端末を利用するユーザに対して与える特典情報であり、端末から特典情報を路側無線装置にアップリンクすることにより、特典情報の特典を享受できるものである。
【００１２】
本発明に係る情報配信システムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、特典情報が、異なるサービス事業者間においても共通して利用可能である特典情報の場合には、端末内の異なるサービス事業者毎に保存される他の特定の記憶部に特典情報をそれぞれ記憶させるものである。
【００１３】
本発明に係る情報配信システムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、路側無線装置は、端末からアップリンクされた特典情報が、異なるサービス事業者間においても共通して利用可能である特典情報の場合には、その特典情報に対する応答処理を端末内の異なるサービス事業者の特定の記憶部に対してそれぞれ行なうことができる信号を端末に送信するものである。
【００１４】
本発明に係る情報配信方法は、所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって、車両に搭載される端末と、端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、路側無線装置と通信を介して複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムに用いられる情報配信方法であって、路側無線装置から複数のコンテンツを含む情報を受信するステップと、通信部で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するステップと、蓄積するステップの後、再度路側無線装置との通信エリアに入った際、所定の情報を路側無線装置に対して送信するステップと、を有するものである。
【００１５】
本発明に係る情報配信方法は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、特定の情報を路側無線装置に送信するステップを有するものである。
【００１６】
本発明に係るプログラムは、所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって、車両に搭載される端末と、端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、路側無線装置と通信を介して複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムに用いられるプログラムであって、コンピュータを、路側無線装置から複数のコンテンツを含む情報を受信可能な通信手段、通信手段で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するための特定の記憶手段、特定の記憶手段により記憶した後、再度、路側無線装置の通信エリアに入った際、所定の情報を路側無線装置に対して送信するアップリンク手段として機能させるものである。
【００１７】
本発明に係るプログラムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、特定の情報を路側無線装置に送信する手段として機能させるものである。
【発明の効果】
【００１８】
本発明では、真に有用な情報のみを配信可能とし、かつリピート率の向上が期待される情報配信システム、情報配信方法およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、本発明の実施の形態に係る情報配信システム、情報配信方法およびプログラムについて図面に基づいて説明する。以下の説明では、情報配信システムおよび情報配信方法は、情報配信システム１０の説明の中で併せて説明する。プログラムは、情報配信システム１０の動作説明の中で併せて説明する。
【００２０】
図１に、本実施形態における情報配信システム１０を示す。情報配信システム１０は、センター装置６０（情報配信サーバ）から車両１００に搭載された車載器２０（端末）にコンテンツ情報を配信するシステムである。図１に示すように、センター装置６０は、ＤＳＲＣ専用のネットワーク１１０Ａを介して路上や駐車場、道の駅等に複数設置された路側無線装置４０Ａ、４０Ｂと接続されている。また、センター装置６０は、他の外部ネットワーク１１０Ｂを介して路上や駐車場以外に複数設置された無線アクセスポイント５０（路側無線装置の他の形態）と接続されている。外部ネットワーク１１０Ｂは、インターネット、及びこれに接続された移動体通信網、無線ＬＡＮ（Ｌｏｃａｌ Ａｒｅａ Ｎｅｔｗｏｒｋ）、Ｗｉｍａｘ（Ｗｏｒｌｄｗｉｄｅ Ｉｎｔｅｒｏｐｅｒａｂｉｌｉｔｙ ｆｏｒ Ｍｉｃｒｏｗａｖｅ Ａｃｃｅｓｓ）等の無線通信網を含んでいる。
【００２１】
各路側無線装置４０Ａ、４０Ｂは、ＤＳＲＣ通信機能を備えた車載器２０と無線通信可能に構成され、車載器２０と通信が確立すると、その旨をセンター装置６０に通知し、センター装置６０からコンテンツ情報を受信して車載器２０に送信する。路側無線装置４０Ａは、ＤＳＲＣ専用の独自プロトコルにより車載器２０及びセンター装置６０と通信を行なう。路側無線装置４０Ｂは、ＩＰ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ Ｐｒｏｔｏｃｏｌ）により車載器２０及びセンター装置６０と通信を行なう。
【００２２】
センター装置６０は、ＤＳＲＣの専用ネットワーク１１０Ａまたは外部ネットワーク１１０Ｂを介して車載器２０からのコンテンツ情報の取得要求を受信すると、要求されたコンテンツ情報を車載器２０に送信する。なお、センター装置６０が路側無線装置４０Ａを介して車載器２０に提供するコンテンツ情報は、例えば、車両１００周辺の店舗、駐車場、医療施設等の各種施設のサービス案内である。また、センター装置６０がＤＳＲＣの専用ネットワーク１１０Ａ若しくは外部ネットワーク１１０Ｂを介して、または路側無線装置４０Ｂ若しくは無線アクセスポイント５０を介して車載器２０に提供するコンテンツ情報は、車載器２０でＷｅｂページを表示するためのＨＴＭＬファイルや、Ｗｅｂページを介して提供される画像情報、音楽情報等のマルチメディアコンテンツ等である。
【００２３】
以下、各構成装置について詳細に説明する。
［センター装置］
センター装置６０は、路側無線装置４０Ａ、４０B若しくは無線アクセスポイント５０にサービス事業者から提供される地域情報、広告情報および上記のマルチメディアコンテンツなどを配信する情報配信サーバであり、図４に示すように、入力部６１と、出力部６２と、第１／第２の通信制御部６３，６４と、記憶装置６５と、制御部６６と、ＲＯＭ６７と、ＲＡＭ６８と、システムバス６９とを主要な構成要素とする。なお、図１におけるセンター装置６０は、便宜上１つのサーバとして図示しているが、必ずしも一つである必要はなく、複数のセンター装置６０としてもよい。
【００２４】
入力部６１は、キーボード、マウス、入力インタフェース等を備え、種々のデータや指示を入力する機能を有する。出力部６２は、表示装置などから構成され、データ、メッセージなどを表示する機能を有する。
【００２５】
第１の通信制御部６３は、図1に示すネットワーク１１０Ａを介して他の外部装置（図示せず）と交信し、種々の情報を取得する機能を有する。また、第１の通信制御部６３は、図1に示すネットワーク１１０Ａを介して、１つまたは複数の路側無線装置４０Ａ,４０Ｂに接続され、上述した情報を送信する機能を有する。第２の通信制御部６４は、図1に示すネットワーク１１０Ｂを介して他の外部装置（図示せず）と交信し、種々の情報を取得する機能を有する。また、第２の通信制御部６４は、１つまたは複数の無線アクセスポイント５０に接続され、上述した情報を送信する機能を有する。また、第１の通信制御部６３は、ネットワーク１１０Ａを介して、路側無線装置４０Ａ,４０Ｂが車載器２０との交信などにより得た情報を収集する機能を有しており、同様に第２の通信制御部６４は、ネットワーク１１０Ｂを介して、無線アクセスポイント５０が車載器２０との交信などにより得た情報を収集する機能を有する。
【００２６】
記憶装置６５は、ハードディスク装置等を備え、上述した情報などを格納する機能を有する。制御部６６は、プロセッサ等から構成され、センター装置６０全体の動作を制御する機能を有する。また、制御部６６は、記憶装置６５に格納されている各種情報に基づいて、各路側無線装置４０Ａ,４０Ｂに、その路側無線装置４０Ａ,４０Ｂ近傍から配信する情報を作成し、第１の通信制御部６３及びネットワーク１１０Ａを介して路側無線装置４０Ａ,４０Ｂに供給する機能を有する。
【００２７】
ＲＯＭ６７は、このセンター装置６０全体の動作制御に必要なＯＳ（Ｏｐｅｒａｔｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）や各種のデータを記憶する機能を有する。ＲＡＭ６８は、制御部６６のワークエリアとしての機能を有する。システムバス６９は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路としての機能を有する。
【００２８】
なお、センター装置６０は、上述した機能を情報処理や通信制御を行なう制御部、記憶部等を備えたコンピュータ端末により構成することができる。
【００２９】
［路側無線装置］
図１に示す路側無線装置４０Ａ、４０Ｂは、図３に示す路側無線装置４０のように本体装置４０１とアンテナ４０２とを主要な構成要素としている。図３に示すように、路側無線装置４０は、道路脇や道路上方、駐車場、道の駅等に設置されたアンテナ４０２から、到達距離が限定されたＤＳＲＣの電波を放射して近傍に路側エリアＺを形成する。この路側エリアＺ内にある車両１００の車載器２０とだけ双方向の狭域無線通信が可能となる。以下、路側無線装置４０と車載器２０間の狭域無線通信を「路車間通信」という場合がある。なお、路側無線装置４０と同様の路側無線装置として、図１に示すように無線アクセスポイント５０を使用してもよい。以下の説明では、路側無線装置４０について説明する。
【００３０】
ＤＳＲＣは５．８ＧＨｚ帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。路側無線装置４０からのＤＳＲＣの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置４０がそれぞれ形成する路側エリアＺは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【００３１】
本体装置４０１は、車載器２０とセンター装置６０間の情報のやりとりを仲介するための処理を行なう。すなわち、アンテナ４０２を介して車載器２０から受信された情報をネットワーク１１０Ａを介してセンター装置６０に転送し、センター装置６０から送信されたコンテンツ情報を車載器２０へ転送する。本体装置４０１は、情報処理や通信制御を行なう制御部、記憶部等を備えたコンピュータ端末を適用することができる。
【００３２】
なお、図１に示す路側無線装置４０Ａに使用される本体装置の制御部は、ＤＳＲＣ専用のプロトコルにより車載器２０との通信制御を行なう。また、図１に示す路側無線装置４０Ｂの本体装置の制御部は、インターネットプロトコルにより車載器２０との通信制御を行なう。
【００３３】
［車載器］
車載器２０は、図４に示すようにＤＳＲＣ部２１と、ナビ部２７と、それらを制御部３４とを主要な構成要素としている。以下、具体的に説明する。
【００３４】
ＤＳＲＣ部２１は、図４に示すように、更に送受信部／変復調部２２と、ＤＳＲＣ制御部２３と、ＤＳＲＣ−ＡＳＬ処理部２４と、メモリ部２５と、ヒューマンマシンインタフェース部２６と、を主要な構成要素としている。
【００３５】
送受信部／変復調部２２は、インタフェース（ＤＳＲＣプロトコルの物理層に相当するインタフェース）を実装している。また、送受信部／変復調部２２は、受信した電波をデジタル変調／復調する機能（ＡＳＫ／ＱＳＰＫ）を有する。ＤＳＲＣ制御部２３は、路側無線装置４０とのＤＳＲＣ通信を行なう。具体的には、インタフェース（ＤＳＲＣプロトコルのデータリンク層およびアプリケーション層に相当するインタフェース）を実装し、路側無線装置４０と５．８ＧＨｚ帯の無線通信を行なうことができる。また、ＤＳＲＣ制御部２３は、送信されてきたデータのフレーム内に含まれる識別子（ＥＩＤ）により車載器２０内の対応するアプリケーション（図示せず）を特定することができる。
【００３６】
ＤＳＲＣ−ＡＳＬ処理部２４は、基本アプリケーション処理およびセキュリティプラットフォームを提供する。具体的には、通信インタフェースを実装し、車載器２０にインストールされている各アプリケーション（図示せず）と路側無線装置４０との間でＤＳＲＣ−ＡＳＬによる通信制御を行なう。
【００３７】
上述した送受信部／変復調部２２、ＤＳＲＣ制御部２３およびＤＳＲＣ−ＡＳＬ処理部２４は、ＩＰを用いた通信制御を行なう、いわゆるＩＰ系通信と、ＩＰを用いずその他の通信プロトコルで通信制御を行なう、いわゆる非ＩＰ系通信のそれぞれに対して通信インタフェースを提供する。
【００３８】
メモリ部２５は、例えば、フラッシュメモリ等によって構成されており、制御部３４が実行する基本的なプログラムを格納している。また、メモリ部２５は、ＣＰＵ（図示外）が演算処理を実行する際に、演算途中のプログラムまたはデータを一時的に記憶する。また、メモリ部２５は、路側無線装置４から送信されてきた各種コンテンツを記録して蓄積することができる。
【００３９】
ヒューマンマシンインタフェース部２６は、非ＩＰ系通信およびＩＰ系通信に対応したインタフェースを提供する機能を有する。具体的には、ＩＰ系通信に用いるＤＳＲＣ応用サービスに対応するためのＨＴＴＰ（Ｈｙｐｅｒ Ｔｅｘｔ Ｔｒａｎｓｆｅｒ Ｐｒｏｔｃｏｌ）ブラウザ（たとえばＨＴＭＬ４．０１，ＣＳＳ１及びＣＳＳ２など）、ＩＰ系／非ＩＰ系通信に用いるＤＳＲＣ応用サービスに対応するための文字コーデック（たとえばＪＩＳ、ＵＮＩＣＯＤＥなど），音声コーデック（たとえばＴＴＳ，ＭＰ３など），画像コーデック（たとえばＪＰＥＧ、ＧＩＦなど），動画コーデック（たとえばＭＰＥＧ４）などを搭載している。
【００４０】
ナビ部２７は、図４に示すように、更にナビデータ処理部２８と、ヒューマンマシンインタフェース部２９と、高精度測位計測部３０と、地図データ部３１と、操作部３２と、表示部３３と、を主要な構成要素とする。ナビ部２７は、主にカーナビゲーションシステムとしての機能を有する。
【００４１】
ナビデータ処理部２８は、情報提供制御機能および情報収集機能を有する。情報提供制御機能は、非ＩＰ系通信への対応として，優先表示，情報提供判断及び情報蓄積等の情報提供を制御する機能である。情報収集機能は、ナビ部２７が保持又は蓄積している車両内情報を，ＤＳＲＣ部２１を通して路側無線装置４０へ送信する機能、すなわちアップリンクをする機能である。なお、ヒューマンマシンインタフェース部２９は、上述したヒューマンマシンインタフェース部２６と同様の機能であるため、説明を省略する。
【００４２】
高精度測位計測部３０は、ＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）受信機やジャイロセンサを有し、それらにより測位計測を行ない，車両１００の位置を常に把握する機能を有する。地図データ部３１は、高精度測位計測部３０による車両１００の位置にマッチングした現在地の地図データを提供する機能を有する。また、地図データ部３１は、目的地まで誘導できる地図データを提供することができる。なお、地図データ部３０の有する地図データは、メモリ部２５に記憶されている。操作部３２は、釦やリモコンによる操作や、表示部３３の表示画面へのタッチパネル操作、音声指示による操作ができる機能を有する。表示部３３は、ＤＳＲＣ応用サービスに対応した画面表示案内やスピーカを使用した音声案内を行なうことができる機能を有する。制御部３４は、上述したＤＳＲＣ部２１と、ナビ部２７に含まれるすべての処理に関してＣＰＵ（図示外）等により演算／制御する機能を有する。
【００４３】
続いて、路車間通信で行なわれるトランザクションについて図５を用いて説明する。この図５に示すトランザクションは、車載器２０に電源が投入された時から、路側無線装置４０の通信エリアＺ内に車載器２０が進入し（以下、この進入時点を「エリアイン」という）、車載器２０が通信エリアＺ外に移動する時（以下、この時点を「エリアアウト」という）までの各部の通信処理を示すものである。以下、各ステップについて説明する。
【００４４】
ステップＳ１００：車載器２０の一部であるナビ部２７およびＤＳＲＣ部２１は、車載器２０の電源が投入されると、ナビ部２７からＤＳＲＣ部２１にクライアントインフォメーションデータが書き込まれる。クライアントインフォメーションデータには、通信エリアＺ内にいる車載器２０が再生可能なコンテンツの種類や、車載器２０が搭載するコンテンツ再生アプリケーション等の情報が含まれる。また、車載器２０が対応可能な言語情報、ナビ部２１の有する測地系情報（日本または世界の測地系情報）、対応可能なＤＲＭ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｒｉｇｈｔｓ Ｍａｎａｇｅｍａｅｎｔ）、搭載している表示部（ディスプレイ）の解像度、蓄積可能なデータ量等もサプリメントインフォ情報としてクライアントインフォメーションデータと合わせて通知が可能となっている。
【００４５】
ステップＳ１０１：車載器２０を搭載した車両がエリアインすると、路側無線装置４０と車載器２０の間で個別ＰＵＳＨ型配信の通信を確立すべく、ＤＳＲＣ接続処理（たとえば、ＤＳＲＣ−ＳＰＦにおける認証処理）が行なわれる。なお、ＤＳＲＣ接続処理の詳細については、省略する。
【００４６】
ステップＳ１０２：路側無線装置４０とＤＳＲＣ部２１は、ＤＳＲＣ接続処理が完了すると、センター装置６０およびナビ部２７に対してそれぞれＤＳＲＣ接続通知を行なう。
【００４７】
ステップＳ１０３：ＤＳＲＣ部２１は、路側無線装置４０に対してナビ部２７により書き込まれたクライアントインフォメーションデータを送信する（アップリンク）。また、路側無線装置４０は、上述したクライアントインフォメーションデータをセンター装置６０に通知することができる。なお、このステップＳ１０３は、クライアント情報通知コマンドに相当する。
【００４８】
ステップＳ１０４：センター装置６０は、ステップＳ１０３で通知されたクライアントインフォメーションデータに基づき、車載器２０自体を一意に識別することができるＡＳＬ−ＩＤを用いた会員判別や、その車載器２０が有する機能情報を解析して、車載器２０に適したコンテンツをマルチコンテンツフォーマットで編成して、路側無線装置４０に受け渡す。センター装置６０は、これらのクライアントインフォメーションデータから車載器２０で再生可能なコンテンツや車載器２０が保有する機能が分かるため、最適なコンテンツを編成して配信することが可能となる。また、センター装置６０は、車載器ＩＤ通知コマンド等を用いることにより、車載器２０固有のＩＤを取得することも可能であるため、車載器２０を特定することが可能となる。また、たとえば、センター装置６０および／または路側無線装置４０において、保有する顧客ＤＢ等と車載器２０の固有ＩＤを照合するにより、車載器２０の搭載された車両１００を特定することも可能となる。路側無線装置４０は受け取ったコンテンツを車載器２０のＤＳＲＣ部２１へ配信する。ＤＳＲＣ部２１は、ナビ部２７にそのコンテンツを配信する。なお、ＡＳＬ−ＩＤ等による会員判別の詳細については、本発明の対象外であるため、省略する。
【００４９】
ステップＳ１０５：センター装置６０は、ステップＳ１０４の処理以降、路側無線装置４０を介して、後述する特定の記憶部であるアップリンクタグエリア（図示せず）に情報が書き込まれていないかを確認するため、車載器２０に対して定期的にポーリングを行なう。このポーリングによりアップリンクタグエリアに情報が書き込まれている場合には、その情報を取得し、書き込まれていない場合には、更にポーリングを続ける。
【００５０】
ステップＳ１０６：ナビ部２７は、ステップＳ１０４で受け取ったコンテンツからサービス事業者を判別して、そのサービス事業者用のアップリンク用データをＤＳＲＣ部２１の特定の記憶部としてのアップリンクタグエリアに書き込む。ただし、ナビ部２７は、そのサービス事業者用のアップリンク用データが存在しない場合や、そのサービス事業者の非会員である場合にはそのアップリンクタグエリアには書き込まない。
【００５１】
ステップＳ１０７：ＤＳＲＣ部２１は、ステップＳ１０６において特定の記憶部としてのアップリンクタグエリアに情報が書き込まれた場合には、その情報を路側無線装置４０に通知（アップリンク）する（以下、このステップにて処理する情報を「アップリンク情報」という）。路側無線装置４０は、そのアップリンク情報をセンター装置６０へ受け渡す。
【００５２】
ステップＳ１０８：センター装置６０は、ステップＳ１０７の処理以降、路側無線装置４０を介して、特定の記憶部としてのアップリンクタグエリアに情報が更新されていないか、定期的にポーリングを行なう。このポーリングにより特定の記憶部としてのアップリンクタグエリアの情報が更新されている場合には、その情報を取得し、更新されていない場合には、更にポーリングを続ける。
【００５３】
ステップＳ１０９：センター装置６０は、ステップＳ１０７によって、アップリンク情報を取得したときは、その情報に基づき、会員嗜好に適したコンテンツをマルチコンテンツフォーマットで編成して、路側無線装置４０に配信する（以下、このステップの処理を「ダウンリンク」という）。路側無線装置４０は、配信されたコンテンツをＤＳＲＣ部２１に逆配信する。ＤＳＲＣ部２１は、配信されたコンテンツを解析してナビ部２７に適宜データを送信する。
【００５４】
ステップＳ１１０：センター装置６０は、嗜好データに適したコンテンツの配信が終了したときは、その旨をＤＳＲＣ部２１に対して通知してエリアアウトを促す。これは、1台の車両が長時間にわたり通信エリアを占領すると、他の会員へのサービスが提供できなくなるためである。しかし、このエリアアウトを促す通知を行なわないようにしてもよい。
【００５５】
続いて、上述したトランザクション上でやり取りされるマルチコンテンツフォーマットについて説明する。マルチコンテンツフォーマットは、ひとつのデータ形式で様々なＤＳＲＣ応用サービスに対応できるようにＩＤ別に構成された複合フォーマットを構成している。また、目的に応じて必要な項目（ＩＤ）のみで配信コンテンツを構成可能なデータフォーマットでもある。このマルチコンテンツフォーマットを利用することで、ＰＵＳＨ型配信であるＤＳＲＣ通信においても、個人の趣味・嗜好等に即した個別のＰＵＳＨ型配信を可能にしている。また、このマルチコンテンツフォーマットで提供されるコンテンツは、車載器２０に一度、蓄積されて、特定の条件を満たした場合に、再生される仕組みも可能となっている。したがって、ＤＳＲＣ通信により情報を送受信するためには、その特定の通信エリア内に留まっていないと行なうことができないが、受信した情報を蓄積して記憶させておくことで、エリア外でも情報を再生することが可能となる。更に、地域情報や広告情報などのコンテンツの再生タイミングを設定しておくことで、ユーザのニーズに合わせた情報を配信することを可能にしている。また、マルチコンテンツフォーマットは、配信データ量を抑えて、ネットワークトラフィックを低減することが可能となっている。
【００５６】
図６は、マルチコンテンツフォーマットで編成されたデータ群（以下、このデータ群を「情報グループ」という）示す図である。図６に示すように、情報グループ１〜情報グループｎまでの複数の情報グループを含む受信データが、路側無線装置４０から車載器２０へ送信されてくる。これらの複数の情報グループそれぞれには、基本的な情報が含まれているＩＤ００,ＩＤ０１等の基本的な情報と、他の区分項目であるＩＤ等の情報から構成されている。これらの情報グループは、必ずしも全ての区分ＩＤの情報を含んでいる訳ではなく、必要なものだけ含んで送信されてくる。
【００５７】
したがって、このマルチコンテンツフォーマットは、受信後に配信された順番通りにデータを再生する以外に、カーナビゲーションの機能と連動して特定の場所でコンテンツを再生することや、特定の場所への誘導も可能となっている。更に、このマルチコンテンツフォーマットは、配信を受けた車載器２０内にデータを蓄積することも可能であるため、路側無線装置４０の通信エリア外でも配信データを活用することができる。
【００５８】
また、車載機２０が、データの配信元を考慮した動作をすることが可能なため、スパム防止にも役立つ。マルチコンテンツフォーマットは、車載器２０からセンター装置６０へのアップリンク機能も可能となっている。また、マルチコンテンツフォーマットは、車載器２０に設定されている目的地や立ち寄り地の情報を始め、行動履歴や配信されたコンテンツの視聴履歴を採ることも可能となっている。
【００５９】
［コンテンツ情報のデータ構成］
続いて、マルチコンテンツフォーマットであるコンテンツ情報のデータ構成について、具体的に説明する。図７に、図６に示す配信データに含まれるコンテンツ情報に基づき表示される表示画面遷移例を示す。図８に、図６に示す配信データに含まれるコンテンツ情報のデータフォーマットの一例を示す。
【００６０】
図７に示す各画面Ｄ１〜Ｄ６は、それぞれ１つのコンテンツ情報に基づいて表示される画面である。１つのコンテンツ情報は、図８に示すように、ＩＤ００〜ＩＤ２５６により分類される情報が格納可能なファイルにより構成され、提供するコンテンツの内容に応じて必要な情報が格納されている。このマルチコンテンツフォーマットのデータ構成を利用することで、配信したコンテンツの様々な動作を規定することができる。また、配信されるコンテンツは、複数のＩＤが付与されたコンテンツから構成されているため、コンテンツの動作ごとに構成を変えることが可能となっている。
【００６１】
ここで、ＩＤ００〜ＩＤ２５６に分類される情報のうち、本実施の形態に必要な主要な情報について説明する。
【００６２】
ＩＤ００に分類される「ＩＤ構成情報」は、図８に示すように、配信するコンテンツに含まれているＩＤ情報を記載する領域である。ＩＤ＝００のデータ形式には、図９に示すように「情報バイト数」と「項目有無情報」とを有する。「情報バイト数」は、ＩＤ＝００の全体のデータ量を示す領域である。これにより、車載器２０側で受信可能なデータであるか否かを判定することもできる。「項目有無情報」は、情報を構成するＩＤを小さい順に２バイト単位で記述できる領域である。ここに、配信コンテンツに含まれるＩＤすべてが記載されている。
【００６３】
ＩＤ０１に分類される「事業者情報」は、図８に示すように、当該コンテンツを配信するサービス事業者に関する情報である。ＩＤ＝０１のデータ形式には、図９に示すようにコンテンツを提供するサービス事業者の「サービス事業者コード」、「サービス事業者発話用表音文字列」、「事業者名表示用テキスト」等が含まれる。
【００６４】
ＩＤ０２に分類される「コンテンツ属性情報」は、図８に示すように、当該コンテンツの属性を示す情報であり、図示しないが、たとえばコンテンツを提供する情報提供企業の「情報提供企業コード」、「情報提供企業名表示用テキスト」、コンテンツを特定するための「情報コード」、コンテンツの内容を示す「情報タイトル表示用テキスト」、コンテンツのカテゴリを示す「嗜好データカテゴリ情報」等が含まれる。なお、このコンテンツ情報は、階層構造をなしており（例えば、図７においては、最上位からＤ１→Ｄ２→Ｄ３→Ｄ４→Ｄ５→Ｄ６）、本実施の形態においては、情報コードにより、各コンテンツ情報の階層を識別可能であることとする。
【００６５】
ＩＤ１０に分類される「対象地点情報」は、図８および図１０に示すように、当該コンテンツにより案内されるサービスが提供される地点（対象地点という）に関する情報や当該コンテンツの実データを含む。「対象地点情報」は、対象地点の緯度経度を示す「対象地点座標情報」、対象地点で提供されるサービスや店舗の名称を示す「サービス名称表示用テキスト」、サービスの説明用テキスト情報である「表示用文字データ」、サービス案内を表示するための「表示用画像データ」、サービスの音声案内のための「表音文字列データ」及び「圧縮音声データ」、当該コンテンツの内容に関連する情報を提供するＷｅｂページの格納場所のアドレスを示す「ＵＲＬ情報」、対象地点以外の提携駐車場を示す「提携駐車場情報」、対象地点を地図画面上に表示する際の「アイコン画像情報」等が含まれる。
【００６６】
例えば、図７の画面Ｄ６を表示するためのコンテンツ情報には、ＩＤ０１、０２、０４、１０の情報はすべて必要であるため、ＩＤ０１、０２、０４、１０の情報の全てが格納されている。図７の画面Ｄ１〜Ｄ５のそれぞれを表示するためのコンテンツ情報には、ＩＤ０２の「嗜好データカテゴリ情報」、ＩＤ１０の「対象地点座標情報」、「サービス名称表示用テキスト」、「ＵＲＬ情報」、「提携駐車場情報」、「アイコン画像情報」等は必要ではないため、これらの情報は格納されていない。
【００６７】
ＩＤ３０に分類される「遷移情報」は、図８に示すように、画面遷移情報等が含まれる。この情報により、上述したような画面遷移を行なうことができる。ＩＤ４０に分類される「詳細情報」は、図８および図１１に示すように、詳細情報が書き込める汎用的な領域が含まれる。「詳細情報」とは、たとえば、このＩＤ４０と共に配信されてきた情報に関連した情報や付随した情報のことである。車載器２０は、この詳細情報に記載された情報（詳細情報1〜８）を受信すると、詳細情報に含まれるコピーコントロールフラグを判断してその内容を後述するアップリンクの会員情報１〜８（図１３参照）に記述し、アップリンク時に路側無線装置４０に通知する。会員毎に固有の特典等のＩＤを配信することにより、最大８つの固有の情報を提供できるため、次のような会員特典等の配布を行なうことができる。
【００６８】
たとえば、配信コンテンツごとに固有の特典を定めたＩＤを決めて、コンテンツにそのＩＤを付加して配信することにより、次回のエリアイン時に特典を配信することができる。また、ポイント等のデータを記載することにより、エリアイン時に利用者のポイントを確認することが可能である。また、複数のセンター装置６０間で連携を取らなくても、「詳細情報1にポイントを記載する。」という取り決めをサービス事業車間で取り決めれば、共通ポイントとしての加算や減算が可能である。詳細情報は、後述するように１６バイトの記述が可能なため、改ざんを回避した暗号化されたＩＤを付与することも可能である。
【００６９】
ＩＤ８０に分類される「嗜好データ」は、図８および図１２に示すように、「同一内ＩＤ内情報提供件数」、「嗜好データバージョン情報」、「嗜好データ１〜１２７」等が含まれる。「嗜好データ」とは、車載器２０を利用しているユーザの行動履歴や選択した趣味・嗜好が、蓄積されたまたは記憶されたデータのことである。この嗜好データ領域については、サービス事業者ごとに自由に構成を変更することができる領域である。この嗜好データに基づいてユーザが望むコンテンツ配信を行なうため、配信したコンテンツの利用率の向上が望め、車載器２０の利用者満足度の向上にもつなげることができる。
【００７０】
なお、嗜好データに関しては、たとえば、サービス事業者毎に最大９６項目の設定が可能（残り３１項目は未使用）とすれば、汎用的な情報提供サービスから特定分野の詳細な情報提供サービスまでの幅広いコンテンツ配信が可能となる。嗜好データテーブルには、上述した通り、バージョン情報が付加されており、サービス事業者の意向により嗜好データの構成を変更することが可能である。嗜好データテーブルは、車載器２０からのアップリンク情報であり、センター装置６０がバージョン情報を入手できるので、車載器２０が保存している嗜好データテーブルをセンター装置６０が更新する事も可能である。また、嗜好データ９６項目中所定数の項目、たとえば１２項目は、公共情報提供サービス目的に利用して、ＤＳＲＣ通信において情報提供を行なう際に標準で配信する情報項目としてもよい。
【００７１】
続いて、車載器２０から路側無線装置４０に対して行なうアップリンクのデータ形式について図１３を用いて説明する。図１３は、図１に示す車載器２０から路側無線装置４０に対して行なうアップリンクのデータ形式を示す図である。
【００７２】
図１３に示すアップリンク情報には、「基本情報」、「累計走行距離」、「嗜好データテーブルバージョン」、「嗜好ジャンルデータ」、「会員情報」などが含まれる。なお、図１３に示すアップリンク情報は、個人情報として扱われる可能性のある情報が含まれるため、利用者の設定によりサービス事業者が利用者と契約を交わしていることの確認が行われて、はじめてアップリンクを行なうことが望ましい。
【００７３】
図１３に示す「基本情報」には、サービス事業者コードや車載器２０に設定されている「目的地」と「経由地」の緯度／経度情報が含まれる。車載器２０に設置されている「目的地」の緯度／経度情報を元に、目的地方面の情報提供を行ったり、目的地方面の情報提供地点(ＤＳＲＣ通信が可能な場所)等の情報を配信したりすることが可能である。なお、車載器２０に設定されている「経由地」の緯度／経度は、最大５箇所まで登録可能であり、車載器２０に設置されている経由地の緯度／経度情報を元に、経由地方面の情報提供を行ったり、経由地方面の情報提供地点(ＤＳＲＣ通信が可能な場所)等の情報を配信したりすることが可能である。
【００７４】
図１３に示す「累計走行距離」には、車両１００に車載器２０が搭載された時点からの走行距離が記憶される。なお、車両１００の走行開始時点からの走行距離が記憶される項目を設けても良い。「嗜好データテーブルバージョン」は、車載器２０が蓄積／アップリンクした嗜好データのバージョンが分かるので、アップリンクされた嗜好データ解析に利用できる。なお、路側無線装置４０は、嗜好データテーブルを更新する際に、利用者の煩わしさ低減のため、旧バージョンの嗜好データの設定値を新バージョンの嗜好データテーブルの設定値に反映することが好ましい。
【００７５】
図１３に示す「嗜好ジャンルデータ」には、上述した通り、サービス事業者により最大９６項目(内１２項目は公共情報提供サービス用にリザーブ)の嗜好データテーブルを自由に設定することができる。サービス事業者の事業内容に応じて、利用者の嗜好に合わせて細分化した情報提供が可能となるため、配信した情報の再生率向上が見込まれる。なお、このテーブルは、サービス事業者が作成して、路側無線装置４０から送信されるものである。
【００７６】
図１３に示す「会員情報」には、基本的にはダウンリンクのＩＤ＝４０で配信された詳細情報１〜８と同一内容を会員情報１〜８に記録することができる。本実施の形態では、この会員情報１〜８の記憶域にセンター装置６０から配信されてきたコンテンツに含まれる会員特典またはクーポン情報を書き込んで、保存することで、会員特典の配布を実現している。なお、この会員特典等の配布処理や会員特典等の使用処理および記憶処理の詳細なフローについては後述する。
【００７７】
車載器２０は、アップリンクのデータ形式中の「会員情報８」の欄に対し保存できた最新の情報コードを記述するようにしてもよい。この場合、センター装置６０は、通信が切断した際、「会員情報８」を読み取ることで、車載器２０が保存できた情報が理解できるため、続きの情報から配信を行なうことが可能である。利用者は、情報配信を受ける際に通信が何らかの要因で切断しても、続きから情報配信を受けることが可能なため、通信遮断による時間的なロスを低減することが可能である。なお、アップリンク情報には、上述した項目以外にも図示外の「過去立寄地情報」や「広告視聴履歴情報」を有することとしてもよい。
【００７８】
続いて、上述した構成による情報配信システム１０において路側無線装置４０が行なう会員特典の配布処理について図１４を用いて説明する。図１４は、図1に示す路側無線装置４０が会員特典を配布する処理を示すフローチャート図である。
【００７９】
ＳＴＡＲＴ：路側無線装置４０は、車載器２０がエリアインした後に、所定のＤＳＲＣ通信接続処理および会員認証処理が完了すると、会員特典の配布処理を開始する（図５に示すステップＳ１００〜ステップＳ１０４に相当）。会員認証処理において、会員であると判断したときに、特典を受けることができるユーザ（会員）であるか否かの判断を更に行ない、ステップＳ１２０以降の特典の配布処理を行なう。
【００８０】
ステップＳ１２０：路側無線装置４０は、車載器２０からのアップリンク情報を受信したか否かを判定する。路側無線装置４０は、受信した場合にはステップＳ１２１の処理を行ない、受信しない場合には、定期的に車載器２０に対してポーリングを行ない、ステップＳ１２０の判定処理を継続する（図５に示すステップＳ１０５に相当）。
【００８１】
ステップＳ１２１：路側無線装置４０は、ステップＳ１２０において車載器２０からのアップリンク情報を受信した場合には、アップリンク情報に含まれるサービス事業者コードを取得して、ステップＳ１２２へ処理を進める（図５に示すステップＳ１０７に相当）。
【００８２】
ステップＳ１２２：路側無線装置４０は、サービス事業者コードからクーポン情報などの特典情報（所定の情報）があるか否かを判定する。センター装置６０は、クーポン情報などの特典情報がある場合には、ステップＳ１２３の処理を行なう。具体的には、ダウンリンクデータのＩＤ＝４０に対象となるクーポン情報などの特典情報（特典を受けることができる特定の情報）をＩＤと共に書き込む。クーポン情報などの特典情報がない場合には、ステップＳ１２４の処理を行なう。路側無線装置４０は、さらにＩＤ４０のデータにクーポン情報などの特典情報を書き込んだコンテンツを路側無線装置４０に配信する。これによって会員特典の配布処理を終了する（ＥＮＤ）。なお、配信されたコンテンツは、路側無線装置４０から車載器２０に配信される。たとえば、図１１に示す詳細情報１にクーポン情報などの特典情報を書き込む。
【００８３】
ステップＳ１２４：路側無線装置４０は、認証されたサービス事業者が提供するクーポン情報などの特典情報が無い場合、ステップＳ１２２の判定処理を終了して、会員特典の配布処理を終了する（ＥＮＤ）。
【００８４】
このように、路側無線装置４０は、ＩＤ＝４０として配信される詳細情報１〜８のいずれかの書き込み領域に、クーポン情報などの特典情報を書き込むための専用の領域として設定することで、会員特典等の配布を行なうことができる。
【００８５】
続いて、車載器２０における会員特典の取得処理および利用処理について図１５を用いて説明する。図１５は、図１に示す情報配信システム１０における会員特典の取得処理および利用処理を示すフローチャート図である。
【００８６】
ＳＴＡＲＴ：車載器２０は、センター装置６０からのダウンリンクが開始されると（図５に示すステップＳ１０９に相当）、会員特典の取得処理および利用処理を開始する。
【００８７】
ステップＳ１３０：車載器２０は、ダウンリンクフレーム内のＩＤ４０が含まれている場合に、その詳細情報内にクーポン情報などの特典情報（特典を受けることができる特定の情報）が書き込まれているか否かを判定する。車載器２０は、クーポン情報などの特典情報が書き込まれていない場合には、ステップＳ１３１の処理を行ない、書き込まれている場合には、ステップＳ１３２の処理を行なう。たとえば、図１１に示す「詳細情報１」の欄に情報が書き込まれていれば、クーポン情報などの特典情報が有ると判定を行ない、書き込まれていなければ、クーポン情報などの特典情報が無いと判定する。
【００８８】
ステップＳ１３１：車載器２０は、ステップＳ１３０の判定処理を終了して、会員特典の取得処理および利用処理を終了する（ＥＮＤ）。
【００８９】
ステップＳ１３２：車載器２０は、特典を利用するか否かを判定する。具体的には、表示部３３に特典の使用可否を確認する画面または釦を生成させて、ユーザにその使用可否を選択させる。ユーザが利用しない場合にはステップＳ１３３の処理を行ない、利用する場合には、ステップＳ１３４の処理を行なう。
【００９０】
ステップＳ１３３：車載器２０は、特定コード（所定の情報／特典を受けることができる特定の情報）をメモリ部２５などの記憶部等に書き込んで、会員特典の取得処理および利用処理を終了する（ＥＮＤ）。
【００９１】
ステップＳ１３４：車載器２０は、ステップＳ１３１の判定処理を終了する（ＥＮＤ）。なお、センター装置６０に特典を使用する通知が送信されることにより所定の特典情報に基づいた処理が行なわれ、会員特典の取得処理および利用処理を終了する。
【００９２】
このように、車載器２０は、配信されたコンテンツの特定の領域に、所定の情報として書き込まれているか否かを判定することで、クーポン情報などの特典情報の有無を判定して、その使用意思をユーザに確認させる。そして、その時に利用しない場合には、特定の記憶部等に特定コード（特典を受けることができる特定の情報）として書き込むことで、次回、アップリンク時にそのクーポン情報などの特典情報の有無を路側無線装置４０側に通知することができる。
【００９３】
続いて、異なるサービス事業者間において特典を共通して利用可能である場合の会員特典の配布処理について図１６を用いて説明する。図１６は、図１に示す情報配信システム１０における異なるサービス事業者間において特典が共通して利用可能である場合の会員特典の配布処理を示すフローチャート図である。なお、図１６に示すフローチャート図のＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１４２までは、図１４に示すフローチャート図のＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１２２までの処理と同一の処理であるため、ＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１４２までの説明を省略する。
【００９４】
ステップＳ１４３：路側無線装置４０は、異なるサービス事業者間において特典を共通して利用可能であるか否かの判定をする。たとえば、異なるサービス事業者であるＡ事業者のコードを「１２３４５６・・・」とし、Ｂ事業者の事業者コードを「１２３７５６・・・」として、事業者コードの先頭３桁に共通のコード（たとえば、「１２３」を共通のコードとする）を付与する。このように設定した場合、これらのサービス事業者間における会員特典情報については、共通して利用可能であるという判定を行なう。この判定により特典が共通して利用可能でない場合には、ステップＳ１４６の処理を行ない、共通して利用可能である場合には、ステップＳ１４５の処理を行なう。
【００９５】
ステップＳ１４５：路側無線装置４０は、ＩＤ４０の共通の詳細情報の欄にクーポン情報などの特典情報（特典を受けることができる特定の情報）を書き込んだ情報を車載器２０へ送信して、会員特典の配布処理を終了する（ＥＮＤ）。たとえば、Ａ事業者の配信コンテンツである場合には、Ａ事業者およびＢ事業者のＩＤ＝４０の共通の詳細情報の領域（たとえば図１１に示す詳細情報２を共通領域とした場合）にクーポン情報などの特典情報を書き込むことになる。
【００９６】
ステップＳ１４６：路側無線装置４０は、対象となる事業者のＩＤ４０の詳細情報の欄にクーポン情報などの特典情報を書き込んだ情報を車載器２０へ送信して、会員特典の配布処理を終了する（ＥＮＤ）。たとえば、Ａ事業者やＢ事業者の先頭の３桁とは異なる事業者コードを有するＣ事業者からの配信コンテンツである場合には、通常通りＣ事業者のＩＤ＝４０の詳細情報の欄（たとえば図１１に示す詳細情報１）にクーポン情報などの特典情報を書き込むことになる。
【００９７】
このように、路側無線装置４０は、ＩＤ＝４０として配信される詳細情報１〜８の書き込み領域に、通常のクーポン情報などの特典情報を書き込む領域（たとえば図１１に示す詳細情報１）と、共通して利用可能であるクーポン情報などの特典情報を書き込む領域（図１１に示す詳細情報１以外の詳細情報の領域、たとえば詳細情報２）とをそれぞれ設けて、事業者コードによる判別を行なうことにより、異なるサービス事業者間において共通して利用可能であるか否かを判別して、異なる事業者間でも利用可能な会員特典等の配布を行なうことができる。
【００９８】
続いて、異なるサービス事業者間において特典が共通して利用可能である場合の会員特典の取得処理および利用処理について図１７を用いて説明する。図１７は、図１に示す情報配信システム１０における異なるサービス事業者間において特典が共通して利用可能である場合の会員特典の取得処理および利用処理を示すフローチャート図である。なお、図１５に示すフローチャート図のＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１３２と、図１７に示すフローチャート図のＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１５２までの処理は同一の処理であるため、ＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１５２までの説明を省略する。
【００９９】
ステップＳ１５３：車載器２０は、メモリ部２５などの記憶部等にクーポン情報などの特典情報（特典を受けることができる特定の情報）を書き込んで、会員特典の取得処理および利用処理を終了する（ＥＮＤ）。このように共通して利用可能な複数のサービス事業者の共通使用される領域に特典情報を書き込むことで、特典情報の不整合が生じないようにしている。
【０１００】
ステップＳ１５４：車載器２０は、ステップＳ１５２の判定処理でＹＥＳの場合、所定の特典に基づいた処理を行ない、会員特典の取得処理および利用処理を終了する（ＥＮＤ）。具体的には、異なるサービス事業者毎の特定の記憶部を参照し、該当する特典情報の有無のチェック等を行なう。
【０１０１】
このように、車載器２０は、配信されたコンテンツの特定の領域に特典を受けることができる特定の情報が書き込まれているか否かを判定することで、異なる事業者間においても利用可能なクーポン情報などの特典情報の有無を判定することができる。そして、その時にユーザが利用しない場合には、共通の記憶部等に書き込むことで、次回、アップリンク時にそのクーポン情報などの特典情報の有無を路側無線装置４０側に通知することができる。
【０１０２】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【０１０３】
たとえば、上記実施の形態では、特典としてサービスや商品を割引くことができるクーポン、無料で特定のサービスや商品を受け取ることができるクーポンを想定している。この他にもたとえば、無料駐車券、駐車時の延長券などを配布したりするクーポンを採用してもよい。また、次回来店時に使用できるポイントを加算するまたは利用に応じてポイントを減算するようにしてもよい。更に、特典以外の所定コンテンツとしては、サービス事業者がビデオなどのレンタル業者である場合の「最新レンタル提供可能なビデオ情報」などの各種の最新情報が挙げられる。
【０１０４】
また、上記実施の形態では、センター装置６０と路側無線装置４０とが、分離されている。この他にもたとえば、センター装置６０の有する機能の一部または全てを路側無線装置４０に持たせるようにしてもよい。また、路側無線装置４０は、車載器２０とセンター装置６０間の情報のやりとりを仲介するための処理を行なうこととしたが、路側無線装置４０にセンター装置６０の処理の一部または全てを、路側無線装置４０内の処理として行なうこととしてもよい。
【０１０５】
また、上記実施の形態では、端末としての車載器２０を用いている。この他にもたとえば、端末としてＤＳＲＣ通信機能を備えた携帯電話やＰＤＡを用いてもよい。
【０１０６】
また、上記実施の形態では、路側無線装置４０の管理者が、特典を与える業者でもある。この他にもたとえば、路側無線装置４０の管理者は、特典を与える業者ではなく、特典を付与する業者と契約を結んで、その路側無線装置４０を運営する者、すなわちサービス提供者以外の者が路側無線装置４０を設置し、管理する形式としてもよい。
【０１０７】
また、上記実施の形態に係る端末としての車載器２０は、図３に示すようにＤＳＲＣ部２１と、ナビ部２７と、制御部３４とで構成している。この他にもたとえば、ＩＴＳ車載器のように料金決済が可能なＥＴＣ（Ｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃ Ｔｏｌｌ Ｃｏｌｌｅｃｔｉｏｎ ｓｙｓｔｅｍ）処理部（不図示）、料金決済時に使用するＩＣカードを挿入するＩＣカードインタフェース部（不図示）などを備えていてもよい。また、端末としては、ナビゲーション機能を持たない端末や、車両１００に常時設置されない携帯可能な端末としてもよい。
【０１０８】
また、上記実施の形態に係る車載器２０のＤＳＲＣ部２１は、５．８ＧＨｚ帯ＤＳＲＣ通信機能を有している。この他にもたとえば、ＴＳ車載器のように、光ＶＩＣＳインタフェース，ＦＭＶＩＣＳインタフェース，他の周波数帯のＤＳＲＣ通信用インタフェース、その他のメディアとの通信インタフェースを備えていてもよい。また、通信方式として５．８ＧＨｚ帯ＤＳＲＣ通信機能を、それ以外の広域通信方式などの他の通信方式を採用してもよい。
【０１０９】
また、上記実施の形態に係る情報配信システム１０におけるトランザクションでは、図５に示すようにステップＳ１０７のアップリンク情報の通知後にステップＳ１０８によるアップリンク情報の更新有無を確認するポーリングを行なっている。この他にもたとえば、このステップＳ１０７の通知後にＶＩＣＳフォーマットによる公共情報などのデフォルトコンテンツをセンター装置６０が配信してもよい。
【０１１０】
また、上記実施の形態に係る情報配信システム１０では、アップリンク情報として「累積走行距離」についての情報もアップリンクしている。この「累積走行距離」のアップリンクによって、車載器２０の絶対走行距離または相対走行距離が通知されるため、前回の情報提供サービスを行った時点での走行距離との比較により、走行距離に起因する会員特典サービス(オイル交換やタイヤ交換等の消耗部品交換の割引案内等)を提供するようにしてもよい。
【０１１１】
また、上記実施の形態に係る情報配信システム１０が有する各構成ブロックの機能は、全てまたはその一部をソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。例えば、制御部３４における処理の全部またはその一部は、１または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【０１１２】
また、例えば、車載器２０を装置の全部または一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリーカード、ＣＤ（ｃｏｍｐａｃｔ ｄｉｓｃ）、ＤＶＤ（ｄｉｇｉｔａｌ ｖｅｒｓａｔｉｌｅ ｄｉｓｋ）、ＭＯ（ｍａｇｎｅｔｏ−ｏｐｔｉｃａｌ）等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータ、例えば、携帯電話、オーディオ機器、電子時計等にインストールし、車載器２０として動作させ、あるいは、車載器２０が行なう工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、車載器２０となるコンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【０１１３】
本発明は、会員特典等の所定のコンテンツの配布等を行なう情報配信システム、情報配信方法およびプログラムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【０１１４】
【図１】本発明の実施の形態に係る情報配信システム全体の構成を示す図である。
【図２】図１に示すセンター装置の主な構成を示すブロック図である。
【図３】図１に示す路側無線装置と車載器間で行なわれる路車間通信を示す図である。
【図４】図１に示す車載器の主な構成を示すブロック図である。
【図５】図１に示す車載器と路側無線装置との間で行なわれる路車間通信のトランザクションを示す図である。
【図６】図５で示すトランザクションにおいて送受信されるマルチコンテンツフォーマットで編成されたデータ群を示す図である。
【図７】図６に示す配信データに含まれるコンテンツ情報に基づき表示される表示画面遷移例を示した図である。
【図８】図６に示す配信データに含まれるコンテンツ情報のデータフォーマットの一例を示す図である。
【図９】図１に示す路側無線装置から車載器に対して行なうダウンリンクにおけるデータ形式のうち、図８のＩＤ＝００および０１である情報のデータ形式を示す図である。
【図１０】図１に示す路側無線装置から車載器に対して行なうダウンリンクのデータ形式のうち、図８に示すＩＤ＝１０である情報のデータ形式を示す図である。
【図１１】図１に示す路側無線装置から車載器に対して行なうダウンリンクのデータ形式のうち、図８に示すＩＤ＝４０である情報のデータ形式を示す図である。
【図１２】図１に示す路側無線装置から車載器に対して行なうダウンリンクのデータ形式のうち、図８に示すＩＤ＝８０である情報のデータ形式を示す図である。
【図１３】図１に示す車載器から路側無線装置に対して行なうアップリンクのデータ形式を示す図である。
【図１４】図1に示す情報配信システムにおける会員特典の配布処理を示すフローチャート図である。
【図１５】図１に示す情報配信システムにおける会員特典の取得処理および利用処理を示すフローチャート図である。
【図１６】図１に示す情報配信システムにおける異なるサービス事業者間において特典が共通して利用可能である場合の会員特典の配布処理を示すフローチャート図である。
【図１７】図１に示す情報配信システムにおける異なるサービス事業者間において特典が共通して利用可能である場合の会員特典の取得処理および利用処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【０１１５】
１０ 情報配信システム、２０ 車載器（端末）、２１ ＤＳＲＣ部（通信部）、２２ 送受信部／変復調部（通信部の一部）、２３ ＤＳＲＣ制御部（通信部の一部）、２４ ＤＳＲＣ−ＡＳＬ処理部（通信部の一部）、２５ メモリ部（記憶部）、３４ 制御部、４０,４０Ａ,４０Ｂ 路側無線装置、５０ 無線アクセスポイント（路側無線装置の他の形態）、６０ センター装置（情報配信サーバ）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、情報配信システム、情報配信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１は、道路に設けた路側機と車両に設けた車載情報端末装置の間で、ＤＳＲＣ（Ｄｅｄｉｃａｔｅｄ Ｓｈｏｒｔ Ｒａｎｇｅ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎｓ：狭域通信）を利用して通信し、路側機近傍を通過する車両に対して、近郊の広告情報をスポット的に提供する広告配信システムを開示する。この広告配信システムにより提供された広告情報は、車載情報端末装置のディスプレイ上に表示されることにより、乗員に広告情報を通知できるようになっている。
【０００３】
特許文献２は、センター装置と車載器が相互通信を行ない、現在地の地域の広告情報を受信することができる広告配信システムを開示する。この広告配信システムにより提供された広告情報は、車両の外方にその広告情報を表示させることにより、ＤＳＲＣ車載器を搭載していない他の車両の乗員にもその広告情報を通知することができるようになっている。
【０００４】
【特許文献１】特開２００１−１０１５８７号公報（特許請求の範囲など）
【特許文献２】特開２００４−２７９５０９号公報（特許請求の範囲など）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、特許文献１および特許文献２に開示されるシステムにおいて配信される広告情報は、個人を特定しないで配信される大衆向けの広告情報であり、必ずしもユーザにとって有益な情報であるとは限らない。
【０００６】
また、サービスや商品を提供する業者は、再度来店してくれるリピーターを増やしたいと考え、クーポンやポイントなどの特典をユーザに与えているが、リピート率が上がっていないのが現状である。これは、特許文献１や特許文献２の広告配信システムを利用しても同様である。
【０００７】
そこで、本発明は、真に有用な情報のみを配信可能とし、かつリピート率の向上が期待される情報配信システム、情報配信方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明に係る情報配信システムは、所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって車両に搭載される端末と、端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、路側無線装置と通信を介して複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムであって、端末は、路側無線装置から複数のコンテンツを含む情報を受信可能な通信部と、通信部で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するための特定の記憶部と、蓄積された後、再度路側無線装置との通信エリアに入った際、所定の情報を特定の記憶部から読み出して路側無線装置にアップリンクする制御部と、を有するものである。
【０００９】
本発明に係る情報配信システムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、端末は、特定の情報を路側無線装置に送信するものである。
【００１０】
本発明に係る情報配信システムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、路側無線装置は、端末からアップリンクされた特典を受けることができる特定の情報を含むものが送信されてきた場合には、特定の情報に対応する特典情報を端末に対して送信するものである。
【００１１】
本発明に係る情報配信システムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、所定の情報は、情報配信サーバを利用するサービス事業者が端末を利用するユーザに対して与える特典情報であり、端末から特典情報を路側無線装置にアップリンクすることにより、特典情報の特典を享受できるものである。
【００１２】
本発明に係る情報配信システムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、特典情報が、異なるサービス事業者間においても共通して利用可能である特典情報の場合には、端末内の異なるサービス事業者毎に保存される他の特定の記憶部に特典情報をそれぞれ記憶させるものである。
【００１３】
本発明に係る情報配信システムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、路側無線装置は、端末からアップリンクされた特典情報が、異なるサービス事業者間においても共通して利用可能である特典情報の場合には、その特典情報に対する応答処理を端末内の異なるサービス事業者の特定の記憶部に対してそれぞれ行なうことができる信号を端末に送信するものである。
【００１４】
本発明に係る情報配信方法は、所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって、車両に搭載される端末と、端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、路側無線装置と通信を介して複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムに用いられる情報配信方法であって、路側無線装置から複数のコンテンツを含む情報を受信するステップと、通信部で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するステップと、蓄積するステップの後、再度路側無線装置との通信エリアに入った際、所定の情報を路側無線装置に対して送信するステップと、を有するものである。
【００１５】
本発明に係る情報配信方法は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、特定の情報を路側無線装置に送信するステップを有するものである。
【００１６】
本発明に係るプログラムは、所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって、車両に搭載される端末と、端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、路側無線装置と通信を介して複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムに用いられるプログラムであって、コンピュータを、路側無線装置から複数のコンテンツを含む情報を受信可能な通信手段、通信手段で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するための特定の記憶手段、特定の記憶手段により記憶した後、再度、路側無線装置の通信エリアに入った際、所定の情報を路側無線装置に対して送信するアップリンク手段として機能させるものである。
【００１７】
本発明に係るプログラムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、特定の情報を路側無線装置に送信する手段として機能させるものである。
【発明の効果】
【００１８】
本発明では、真に有用な情報のみを配信可能とし、かつリピート率の向上が期待される情報配信システム、情報配信方法およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、本発明の実施の形態に係る情報配信システム、情報配信方法およびプログラムについて図面に基づいて説明する。以下の説明では、情報配信システムおよび情報配信方法は、情報配信システム１０の説明の中で併せて説明する。プログラムは、情報配信システム１０の動作説明の中で併せて説明する。
【００２０】
図１に、本実施形態における情報配信システム１０を示す。情報配信システム１０は、センター装置６０（情報配信サーバ）から車両１００に搭載された車載器２０（端末）にコンテンツ情報を配信するシステムである。図１に示すように、センター装置６０は、ＤＳＲＣ専用のネットワーク１１０Ａを介して路上や駐車場、道の駅等に複数設置された路側無線装置４０Ａ、４０Ｂと接続されている。また、センター装置６０は、他の外部ネットワーク１１０Ｂを介して路上や駐車場以外に複数設置された無線アクセスポイント５０（路側無線装置の他の形態）と接続されている。外部ネットワーク１１０Ｂは、インターネット、及びこれに接続された移動体通信網、無線ＬＡＮ（Ｌｏｃａｌ Ａｒｅａ Ｎｅｔｗｏｒｋ）、Ｗｉｍａｘ（Ｗｏｒｌｄｗｉｄｅ Ｉｎｔｅｒｏｐｅｒａｂｉｌｉｔｙ ｆｏｒ Ｍｉｃｒｏｗａｖｅ Ａｃｃｅｓｓ）等の無線通信網を含んでいる。
【００２１】
各路側無線装置４０Ａ、４０Ｂは、ＤＳＲＣ通信機能を備えた車載器２０と無線通信可能に構成され、車載器２０と通信が確立すると、その旨をセンター装置６０に通知し、センター装置６０からコンテンツ情報を受信して車載器２０に送信する。路側無線装置４０Ａは、ＤＳＲＣ専用の独自プロトコルにより車載器２０及びセンター装置６０と通信を行なう。路側無線装置４０Ｂは、ＩＰ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ Ｐｒｏｔｏｃｏｌ）により車載器２０及びセンター装置６０と通信を行なう。
【００２２】
センター装置６０は、ＤＳＲＣの専用ネットワーク１１０Ａまたは外部ネットワーク１１０Ｂを介して車載器２０からのコンテンツ情報の取得要求を受信すると、要求されたコンテンツ情報を車載器２０に送信する。なお、センター装置６０が路側無線装置４０Ａを介して車載器２０に提供するコンテンツ情報は、例えば、車両１００周辺の店舗、駐車場、医療施設等の各種施設のサービス案内である。また、センター装置６０がＤＳＲＣの専用ネットワーク１１０Ａ若しくは外部ネットワーク１１０Ｂを介して、または路側無線装置４０Ｂ若しくは無線アクセスポイント５０を介して車載器２０に提供するコンテンツ情報は、車載器２０でＷｅｂページを表示するためのＨＴＭＬファイルや、Ｗｅｂページを介して提供される画像情報、音楽情報等のマルチメディアコンテンツ等である。
【００２３】
以下、各構成装置について詳細に説明する。
［センター装置］
センター装置６０は、路側無線装置４０Ａ、４０B若しくは無線アクセスポイント５０にサービス事業者から提供される地域情報、広告情報および上記のマルチメディアコンテンツなどを配信する情報配信サーバであり、図４に示すように、入力部６１と、出力部６２と、第１／第２の通信制御部６３，６４と、記憶装置６５と、制御部６６と、ＲＯＭ６７と、ＲＡＭ６８と、システムバス６９とを主要な構成要素とする。なお、図１におけるセンター装置６０は、便宜上１つのサーバとして図示しているが、必ずしも一つである必要はなく、複数のセンター装置６０としてもよい。
【００２４】
入力部６１は、キーボード、マウス、入力インタフェース等を備え、種々のデータや指示を入力する機能を有する。出力部６２は、表示装置などから構成され、データ、メッセージなどを表示する機能を有する。
【００２５】
第１の通信制御部６３は、図1に示すネットワーク１１０Ａを介して他の外部装置（図示せず）と交信し、種々の情報を取得する機能を有する。また、第１の通信制御部６３は、図1に示すネットワーク１１０Ａを介して、１つまたは複数の路側無線装置４０Ａ,４０Ｂに接続され、上述した情報を送信する機能を有する。第２の通信制御部６４は、図1に示すネットワーク１１０Ｂを介して他の外部装置（図示せず）と交信し、種々の情報を取得する機能を有する。また、第２の通信制御部６４は、１つまたは複数の無線アクセスポイント５０に接続され、上述した情報を送信する機能を有する。また、第１の通信制御部６３は、ネットワーク１１０Ａを介して、路側無線装置４０Ａ,４０Ｂが車載器２０との交信などにより得た情報を収集する機能を有しており、同様に第２の通信制御部６４は、ネットワーク１１０Ｂを介して、無線アクセスポイント５０が車載器２０との交信などにより得た情報を収集する機能を有する。
【００２６】
記憶装置６５は、ハードディスク装置等を備え、上述した情報などを格納する機能を有する。制御部６６は、プロセッサ等から構成され、センター装置６０全体の動作を制御する機能を有する。また、制御部６６は、記憶装置６５に格納されている各種情報に基づいて、各路側無線装置４０Ａ,４０Ｂに、その路側無線装置４０Ａ,４０Ｂ近傍から配信する情報を作成し、第１の通信制御部６３及びネットワーク１１０Ａを介して路側無線装置４０Ａ,４０Ｂに供給する機能を有する。
【００２７】
ＲＯＭ６７は、このセンター装置６０全体の動作制御に必要なＯＳ（Ｏｐｅｒａｔｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）や各種のデータを記憶する機能を有する。ＲＡＭ６８は、制御部６６のワークエリアとしての機能を有する。システムバス６９は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路としての機能を有する。
【００２８】
なお、センター装置６０は、上述した機能を情報処理や通信制御を行なう制御部、記憶部等を備えたコンピュータ端末により構成することができる。
【００２９】
［路側無線装置］
図１に示す路側無線装置４０Ａ、４０Ｂは、図３に示す路側無線装置４０のように本体装置４０１とアンテナ４０２とを主要な構成要素としている。図３に示すように、路側無線装置４０は、道路脇や道路上方、駐車場、道の駅等に設置されたアンテナ４０２から、到達距離が限定されたＤＳＲＣの電波を放射して近傍に路側エリアＺを形成する。この路側エリアＺ内にある車両１００の車載器２０とだけ双方向の狭域無線通信が可能となる。以下、路側無線装置４０と車載器２０間の狭域無線通信を「路車間通信」という場合がある。なお、路側無線装置４０と同様の路側無線装置として、図１に示すように無線アクセスポイント５０を使用してもよい。以下の説明では、路側無線装置４０について説明する。
【００３０】
ＤＳＲＣは５．８ＧＨｚ帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。路側無線装置４０からのＤＳＲＣの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置４０がそれぞれ形成する路側エリアＺは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【００３１】
本体装置４０１は、車載器２０とセンター装置６０間の情報のやりとりを仲介するための処理を行なう。すなわち、アンテナ４０２を介して車載器２０から受信された情報をネットワーク１１０Ａを介してセンター装置６０に転送し、センター装置６０から送信されたコンテンツ情報を車載器２０へ転送する。本体装置４０１は、情報処理や通信制御を行なう制御部、記憶部等を備えたコンピュータ端末を適用することができる。
【００３２】
なお、図１に示す路側無線装置４０Ａに使用される本体装置の制御部は、ＤＳＲＣ専用のプロトコルにより車載器２０との通信制御を行なう。また、図１に示す路側無線装置４０Ｂの本体装置の制御部は、インターネットプロトコルにより車載器２０との通信制御を行なう。
【００３３】
［車載器］
車載器２０は、図４に示すようにＤＳＲＣ部２１と、ナビ部２７と、それらを制御部３４とを主要な構成要素としている。以下、具体的に説明する。
【００３４】
ＤＳＲＣ部２１は、図４に示すように、更に送受信部／変復調部２２と、ＤＳＲＣ制御部２３と、ＤＳＲＣ−ＡＳＬ処理部２４と、メモリ部２５と、ヒューマンマシンインタフェース部２６と、を主要な構成要素としている。
【００３５】
送受信部／変復調部２２は、インタフェース（ＤＳＲＣプロトコルの物理層に相当するインタフェース）を実装している。また、送受信部／変復調部２２は、受信した電波をデジタル変調／復調する機能（ＡＳＫ／ＱＳＰＫ）を有する。ＤＳＲＣ制御部２３は、路側無線装置４０とのＤＳＲＣ通信を行なう。具体的には、インタフェース（ＤＳＲＣプロトコルのデータリンク層およびアプリケーション層に相当するインタフェース）を実装し、路側無線装置４０と５．８ＧＨｚ帯の無線通信を行なうことができる。また、ＤＳＲＣ制御部２３は、送信されてきたデータのフレーム内に含まれる識別子（ＥＩＤ）により車載器２０内の対応するアプリケーション（図示せず）を特定することができる。
【００３６】
ＤＳＲＣ−ＡＳＬ処理部２４は、基本アプリケーション処理およびセキュリティプラットフォームを提供する。具体的には、通信インタフェースを実装し、車載器２０にインストールされている各アプリケーション（図示せず）と路側無線装置４０との間でＤＳＲＣ−ＡＳＬによる通信制御を行なう。
【００３７】
上述した送受信部／変復調部２２、ＤＳＲＣ制御部２３およびＤＳＲＣ−ＡＳＬ処理部２４は、ＩＰを用いた通信制御を行なう、いわゆるＩＰ系通信と、ＩＰを用いずその他の通信プロトコルで通信制御を行なう、いわゆる非ＩＰ系通信のそれぞれに対して通信インタフェースを提供する。
【００３８】
メモリ部２５は、例えば、フラッシュメモリ等によって構成されており、制御部３４が実行する基本的なプログラムを格納している。また、メモリ部２５は、ＣＰＵ（図示外）が演算処理を実行する際に、演算途中のプログラムまたはデータを一時的に記憶する。また、メモリ部２５は、路側無線装置４から送信されてきた各種コンテンツを記録して蓄積することができる。
【００３９】
ヒューマンマシンインタフェース部２６は、非ＩＰ系通信およびＩＰ系通信に対応したインタフェースを提供する機能を有する。具体的には、ＩＰ系通信に用いるＤＳＲＣ応用サービスに対応するためのＨＴＴＰ（Ｈｙｐｅｒ Ｔｅｘｔ Ｔｒａｎｓｆｅｒ Ｐｒｏｔｃｏｌ）ブラウザ（たとえばＨＴＭＬ４．０１，ＣＳＳ１及びＣＳＳ２など）、ＩＰ系／非ＩＰ系通信に用いるＤＳＲＣ応用サービスに対応するための文字コーデック（たとえばＪＩＳ、ＵＮＩＣＯＤＥなど），音声コーデック（たとえばＴＴＳ，ＭＰ３など），画像コーデック（たとえばＪＰＥＧ、ＧＩＦなど），動画コーデック（たとえばＭＰＥＧ４）などを搭載している。
【００４０】
ナビ部２７は、図４に示すように、更にナビデータ処理部２８と、ヒューマンマシンインタフェース部２９と、高精度測位計測部３０と、地図データ部３１と、操作部３２と、表示部３３と、を主要な構成要素とする。ナビ部２７は、主にカーナビゲーションシステムとしての機能を有する。
【００４１】
ナビデータ処理部２８は、情報提供制御機能および情報収集機能を有する。情報提供制御機能は、非ＩＰ系通信への対応として，優先表示，情報提供判断及び情報蓄積等の情報提供を制御する機能である。情報収集機能は、ナビ部２７が保持又は蓄積している車両内情報を，ＤＳＲＣ部２１を通して路側無線装置４０へ送信する機能、すなわちアップリンクをする機能である。なお、ヒューマンマシンインタフェース部２９は、上述したヒューマンマシンインタフェース部２６と同様の機能であるため、説明を省略する。
【００４２】
高精度測位計測部３０は、ＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）受信機やジャイロセンサを有し、それらにより測位計測を行ない，車両１００の位置を常に把握する機能を有する。地図データ部３１は、高精度測位計測部３０による車両１００の位置にマッチングした現在地の地図データを提供する機能を有する。また、地図データ部３１は、目的地まで誘導できる地図データを提供することができる。なお、地図データ部３０の有する地図データは、メモリ部２５に記憶されている。操作部３２は、釦やリモコンによる操作や、表示部３３の表示画面へのタッチパネル操作、音声指示による操作ができる機能を有する。表示部３３は、ＤＳＲＣ応用サービスに対応した画面表示案内やスピーカを使用した音声案内を行なうことができる機能を有する。制御部３４は、上述したＤＳＲＣ部２１と、ナビ部２７に含まれるすべての処理に関してＣＰＵ（図示外）等により演算／制御する機能を有する。
【００４３】
続いて、路車間通信で行なわれるトランザクションについて図５を用いて説明する。この図５に示すトランザクションは、車載器２０に電源が投入された時から、路側無線装置４０の通信エリアＺ内に車載器２０が進入し（以下、この進入時点を「エリアイン」という）、車載器２０が通信エリアＺ外に移動する時（以下、この時点を「エリアアウト」という）までの各部の通信処理を示すものである。以下、各ステップについて説明する。
【００４４】
ステップＳ１００：車載器２０の一部であるナビ部２７およびＤＳＲＣ部２１は、車載器２０の電源が投入されると、ナビ部２７からＤＳＲＣ部２１にクライアントインフォメーションデータが書き込まれる。クライアントインフォメーションデータには、通信エリアＺ内にいる車載器２０が再生可能なコンテンツの種類や、車載器２０が搭載するコンテンツ再生アプリケーション等の情報が含まれる。また、車載器２０が対応可能な言語情報、ナビ部２１の有する測地系情報（日本または世界の測地系情報）、対応可能なＤＲＭ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｒｉｇｈｔｓ Ｍａｎａｇｅｍａｅｎｔ）、搭載している表示部（ディスプレイ）の解像度、蓄積可能なデータ量等もサプリメントインフォ情報としてクライアントインフォメーションデータと合わせて通知が可能となっている。
【００４５】
ステップＳ１０１：車載器２０を搭載した車両がエリアインすると、路側無線装置４０と車載器２０の間で個別ＰＵＳＨ型配信の通信を確立すべく、ＤＳＲＣ接続処理（たとえば、ＤＳＲＣ−ＳＰＦにおける認証処理）が行なわれる。なお、ＤＳＲＣ接続処理の詳細については、省略する。
【００４６】
ステップＳ１０２：路側無線装置４０とＤＳＲＣ部２１は、ＤＳＲＣ接続処理が完了すると、センター装置６０およびナビ部２７に対してそれぞれＤＳＲＣ接続通知を行なう。
【００４７】
ステップＳ１０３：ＤＳＲＣ部２１は、路側無線装置４０に対してナビ部２７により書き込まれたクライアントインフォメーションデータを送信する（アップリンク）。また、路側無線装置４０は、上述したクライアントインフォメーションデータをセンター装置６０に通知することができる。なお、このステップＳ１０３は、クライアント情報通知コマンドに相当する。
【００４８】
ステップＳ１０４：センター装置６０は、ステップＳ１０３で通知されたクライアントインフォメーションデータに基づき、車載器２０自体を一意に識別することができるＡＳＬ−ＩＤを用いた会員判別や、その車載器２０が有する機能情報を解析して、車載器２０に適したコンテンツをマルチコンテンツフォーマットで編成して、路側無線装置４０に受け渡す。センター装置６０は、これらのクライアントインフォメーションデータから車載器２０で再生可能なコンテンツや車載器２０が保有する機能が分かるため、最適なコンテンツを編成して配信することが可能となる。また、センター装置６０は、車載器ＩＤ通知コマンド等を用いることにより、車載器２０固有のＩＤを取得することも可能であるため、車載器２０を特定することが可能となる。また、たとえば、センター装置６０および／または路側無線装置４０において、保有する顧客ＤＢ等と車載器２０の固有ＩＤを照合するにより、車載器２０の搭載された車両１００を特定することも可能となる。路側無線装置４０は受け取ったコンテンツを車載器２０のＤＳＲＣ部２１へ配信する。ＤＳＲＣ部２１は、ナビ部２７にそのコンテンツを配信する。なお、ＡＳＬ−ＩＤ等による会員判別の詳細については、本発明の対象外であるため、省略する。
【００４９】
ステップＳ１０５：センター装置６０は、ステップＳ１０４の処理以降、路側無線装置４０を介して、後述する特定の記憶部であるアップリンクタグエリア（図示せず）に情報が書き込まれていないかを確認するため、車載器２０に対して定期的にポーリングを行なう。このポーリングによりアップリンクタグエリアに情報が書き込まれている場合には、その情報を取得し、書き込まれていない場合には、更にポーリングを続ける。
【００５０】
ステップＳ１０６：ナビ部２７は、ステップＳ１０４で受け取ったコンテンツからサービス事業者を判別して、そのサービス事業者用のアップリンク用データをＤＳＲＣ部２１の特定の記憶部としてのアップリンクタグエリアに書き込む。ただし、ナビ部２７は、そのサービス事業者用のアップリンク用データが存在しない場合や、そのサービス事業者の非会員である場合にはそのアップリンクタグエリアには書き込まない。
【００５１】
ステップＳ１０７：ＤＳＲＣ部２１は、ステップＳ１０６において特定の記憶部としてのアップリンクタグエリアに情報が書き込まれた場合には、その情報を路側無線装置４０に通知（アップリンク）する（以下、このステップにて処理する情報を「アップリンク情報」という）。路側無線装置４０は、そのアップリンク情報をセンター装置６０へ受け渡す。
【００５２】
ステップＳ１０８：センター装置６０は、ステップＳ１０７の処理以降、路側無線装置４０を介して、特定の記憶部としてのアップリンクタグエリアに情報が更新されていないか、定期的にポーリングを行なう。このポーリングにより特定の記憶部としてのアップリンクタグエリアの情報が更新されている場合には、その情報を取得し、更新されていない場合には、更にポーリングを続ける。
【００５３】
ステップＳ１０９：センター装置６０は、ステップＳ１０７によって、アップリンク情報を取得したときは、その情報に基づき、会員嗜好に適したコンテンツをマルチコンテンツフォーマットで編成して、路側無線装置４０に配信する（以下、このステップの処理を「ダウンリンク」という）。路側無線装置４０は、配信されたコンテンツをＤＳＲＣ部２１に逆配信する。ＤＳＲＣ部２１は、配信されたコンテンツを解析してナビ部２７に適宜データを送信する。
【００５４】
ステップＳ１１０：センター装置６０は、嗜好データに適したコンテンツの配信が終了したときは、その旨をＤＳＲＣ部２１に対して通知してエリアアウトを促す。これは、1台の車両が長時間にわたり通信エリアを占領すると、他の会員へのサービスが提供できなくなるためである。しかし、このエリアアウトを促す通知を行なわないようにしてもよい。
【００５５】
続いて、上述したトランザクション上でやり取りされるマルチコンテンツフォーマットについて説明する。マルチコンテンツフォーマットは、ひとつのデータ形式で様々なＤＳＲＣ応用サービスに対応できるようにＩＤ別に構成された複合フォーマットを構成している。また、目的に応じて必要な項目（ＩＤ）のみで配信コンテンツを構成可能なデータフォーマットでもある。このマルチコンテンツフォーマットを利用することで、ＰＵＳＨ型配信であるＤＳＲＣ通信においても、個人の趣味・嗜好等に即した個別のＰＵＳＨ型配信を可能にしている。また、このマルチコンテンツフォーマットで提供されるコンテンツは、車載器２０に一度、蓄積されて、特定の条件を満たした場合に、再生される仕組みも可能となっている。したがって、ＤＳＲＣ通信により情報を送受信するためには、その特定の通信エリア内に留まっていないと行なうことができないが、受信した情報を蓄積して記憶させておくことで、エリア外でも情報を再生することが可能となる。更に、地域情報や広告情報などのコンテンツの再生タイミングを設定しておくことで、ユーザのニーズに合わせた情報を配信することを可能にしている。また、マルチコンテンツフォーマットは、配信データ量を抑えて、ネットワークトラフィックを低減することが可能となっている。
【００５６】
図６は、マルチコンテンツフォーマットで編成されたデータ群（以下、このデータ群を「情報グループ」という）示す図である。図６に示すように、情報グループ１〜情報グループｎまでの複数の情報グループを含む受信データが、路側無線装置４０から車載器２０へ送信されてくる。これらの複数の情報グループそれぞれには、基本的な情報が含まれているＩＤ００,ＩＤ０１等の基本的な情報と、他の区分項目であるＩＤ等の情報から構成されている。これらの情報グループは、必ずしも全ての区分ＩＤの情報を含んでいる訳ではなく、必要なものだけ含んで送信されてくる。
【００５７】
したがって、このマルチコンテンツフォーマットは、受信後に配信された順番通りにデータを再生する以外に、カーナビゲーションの機能と連動して特定の場所でコンテンツを再生することや、特定の場所への誘導も可能となっている。更に、このマルチコンテンツフォーマットは、配信を受けた車載器２０内にデータを蓄積することも可能であるため、路側無線装置４０の通信エリア外でも配信データを活用することができる。
【００５８】
また、車載機２０が、データの配信元を考慮した動作をすることが可能なため、スパム防止にも役立つ。マルチコンテンツフォーマットは、車載器２０からセンター装置６０へのアップリンク機能も可能となっている。また、マルチコンテンツフォーマットは、車載器２０に設定されている目的地や立ち寄り地の情報を始め、行動履歴や配信されたコンテンツの視聴履歴を採ることも可能となっている。
【００５９】
［コンテンツ情報のデータ構成］
続いて、マルチコンテンツフォーマットであるコンテンツ情報のデータ構成について、具体的に説明する。図７に、図６に示す配信データに含まれるコンテンツ情報に基づき表示される表示画面遷移例を示す。図８に、図６に示す配信データに含まれるコンテンツ情報のデータフォーマットの一例を示す。
【００６０】
図７に示す各画面Ｄ１〜Ｄ６は、それぞれ１つのコンテンツ情報に基づいて表示される画面である。１つのコンテンツ情報は、図８に示すように、ＩＤ００〜ＩＤ２５６により分類される情報が格納可能なファイルにより構成され、提供するコンテンツの内容に応じて必要な情報が格納されている。このマルチコンテンツフォーマットのデータ構成を利用することで、配信したコンテンツの様々な動作を規定することができる。また、配信されるコンテンツは、複数のＩＤが付与されたコンテンツから構成されているため、コンテンツの動作ごとに構成を変えることが可能となっている。
【００６１】
ここで、ＩＤ００〜ＩＤ２５６に分類される情報のうち、本実施の形態に必要な主要な情報について説明する。
【００６２】
ＩＤ００に分類される「ＩＤ構成情報」は、図８に示すように、配信するコンテンツに含まれているＩＤ情報を記載する領域である。ＩＤ＝００のデータ形式には、図９に示すように「情報バイト数」と「項目有無情報」とを有する。「情報バイト数」は、ＩＤ＝００の全体のデータ量を示す領域である。これにより、車載器２０側で受信可能なデータであるか否かを判定することもできる。「項目有無情報」は、情報を構成するＩＤを小さい順に２バイト単位で記述できる領域である。ここに、配信コンテンツに含まれるＩＤすべてが記載されている。
【００６３】
ＩＤ０１に分類される「事業者情報」は、図８に示すように、当該コンテンツを配信するサービス事業者に関する情報である。ＩＤ＝０１のデータ形式には、図９に示すようにコンテンツを提供するサービス事業者の「サービス事業者コード」、「サービス事業者発話用表音文字列」、「事業者名表示用テキスト」等が含まれる。
【００６４】
ＩＤ０２に分類される「コンテンツ属性情報」は、図８に示すように、当該コンテンツの属性を示す情報であり、図示しないが、たとえばコンテンツを提供する情報提供企業の「情報提供企業コード」、「情報提供企業名表示用テキスト」、コンテンツを特定するための「情報コード」、コンテンツの内容を示す「情報タイトル表示用テキスト」、コンテンツのカテゴリを示す「嗜好データカテゴリ情報」等が含まれる。なお、このコンテンツ情報は、階層構造をなしており（例えば、図７においては、最上位からＤ１→Ｄ２→Ｄ３→Ｄ４→Ｄ５→Ｄ６）、本実施の形態においては、情報コードにより、各コンテンツ情報の階層を識別可能であることとする。
【００６５】
ＩＤ１０に分類される「対象地点情報」は、図８および図１０に示すように、当該コンテンツにより案内されるサービスが提供される地点（対象地点という）に関する情報や当該コンテンツの実データを含む。「対象地点情報」は、対象地点の緯度経度を示す「対象地点座標情報」、対象地点で提供されるサービスや店舗の名称を示す「サービス名称表示用テキスト」、サービスの説明用テキスト情報である「表示用文字データ」、サービス案内を表示するための「表示用画像データ」、サービスの音声案内のための「表音文字列データ」及び「圧縮音声データ」、当該コンテンツの内容に関連する情報を提供するＷｅｂページの格納場所のアドレスを示す「ＵＲＬ情報」、対象地点以外の提携駐車場を示す「提携駐車場情報」、対象地点を地図画面上に表示する際の「アイコン画像情報」等が含まれる。
【００６６】
例えば、図７の画面Ｄ６を表示するためのコンテンツ情報には、ＩＤ０１、０２、０４、１０の情報はすべて必要であるため、ＩＤ０１、０２、０４、１０の情報の全てが格納されている。図７の画面Ｄ１〜Ｄ５のそれぞれを表示するためのコンテンツ情報には、ＩＤ０２の「嗜好データカテゴリ情報」、ＩＤ１０の「対象地点座標情報」、「サービス名称表示用テキスト」、「ＵＲＬ情報」、「提携駐車場情報」、「アイコン画像情報」等は必要ではないため、これらの情報は格納されていない。
【００６７】
ＩＤ３０に分類される「遷移情報」は、図８に示すように、画面遷移情報等が含まれる。この情報により、上述したような画面遷移を行なうことができる。ＩＤ４０に分類される「詳細情報」は、図８および図１１に示すように、詳細情報が書き込める汎用的な領域が含まれる。「詳細情報」とは、たとえば、このＩＤ４０と共に配信されてきた情報に関連した情報や付随した情報のことである。車載器２０は、この詳細情報に記載された情報（詳細情報1〜８）を受信すると、詳細情報に含まれるコピーコントロールフラグを判断してその内容を後述するアップリンクの会員情報１〜８（図１３参照）に記述し、アップリンク時に路側無線装置４０に通知する。会員毎に固有の特典等のＩＤを配信することにより、最大８つの固有の情報を提供できるため、次のような会員特典等の配布を行なうことができる。
【００６８】
たとえば、配信コンテンツごとに固有の特典を定めたＩＤを決めて、コンテンツにそのＩＤを付加して配信することにより、次回のエリアイン時に特典を配信することができる。また、ポイント等のデータを記載することにより、エリアイン時に利用者のポイントを確認することが可能である。また、複数のセンター装置６０間で連携を取らなくても、「詳細情報1にポイントを記載する。」という取り決めをサービス事業車間で取り決めれば、共通ポイントとしての加算や減算が可能である。詳細情報は、後述するように１６バイトの記述が可能なため、改ざんを回避した暗号化されたＩＤを付与することも可能である。
【００６９】
ＩＤ８０に分類される「嗜好データ」は、図８および図１２に示すように、「同一内ＩＤ内情報提供件数」、「嗜好データバージョン情報」、「嗜好データ１〜１２７」等が含まれる。「嗜好データ」とは、車載器２０を利用しているユーザの行動履歴や選択した趣味・嗜好が、蓄積されたまたは記憶されたデータのことである。この嗜好データ領域については、サービス事業者ごとに自由に構成を変更することができる領域である。この嗜好データに基づいてユーザが望むコンテンツ配信を行なうため、配信したコンテンツの利用率の向上が望め、車載器２０の利用者満足度の向上にもつなげることができる。
【００７０】
なお、嗜好データに関しては、たとえば、サービス事業者毎に最大９６項目の設定が可能（残り３１項目は未使用）とすれば、汎用的な情報提供サービスから特定分野の詳細な情報提供サービスまでの幅広いコンテンツ配信が可能となる。嗜好データテーブルには、上述した通り、バージョン情報が付加されており、サービス事業者の意向により嗜好データの構成を変更することが可能である。嗜好データテーブルは、車載器２０からのアップリンク情報であり、センター装置６０がバージョン情報を入手できるので、車載器２０が保存している嗜好データテーブルをセンター装置６０が更新する事も可能である。また、嗜好データ９６項目中所定数の項目、たとえば１２項目は、公共情報提供サービス目的に利用して、ＤＳＲＣ通信において情報提供を行なう際に標準で配信する情報項目としてもよい。
【００７１】
続いて、車載器２０から路側無線装置４０に対して行なうアップリンクのデータ形式について図１３を用いて説明する。図１３は、図１に示す車載器２０から路側無線装置４０に対して行なうアップリンクのデータ形式を示す図である。
【００７２】
図１３に示すアップリンク情報には、「基本情報」、「累計走行距離」、「嗜好データテーブルバージョン」、「嗜好ジャンルデータ」、「会員情報」などが含まれる。なお、図１３に示すアップリンク情報は、個人情報として扱われる可能性のある情報が含まれるため、利用者の設定によりサービス事業者が利用者と契約を交わしていることの確認が行われて、はじめてアップリンクを行なうことが望ましい。
【００７３】
図１３に示す「基本情報」には、サービス事業者コードや車載器２０に設定されている「目的地」と「経由地」の緯度／経度情報が含まれる。車載器２０に設置されている「目的地」の緯度／経度情報を元に、目的地方面の情報提供を行ったり、目的地方面の情報提供地点(ＤＳＲＣ通信が可能な場所)等の情報を配信したりすることが可能である。なお、車載器２０に設定されている「経由地」の緯度／経度は、最大５箇所まで登録可能であり、車載器２０に設置されている経由地の緯度／経度情報を元に、経由地方面の情報提供を行ったり、経由地方面の情報提供地点(ＤＳＲＣ通信が可能な場所)等の情報を配信したりすることが可能である。
【００７４】
図１３に示す「累計走行距離」には、車両１００に車載器２０が搭載された時点からの走行距離が記憶される。なお、車両１００の走行開始時点からの走行距離が記憶される項目を設けても良い。「嗜好データテーブルバージョン」は、車載器２０が蓄積／アップリンクした嗜好データのバージョンが分かるので、アップリンクされた嗜好データ解析に利用できる。なお、路側無線装置４０は、嗜好データテーブルを更新する際に、利用者の煩わしさ低減のため、旧バージョンの嗜好データの設定値を新バージョンの嗜好データテーブルの設定値に反映することが好ましい。
【００７５】
図１３に示す「嗜好ジャンルデータ」には、上述した通り、サービス事業者により最大９６項目(内１２項目は公共情報提供サービス用にリザーブ)の嗜好データテーブルを自由に設定することができる。サービス事業者の事業内容に応じて、利用者の嗜好に合わせて細分化した情報提供が可能となるため、配信した情報の再生率向上が見込まれる。なお、このテーブルは、サービス事業者が作成して、路側無線装置４０から送信されるものである。
【００７６】
図１３に示す「会員情報」には、基本的にはダウンリンクのＩＤ＝４０で配信された詳細情報１〜８と同一内容を会員情報１〜８に記録することができる。本実施の形態では、この会員情報１〜８の記憶域にセンター装置６０から配信されてきたコンテンツに含まれる会員特典またはクーポン情報を書き込んで、保存することで、会員特典の配布を実現している。なお、この会員特典等の配布処理や会員特典等の使用処理および記憶処理の詳細なフローについては後述する。
【００７７】
車載器２０は、アップリンクのデータ形式中の「会員情報８」の欄に対し保存できた最新の情報コードを記述するようにしてもよい。この場合、センター装置６０は、通信が切断した際、「会員情報８」を読み取ることで、車載器２０が保存できた情報が理解できるため、続きの情報から配信を行なうことが可能である。利用者は、情報配信を受ける際に通信が何らかの要因で切断しても、続きから情報配信を受けることが可能なため、通信遮断による時間的なロスを低減することが可能である。なお、アップリンク情報には、上述した項目以外にも図示外の「過去立寄地情報」や「広告視聴履歴情報」を有することとしてもよい。
【００７８】
続いて、上述した構成による情報配信システム１０において路側無線装置４０が行なう会員特典の配布処理について図１４を用いて説明する。図１４は、図1に示す路側無線装置４０が会員特典を配布する処理を示すフローチャート図である。
【００７９】
ＳＴＡＲＴ：路側無線装置４０は、車載器２０がエリアインした後に、所定のＤＳＲＣ通信接続処理および会員認証処理が完了すると、会員特典の配布処理を開始する（図５に示すステップＳ１００〜ステップＳ１０４に相当）。会員認証処理において、会員であると判断したときに、特典を受けることができるユーザ（会員）であるか否かの判断を更に行ない、ステップＳ１２０以降の特典の配布処理を行なう。
【００８０】
ステップＳ１２０：路側無線装置４０は、車載器２０からのアップリンク情報を受信したか否かを判定する。路側無線装置４０は、受信した場合にはステップＳ１２１の処理を行ない、受信しない場合には、定期的に車載器２０に対してポーリングを行ない、ステップＳ１２０の判定処理を継続する（図５に示すステップＳ１０５に相当）。
【００８１】
ステップＳ１２１：路側無線装置４０は、ステップＳ１２０において車載器２０からのアップリンク情報を受信した場合には、アップリンク情報に含まれるサービス事業者コードを取得して、ステップＳ１２２へ処理を進める（図５に示すステップＳ１０７に相当）。
【００８２】
ステップＳ１２２：路側無線装置４０は、サービス事業者コードからクーポン情報などの特典情報（所定の情報）があるか否かを判定する。センター装置６０は、クーポン情報などの特典情報がある場合には、ステップＳ１２３の処理を行なう。具体的には、ダウンリンクデータのＩＤ＝４０に対象となるクーポン情報などの特典情報（特典を受けることができる特定の情報）をＩＤと共に書き込む。クーポン情報などの特典情報がない場合には、ステップＳ１２４の処理を行なう。路側無線装置４０は、さらにＩＤ４０のデータにクーポン情報などの特典情報を書き込んだコンテンツを路側無線装置４０に配信する。これによって会員特典の配布処理を終了する（ＥＮＤ）。なお、配信されたコンテンツは、路側無線装置４０から車載器２０に配信される。たとえば、図１１に示す詳細情報１にクーポン情報などの特典情報を書き込む。
【００８３】
ステップＳ１２４：路側無線装置４０は、認証されたサービス事業者が提供するクーポン情報などの特典情報が無い場合、ステップＳ１２２の判定処理を終了して、会員特典の配布処理を終了する（ＥＮＤ）。
【００８４】
このように、路側無線装置４０は、ＩＤ＝４０として配信される詳細情報１〜８のいずれかの書き込み領域に、クーポン情報などの特典情報を書き込むための専用の領域として設定することで、会員特典等の配布を行なうことができる。
【００８５】
続いて、車載器２０における会員特典の取得処理および利用処理について図１５を用いて説明する。図１５は、図１に示す情報配信システム１０における会員特典の取得処理および利用処理を示すフローチャート図である。
【００８６】
ＳＴＡＲＴ：車載器２０は、センター装置６０からのダウンリンクが開始されると（図５に示すステップＳ１０９に相当）、会員特典の取得処理および利用処理を開始する。
【００８７】
ステップＳ１３０：車載器２０は、ダウンリンクフレーム内のＩＤ４０が含まれている場合に、その詳細情報内にクーポン情報などの特典情報（特典を受けることができる特定の情報）が書き込まれているか否かを判定する。車載器２０は、クーポン情報などの特典情報が書き込まれていない場合には、ステップＳ１３１の処理を行ない、書き込まれている場合には、ステップＳ１３２の処理を行なう。たとえば、図１１に示す「詳細情報１」の欄に情報が書き込まれていれば、クーポン情報などの特典情報が有ると判定を行ない、書き込まれていなければ、クーポン情報などの特典情報が無いと判定する。
【００８８】
ステップＳ１３１：車載器２０は、ステップＳ１３０の判定処理を終了して、会員特典の取得処理および利用処理を終了する（ＥＮＤ）。
【００８９】
ステップＳ１３２：車載器２０は、特典を利用するか否かを判定する。具体的には、表示部３３に特典の使用可否を確認する画面または釦を生成させて、ユーザにその使用可否を選択させる。ユーザが利用しない場合にはステップＳ１３３の処理を行ない、利用する場合には、ステップＳ１３４の処理を行なう。
【００９０】
ステップＳ１３３：車載器２０は、特定コード（所定の情報／特典を受けることができる特定の情報）をメモリ部２５などの記憶部等に書き込んで、会員特典の取得処理および利用処理を終了する（ＥＮＤ）。
【００９１】
ステップＳ１３４：車載器２０は、ステップＳ１３１の判定処理を終了する（ＥＮＤ）。なお、センター装置６０に特典を使用する通知が送信されることにより所定の特典情報に基づいた処理が行なわれ、会員特典の取得処理および利用処理を終了する。
【００９２】
このように、車載器２０は、配信されたコンテンツの特定の領域に、所定の情報として書き込まれているか否かを判定することで、クーポン情報などの特典情報の有無を判定して、その使用意思をユーザに確認させる。そして、その時に利用しない場合には、特定の記憶部等に特定コード（特典を受けることができる特定の情報）として書き込むことで、次回、アップリンク時にそのクーポン情報などの特典情報の有無を路側無線装置４０側に通知することができる。
【００９３】
続いて、異なるサービス事業者間において特典を共通して利用可能である場合の会員特典の配布処理について図１６を用いて説明する。図１６は、図１に示す情報配信システム１０における異なるサービス事業者間において特典が共通して利用可能である場合の会員特典の配布処理を示すフローチャート図である。なお、図１６に示すフローチャート図のＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１４２までは、図１４に示すフローチャート図のＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１２２までの処理と同一の処理であるため、ＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１４２までの説明を省略する。
【００９４】
ステップＳ１４３：路側無線装置４０は、異なるサービス事業者間において特典を共通して利用可能であるか否かの判定をする。たとえば、異なるサービス事業者であるＡ事業者のコードを「１２３４５６・・・」とし、Ｂ事業者の事業者コードを「１２３７５６・・・」として、事業者コードの先頭３桁に共通のコード（たとえば、「１２３」を共通のコードとする）を付与する。このように設定した場合、これらのサービス事業者間における会員特典情報については、共通して利用可能であるという判定を行なう。この判定により特典が共通して利用可能でない場合には、ステップＳ１４６の処理を行ない、共通して利用可能である場合には、ステップＳ１４５の処理を行なう。
【００９５】
ステップＳ１４５：路側無線装置４０は、ＩＤ４０の共通の詳細情報の欄にクーポン情報などの特典情報（特典を受けることができる特定の情報）を書き込んだ情報を車載器２０へ送信して、会員特典の配布処理を終了する（ＥＮＤ）。たとえば、Ａ事業者の配信コンテンツである場合には、Ａ事業者およびＢ事業者のＩＤ＝４０の共通の詳細情報の領域（たとえば図１１に示す詳細情報２を共通領域とした場合）にクーポン情報などの特典情報を書き込むことになる。
【００９６】
ステップＳ１４６：路側無線装置４０は、対象となる事業者のＩＤ４０の詳細情報の欄にクーポン情報などの特典情報を書き込んだ情報を車載器２０へ送信して、会員特典の配布処理を終了する（ＥＮＤ）。たとえば、Ａ事業者やＢ事業者の先頭の３桁とは異なる事業者コードを有するＣ事業者からの配信コンテンツである場合には、通常通りＣ事業者のＩＤ＝４０の詳細情報の欄（たとえば図１１に示す詳細情報１）にクーポン情報などの特典情報を書き込むことになる。
【００９７】
このように、路側無線装置４０は、ＩＤ＝４０として配信される詳細情報１〜８の書き込み領域に、通常のクーポン情報などの特典情報を書き込む領域（たとえば図１１に示す詳細情報１）と、共通して利用可能であるクーポン情報などの特典情報を書き込む領域（図１１に示す詳細情報１以外の詳細情報の領域、たとえば詳細情報２）とをそれぞれ設けて、事業者コードによる判別を行なうことにより、異なるサービス事業者間において共通して利用可能であるか否かを判別して、異なる事業者間でも利用可能な会員特典等の配布を行なうことができる。
【００９８】
続いて、異なるサービス事業者間において特典が共通して利用可能である場合の会員特典の取得処理および利用処理について図１７を用いて説明する。図１７は、図１に示す情報配信システム１０における異なるサービス事業者間において特典が共通して利用可能である場合の会員特典の取得処理および利用処理を示すフローチャート図である。なお、図１５に示すフローチャート図のＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１３２と、図１７に示すフローチャート図のＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１５２までの処理は同一の処理であるため、ＳＴＡＲＴ〜ステップＳ１５２までの説明を省略する。
【００９９】
ステップＳ１５３：車載器２０は、メモリ部２５などの記憶部等にクーポン情報などの特典情報（特典を受けることができる特定の情報）を書き込んで、会員特典の取得処理および利用処理を終了する（ＥＮＤ）。このように共通して利用可能な複数のサービス事業者の共通使用される領域に特典情報を書き込むことで、特典情報の不整合が生じないようにしている。
【０１００】
ステップＳ１５４：車載器２０は、ステップＳ１５２の判定処理でＹＥＳの場合、所定の特典に基づいた処理を行ない、会員特典の取得処理および利用処理を終了する（ＥＮＤ）。具体的には、異なるサービス事業者毎の特定の記憶部を参照し、該当する特典情報の有無のチェック等を行なう。
【０１０１】
このように、車載器２０は、配信されたコンテンツの特定の領域に特典を受けることができる特定の情報が書き込まれているか否かを判定することで、異なる事業者間においても利用可能なクーポン情報などの特典情報の有無を判定することができる。そして、その時にユーザが利用しない場合には、共通の記憶部等に書き込むことで、次回、アップリンク時にそのクーポン情報などの特典情報の有無を路側無線装置４０側に通知することができる。
【０１０２】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【０１０３】
たとえば、上記実施の形態では、特典としてサービスや商品を割引くことができるクーポン、無料で特定のサービスや商品を受け取ることができるクーポンを想定している。この他にもたとえば、無料駐車券、駐車時の延長券などを配布したりするクーポンを採用してもよい。また、次回来店時に使用できるポイントを加算するまたは利用に応じてポイントを減算するようにしてもよい。更に、特典以外の所定コンテンツとしては、サービス事業者がビデオなどのレンタル業者である場合の「最新レンタル提供可能なビデオ情報」などの各種の最新情報が挙げられる。
【０１０４】
また、上記実施の形態では、センター装置６０と路側無線装置４０とが、分離されている。この他にもたとえば、センター装置６０の有する機能の一部または全てを路側無線装置４０に持たせるようにしてもよい。また、路側無線装置４０は、車載器２０とセンター装置６０間の情報のやりとりを仲介するための処理を行なうこととしたが、路側無線装置４０にセンター装置６０の処理の一部または全てを、路側無線装置４０内の処理として行なうこととしてもよい。
【０１０５】
また、上記実施の形態では、端末としての車載器２０を用いている。この他にもたとえば、端末としてＤＳＲＣ通信機能を備えた携帯電話やＰＤＡを用いてもよい。
【０１０６】
また、上記実施の形態では、路側無線装置４０の管理者が、特典を与える業者でもある。この他にもたとえば、路側無線装置４０の管理者は、特典を与える業者ではなく、特典を付与する業者と契約を結んで、その路側無線装置４０を運営する者、すなわちサービス提供者以外の者が路側無線装置４０を設置し、管理する形式としてもよい。
【０１０７】
また、上記実施の形態に係る端末としての車載器２０は、図３に示すようにＤＳＲＣ部２１と、ナビ部２７と、制御部３４とで構成している。この他にもたとえば、ＩＴＳ車載器のように料金決済が可能なＥＴＣ（Ｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃ Ｔｏｌｌ Ｃｏｌｌｅｃｔｉｏｎ ｓｙｓｔｅｍ）処理部（不図示）、料金決済時に使用するＩＣカードを挿入するＩＣカードインタフェース部（不図示）などを備えていてもよい。また、端末としては、ナビゲーション機能を持たない端末や、車両１００に常時設置されない携帯可能な端末としてもよい。
【０１０８】
また、上記実施の形態に係る車載器２０のＤＳＲＣ部２１は、５．８ＧＨｚ帯ＤＳＲＣ通信機能を有している。この他にもたとえば、ＴＳ車載器のように、光ＶＩＣＳインタフェース，ＦＭＶＩＣＳインタフェース，他の周波数帯のＤＳＲＣ通信用インタフェース、その他のメディアとの通信インタフェースを備えていてもよい。また、通信方式として５．８ＧＨｚ帯ＤＳＲＣ通信機能を、それ以外の広域通信方式などの他の通信方式を採用してもよい。
【０１０９】
また、上記実施の形態に係る情報配信システム１０におけるトランザクションでは、図５に示すようにステップＳ１０７のアップリンク情報の通知後にステップＳ１０８によるアップリンク情報の更新有無を確認するポーリングを行なっている。この他にもたとえば、このステップＳ１０７の通知後にＶＩＣＳフォーマットによる公共情報などのデフォルトコンテンツをセンター装置６０が配信してもよい。
【０１１０】
また、上記実施の形態に係る情報配信システム１０では、アップリンク情報として「累積走行距離」についての情報もアップリンクしている。この「累積走行距離」のアップリンクによって、車載器２０の絶対走行距離または相対走行距離が通知されるため、前回の情報提供サービスを行った時点での走行距離との比較により、走行距離に起因する会員特典サービス(オイル交換やタイヤ交換等の消耗部品交換の割引案内等)を提供するようにしてもよい。
【０１１１】
また、上記実施の形態に係る情報配信システム１０が有する各構成ブロックの機能は、全てまたはその一部をソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。例えば、制御部３４における処理の全部またはその一部は、１または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【０１１２】
また、例えば、車載器２０を装置の全部または一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリーカード、ＣＤ（ｃｏｍｐａｃｔ ｄｉｓｃ）、ＤＶＤ（ｄｉｇｉｔａｌ ｖｅｒｓａｔｉｌｅ ｄｉｓｋ）、ＭＯ（ｍａｇｎｅｔｏ−ｏｐｔｉｃａｌ）等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータ、例えば、携帯電話、オーディオ機器、電子時計等にインストールし、車載器２０として動作させ、あるいは、車載器２０が行なう工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、車載器２０となるコンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【０１１３】
本発明は、会員特典等の所定のコンテンツの配布等を行なう情報配信システム、情報配信方法およびプログラムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【０１１４】
【図１】本発明の実施の形態に係る情報配信システム全体の構成を示す図である。
【図２】図１に示すセンター装置の主な構成を示すブロック図である。
【図３】図１に示す路側無線装置と車載器間で行なわれる路車間通信を示す図である。
【図４】図１に示す車載器の主な構成を示すブロック図である。
【図５】図１に示す車載器と路側無線装置との間で行なわれる路車間通信のトランザクションを示す図である。
【図６】図５で示すトランザクションにおいて送受信されるマルチコンテンツフォーマットで編成されたデータ群を示す図である。
【図７】図６に示す配信データに含まれるコンテンツ情報に基づき表示される表示画面遷移例を示した図である。
【図８】図６に示す配信データに含まれるコンテンツ情報のデータフォーマットの一例を示す図である。
【図９】図１に示す路側無線装置から車載器に対して行なうダウンリンクにおけるデータ形式のうち、図８のＩＤ＝００および０１である情報のデータ形式を示す図である。
【図１０】図１に示す路側無線装置から車載器に対して行なうダウンリンクのデータ形式のうち、図８に示すＩＤ＝１０である情報のデータ形式を示す図である。
【図１１】図１に示す路側無線装置から車載器に対して行なうダウンリンクのデータ形式のうち、図８に示すＩＤ＝４０である情報のデータ形式を示す図である。
【図１２】図１に示す路側無線装置から車載器に対して行なうダウンリンクのデータ形式のうち、図８に示すＩＤ＝８０である情報のデータ形式を示す図である。
【図１３】図１に示す車載器から路側無線装置に対して行なうアップリンクのデータ形式を示す図である。
【図１４】図1に示す情報配信システムにおける会員特典の配布処理を示すフローチャート図である。
【図１５】図１に示す情報配信システムにおける会員特典の取得処理および利用処理を示すフローチャート図である。
【図１６】図１に示す情報配信システムにおける異なるサービス事業者間において特典が共通して利用可能である場合の会員特典の配布処理を示すフローチャート図である。
【図１７】図１に示す情報配信システムにおける異なるサービス事業者間において特典が共通して利用可能である場合の会員特典の取得処理および利用処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【０１１５】
１０ 情報配信システム、２０ 車載器（端末）、２１ ＤＳＲＣ部（通信部）、２２ 送受信部／変復調部（通信部の一部）、２３ ＤＳＲＣ制御部（通信部の一部）、２４ ＤＳＲＣ−ＡＳＬ処理部（通信部の一部）、２５ メモリ部（記憶部）、３４ 制御部、４０,４０Ａ,４０Ｂ 路側無線装置、５０ 無線アクセスポイント（路側無線装置の他の形態）、６０ センター装置（情報配信サーバ）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって車両に搭載される端末と、上記端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、上記路側無線装置と通信を介して上記複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムであって、
上記端末は、
上記路側無線装置から上記複数のコンテンツを含む情報を受信可能な通信部と、
上記通信部で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するための特定の記憶部と、
上記蓄積された後、再度上記路側無線装置との通信エリアに入った際、上記所定の情報を上記特定の記憶部から読み出して上記路側無線装置にアップリンクする制御部と、を有することを特徴とする情報配信システム。
【請求項２】
前記所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、前記端末は、上記特定の情報を前記路側無線装置に送信することを特徴とする請求項１に記載の情報配信システム。
【請求項３】
前記路側無線装置は、前記特定の情報を含むものが送信されてきた場合には、前記特定の情報に対応する特典情報を前記端末に対して送信することを特徴とする請求項２に記載の情報配信システム。
【請求項４】
前記所定の情報は、前記情報配信サーバを利用するサービス事業者が前記端末を利用するユーザに対して与える特典情報であり、
前記端末から上記特典情報を前記路側無線装置にアップリンクすることにより、上記特典情報の特典を享受できることを特徴とする請求項１に記載の情報配信システム。
【請求項５】
前記特典情報が、異なるサービス事業者間においても共通して利用可能である特典情報の場合には、前記端末内の異なるサービス事業者毎に保存された他の特定の記憶部に前記特典情報をそれぞれ記憶させることを特徴とする請求項３に記載の情報配信システム。
【請求項６】
前記路側無線装置は、前記端末からアップリンクされた特典情報が、異なるサービス事業者間においても共通して利用可能である特典情報の場合には、その特典情報に対する応答処理を前記端末内の異なるサービス事業者の特定の記憶部に対してそれぞれ行なうことができる信号を前記端末に送信することを特徴とする請求項５に記載の情報配信システム。
【請求項７】
所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって、車両に搭載される端末と、上記端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、上記路側無線装置と通信を介して上記複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムに用いられる情報配信方法であって、
上記路側無線装置から上記複数のコンテンツを含む情報を受信するステップと、
上記通信部で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するステップと、
上記蓄積するステップの後、再度上記路側無線装置との通信エリアに入った際、上記所定の情報を上記路側無線装置に対して送信するステップと、
を有することを特徴とする情報配信方法。
【請求項８】
前記所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、上記特定の情報を前記路側無線装置に送信するステップを有することを特徴とする請求項７に記載の情報配信方法。
【請求項９】
所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって、車両に搭載される端末と、上記端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、上記路側無線装置と通信を介して上記複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムに用いられるプログラムであって、
コンピュータを、
上記路側無線装置から上記複数のコンテンツを含む情報を受信可能な通信手段、
上記通信手段で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するための特定の記憶手段、
上記特定の記憶手段により記憶した後、再度、上記路側無線装置の通信エリアに入った際、上記所定の情報を上記路側無線装置に対して送信するアップリンク手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項１０】
前記所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、上記特定の情報を前記路側無線装置に送信する手段として機能させることを特徴とする請求項９に記載のプログラム。
【請求項１】
所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって車両に搭載される端末と、上記端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、上記路側無線装置と通信を介して上記複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムであって、
上記端末は、
上記路側無線装置から上記複数のコンテンツを含む情報を受信可能な通信部と、
上記通信部で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するための特定の記憶部と、
上記蓄積された後、再度上記路側無線装置との通信エリアに入った際、上記所定の情報を上記特定の記憶部から読み出して上記路側無線装置にアップリンクする制御部と、を有することを特徴とする情報配信システム。
【請求項２】
前記所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、前記端末は、上記特定の情報を前記路側無線装置に送信することを特徴とする請求項１に記載の情報配信システム。
【請求項３】
前記路側無線装置は、前記特定の情報を含むものが送信されてきた場合には、前記特定の情報に対応する特典情報を前記端末に対して送信することを特徴とする請求項２に記載の情報配信システム。
【請求項４】
前記所定の情報は、前記情報配信サーバを利用するサービス事業者が前記端末を利用するユーザに対して与える特典情報であり、
前記端末から上記特典情報を前記路側無線装置にアップリンクすることにより、上記特典情報の特典を享受できることを特徴とする請求項１に記載の情報配信システム。
【請求項５】
前記特典情報が、異なるサービス事業者間においても共通して利用可能である特典情報の場合には、前記端末内の異なるサービス事業者毎に保存された他の特定の記憶部に前記特典情報をそれぞれ記憶させることを特徴とする請求項３に記載の情報配信システム。
【請求項６】
前記路側無線装置は、前記端末からアップリンクされた特典情報が、異なるサービス事業者間においても共通して利用可能である特典情報の場合には、その特典情報に対する応答処理を前記端末内の異なるサービス事業者の特定の記憶部に対してそれぞれ行なうことができる信号を前記端末に送信することを特徴とする請求項５に記載の情報配信システム。
【請求項７】
所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって、車両に搭載される端末と、上記端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、上記路側無線装置と通信を介して上記複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムに用いられる情報配信方法であって、
上記路側無線装置から上記複数のコンテンツを含む情報を受信するステップと、
上記通信部で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するステップと、
上記蓄積するステップの後、再度上記路側無線装置との通信エリアに入った際、上記所定の情報を上記路側無線装置に対して送信するステップと、
を有することを特徴とする情報配信方法。
【請求項８】
前記所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、上記特定の情報を前記路側無線装置に送信するステップを有することを特徴とする請求項７に記載の情報配信方法。
【請求項９】
所定の通信方式により配信されるコンテンツを受信可能であって、車両に搭載される端末と、上記端末に、複数のコンテンツを送信可能な路側無線装置と、上記路側無線装置と通信を介して上記複数のコンテンツを提供可能な情報配信サーバと、を有する情報配信システムに用いられるプログラムであって、
コンピュータを、
上記路側無線装置から上記複数のコンテンツを含む情報を受信可能な通信手段、
上記通信手段で受信したコンテンツのうち所定の情報を記憶して蓄積するための特定の記憶手段、
上記特定の記憶手段により記憶した後、再度、上記路側無線装置の通信エリアに入った際、上記所定の情報を上記路側無線装置に対して送信するアップリンク手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項１０】
前記所定の情報は、特典を受けることができる特定の情報であり、上記特定の情報を前記路側無線装置に送信する手段として機能させることを特徴とする請求項９に記載のプログラム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【公開番号】特開２００９−２００８４３（Ｐ２００９−２００８４３Ａ）
【公開日】平成２１年９月３日（２００９．９．３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−４０５９４（Ｐ２００８−４０５９４）
【出願日】平成２０年２月２１日（２００８．２．２１）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．ＶＩＣＳ
【出願人】（０００００３５９５）株式会社ケンウッド (1,981)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年９月３日（２００９．９．３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年２月２１日（２００８．２．２１）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．ＶＩＣＳ
【出願人】（０００００３５９５）株式会社ケンウッド (1,981)
【Ｆターム（参考）】
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