説明

感光性はんだペースト組成物およびそれを用いたはんだ組成物

【課題】パソコン、自動車、携帯電話や携帯情報端末、フラットパネルテレビ、ゲーム機器、高度道路情報システム、無線LANなどに内蔵する電子機器の回路基板に利用する、貯蔵安定性に優れ、はんだ付け後の残渣を生じない感光性はんだペースト組成物、およびそれを硬化させてなるはんだ組成物を提供する。
【解決手段】(A)はんだ粉末、(B)光酸発生剤および(C)樹脂を含むことを特徴とする感光性はんだペースト組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン、自動車、携帯電話や携帯情報端末、フラットパネルテレビ、ゲーム機器、高度道路情報システム、無線LANなどに内蔵する電子機器の回路基板に利用する感光性はんだペースト組成物およびそれを硬化させてなるはんだ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、携帯電話や携帯情報端末、フラットパネルテレビ、ゲーム機器等の小型機器の普及に伴い、電子回路の高密度化が進み、回路基板上に搭載する実装技術が重要となってきている。とりわけ実装技術の中心的存在となっているファインピッチソルダリング技術の要求が高まっており、電子機器のはんだ付けに使用される半田粉末はより微細化が進む傾向にある。
【0003】
電子機器のはんだ付け方法としては、リフロー法が一般的である。リフロー法とは、プリント基板の必要な箇所だけにはんだペーストを塗布し、リフロー炉のような加熱装置で加熱するだけで、多数箇所のはんだ付けができる方法のことである。上記リフロー法に用いるはんだペーストは、はんだ粉とフラックス等とを混錬してペースト状にしたものであり、スクリーン印刷を用いた印刷やディスペンサーを用いた吐出によりプリント基板のはんだ付け部に塗布する。しかしながら、従来のこれらの方法では、微細化の影響で対応が不可能になりつつあった。
【0004】
そこで、半田粉末をフラックス成分と光硬化性樹脂とを含む混合物中に分散させたペースト組成物(特許文献1)やフラックス処理したはんだ粉末を光感受性樹脂に分散させた組成物(特許文献2)をフォト加工させてパターニングすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−3992号公報
【特許文献2】特開昭57−52588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フラックス成分は、通常、樹脂、活性剤、溶剤及びその他の添加剤を含み、一般に金属表面に塗布または基板自体をフラックスに浸漬して用いる。フラックスに用いられる樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン等のロジン化合物が用いられ、活性剤としては、アジピン酸、セバシン酸、クエン酸、塩素等の有機酸等が用いられる。フラックスに配合するロジン化合物中のカルボキシル基又は活性剤である有機酸中のカルボキシル基は、金属表面の金属酸化物を除去し、はんだ付けを良好にさせる。
【0007】
しかし、フラックス成分を含むはんだペーストは貯蔵安定性が悪く、溶融前の反応進行によって活性剤成分が失活するため、はんだ表面の酸化物を除去できなくなり、はんだ溶融性が悪化するといった問題があった。また、金属酸化物の除去に関与しなかったロジン化合物や有機酸は、はんだ付け後に残渣となり、イオン的、機械的作用により接合後の信頼性に悪影響を及ぼすといった問題があった。さらにまた塩素などの活性剤が機器に悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0008】
かかる状況に鑑み、本発明は、貯蔵安定性に優れ、はんだ付け後の残渣を生じない感光性はんだペースト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、(A)はんだ粉末、(B)光酸発生剤および(C)樹脂を含む感光性はんだペースト組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の感光性はんだペースト組成物は、露光前には酸が発生しないことにより、貯蔵安定性が良いため、長期利用が可能となる。さらに、それを硬化させて得られるはんだ組成物は良好な導通特性を有するものである。また、金属酸化物の除去に関与しなかった有機酸は、アルカリ現像で中和できるため、はんだ付け後の有機酸の残渣を生じない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の感光性はんだペースト組成物は、(A)はんだ粉末、(B)光酸発生剤および(C)樹脂を含む。
【0012】
本発明で用いられる(A)はんだ粉末の組成としては、特に限定されるものではなく、例えば錫(Sn)−鉛(Pb)系、Sn−Ag(銀)系、Sn−Cu(銅)系などのはんだ合金粉末の他、Sn−Ag−In(インジウム)系、Sn−Ag−Bi(ビスマス)系、Sn−Ag−Cu系などの無鉛合金粉末が挙げられる。また、これらのはんだ粉末は、それぞれ単独で使用できるほか、2種以上をブレンドして用いてもよく、例えばSn−Ag−In系とSn−Ag−Bi系とをブレンドし、Sn−Ag−In−Bi系等としてもよい。鉛害等の廃棄の処理の観点から、鉛フリーのはんだが好ましい。
【0013】
(A)はんだ粉末の形状としては、球状、略球状、楕円球状、針状、板状、鱗片状、棒状などが挙げられるが、特に、限定されるものではない。これらのうち1種を単独で用いたり、2種以上を混合して用いたりすることができる。
【0014】
本発明では、感光性はんだペースト組成物中のはんだ粉末の含有量は、有機溶媒などの揮発成分を除いた固形成分に対して、60重量%以上90重量%以下であることが好ましい。はんだペースト組成物中の固形成分に対するはんだ粉末の含有量が60重量%以上であると、得られるはんだ組成物の比抵抗を小さくすることができる。感光性はんだペースト組成物中の固形成分に対するはんだ粉末の含有量は、より好ましくは75重量%以上である。感光性はんだペースト組成物中の固形成分に対するはんだ粉末の含有量が90重量%以下であると、フォト加工性が良好となる。
【0015】
本発明に用いられるはんだ粉末の平均粒子径は0.5μm以上7μm以下であることが好ましい。感光性はんだペースト組成物中のはんだ粉末は、凝集が完全にほぐれた1次粒子の状態にあるものと、複数個の1次粒子が凝集した状態(2次粒子)にあるものが存在する。ここで、感光性はんだペースト組成物中のはんだ粉末の粒子径とは、凝集していない1次粒子はその粒子の粒子径であり、1次粒子が凝集したものはその凝集体の粒子径である。感光性はんだペースト組成物中のはんだ粉末の平均粒子径を測定する方法としては、SEM(走査型電子顕微鏡)やTEM(透過型電子顕微鏡)により直接粒子を観察し、粒子径の数平均を計算する方法が挙げられる。
【0016】
感光性はんだペースト組成物中のはんだ粉末の平均粒子径が7μm以下であると、フォト加工性が良好となり、微細なパターンが可能となる。一方、感光性はんだペースト組成物中のはんだ粒子の平均粒子径が0.5μm以上であると、はんだ粒子の体積に対する比表面積が小さくなるため、粒子の分散性は良好となる。
【0017】
本発明に用いられる(B)光酸発生剤は、露光に用いる紫外線、遠紫外線、近紫外線、電子線、X線などの化学線の照射を受け、酸を脱離する化合物である。露光を水銀灯で行う場合、ナフトキノンジアジド化合物やスルホニウム塩を有するものが好ましい。
【0018】
ナフトキノンジアジド化合物は、ポリヒドロキシ化合物にナフトキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にナフトキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にナフトキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の全ての官能基がナフトキノンジアジドで置換されていなくても良いが、官能基全体の50モル%以上がナフトキノンジアジドで置換されていることが好ましい。50モル%未満であるとはんだ粉末の酸化物を除去する効果が薄れ、導通が得られない可能性がある。このようなナフトキノンジアジド化合物を用いることで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)に感光する光酸発生剤を得ることができる。
【0019】
ポリヒドロキシ化合物としては、具体的には、ビスフェノールA、メチレンビスフェノール、スルホンビスフェノール、ヘキサフルオロプロピル(ビスフェノール)、フェノール、ナフトール、クレゾール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシベンゼン、没食子酸メチル、没食子酸エチル、テトラヒドロキシベンゼンカルボン酸メチル、テトラヒドロキシベンゼンカルボン酸エチル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,5−テトラヒドロキシベンゾフェノンまたは2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
また、ポリヒドロキシ化合物に代わりポリアミノ化合物を用いることもできる。ポリアミノ化合物としては、具体的には、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本発明においてナフトキノンジアジド化合物は5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましく用いられる。4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適している。5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。本発明においては、露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を併用した、ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を得ることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を混合して使用することもできる。
【0022】
本発明で用いるナフトキノンジアジド化合物は特定のフェノール化合物から、次の方法により合成される。例えば5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドとフェノール化合物をトリエチルアミン存在下で反応させる方法などがある。フェノール化合物の合成方法は、酸触媒下で、α−(ヒドロキシフェニル)スチレン誘導体を多価フェノール化合物と反応させる方法などがある。
【0023】
スルホニウム塩を有するものとしては、ジアゾスルホン系、トリフェニルスルホニウム系、ヨードニウム系等があるが、それらの中でも、トリフェニルスルホニウム系が好ましい。また、強酸を発生するトリフルオロメタンスルホニル塩を有するものが好ましい。例えば、チバ・ジャパン(株)製のGSID−26−1などがある。
【0024】
このような化合物を含有することで、露光時に酸を発生させることができ、金属表面の金属酸化物を除去し、はんだ付けを良好にさせることが可能となる。また、アルカリ水溶液を用いた現像の工程にて、酸化物除去に利用されなかった有機酸を中和でき、また、現像後、導通化させるための熱処理と同時に、樹脂硬化が始まるので、感光性はんだペースト中に含有されたままにいる化合物や有機酸を感光性はんだペースト中の成分と反応させ、無害化し、信頼性向上を図ることが可能となる。
【0025】
本発明の感光性はんだペースト組成物において、(B)光酸発生剤の含有量は、有機溶媒などの揮発成分を除いた固形成分の合計含有量100重量部に対し、0.1重量部以上が好ましい。また、2重量部以下が好ましい。0.1重量部以上であると、はんだ粉末の酸化膜を除去でき、比抵抗が低いはんだ組成物を得ることができる。また、2重量部以下であると、酸発生による樹脂の劣化、ひいてはフォト加工性の悪化を防ぐことができる。
【0026】
また、光酸発生剤と熱酸発生剤を共用しても良い。熱酸発生剤を用いることで、酸化膜除去の効果がより大きくなる。本発明で用いられる熱酸発生剤は、熱硬化時に酸を発生する化合物であり、組成物塗布後の乾燥時には酸を発生しない、もしくは少量しか発生しないことが好ましい。故に、乾燥温度以上、例えば100℃以上で酸を発生する化合物であることが好ましい。
【0027】
好ましく用いられる熱酸発生剤の具体例としては、SI−60、SI−80、SI−100、SI−110、SI−145、SI−150、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−145L、SI−150L、SI−160L、SI−180L、(以上商品名、三新化学工業(株)製)4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート(以上、三新化学工業(株)製)などが挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
本発明で用いられる(C)樹脂としては、ビニル樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、エポキシメタクリレート樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シロキサン樹脂などの、重合性基を有する熱硬化型あるいはUV硬化型の樹脂が挙げられる。また、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂、ノボラック樹脂など重合性基を持たない樹脂が挙げられる。これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数種を適当な比にて用いてもよい。また、これらの中でも、耐熱性の観点から、ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。ポリイミド樹脂を用いることで、その後のリフローでも、はんだ組成物の形状を維持することができ、ひいては狭ピッチを維持することができる。また、SiC基板等での高温動作での使用が可能となる。また、アルカリ可溶性の樹脂であることが環境の点で望ましい。
【0029】
アルカリ可溶性の樹脂とは、アルカリ水溶液に可溶な樹脂のことを示し、前記樹脂はポリイミド樹脂から選択されるポリマーであることが好ましく、前記ポリマーは分子中に酸性基を有するポリマーであればどのようなものでも構わないが、好ましくは酸性基がカルボキシル基であることが望ましい。
【0030】
また、これら以外にも、天然ロジン、重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン等のロジンを用いたロジン変性樹脂を本発明の効果を損なわない範囲で含んでいても良い。これらの樹脂を用いることで、はんだ粉末の酸化物除去を促進することができる。
【0031】
本発明の感光性はんだペースト組成物をネガ型の感光性とするものには、ポリイミド前駆体に光反応性の二重結合を有する化合物を混合したもの、ポリイミド前駆体中のアルカリ可溶性基の一部に光反応性基を導入したもの、アルカリ可溶性樹脂と重合性化合物と光重合開始剤とを含むもの、重合性基を有するUV硬化型の樹脂と光重合開始剤とを混合したもの等がある。ネガ型感光性はんだペーストでは、フォト加工時に露光する部分が硬化し、はんだとして残るため、ペースト中に(B)光酸発生剤も含有させることで、露光時にはんだ粉末の酸化物を除去することが可能となる。なお、ネガ型感光性はんだペーストに含まれる重合性化合物またはUV硬化型の樹脂が、酸により重合するものである場合は、(B)光酸発生剤が重合開始剤を兼ねることができる。
【0032】
本発明の感光性はんだペースト組成物をポジ型の感光性とするものには、アルカリ可溶性のノボラック樹脂またはポリイミド前駆体などにナフトキノンジアジド化合物を添加したもの、アルカリ可溶性基を酸で解離する基で保護した樹脂に強酸を出す光酸発生剤を添加したもの等がある。ポジ型感光性はんだペーストでは、フォト加工時に露光する部分は現像により溶解し、はんだとして残るのは未露光部である。そのため、さらに、残ったパターンを全面露光して、(B)光酸発生剤からカルボン酸を発生させることで、はんだ粉末の酸化物の除去を行うことができる。このように、ポジ型感光性はんだペーストにおいては、(B)光酸発生剤がポジ型感光性の発現とはんだ粉末の酸化物の除去の2つの役割を果たすことができる。
【0033】
本発明に用いられるポリイミド樹脂は、感光性はんだペースト中ではポリイミド前駆体であっても既閉環ポリイミドであっても構わない。ポリイミド樹脂は、一般にテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリイミド前駆体の1つであるポリアミド酸を、加熱あるいは酸や塩基などの化学処理で脱水閉環することで得ることができる。本発明ではポリアミド酸が使用できるだけでなく、他のポリイミド前駆体であるポリアミド酸エステル、ポリアミド酸アミド、ポリイソイミドなども使用することができる。また、既閉環ポリイミドとは、本発明の感光性はんだペースト組成物中ですでにイミド結合したポリイミドのことであり、ポリイミド前駆体で必要とされるような高温での硬化処理(イミド化)は不要である。その為、ペースト中に高温で失活する成分が含有される場合に、低温での処理が可能となる既閉環ポリイミドを利用することで、はんだ組成物の膜特性を良好にすることができる。また、既閉環ポリイミドは、ポリイミド前駆体とは異なり残査の原因と推測されるカルボキシル基を有していないので、残査が発生する可能性が殆ど無いといった利点がある。
【0034】
ポリイミド前駆体の酸無水物としては、好ましくはテトラカルボン酸二無水物とジアミンを、非プロトン性極性溶媒中で反応させて得られるポリアミド酸およびそのエステルが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物では3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
またジアミンとしてはパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、メチルパラフェニレンジアミン、メチルメタフェニレンジアミン、ジメチルパラフェニレンジアミン、ジメチルメタフェニレンジアミン、トリメチルパラフェニレンジアミン、トリメチルメタフェニレンジアミン、テトラメチルパラフェニレンジアミン、テトラメチルメタフェニレンジアミン、トリフルオロメチルパラフェニレンジアミン、トリフルオロメチルメタフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロメチル)パラフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロメチル)メタフェニレンジアミン、メトキシパラフェニレンジアミン、メトキシメタフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシパラフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシメタフェニレンジアミン、フルオロパラフェニレンジアミン、フルオロメタフェニレンジアミン、カルボキシパラフェニレンジアミン、カルボキシメタフェニレンジアミン、メトキシカルボニルパラフェニレンジアミン、メトキシカルボニルメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノエチルフェニル)スルホン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジエチルフェニル)スルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ビス(アミノメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノエチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジエチルフェニル)エーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォンなどが挙げられるが、これらに限定されず、公知の材料を用いることができる。
【0036】
本発明に用いられる感光性はんだペースト組成物は、不飽和結合含有重合性化合物を含有しても良い。不飽和結合含有重合性化合物は、加熱および/または光により硬化させることができる。特に、光硬化性を利用することで、樹脂にネガ型の感光性を付与することができる。
【0037】
本発明で用いられる不飽和結合含有化合物は、重合性不飽和官能基を含有するものである。重合性不飽和官能基としては例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の不飽和二重結合官能基および/またプロパルギル等の不飽和三重結合官能基が挙げられ、これらの中でも共役型のビニル基やアクリロイル基、メタクリロイル基が重合性の面で好ましい。またその官能基が含有される数としては安定性の点から1〜4であることが好ましく、それぞれは同一の基でなくとも構わない。また、ここで言う化合物は、分子量30〜800のものが好ましい。分子量が30〜800の範囲であれば、ポリイミド樹脂との相溶性がよく、感光性はんだペースト組成物の安定性がよい。
【0038】
不飽和結合含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、1,2−ジヒドロナフタレン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−ビニルナフタレン、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−ジアクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ジメタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、 2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0039】
これらのうち、特に好ましくは、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、 2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
【0040】
不飽和結合含有重合性化合物の含有量は、(C)樹脂100重量部に対して、5〜200重量部とすることが好ましく、相溶性の点から5〜150重量部とすることがより好ましい。この含有量を5重量部以上とすることで、現像時の膜の露光部の溶出を防ぎ、現像後に十分な残膜を得ることができる。また、この含有量を200重量部以下とすることで、膜形成時の膜の白化を抑えつつ、十分な残膜を得ることができる。
【0041】
本発明ではさらに光重合開始剤を用いてもよい。具体例としては1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ビス(α−イソニトロソプロピオフェノンオキシム)イソフタル、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(o−ベンゾイルオキシム)、OXE02(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社)などのオキシム類、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンなどのα-アミノアルキルフェノン類、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールなどが挙げられるが、これらに限定されず、公知の材料を用いることができる。これらの光重合開始剤は、単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用される。
【0042】
光重合開始剤を用いる場合、その含有量は、(C)樹脂100重量部に対して、通常、1種類につき0.1〜40重量部が好ましく、2種以上を組み合わせる場合は、総量で0.2〜60重量部であることが好ましい。
【0043】
本発明では、熱架橋性化合物を含有するのが好ましい。熱架橋性化合物を含有することで、熱処理時に熱架橋反応が起きるため、収縮率を小さくすることができる。
【0044】
熱架橋性基を有する化合物としては、熱架橋性基を少なくとも2つ含有するものが好ましい。特に好ましくは、熱架橋性基を2つ有するものとして、46DMOC、46DMOEP(商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、DMOM−PTBP(商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、B−a型ベンゾオキサジン、B−m型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾールなど、3つ有するものとしてTriML−P、TriML−35XL(商品名、本州化学工業(株)製)など、4つ有するものとしてTM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)など、6つ有するものとしてニカラックMW−30HM、ニカラックMW−100LM(商品名、(株)三和ケミカル製)、HML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0045】
このような熱架橋性化合物の含有量としては、(C)樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5〜150重量部であり、さらに好ましくは1〜130重量部の範囲である。樹脂100重量部に対する熱架橋性化合物の含有量を150重量部以下にすることで、得られるはんだ組成物の耐熱性を低下させることがない。一方、0.5重量部以上とすることで、十分な架橋による分子量増大効果により、はんだ組成物の耐熱性が向上する。
【0046】
本発明の感光性はんだペースト組成物は、樹脂の重合を促進するために、ラジカルやカチオン、アニオンなどの活性種を発生する重合促進剤を含有してもよい。重合促進剤としては、光照射や加熱処理により活性化するものがあり、用途に応じて使い分けることが可能である。
【0047】
本発明の感光性はんだペースト組成物は有機溶媒を含有することが好ましい。有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。有機溶媒は1種を単独で用いたり、2種以上を混合して用いたりすることができる。感光性はんだペースト組成物中の有機溶媒の含有量は、10重量%以上80重量%以下であることが好ましい。
【0048】
本発明の感光性はんだペースト組成物は、表面状態を良好なものとするために、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アクリル系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、アクリル−シリコン系界面活性剤等があるが、この中でも、アクリル系界面活性剤が好ましい。界面活性剤を含む場合、感光性はんだペースト組成物中の界面活性剤の含有量は、0.01重量%以上1重量%以下であることが好ましい。0.01重量%未満であると、界面活性剤の効果が得られない。1重量%より大きいと、表面が凸凹になるといった現象が発生するおそれがある。
【0049】
その他、本発明の感光性はんだペースト組成物には、pH調整剤、湿潤剤、重合促進剤、重合禁止剤、可塑剤、酸化防止剤などを含有してもよい。また、感光性はんだペースト組成物の貯蔵安定性が悪化しない程度に、水を加えてもよい。水を加えることで、光酸発生剤としてナフトキノンジアジドを利用する場合は、酸になりやすくなる。
【0050】
本発明の感光性はんだペースト組成物は、まず、有機成分となる(B)光酸発生剤、(C)樹脂、不飽和結合含有重合性化合物、光重合開始剤、熱架橋性化合物、溶媒等をミキサー等で混合した後、フィルターで濾過したものを利用するのが好ましい。濾過する方法としては、真空濾過、加圧濾過、大気濾過等があるが、この中でも加圧濾過が好ましい。加圧濾過の場合は、圧力は0.1〜0.4Mpaが好ましく、また、濾過フィルターは、捕捉粒子径0.5〜5μmのメンブレムフィルターが好ましい。(A)はんだ粒子を加える前に、最初に有機成分のみ濾過しておくことで、有機成分の不溶成分の除去が可能となる。
【0051】
はんだ粉末の分散工程において当初から樹脂溶液やその他必要な物質を混合しておくこともできる。また、分散剤、溶剤、樹脂、その他必要な物質等は、その必要量の全量を最初の混合時に加えてもよいし、分散時の粘度変化等の状況を見ながら数回に分けて加えてもよい。また、加熱処理や光照射により樹脂の重合反応を適度に進行させてもよい。
【0052】
次に、上記のようにして製造した感光性はんだペースト組成物を硬化させて、はんだ粉が分散したはんだ組成物を製造する方法について詳細に説明する。例えば、感光性はんだペースト組成物をある被着体(例えば基板)に塗布し、有機溶媒を除去し、光照射などにより感光性はんだペースト組成物を硬化させ、はんだ組成物を製造することができる。ただし、本発明のはんだ組成物は焼結体ではないので、樹脂を完全に分解、除去する必要はなく、電子部品の耐熱温度範囲内(例えば、500℃以下の温度)で加熱することが好ましい。
【0053】
シリコンウエハーなどの被着体と感光性はんだペースト組成物との接着性を高めるために、被着体表面にシランカップリング剤などによる表面処理を施すことができる。例えば、シランカップリング剤などをイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルなどの有機溶媒に0.5から20重量%溶解させた溶液を、回転塗布、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などにより被着体へ塗布する。場合によっては、その後50℃から300℃までの温度で加熱することで、基板とシランカップリング剤との反応を進行させる。また、被着体を高温で加熱し、被着体表面の吸着水などを取り除くことも表面処理方法として有効である。この場合、例えば80℃から400℃の温度にて行うことができる。
【0054】
感光性はんだペースト組成物を塗布する被着体は、例えば、シリコンウエハー、ガラス類、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、およびこれらの基板に回路の構成材料が配置されたものから選択できるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリイミド樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。
【0055】
また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
【0056】
感光性はんだペースト組成物を被着体に塗布する方法としてはスピナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーターなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、0.1から150μmになるように塗布される。
【0057】
次に基板上に塗布した感光性はんだペースト組成物膜から有機溶媒を除去する。有機溶媒を除去する方法としては、オーブン、ホットプレート、赤外線などによる加熱乾燥や真空乾燥などが挙げられる。加熱乾燥は50℃から180℃の範囲で1分から数時間行うのが好ましい。
【0058】
有機溶媒を除去した後に、用いた感光性はんだペースト組成物中の樹脂の硬化機構に応じて、光照射などにより感光性はんだペースト組成物の硬化反応を進行させる。
【0059】
シリコン基板上に感光性はんだペースト組成物を全面または部分的に塗布した後に、露光、現像することで、パターンを形成することが可能である。はんだ接合に必要とされる形状は様々であるが、例えば、直径5〜500μmの円形のパターンを形成することが好ましく、より好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは20〜200μmである。露光は、フォトマスクを用いてマスク露光する方法とレーザー光等で直接描画露光する方法を用いることができるが、フォトマスクを用いた露光のほうが、露光時間を短くできる。この場合の露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。使用される活性光源は、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、近赤外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中で、紫外線が好ましく、その光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらの中でも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みによって異なるが、5〜1000W/mの出力の超高圧水銀灯を用いて0.5〜30分間露光を行う。特に、露光量が0.02〜1J/cm程度の露光を行うことが好ましい。また、さらに露光後に再度ベークを行うことで、光で発生したラジカルが反応を促進し、より強固な膜を形成することが可能となる。
【0060】
その後、現像液を使用して現像を行うが、この場合、浸漬法やスプレー法、シャワー法、ブラシ法で行う。これらの中でもシャワー法が均一な現像を実現できる点で好適である。シャワー法で現像を行う際の現像液の流量、圧力は現像液の種類、濃度によっても異なるが、流量は50ml/分〜200ml/分が好ましく、100ml/分〜170ml/分がより好ましい。圧力は0.05MPa〜0.2MPaが好ましく、1kg/分〜1.6kg/分がより好ましい。現像液は、感光性はんだペースト組成物中の有機成分が溶解または分散可能な有機溶媒や水溶液を使用する。また、有機溶剤含有の水溶液を使用してもよい。感光性はんだペースト組成物中にカルボキシル基やフェノール性水酸基、シラノール基等の官能基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液でも現像できる。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム水溶液などのような金属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が加熱時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液のアルカリ成分の濃度は1〜25重量%が好ましく、より好ましくは2〜15重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば未露光部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎれば、パターン部を剥離させ、また露光部を腐食させるおそれがあり好ましくない。現像時の現像液の温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0061】
上記のような方法により、本発明の感光性はんだペースト組成物から、基板上に厚さ5〜100μm、直径5〜500μmの円形のパターンを形成することができる。
【0062】
次にはんだの導通化と膜強化の為に、熱処理を行う。はんだを導通させるためには、露光で発生した有機酸を活性化させる必要があり、一旦150〜200℃で、5分から2時間に保持するのが好ましい。150℃より低いと、有機酸が活性化されず、また、200℃より高いと、有機酸が分解し、はんだ粉末の酸化膜が除去されない。その後、昇温し、加熱処理温度は200℃から400℃の範囲内で、一定温度あるいは段階的に昇温し、処理時間は5分から5時間の範囲で実施することができる。好ましくは、280℃以上、350℃未満である。この範囲であると、低比抵抗を得ることができる。また、窒素などの不活性雰囲気下での処理とすると、重合体の酸化を抑制するので好ましい。酸素により活性が失われるラジカルを発生させる重合促進剤を用いた組成で硬化を行う場合も、窒素などの不活性雰囲気下での処理とすると、重合を阻害しないので好ましい。
【0063】
以上のように作製された本発明のはんだ組成物は、高精細なパターンが可能で、抵抗が低く、且つ、耐熱性に優れているため、高温動作デバイスにも適用可能である。また、現像で、有機酸の残渣を中和、除去することが可能となり、信頼性が向上する。
【0064】
本発明のはんだ組成物の形態は特に限定されず、膜状、棒状、球状など、用途に合わせて選択することができるが、特に膜状であることが好ましい。ここでいう膜とは、フィルム、シート、板、ペレットなども含まれる。
【0065】
本発明のはんだ組成物は、パソコン、携帯電話や携帯情報端末、フラットパネルテレビ、ゲーム機器等の小型機器の電子回路に用いられるものである。
【実施例】
【0066】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の感光性はんだペースト組成物およびはんだ組成物の評価は以下の方法により行った。
【0067】
<感光性はんだペースト組成物中のはんだ粉末の平均粒子径の測定方法>
カーボン蒸着したコロジオン膜上に、感光性はんだペースト組成物を滴下し、有機溶媒を乾燥除去後、透過型電子顕微鏡“H−7100FA”(商品名、日立製作所(株)製)にてはんだ粒子を観察した。加速電圧は100kVとした。観察像はデジタル画像としてコンピューターに取り込み、画像処理ソフト“FlvFs”(商品名、(株)フローベル製)にて、観察された任意の100個の粒子に対し、球形近似したときの粒子径を求め、数平均粒子径を算出した。なお、1次粒子が凝集して存在する場合は、凝集体としての粒子径を測定した。
【0068】
<はんだ組成物の導通評価方法>
まず、シリコン基板上に感光性はんだペースト組成物を、スピンコーター(ミカサ(株)製)を用いて2500rpm30秒で塗布した後、ホットプレートを用いて110℃3分乾燥した。次に、4mmx0.3mmのパターンを有するフォトマスクを用いて、露光・現像を用いてパターンを形成し、得られたパターンを窒素雰囲気中で、170℃1時間保持したのち、昇温して、各実施例および比較例に記載の温度で1時間熱硬化し、はんだ組成物を得た。その後、パターンの両端にテスターの電極棒を当てて比抵抗を測定した。比抵抗は、比抵抗(Ωcm)=(テスターで得られた抵抗(Ω))×(膜厚(μm))×(線幅(μm))/(ラインの長さ(μm))×10−4で求めた。
【0069】
<感光性はんだペースト組成物のフォト加工性と残渣調査>
まず、4インチシリコン基板上に、感光性はんだペースト組成物を、スピンコート(ミカサ(株)製)2500rpm30秒で塗布した後、ホットプレートで110℃3分乾燥した。次に、フォト加工を行い、500mJ露光した後、TMAH12.5wt%のアルカリ現像液を用いて、スプレー現像を110秒行い、直径50μmと100μmのホール形状のビアパターンを得た。フォトマスクのビアパターン100個のうち、パターンが形成された数をビア加工率(%)として評価した。ここでいうパターンが形成されたとは、顕微鏡500倍の倍率において、ビアを通して光が透過している状態を示す。また、残渣の調査は、得られたパターン形成基板のパターン部分を、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて表面観察を行い、1万5000倍率時に3μm四方の面積内に0.3μm以上の大きさの塊の個数を目視にて数え、観察場所を変えて10回繰り返し、合計が4個以下であれば良、5個以上であれば不良とした。
【0070】
<感光性はんだペースト組成物の保存安定性>
作製後から60日間、冷蔵保存(0〜10℃)した感光性はんだペースト組成物を、カーボン蒸着したコロジオン膜上に滴下し、有機溶媒を乾燥除去後、透過型電子顕微鏡“H−7100FA”(商品名、日立製作所(株)製)にてはんだ粒子を観察した。加速電圧は100kVとした。観察像はデジタル画像としてコンピューターに取り込み、表面状態を評価した。表面に凹凸が無く、腐食されておらず、作製直後の表面と差が見られない場合を良好とした。また、60日間冷蔵保存した感光性はんだペースト組成物のフォト加工性を再び評価した。さらに60日間冷蔵保存した感光性はんだペースト組成物を、フォト加工後、熱処理して得られたはんだ組成物の比抵抗を再び評価し、比抵抗の増減が±50%以内である場合を良好とした。
【0071】
<樹脂溶液I>
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)30.03g(0.082モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)、末端封止剤として、3−アミノフェノール2.7g(0.025モル)をN−メチル−2−ピロリドン100gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物31.02g(0.1モル)をNMP30gとともに加えて、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で4時間攪拌した。その後、180℃で5時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、200℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。得られたポリマー粉体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。次に、このポリマー粉体10gに光重合開始剤のOXE02(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製)1.4g、重合禁止剤の0.5%フェノチアジン溶液0.6g、熱架橋性化合物のMW−30HM(商品名、(株)三和ケミカル、濃度10重量%)8.6g、界面活性剤L−1980N(商品名、楠本化成(株)製)を乳酸エチル溶媒に溶かし、5wt%にしたもの、PDBE−250(商品名、(株)日本油脂製。重合性不飽和二重結合を有する化合物)5.1g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(重合性不飽和二重結合を有する化合物)0.6gをジアセトンアルコール5.1g、乳酸エチル3.7gに溶解した溶液を攪拌脱泡し、さらに捕捉粒子径2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂溶液Iを得た。
【0072】
<樹脂溶液II>
4,4−ジアミノジフェニルエーテル9.5g、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.5g、N−メチル−2−ピロリドン100gを溶解させ、20℃で、30分以上攪拌させたものに、3、3,4,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を16g添加した後、ライトエステルDM(共栄社化学(株)製)16g、ミヒラーケトン0.5gを加えて、さらに保留粒子径2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂溶液IIを得た。
【0073】
<樹脂溶液III>
共栄社化学(株)製エポキシアクリレート“THTA05”100重量部に、(株)アデカ社製開始剤“オプトマーN1919”3重量部に、ジアセトンアルコールを100重量部混ぜた後、さらに保留粒子径2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂溶液IIIを得た。
【0074】
<はんだ粒子I>Sn/Ag3/Cu0.5 平均粒子径3μm(三井金属鉱業(株)製)
<はんだ粒子II>Sn/Ag3/Cu0.5 平均粒子径5μm(三井金属鉱業(株)製)
<はんだ粒子III>Sn/Ag3/Cu0.5 平均粒子径25μm(三井金属鉱業(株)製)。
【0075】
<光酸発生剤I>
4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]−エチリデン]ビスフェノール 42.4g(本州化学(株)製 TrisP−PA、0.1モル)をジオキサン(和光純薬(株)製)1000mLに溶解させ、溶液温度を40℃にした。ここに4−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリド67.1g(東洋合成(株)製、NAC−5、0.25モル)を加え、トリエチルアミン25.3g(和光純薬(株)製、0.25モル)をジオキサン30mLに希釈した溶液を内部の温度が45℃を越えないように15分かけて滴下した。その後40℃で2時間攪拌し、反応を行い、系内に析出したトリエチルアミンの塩酸塩をろ過で除去した。ろ液を水5Lに投入し黄赤色の沈殿を得た。この沈殿を1%の塩酸水溶液で洗浄し、さらに1Lの水で3回洗浄し、水のpHが6〜8になったことを確認した後、ろ過で沈殿を集め、50℃の真空乾燥機で72時間乾燥して、光酸発生剤Iを得た。
【0076】
<光酸発生剤II>
ピロガロール 25.2g(東京化成(株)製、0.2モル)をジオキサン(和光純薬(株)製)1000mLに溶解させ、溶液温度を40℃にした。ここに5−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリド 155.7g(東洋合成(株)製、NAC−5、0.58モル)を加え、トリエチルアミン58.6g(0.58モル)をジオキサン60gに希釈した溶液を内部の温度が45℃を越えないように15分かけて滴下した。その後40℃で2時間攪拌し、反応を行い、系内に析出したトリエチルアミンの塩酸塩をろ過で除去した。ろ液を水5Lに投入し黄赤色の沈殿を得た。この沈殿を1%の塩酸水溶液で洗浄し、さらに1Lの水で3回洗浄し、水のpHが6〜8になったことを確認した後、ろ過で沈殿を集め、50℃の真空乾燥機で72時間乾燥して、光酸発生剤IIを得た。
【0077】
<光酸発生剤III>
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン 23.0g(三協化成工業(株)製、3HBP、0.1モル)をジオキサン(和光純薬(株)製)1000mLに溶解させ、溶液温度を40℃にした。ここに4−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリド53.7g(東洋合成(株)製、NAC−5、0.2モル)を加え、トリエチルアミン20.2g(和光純薬(株)製、0.2モル)をジオキサン30mLに希釈した溶液を内部の温度が45℃を越えないように15分かけて滴下した。その後40℃で2時間攪拌し、反応を行い、系内に析出したトリエチルアミンの塩酸塩をろ過で除去した。ろ液を水5Lに投入し黄赤色の沈殿を得た。この沈殿を1%の塩酸水溶液で洗浄し、さらに1Lの水で3回洗浄し、水のpHが6〜8になったことを確認した後、ろ過で沈殿を集め、50℃の真空乾燥機で72時間乾燥して、下記式で表される光酸発生剤IIIを得た。
【0078】
<光酸発生剤IV>
4,4’−[(2−ヒドロキシ−3−メトキシルフェニル)メチレン]ビス[2,5−ジメチルフェノール] 18.9g(本州化学工業(株)製、Tris25X−OV、0.05モル)、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリド26.8g(0.1モル)をジオキサン274gに溶解させ、20〜30℃でトリエチルアミン11.1gを滴下した。その後、20〜30℃で2時間攪拌を続け、反応を行った。その後、析出したトリエチルアミンの塩酸塩をろ過により取り除き、ろ液を大量の希塩酸水溶液に注ぎ込んで、反応生成物を析出させ、次いで析出物をろ過し、水洗し、真空乾燥機中、40℃で一昼夜乾燥して、下記式で表される光酸発生剤IVを得た。
【0079】
<光酸発生剤V>
2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン 23.0g(東京化成(株)製、0.1モル)をジオキサン(和光純薬(株)製)1000mLに溶解させ、溶液温度を40℃にした。ここに4−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリド80.6g(東洋合成(株)製、NAC−4、0.3モル)を加え、トリエチルアミン30.3g(0.3モル)をジオキサン30mLに希釈した溶液を内部の温度が45℃を越えないように15分かけて滴下した。その後40℃で2時間攪拌し、反応を行い、系内に析出したトリエチルアミンの塩酸塩をろ過で除去した。ろ液を水5Lに投入し黄赤色の沈殿を得た。この沈殿を1%の塩酸水溶液で洗浄し、さらに1Lの水で3回洗浄し、水のpHが6〜8になったことを確認した後、ろ過で沈殿を集め、50℃の真空乾燥機で72時間乾燥して、下記式で表される光酸発生剤Vを得た。
【0080】
<光酸発生剤VI>GSID−26−1 (チバ・ジャパン(株)製)。
【0081】
<フラックスI>スパークルフラックスES−1062V−3(千住金属工業(株)製)。
【0082】
実施例1
はんだ粒子I 12g、光酸発生剤I0.04g、樹脂溶液I5.5gを混合し、3本ロール(EXAKT製M−80)の大ギャップ2回、小ギャップ3回通した後、捕捉粒子径10μmのフィルターを用いて加圧濾過した。その後、ハイブリッドミキサー(KEYENCE(株)製HM−500、攪拌5分+脱泡1分)で攪拌し、感光性はんだペースト組成物を得た。この感光性はんだペースト組成物の平均粒子径の測定を行ったところ、3μmであった。次いで、シリコン基板に感光性はんだペースト組成物を塗布し、熱風オーブン炉で110℃で3分乾燥した後、フォトマスクを用いて、露光・現像を行った。上述の感光性はんだペースト組成物のフォト加工性と残渣調査を行った結果、どのマスクパターンにおいても、100個すべてで、ビアのパターンが形成されていることが確認された。また、残渣は0個で、良であった。また、上述のはんだ組成物の導通評価方法に従い、比抵抗の測定を行ったところ、5.2x10−3Ωcmであった。さらに、感光性はんだペースト組成物の保存安定性の評価を行ったところ、はんだ表面、フォト加工性、比抵抗共に良好であった。
【0083】
実施例2〜3
表1に示す各組成の感光性はんだペースト組成物を、はんだ粒子の種類を各実施例において表1の通りとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造し、感光性はんだペースト組成物を得た。得られた感光性はんだペースト組成物について、実施例1と同様にして、フォト加工性、残渣調査、比抵抗、60日冷蔵保存後のはんだペースト組成物の保存安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0084】
実施例4〜7
表1に示す各組成の感光性はんだペースト組成物を、はんだ粒子の固形物に対する割合を各実施例において表1の通りとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造し、感光性はんだペースト組成物を得た。得られた感光性はんだペースト組成物について、実施例1と同様にして、フォト加工性、残渣調査、比抵抗、60日冷蔵保存後の感光性はんだペースト組成物の保存安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0085】
実施例8〜10
表1に示す各組成の感光性はんだペースト組成物を、光酸発生剤の固形物に対する割合を各実施例において表1の通りとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造し、感光性はんだペースト組成物を得た。得られた感光性はんだペースト組成物について、実施例1と同様にして、フォト加工性、残渣調査、比抵抗、60日冷蔵保存後のはんだペースト組成物の保存安定性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0086】
実施例11〜12
表2に示す各組成の感光性はんだペースト組成物を、樹脂の種類を各実施例において表2の通りとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造し、感光性はんだペースト組成物を得た。得られた感光性はんだペースト組成物について、実施例1と同様にして、フォト加工性、残渣調査、比抵抗、60日冷蔵保存後の感光性はんだペースト組成物の保存安定性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0087】
実施例13〜17
表2〜3に示す各組成の感光性はんだペースト組成物を、光酸発生剤の種類を各実施例において表2〜3の通りとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造し、感光性はんだペースト組成物を得た。得られた感光性はんだペースト組成物について、実施例1と同様にして、フォト加工性、残渣調査、比抵抗、60日冷蔵保存後の感光性はんだペースト組成物の保存安定性の評価を行った。結果を表2〜3に示す。
【0088】
実施例18〜22
表3に示す各組成の感光性はんだペースト組成物を、光酸発生剤の種類を各実施例において表3の通りとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造し、感光性はんだペースト組成物を得た。得られた感光性はんだペースト組成物について、実施例1と同様にして、フォト加工性、残渣調査、比抵抗、60日冷蔵保存後の感光性はんだペースト組成物の保存安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0089】
比較例1
表3に示す組成の感光性はんだペースト組成物を、光酸発生剤を用いる代わりに、フラックスIを用いた以外は、実施例1と同様の方法で製造し、感光性はんだペースト組成物を得た。得られたはんだペースト組成物について、実施例1と同様にして、フォト加工性、残渣調査、比抵抗、60日冷蔵保存後の感光性はんだペースト組成物の保存安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)はんだ粉末、(B)光酸発生剤および(C)樹脂を含むことを特徴とする感光性はんだペースト組成物。
【請求項2】
(C)樹脂が、既閉環ポリイミドおよび/またはポリイミド前駆体を含むことを特徴とする請求項1記載の感光性はんだペースト組成物。
【請求項3】
さらに不飽和結合含有重合性化合物を含有する請求項1または2記載の感光性はんだペースト組成物。
【請求項4】
(B)光酸発生剤が、ナフトキノンジアジド化合物あるいはスルホニウム塩を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の感光性はんだペースト組成物。
【請求項5】
(A)はんだ粉末の平均粒子径が7μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の感光性はんだペースト組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の感光性はんだペースト組成物を熱処理してなるはんだ組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか記載の感光性はんだペースト組成物を熱処理してなるはんだ組成物が含まれる電子部品。

【公開番号】特開2011−45917(P2011−45917A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197769(P2009−197769)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】