説明

感光性樹脂組成物、これを用いた液晶配向制御用バンプ、および液晶配向制御用バンプ形成方法

【課題】現像後において、基板に形成された電極上における残渣の発生を抑制するための感光性樹脂組成物、この感光性樹脂組成物から形成された液晶配向制御用バンプ、および液晶配向制御用バンプ形成方法を提供する。
【解決手段】複数分割垂直配向方式の液晶セル内に設けられ、電極上に当該液晶の配向を制御するためのバンプを形成する感光性樹脂組成物であって、顔料(C)と、ポリエステル結合を有する顔料分散剤(D)と、を含有する感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数分割垂直配向方式の液晶セル内に設けられるバンプを形成する感光性樹脂組成物、これを用いた液晶配向用バンプ、および液晶配向制御用バンプ形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、映像情報を画面に示す映像表示装置の中で、ブラウン管表示装置(CRT)が今まで最も多く使用されているが、これは表示面積に比べて体積が大きく重いため、使用に多くの不便がある。そのため、表示面積が大きくてもその厚さが薄く、どの場所でも気軽に使用できる液晶表示装置(LCD)が開発され、次第にブラウン管表示装置から変わりつつある。
【0003】
液晶表示装置は、2枚のガラス基板を対向させて固定し、その隙間に液晶を封入した構造となっている。一方のガラス基板に透明な共通電極が形成され、他方のガラス基板には多数の透明な画素電極が行列状に形成されるとともに、各画素電極に個別的に電圧を印加するための回路が形成されている。
【0004】
しかしながら、液晶表示装置は、上記の構造を偏光板挟み込み表示を行っているため、視野角が狭いという問題があった。
【0005】
この視野角を広げるために、IPS(In Plane Swiching)方式、VA(Vertical Alignment)方式などが提案されている。しかし、VA方式においても、中間調を表示する場合には、液晶が斜めに同じ方向を向くので、視野角が狭くなる。
【0006】
そこで、VA方式の中間調での視野角の問題を解消するため、MVA(Multi−domain VA)方式が提案されている(特許文献1参照)。これは、電圧を印加した時に、液晶が斜めに配向される配向方向が、1画素内において、複数の方向になるように規制するドメイン規制手段を設ける方式である。ドメイン規制手段は、2枚の基板の少なくとも一方に設ければよく、少なくとも一つのドメイン規制手段は斜面を有するものである。また、斜面を有するものとして、突起を設けている。
【特許文献1】特開2004−252480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1などに記載されているドメイン規制手段(液晶配向剤)である突起は、通常無色である。したがって、突起において光が乱反射することにより、表示むらが生じるなどの問題が生じていた。
【0008】
光の乱反射を防止するため、顔料を添加した感光性樹脂組成物を用いて、液晶配向制御用バンプ(以下、「バンプ」ともいう。)を着色し、光を吸収することが検討されている。しかしながら、この顔料を添加した感光性樹脂組成物を用いて、液晶配向制御用バンプを形成する場合、現像後において、基板に形成された電極上に残渣が発生するなどの問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するため、感光性樹脂組成物中に含まれる顔料を分散する分散剤に着目して鋭意研究を重ねた。その結果、ポリエステル結合を有する分散剤を用いることで、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0010】
複数分割垂直配向方式の液晶セル内に設けられ、電極上に当該液晶の配向を制御するためのバンプを形成する感光性樹脂組成物であって、顔料(C)と、ポリエステル結合を有する顔料分散剤(D)と、を含有する感光性樹脂組成物である。
【0011】
また、本発明の第二の発明は、前記感光性樹脂組成物により形成される液晶配向制御用バンプである。
【0012】
また、本発明の第三の発明は、電極が形成された基板上に前記感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂層を形成し、感光性樹脂層を選択的に露光した後、アルカリ現像して感光性樹脂層にバンプを形成する液晶配向制御用バンプ形成方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、感光性樹脂組成物中に含まれる顔料分散剤(D)に、ポリエステル結合を有する分散剤を用いることにより、感光性樹脂組成物中に顔料を充分に分散させるとともに、アルカリ現像後の電極上での残渣の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明に係る液晶の配向を制御するためのバンプを形成する感光性樹脂組成物は、顔料(C)と、ポリエステル結合を有する顔料分散剤(D)と含有している。
【0015】
[顔料(C)]
本発明に係る感光性樹脂組成物は、顔料を含有する。この顔料を含有する感光性樹脂組成物を用いることにより、着色されたバンプを形成することができる。したがって、この着色されたバンプにより光の乱反射を防止することができる。顔料としては、無機顔料、有機顔料のいずれも用いることができる。なかでも形成されたバンプの誘電率を低くするために、有機顔料を用いることが好ましい。
【0016】
(有機顔料)
有機顔料としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いることができる。
【0017】
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様で番号のみ記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
【0018】
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様で番号のみ記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様で番号のみ記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
【0019】
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様で番号のみ記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
【0020】
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様で番号のみ記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
【0021】
また、有機顔料は、少なくとも2種以上の有機顔料を含有することが好ましく、3種以上の有機顔料を含有することがより好ましい。さらに、この有機顔料は、加色混合によって黒色をなすように有機顔料を含有することがより好ましい。有機顔料を、2種以上、または3種以上とし色を黒色とすることにより、吸収する光の波長の範囲が広くなるため、光の乱反射をより一層防止することができる。
【0022】
有機顔料の中でも好ましいものとして、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントイエロー139が挙げられる。本発明における有機顔料は、これら3種の有機顔料のうちの2種以上を含有することが、光を吸収する上で好ましく、3種含むことが特に好ましい。
【0023】
(無機顔料)
無機顔料としては、遮光性のある顔料であれば、特に限定されず用いることができる。具体的には、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸鉛または金属炭酸塩等を挙げることができる。
【0024】
顔料の含有量は、溶剤以外の全固形分に対して10質量%から60質量%であることが好ましく、15質量%から40質量%であることが好ましい。
【0025】
また、前記顔料の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物から形成されたバンプにおける膜厚1μmあたりのOD値が0.6以上になるように調製されることが好ましい。上記OD値であれば、バンプからの光の反射を防止することができる。
【0026】
[顔料分散剤(D)]
本発明に係る感光性樹脂組成物は、顔料を組成物中に分散する顔料分散剤として、ポリエステル結合を有する分散剤を用いる。上記ポリエステル結合を有する分散剤として、具体的には、ソルスパース24000、37500、39000(Avecia社製)を挙げることができる。ポリエステル結合を有する分散剤を用いることにより、アルカリ現像後の電極上(特にITO膜上)における残渣の発生を抑えることができる。
【0027】
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型感光性組成物であっても、ネガ型感光性組成物であってもよい。
【0028】
<<ポジ型感光性組成物>>
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型感光性樹脂組成物である場合には、上記顔料(C)、顔料分散剤(D)の他に、アルカリ可溶性樹脂、感光剤が含まれる。
上記アルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂が挙げられる。
上記ノボラック樹脂としては、例えば、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノールなどのフェノール類をホルムアルデヒドやこれとサリチルアルデヒドとの混合アルデヒドで酸触媒下常法により製造して得られるノボラック樹脂などがある。
上記感光剤としては、例えば、キノンジアジド基含有化合物が挙げられる。このキノンジアジド基含有化合物としては、例えばナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルハライドまたはナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルハライドと、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのポリヒドロキシベンゾフェノン類、あるいはビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−シクロヘキシルフェニル)−3,4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−シクロヘキシルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンなどのトリスフェノール類とを、トリエチルアミンやトリエタノールアミンなどのアミン触媒の存在下、ジオキサンやγ−ブチロラクトンなどの有機溶剤中において縮合反応させ、完全エステル化または部分エステル化することにより、得られたものなどを挙げることができる。
【0029】
<<ネガ型感光性組成物>>
本発明の感光性樹脂組成物は、ネガ型感光性樹脂組成物である場合には、前記顔料の他に、光重合性化合物(A)、光重合開始剤(B)が含まれる。
【0030】
≪光重合性化合物(A)≫
光重合性化合物としては、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が好ましい。
【0031】
エチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、カルドエポキシジアクリレート等のモノマー、オリゴマー類;多価アルコール類と1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応して得られるポリエステル(メタ)アクリレート、ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応して得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールまたはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応して得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。さらに前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に多塩基酸無水物を反応させた樹脂を用いることができる。これらの化合物には、アクリロイル基またはメタクリロイル基が導入されているところから架橋効率が高められ、塗膜の耐光性、耐薬品性が優れている。
【0032】
さらに、上記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、質量平均分子量が1,000以上のものを用いることが好ましい。質量平均分子量を1,000以上にすることにより塗膜を均一にすることができる。また、質量平均分子量が100,000以下にすることが好ましい。質量平均分子量を100,000以下にすることにより現像性を良好にすることができる。本発明では、この質量平均分子量が1,000以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を、エチレン性不飽和二重結合を有する高分子化合物と称することとする。
【0033】
さらに、上記エチレン性不飽和二重結合を有する高分子化合物は、光重合性モノマーと組み合わせて用いることが好ましい。この光重合性モノマーとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、カルドエポキシジアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、多官能性光重合性モノマーが好ましい。このようにエチレン性不飽和二重結合を有する高分子化合物と光重合性モノマーと組み合わせることにより、硬化性を向上させ、パターン形成を容易にすることができる。
【0034】
上記では、光重合性化合物として、その分子自体が重合可能なものを挙げたが、本発明では、高分子バインダーと光重合性モノマーとの混合物も光重合性化合物に含まれるものとする。
高分子バインダーとしては、現像の容易さからアルカリ現像が可能なバインダーであることが好ましい。
具体的には、高分子バインダーとして、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマーと、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−ブチルアクリレート、N−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリート、イソブチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシアクリレート、フェノキシメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル等との共重合体、およびフェノールノボラック型エポキシアクリレート重合体、フェノールノボラック型エポキシメタクリレート重合体、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート重合体、クレゾールノボラック型エポキシメタクリレート重合体、ビスフェノールA型エポキシアクリレート重合体、ビスフェノールS型エポキシアクリレート重合体等の樹脂が挙げられる。前記樹脂を構成するアクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマー成分の含有量は、5モル%から40モル%の範囲が好ましい。
【0035】
上記高分子バインダーの質量平均分子量の好ましい範囲は、1,000から100,000である。質量平均分子量を1,000以上にすることにより塗膜を均一にすることができる。また、質量平均分子量を100,000以下にすることにより現像性を良好にすることができる。
【0036】
光重合性化合物として、高分子バインダーと光重合性モノマーとを含む場合、高分子バインダーは、高分子バインダーと光重合性モノマーと光重合性開始剤との合計100質量部当たり10質量部から60質量部の範囲で配合されるのがよい。配合量を10質量部以上にすることにより、塗布、乾燥時に膜を形成しやすくすることができ、硬化後の被膜強度を十分高めることができる。また、配合量を60質量部以下とすることにより、現像性を良好にすることができる。
【0037】
また、光重合性モノマーは、高分子バインダーと光重合性モノマーと光重合性開始剤との合計100質量部当たり15質量部から50質量部の範囲で配合されることが好ましい。前記配合量を15質量部以上にすることにより、光硬化不良を防止し、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができる。また50質量部以下にすることにより、塗膜形成能を良好にすることができる。
【0038】
≪光重合開始剤(B)≫
光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、O−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は、単独または2種以上組み合わせて用いてもよい。
この光重合開始剤は、上記光重合性化合物と光重合開始剤との合計100質量部に対して、1質量部から40質量部含まれることが好ましい。
【0039】
[その他の成分]
本発明に係る感光性樹脂組成物では、必要に応じて添加剤を配合することができる。具体的には、増感剤、硬化促進剤、光架橋剤、光増感剤、分散剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、海面活性剤等が挙げられる。
【0040】
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、希釈のための溶剤を添加してもよい。
【0041】
ここで、感光性樹脂組成物に添加可能な溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0042】
中でもプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、光重合性化合物、光重合開始剤に対して優れた溶解性を示すとともに、顔料などの不溶性成分の分散性を良好にすることができるため、好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。溶剤は、光重合性化合物、光重合開始剤および着色剤の合計100質量部に対して50質量部から500質量部の範囲で用いることができる。
【0043】
また、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて液晶配向制御用バンプを形成する際には、後述するように、ITO膜等の電極膜が形成された基板上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して膜を形成する。上記成分に加えてさらに結合剤として高分子バインダーを含有してもよい。結合剤は相溶性、被膜形成性、現像性、接着性等改善目的に応じて適宜選択して用いればよい。
【0044】
<液晶配向制御用バンプの形成>
まず、本発明に係る感光性樹脂組成物を、基板上に、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて塗布する。基板は、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス板、石英板、透明または半透明の樹脂板等を挙げることができる。また、基板上には、スパッタリングなどによりITO膜等の電極を形成している。
【0045】
この感光性樹脂組成物を塗布後、乾燥させて溶剤を除去し、感光性樹脂層を形成する。乾燥方法は特に限定されず、例えば(1)ホットプレートにて80℃から120℃、好ましくは90℃から100℃の温度にて60秒間から120秒間乾燥する方法、(2)室温にて数時間から数日放置する方法、(3)温風ヒーターや赤外線ヒーター中に数十分から数時間入れて溶剤を除去する方法、のいずれの方法を用いてもよい。
【0046】
次いで、ネガ型またはポジ型のマスクを介して、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して感光性樹脂層を部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば30mJ/cmから2000mJ/cm程度が好ましい。
【0047】
次いで、露光後の感光性樹脂層を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液を挙げることができ、中でも特に、水酸化テトラメチルアンモニウムが好ましく用いられる。水酸化テトラメチルアンモニウムを用いることで、良好なパターンを形成することができる。
【0048】
次いで、現像後のパターンを200℃程度でポストベークする。以上により、所定の形状を有する液晶配向制御用バンプを形成することができる。
【実施例】
【0049】
[合成例1]
ベンジルメタクリレート56質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート36質量部、グリシジルメタクリレート78質量部を、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート250質量部に溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル2質量部を加え、加熱重合を行った。
その後、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン2質量部を溶解させたアクリル酸40質量部を添加し反応させた。次いで、テトラヒドロフタル酸無水物42質量部を加えて反応させ、樹脂を得た。得られた樹脂の質量平均分子量は3000であった。
(実施例1)
C.I.ピグメントレッド177 10質量部、C.I.ピグメントブルー15:6 15質量部、C.I.ピグメントイエロー139 10質量部、ポリエステル結合を有する高分子分散剤(製品名:ソルスパース24000、Avecia社製)7質量部を、3−メトキシブチルアセテートに分散させ、固形分濃度15質量%の顔料分散液Aを製造した。
次に、ノボラック樹脂[メタクレゾール:パラクレゾール=4:6](製品名:M1、住友ベークライト社製)100質量部、増感剤(製品名:PA、本州化学工業社製)25質量部、感光剤(製品名:MB25、ダイトーケミックス社製)50質量部、顔料分散液A50質量部を混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で固形分濃度が20質量%となるように調製し、感光性樹脂組成物を製造した。
【0050】
(実施例2)
合成例1で合成した樹脂30質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)20質量部、重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(製品名:イルガキュア369、チバスペシャルティケミカルズ社製)10質量部、上記顔料分散液A20質量部を用い、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で固形分濃度が20質量%となるように調製し、感光性樹脂組成物を製造した。
【0051】
(実施例3)
カーボンブラック22質量部、ポリエステル結合を有する高分子分散剤(製品名:ソルスパース24000、Avecia社製)5質量部を、3−メトキシブチルアセテート73質量部に分散させ、カーボンブラック分散液を得た。
合成例1で合成した樹脂30質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)20質量部、重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(製品名:イルガキュア369、チバスペシャルティケミカルズ社製)10質量部、前記カーボンブラック分散液20質量部を混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で固形分濃度が20質量%となるように調製し、感光性樹脂組成物を製造した。
【0052】
(比較例1)
分散剤にポリウレタン系分散剤(製品名:BYK−164、ビックケミー社製)を用い、実施例1と同様の方法により感光性樹脂組成物を製造した。
【0053】
(比較例2)
分散剤にポリウレタン系分散剤(製品名:BYK−170、ビックケミー社製)を用い、実施例2と同様の方法により感光性樹脂組成物を製造した。
【0054】
[液晶配向制御用バンプの形成方法]
インジウムスズオキサイド(ITO)膜が形成されたガラス基板上に、感光性樹脂組成物を塗布し、90℃で2分間乾燥し、感光性樹脂層を形成した。次に、実施例1および比較例1についてはポジ型のマスクを、実施例2および比較例2についてはネガ型のマスクを介して、50mJ/cmのエネルギー線量の紫外線を選択的に照射して、部分的に露光を行った。次にテトラメチルアンモニウム水酸化物水溶液を用いて現像し、現像後のパターンを220℃でポストベークすることにより、液晶配向制御用バンプを形成した。
【0055】
(評価)
上記実施例1〜3、比較例1、2の感光性樹脂組成物を用いてバンプを形成した場合における、現像後のITO膜表面における残渣の有無をSEM写真により確認した。また、上記形成されたバンプについて、膜厚1μm当たりのOD値について評価した。OD値は「Gretag MacbethD−200−2」(商品名:Macbeth社製)を用いて測定した。
【0056】
【表1】

【0057】
図1、図2を参照すればわかるように、ポリエステル結合を有する分散剤を用いた実施例1および2の感光性樹脂組成物では、残渣は発生しなかった。これに対し、図3、4を参照してわかるように、ポリエステル結合を有していないポリウレタン結合を有する分散剤を用いた比較例1および2の感光性樹脂組成物では残渣が発生していた。
【0058】
以上の結果から本発明の感光性樹脂組成物は、現像後のITO膜上において残渣の発生を防ぐことが可能であることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施例1の感光性組成物を用いた場合における現像後のITO膜上の表面SEM写真である。
【図2】実施例2の感光性組成物を用いた場合における現像後のITO膜上の表面SEM写真である。
【図3】比較例1の感光性組成物を用いた場合における現像後のITO膜上の表面SEM写真である。
【図4】比較例2の感光性組成物を用いた場合における現像後のITO膜上の表面SEM写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数分割垂直配向方式の液晶セル内に設けられ、電極上に当該液晶の配向を制御するためのバンプを形成する感光性樹脂組成物であって、
顔料(C)と、ポリエステル結合を有する顔料分散剤(D)と、を含有する感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記顔料(C)が有機顔料である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
光重合性化合物(A)と、光重合性開始剤(B)と、を含有する請求項1または2記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1から3いずれか記載の感光性樹脂組成物により形成される液晶配向制御用バンプ。
【請求項5】
膜厚1μmのOD値が、0.6以上である請求項4記載の液晶配向制御用バンプ。
【請求項6】
電極が形成された基板上に請求項1から3いずれか記載の感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂層を形成し、感光性樹脂層を選択的に露光した後、アルカリ現像して感光性樹脂層にバンプを形成する液晶配向制御用バンプ形成方法。
【請求項7】
前記アルカリ現像に用いられる現像液が、水酸化テトラメチルアンモニウムである請求項6記載の液晶配向制御用バンプ形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−3321(P2008−3321A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172876(P2006−172876)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】