説明

感光性樹脂組成物およびその利用

【課題】 従来のものと比べて低温でのイミド化が可能で、感光性ドライフィルムレジストとしてFPC基板等に積層した状態で、反りが小さく可撓性・屈曲性・電気信頼性・感光性に優れ、難燃性を有する感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも
(A)ポリイミド前駆体
(B)炭素−炭素二重結合を有する(メタ)アクリレート化合物
(C)光反応開始剤
を含有し、180℃以下の温度で硬化することを特徴とする感光性樹脂組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物およびその利用に関するものであって、特に、ポリイミド前駆体と、炭素−炭素2重結合を有する(メタ)アクリレート化合物と、光反応開始剤とを構成成分として含有する180℃以下の温度で硬化可能な感光性樹脂組成物およびその利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化、高性能化、小型化が急速に進んでいる。それに伴い、電子部品の小型化や軽量化が求められている。このため、電子部品を実装する配線板においても、従来のリジッドプリント配線板に比べ、可撓性のあるフレキシブルプリント配線板(Flexible Print Circuit Board、以下、「FPC」ともいう)の需要が急激に増している。
【0003】
FPCには、導体面を保護する目的で、表面にカバーレイフィルムと呼ばれる高分子フィルムが貼り合わされている。従来、FPCとカバーレイフィルムとの貼り合わせには、主としてエポキシ系やアクリル系の接着剤等が用いられてきた。しかし、これらの接着剤を用いる方法では、(1)半田耐熱性や高温時の接着強度などの耐熱性が低い、(2)可撓性に乏しい等の問題があり、カバーレイフィルムとして用いられている高分子フィルムの性能を充分活かすことができなかった。
【0004】
さらに、上記接着剤を用いて、FPCとカバーレイフィルムとを貼り合わせる場合、カバーレイフィルムを、FPC上の正しい位置に貼り合わせるための位置合わせは、ほとんど手作業に近かった。そのため、作業性および位置精度が悪く、またコストがかかるものであった。
【0005】
これらの作業性および位置精度を改善するために、感光性樹脂組成物の溶液をFPCの導体面に塗布・乾燥し保護層を形成する方法、フィルム状の感光性ドライフィルムレジスト(感光性カバーレイフィルムとも呼ばれる)を積層する方法等の開発がなされている。これらの方法では形成された感光性樹脂層にフォトマスクを載せて露光、現像するので、作業性および位置精度は向上している。
【0006】
ところで、上記感光性ドライフィルムレジストまたは感光性樹脂組成物(以下、感光性ドライフィルムレジスト等と称する。)としては、従来、アクリル系の樹脂が用いられていた。しかし、アクリル系の樹脂からなる感光性ドライフィルムレジスト等では、耐熱性やフィルムの機械的強度が十分ではない。そこで、耐熱性やフィルムの機械的強度を向上させるために種々の有機ポリマ−の中でも耐熱性に優れているポリイミドを用いた感光性ポリイミドを、感光性ドライフィルムレジスト等に用いることが提案されている。
【0007】
これまで、感光性ポリイミドとしては、主として半導体用途に用いることを目的として様々な組成のものが検討されており、ポリアミド酸(ポリイミド前駆体)に、3級アミンと(メタ)アクロイル基とを有する化合物を混合して、感光性ポリイミドとしたイオン結合型感光性ポリイミド(例えば特許文献1等参照。)、ポリアミド酸のカルボキシル基に、エステル結合を介してメタクロイル基を導入したエステル結合型感光性ポリイミド(例えば特許文献2、3等参照。)、メタクロイル基を有するイソシアネート化合物を、ポリアミド酸(ポリイミド前駆体)のカルボキシル基部位に導入した感光性ポリイミド(例えば特許文献4、5、6、7等参照。)、ポリアミド酸と(メタ)アクリル化合物とを混合した感光性ポリイミド(例えば特許文献8、9、10、11等参照。)等が報告されている。
【0008】
これらのうち、ポリアミド酸と(メタ)アクリル化合物とを混合した感光性ポリイミド(特許文献8、9、10、11等参照。)は、FPCのカバーレイ材料用のドライフィルムを製造する感光性樹脂組成物として用いられることが報告されている。これらの特許文献8ないし11では、ポリアミド酸と(メタ)アクリル化合物とを混合した感光性ポリイミドを用いることにより、作業安全性の面から有機溶媒より好ましいアルカリ水溶液で現像できること、露光後の皮膜が十分に硬化すること、高いのび性を発現すること等が報告されている。
【特許文献1】特開昭54−145794号公報(昭和54(1979)年11月14日公開)
【特許文献2】特公昭55−030207号公報(昭和55(1980)年8月9日公開)
【特許文献3】特公昭55−041422号公報(昭和55(1980)年10月24日公開)
【特許文献4】特開昭59−160140号公報(昭和59(1984)年9月10日公開)
【特許文献5】特開平03−170547号公報(平成3(1991)年7月24日公開)
【特許文献6】特開平03−186847号公報(平成3(1991)年8月14日公開
【特許文献7】特開昭61−118424号公報(昭和61(1986)年6月5日公開)
【特許文献8】特開平11−52569号公報(平成11(1999)年2月26日公開)
【特許文献9】特開2001−5180号公報(平成13(2001)年1月12日公開)
【特許文献10】特開2004−29702号公報(平成16(2004)年1月29日公開)
【特許文献11】特開2000−98604号公報(平成12(2000)年4月7日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のFPCの感光性ドライフィルムレジスト等はいずれもその性能が十分であるとはいえず、低いイミド化温度、低反り性、難燃性、優れた電気信頼性・可撓性・屈曲性・感光性のすべてを満たすものは未だ存在しない。
【0010】
従来の感光性ポリイミドは、主に半導体用途に検討されていたものであり、半導体に対してはイミド化の温度が高温でも問題がないため、イミド化温度を低くすることについての検討は行われてこなかった。従来の感光性ポリイミドは、ポリアミド酸の状態で露光・現像したのち、通常、300℃以上の温度でイミド化することによって得られるものである。FPCの感光性ドライフィルムレジストとして、かかる感光性ポリイミドを用いると、FPC自体に、250℃以上の熱を加えることになる。しかしながら、一般に、リジットおよびフレキシブルプリント基板の構成材としては、エポキシ樹脂等ポリイミドより耐熱性の低い樹脂も用いられており、200℃以下の耐熱性しかもたない。そのため、300℃以上の高温で硬化させるこれらの感光性ポリイミドをFPC用途に用いると、高温により、銅箔の酸化や、銅の結晶構造変化が起こり、銅箔の強度が低下するという問題が起こる。それゆえ、かかる感光性ポリイミドは、リジットおよびフレキシブルプリント基板用途として用いることはできない。
【0011】
従来の感光性樹脂組成物から得られるFPCの感光性ドライフィルムレジストはいずれもその性能が十分であるとはいえず、低温でのイミド化が可能で、感光性ドライフィルムレジストとしてFPCに積層した状態で反りが小さく、可撓性・屈曲性・電気信頼性・感光性に優れ、難燃性を有する感光性樹脂組成物は存在しなかった。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、リジットやFPC基板などのような耐熱性が低い電子部品にも適用できるように、従来のものと比べて低温でのイミド化が可能で、感光性ドライフィルムレジストとしてリジットやFPC基板などに積層した状態で、反りが小さく可撓性・屈曲性・電気信頼性・感光性に優れ、難燃性を有する感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、上記課題を解決するために、少なくとも
(A)ポリイミド前駆体
(B)炭素−炭素二重結合を有する(メタ)アクリレート化合物
(C)光反応開始剤
を含有し、180℃以下の温度で硬化することを特徴する感光性樹脂組成物である。
【0014】
また、本発明にかかる感光性樹脂組成物は、少なくとも
(A)ポリイミド前駆体
(B)炭素−炭素二重結合を有する(メタ)アクリレート化合物
(C)光反応開始剤
を含有し、160℃以下の温度で(A)ポリイミド前駆体が硬化することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0015】
また、本発明にかかる感光性樹脂組成物において、ポリイミド前駆体が、パラ結合を含む芳香族ジアミンを全ジアミン中10mol%以上含まず、ポリイミド化した後のTgが200℃以下であることを特徴としている。
【0016】
また、本発明にかかる感光性樹脂組成物において、(A)〜(C)成分に加え、(D)成分として難燃剤を含有することを特徴としている。
【0017】
また、本発明にかかる感光性樹脂組成物において、ポリイミド前駆体が、以下の一般式(1)
【0018】
【化5】

(式中、R1は4価の有機基を示し、R2はメタ位で直接結合している芳香族化合物を示す。)で表される構成単位と一般式(2)
【0019】
【化6】

(式中、R1は4価の有機基を示し、R3は一般式(3)か一般式(4)を示し、ただし、一般式(3)のR4は、−(CH2n−であり、R5はメチル基かフェニル基であり、R5中のフェニル基の含有率が15〜40%でありmは4〜20の数で、nは2〜5の整数で
ある。また、一般式(4)中R6はH,メチル基,エチル基,ブチル基を、rは1〜20の整数を、sは0〜10の整数を示す。)で表される構成単位を含むことを特徴としている。
【0020】
【化7】

【0021】
【化8】

また、本発明にかかる感光性樹脂組成物において、前記一般式(1)中R2のメタ位で直接結合している芳香族化合物が、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノフェニルエーテル、3,3’−ジアミノフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノベンズアニリド、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−ビフェニル、ン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物のアミノ基を除いた構造であることを特徴としている。
【0022】
また、本発明にかかる感光性ドライフィルムレジストは、上記感光性樹脂組成物から得られることを特徴としている。
【0023】
また、本発明にかかるプリント配線板は上記感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護層として形成してなることを特徴としている。
【0024】
また、本発明にかかるプリント配線板は、上記感光性ドライフィルムレジストを180℃以下の温度で硬化させ絶縁保護層として形成してなることを特徴とするプリント配線板の製造方法を特徴としている。
【0025】
また、本発明にかかるプリント配線板は、上記感光性ドライフィルムレジストを160℃以下の温度で硬化させ絶縁保護層として形成してなることを特徴とするプリント配線板の製造方法を特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、以上のように、特定のポリアミド酸と、炭素−炭素2重結合を有する(メタ)アクリレート化合物と光反応開始剤とを含有する。上記の構成によれば、従来のものと比べて低温でのイミド化が可能で、感光性ドライフィルムレジストとしてリジットやFPC基板用途に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下本発明にかかる感光性樹脂組成物およびその利用について、(I)感光性樹脂組成物、(II)感光性樹脂組成物の調整方法、(III)感光性樹脂組成物の利用の順に具体的に説明する。
【0028】
(I)感光性樹脂組成物
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、(A)ポリイミド前駆体、(B)(メタ)アクリレート化合物、および(C)光反応開始剤を含有しており、180℃以下の温度で硬化可能である。以下、本発明にかかる感光性樹脂組成物の一例を示すが、本発明はそれらの例に限定される事無く、(A)ポリイミド前駆体、(B)(メタ)アクリレート化合物、および(C)光反応開始剤を含有しており、180℃以下の温度で硬化可能であれば良い。また、さらに好ましくは、160℃以下の温度で硬化可能であれば良い。
【0029】
なお、本発明において、180℃以下の温度で硬化するとは、後述の〔硬化温度の評価法〕において、ポリイミドフィルム アピカル25NPI(カネカ製)と感光性ドライフィルムレジストをラミネート・露光後180℃の温度で2時間加熱した積層体を高湿度処理(85℃85%RHの環境下に48時間保存)し、高湿度処理前後の積層体のクロスカットピール(IPC TM650 2.4.28.1)測定において、高湿度処理による低下が見られない場合を180℃以下の温度で硬化する、つまり硬化可能とした。反対に高湿度処理により、クロスカットピールの値が低下した場合(より多く剥がれた場合)、180℃の温度では硬化できないと判断した。ポリイミド前駆体が、180℃の加熱でイミド化が完了していない場合、高湿度処理により、残存したポリアミド酸部位が加水分解したために脆化し、クロスカットピールによる剥がれを引き起こしたものである。
【0030】
本発明にかかる感光性樹脂組成物の一例としては、(A)ポリイミド前駆体が、パラ結合を含む芳香族ジアミンを全ジアミン中10mol%以上含まず、ポリイミド化した後のTgが200℃以下であるものが挙げられる。このような構成とすることにより、感光性樹脂組成物が180℃以下の温度で硬化可能となる。
さらに以下、本発明にかかる感光性樹脂組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
【0031】
(A)成分である本発明で用いられるポリイミド前駆体は、以下の一般式(1)
【0032】
【化9】

(式中、R1は4価の有機基を示し、R2はメタ位で直接結合している芳香族化合物を示す。)で表される構成単位と一般式(2)
【0033】
【化10】

(式中、R1は4価の有機基を示し、R3は一般式(3)か一般式(4)を示し、ただし、一般式(3)のR4は、−(CH2n−であり、R5はメチル基かフェニル基であり、R5中のフェニル基の含有率が15〜40%でありmは4〜20の数で、nは2〜5の整数である。また、一般式(4)中R6はH,メチル基,エチル基,ブチル基を、rは1〜20の整数を、sは0〜10の整数を示す。)で表される構成単位を含むことにより、180℃以下の温度で硬化可能となる。
【0034】
【化11】

【0035】
【化12】

一般式(1)中、R1は4価の有機基であれば、特に限定されるものではないが、単環式の芳香族基、縮合多環式の芳香族基、およびこれらの芳香族基の2個以上が直接または連結基により連結された基から選択される炭素数6〜50の4価の芳香族基であることがより好ましい。R1としては、具体的には、例えば、後述する酸二無水物から、2つの−CO−O−CO−を除いた残基を挙げることができる。なお、R1は一般式(1)で表される構成単位ごとに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0036】
2がメタ位で直接結合している芳香族化合物に相当するジアミン(以下メタ位で直接結合している芳香族ジアミンという)とは例えば、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノフェニルエーテル、3,3’−ジアミノフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノベンズアニリド、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−ビフェニル、ン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、9,9−ビス(3−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,6−ジアミノレゾルシノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ビス[4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルフォン等のビス[(ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルフォン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、3,5−ジアミノ安息香酸等のジアミン化合物のアミノ基を除いた化合物を意味する。芳香族環に直接アミノ基が結合しており、そのアミノ基の位置が3−或いはm−であるジアミノ化合物すべての化合物のことを意味しており、例示した化合物に限定されない。特に電気信頼性の高い感光性樹脂組成物得るためには、上記例示したものの中で水酸基あるいはカルボキシル基を持たない化合物を選択することが望ましい。
【0037】
これらのメタ位で直接結合している芳香族ジアミンの中で、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノフェニルエーテル、3,3’−ジアミノフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノベンズアニリド、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−ビフェニル、ン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパンが更に好ましい。
【0038】
一般式(1)と一般式(2)の構成単位の存在比は、耐熱性や密着性等が高い傾向にあることより、モル%で10:90〜90:10であり、好ましくは20:80〜80:20であり、さらに好ましくは、30:70〜40:60である。
【0039】
一般式(3)で表される化合物について説明する。一般式(3)で表される化合物に相当するジアミンをポリシロキサンジアミンと以下呼ぶことにし、一般式(3’)で表す。
【0040】
【化13】

一般式(3’)中、R4は、それぞれ独立して炭素数2ないし5のアルキレン基であればよい。具体的には、R4は、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基またはペンタメチレン基である。
【0041】
また、一般式(3’)中、R5はそれぞれ独立して、メチル基またはフェニル基である。なお、R5中のメチル基は、得られる感光性樹脂組成物の性能に好ましくない影響を与えない限り、その一部がエチル基やプロピル基で置換されていてもよい。ここで、R5中のフェニル基の含有率は15%以上40%以下である。R5中のフェニル基の含有率が15%より低いと得られる感光性樹脂組成物、感光性ドライフィルムレジストおよびこれらをイミド化したもの(以下、本明細書において感光性樹脂組成物等と称することがある。)は難燃性が低下する傾向にある。また、反対にフェニル基の含有率が15%以上であると得られる感光性樹脂組成物等は難燃性に優れるが、フェニル基の含有率が40%より大きいと、得られる感光性樹脂組成物等は柔軟性・低反り性に欠ける傾向があるため好ましくない。フェニル基の含有率は、より好ましくは18%以上38%以下であり、さらに好ましくは20%以上35%以下である。
【0042】
また、上記フェニル基の含有率が上記範囲外であると、得られる感光性樹脂組成物等は感光性、屈曲性、電気信頼性に劣る傾向にある。このように、本発明に係る感光性樹脂組成物では、フェニル基の含有率を上記範囲とすることにより、理由はわからないが、反りが小さく可撓性・屈曲性・電気信頼性・感光性に優れ、難燃性を有する感光性樹脂組成物等を得ることができる。
【0043】
また、難燃性が向上することにより、従来のポリシロキサンジアミンを用いて得られるポリイミド前駆体のように、多量の難燃剤を必要としない。それゆえ多量の難燃剤による電気信頼性の低下という問題を解消することが可能となる。
【0044】
なお、ここで、フェニル基の含有率とは、R5中に含まれるフェニル基のモル分率をいい、下記式で表される。
フェニル基の含有率(%)=(R5中のフェニル基のモル数)÷(R5中のフェニル基のモル数+R5中のメチル基のモル数)×100
また、R5中のメチル基の含有率は60%以上85%以下である。R5中のメチル基の含有率が60%より低いと得られる感光性樹脂組成物等は柔軟性・低反り性に欠けるため好ましくない。また、反対にメチル基の含有率が60%以上であると得られる感光性樹脂組成物等は柔軟性・低反り性に優れるが、メチル基の含有率が85%より大きいと、得られる感光性樹脂組成物等の難燃性が低下する傾向にあるため望ましくない。メチル基の含有率は、より好ましくは62%以上82%以下であり、さらに好ましくは65%以上80%以下である。
【0045】
また、一般式(3’)中、シロキサン結合の繰り返し単位数mは、4以上20以下の整数であることが好ましい。mが4より小さいと得られる感光性樹脂組成物等の柔軟性・低反り性が低下する傾向にあり、mが20より大きいと得られる感光性樹脂組成物等においてポリシロキサン部位が凝集し、凝集したドメインが可視光の波長以上になり光を乱反射して白化し、感光能が低下する。またmが20より大きくなり、ポリシロキサンのみの大きなドメインができると難燃性が低下する。mはより好ましくは4以上18以下であり、さらに好ましくは5以上15以下である。
【0046】
また、上記mが上記範囲外であると、得られる感光性樹脂組成物等は屈曲性、電気信頼性に劣る傾向にある。このように、本発明に係る感光性樹脂組成物では、mを上記範囲とすることにより、反りが小さく可撓性・屈曲性・電気信頼性・感光性に優れ、難燃性を有する感光性樹脂組成物等を得ることができる。
【0047】
一般式(4)で表される化合物について説明する。一般式(4)で表される化合物に相当するジアミンを一般式(4’)で表す。
【0048】
【化14】

(一般式(4’)中、R6はH,メチル基,エチル基,ブチル基を、rは1〜20の整数を、sは0〜10の整数を示す。)
一般式(4’)に相当するジアミンを用いることにより電気信頼性・可撓性・屈曲性を付与することができる。
【0049】
また、上記ポリイミド前駆体の重量平均分子量は2000以上1000000以下であることが好ましく、5000以上300000以下であることがより好ましい。上記ポリイミド前駆体の重量平均分子量が2000より小さいと得られるポリイミドの分子量が低くなり強度が低下する傾向にあるため好ましくなく、1000000より大きいと感光性樹脂の現像時間が長くなる傾向にあるため好ましくない。
【0050】
また、上記ポリイミド前駆体の重量平均分子量/数平均分子量は、1.5以上10以下であることが好ましく、2以上5以下であることがより好ましい。
【0051】
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、上記ポリイミド前駆体を含有しているので、得られる感光性樹脂組成物を感光性ドライフィルムレジストとしてFPC等に積層した状態で反りが小さく、可撓性・屈曲性・電気信頼性・感光性に優れ、難燃性を有するという本発明の効果を得ることができる。
【0052】
なお、本発明に係る感光性樹脂組成物は、上述したポリイミド前駆体を含有するものであれば、得られる感光性樹脂組成物の性能に好ましくない影響を与えない限り、他のポリイミド前駆体を含んでいてもよい。
【0053】
また、ポリイミド前駆体の感光性樹脂組成物全体に対する含有割合は、感光性樹脂組成物全体に対して、10重量%以上90重量%以下であることが好ましく、20重量%以上85重量%以下であることがより好ましく、25重量%以上80重量%以下であることがさらに好ましい。ポリイミド前駆体の感光性樹脂組成物中の含有割合が10%以上であることにより得られた感光性樹脂組成物の耐熱性が向上する傾向にあるため好ましく、90%以下であることにより、基材に対する低温での圧着が可能となるため好ましい。
【0054】
(A−2)ポリイミド前駆体の製造方法
本発明で用いられるポリイミド前駆体は、上記構成を有するものであれば、その製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、酸二無水物とメタ位で直接結合している芳香族ジアミンと一般式(3’)で表されるポリシロキサンジアミン、或いは酸二無水物とメタ位で直接結合している芳香族ジアミンと一般式(4’)のジアミンを、有機極性溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0055】
上記酸二無水物としては、特に限定されるものではなく、あらゆる酸二無水物を用いることができる。なお、かかる酸二無水物から、2つの−CO−O−CO−を除いた残基は、上記R1およびR5の好適な例である。かかる酸二無水物としては、具体的には、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、およびビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
中でも、上記酸二無水物としては、得られるポリイミドの難燃性に優れるという点から芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることがより好ましい。
【0057】
また、有機溶媒への溶解性の高いポリイミドを得るためには、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、または1,2−エタンジベンゾエート-3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物のうち、少なくとも1つを上記酸二無水物として、含有させることがさらに好ましい。
【0058】
さらに、工業的に安価であるという点からは、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物を用いることが好ましい。
【0059】
上記酸二無水物、メタ位で直接結合している芳香族ジアミンおよびポリシロキサンジアミン或いは、酸二無水物とメタ位で直接結合している芳香族ジアミンと一般式(4’)のジアミンを有機極性溶媒中で反応させる順序は特に限定されるものではなく、酸二無水物、ポリシロキサンジアミン(或いは一般式(4’)のジアミン)およびメタ位で直接結合している芳香族ジアミンを同時に反応させてもよいし、酸二無水物とポリシロキサンジアミン(或いは一般式(4’)のジアミン)との反応を先に開始した後、他の芳香族ジアミンを加えて反応させてもよいし、酸二無水物とメタ位で直接結合している芳香族ジアミンとの反応を先に開始した後、ポリシロキサンジアミン(或いは一般式(4’)のジアミン)を加えて反応させてもよい。
【0060】
中でも酸二無水物とポリシロキサンジアミン(或いは一般式(4’)のジアミン)との反応を先に開始した後、メタ位で直接結合している芳香族ジアミンを加えて反応させることがより好ましい。
【0061】
かかる場合には、まず、酸二無水物とポリシロキサンジアミン(或いは一般式(4’)のジアミン)とを、有機極性溶媒中で反応させればよく、例えば、酸二無水物と有機極性溶媒とからなる溶液あるいは懸濁溶液に、ポリシロキサンジアミン(或いは一般式(4’)のジアミン)またはその溶液を添加すればよい。続いて、これにメタ位で直接結合している芳香族ジアミンを加えることにより本発明で用いられるポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を合成することができる。
【0062】
上記有機極性溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0063】
このとき、酸二無水物とポリシロキサンジアミン(或いは一般式(4’)のジアミン)との反応は、上記有機極性溶媒中で−20℃以上80℃以下の温度条件下で反応させることが好ましく、−15℃以上50℃以下の温度条件下で反応させることがより好ましい。
反応温度を−20℃以上とすることにより、酸二無水物とポリシロキサンジアミン(或いは一般式(4’)のジアミン)とを反応させることができる。また、酸二無水物とポリシロキサンジアミン(或いは一般式(4’)のジアミン)とを反応させるときの反応時間は、特に限定されるものではないが、例えば、1〜12時間であることが好ましい。
【0064】
また、この際に、反応させる酸二無水物のモル数は、ポリシロキサンジアミン(或いは一般式(4’)のジアミン)のモル数より多いことが好ましい。これにより、酸二無水物末端のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)オリゴマーを得ることができる。
【0065】
続いて、これに芳香族ジアミンを加え反応させるときの反応温度は、−20℃以上80℃以下であることが好ましく、−15℃以上50℃以下であることがより好ましい。かかる温度範囲とすることにより、メタ位で直接結合している芳香族ジアミンとの共重合を好適に行うことができる。また、メタ位で直接結合している芳香族ジアミンを加え反応させるときの反応時間も、特に限定されるものではないが、例えば、0.5時間〜24時間であることが好ましい。
【0066】
上記メタ位で直接結合している芳香族ジアミンは、全ジアミンの90モル%を超えると、イミド化温度を上げる傾向があるため、90モル%以下が好ましく、80モル%以下が更に好ましい。
【0067】
本発明のポリイミド前駆体は、5g/lのN−メチルピロリドンの溶液の30℃における対数粘度は、0.2〜4.0の範囲であることが好ましく、0.3〜2.0の範囲であることが、より好ましい。
【0068】
(B)(メタ)アクリレート化合物
本発明で用いられる(メタ)アクリル化合物は、特に限定されるものではなく、炭素−炭素2重結合を有していればよい。上記(メタ)アクリル化合物としては、具体的には、例えば、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、スフェノールS EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、β−メタクロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ラウリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ1,3ジメタクロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ポリエチレングリコールジクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ1−アクリロキシ3−メタクロキシプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、1−アクリロイルオキシプロピル−2−フタレート、イソステアリルアクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−メキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールメタクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル]プロパン、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エトキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸トリ(エタンアクリレート)、ペンタスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトレアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリル1,3,5−ベンゼンカルボキシレート、トリアリルアミン、トリアリルシトレート、トリアリルフォスフェート、アロバービタル、ジアリルアミン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジスルフィド、ジアリルエーテル、ザリルシアルレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、1,3−ジアリロキシ−2−プロパノール、ジアリルスルフィドジアリルマレエート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジメタクリレート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジアクリレート等を例示することができる。なお、架橋密度を向上させるためには、特に2官能以上のモノマーを用いることが好ましい。
【0069】
また上記(メタ)アクリル化合物は、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニル−4−t−ブチルベンゾエート、ビニルn−ブチルエーテル、ビニルisoブチルエーテル、ビニルn−ブチレート、ビニル−n−カプロレート、およびビニルn−カプリレート等のビニル化合物;イソシアヌル酸トリアリル、およびフタル酸ジアリルエーテル等のアリル化合物であってもよい。
【0070】
なお、上記(メタ)アクリル化合物としては、1種類の化合物を用いてもよいし、数種を混合して用いてもよい。
【0071】
上記(メタ)アクリル化合物は、上記ポリイミド前駆体100重量部に対し、1重量部以上400重量部以下の範囲で配合することが好ましく、3重量部以上300重量部以下の範囲で配合することがさらに好ましい。上記範囲内で配合することによって、特に効果的に、従来のものに比べて、低温でイミド化する感光性樹脂組成物を実現することができる。
【0072】
(C)光反応開始剤
本明細書において、「光反応開始剤」とは、光照射によりラジカルを発生する化合物の総称である。本発明で用いられる光反応開始剤は、光照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定されるものではないが、250〜450nmの光照射により、ラジカルを発生する化合物であることが好ましい。かかる光反応開始剤としては、具体的には、例えば、下記一般式(5)および(6)
【0073】
【化15】

【0074】
【化16】

(一般式式(5)および(6)中、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12は、C65−、C64(CH3)−、C62(CH33−、(CH33C−、C63Cl2−、メトキシ基、またはエトキシ基を示す。)
で表されるアシルフォスフィンオキシド化合物を挙げることができる。これにより発生したラジカルは、2重結合を有する反応基(ビニル、アクロイル、メタクロイル、またはアリル等)と反応し架橋を促進することができる。
【0075】
上記一般式(5)で表されるアシルフォスフィンオキシドは、2個のラジカルを発生するのに対して、上記一般式(6)で表されるアシルフォスフィンオキシドは、α開裂により4個のラジカルを発生する。したがって、本発明においては、上記一般式(6)で表されるアシルフォスフィンオキシドを用いることがより好ましい。
【0076】
また、本発明にかかる感光性樹脂組成物において、上記光反応開始剤は、上記ポリイミド前駆体 100重量部に対して、0.01〜50重量部含有することが好ましい。
【0077】
また、本発明にかかる感光性樹脂組成物においては、上記光反応開始剤として、パーオキサイドと増感剤とを組み合わせて用いてもよい。この構成とすることによって、感光性樹脂組成物は、実用に供しうる感光感度を達成することができる。
【0078】
上記パーオキサイドとしては、特に限定されるものではなく、種々のパーオキサイドを用いることができる。具体的には、上記パーオキサイドとしては、例えば、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネート類等を挙げることができるが、特に、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンを用いることが好ましい。
【0079】
また、上記増感剤も特に限定されるものでないが、例えば、ミヒラケトン、ビス−4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、ベンジル、4,4’−ジメチルアミノベンジル、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジメチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−エチル−4−ピペリドン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、リボフラビンテトラブチレート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、3,5−ジメチルチオキサントン、3,5−ジイソプロピルチオキサントン、1−フェニル−2−(エトキシカルボニル)オキシイミノプロパン−1−オン、ベンゾインエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンズアントロン、5−ニトロアセナフテン、2−ニトロフルオレン、アントロン、1,2−ベンズアントラキノン、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、チオキサンテン−9−オン、10−チオキサンテノン、3−アセチルインドール、2,6−ジ(p−ジメチルアミノベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジメチルアミノベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジエチルアミノベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジエチルアミノベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−3−(1−メチルベンゾイミダゾリル)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ゼンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3,3−ジメチル−3H−インドール等を好適に用いることができる。
【0080】
上記増感剤は、増感効果が得られ、かつ現像性に悪影響を及ぼさない範囲で配合すればよい。具体的には、本発明のポリイミド前駆体 100重量部に対し、0.01〜50重量部配合すること好ましく、0.1〜20重量部配合することが、更に好ましい。なお、増感剤として、1種類の化合物を用いてもよいし、2種類以上の化合物を混合して用いてもよい。また、上記パーオキサイドは、増感剤100重量部に対し、1〜200重量部配合すること好ましく、1〜150重量部配合することが、更に好ましい。
【0081】
また、本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、実用に供しうる感光感度を達成するため、さらに、光重合助剤を含んでいてもよい。かかる光重合助剤としては、特に限定されるものでなく、例えば、4−ジエチルアミノエチルベンゾエート、4−ジメチルアミノエチルベンゾエート、4−ジエチルアミノブロピルベンゾエート、4−ジメチルアミノプロピルベンゾエート、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−(4−シアノフェニル)グリシン、4−ジメチルアミノベンゾニトリル、エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールジ(3−メルカブトプロピオネート)、トリメチロールプロパンチオグリコレート、トリメチロールプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールエタントリ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸、α一メルカプトプロピオン酸、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシメトキシペンゾエート、t−ブチルペルオキシニトロベンゾエート、t−ブチルペルオキシエチルベンゾエート、フェニルイソプロピルペルオキシベンゾエート、ジt−ブチルジペルオキシイソフタレート、トリt−ブチルトリペルオキシトリメリテート、トリt−ブチルトリペルオキシトリメシテート、テトラt−ブチルテトラペルオキシピロメリテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ペンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4―カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−メトキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノン、3,5−ジ(p−アジドベンザル)−1−メチル−4−ピペリドン、3,5−ジ(p−アジドベンザル)−4−ピペリドン、3,5−ジ(p−アジベンザル)−N−アセチル−4−ピペリドン、3,5−ジ(p−アジドベンザル)−N−メトキシカルボニルー4−ピペリドン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(m−アジドベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(m−アジドベンザル)−4−メトキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(m−アジドベンザル)−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノン、3,5−ジ(m−アジドべンザル)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ジ(m−アジドベンザル)−4−ピペリドン、3,5−ジ(m−アジドベンザル)−N−アセチルー4−ピペリドン、3,5−ジ(m−アジドベンザル)−N−メトキシカルボニル−4−ピペリドン、2,6−ジ(p−アジドシンナミリデン)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドシンナミリデン)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドシンナミリデン)−4−シクロヘキサノン、3,5−ジ(p−アジドシンナミリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、4,4’−ジアジドカルコン、3,3’−ジアジドカルコン、3,4’−ジアジドカルコン、4,3’−ジアジドカルコン、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−アセチル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−n−プロピルカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−フェニルオキシカルボニル)オキシム、1,3−ビス(p−メチルフェニル)−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ビス(p−メトキシフェニル)−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−(p−メトキシフェニル)−3−(p−ニトロフェニル)−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−フェニルオキシカルボニル)オキシム等を用いることができる。また、別の光重合助剤として、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等のトリアルキルアミン類を混合することもできる。
【0082】
なお、光重合助剤としては、1種類の化合物を用いてもよいし、2種類以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0083】
上記光重合助剤は、増感効果が得られ、かつ現像性に悪影響を及ぼさない範囲で配合すればよい。具体的には、本発明のポリイミド前駆体 100重量部に対し、0.01〜50重量部配合されることが好ましく、0.1〜20重量部の範囲が更に好ましい。
【0084】
(D)リン系難燃剤
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、ポリイミド前駆体、(メタ)アクリル化合物、および光反応開始剤の他に、難燃剤を含んでいる。本明細書において、「難燃剤」とは、プラスチック、木材、繊維等の可燃性物質に、添加または反応させることにより、可燃性物質を燃えにくくする働きのある物質のことを意味する。
【0085】
難燃剤の含有量は、特に限定されるものではなく、用いる難燃剤の種類に応じて適宜選択すればよい。一般的には、難燃剤の含有量は、ポリイミド前駆体および(メタ)アクリル化合物の合計量を100重量%としたときに、5〜50重量%の範囲であることが好ましく、10〜40重量%の範囲であることがより好ましい。難燃剤をかかる範囲内で用いることによって、硬化後のカバーレイフィルムに難燃性を効果的に付与することができる。さらに、硬化後のカバーレイフィルムの機械特性を向上させることができる。
【0086】
中でも本発明で用いられる難燃剤は、リンを含む難燃剤(以下、「リン系難燃剤」という)であることが好ましい。
【0087】
難燃剤としてリン系難燃剤を用いる場合、リン系難燃剤のリン含量は、リン系難燃剤を100としたときに、5.0重量%以上であることが好ましく、7.0重量%以上であることがより好ましい。そのようなリン系難燃剤を用いることにより、難燃性を効果的に付与することができる。
【0088】
上記リン系難燃剤としては、例えば、ホスファゼン、ホスフィン、ホスフィンオキサイド、リン酸エステル(縮合リン酸エステルも含む)、亜リン酸エステル等のリン化合物を挙げることができる。特に、感光性樹脂組成物との相溶性の面から、ホスファゼン、縮合リン酸エステル等を好適に用いることができる。
【0089】
かかるリン系難燃剤の具体的な一例としては、例えば、難燃性を付与でき、かつ耐加水分解性をもつという点から、SPE−100(大塚化学製 ホスファゼン化合物)、SPH−100(大塚化学製 ホスファゼン化合物)、TPP(トリフェニルホスフェート)(大八化学製)、TCP(トリクレジルホスフェート)(大八化学製)、TXP(トリキシレニルホスフェート)(大八化学製)、CDP(クレジルジフェニルホスフェート)(大八化学製)、PX−110(クレジル2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学製)などのリン酸エステル;CR−733S(レゾシノ−ルジホスフェート)(大八化学製)、CR−741(大八化学製)、CR−747(大八化学製)、PX−200(大八化学製)などの非ハロゲン系縮合リン酸エステルなどを挙げることができる。
【0090】
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、(A)ポリイミド前駆体、(B)(メタ)アクリレート化合物、(C)光反応開始剤、および(D)リン系難燃剤を含有していればよいが、その性能を低下させない範囲で、その他の成分を含んでいてもよい。かかるその他の成分としては、例えば、フィラー、保存安定剤、イオン捕捉剤等を挙げることができる。
【0091】
(II)感光性樹脂組成物の調整方法
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、ポリイミド前駆体、(メタ)アクリル化合物、光反応開始剤、リン系難燃剤、および、必要に応じてその他の成分を混合することによって得ることができる。
【0092】
また、本発明にかかる感光性樹脂組成物は、有機溶媒に溶解して用いることができる。感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液(以下、本明細書において感光性樹脂組成物溶液と称することがある。)は、上記感光性樹脂組成物を有機溶媒に均一に溶解させることによって得ることができる。
【0093】
上記有機溶媒としては、感光性樹脂組成物に含有される成分を溶解することができる有機溶媒であれば特に限定されるものではない。かかる有機溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルフォルムアミド等のアミド系溶媒、ジオキソラン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール系溶媒等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
また、有機溶媒の使用量は、作業性、乾燥性、感光性樹脂組成物の性能等に悪影響を及ぼさない範囲であれば特に限定されるものではない。好ましくは、感光性樹脂組成物100重量部に対して、用いる有機溶媒は、30重量部以上1000重量部以下であることが好ましく、50重量部以上500重量部以下であることがより好ましい。
【0095】
なお、上記感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を、後述する感光性ドライフィルムレジスト等に用いる場合、上記有機溶媒は、上記感光性樹脂組成物に含有される成分を溶解でき、かつ、沸点の低いものを選択することが好ましい。これにより、有機溶媒の除去を行うためのエネルギーおよび時間を低減することができる。
【0096】
(III)感光性樹脂組成物の利用
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物溶液を支持体フィルム上に塗布して、乾燥することにより、感光性ドライフィルムレジストとすることができ、FPC等の導体面を保護するカバーレイフィルムとして用いることができる。したがって、上記感光性樹脂組成物から得られる感光性ドライフィルムレジスト、および、該感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護層として形成してなることを特徴とするプリント配線板も本発明に含まれる。
【0097】
なお、本発明の感光性樹脂組成物の用途は、感光性ドライフィルムレジストに限られるものではなく、感光性樹脂組成物溶液を直接FPC等に塗布して乾燥し、カバーレイフィルムとして用いてもよい。さらに、カバーレイフィルム以外にも、リジッドのプリント基板用ソルダーレジスト、ビルドアップ用絶縁膜等の用途に用いることができる。
【0098】
以下本発明にかかる感光性ドライフィルムレジスト、および、プリント配線板について説明する。
【0099】
(III−1)感光性ドライフィルムレジスト
本発明にかかる感光性ドライフィルムレジストは、本発明の感光性樹脂組成物を用いて得られる感光性ドライフィルムレジストであり、上記感光性樹脂組成物溶液を支持体フィルム上に均一に塗布および乾燥することにより作製される。具体的には、上記の感光性樹脂組成物溶液を支持体フィルム上に均一に塗布した後、加熱および/または熱風吹き付けを行う。これによって、感光性樹脂組成物溶液を乾燥、すなわち、感光性樹脂組成物溶液の有機溶媒を除去し、感光性樹脂組成物がフィルム状となった感光性ドライフィルムレジストを得ることができる。
【0100】
なお、本明細書において、感光性ドライフィルムレジストとは、上記感光性樹脂組成物がフィルム状となったその層のことを意味し、支持体フィルム等との積層体を意味するものではない。なお、本発明にかかる感光性ドライフィルムレジストは、支持体フィルム上に形成された状態で存在していてもよいし、後述する支持体フィルムと保護フィルムとの三層構造シートの中の1つの層として存在していてもよいし、FPC等に積層された状態で存在していてもよい。
【0101】
上記支持体フィルムの材料は、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルム等、通常市販されている各種のフィルムを使用することができる。上記支持体フィルムのうち、ある程度の耐熱性を有し、比較的安価に手に入る点から、PETフィルムをより好適に用いることができる。また、支持体フィルムの感光性ドライフィルムレジストとの接合面については、密着性と剥離性とを向上させるために、表面処理されているものを用いてもよい。
【0102】
上記支持体フィルムの膜厚は10μm以上125μm以下であることが好ましく、15μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0103】
また、上記支持体フィルムに、上記感光性樹脂組成物溶液を塗布する方法は特に限定されるものではなく、リバースコート、グラビアコート、ダイコート、コンマコート、スプレーコート等の方法を好適に用いることができる。
【0104】
上記加熱および/または熱風吹き付けを行うことによって、感光性樹脂組成物溶液を乾燥する時の温度は特に限定されるものではなく、例えば、感光性樹脂組成物に含有される(メタ)アクリル化合物等の硬化性基が反応しない程度の温度であればよい。具体的には、50℃以上150℃以下であることが好ましく、60℃以上130℃以下であることがより好ましい。また、乾燥時間は、有機溶媒を除去することが可能な範囲内で、より短い時間とすることが好ましい。通常乾燥時間は、0.5分〜30分である。また、乾燥後の感光性樹脂組成物の膜厚、すなわち、感光性ドライフィルムレジストの膜厚は、5μm以上75μm以下であることが好ましく、10μm以上60μm以下であることがより好ましい。
【0105】
このようにして作製された感光性ドライフィルムレジストは、感光性樹脂組成物を半硬化状態(Bステージ)で保ったものである。それゆえ、熱ラミネート処理等の熱圧着処理を行う場合には、適度な流動性を持ち、プリント配線板のパターン回路の埋め込みを好適に行うことができる。また、パターン回路を埋め込んだ後、露光処理、熱圧着処理、または加熱キュアを行うことによって、完全に硬化させることができる。
【0106】
また、感光性樹脂組成物を支持体フィルムに塗布し、乾燥して作製した感光性ドライフィルムレジストの上には、さらに、保護フィルムを積層することが好ましい。これにより、空気中のゴミやチリが付着することを防ぎ、感光性ドライフィルムレジストの乾燥による品質の劣化を防ぐことができる。
【0107】
上記保護フィルムは、感光性ドライフィルムレジスト面に、ラミネートして積層することが好ましい。なお、ラミネート処理時の温度は、保護フィルムの熱膨張が起こらず、ラミネート処理後の保護フィルムにしわやカールが生じない温度であればよい。具体的には、上記ラミネート処理時の温度は、10℃〜50℃の温度であることが好ましい。また、上記保護フィルムは、使用時には剥離するため、保護フィルムと感光性ドライフィルムレジストとの接合面は、保管時には適度な密着性を有し、かつ剥離性に優れていることが好ましい。
【0108】
上記保護フィルムの材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、ポリエチレンビニルアルコールフィルム(EVAフィルム)、「ポリエチレンとエチレンビニルアルコールの共重合体フィルム」(以下、「(PE+EVA)共重合体フィルム」ともいう)、「PEフィルムと(PE+EVA)共重合体フィルムとの貼り合わせ体」、もしくは「(PE+EVA)共重合体とポリエチレンとの同時押し出し製法によるフィルム」(片面がPEフィルム面であり、もう片面が(PE+EVA)共重合体フィルム面であるフィルムとなる)等を挙げることができる。
【0109】
上記PEフィルムは安価であり、表面の滑り性に優れているという長所がある。また、(PE+EVA)共重合体フィルムは、感光性ドライフィルムレジストへの適度な密着性と剥離性とを備えている。このような保護フィルムを用いることにより、保護フィルム、感光性ドライフィルムレジスト、および支持体フィルムの3層を有する三層構造シートをロール状に巻き取った場合に、その表面の滑り性を向上することができる。
【0110】
(III−2)プリント配線板
本発明にかかるプリント配線板は、上記感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護層として形成してなるプリント配線板である。プリント配線板として、パターン回路が形成されてなるCCL(以下、「回路付きCCL」ともいう。)を用いる場合を例に挙げて説明するが、多層のプリント配線板を形成する場合にも、同様の手法により層間絶縁層を形成することができる。
【0111】
例えば、(III−1)にて説明した保護フィルム、感光性ドライフィルムレジスト、および支持体フィルムを有してなる三層構造シートから、保護フィルムを剥離する。以下では、保護フィルムが剥離されたものを「支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジスト」と記載する。そして、感光性ドライフィルムレジストと、回路付きCCLの回路部分とが対向するように、当該回路付きCCLを、支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストにて覆い、熱圧着によって貼り合わせる。この熱圧着によって貼り合わせる方法は、特に限定されるものではなく、熱プレス処理、ラミネート処理(熱ラミネート処理)、熱ロールラミネート処理、または真空ラミネート処理等によって行えばよい。
【0112】
上記貼り合わせを、熱ラミネート処理、熱ロールラミネート処理(以下、「ラミネート処理」ともいう)によって行う場合、処理温度は、ラミネート処理が可能である下限の温度(以下、「圧着可能温度」ともいう)以上であればよい。また、上記処理温度の上限は、ラミネート処理時に、感光性ドライフィルムレジストに含まれる感光性反応基の架橋反応が起こる温度より低い温度であればよい。一方、処理温度の下限は、感光性ドライフィルムレジストが好適な流動性をもち、パターン回路を好適に埋め込むことができる温度であればよい。
【0113】
具体的には、上記処理温度は、50〜150℃の範囲内であることが好ましく、60〜120℃の範囲内であることがより好ましく、80〜120℃の範囲内であることがより好ましい。上記処理温度が、上記範囲内にあるとき、銅回路付きCCLの銅回路、または当該銅回路付きCCLのベースフィルムとの高い接着性を実現することができる。
【0114】
また、ラミネート処理をはじめとする熱圧着処理においては、圧力を加えることが好ましい。かかる圧力は、100Pa・m以上1000000Pa・m以下であることが好ましく、1000Pa・m以上100000Pa・m以下であることがより好ましい。加える圧力が上記範囲内であることにより、感光性ドライフィルムがはみ出すことなく、好適に密着させることができる。
【0115】
上記の熱圧着処理によって、回路付きCCL上に感光性ドライフィルムレジストが積層され、さらに支持体フィルムが積層された積層体が得られる。次いで、この積層体について、パターン露光および現像を行う。パターン露光および現像に際しては、上記積層体の支持体フィルム上に、フォトマスクパターンを配置し、該フォトマスクを介して露光処理を行う。その後、支持体フィルムを剥離して現像処理を行うことにより、フォトマスクパターンに応じた穴(ビア)が形成される。
【0116】
なお、上記支持体フィルムは、上述したように露光処理後に剥離してもよいし、回路付きCCL上に支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストが貼り合わせられた後に、すなわち、露光処理を行う前に、剥離してもよい。感光性ドライフィルムレジストを保護する点からは、露光処理が完了した後に剥離することが好ましい。
【0117】
ここで露光に用いる光源としては、300〜430nmの光を有効に放射する光源が好ましい。この理由は、感光性ドライフィルムレジストに含有される光反応開始剤が、通常450nm以下の光を吸収して機能するためである。
【0118】
また、上記現像処理に用いる現像液としては、塩基性化合物が溶解した塩基性溶液を用いればよい。塩基性化合物を溶解させる溶媒は、特に限定されるものではなく、上記塩基性化合物を溶解することができる溶媒であればよい。その中でも、環境問題等の観点から、水を使用することが特に好ましい。
【0119】
上記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムなどの、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アミン化合物等を挙げることができる。上記塩基性化合物は、1種を用いてもよいし、2種以上の化合物を用いてもよい。
【0120】
上記塩基性溶液に含有される塩基性化合物の濃度は、0.1〜10重量%の範囲内であることが好ましく、感光性ドライフィルムレジストの耐アルカリ性の点から、0.1〜5重量%の範囲内とすることがより好ましい。
【0121】
なお、現像処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、塩基性溶液中に現像サンプルを入れて攪拌する方法、および現像液をスプレー状にして現像サンプルに噴射する方法等が挙げられる。
【0122】
また、上記塩基性溶液の液温は、10℃以上50℃以下であることが好ましく、25℃以上45℃以下であることがより好ましい。
【0123】
本発明においては、特に、液温を40℃に調整した1重量%濃度の炭酸ナトリウム水溶液を現像液に用い、スプレー現像機を用いて行う現像処理を好適に用いることができる。ここでいう「スプレー現像機」は、特に限定されるものではなく、現像液をスプレー状にしてサンプルに噴射する装置であればよい。
【0124】
感光性ドライフィルムレジストのパターンが描けるまでの現像時間は、パターンが描ける時間であればよい。例えば、180秒以下の時間で現像できることが好ましく、90秒以下の時間で現像できることがより好ましく、60秒以下の時間で現像できることが特に好ましい。現像時間が180秒を超えると生産性が劣る傾向がある。
【0125】
ここで、現像時間の目安として、Bステージ(半硬化状態)の感光性ドライフィルムレジストの溶解時間を測定する方法がある。具体的には、感光性ドライフィルムレジストを銅箔光沢面に貼り合わせたサンプルを、未露光の状態で、1重量%濃度の炭酸ナトリウム水溶液(液温40℃)を現像液として、スプレー圧0.85MPaで、スプレー現像処理を行うという方法である。このスプレー現像処理により、感光性ドライフィルムレジストが180秒以下の時間で溶解して除去されることが好ましい。感光性ドライフィルムレジストが溶解除去されるまでの時間が180秒を超えると、作業性が低下する傾向がある。
【0126】
上記のように、露光・現像処理が施された後、感光性ドライフィルムレジストに対して、加熱キュアを行うことにより、感光性ドライフィルムレジストが完全に硬化(イミド化)する。これにより、硬化した感光性ドライフィルムレジストは、プリント配線板の絶縁保護膜となる。加熱キュアを行うときの、温度、すなわちイミド化温度は、120℃以上180℃以下であることが好ましく、さらに120℃以上160℃以下または、140℃以上180℃以下であることが好ましく、140℃以上160℃以下であることが更に好ましい。本発明に係る感光性樹脂組成物は、このように、従来の感光性ポリイミドと比較して低いイミド化温度でイミド化することが可能でありながら、低反り性、可撓性、屈曲性、電気信頼性、感光性、難燃性を併せ持つこれまでにない優れた性能を有する。このように、低いイミド化温度、低反り性、可撓性、屈曲性、電気信頼性、感光性、難燃性をすべて満たす感光性樹脂組成物はこれまでになく、本発明で初めて達成されたものである。
【0127】
また、多層のプリント配線板を形成する場合には、プリント配線板の保護層を層間絶縁層とする。そして、該層間絶縁層上に、さらにスパッタリングや鍍金、もしくは銅箔との貼り合わせ等を行った後、パターン回路を形成し、上記のように感光性ドライフィルムレジストをラミネートすればよい。これにより、多層のプリント配線板を作製することができる。
【0128】
なお、本実施の形態では、感光性ドライフィルムレジストを、プリント配線板の絶縁保護材料または層間絶縁材料として用いる場合について説明したが、本発明は以上説示した各構成に限定されるものではなく、開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0129】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0130】
なお、実施例および比較例におけるポリイミド前駆体の分子量、ポリイミド前駆体をポリイミド化したもののTg並びに、感光性樹脂組成物またはイミド化後の感光性ドライフィルムレジストの接着性、半田耐熱性、感光能、耐マイグレーション性、および硬化温度の評価法は次の通りである。
【0131】
〔ポリイミド前駆体およびポリイミドの分子量〕
ポリイミド前駆体の分子量は、高速GPC(東ソー社製、商品名HLC−8220GPC)を用いて測定した。測定条件は、DMF(0.036M LiBr,0.019Mリン酸含む)を展開溶媒とし、カラムとして東ソー製、商品名:TSK gel Super AWM-H 2本を用い、カラム温度を40℃とし、検出器としてRI(PEO,PEG標準)を用い、流量を0.6ml/minとした。
〔ポリイミド前駆体をポリイミド化したもののTg〕
得られたポリイミド前駆体溶液をガラス板に塗布し、100℃30分、250℃30分加熱後、ガラス板より引き剥がして、約25μm厚みのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムをエスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 TMA120Cを用い、昇温速度10℃/分で測定し、得られたチャートの変曲点の温度をTgとした。
〔クロスカットピール〕
感光性樹脂組成物溶液をPETフィルム(厚み25μm)上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、乾燥して有機溶剤を除去し、感光性ドライフィルムレジストとした。(乾燥条件は、溶媒がジオキソランの場合は60℃で1分乾燥後90℃で1分、溶媒がN−メチルピロリドンおよびN,N’−ジメチルホルムアミドの場合は100℃で10分である。)ポリイミドフィルム アピカル25NPI(カネカ製)と感光性ドライフィルムレジストとをあわせ110℃、20000Pa・mの条件でラミネートした。続いて400nmの光を300mJ/cm2だけ露光し、その後PETフィルムを剥離して180℃で2時間加熱し積層体を得た。この積層体について、IPC TM650 2.4.28.1のクロスカットピールの試験に準じて接着性の評価を行った。
【0132】
〔半田耐熱性〕
クロスカットピールの測定項と同様に作成した感光性ドライフィルムレジストを電解銅箔(三井金属製3EC−VLP 1オンス)の輝面にあわせ100℃、20000Pa・mの条件でラミネートした。続いて400nmの光を300mJ/cm2だけ露光し、その後PETフィルムを剥離して180℃で2時間加熱し積層体を得た。この積層体を40℃95%RH 24時間調湿後、半田浴に10秒間浸漬し、表面の膨れおよび変色の有無を観察した。膨れおよび変色のなかった最高温度を半田耐熱温度とした。
【0133】
〔感光能〕
クロスカットピールの測定項と同様に作成した感光性ドライフィルムレジストを電解銅箔(三井金属製3EC−VLP 1オンス)の輝面に積層し、遮光しながら100℃、20000Pa・mでラミネート加工し積層体とした。
【0134】
積層体の上にマスクパターンをのせ、400nmの光を300mJ/cm2だけ露光し、1重量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温35℃)で現像した。フォトマスクパターンは、500μmφ、200μmφ、100μmφの微細な穴およびライン/スペースが500μm/500μm、200μm/200μm、100μm/100μmのラインを描いたものである。現像によって形成したパターンは、次いで蒸留水により洗浄して、現像液を除去した。
【0135】
〔感光性樹脂組成物等の耐マイグレーション性〕
新日鐵化学製フレキシブル銅貼積層板(ポリイミド系の樹脂の片面に銅箔を形成している片面銅貼積層板:SC18−25−00FR)に、図1に示すライン/スペース=25/25μmの櫛型パターンを形成した。
【0136】
この櫛型パターンの上に、クロスカットピールの測定項と同様に作成した感光性ドライフィルムレジストを重ね合わせ、条件100℃、20000Pa・mでラミネートした。続いて400nmの光を400mJ/cm2だけ露光し、その後、PETフィルムを剥離して180℃で2時間加熱して積層体を得た。
【0137】
85℃、85%RHの環境試験機中で、得られた積層体の被覆した櫛型パターンの両端子に60Vの直流電圧を印加し、抵抗値の変化やマイグレーションの有無を観察した。
【0138】
〔反り〕
ポリイミドフィルム アピカル25NPI(カネカ製)にクロスカットピールの測定項と同様に作成した感光性ドライフィルムレジストをあわせ110℃、20000Pa・mの条件でラミネートした。続いて、400nmの光を300mJ/cm2だけ露光し、その後PETフィルムを剥離して180℃で2時間加熱し積層体を得た。この積層体を5cm各にカットして5cm×5cmの試験サンプルとした。試験サンプルを23℃65%RHの環境下に24時間放置後、感光性ドライフィルムレジスト面を上にして平らな台の上におき、台からそりあがった部分の最大高さを定規で測定し反り(mm)とした。反りが5mm以下を合格ラインとした。
【0139】
〔摺動屈曲〕
新日鐵化学製フレキシブル銅貼積層板(ポリイミド系の樹脂の片面に銅箔を形成している片面銅貼積層板:SC18−25−00FR)に、図2に示すライン/スペース=250/250μmの摺動屈曲パターンを形成した。
【0140】
このパターンの上に、クロスカットピールの測定項と同様に作成した感光性ドライフィルムレジストを重ね合わせ、条件100℃、20000Pa・mでラミネートした。400nmの光を400mJ/cm2だけ露光し、その後、PETフィルムを剥離して180℃で2時間加熱して積層体を得た。
【0141】
この積層体をカバーレイフィルム側が外側になるように試験装置(信越エンジニアリング(株)製 FPC屈曲試験装置「SEK−31B4」)にセットし、曲率半径;R=2.5mm、ストローク;幅15mm、試験速度;1500回(往復)/分の条件で動作させ、屈曲回数を測定した。この際に積層体に1mAの電流を供給し、抵抗値を測定し、初期抵抗値の50%アップとなったときに断線したものとして停止した。
【0142】
〔難燃性:感光性樹脂組成物等〕
ポリイミドフィルム アピカル25NPI(カネカ製)に感光能の測定の項目と同様に作成した感光性ドライフィルムレジストを重ねあわせ110℃、20000Pa・mの条件でラミネートした。続いて400nmの光を300mJ/cm2だけ露光し、PETフィルムを剥離して180℃で2時間加熱し積層体を得た。
【0143】
この積層体についてUL94薄手材料垂直燃焼試験(VTM−0)にしたがって試験を行った。
【0144】
〔硬化温度の評価法〕
クロスカットピールの測定項と同様にして得た積層体を85℃85%RHの環境下に48時間保存する。(高湿度処理という)高湿度処理前後の積層体のクロスカットピール測定を行う。高湿度処理により剥がれが起これば、ポリイミド前駆体のイミド化が完了しておらず加水分解し、180℃の温度では完全に硬化不足と判断した。
【0145】
〔ポリイミド前駆体の合成〕
ポリイミドの原料としては、酸二無水物として、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、「BTDA」ともいう)、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(以下、「ODPA」ともいう)、ピロメリット酸二無水物、3,3,3’、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、「s−BPDA」ともいう)を、芳香族ジアミンとして、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノフェニルエーテルを用いた。溶媒として、N−メチルピロリドン(以下、「NMP」ともいう)、N,N’−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」ともいう)およびジオキソランを用いた。
【0146】
(実施例1)
<ポリイミド前駆体の合成>
攪拌機を設置した2000mlのセパラブルフラスコに、ODPA 31.02g(100mmol)、ジオキソラン102.7gをとり、信越化学製ポリシロキサンジアミンX−22−9409S 59.68g(40mmol:一般式(3)中R2=プロピレン基、mが約12、フェニル基の含有量25%、分子量1492)をジオキソラン59.68gに溶解して加え室温で1時間撹拌を行った。ついで、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン 17.54g(60mmol)を加え、3時間撹拌を続け、ポリイミド前駆体を得た。
【0147】
得られたポリイミド前駆体の分子量を測定したところ、重量平均分子量は80000、数平均分子量は32000、重量平均分子量/数平均分子量は、2.5であった。
【0148】
ポリイミド前駆体をポリイミド化したもののTgは90℃であった。
【0149】
<感光性樹脂組成物の調整>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物を調整し、固形分濃度が30重量%になるようにジオキソランを加えて感光性樹脂組成物溶液を調整した。
(A)上記で合成したポリイミド前駆体 60重量部(ポリイミド前駆体の固形分実質重量部)
(B)不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル化合物
ダイセル・サイテック製 EB150 10重量部
日立化成工業株式会社製 FA321M(ポリエチレングリコール変性ビスフェノールAジメタクリレート) 5重量部
東亞合成社製 M211B 10重量部
(C)光反応開始剤
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド 2重量部
(D)リン系難燃剤:大塚化学株式会社製 ホスファゼン化合物SPH−100 15重量部重量部
<イミド化後の感光性ドライフィルムレジストの評価>
クロスカットピールは100個すべてが残っており、合格であった。半田耐熱温度は、290℃であった。感光能は、100μmφの穴、100μm/100μmのライン/スペースが描けており、感光能は良好であった。耐マイグレーション性は、1000時間後も1010Ω以上の抵抗を示し、パターンにも変色・デンドライトは観測されず非常に良好であった。反りは0mmでまったく反りがなかった。摺動屈曲は、2000万回を観測し、非常に良好であった。難燃性(感光性樹脂組成物等)は、VTM−0相当であった。
【0150】
また硬化温度の測定法にしたがい、高湿度処理後のクロスカットピール測定したところ100個すべてが残っており、合格であった。よって180℃の硬化温度で完全に硬化していることが確認出来た。
【0151】
クロスカットピールの測定項では、180℃で2時間加熱し積層体を得ているが、この温度を160℃に下げて積層体を作成し、硬化温度の測定法にしたがい、高湿度処理後のクロスカットピール測定したところ100個すべてが残っており、合格であった。よって160℃という低温で完全に硬化(イミド化)していることが確認出来た。
【0152】
(実施例2)
<ポリイミド前駆体の合成>
攪拌機を設置した2000mlのセパラブルフラスコに、BTDA 32.22g(100mmol)、DMF 112.5gをとり、ポリシロキサンジアミン 80.88g(30mmol:一般式(3)中R2=プロピレン基、mが約20、フェニル基の含有量40%、分子量2696)をDMF80.88gに溶解して加え室温で2時間撹拌を続け、ついで2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン 15.83g(70mmol)を加え、3時間撹拌を続け、ポリイミド前駆体を得た。
【0153】
得られたポリイミド前駆体の分子量を測定したところ、重量平均分子量は60000、数平均分子量は25000、重量平均分子量/数平均分子量は、2.4であった。
【0154】
ポリイミド前駆体をポリイミド化したもののTgは100℃であった。
【0155】
<感光性樹脂組成物の調整>
ポリイミド前駆体を本実施例で合成したものに替えたほかは、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を調合した。
【0156】
<イミド化後の感光性ドライフィルムレジストの評価>
クロスカットピールは100個すべてが残っており、合格であった。半田耐熱温度は、280℃であった。感光能は、100μmφの穴、100μm/100μmのライン/スペースが描けており、感光能は良好であった。耐マイグレーション性は、1000時間後も1010Ω以上の抵抗を示し、パターンにも変色・デンドライトは観測されず非常に良好であった。反りは1mmで良好であった。摺動屈曲は、1000万回を観測し、非常に良好であった。難燃性(感光性樹脂組成物等)は、VTM−0相当であった。
【0157】
また硬化温度の測定法にしたがい、高湿度処理後のクロスカットピール測定したところ100個すべてが残っており、合格であった。よって180℃の硬化温度で完全に硬化していることが確認出来た。
【0158】
クロスカットピールの測定項では、180℃で2時間加熱し積層体を得ているが、この温度を160℃に下げて積層体を作成し、硬化温度の測定法にしたがい、高湿度処理後のクロスカットピール測定したところ100個すべてが残っており、合格であった。よって160℃という低温で完全に硬化(イミド化)していることが確認出来た。
【0159】
(実施例3)
<ポリイミド前駆体の合成>
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコに、3,3’,4,4’−ビフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物 35.82g(100mmol)、DMF83.0gをとり、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン 5.93g(40mmol)をDMF5.93gに溶解して加え室温で2時間撹拌を続け、ついで1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン17.54g(60mmol)を加え、3時間撹拌を続け、ポリイミド前駆体を得た。
【0160】
得られたポリイミド前駆体の分子量を測定したところ、重量平均分子量は85000、数平均分子量は30000、重量平均分子量/数平均分子量は、2.8であった。
【0161】
ポリイミド前駆体をポリイミド化したもののTgは、130℃であった。
【0162】
<感光性樹脂組成物の調整>
ポリイミド前駆体を本実施例で合成したものに替えたほかは、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を調合した。
【0163】
<イミド化後の感光性ドライフィルムレジストの評価>
クロスカットピールは100個すべてが残っており、合格であった。半田耐熱温度は、280℃であった。感光能は、100μmφの穴、100μm/100μmのライン/スペースが描けており、感光能は良好であった。耐マイグレーション性は、1000時間後も1010Ω以上の抵抗を示し、パターンにも変色・デンドライトは観測されず非常に良好であった。反りは1mmで良好であった。摺動屈曲は、1000万回を観測し、非常に良好であった。難燃性(感光性樹脂組成物等)は、VTM−0相当であった。
また硬化温度の測定法にしたがい、高湿度処理後のクロスカットピール測定したところ100個すべてが残っており、合格であった。よって180℃の硬化温度で完全に硬化していることが確認出来た。
【0164】
(実施例4)
<ポリイミド前駆体の合成>
攪拌機を設置した2000mlのセパラブルフラスコに、ODPA 31.02g(100mmol)、ジオキソラン81.7gをとり、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン 4.09g(40mmol)をジオキソラン4.09gに溶解して加え室温で1時間撹拌を行った。ついで、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル 22.11g(60mmol)を加え、3時間撹拌を続け、ポリイミド前駆体を得た。
【0165】
得られたポリイミド前駆体の分子量を測定したところ、重量平均分子量は85000、数平均分子量は30000、重量平均分子量/数平均分子量は、2.8であった。
【0166】
ポリイミド前駆体をポリイミド化したもののTgは140℃であった。
【0167】
<感光性樹脂組成物の調整>
ポリイミド前駆体を本実施例で合成したものに替えたほかは、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を調合した。
【0168】
<イミド化後の感光性ドライフィルムレジストの評価>
クロスカットピールは100個すべてが残っており、合格であった。半田耐熱温度は、280℃であった。感光能は、100μmφの穴、100μm/100μmのライン/スペースが描けており、感光能は良好であった。耐マイグレーション性は、1000時間後も1010Ω以上の抵抗を示し、パターンにも変色・デンドライトは観測されず非常に良好であった。反りは0mmで全く反りがなかった。摺動屈曲は、1800万回を観測し、非常に良好であった。難燃性(感光性樹脂組成物等)は、VTM−0相当であった。
また硬化温度の測定法にしたがい、高湿度処理後のクロスカットピール測定したところ100個すべてが残っており、合格であった。よって180℃の硬化温度で完全に硬化していることが確認出来た。
【0169】
(実施例5)
<感光性樹脂組成物の調整>
(D)成分であるリン系難燃剤を大八化学株式会社製CR−733 15重量部に替えたほかは、実施例1と同様にポリイミド前駆体を合成し、感光性樹脂組成物を調合した。
【0170】
<イミド化後の感光性ドライフィルムレジストの評価>
クロスカットピールは100個すべてが残っており、合格であった。半田耐熱温度は、280℃であった。感光能は、100μmφの穴、100μm/100μmのライン/スペースが描けており、感光能は良好であった。耐マイグレーション性は、1000時間後も1010Ω以上の抵抗を示し、パターンにも変色・デンドライトは観測されず非常に良好であった。反りは1mmで良好であった。摺動屈曲は、1000万回を観測し、非常に良好であった。難燃性(感光性樹脂組成物等)は、VTM−0相当であった。
【0171】
また硬化温度の測定法にしたがい、高湿度処理後のクロスカットピール測定したところ100個すべてが残っており、合格であった。よって180℃の硬化温度で完全に硬化していることが確認出来た。
【0172】
クロスカットピールの測定項では、180℃で2時間加熱し積層体を得ているが、この温度を160℃に下げて積層体を作成し、硬化温度の測定法にしたがい、高湿度処理後のクロスカットピール測定したところ100個すべてが残っており、合格であった。よって160℃という低温で完全に硬化(イミド化)していることが確認出来た。
【0173】
(比較例1)
<ポリイミド前駆体の合成>
3Lセパラブルフラスコに攪拌機、還流冷却器、滴下ロート及び窒素導入菅を設置し、窒素雰囲気下、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン 14.62g(50mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 10.0g(50mmol)、NMP(和光純薬工業社製)83.5gをフラスコ内に投入し、次いでODPA31.02g(100mmol)を添加した。添加後20時間窒素雰囲気下で攪拌を継続し、ポリイミド前駆体溶液を得た。
【0174】
得られたポリイミド前駆体の分子量を測定したところ、重量平均分子量は100000、数平均分子量は37000、重量平均分子量/数平均分子量は、2.7であった。
【0175】
ポリイミド前駆体をポリイミド化したもののTgは240℃であった。
【0176】
<感光性樹脂組成物の調整>
ポリイミド前駆体を本実施例で合成したものに替えたほかは、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を調合した。
【0177】
<イミド化後の感光性ドライフィルムレジストの評価>
クロスカットピールは100個すべてが残っており、合格であった。半田耐熱温度は、250℃であった。感光能は、500μmφの穴、500μm/500μmのライン/スペースがなんとか描けておるが、形状はきたなく感光能は良好とはいえなかった。耐マイグレーション性は、約200時間後に短絡し、パターンに変色・デンドライトは観測された。反りは8mmで大きかった。摺動屈曲は、80万回で断線しよくなかった。難燃性(感光性樹脂組成物等)は、VTM−0相当であった。
【0178】
また硬化温度の測定法にしたがい、高湿度処理後のクロスカットピール測定したところ半分以上が剥がれ不合格であった。よって180℃の硬化温度で完全に硬化していないことが確認出来た。
(比較例2)
<ポリイミド前駆体の合成>
3Lセパラブルフラスコに攪拌機、還流冷却器、滴下ロート及び窒素導入菅を設置し、窒素雰囲気下、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル 36.84g(100mmol)、NMP(和光純薬工業社製)99.4gをフラスコ内に投入し、次いでs−BPDA 29.42g(100mmol)を添加した。添加後20時間窒素雰囲気下で攪拌を継続し、ポリイミド前駆体溶液を得た。
【0179】
得られたポリイミド前駆体の分子量を測定したところ、重量平均分子量は90000、数平均分子量は32000、重量平均分子量/数平均分子量は、2.8であった。
【0180】
ポリイミド前駆体をポリイミド化したもののTgは230℃であった。
【0181】
<感光性樹脂組成物の調整>
ポリイミド前駆体を本実施例で合成したものに替えたほかは、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を調合した。
【0182】
<イミド化後の感光性ドライフィルムレジストの評価>
クロスカットピールは100個すべてが残っており、合格であった。半田耐熱温度は、260℃であった。感光能は、500μmφの穴、500μm/500μmのライン/スペースがなんとか描けておるが、形状はきたなく感光能は良好とはいえなかった。耐マイグレーション性は、約200時間後に短絡し、パターンに変色・デンドライトは観測された。反りは25mmで大きかった。摺動屈曲は、60万回で断線しよくなかった。難燃性(感光性樹脂組成物等)は、VTM−0相当であった。
【0183】
また硬化温度の測定法にしたがい、高湿度処理後のクロスカットピール測定したところ半分以上が剥がれ不合格であった。よって180℃の硬化温度で完全に硬化していないことが確認出来た。
【0184】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0185】
以上のように、本発明にかかる感光性樹脂組成物は、特定構造のポリイミド前駆体と、炭素−炭素2重結合を有する(メタ)アクリル化合物とを構成成分として含有しているおり180℃以下の温度で硬化することを特徴とする感光性樹脂組成物である。そのため従来のものと比べて、低温で硬化できる。また、反りが小さく可撓性・屈曲性・電気信頼性・感光性に優れ、難燃性を有する。それゆえ、本発明にかかる感光性樹脂組成物は、感光性ドライフィルムレジストをはじめとして、感光性ポリイミドを含むフィルムや積層体に代表される各種樹脂成形品を製造する分野に利用することができる。さらには、このようなフィルムや積層体を用いた電子部品の製造に関わる分野にも広く応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】実施例の耐マイグレーション性を評価する方法において、フレキシブル銅貼積層板上に形成させる櫛型パターン(ライン/スペース=25μm/25μm)を示す模式図である。
【図2】本実施例の摺動屈曲を評価する方法において、フレキシブル銅貼積層板上に形成させる摺動屈曲パターン(ライン/スペース=250μm/250μm)を示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
(A)ポリイミド前駆体
(B)炭素−炭素二重結合を有する(メタ)アクリレート化合物
(C)光反応開始剤
を含有し、180℃以下の温度で硬化することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
少なくとも
(A)ポリイミド前駆体
(B)炭素−炭素二重結合を有する(メタ)アクリレート化合物
(C)光反応開始剤
を含有し、160℃以下の温度で硬化することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項3】
ポリイミド前駆体が、パラ結合を含む芳香族ジアミンを全ジアミン中10mol%以上含まず、ポリイミド化した後のTgが200℃以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
(A)〜(C)成分に加え、(D)成分として難燃剤を含有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
ポリイミド前駆体が、以下の一般式(1)
【化1】

(式中、R1は4価の有機基を示し、R2はメタ位で直接結合している芳香族化合物を示す。)で表される構成単位と一般式(2)
【化2】

(式中、R1は4価の有機基を示し、R3は一般式(3)か一般式(4)を示し、ただし、一般式(3)のR4は、−(CH2n−であり、R5はメチル基かフェニル基であり、R5中のフェニル基の含有率が15〜40%でありmは4〜20の数で、nは2〜5の整数である。また、一般式(4)中R6はH,メチル基,エチル基,ブチル基を、rは1〜20の整数を、sは0〜10の整数を示す。)で表される構成単位を含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【化3】

【化4】

【請求項6】
前記一般式(1)中R2のメタ位で直接結合している芳香族化合物が、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノフェニルエーテル、3,3’−ジアミノフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノベンズアニリド、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−ビフェニル、ン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物のアミノ基を除いた構造であることを特徴とする請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物から得られることを特徴とする感光性ドライフィルムレジスト。
【請求項8】
請求項7に記載の感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護層として形成してなることを特徴とするプリント配線板。
【請求項9】
請求項7に記載の感光性ドライフィルムレジストを180℃以下の温度で硬化させ絶縁保護層として形成してなることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
請求項7に記載の感光性ドライフィルムレジストを160℃以下の温度で硬化させ絶縁保護層として形成してなることを特徴とするプリント配線板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−233319(P2007−233319A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104986(P2006−104986)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】