説明

感光性樹脂組成物及び感光性エレメント

【課題】十分な現像性を得ることができると共に、厚膜で解像度よく像形成を行うことが可能な感光性樹脂組成物及び感光性エレメントを提供する。
【解決手段】(A)下記一般式(1)〜(3)で表される構成単位を有するポリアミック酸と、(B)光重合性化合物と、(C)光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物。


ここで、Arはテトラカルボン酸二無水物残基、Ar及びArはそれぞれ独立にジアミン残基、Rはエチレン性不飽和基を示し、Ar及びArの少なくとも一方は主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及び感光性エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜には、優れた耐熱性を有し、かつ、電気特性及び機械的特性等にも優れるポリイミド樹脂やポリベンズオキサゾール樹脂が用いられている。
【0003】
また、近年、電子機器の高性能化、高密度化に伴い微細化が進行し、電子部品、配線基板に用いられている耐熱性絶縁樹脂には、微細加工化が容易でかつ安価なフォトリソ法を用いてパターン形成可能な感光性の付与が要求されている。そのような材料としては、例えば、配線基板用途で用いられている感光性ソルダーレジストや、フォトビア法に用いる感光性ビルドアップ材がある。感光性樹脂組成物は、作業環境保全、地球環境保全の点から、炭酸ナトリウム水溶液等の希アルカリ水溶液で現像可能なアルカリ現像型のものが主流になってきている。このような感光性樹脂組成物としては、例えば、特許文献1及び2に記載の感光性樹脂組成物が知られている。
【0004】
一方、近年開発されている新規パッケージ用途では、配線遅延の解決のために層間絶縁膜の低誘電率化かつ厚膜化が必要とされ、厚膜形成可能なポリイミド系感光性樹脂材料の開発が望まれている。しかしながら、非感光性ポリアミック酸と光重合性化合物とを含有する従来の感光性樹脂組成物の場合、パターン形成後にパターン端部から非感光性ポリアミック酸が染み出し、それに伴う解像性の低下が生じることが問題となっている。
【0005】
このような問題を防ぐために、ポリアミック酸へエチレン性不飽和基を導入し、光重合性化合物とポリアミック酸との間で三次元架橋させる手法が提案されている。例えば、特許文献3及び4では、ポリアミック酸のカルボキシル基に(メタ)アクリロイル基を結合させた感光性樹脂組成物が開示されている。また、特許文献5では、ポリアミック酸のカルボキシル基又はその塩にエチレン性不飽和基をイオン結合させた感光性樹脂組成物が開示されている。さらに、特許文献6では、感光性基を有するジアミン成分を用いた感光性ポリアミック酸が開示されている。
【特許文献1】特開昭61−243869号公報
【特許文献2】特開平1−141904号公報
【特許文献3】特開2007−286154号公報
【特許文献4】特開2006−309202号公報
【特許文献5】特開2007−249013号公報
【特許文献6】特許第3941557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3及び4に記載の感光性ポリアミック酸は、パターニング性は良好であるものの、それから得られるポリイミド膜は応力が大きいために、パターン形成された基板に反りの発生や、多層に形成した場合に各層間の剥がれが発生することがあり、厚膜での使用が難しい。また、特許文献3及び4では、ポリアミック酸のカルボキシル基に感光性基を導入しているため、イミド化が不十分となり、吸水率の上昇や耐溶剤性の低下が生じる傾向がある。
【0007】
一方、特許文献5に記載の感光性ポリアミック酸は、それから得られるポリイミド膜の応力は低減されるものの、銅等の金属上にパターニングしようとした場合、ポリアミック酸と金属とが錯体を形成してしまい、現像性が低下する傾向がある。また、特許文献5では、イオン結合型で感光性基を導入しているため、ポリアミック酸と水との親和性が高く、現像時に膜が膨潤して、染み出しが生じることがある。さらに、特許文献6に記載の感光性ポリアミック酸では、イミド化は十分に進行するものの、光透過性が低いため、厚膜での解像性及び現像性が低下する傾向がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、十分な現像性を得ることができると共に、厚膜で解像度よく像形成を行うことが可能な感光性樹脂組成物及び感光性エレメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は(A)下記一般式(1)、(2)及び(3)でそれぞれ表される構成単位を有するポリアミック酸と、(B)光重合性化合物と、(C)光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0010】
【化1】


【化2】


【化3】


ここで、式(1)、(2)及び(3)中、Arはテトラカルボン酸二無水物残基を示し、Ar及びArはそれぞれ独立にジアミン残基を示し、Rはエチレン性不飽和基を示し、Ar及びArの少なくとも一方は主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有する。
【0011】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)ポリアミック酸が側鎖にエチレン性不飽和基を有することにより、露光後に(B)光重合性化合物と三次元架橋して、(A)ポリアミック酸の染み出しを十分に抑制でき、残膜率を高くすることができる。また、ポリアミック酸の主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有することにより、解像度を向上でき、更に、イミド化が進行し易くなり、吸水率を低減するができる。すなわち、上記構成を備える本発明の感光性樹脂組成物は、十分な現像性を得ることができると共に、厚膜で解像度よく像形成を行うことができ、シリコン基板等の基板上への厚膜形成が可能となる。また、上記感光性樹脂組成物によれば、ポリイミド樹脂前駆体を含むため、優れた耐熱性を有し、且つ、電気特性及び機械特性等にも優れた硬化体を形成することができる。したがって、本発明の感光性樹脂組成物は、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜を形成する上で非常に有用である。
【0012】
現像性及び解像性をより一層向上する観点から、上記一般式(1)において、Arが下記一般式(4)で表される4価の基であることが好ましい。
【0013】
【化4】


ここで、式(4)中、Xは炭素数5〜20のアルキレン基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1〜3の整数を示し、mが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、nが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
【0014】
上記一般式(2)において、Arが下記一般式(5)で表される2価の基であると、比較的低温でのイミド化が進行し易くなり、また、可とう性に優れるため、反りを低減することができる。
【0015】
【化5】


ここで、式(5)中、Zは単結合又は2価の有機基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に炭素数5〜20のアルキレン基を示す。
【0016】
上記一般式(5)において、Zが、下記一般式(6)、(7)及び(8)でそれぞれ表される2価の基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることが好ましい。これにより、現像性及び解像性に優れるのみでなく、パターン形成後の硬化温度を低下することができる。
【0017】
【化6】


ここで、式(6)、(7)及び(8)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、q、r及びpは、それぞれ独立に1〜4の整数を示し、qが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、rが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、pが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
【0018】
本発明は、また、支持体と、該支持体上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる層(以下、「感光層」という)とを備える感光性エレメントを提供する。これにより、非感光性樹脂組成物を塗布して非感光層を形成した後、非感光層の上に感光性樹脂組成物を塗布して感光層を形成し露光、現像してパターン形成を行うといった煩雑な工程を経る必要がなくなり、プロセスを短縮することができる。また、感光層がフィルム状であるため、取り扱いが容易となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、十分な現像性を得ることができると共に、厚膜で解像度よく像形成を行うことが可能な感光性樹脂組成物及び感光性エレメントを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0021】
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)ポリアミック酸(以下、場合により「(A)成分」という)と、(B)光重合性化合物(以下、場合により「(B)成分」という)と、(C)光重合開始剤(以下、場合により「(C)成分」という)とを含むものである。以下、各成分について詳細に説明する。
【0022】
<(A)成分>
本発明におけるポリアミック酸は、上記一般式(1)、(2)及び(3)(以下、「一般式(1)〜(3)」と表記する)で表される構成単位を有するものである。また、(A)成分は、上記一般式(1)〜(3)で表される構成単位のみからなるものであってもよく、上記一般式(1)〜(3)以外の構成単位を更に有するものであってもよい。さらに、(A)成分としては、上記一般式(1)〜(3)で表される構成単位を有するポリアミック酸を単独で用いてもよく、他のポリアミック酸と併用してもよい。
【0023】
これらの(A)ポリアミック酸は、例えば、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0024】
ここで、テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分の少なくとも一方は主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を含有するものである。これにより、十分な現像性を得ることができると共に、厚膜で解像度よく像形成を行うことが可能な感光性樹脂組成物を提供できる。また、主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を含有することで、感光性樹脂組成物の低温硬化性、可撓性、低吸水率及び低反り性を達成することもできる。なお、本明細書において、厚膜であるとは、感光性樹脂組成物から形成される塗膜の厚みが20μm以上となる場合をいう。
【0025】
また、テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分の少なくとも一方が主鎖に芳香族基を有すると、耐熱性を向上できる。
【0026】
さらに、ポリアミック酸は、ポリアルキレンオキシ基等のエーテル結合を含まないことが好ましい。エーテル結合は、高温で結合が壊れやすいため、耐熱性が低下することがある。また、エーテル結合を有すると、吸水性が増し、絶縁特性に影響を及ぼすこともある。
【0027】
(テトラカルボン酸二無水物成分)
テトラカルボン酸二無水物成分は、上記一般式(1)で表される構成単位を有するものである。一般式(1)において、テトラカルボン酸二無水物残基であるArは、主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有することが好ましく、上記一般式(4)で表される4価の有機基であることがより好ましい。このようなテトラカルボン酸二無水物成分としては、例えば、下記一般式(9)で表される化合物が挙げられる。
【0028】
【化7】


ここで、式(9)中、Xは炭素数5〜20アルキレン基を示す。
【0029】
一般式(9)で表される化合物としては、例えば、ペンタメチレンビストリメリテート二無水物、ヘキサメチレンビストリメリテート二無水物、ヘプタメチレンビストリメリテート二無水物、オクタメチレンビストリメリテート二無水物、ノナメチレンビストリメリテート二無水物、デカメチレンビストリメリテート二無水物、ドデカメチレンビストリメリテート二無水物が挙げられる。この中でも、デカメチレンビストリメリテート二無水物は、得られる膜が低吸水率、低弾性となるため好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
また、(A)ポリアミック酸を合成するにあたり、上記主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有するテトラカルボン酸二無水物成分以外のテトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。このようなテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物,3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物(4,4’−オキシジフタル酸二無水物)、2,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ノナン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]デカン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]トリデカン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]テトラデカン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ペンタデカン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]−2−メチルデカン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]−2−メチルオクタン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]−2−エチルペンタデカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ドデカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]デカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]トリデカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジエチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ペンタデカン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]シクロヘキサン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]プロピルシクロヘキサン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ヘプチルシクロヘキサン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、4,4−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物が挙げられる。これらは1種を単独又は2種以上を併用して使用される。
【0031】
(ジアミン成分)
ジアミン成分は、上記一般式(2)又は(3)で表される構成単位を有するものである。一般式(2)において、ジアミン残基であるArは、主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有することが好ましく、上記一般式(5)で表される2価の有機基であることがより好ましい。また、一般式(5)において、Zが2価の有機基である場合、上記一般式(6)、(7)及び(8)でそれぞれ表される2価の有機基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることが好ましい。
【0032】
主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有するジアミン成分としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,12−ドデカンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン並びに下記一般式(10)、(11)及び(12)で表される化合物が挙げられる。
【0033】
【化8】


ここで、式(10)中、Y及びYは、それぞれ独立に炭素数5〜20のアルキレン基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、qは1〜4の整数を示す。なお、qが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
【0034】
【化9】


ここで、式(11)中、Y及びYは、それぞれ独立に炭素数5〜20のアルキレン基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、rは1〜4の整数を示す。なお、rが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
【0035】
【化10】


ここで、式(12)中、Y及びYは、それぞれ独立に炭素数5〜20のアルキレン基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、sは1〜4の整数を示す。なお、sが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
【0036】
一般式(11)及び/又は(12)で表される化合物を含有するジアミン成分としては、[3,4−ビス(1−アミノヘプチル)−6−ヘキシル−5−(1−オクテニル)]シクロヘキセン(コグニスジャパン社製、商品名:バーサミン551)が市販品として入手可能である。
【0037】
また、上記一般式(2)で表される構成単位を有するジアミン成分として、主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有するジアミン成分以外のジアミン成分を併用することができる。このようなジアミン成分としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−チレンビス(シクロヘキシルアミン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(3−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2’−ジアミノジエチルスルフィド、2,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、o−トルイジンスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ジアミノジベンジルスルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス(4−アミノフェニル)エチルホスフィンオキシド、ビス(4−アミノフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、ビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、1,2−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,5−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,3−ジアミノ−2−フェニルナフタレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1−メトキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、1,4−ビス(2−メトキシ−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、o−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)デカフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタ−1−エン−3−イン、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ヒドラジド等の脂肪族ジカルボン酸ジヒドラジドが挙げられる。また、上記ジアミン成分の一部に、例えば、ジメチルシロキサン系ジアミン(例えば、信越化学(株)製、商品名:「LP−7100」)等のケイ素含有ジアミンを使用することもできる。中でも、アルカリ可溶性が向上し、現像性が向上することから、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを用いることが好ましい。また、解像度をより向上できることから、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ヒドラジド等の脂肪族ジカルボン酸ジヒドラジドを用いることも好ましい。これらのジアミン成分は、1種を単独で又は2種以上併用して使用してもよい。
【0038】
(A)ポリアミック酸において、一般式(2)で表される構成単位を有するジアミン成分の含有量は、ジアミン成分全量に対して、50〜99mol%であることが好ましく、60〜98mol%であることがより好ましく、70〜97mol%であることがさらに好ましい。一般式(2)で表される構成単位を有するジアミン成分の含有量が上記範囲外にある場合と比較して、現像性及び解像性が向上する傾向にある。
【0039】
また、上記一般式(3)において、ジアミン残基であるArとしては、アリーレン基が好ましく、アリーレン基として、例えば、フェニレン基を挙げられる。また、Arに結合し、エチレン性不飽和基として示されるRとしては、例えば、アリルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシル基、マレイミジルアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキルアミノ基、マレイミジルアルキルアミノ基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、エチニル基が挙げられる。Rとして、具体的には、下記一般式(I)〜(IV)で表される基が好ましい。
【0040】
【化11】


ここで、R10は2価の有機基を示し、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、ビニル基又はプロペニル基を示す。R10としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
【0041】
上記一般式(3)で表される構成単位を有するジアミン成分としては、例えば、下記式(21)、(22)、(23)、(24)、(25)及び(26)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化12】

【0043】
この中でも式(22)で表されるメタクリロイルエチル−3,5−ジアミノベンゾエートを用いると、現像中の染み出し、膜減りが低減できて好ましい。市販で入手可能なものとしては、「BEM−S」(商品名、川研ファインケミカル社製、メタクリロイルエチル−3,5−ジアミノベンゾエート)がある。また、これらのジアミン化合物は、1種を単独で又は2種以上併用してもよい。
【0044】
(A)ポリアミック酸において、一般式(3)で表される構成単位を有するジアミン成分の含有量は、ジアミン成分全量に対して、1〜50mol%であることが好ましく、2〜40mol%であることがより好ましく、3〜30mol%であることがさらに好ましい。一般式(3)で表される構成単位を有するジアミン成分の含有量が上記範囲外にある場合と比較して、硬化後の膜の伸びが低下したり、弾性率が上昇する傾向にある。
【0045】
(A)ポリアミック酸は、上述したエチレン性不飽和基を有するジアミン成分を用いることにより、一般式(3)で表される構成単位を導入することができる。また、エチレン性不飽和基を有するジアミン成分を用いずにポリアミック酸を合成した後、エチレン性不飽和基を導入することもできる。しかしながら、後者の方法では、ポリアミック酸のカルボキシル基にエチレン性不飽和基が結合される可能性もあり、硬化時のイミド化を妨げ、吸水率の上昇につながる可能性がある。このため、エチレン性不飽和基を有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させることで、より簡便にエチレン性不飽和基を側鎖に有するポリアミック酸を得ることが好ましい。そして、(A)ポリアミック酸は、一般式(3)で表される構成単位を有することにより、露光及び露光後加熱(PEB)時に、(A)ポリアミック酸と(B)光重合性化合物との間で共有結合が形成され、3次元架橋が生じる。そのため、現像時の膨潤や染み出しが十分に抑制される。
【0046】
(ポリアミック酸の合成方法)
(A)ポリアミック酸は、上記ジアミン成分と上記テトラカルボン酸二無水物成分とから公知の方法によって合成される。すなわち、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを選択的に組み合わせ、有機溶媒中で重合反応させることにより合成される。具体的には、(A)ポリアミック酸は、ほぼ当モルのテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中で160℃以下、好ましくは60℃以下の反応温度下で1〜12時間付加重合反応させて得ることができる。
【0047】
上記溶媒としては、例えば、含窒素系溶剤類(N,N’−ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチレンホスホアミド、N−メチルピロリドン等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等)、脂環式ケトン類(シクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルアセテート等)が挙げられる。これらの中でも、溶解性及び吸水性の観点から、ラクトン類、脂環式ケトン類、エーテル類が好ましく、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0048】
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との組合せは、最終硬化後のポリイミド樹脂膜の耐熱性、機械的特性、電気的特性を考慮して、上述した成分の中から選択することが好ましい。
【0049】
また、(A)ポリアミック酸の接着性、現像性を向上させるために、(A)ポリアミック酸にアミノベンズイミダゾール又はその誘導体を導入することが好ましい。アミノベンズイミダゾール及びその誘導体としては、例えば、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−6−メチル−ベンズイミダゾール、2−アミノ−6−エチル−ベンズイミダゾール、2−アミノ−6−ブチル−ベンズイミダゾール、2−アミノ−6−ニトロ−ベンズイミダゾールが挙げられる。これらの中でも、接着性の観点から、2−アミノ−ベンズイミダゾールが好ましい。
【0050】
アミノベンズイミダゾール又はその誘導体を導入する際の導入量は、(A)ポリアミック酸100モルに対して0.1〜10モルであることが好ましく、1〜5モルであることがより好ましく、2〜3モルであることが特に好ましい。アミノベンズイミダゾール又はその誘導体の導入量が0.1モル未満では接着性の向上効果が不十分となる傾向があり、10モルを超えると現像性及び保存安定性が低下する傾向がある。
【0051】
(A)成分であるポリアミック酸の重量平均分子量は、10000〜60000であることが好ましく、20000〜50000であることがより好ましい。重量平均分子量が10000未満では硬化膜が脆くなる傾向があり、60000を超えると現像性が低下する傾向がある。
【0052】
感光性樹脂組成物において、(A)ポリアミック酸の含有量は(A)成分及び(B)成分の合計100質量部を基準として、20〜80質量部であることが好ましく、30〜70質量部であることがより好ましく、35〜65質量部であることがさらに好ましい。この含有量が20質量部未満では、現像性が低下する傾向にあり、80質量部を超えると、解像度が低下したり、低温でのイミド化率が低下したりする傾向がある。
【0053】
<(B)成分>
次に(B)成分について説明する。
【0054】
(B)成分としては、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物であれば特に制限はなく、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合及びエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、フタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。なお、(B)光重合性化合物は、常法によって合成してもよく、市販のものを入手してもよい。
【0055】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。ここで、「EO」とはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有するものを示す。また、「PO」とはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものを示す。
【0056】
ネオペンチルグリコールジアクリレートは、A−NPG(商品名、新中村化学工業(株)社製、)として商業的に入手可能であり、ノナンジオールジアクリレートは、FA−129(商品名、日立化成工業(株)製、)として商業的に入手可能である。
【0057】
上記ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を任意に組み合わせて使用される。
【0058】
このうち、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(商品名、新中村化学工業株式会社製)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(商品名、新中村化学工業株式会社製)として商業的に入手可能である。
【0059】
上記分子内にウレタン結合及びエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物は、例えば、ジヒドロキシル基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応に由来するウレタン結合を有し且つ複数の末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物と、ヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基を有する化合物とを縮合反応させることで得ることができる。
【0060】
入手可能な分子内にウレタン結合及びエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、例えば、TMCH−5(商品名、日立化成工業株式会社製)、ヒタロイド9082(商品名、日立化成工業株式会社製)、UA−11、UA−21(商品名、新中村化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0061】
上記グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、下記一般式(13)で表されるノボラック型エポキシ樹脂、下記一般式(14)で表されるビスフェノール型A型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂及び下記一般式(15)で表されるサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類のエポキシ樹脂と、ビニル基含有モノカルボン酸とを反応させて得られる樹脂を含むことが好ましい。
【0062】
【化13】


ここで、R20は水素原子又はメチル基を示し、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n1は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR20及びYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0063】
【化14】


ここで、R21は水素原子又はメチル基を示し、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n2は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR21及びYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0064】
【化15】


ここで、式中、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n3は1以上の整数を示す。なお、複数存在するYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0065】
上記一般式(13)で表されるノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのノボラック型エポキシ樹脂は、それぞれ公知の方法でフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることで得られる。
【0066】
また、上記一般式(14)で示される化合物において、Yがグリシジル基であるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂は、例えば、下記一般式(16)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂の水酸基と、エピクロルヒドリンとを反応させることにより得ることができる。
【0067】
【化16】


ここで、R21は水素原子又はメチル基を示し、n2は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR21はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0068】
水酸基とエピクロルヒドリンとの反応を促進するためには、反応温度50〜120℃でアルカリ金属水酸化物存在下、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶剤中で反応を行うことが好ましい。反応温度が50℃未満では反応が遅くなり、反応温度が120℃を超えると副反応が多く生じてしまい好ましくない。
【0069】
上記一般式(15)で表されるサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂としては、具体的にはFAE−2500、EPPN−501H、EPPN−502H(以上、日本化薬社製、商品名)が挙げられる。
【0070】
上記ビニル基含有モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸が挙げられる。また、水酸基含有アクリレートと飽和若しくは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物、ビニル基含有モノグリシジルエーテル若しくはビニル基含有モノグリシジルエステルと飽和若しくは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物が挙げられる。これら半エステル化合物は、水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル若しくはビニル基含有モノグリシジルエステルと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物とを等モル比で反応させることで得られる。これらビニル基含有モノカルボン酸は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
上記半エステル化合物の合成に用いられる水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル、ビニル基含有モノグリシジルエステルとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスルトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが挙げられる。
【0072】
上記半エステル化合物の合成に用いられる飽和若しくは不飽和二塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸が挙げられる。
【0073】
上記エポキシ樹脂とビニル基含有モノカルボン酸との反応において、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、ビニル基含有モノカルボン酸が0.8〜1.05当量となる比率で反応させることが好ましく、更に好ましくは0.9〜1.0当量である。
【0074】
エポキシ樹脂とビニル基含有モノカルボン酸とは、有機溶剤に溶かして反応することができる。有機溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤が挙げられる。
【0075】
また、反応を促進させるために触媒を用いるのが好ましい。用いられる触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルホスフィンが挙げられる。触媒の使用量は、エポキシ樹脂とビニル基含有モノカルボン酸の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部である。
【0076】
また、反応中の重合を防止する目的で、重合防止剤を使用するのが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロールが挙げられ、その使用量は、エポキシ樹脂とビニル基含有モノカルボン酸の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部である。反応温度は、好ましくは60〜150℃、更に好ましくは80〜120℃である。
【0077】
必要に応じてビニル基含有モノカルボン酸と、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物とを併用することができる。
【0078】
一般式(13)〜(15)で表されるエポキシ樹脂と、ビニル基含有モノカルボン酸とを反応させて得られる樹脂であるビニル基含有エポキシ樹脂は、現像液への溶解性を向上させるために、飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂を用いてもよい。
【0079】
飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸が挙げられる。
【0080】
飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物と、ビニル基含有エポキシ樹脂との反応において、水酸基1当量に対して、飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物を0〜1.0当量反応させることで、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂を得ることができる。
【0081】
酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A)の酸価は1〜150mgKOH/gであることが好ましく、5〜100mgKOH/gであることがより好ましく、10〜70mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が150mgKOH/gを超えると、現像時に膜が膨潤する又は膜の吸水率が増加する傾向があり、1mgKOH/g未満では、パターンの裾に溶け残りが生じやすくなる。
【0082】
入手可能な酸変性されたビニル基含有エポキシ樹脂を有する光重合性化合物としては、例えば、ヒタロイド7661(日立化成工業社製、商品名)、KAYARAD CCR−1159(日本化薬社製、商品名)、KAYARAD TCR−1310(日本化薬社製、商品名)が挙げられる。
【0083】
これらの中でも、(B)成分としては、(A)ポリアミック酸との相溶性、現像液への溶解性、及び硬化膜の耐熱性の観点から、ビニル基を含有する酸変性ノボラック樹脂であるヒタロイド7661が好ましい。これらは1種単独で用いても2種以上併用して用いても良い。
【0084】
感光性樹脂組成物において、(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部を基準として、20〜80質量部であることが好ましく、30〜70質量部であることがより好ましく、35〜65質量部であることがさらに好ましい。この含有量が20質量部未満では、解像度が低下したり、低温でのイミド化率が低下したりする傾向にあり、含有量が80質量部を超えると、含有量が上記範囲内にある場合と比較して、現像性が低下する傾向にある。
【0085】
<(C)成分>
(C)成分である光重合開始剤は、活性光により遊離ラジカルを生成するものであれば特に制限はなく、例えば、芳香族ケトン、キノン類、ベンゾインエーテル化合物、ベンジル誘導体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、アクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、オキシムエステル誘導体、クマリン系化合物が挙げられる。
【0086】
芳香族ケトンとしては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(すなわちミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オンが挙げられる。
【0087】
キノン類としては、例えば、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノンが挙げられる。
【0088】
ベンゾインエーテル化合物としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルが挙げられる。市販で入手可能なものとしては、イルガキュア−369、イルガキュア−907(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名)が挙げられる。
【0089】
ベンジル誘導体としては、例えば、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタールが挙げられる。市販で入手可能なものとしては、ベンジルジメチルケタールであるイルガキュア−651(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名)が挙げられる。
【0090】
2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、例えば、2−(2−クロロフェニル)−1−〔2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニル−1,3−ジアゾール−2−イル〕−4,5−ジフェニルイミダゾール等の2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
【0091】
アクリジン誘導体としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンが挙げられる。
【0092】
ホスフィン誘導体としては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドが挙げられる。市販で入手可能なものとしては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドであるダロキュア−TPO(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名)が挙げられる。
【0093】
オキシムエステル誘導体としては、例えば、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)−1,2−オクタンジオンが挙げられる。
【0094】
(C)光重合開始剤は、常法によって合成してもよく、市販のものを入手してもよい。市販で入手可能な(C)光重合開始剤としては、例えば、ダロキュア−TPO、イルガキュア−369、イルガキュア−907、イルガキュア−651、イルガキュア−819、イルガキュア−OXE−01(以上、いずれもチバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名)が挙げられる。
【0095】
上述した(C)光重合開始剤の中でも、特にイルガキュア−651及びイルガキュア−OXE−01が、感度及び溶剤との相溶性を良好にできる観点から好ましい。上記(C)光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0096】
本発明の感光性樹脂組成物において、(C)光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、1〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましく、2.5〜8質量%であることが特に好ましい。(C)光重合開始剤の含有量が上記範囲を外れると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、感光性樹脂組成物の感度が低下したり、相溶性が低下したりする傾向にある。
【0097】
<その他の成分>
((D)架橋剤)
また、本発明の感光性樹脂組成物には、更に(D)架橋剤を加えてもよい。(D)架橋剤としては、特に制限されないが、エポキシ化合物、ブロック化イソシアネート化合物等が挙げられる。エポキシ化合物として具体的には、YH−434L(アミン型エポキシ樹脂、東都化成社製、商品名)が好ましい。また、ブロック化イソシアネート化合物として具体的には、BL−3175(ブロック化イソシアネート、住化バイエルウレタン社製、商品名)が好ましい。これらの架橋剤を添加すると、硬化後の感光性樹脂組成物の基板への密着性をより向上させることができる。
【0098】
感光性樹脂組成物に(D)架橋剤を含有させる場合、その含有量は、(A)ポリアミック酸100質量部に対して、10〜60質量部であることが好ましく、30〜40質量部であることがより好ましい。(D)架橋剤の含有量が上記範囲を外れると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、キュア後の硬化膜が脆くなったり、(A)ポリアミック酸と(D)架橋剤との相溶性が低下したりする傾向がある。
【0099】
((E)増感剤)
また、本発明の感光性樹脂組成物には、更に(E)増感剤を加えることができる。(E)増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3’−カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)等が挙げられる。(E)増感剤としては、感光性樹脂組成物の感度、及び、溶剤との相溶性等の観点から、クマリン類が好ましく、クマリン102(アクロス社製、商品名)が特に好ましい。(E)増感剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用される。
【0100】
感光性樹脂組成物における(E)増感剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として0.1〜1質量%であることが好ましい。(E)増感色素の含有量が上記範囲を外れると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、感光性樹脂組成物の感度が低下したり、溶剤との相溶性が低下したりする傾向がある。
【0101】
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した(A)ポリアミック酸、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤と、必要に応じて用いられる(D)架橋剤及び/又は(E)増感剤とを、溶媒とともに混合することにより得ることができる。
【0102】
(溶媒)
このときに用いられる溶媒としては特に制限されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンが挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
【0103】
(接着助剤)
感光性樹脂組成物には、必要に応じて、感光性樹脂組成物と基板との接着性を向上させるために、接着助剤を添加してもよい。接着助剤としては、例えば、γ−グリシドキシシラン、アミノシラン、γ−ウレイドシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。一般的に入手可能な接着助剤としては、KBM−503(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製、商品名)、AY−43031(γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、東レダウ社製、商品名)が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を併用しても良い。
【0104】
以上のようにして得られる本発明の感光性樹脂組成物は、十分な現像性を得ることができると共に、厚膜で解像度よく像形成を行うことが可能であり、形成される硬化体は、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜として用いることができる。
【0105】
[パターン形成方法]
本発明の感光性樹脂組成物を用いて硬化体(硬化膜)を形成する方法について説明する。
【0106】
まず、上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布する。基板としては、シリコン、アルミナセラミック、ガラス、ガラスセラミック、窒化アルミ、半導体を形成した基板等が用いられる。塗布方法としては、例えば、スピンナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、浸漬、ロールコーティングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
塗布膜厚は、塗布手段、感光性樹脂組成物の固形分濃度及び粘度等によって異なる。層間絶縁膜用途としては、乾燥後の被膜(感光性樹脂組成物層)の膜厚が1〜300μmであることが好ましく、15〜150μmであることがより好ましく、20〜100μmであることが特に好ましい。乾燥後の被膜の膜厚が1〜300μmになるようにするためには、本発明の感光性樹脂組成物を溶剤で溶解させ、粘度を1〜50Pa・sに調節することが好ましく、20〜40Pa・sに調節することがより好ましい。また、感光性樹脂組成物の固形分濃度は、20〜80質量%にすることが好ましく、30〜70質量%にすることがより好ましい。得られる被膜の膜厚が300μmを超えると、解像度が低下する傾向がある。
【0108】
次に、感光性樹脂組成物を塗布した基板を乾燥して、感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を得る。乾燥は、オーブン、ホットプレート等を使用し、60〜120℃の範囲で1分〜1時間行うことが好ましい。
【0109】
次に、この感光性樹脂組成物層上に必要に応じて所望のパターンを有するマスクを置き、それを介して活性光線を照射して露光する。露光に用いられる活性光線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられる。これらの中でも特に、紫外線、可視光線が好ましい。
【0110】
露光後に、現像液を用いて未露光部を除去することにより、パターンを形成することができる。ここで、現像液としては、N−メチルピロリドン、エタノールのような有機溶媒、または炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド等のアルカリ水溶液を使用することができる。これらの中でも、金属性イオン化合物が少ないことから、感光性樹脂組成物の現像には、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを用いることが好ましい。
【0111】
また、現像後、必要に応じて、水、又は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールでリンスする。
【0112】
更に、現像後、キュアすることにより、感光性樹脂組成物からなる硬化体を得ることができる。現像後のキュアでは、加熱温度を適宜調節することが好ましく、例えば、段階的に昇温しながら1〜2時間実施することが好ましい。加熱温度は、120〜225℃の間で調節することが好ましい。具体的には、現像後、例えば、120℃、150℃、180℃で各20分間熱処理した後、225℃で40分間熱処理を行うことで光硬化後のパターンを更に熱硬化させ、目的とする硬化体を得ることができる。
【0113】
なお、本発明の感光性樹脂組成物は、支持体上に感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層が形成された感光性エレメントの形態で用いることもできる。感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に形成された本発明の感光性樹脂組成物からなる層とを備えるものである。上述の工程で、感光エレメントを用いる場合、感光性樹脂組成物層が基板と接するように感光エレメント配置し、活性光線を感光性樹脂組成物層の所定の部分に照射して、感光性樹脂組成物層に光硬化部を形成させた後、支持体を剥離し、現像することができる。
【0114】
本発明による感光性樹脂組成物により形成した硬化体は、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜として有用である。
【0115】
図1は本発明の感光性樹脂組成物により形成した硬化体を層間絶縁膜として用いた半導体パッケージの一例を示す模式断面図である。図1に示す半導体パッケージ10では、シリコンウェハ(基板)1上にアルミニウム等の金属からなる電極2が設けられている。シリコンウェハ1及び電極2は層間絶縁膜3により覆われているが、電極2上の層間絶縁膜3の一部は除去されており、その部分から電極2に接続された銅等の金属からなる再配線4が引き出されている。また、再配線4には銅等の金属からなるポスト部5が接続されている。そして、層間絶縁膜3、再配線4及びポスト部5は、ポスト部5の一端のみが露出するように封止樹脂6により封止されている。
【0116】
この半導体パッケージ10において、層間絶縁膜3は上述した本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されている。そのため、層間絶縁膜3は解像度よく厚膜化が達成されており、且つ、優れた耐熱性、絶縁性及び可とう性を有している。
【0117】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに制限されるものではない。
【実施例】
【0118】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0119】
[ポリアミック酸の合成]
(合成例1)
200mLの4つ口セパラブルフラスコに「バーサミン551」(コグニスジャパン社製、商品名)6.79g(12.2mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン1.35g(5.5mmol)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート)二無水物10.00g(19.1mmol)、メタクリロイルエチル−3,5−ジアミノベンゾエート0.14g(0.5mmol)及びN−メチルピロリドン19gを加えて、60℃で攪拌した。この反応溶液を3時間攪拌することで、ポリアミック酸のN−メチルピロリドン(以下、「NMP」と表記する)溶液を得た。得られた溶液中の固形分は50質量%であり、ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は34000、分散度(Mw/Mn)は2.0であった。なお、「バーサミン551」は、下記式(27)で表される化合物及び/又は下記式(27)で表される化合物の不飽和部が水添された化合物を含むジアミン化合物である。
【化17】

【0120】
(合成例2)
200mLの4つ口セパラブルフラスコに「バーサミン551」6.79g(12.2mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン1.26g(5.1mmol)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート)二無水物10.00g(19.1mmol)、メタクリロイルエチル−3,5−ジアミノベンゾエート0.24g(0.9mmol)及びN−メチルピロリドン19gを加えて、60℃で攪拌した。この反応溶液を3時間攪拌することで、ポリアミック酸のNMP溶液を得た。得られた溶液中の固形分は50質量%であり、ポリアミック酸のMwは42000、分散度は2.3であった。
【0121】
(合成例3)
200mLの4つ口セパラブルフラスコに「バーサミン551」6.79g(12.2mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン1.04g(4.2mmol)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート)二無水物10.00g(19.1mmol)、メタクリロイルエチル−3,5−ジアミノベンゾエート0.48g(1.8mmol)及びN−メチルピロリドン19gを加えて、60℃で攪拌した。この反応溶液を3時間攪拌することで、ポリアミック酸のNMP溶液を得た。得られた溶液中の固形分は50質量%であり、ポリアミック酸のMwは38000、分散度は2.7であった。
【0122】
(合成例4)
200mLの4つ口セパラブルフラスコに「バーサミン551」6.79g(12.2mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン0.59g(2.4mmol)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート)二無水物10.00g(19.1mmol)、メタクリロイルエチル−3,5−ジアミノベンゾエート0.96g(3.6mmol)及びN−メチルピロリドン19gを加えて、60℃で攪拌した。この反応溶液を3時間攪拌することで、ポリアミック酸のNMP溶液を得た。得られた溶液中の固形分は50質量%であり、ポリアミック酸のMwは49000、分散度は2.7であった。
【0123】
(合成例5)
200mLの4つ口セパラブルフラスコに「バーサミン551」15.73g(28.2mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン3.31g(13.3mmol)、及びN−メチルピロリドン30.0gを加えて室温で15分間攪拌した。次に、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート)二無水物22.24g(42.6mmol)及びN−メチルピロリドン30.00gの混合溶液を15分間かけて添加した。添加終了後、得られた混合液を60℃まで昇温し、8時間攪拌することで、ポリアミック酸のNMP溶液を得た。得られた溶液中の固形分は40質量%であり、ポリアミック酸のMwは29000、分散度は1.7であった。
【0124】
(合成例6)
300mLの4つ口セパラブルフラスコに1,12−ドデカンジアミン2.31g(12.5mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン1.41g(5.7mmol)及びN−メチルピロリドン5.0gを加えて室温で15分間攪拌した。次に、1,10−(デカメチレン)ビストリメリテート二無水物10.00g(19.1mmol)及びN−メチルピロリドン10.00gの混合溶液を15分間かけて添加した。添加終了後、得られた混合液を60℃まで昇温し、8時間攪拌することで、ポリアミック酸のNMP溶液を得た。得られた溶液中の固形分は40質量%であり、ポリアミック酸のMwは48000、分散度は3.1であった。
【0125】
(分子量測定)
合成例1〜6で合成したポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線により換算して求めた。GPCの条件を以下に示す。
【0126】
(GPC条件)
検出器:L−2400 UV−vis Detector(日立製作所社製、商品名)
ポンプ:L−2130 Pump(日立製作所社製、商品名)
D−2520 Integrator(日立製作所社製、商品名)
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5(計2本)(日立化成工業社製、商品名)
溶離液:THF/DMF=1/1(容積比)+LiBr(0.03mol/L)+リン酸(0.06mol/L)
流量:1mL/分
【0127】
[感光性樹脂組成物の作製]
上記各合成例で合成した(A)ポリアミック酸の溶液、(B)光重合性化合物(C)光重合開始剤及びその他の成分を、それぞれ下記表1に示した配合割合(質量部)で混合し、感光性樹脂組成物の溶液を得た。なお、表1中の数字は固形分の質量部を示している。また、表1中の各成分は、以下に示すものである。
【0128】
「ヒタロイド7661」:酸変性フェノールノボラック型エポキシアクリレート、日立化成工業社製、商品名
「I−651」:ベンジルジメチルケタール、チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名
「I−OXE−01」:1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(o−ベンゾイルオキシム)、チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名
「KBM−503」:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、東レダウ社製、商品名
「AY−43031」:γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、信越シリコーン社製、商品名
「MDAP」:3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、日立化成工業社製、商品名
「BEM」:メタクリロイルエチル−3,5−ジアミノベンゾエート、川研ファインケミカル社製、商品名
【0129】
【表1】


*BEM導入量は、ジアミン成分全量に対するBEMのモル%を示す。
【0130】
<製膜性評価>
上記実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、5インチシリコン基板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、110℃のホットプレートで5分間乾燥し、膜厚70μmの感光性樹脂組成物層を形成し、塗膜外観を評価した。
A:白濁及びタックがない。
B:平坦性が悪い。
C:白濁がある。
【0131】
感光性樹脂組成物層に白濁がある場合は、感光性樹脂組成物成分同士の相溶性が悪く、感光性樹脂組成物層中で析出していると考えられる。
【0132】
<溶解速度評価>
上記実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、シリコン基板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、110℃のホットプレートで5分間乾燥し、膜厚70μmの感光性樹脂組成物層を形成した。感光性樹脂組成物層へ2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を滴下し、膜が完全に溶解するのにかかる時間を測定し、下記式(b)により溶解速度を求めた。
溶解速度(nm/秒)=膜厚(nm)/溶解時間(秒) …(b)
【0133】
<現像性評価>
上記実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、シリコン基板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、110℃のホットプレートで5分間乾燥し、膜厚70μmの感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層を形成した試験基板について、ライン幅/スペース幅が50/400(単位:μm)の配線パターンを有するネガマスクを介して、プロキシミティー露光機(ウシオ電機社製、商品名:UX−1000SM)を用いて露光量500mJ/cmで感光性樹脂組成物層の露光を行った。ここで、露光量は、光の照度を、紫外線積算光量計(ウシオ電機株式会社製、商品名「UIT−150−A」、照度計としても使用可能)及び受光器である「UVD−S365」(感度波長域:320nm〜470nm、絶対校正波長:365nm)を用いて測定し、露光量=照度×露光時間の関係から求めたものである。その後、試験基板を2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に浸漬し、感光性樹脂組成物層の未露光部が完全に溶解するまで現像を行った。この現像後の感光性樹脂組成物層の露光部の膜減りを測定し、以下の評価基準に基づいて現像性を評価した。その結果を表2に示す。
A:露光部の膜減りが10%未満である。
B:露光部の膜減りが10%以上80%未満である。
C:露光部の膜減りが80%以上である。
【0134】
<解像性の評価>
上記実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、シリコン基板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、110℃のホットプレートで5分間乾燥し、膜厚70μmの感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層を形成した試験基板について、写真化学社製解像度評価用ネガパターンを介し、露光量500mJ/cmで感光性樹脂組成物層の露光を行った後、小型現像機「AD−1200」(MIKASA社製、商品名)を用いたパドル法により現像し、現像後のL/S=60/60のパターンをオリンパス社製金属顕微鏡により観察した。
A:残渣及び染み出し無し
B:残渣又は染み出しあり
C:膨潤あり
【0135】
<弾性率及び伸びの測定>
上記実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、シリコン基板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、110℃のホットプレートで5分間乾燥し、膜厚70μmの感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層を形成した試験基板について、プロキシミティー露光機(ウシオ電機社製、商品名:UX−1000SM)を用いて露光量500mJ/cmで全面露光を行った。その後、120℃で40分間、続いて200℃で60分加熱硬化させ、膜厚50μmの硬化膜を得た。硬化膜をシリコン基板より剥離し、1cm×5cmの試験片を作製した。この試験片について、引張試験機(島津製作所社製、商品名:オートグラフAGF−5KN)を用い、温度23℃、チャック間20mm、引張速度5mm/分の条件で引っ張り弾性率及び伸びを測定した。
【0136】
<吸水率の測定>
上記実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、厚さ1mmのガラス板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、110℃のホットプレートで5分間乾燥し、膜厚70μmの感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層を形成した試験基板について、プロキシミティー露光機(ウシオ電機社製、商品名:UX−1000SM)を用いて露光量500mJ/cmで全面露光を行った。その後、120℃で40分間、続いて200℃で60分加熱硬化させ、膜厚50μmの硬化膜を得た。この硬化膜をガラス板ごと精製水に24時間浸漬し、前後での重量変化より下記式(a)により吸水率を求めた。
吸水率(%)=(浸漬後硬化膜重量−浸漬前硬化膜重量)/(浸漬前硬化膜重量)×100 …(a)
【0137】
【表2】

【0138】
表2からわかるように、実施例1〜4で得られた感光性樹脂組成物は、露光部の膜減りが小さく、染み出し等も観察されなかった。以上のことから、本発明の感光性樹脂組成物は、十分な現像性を得ることができると共に、厚膜でも解像度よく像形成を行うこと可能であることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の感光性樹脂組成物により形成した硬化体を層間絶縁膜として用いた半導体パッケージの一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0140】
1…シリコンウェハ(基板)、2…電極、3…層間絶縁膜、4…再配線、5…ポスト部、6…封止樹脂、10…半導体パッケージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)、(2)及び(3)でそれぞれ表される構成単位を有するポリアミック酸と、
(B)光重合性化合物と、
(C)光重合開始剤と、
を含む感光性樹脂組成物。
【化1】


【化2】


【化3】


[式(1)、(2)及び(3)中、Arはテトラカルボン酸二無水物残基を示し、Ar及びArはそれぞれ独立にジアミン残基を示し、Rはエチレン性不飽和基を示し、Ar及びArの少なくとも一方は主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有する。]
【請求項2】
前記Arが下記一般式(4)で表される4価の基である、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【化4】


[式(4)中、Xは炭素数5〜20のアルキレン基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1〜3の整数を示し、mが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、nが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項3】
前記Arが下記一般式(5)で表される2価の基である、請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
【化5】


[式(5)中、Zは単結合又は2価の有機基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に炭素数5〜20のアルキレン基を示す。]
【請求項4】
前記Zが、下記一般式(6)、(7)及び(8)でそれぞれ表される2価の基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である、請求項3記載の感光性樹脂組成物。
【化6】


[式(6)、(7)及び(8)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、q、r及びpは、それぞれ独立に1〜4の整数を示し、qが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、rが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、pが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項5】
支持体と、該支持体上に形成された請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる層と、を備える感光性エレメント。

【図1】
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【公開番号】特開2009−251451(P2009−251451A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101580(P2008−101580)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】