説明

感染性有機廃棄物から非感染性産物を製造する方法

感染性有機廃棄物から加水分解滅菌性変性産物を製造する方法は、(a)加熱し加圧することができる反応器に感染性有機廃棄物を導入し、反応混合物を形成させ;(b)前記反応混合物が変性スラリーに熱的に加水分解され変性されるのに十分な期間、反応器中、ある温度および圧力にて前記反応混合物を飽和蒸気に曝露し;(c)あるいは(1)嫌気的に変性スラリーを分解するか、または(2)変性スラリーを分子量、密度およびサイズに基づき少なくとも二つの加水分解滅菌性変性産物に分画する工程を含む。得られた加水分解滅菌性産物は、安全かつ貴重な栄養特性を有しており、広範な商業、農業および工業の製品または過程に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(原文に該当箇所なし)
【背景技術】
【0002】
ヒトおよび動物の健康を脅かす主な感染性疾患の増大により、種々の管轄において規定されているように、動物用飼料、およびこれらの物質を肉骨粉(MBM)および他の動物栄養産物(脂肪および血粉など)に変換すると言われるプラント用原料として用いるための屠体、動物副産物、食品廃棄物および他のある特定危険部位(SRM)の使用を禁止する新たな国際的規則および法律を導かれた。牛海綿状脳症(BSE)、慢性消耗病(CWD)およびスクレイピーなどの新たな感染性海綿状脳症(TSE)またはプリオン病の発病ならびに家禽および他の動物におけるウイルス性疾患の出現は、これらの物質の廃棄または再利用に関する重大な問題を生じ、ヒトおよび動物の食物連鎖からそれらが排除されることを確保した。伝統的なレンダリング(rendering)はこれらの高耐性病因物質を変性させる条件をもたらさず、埋葬および堆肥化による伝統的な廃棄はたいていの耐性のある病原体(BSE、炭疽菌など)を破壊しない。さらに、大量のこれらの屠体、食物および他の廃棄物の焼却は、二次環境汚染物および毒性化合物を生み出す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、伝統的な方法の埋葬および焼却に伴う汚染および臭気の悪影響のない、これらの感染性または感染可能性有機物質により作り出される健康および環境リスクを安全に除去する技術開発への挑戦が存在する。理想的な解決策は、アミノ酸、脂肪酸およびミネラルの栄養分などの主要な有益成分を破壊しないで病因物質を破壊するような、廃棄されたまたは不良な(condemned)動物および植物源に由来する肉、骨、脂肪および繊維物質の変換および改良であろう。次いで、これらの有益な成分は、特に、肥料および原料の栄養素ならびに電気および蒸気のコジェネレーション用メタンバイオガスを生成する嫌気性分解装置のために、安全かつ貴重な栄養産物に再形成することができる。本発明はそのような解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の簡単な要約
本発明は、家庭からの廃棄食物、食品加工業からの廃棄された肉および骨残留物などの感染性物質、全資源、脱水下水汚泥、SRM、動物副産物(ABP)からの死んだおよび病気の動物屠体、ならびに他の固体および液体有機廃棄物を変性付加価値産物に変換するバイオ精製(bio-refining)過程を通して、有機廃棄物質の処理および環境的に安全な廃棄の問題に有効に対処する。
【0005】
本発明は、感染性有機廃棄物から加水分解滅菌性変性産物を製造する方法であって、(a)加熱し加圧することができる反応器に感染性有機廃棄物を導入し、反応混合物を形成させ;(b)前記反応混合物が変性スラリーに熱的に加水分解され変性されるのに十分な期間、反応器中、ある温度および圧力にて前記反応混合物を飽和蒸気に曝露し;(c)あるいは(1)嫌気的に変性スラリーを分解するか、または(2)変性スラリーを分子量、密度およびサイズに基づき少なくとも二つの加水分解滅菌性変性産物に分画する工程を含む、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の詳細な記述
一般に、本発明は、家庭およびフードサービスビジネスからの食品廃棄物および食品加工廃棄物などのSRM、ABP、ヒト、動物および植物廃棄物;真菌性疾患により影響を及ぼされるものなどの病気の植物;肉および魚の包装機に残留した肉および骨;農場、飼育場、食肉解体場および動物病院からの家畜、家禽およびペット屠体;および分類されたまたは不良な動物屠体、国、地方または地域の疾患により特定することができる体部位、臓器および組織、および破壊のための制御プログラム;動物臓物;そのような廃棄物を含む市の固体廃棄物;および廃水処理プラントからの下水汚泥;ならびにこれらの任意の物質の任意の組合せまたは混合物などの感染性有機廃棄物の処理に関する。本発明によるそのような感染性有機廃棄物の処理は、物質を変性させ、非感染性にする。
【0007】
本明細書において用語「感染性有機廃棄物」は、実際にまたは潜在的に感染性である有機廃棄物質を意味し、ヒトまたは動物における病気または疾患を引き起こしうる病原体の任意のタイプ(直前の段落に記載のタイプを含むが、これに限定されない)を実際にまたは潜在的に含む。従って、該用語は、病原体を含むと見られるそのような物質の他のバッチまたは一般的なタイプのいくつかのサンプルにより感染性であると予想され、または疑われる有機廃棄物を含む。処理される物質が実際に予め試験され、実際に感染性か否かを決定することは必要ではなく、それゆえ、感染性有機廃棄物は実際に感染性でなくてもよい。典型的に、そのような有機廃棄物質は、規制され、または伝統的に食用ではない。
【0008】
本明細書において用語「変性」およびその文法的均等物は、ヒトまたは動物をもはや有害でないように病原体を滅菌および不活性化することを意味する。この用語は、それ自体で代謝および再生可能な真菌、細菌または他の微生物などの微生物;遺伝物質のRNAまたはDNA核の回りのタンパクコートであるが半透膜でないものを典型的に含み、生細胞においてのみ増殖および複製することができる、非常に単純な微生物または非常に複雑な分子として見ることができる、ウイルス;および微生物というよりもむしろタンパク質であるが、ヒトおよび動物生化学品と相互作用して病気または疾患を引き起こすテンプレートまたはパターンを形成する、BSE、CWDおよびスクレイピーなどのTSEまたはプリオンに適用するものとして本明細書において選択される。従って、本明細書において用語「変性」は、病原体が滅菌化、不活性化、熱的加水分解、または本発明の方法の範囲内の任意の他の技術により有害でない状態であるか否かにかかわらず、本発明の方法によりこれらの任意の有害な病原体を有害でない状態にすることを包含する用語として用いる。
【0009】
本明細書において用語「加水分解滅菌性産物」としては、本発明の変性過程に起因する、アミノ酸、脂肪酸、ミネラルおよび繊維質または非繊維質有機栄養物質などの任意の有益な産物が挙げられる。
【0010】
本明細書において用語「動物副産物(ABP)」は、任意の感染性因子に感染していようとなかろうと、2002年10月3日に採用された欧州議会および欧州理事会の欧州連合規則EC 1774/2002、英国におけるStatutory Instrument 2005 No. 2347 Animal By-Products Regulations 2005およびその他などの任意の政府、政府機関または政府機構により規制されるまたはされてもよい、ヒト消費物を目的としない任意の動物由来の物質を意味する。そのようなABPとしては、例えば農場で死んだ動物、および調理されていてもされていなくても、肉製品を含むか、またはこれと接触しているケータリング廃棄物(レストラン、ケータリング設備およびキッチンからの廃棄食料)などのヒトにより直接消費されない食肉処理された動物の一部が挙げられ、そのうちのいくらかは、肉骨粉などの動物タンパク、脂肪、ゼラチン、コラーゲン、ペットフードおよび膠、革、石けん、肥料などの他の技術的産物に用いることができる。
【0011】
本明細書において用語「特定危険部位(SRM)」は、BSEおよびスクレイピーなどの任意の感染性因子に感染しているか、感染することができるか、または感染しやすく、2004年1月12日の連邦公報第1862頁以下に刊行された米国農務省食品安全検査局の中間最終規則、欧州連合地域TSE規則9999/2001、および2003年8月23日発効のカナダ食品検査庁規則などの任意の政府、政府機関または政府機構により規制されているか、または規制することができる、任意の物質を意味する。そのようなSRMとしては、例えばウシについて扁桃腺、腸、下顎を除くが脳、目および脊髄を含む頭蓋骨、いくつか例外がある脊柱、および後根神経節;およびヒツジおよびヤギについて脾臓、回腸および脳および目を含む頭蓋骨が挙げられる。
【0012】
本明細書において用語「外来の繊維、酸化剤または酸もしくはアルカリ化合物の実質的な非存在」は、そのような繊維、酸化剤または酸もしくはアルカリ化合物が得られた変性産物に影響を及ぼす量にて反応混合物と別々にまたは一緒に意図的に加えられないことを意味する。しかし、そのような繊維、酸化剤または酸もしくはアルカリ化合物は、典型的に少なくともいくつかの感染性有機廃棄物を反応混合物のわずか約2 wt %オーダーにて含む波形段ボール箱など、反応混合物を形成する感染性有機廃棄物を含む微量の物質として偶然に含まれてもよい。
【0013】
本明細書において、特に明記されていなければ、単数形は複数形を含み、複数形は単数形を含む。
【0014】
本発明において製造される加水分解滅菌性変性産物は、変性または分画後に直接、肥料、土壌調整剤および動物飼料成分などの農業、工業および商業用途ならびに嫌気性分解装置(AD)に用いて、コジェネレーション電気、蒸気、熱水のためのエネルギー源として、および任意の他の燃料用途に用いるために使用することができるバイオガス(主にメタン)を産生する。AD容器における本発明の加水分解滅菌性産物の使用、特に、分画後の炭素豊富繊維および脂肪酸画分は、すでに加水分解されているため、直接的に効率性が高い。嫌気性分解の第一相は加水分解物質を生産するため、そのような物質による開始は、AD容器における加工時間を軽減し、メタンバイオガス生成の効率性を増大する。
【0015】
任意のタイプの感染性有機廃棄物が本発明を用いて処理することができる一方、特に、約30 wt %まで、典型的には約15〜約30 wt %のオーダーの量にて脂質を含むABPなどの動物廃棄物を処理するために有効である。
【0016】
本発明により処理することができる動物屠体、体部位、臓器または組織は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イノシシ、ブタ、ウマなどの典型的な家畜、およびトリ、ガチョウおよびアヒルなどの家禽、イヌおよびネコなどの家庭ペット動物、動物園動物、および死体、体部位、臓器または組織が処分されなければならない任意の源からの実質的に任意の他の動物を含む。
【0017】
本発明により有効に処理された感染性有機廃棄物は外来の繊維、酸化剤または酸もしくはアルカリ化合物の実質的な非存在下、適切な反応器または容器に導入されるのが好ましい。しかし、上記のとおり、そのような外来の繊維、酸化剤または酸もしくはアルカリ化合物のいくつかは本発明による処理のために運ばれる感染性有機廃棄物の一部として偶然に存在してもよい。
【0018】
変性産物画分をもたらす、本発明により有効に処理された感染性有機廃棄物は、その成分が食肉解体場などの発生源、加工プラントまたは他の発生源から受ける形態にて適切な反応器または容器に導入することができる。典型的に、感染性有機廃棄物は、全体またはいくらか壊れた頭蓋骨、脊柱、大小骨、脱脂した肉および骨物質、および典型的に付着した肉および脂肪が必ずしもなく、小細粒に粉砕されていない他の成分の形態にて処理される。本発明の熱的加水分解処理は、そのような源物質のサイズにかかわらず、種々の源からのそのような感染性有機廃棄物を変性させるのに十分である。
【0019】
任意のまたはすべての先に述べた物質を含んでもよい感染性有機廃棄物は、所望のサイズの粒子にすりつぶされまたは刻まれて反応混合物を形成させることなどにより粉砕され、より具体的には粒子に効率的におよび均一に熱および蒸気を貫通しやすくすることが好ましい。粉砕は、プレ・ブレイカー・グラインダー、クラッシャー、ハンマーミルまたはせん断破砕機などの任意の適切な装置を用いて行うことができる。粉砕は、エアロゾル病原体が外部環境に放出されるのを防ぐ密封環境にて行うべきである。好ましい粉砕は、感染性有機廃棄物が実質的に均一に変性されるように、反応混合物が熱および蒸気の貫通を容易にし増強するのに十分なサイズを有するまで行う。感染性廃棄物質が通常ポンプ可能なほどに十分な液体、典型的に水を含むため、粉砕された物質をポンプなどによりより容易に反応器の内外に運ぶことができるから、物質の粉砕により、より効率的に扱えるようにもなる。粉砕はまた、処理された大きな粒子または片と比較して、反応器内の梱包密度も増大させ、小粒子によりより早い加工および熱的加水分解を受ける表面領域の増大を可能とする。粒子の具体的なサイズは、粉砕される物質の密度、タイプおよび性質に依存するが、一般にはサイズが最大容量にて約50 mmまで、より好ましくは約20 mm〜約50 mmに減少すれば物質は十分に粉砕される。
【0020】
得られた反応混合物、すなわち感染性有機廃棄物は、好ましくは所望の粒子サイズに粉砕された後、好ましくは外来の酸またはアルカリ化学品、外来の酸化剤、または上記に説明される別の吸収剤または吸着性繊維物質などの外来の繊維物質の実質的な非存在下にて製造されるが、常にそうではない。
【0021】
得られた反応混合物は、ポンプなどにより、反応混合物が加熱し加圧された飽和蒸気と十分に相互作用できるように設計された反応器または容器、例えば補正混合パドルをシャフトから放射状に拡げるような少なくとも一つのシャフトを備えたバッチまたは連続加工高圧混合反応器、または内部補正固定フランジを備えた回転および/または振動容器に移す。他の適切なバッチまたは連続加工反応器または混合容器を用いることができる。反応混合物は、別の外来の酸またはアルカリ化学品の非存在下、別の外来の酸化剤の非存在下、別の外来の繊維物質、例えば別の吸収剤または吸着性繊維物質の非存在下にて混合物を熱的に加水分解するのに十分な時間、上昇温度および超常圧下、反応容器中、飽和蒸気で加熱する。反応混合物を変性するための適切な好ましい条件としては、約150℃〜約200℃、より好ましくは約180℃の温度までの加熱、約5 bar(約72.5ポンド/平方インチ (psi))〜約15 bar(約217.8 psi)、より好ましくは約10 bar(約145 psi)〜約13 bar(約188.5 psi)の圧力までの加圧、約20分〜約60分、より好ましくは約40分間の期間が挙げられる。そのような条件は、胞子形成細菌およびプリオンなどの感染性因子の破壊をプリオンまたはタンパク質の三次構造を変性させ、病原体の感染性機能的性質を破壊することにより確保する。高温飽和蒸気はタンパク質、炭水化物、脂肪およびミネラル化合物の分子結合を破壊し、アミノ酸、脂肪酸、糖類、リグナン、セルロースおよびミネラルなどの有益な産物の基礎的形態に加水分解し、変性させ、有機廃棄物質ならびに注射された蒸気に天然に存在する水を含む、大半は有機物である水性スラリーを得る。
【0022】
反応混合物が変性するのに十分な時間、反応容器中にて反応混合物を高温および高圧処理に曝露した後、反応容器は、好ましくは減圧し、得られた変性スラリーは、好ましくはさらなる加工前に保持タンクに移す。
【0023】
変性時に、変性スラリーに変換される廃棄有機物質は、最小値4 logのID50の標的感染性減少を有する。感染性は、病因物質が宿主内で構築する能力の尺度である。感染性を定量する試みは典型的に、ID50の使用を含み、これは制御された環境条件下、特定の感受性対象の集団の50%が感染するのに必要な物質の個別用量または数である。因子「4 log」は、感染性物質の量が1 x 104または10,000と等しい規模の4倍だけ減少することを意味する。
【0024】
次いで、変性スラリーは、直接、または好ましくは例えばこれらに限定されないが、肥料、土壌調整剤および動物飼料成分などの農業、工業および商業用途ならびに嫌気性分解装置(AD)などの種々の用途のためのより具体的な液体または脱水産物に分画した後に用いて、コジェネレーション電気、蒸気または熱水のためのエネルギー源として、または任意の他の燃料用途のために使用することができるバイオガス(主にメタン)を産生することができる。上記のとおり、ADにて用いる場合、変性有機スラリーは、分画前または分画後に直接用いることができる。好ましくは、分画後に、繊維および脂肪酸画分をADにて用いることができる。他の画分は、動物飼料用のアミノ酸およびミネラル、肥料、骨粉、栄養補助成分、土壌再生、改善および調整用物質ならびに他の多くの用途のために用いることができる。
【0025】
変性スラリーは、好ましくはその種々の成分の分子量、密度および特定のサイズに基づき分画する。分画は、高速遠心分離機を用いて行い、種々の産物の分類を達成することができる。例えば、50ヶ国にわたり事務所または配送センターを有するスウェーデンを本拠とするAlfa Lavalなどから入手可能な工業用デカンター遠心分離機を用いて、連続的にスラリーを固体および液体画分に分離することができる。約4000回転/分 (rpm)までの速度により、約2500重力 (G)までとなり、繊維性リグナン、セルロースおよびミネラルなどの固体を産生し、液体画分から分離されて、半乾燥または半湿繊維物質を得る。そのような繊維物質は、大抵、動物の胃からの「第一胃肥料(paunch manure)」、動物の小腸および大腸中の他の穀物および飼料の残渣、および任意の混合物または他の野菜もしくはフルーツ繊維でできている。
【0026】
デカンテーションした液体画分は一般に、茶色であり、約3 wt %未満の平均固体含有量を有する。主に水、脂肪酸、変性タンパク質(アミノ酸)、溶解ミネラルおよび他の有機残渣を含むこの液体画分は、Alfa Laval製などのディスク・スタック・遠心分離機を用いてさらに分画することができる。ディスク・スタック遠心分離機は、約4000〜5000 rpmまで回転可能であり、約5000 G力まで生成し、典型的に液体流を三つの画分に分類測定する−軽い低密度の脂肪酸溶液、より重く高密度のアミノ酸/ミネラル液、および固体で重い最も密度の高いミネラルの細かいペースト状物。より軽い低密度の脂肪酸溶液は、遠心分離機の上部に移動して排出される。アミノ酸、水、グリセロールおよび溶解ミネラルを含むより重いより高密度の流分は、より下部に流れる。細かい固体、典型的にはミネラルを含む最も重い高密度の沈殿物は、遠心分離機の底に堆積する。
【0027】
固体および液体画分のさらなる液体−液体分離または脱水、例えばアミノ酸の濃縮をさらに行い、具体的な工業用、商業用または農業用産物とすることができる。例えば、脱水により安定な輸送可能な栄養産物が得られる。分画された加水分解滅菌性産物、好ましくは炭素豊富繊維質および脂肪酸画分もまた、分解装置中で用いて、コジェネレーション電気または蒸気のためのエネルギーの源として、または天然ガスパイプライン分配または家庭用、商業用、工業用または乗り物用燃料などの任意の適切な用途のための液化天然ガス(LNG)への圧縮のためのバイオメタン源として用いることができるバイオガスを生成することができる。
【0028】
本発明を以下の具体的かつ非限定的実施例においてより詳細に記載する。
【実施例】
【0029】
実施例−感染性動物副産物および有機廃棄物質のサンプル加水分解および分画
【0030】
サンプル組成
死んだトリの全体 20 kg
包装した植物脊柱および整えた骨(trim bones) 60 kg
ウシ頭蓋骨および足 73 kg
食用でないウシ臓器、腸組織、第一胃肥料およびブタ頭蓋骨 61 kg
混合廃棄野菜および食物くずおよびこれらを含む段ボール箱 52 kg
水 37 kg
【0031】
熱的加水分解加工
【0032】
上記物質を、Edmonton, AlbertaのBiosphere Technologies Inc.用試験系として設計された1000リットルBioRefinex(商標)高圧反応器中にて熱的に加水分解した。反応容器は蒸気ジャケットパイプにより予め加熱した。上記物質を反応容器のトップハッチを通して充填し、容器中にて180℃まで蒸気加熱し、12.4 bar (180 psi)の圧力とし、内部シャフトおよびパドルにより反応容器内にて30 rpmにて回転させながら、40分間これらのパラメータに曝露した。
【0033】
熱的加水分解サイクルに続き、容器を減圧し、蒸気をコンデンサー系に放出した。常圧にて、反応容器の下部から物質を取り出した。
【0034】
産生変性物質を、茶色の加水分解滅菌性変性スラリーに変換した。この特定のバッチの物質はID50について具体的に試験しなかったが、本実施例として本発明の方法に従い処理した他のバッチの同様の感染性有機廃棄物は、独立政府研究所により試験し、本発明の方法が変性産物をもたらすことを示すすばらしい結果を得た。
【0035】
加水分解スラリーを、スウェーデンのAlfa Laval製の2500 G力にて操作される連続フローパイロットスケールデカンター遠心分離機に入れた。この系は、二つの画分を生成し、第一は半湿固体繊維質物質を含み、第二は精製液体物質を含む。第1表は、この提出および脱水した両方の半湿固体繊維質物質の内容物の独立研究所による分析の結果を示す。

第1表−半湿固体繊維質画分の分析
【表1】


注:
* AOACは、Associations of Official Agricultural Chemistsとして1884年に設立され、後にAssociation of Official Analytical Chemistsに変わり、1992年以来AOAC Internationalである。
1 全窒素
2 全可分解栄養素
3 可分解エネルギー
4 総エネルギー
5 代謝性エネルギー
6 餌の全エネルギー
【0036】
液体画分を、スウェーデンのAlfa Laval製の4000 G力にて操作される連続フローパイロットスケールディスク・スタック遠心分離機の注入パイプに入れた。この遠心分離により二つの液体流を得た。より軽い画分は第2表に示される分析の脂肪酸を含み、より重い画分は第3表に示される分析のアミノ酸を含み、重い固体細かいミネラル画分は第4表に示される分析であった。第2〜4表の分析結果は第1表の分析を行った同じ独立研究所により行った。

第2表−脂肪酸画分
【表2】

* AOCSは米国油化学会である

第3表−アミノ酸および関連画分
【表3】

* 酸化手順により測定されるシスチンおよびメチオニン

第4表−ミネラル細粒画分
【表4】

* 燃焼測定による窒素および硫黄分析
【0037】
実施例に提供された分析に基づき、本発明は、動物飼料、肥料骨粉、栄養補助成分、および土壌再生、改善および調整用物質ならびに他の多くの用途に有用な貴重な変性繊維物質、脂肪酸、栄養素およびミネラル、ならびにバイオガスの産生のための嫌気性分解に用いる変性スラリーまたは画分をそのようなバイオガスの多種多様な用途とともに提供することは明らかである。
【0038】
その広範な発明の概念を逸脱することなく、上記具体的態様を改変することができることは、当業者により認識されよう。それゆえ、本発明は、具体的に開示される具体的態様に限定されないが、特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲内の改変を包含するものであることは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染性有機廃棄物から加水分解滅菌性変性産物を製造する方法であって、
(a)加熱し加圧することができる反応器に感染性有機廃棄物を導入し、反応混合物を形成させ;
(b)前記反応混合物が変性スラリーに熱的に加水分解され変性されるのに十分な期間、反応器中、ある温度および圧力にて前記反応混合物を飽和蒸気に曝露し;
(c)あるいは(1)嫌気的に変性スラリーを分解するか、または(2)変性スラリーを分子量、密度およびサイズに基づき少なくとも二つの加水分解滅菌性変性産物に分画する工程を含む、方法。
【請求項2】
工程(c)において嫌気的に変性スラリーを分解してバイオガスを産生する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(c)において変性スラリーを分子量、密度およびサイズに基づき少なくとも二つの加水分解滅菌性変性産物に分画する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
さらに嫌気的に少なくとも一つの分画産物を分解する工程を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの分画産物が少なくとも一つの繊維質画分および脂肪酸画分である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
工程(a)の前にさらに感染性有機廃棄物を有機物質の粒子に粉砕して、反応混合物を形成させる工程を含み、前記有機物質の粒子が、感染性有機廃棄物が実質的に均一に変性するように熱および蒸気侵入を促進するのに十分なサイズを有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
有機物質の粉砕粒子が約50 mmまでの粒子サイズを有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
感染性有機廃棄物が別の繊維、酸化剤または酸もしくはアルカリ化合物の実質的な非存在下にて反応器に導入される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
飽和蒸気が約150℃〜約200℃の温度および約5 bar〜約15 barの圧力である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
蒸気が約180℃の温度である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
反応混合物を約20分〜約60分の時間、飽和蒸気に曝露する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
反応混合物を約40分間、飽和蒸気に曝露する、請求項8記載の方法。
【請求項13】
変性有機スラリーを分画して液体画分および固体画分を形成させる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
分画がデカンター遠心分離機を用いて達成される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
液体画分をさらに少なくとも二つの液体画分に分画する、請求項13記載の方法。
【請求項16】
さらなる液体分画がディスク・スタック遠心分離機を用いて達成される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
さらに変性スラリーまたは少なくとも一つの分画産物を脱水する工程を含む、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2011−504382(P2011−504382A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534327(P2010−534327)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/CA2008/002030
【国際公開番号】WO2009/065214
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(510140102)
【氏名又は名称原語表記】Erick SCHMIDT
【Fターム(参考)】