説明

感活性光線性または感放射線性樹脂組成物、及び該感光性組成物を用いたパターン形成方法

【課題】感度、解像性、ラフネス特性、パターン形状及びアウトガス特性に優れた感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】一般式(I)で表される化合物を含有する感活性光線性樹脂組成物。


式中、Arは、芳香族環を表し、−(A−B)基以外に更に置換基を有してもよい。nは、1以上の整数を表す。Aは、単結合、アルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)―、−S(=O)−、及び−OS(=O)−から選択されるいずれか、あるいは2以上の組み合わせ(但し、−C(=O)O−を除く)を表す。Bは、3級若しくは4級炭素原子を含む、炭素原子数が4以上の炭化水素基を有する基を表す。nが2以上のとき、複数の−(A−B)基は同一でも異なっていてもよい。Mは、有機オニウムイオンを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性光線または放射線(電子線、X線、EUV、UV等)の照射により反応して性質が変化する感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法に関する。さらに詳しくはIC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程、平版印刷版、酸硬化性組成物に使用される感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【0002】
なお、本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
【背景技術】
【0003】
化学増幅レジスト組成物は、遠紫外光等の放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
【0004】
KrFエキシマレーザーを露光光源とする場合には、主として248nm領域での吸収の小さい、ポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とする樹脂を主成分に使用するため、高感度、高解像度で、且つ良好なパターンを形成し、従来のナフトキノンジアジド/ノボラック樹脂系に比べて良好な系となっている。
【0005】
一方、更なる短波長の光源、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を露光光源として使用する場合は、芳香族基を有する化合物が本質的に193nm領域に大きな吸収を示すため、上記化学増幅系でも十分ではなかった。
このため、脂環炭化水素構造を有する樹脂を含有するArFエキシマレーザー用レジストが開発されてきている。
【0006】
化学増幅レジストの主要構成成分である酸発生剤については、トリフェニルスルホニウム塩が一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、上記酸発生剤には未だ不十分な点が多いことから、この酸発生剤を改善することにより、感度、解像性、パターン形状及びラフネス特性などの向上した感光性組成物の開発が望まれている。
【0008】
特に、ラフネス特性及び解像性は、パターン寸法が小さいほど重大となってくる。そのため、X線、電子線やEUVによるリソグラフィーでは、数10nmの微細なパターン形成を目標としていることから、特に解像性及びラフネス特性に優れることが求められている。
【0009】
また、電子線やX線、EUVの光源などを用いた場合には真空下で露光を行うため、溶剤などの低沸点化合物や高いエネルギーにより分解したレジスト材料が揮発し、露光装置を汚染するという、アウトガスの問題が重要となってきている。近年、アウトガスの低減に関しては様々な研究が進められて来ており、トップコート層を設けて低分子化合物の揮発を抑制したり(例えば、特許文献2参照)、ポリマーの分解を抑制するラジカルトラップ剤を添加する(例えば、特許文献3参照)、など様々な試みが試されており、酸発生剤に関してもアウトガス低減の工夫が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6548221号明細書
【特許文献2】欧州特許第1480078号明細書
【特許文献3】米国特許第6680157号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、感度、解像性、ラフネス特性、パターン形状及びアウトガス特性に優れた感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、酸発生剤として、スルホン酸アニオンに特定の置換基を導入してなる新規化合物を用いることにより、発生酸の拡散性が抑制され、感光性組成物の解像性及びラフネス特性が向上し、解決される。
すなわち、上記課題は、下記構成により特定される本発明により解決される。
(1) 一般式(I)で表される化合物(A1)を含有する感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【化1】

【0013】
式中、
Arは、芳香族環を表し、−(A−B)基以外に更に置換基を有してもよい。
nは、1以上の整数を表す。
Aは、単結合、アルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)―、−S(=O)−、及び−OS(=O)−から選択されるいずれか、あるいは2以上の組み合わせ(但し、−C(=O)O−を除く)を表す。
Bは、3級若しくは4級炭素原子を含む、炭素原子数が4以上の炭化水素基を有する基を表す。
nが2以上のとき、複数の−(A−B)基は同一でも異なっていてもよい。
は、有機オニウムイオンを表す。
【0014】
(2) 一般式(I)において、Bが炭素原子数4以上の環状脂肪族基である、上記(1)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
(3) 更に、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂(B)を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
(4) 更に、アルカリ現像液に可溶な樹脂(C)、及び、酸の作用により、該アルカリ現像液に可溶な樹脂と架橋する酸架橋剤(D)を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【0015】
(5) 樹脂(B)が、ヒドロキシスチレン構造を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする上記(3)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
(6) 樹脂(B)が、単環または多環の環状炭化水素構造を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする上記(3)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【0016】
(7) 樹脂(B)が、アルコール性水酸基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする上記(3)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【0017】
(8) 樹脂(B)のアルコール性水酸基を有する繰り返し単位が、モノヒドロキシアダマンタン構造、ジヒドロキシアダマンタン構造またはトリヒドロキシアダマンタン構造から選ばれる少なくとも1種を含有する繰り返し単位であることを特徴とする上記(7)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
(9) 樹脂(B)が、ラクトン構造を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする上記(3)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【0018】
(10) 樹脂(B)が、少なくとも1種のメタクリル酸エステル繰り返し単位、若しくは少なくとも1種のアクリル酸エステル繰り返し単位を含有する樹脂であることを特徴とする上記(3)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
(11) 樹脂(B)が、主鎖あるいは側鎖にフッ素原子を有することを特徴とする上記(3)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
(12) 樹脂(B)が、ヘキサフロロ−2−プロパノール構造を有することを特徴とする上記(3)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【0019】
(13) 更に、酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(E)を含有することを特徴とする上記(5)〜(12)のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
(14) 更に、塩基性化合物(F)及び/又はフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤(G)を含有することを特徴とする上記(5)〜(13)のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
(15) 樹脂(B)が、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートまたはジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートから選ばれる繰り返し単位少なくとも1種、ラクトン構造を有する繰り返し単位少なくとも1種、および水酸基を2つ以上有する繰り返し単位少なくとも1種を含有することを特徴とする上記(5)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【0020】
(16) 樹脂(B)が、更にカルボキシ基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする上記(15)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
(17) 樹脂(B)が、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートまたはジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートから選ばれる繰り返し単位少なくとも1種、およびヒドロキシスチレン構造を有する繰り返し単位少なくとも1種を含有することを特徴とする上記(5)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【0021】
(18) 上記(1)〜(17)のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物を用いて膜を形成し、該膜を露光、現像することを特徴とするパターン形成方法。
(19) 前記露光がX線、電子線又はEUVを用いて行われることを特徴とする、上記(18)に記載のパターン形成方法。
【0022】
(20) 一般式(I)で表される化合物。
【化2】

【0023】
式中、
Arは、芳香族環を表し、−(A−B)基以外に更に置換基を有してもよい。
nは、1以上の整数を表す。
Aは、単結合、アルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)―、−S(=O)−、及び−OS(=O)−から選択されるいずれか、あるいは2以上の組み合わせ(但し、−C(=O)O−を除く)を表す。
Bは、3級若しくは4級炭素原子を含む、炭素原子数が4以上の炭化水素基を有する基を表す。
nが2以上のとき、複数の−(A−B)基は同一でも異なっていてもよい。
は、有機オニウムイオンを表す。
【0024】
(21) 一般式(I)で表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物。
【化3】

【0025】
式中、
Arは、芳香族環を表し、−(A−B)基以外に更に置換基を有してもよい。
nは、1以上の整数を表す。
Aは、単結合、アルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)―、−S(=O)−、及び−OS(=O)−から選択されるいずれか、あるいは2以上の組み合わせ(但し、−C(=O)O−を除く)を表す。
Bは、3級若しくは4級炭素原子を含む、炭素原子数が4以上の炭化水素基を有する基を表す。
nが2以上のとき、複数の−(A−B)基は同一でも異なっていてもよい。
は、有機オニウムイオンを表す。
【0026】
(22) 一般式(I)においてBが炭素原子数4以上の環状脂肪族基である、上記(20)又は(21)に記載の化合物。
(23) 一般式(I)においてAが単結合である、上記(20)〜(22)のいずれかに記載の化合物。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、感度、解像性、ラフネス特性、アウトガス特性に優れた感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0029】
本発明は、感活性光線性または感放射線性樹脂組成物に有用な活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(酸発生剤)として、上記一般式(I)で表される新規な化合物(以下、「酸発生剤(A1)」ともいう)を見出したことに基づくものである。
酸発生剤(A1)を含有する感光性組成物としては、ポジ型及びネガ型感光性組成物のいずれであってもよい。
【0030】
本発明のポジ型感光性組成物(より好ましくはポジ型レジスト組成物)は、酸発生剤(A1)及び、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂(B)を含有し得、必要に応じて更に酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(E)を含有する。
【0031】
本発明のネガ型感光性組成物(より好ましくはネガ型レジスト組成物)は、酸発生剤(A1)、アルカリ現像液に可溶な樹脂(C)及び、酸の作用により、該アルカリ現像液に可溶な樹脂と架橋する酸架橋剤(D)を含有し得る。
【0032】
〔1〕一般式(I)で表される化合物(酸発生剤(A1))
【化4】

【0033】
式中、
Arは、芳香族環を表し、−(A−B)基以外に更に置換基を有してもよい。
【0034】
nは、1以上の整数を表す。
Aは、単結合、アルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)―、−S(=O)−、及び−OS(=O)−から選択されるいずれか、あるいは2以上の組み合わせ(但し、−C(=O)O−を除く)を表す。
【0035】
Bは、3級若しくは4級炭素原子を含む、炭素原子数が4以上の炭化水素基を有する基を表す。
nが2以上のとき、複数の−(A−B)基は同一でも異なっていてもよい。
【0036】
は、有機オニウムイオンを表す。
【0037】
一般式(I)について更に詳細に説明する。
Arにより表される芳香族環としては、炭素数6〜30の芳香族環が好ましく、また、−(A−B)基以外に更に置換基を有していてもよい。
具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセタフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、ペンタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、インデン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環等が挙げられる。中でも、ラフネス改良と高感度化の両立の観点から、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
【0038】
上記芳香族環が−(A−B)基以外に更に置換基を有している場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基、フェニルチオキシ基、p−トリルチオキシ基等のアリールチオオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基、2―エチルヘキシル基等の直鎖アルキル基及び分岐アルキル基、ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、アセチレン基、プロピニル基、ヘキシニル基等のアルキニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンゾイル基、アセチル基、トリル基等のアシル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基等が挙げられる。中でも、ラフネス改良の観点から、直鎖アルキル基、及び分岐アルキル基が好ましい。
【0039】
Aとしては、解像性、ラフネスの観点から原子数が少ないことが好ましい。Aは、単結合、−O−、−S−が好ましく、単結合であることが特に好ましい。
【0040】
Bにより表される3級若しくは4級炭素原子を含む、炭素原子数が4以上の炭化水素基を有する基における炭化水素基としては、非環式炭化水素基、又は環状脂肪族基が挙げられる。
【0041】
3級若しくは4級炭素原子を含む、炭素原子数が4以上の非環式炭化水素基としては、t―ブチル基、t―ペンチル基、ネオペンチル基、s−ブチル基、イソブチル基、イソヘキシル基、3,3−ジメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。非環式炭化水素基として、より好ましくは炭素原子数が5以上のものである。非環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。非環式炭化水素基の有する炭素数の上限としては、好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。
【0042】
炭素原子数が4以上の環状脂肪族基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基、ピネニル基等が挙げられ、置換基を有していてもよい。環状脂肪族基の有する炭素数の上限としては、好ましくは15以下、更に好ましくは12以下である。
【0043】
上記非環式炭化水素基又は環状脂肪族基が置換基を有している場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基、フェニルチオキシ基、p−トリルチオキシ基等のアリールチオオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基、2―エチルヘキシル基等の直鎖アルキル基、及び分岐アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、アセチレン基、プロピニル基、ヘキシニル基等のアルキニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、カルボニル基等が挙げられる。中でも、ラフネス改良と高感度化の両立の観点から、直鎖アルキル基、及び分岐アルキル基が好ましい。
このような環状脂肪族基又は非環式炭化水素基を有する基の具体例としては以下のものが挙げられる。
【化5】

【0044】
【化6】

【0045】
【化7】

【0046】
【化8】

【0047】
上記の中でも下記構造がより好ましい。
【化9】

【0048】
Bにより表される3級若しくは4級炭素原子を含む、炭素原子数が4以上の炭化水素基を有する基としては、環状脂肪族基が、解像性、ラフネスの観点より好ましい。上記環状脂肪族基の中でも、ラフネス改良の観点から、シクロアルキル基、アダマンチル基、ノルボルニル基が好ましく、シクロアルキル基がより好ましく、シクロアルキル基の中でもシクロヘキシル基が最も好ましい。
【0049】
nは1以上の整数を表し、ラフネス改良の観点から、2以上5以下が好ましく、2以上4以下がより好ましく、n=3が最も好ましい。
【0050】
−(A−B)基は、ラフネス改良の観点からスルホン酸アニオンの少なくとも1つのo位を置換していることが好ましく、2つのo位を置換していることがより好ましい。
【0051】
一般式(I)中のスルホン酸アニオンとしては、以下のものが挙げられる。
【化10】

【0052】
【化11】

【0053】
【化12】

【0054】
【化13】

【0055】
【化14】

【0056】
により表される有機オニウムイオン(対カチオン)としては、例えば、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ジアゾニウム、アンモニウム、ピリジニウム、キノリニウム、アクリジニウム、オキソニウム、セレノニウム、アルソニウムなどのオニウムイオンが挙げられ、その中でも、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ジアゾニウム、キノリニウム、アクリジニウムなどのオニウムイオンが好ましく挙げられる。
【0057】
また、例えば、特開平6−184170号公報等に記載された第15〜17属元素のオニウム塩のオニウムイオン、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,
21,423(1980)等に記載されたジアゾニウム塩のジアゾニウムイオン、米国特許第4,069,055号明細書、同4,069,056号明細書、同Re27,992号明細書、特開平3−140140号公報等に記載されたアンモニウム塩のアンモニウムイオン、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,24
68(1984)、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.
Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号明細書、同4,069,056号明細書、特開平9−202873号公報等に記載されたホスホニウム塩のホスホニウムイオン、J.V.Crivello et
al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号明細書、同第339,049号明細書、同第410,201号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−296514号公報等に記載されたヨードニウム塩のヨードニウムイオン、J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73 (1985)、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号明細書、同161,811号明細書、同410,201号明細書、同339,049号明細書、同233,567号明細書、同297,443号明細書、同297,442号明細書、米国特許第3,902,114号明細書、同4,933,377号明細書、同4,760,013号明細書、同4,734,444号明細書、同2,833,827号明細書、独国特許第2,904,626号明細書、同3,604,580号明細書、同3,604,581号明細書、特開平7−28237号公報、同8−27102号公報等に記載されたスルホニウム塩のスルホニウムイオン、特開9−221652号等に記載されたキノリニウム塩のキノリニウムイオン、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)等に記載されたセレノニウム塩のセレノニウムイオン、C.S.Wenetal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)等に記載されたアルソニウム塩のアルソニウムイオン等のカチオンが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0058】
また、上記対カチオンとしては、例えば、下記式(II)〜(VII)の構造のカチオンが好ましく挙げられる。
【化15】

【0059】
前記式(II)〜(VII)中、R1〜R3はそれぞれ独立に、アリール基を表し、R4〜R6はそれぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭化水素環基又は複素環基を表し、R7〜R11はそれぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭化水素環基、複素環基、アルコキシ基又はアリーロキシ基を表し、R12〜R17はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表す。
【0060】
4〜R11のアルキル基としては、炭素数1〜30であることが好ましく、炭素数1〜20であることがより好ましく、炭素数1〜8であることが特に好ましく、直鎖であっても置換基を有していてもよい。
【0061】
4〜R11のアルケニル基としては、炭素数2〜30であることが好ましく、炭素数2〜20であることがより好ましく、炭素数2〜8であることが特に好ましく、さらに置換基を有していてもよい。
【0062】
4〜R11のアルキニル基としては、炭素数2〜30であることが好ましく、炭素数2〜20であることがより好ましく、炭素数2〜8であることが特に好ましく、さらに置換基を有していてもよい。
【0063】
1〜R11のアリール基としては、炭素数6〜30であることが好ましく、炭素数6〜20であることがより好ましく、炭素数6〜10であることが特に好ましく、さらに置換基を有していてもよい。
【0064】
4〜R11の炭化水素環基としては、炭素数3〜30であることが好ましく、炭素数3〜20であることがより好ましく、炭素数3〜10であることが特に好ましく、さらに置換基を有していてもよい。
【0065】
4〜R11の複素環基としては、炭素数4〜30であることが好ましく、炭素数4〜20であることがより好ましく、炭素数4〜10であることが特に好ましく、さらに置換基を有していてもよい。また、複素環基に含まれるヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましい。
【0066】
7〜R11のアルコキシ基としては、炭素数1〜30であるアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜20であることがより好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましい。また、アルコキシ基は、後述の置換基を有していてもよく、アルコキシ基のアルキル部分はアルケニル基、アルキニル基、炭化水素環基、又は、芳香族でない複素環基であってもよい。
【0067】
7〜R11のアリーロキシ基としては、炭素数6〜30であるアリーロキシ基であることが好ましく、炭素数6〜20であることがより好ましく、炭素数6〜10であることがさらに好ましい。また、アリーロキシ基は、後述の置換基を有していてもよく、アリーロキシ基のアリール部分は芳香族複素環基であってもよい。
【0068】
式(III)中、R2及びR3は、可能であるなら結合して環を形成していてもよい。
式(IV)中、R4〜R6は、可能であるなら2つ以上が結合して環を形成していてもよい。
【0069】
式(V)中、R7〜R10は、可能であるなら2つ以上が結合して環を形成していてもよい。
式(VI)中、R11〜R14は、可能であるなら2つ以上が結合して環を形成していてもよい。
【0070】
式(VII)中、R15〜R17は、可能であるなら2つ以上が結合して環を形成していてもよい。
【0071】
前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭化水素基、複素環基、アルコキシ基、又は、アリーロキシ基が有していてもよい置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、
アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、
ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基(以下、カルボキシラートと称す)、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(allyl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(allyl))及びその共役塩基基、
シリル基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oallyl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。これらの置換基は、上記置換基でさらに置換されていても良く、また、可能であるなら環を形成していてもよい。
【0072】
12〜R17はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表す。
12〜R17のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子、塩素原子、又は、臭素原子であるのが好ましい。
【0073】
12〜R17の一価の有機基としては、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭化水素環基、複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、−SO3−Ra、−NRbc、シアノ基、−SiRdef、−SORg、−SO2g、ニトロ基を表し、Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルカリ金属原子又は4級アンモニウムを表し、Rb、Rc及びRgはそれぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭化水素環基又は複素環基を表し、Rd〜Rfはそれぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭化水素環基、複素環基、アルコキシ基又はアリーロキシ基を表す。
【0074】
12〜R17におけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭化水素環基、複素環基、アルコキシ基及びアリーロキシ基は、前記R7〜R11のそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。また、これらの基は前記置換基を有していてもよい。
【0075】

12〜R17におけるアシル基、又は、アルコキシカルボニル基としては、その炭素鎖側の炭素数はそれぞれ1〜30であることが好ましく、1〜12であることが特に好ましく、直鎖であっても前記置換基を有していてもよい。
【0076】
12〜R17におけるアシルオキシ基としては、炭素数1〜30であることが好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましく、直鎖であっても前記置換基を有していてもよい。
12〜R17における−SO3−Ra中のRaとしては、水素原子、置換基を有していてもよい前記アルキル基、置換基を有していてもよい前記アリール基、リチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子であることが好ましい。
【0077】
−NRbc中のRb及びRcにおける前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭化水素環基及び複素環基は、前記R7〜R11のそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。また、これらの基は前記置換基を有していてもよい。
【0078】
−SiRdef中のRd〜Rfにおける前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭化水素環基、複素環基、アルコキシ基及びアリーロキシ基は、前記R7〜R11のそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。また、これらの基は前記置換基を有していてもよい。
【0079】
−SORg又は−SO2g中のRgにおける前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭化水素環基及び複素環基は、前記R7〜R11のそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。また、これらの基は前記置換基を有していてもよい。
【0080】
上記一般式(II)〜(VII)により表される対カチオンの具体例としては、例えば、以下のCa−1〜Ca−41に示す構造の対カチオンを好ましく挙げることができる。
【化16】

【0081】
【化17】

【0082】
【化18】

【0083】
【化19】

【0084】
【化20】

【0085】
また、アウトガス抑制の観点から、好ましい有機オニウムイオンとして、下記一般式(VIII)の構造を有するカチオンが挙げられる。
【化21】

【0086】
一般式(VIII)中、
1〜R13は、各々独立に水素原子又は置換基を表し、R1〜R13のうち少なくとも1つはアルコール性水酸基を含む置換基である。
Zは単結合または2価の連結基である。
【0087】
本発明におけるアルコール性水酸基とはアルキル基の炭素原子に結合した水酸基を表す。
【0088】
1〜R13がアルコール性水酸基を含む置換基である場合、R1〜R13は−W−Yで表される基であることが好ましい。ただし、Yは水酸基で置換されたアルキル基であり、Wは単結合または2価の連結基である。
【0089】
Yのアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができ、好ましくはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基であり、更に好ましくはエチル基、プロピル基、イソプロピル基である。Yは特に好ましくは-CH2CH2OH構造を含有する。
【0090】
Wで表される2価の連結基としては、特に制限は無いが、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基などの一価の基における任意の水素原子を単結合で置き換えた二価の基を挙げることができる。
【0091】
Wとして好ましくは単結合、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた二価の基であり、更に好ましくは単結合、アシルオキシ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた二価の基である。
【0092】
1〜R13がアルコール性水酸基を含む置換基である場合、含まれる炭素数は好ましくは2〜10個であり、更に好ましくは2〜6個であり、特に好ましくは2〜4個である。
【0093】
1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基は、アルコール性水酸基を2つ以上有しても良い。R1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基の有するアルコール性水酸基の数としては1個から6個であり、好ましくは1個から3個が好ましく、更に好ましくは1個であることが好ましい。
【0094】
一般式(VIII)で表される化合物の有するアルコール性水酸基の数は、R1〜R13すべてあわせて1個から10個であり、好ましくは1個から6個であり、更に好ましくは1個から3個である。
【0095】
1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は各々独立に水素原子または置換基であり、置換基としては、いかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言っても良い)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OS
3H)、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
【0096】
また、R1〜R13のうちの隣接する2つが共同して環(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)を形成することもできる。
【0097】
1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は好ましくは水素原子又はハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、シリル基、ウレイド基である。
【0098】
1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は更に好ましくは水素原子又はハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基である。
【0099】
更に、R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は特に好ましくは水素原子又はアルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、ハロゲン原子、アルコキシ基である。
【0100】
一般式(VIII)中、R1〜R13のうち少なくとも1つはアルコール性水酸基を含み、好ましくは、R9〜R13のうち少なくとも1つがアルコール性水酸基を含む。
【0101】
Zは単結合または2価の連結基を表し、2価の連結基としては例えば、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、ジスルフィド基、アシル基、アルキルスルホニル基、−CH=CH−、−C≡C−、アミノカルボニルアミノ基、アミノスルホニルアミノ基、等であり、置換基を有しても良い。これらの置換基としては上のR1〜R13に示した置換基と同様である。Zとして好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基、アミノスルホニルアミノ基など電子求引性を持たない置換基であり、更に好ましくは単結合、エーテル基、チオエーテル基であり、特に好ましくは単結合である。
【0102】
以下に、一般式(VIII)で表されるオニウムイオンの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【化22】

【0103】
【化23】

【0104】
一般式(I)で表される化合物(A1)の添加量は、総量として、感光性組成物の全固形分を基準として、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜35質量%、更に好ましくは3〜30質量%である。
【0105】
一般式(I)で表される化合物(A1)の分子量としては200〜2000が好ましく、特に好ましくは400〜1000である。
【0106】
一般式(I)で表される化合物(A1)は、環状脂肪族骨格を有する芳香族化合物をスルホン化する方法などにより合成することが出来る。例えば、シクロアルキル基(Cy)で置換された本願発明の化合物は、以下のスキームで合成可能である。
【化24】

【0107】
スルホン化の反応は、クロロスルホン酸(と加水分解)、硫酸、発煙硫酸、SO、SO錯体、亜硫酸塩等のいずれかの試薬を用いて行うことができる。
対カチオンは、例えば、特開平6−184170号公報等に記載の公知のアニオン交換法やイオン交換樹脂による変換法により、所望のカチオンMに変換することが出来る。
【0108】
〔2〕活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物(酸発生剤A2)
本発明の感光性組成物は、酸発生剤(A1)とともに、他の酸発生剤を併用してもよい以降、酸発生剤(A1)ではない他の酸発生剤を酸発生剤(A2)と呼ぶ。
酸発生剤(A2)としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0109】
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0110】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号公報、特開昭55−164824号公報、特開昭62−69263号公報、特開昭63−146038号公報、特開昭63−163452号公報、特開昭62−153853号公報、特開昭63−146029号公報等に記載の化合物を用いることができる。
【0111】
さらに米国特許第3,779,778号明細書、欧州特許第126,712号明細書等に
記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0112】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【化25】

【0113】
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1
〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表す。
【0114】
-としての非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸ア
ニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
【0115】
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
【0116】
スルホン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
【0117】
カルボン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
【0118】
脂肪族スルホン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができる。
【0119】
芳香族スルホン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0120】
脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましく
は炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基としてさらにアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
【0121】
脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位としては、脂肪族スルホン酸アニオンおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができる。
【0122】
芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のアリール基を挙げることができる。
【0123】
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0124】
脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、置換基を有していてもよい。脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の置換基としては、例えば、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
【0125】
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができ、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
【0126】
-の非求核性アニオンとしては、スルホン酸のα位がフッ素原子で置換された脂肪族
スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくは炭素数4〜8のパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
【0127】
201、R202及びR203としての有機基としては、例えば、後述する化合物(ZI−1
)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
尚、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般
式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0128】
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)、及び(ZI−4)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
【0129】
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
【0130】
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基としては、例えば、ピロール残基(ピロールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、フラン残基(フランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、チオフェン残基(チオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)、インドール残基(インドールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾフラン残基(ベンゾフランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾチオフェン残基(ベンゾチオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)等を挙げることができる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
【0131】
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0132】
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0133】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
【0134】
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
【0135】
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペ
ンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくは2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、2−オキソシクロアルキル基を挙げることができる。
【0136】
2−オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
2−オキソシクロアルキル基は、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
【0137】
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【化26】

【0138】
一般式(ZI−3)に於いて、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
【0139】
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
【0140】
Zc-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-と同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
【0141】
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個のアルキル基、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができ、シクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
【0142】
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
【0143】
好ましくは、R1c〜R5cの内のいずれかが直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基であり、更に好ましくは、R1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
【0144】
x及びRyとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、R1c〜R7cおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができ、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
【0145】
2−オキソアルキル基及び2−オキソシクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基及びシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cおけると同様のアルコキシ基を挙げることができる。
【0146】
x及びRyは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基又はシクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基又はシクロアルキル基である。
【0147】
次に、化合物(ZI−4)について説明する。
【化27】

【0148】
一般式(ZI−4)中、
13は水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、またはアルコキシカルボニル基を表す。
【0149】
14は複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基を表す。
【0150】
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよい。
【0151】
lは0〜2の整数を表す。
【0152】
rは0〜10の整数を表す。
【0153】
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-と同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
【0154】
一般式(ZI−4)において、R13、R14及びR15のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
【0155】
13、R14及びR15のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデカニル、シクロベンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクタジエニル等があげられ、特にシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルが好ましい。
【0156】
13及びR14のアルコキシ基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等を挙げることができる。これらのアルコキシ基のうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が好ましい。
【0157】
13のアルコキシカルボニル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数2〜11のものが好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。これらのアルコキシカルボニル基のうち、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等が好ましい。
【0158】
14のアルキルスルホニル基およびシクロアルキルスルホニル基としては、直鎖状、分岐状、環状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、tert−ブタンスルホニル基、n−ペンタンスルホニル基、ネオペンタンスルホニル基、n−ヘキサンスルホニル基、n−ヘプタンスルホニル基、n−オクタンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基n−ノナンスルホニル基、n−デカンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等を挙げることができる。これらのアルキルスルホニル基のうちメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等が好ましい。
rとしては、0〜2が好ましい。
【0159】
一般式(ZI−4)において、R15のフェニル基としては、置換されていてもよく、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−フルオロフェニル基等のフェニル基又は炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基で置換されたフェニル基;これらのフェニル基又はアルキル置換フェニル基を、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等の少なくとも一種の基1個以上で置換した基等を挙げることができる。
【0160】
フェニル基及びアルキル置換フェニル基に対する置換基のうち、前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基等を挙げることができる。
【0161】
前記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシアルキル基等を挙げることができる。また、前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0162】
前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。一般式(ZI−4)におけるR15の置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブトキシフェニル基等が好ましい。
【0163】
15の置換されていてもよいナフチル基としては、例えば、1−ナフチル基、2−メチル−1−ナフチル基、3−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−1−ナフチル基、7−メチル−1−ナフチル基、8−メチル−1−ナフチル基、2,3−ジメチル−1−ナフチル基、2,4−ジメチル−1−ナフチル基、2,5−ジメチル−1−ナフチル基、2,6−ジメチル−1−ナフチル基、2,7−ジメチル−1−ナフチル基、2,8−ジメチル−1−ナフチル基、3,4−ジメチル−1−ナフチル基、3,5−ジメチル−1−ナフチル基、3,6−ジメチル−1−ナフチル基、3,7−ジメチル−1−ナフチル基、3,8−ジメチル−1−ナフチル基、4,5−ジメチル−1−ナフチル基、5,8−ジメチル−1−ナフチル基、4−エチル−1−ナフチル基2−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基等のナフチル基又は炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基で置換されたナフチル基;これらのナフチル基又はアルキル置換ナフチル基を、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等の少なくとも1種の基1個以上で置換した基等を挙げることができる。
【0164】
前記置換基であるアルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、前記フェニル基及びアルキル置換フェニル基について例示した基を挙げることができる。一般式(ZI−4)におけるR15の置換されていてもよいナフチル基としては、1−ナフチル基、1−(4−メトキシナフチル)基、1−(4−エトキシナフチル)基、1−(4−n−プロポキシナフチル)基、1−(4−n−ブトキシナフチル)基、2−(7−メトキシナフチル)基、2−(7−エトキシナフチル)基、2−(7−n−プロポキシナフチル)基、2−(7−n−ブトキシナフチル)基等が好ましい。
【0165】
2個のR15が互いに結合して形成してもよい環構造としては、一般式(ZI−4)中の硫黄原子と共に5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)を形成する基が望ましい。また、前記2価の基に対する置換基としては、例えば、前記フェニル基及びアルキル置換フェニル基に対する置換基として例示したヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。一般式(6)におけるR15としては、メチル基、エチル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2個のR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基等が好ましい。
【0166】
以下に一般式(ZI−4)中のカチオンの好ましい具体例を示す。
【化28】

【0167】
一般式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
【0168】
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基としては、例えば、ピロール残基(ピロールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、フラン残基(フランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、チオフェン残基(チオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)、インドール残基(インドールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾフラン残基(ベンゾフランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾチオフェン残基(ベンゾチオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)等を挙げることができる。
【0169】
204〜R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
【0170】
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
【0171】
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
使用することができる活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【化29】

【0172】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
206、R207及びR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
【0173】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物である。
また、活性光線又は放射線の放射により酸を発生する化合物として、スルホン酸基又はイミド基を1つ有する酸を発生する化合物が好ましく、さらに好ましくは1価のパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する化合物、または1価のフッ素原子またはフッ素原子を含有する基で置換された芳香族スルホン酸を発生する化合物、または1価のフッ素原子またはフッ素原子を含有する基で置換されたイミド酸を発生する化合物であり、更により好ましくは、フッ化置換アルカンスルホン酸、フッ素置換ベンゼンスルホン酸又はフッ素置換イミド酸のスルホニウム塩である。使用可能な酸発生剤は、発生した酸のpKaがpKa=−1以下のフッ化置換アルカンスルホン酸、フッ化置換ベンゼンスルホン酸、フッ化置換イミド酸であることが特に好ましく、感度が向上する。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
【化30】

【0174】
【化31】

【0175】
【化32】

【0176】
【化33】

【0177】
【化34】

【0178】
【化35】

【0179】
【化36】

【0180】
酸発生剤A2についても、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤A2の添加量は、酸発生剤A1に対し、通常100質量%以下であり、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
【0181】
〔3〕酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂(B)
本発明のポジ型感光性組成物に用いられる、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂(B)は、樹脂の主鎖又は側鎖、或いは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(酸分解性基)を有する樹脂である。この内、酸分解性基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
【0182】
酸分解性基として好ましい基は、−COOH基、−OH基などのアルカリ可溶性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
本発明においては、酸分解性基は、アセタール基又は3級エステル基が好ましい。
【0183】
これら酸で分解し得る基が側鎖として結合する場合の母体樹脂は、側鎖に−OHもしくは−COOH基を有するアルカリ可溶性樹脂である。例えば、後述するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
【0184】
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して17nm/秒以上が好ましい。特に好ましくは33nm/秒以上である。
【0185】
このような観点から、特に好ましいアルカリ可溶性樹脂は、o−,m−,p−ポリ(ヒドロキシスチレン)及びこれらの共重合体、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリ(ヒドロキシスチレン)、ポリ(ヒドロキシスチレン)の一部、O−アルキル化もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、水素化ノボラック樹脂等のヒドロキシスチレン構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂、(メタ)アクリル酸、ノルボルネンカルボン酸などのカルボキシル基を有する繰り返し単位を含有するアルカリ可溶性樹脂である。
【0186】
本発明に於ける好ましい酸分解性基を有する繰り返し単位としては、例えば、t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、1−アルコキシエトキシスチレン、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル等を挙げることができ、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート及びジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0187】
本発明に用いられる(B)成分は、欧州特許254853号明細書、特開平2−25850号公報、同3−223860号公報、同4−251259号公報等に開示されているように、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解し得る基の前駆体を反応させる、もしくは、酸で分解し得る基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合して得ることができる。
【0188】
本発明のポジ型感光性組成物にKrFエキシマレーザー光、電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー光線(EUVなど)を照射する場合には、(B)成分の樹脂はヒドロキシスチレン繰り返し単位を有することが好ましい。更に好ましくはヒドロキシスチレン/酸分解基で保護されたヒドロキシスチレン共重合体、ヒドロキシスチレン/(メタ)アクリル酸3級アルキルエステルが好ましい。
樹脂としてより具体的には、例えば下記一般式(1)で表される繰り返し構造を有する樹脂が好ましい。
【化37】

【0189】
式中、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
【0190】
Ar1は、芳香環基を表す。あるいは、R03とArがアルキレン基であり、互いに結合して−C−C−と共に5員若しくは6員環を形成してもよい。
【0191】
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
【0192】
nは、1〜4の整数を表し、1〜2が好ましく、1がより好ましい。
【0193】
一般式におけるR01 〜R03のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していても良いメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
【0194】
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R01 〜R03におけるア
ルキル基と同様のものが好ましい。
【0195】
シクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよいシクロアルキル基が挙げられる。好ましくは置換基を有していても良いシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
【0196】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
【0197】
03がアルキレン基を表す場合、アルキレン基としては、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
【0198】
Ar1 の芳香環基は、置換基を有していても良い炭素数6〜14個のものが好ましく、具体的にはベンゼン環、トルエン環、ナフタレン環等が挙げられる。
【0199】
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、n個中の少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
【0200】
酸の作用により脱離する基Yとしては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−CH(R36)(Ar)等を挙げることができる。
【0201】
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0202】
01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
【0203】
Arは、アリール基を表す。
【0204】
36〜R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
【0205】
36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
【0206】
36〜R39、R01、R02及びArのアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等を挙げることができる。
【0207】
36〜R39、R01及びR02のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0208】
36〜R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロへキセニル基等を挙げることができる。
【0209】
36とR37とが、互いに結合して形成する環は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロへキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、ノルボルナン構造、ジシクロペンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等を挙げることができる。尚、シクロアルカン構造中の炭素原子の一部が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
【0210】
36〜R39、R01、R02、R03、Ar及びAr1としての上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができ、置換基の炭素数8以下が好ましい。
【0211】
酸の作用により脱離する基Yとしては、下記一般式(2)で表される構造がより好ましい。
【化38】

【0212】
ここで、L1及びL2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
【0213】
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0214】
Qは、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂環基、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香環基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基又はアルデヒド基を表す。
【0215】
Q、M、L1の少なくとも2つが結合して5員若しくは6員環を形成しても良い。
【0216】
1及びL2としてアルキル基は、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
【0217】
1及びL2としてシクロアルキル基は、例えば炭素数3〜15個のシクロアルキル基であって、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基を好ましく挙げることができる。
【0218】
1及びL2としてアリール基は、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
【0219】
1及びL2としてアラルキル基は、例えば、炭素数6〜20であって、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
【0220】
Mとしての2価の連結基は、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基など)、シクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)、アルケニレン基(例えば、エチレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など)、アリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基など)、−S−、−O−、−CO−、−SO2−、−N(R0)−、およびこれらの複数を組み合わせた2価の連結基である。R0は、水素原子またはアルキル基(例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基など)である。
【0221】
Qとしてのアルキル基、シクロアルキル基は、上述のL1及びL2としての各基と同様である。
【0222】
Qとしてのヘテロ原子を含んでいてもよい脂環基及びヘテロ原子を含んでいてもよい芳香環基に於ける脂環基及び芳香環基としては、上述のL1及びL2としてのシクロアルキル基、アリール基などが挙げられ、好ましくは、炭素数3〜15である。
【0223】
ヘテロ原子を含む脂環基及びヘテロ原子を含む芳香環基としては、例えば、チイラン、シクロチオラン、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール、ピロリドン等のヘテロ環構造を有する基が挙げられるが、炭素とヘテロ原子で形成される環、あるいはヘテロ原子にて形成される環であれば、これらに限定されない。 Q、M、L1の少なくとも2つが結合して形成してもよい5員または6員環としては、Q、M、L1の少なくとも2つが結合して、例えば、プロピレン基、ブチレン基を形成して、酸素原子を含有する5員または6員環を形成する場合が挙げられる。
【0224】
一般式(2)におけるL1、L2、M、Qで表される各基についても、置換基を有していてもよく、例えば、前述のR36〜R39、R01、R02、R03、Ar及びAr1が有してもよい置換基として挙げたものが挙げられ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
【0225】
−M−Qで表される基として、炭素数1〜30で構成される基が好ましく、炭素数5〜20で構成される基がより好ましい。特にアウトガス抑制の観点からは炭素数6以上が好ましい。
【0226】
本発明に使用される(B)成分の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【化39】

【0227】
【化40】

【0228】
上記具体例において、tBuはt−ブチル基を表す。
酸で分解し得る基の含有率は、樹脂中の酸で分解し得る基の数(B)と酸で脱離する基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)をもって、B/(B+S)で表される。含有率は、好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.05〜0.50、更に好ましくは0.05〜0.40である。
【0229】
本発明のポジ型感光性組成物にArFエキシマレーザー光を照射する場合には、(B)成分の樹脂は、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂であることが好ましい。
【0230】
単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂(以下、「脂環炭化水素系酸分解性樹脂」ともいう)としては、下記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位及び下記一般式(II-AB)で示される繰り返し単位の群から選択され
る少なくとも1種を有する樹脂であることが好ましい。
【化41】

【0231】
一般式(pI)〜(pV)中、
11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともにシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
【0232】
12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R12〜R14の内の少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかはシクロアルキル基を表す。
【0233】
17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R17〜R21の内の少なくとも1つはシクロアルキル基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。
【0234】
22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R22〜R25の内の少なくとも1つはシクロアルキル基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【化42】

【0235】
一般式(II-AB)中、
11’及びR12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Z'は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0236】
また、上記一般式(II-AB)は、下記一般式(II−AB1)又は一般式(II−AB2)であることが更に好ましい。
【化43】

【0237】
一般式(II−AB1)、(II−AB2)中、
13’〜R16’は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A'−R17’、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rl3’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。
【0238】
ここで、R5は、アルキル基、シクロアルキル基又はラクトン構造を有する基を表す。
【0239】

Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。 A'は、単結合又は2価の連結基を表す。
17’は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、アルコキシ基、−CO−NH
−R6、−CO−NH−SO2−R6又はラクトン構造を有する基を表す。
6は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
nは、0又は1を表す。
【0240】
一般式(pI)〜(pV)において、R12〜R25におけるアルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0241】
11〜R25におけるシクロアルキル基或いはZと炭素原子が形成するシクロアルキル基は、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらのシクロアルキル基は置換基を有していてもよい。
【0242】
好ましいシクロアルキル基としては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、テトラシクロドデカニル基、トリシクロデカニル基を挙げることができる。
【0243】
これらのアルキル基、シクロアルキル基は、更に置換基を有していてもよい。アルキル基、シクロアルキル基の更なる置換基としては、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)が挙げられる。上記のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等は、更に置換基を有していてもよい。アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等が、更に有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。
【0244】
上記樹脂における一般式(pI)〜(pV)で示される構造は、アルカリ可溶性基の保護に使用することができる。アルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種々の基が挙げられる。
【0245】
具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基、チオール基の水素原子が一般式(pI)〜(PV)で表される構造で置換された構造などが挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基の水素原子が一般式(pI)〜(pV)で表される構造で置換された構造である。
【0246】
一般式(pI)〜(pV)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で示される繰り返し単位が好ましい。
【化44】

【0247】
一般式(pA)に於いて、Rは、水素原子、ハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。
【0248】
Aは、単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。好ましくは単結合である。
Rpは、上記一般式(pI)〜(pV)のいずれかの基を表す。
【0249】
一般式(pA)で表される繰り返し単位は、最も好ましくは、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位である。
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位の具体例を示す。
【化45】

【0250】
上記各構造式に於いて、Rxは、H、CH3、CF3又はCH2OHを表し、Rxa及びRxbは、各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
一般式(II−AB)に於ける、R11’、R12’のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0251】
11’、R12’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分岐状の、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等が挙げられる。
【0252】
上記Z'の脂環式構造を形成するための原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し単位を樹脂に形成する原子団であり、中でも有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し単位を形成する有橋式脂環式構造を形成するための原子団が好ましい。
【0253】
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、一般式(pI)〜(pVI)に於けるR12〜R25のシクロアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記脂環式炭化水素の骨格には置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、前記一般式(II−AB1)又は(II−AB2)中のR13’〜R16’を挙げることができる。
【0254】
本発明に係る脂環炭化水素系酸分解性樹脂においては、酸の作用により分解する基は、前記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位、一般式(II-AB)で表される繰り返し単位、及び後記共重合成分の繰
り返し単位のうち少なくとも1種の繰り返し単位に有することができる。
【0255】
上記一般式(II−AB1)又は一般式(II−AB2)におけるR13’〜R16’の各種置換基は、上記一般式(II-AB)における脂環式構造を形成するための原子団ないし有橋式脂環式構造を形成するための原子団Zの置換基ともなり得る。
【0256】
上記一般式(II−AB1)又は一般式(II−AB2)で表される繰り返し単位として、下記具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されない。
【化46】

【0257】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、ラクトン基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。ラクトン基としては、ラクトン構造を有していればいずれの基でも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造を有する基であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、下記一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)であり、特定のラクトン構造を用いることでラインエッジラフネス、現像欠陥が良好になる。
【化47】

【0258】
ラクトン構造部分は、置換基(Rb2)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。n2は、0〜4の整数を表す。n2が、2以上の整数の時、複数存在するRb2は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在するRb2同士が結合して環を形成してもよい。
【0259】
一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−AB1)又は(II−AB2)中のR13’〜R16’の内の少なくとも1つが一般式(LC1−1)〜(LC1−16)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(LC1−1)〜(LC1−16)で表される基を表す)、又は下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【化48】

【0260】
一般式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Rb0のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。Rb0のアルキル基は、置換基を有していてもよい。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。
【0261】
Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は水素原子、メチル基が好ましい。
【0262】
Abは、アルキレン基、単環または多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。好ましくは、単結合又は−Ab1−CO2−で表される連結基である。
Ab1は、直鎖、分岐アルキレン基、単環又は多環のシクロアルキレン基であり、好ましくは、メチレン基、エチレン基、シクロヘキシル残基、アダマンチル残基、ノルボルニル残基である。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のうちのいずれかで示される基を表す。
【0263】
ラクトン構造を有する繰り返し単位は、通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、より好ましくは95以上である。
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【化49】

【0264】
【化50】

【0265】
【化51】

【0266】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を有していることが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。極性基としては水酸基、シアノ基が好ましい。
ここで、極性基としての水酸基は、アルコール性水酸基を形成する。
極性基で置換された脂環炭化水素構造としては、例えば、下記一般式(VIIa)又は(VIIb)で表される構造を挙げることができる。
【化52】

【0267】
一般式(VIIa)中、R2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cの内の1つ又は2つが、水酸基で残りが水素原子であり、更に好ましくはR2c〜R4cの内の2つが、水酸基で残りが水素原子である。
【0268】
一般式(VIIa)で表される基は、好ましくはジヒドロキシ体、モノヒドロキシ体であり、より好ましくはジヒドロキシ体である。
【0269】
一般式(VIIa)又は(VIIb)で表される基を有する繰り返し単位としては、前記一般式(II−AB1)又は(II−AB2)中のR13’〜R16’の内の少なくとも1つが、上記一般式(VIIa)又は(VIIb)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が、一般式(VIIa)又は(VIIb)で表される基を表す)、又は下記一般式(AIIa)又は(AIIb)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【化53】

【0270】
一般式(AIIa)、(AIIb)中、R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキメチル基を表す。
2c〜R4cは、一般式(VIIa)に於けるR2c〜R4cと同義である。
【0271】
一般式(AIIa)又は(AIIb)で表される極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【化54】

【0272】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位を有してもよい。
【化55】

【0273】
一般式(VIII)に於いて、Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。R41は、水
素原子、水酸基、アルキル基又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、シクロ
アルキル基又は樟脳残基を表す。R41及びR42のアルキル基は、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)等で置換されていてもよい。
【0274】
一般式(VIII)で表される繰り返し単位として、以下の具体例が挙げられるが、本発明は、これらに限定されない。
【化56】

【0275】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有することが好ましく、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。これを有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。カルボキシル基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接カルボキシル基が結合している繰り返し単位、或いは連結基を介して樹脂の主鎖にカルボキシル基が結合している繰り返し単位のいずれも好ましく、連結基は、単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。最も好ましくはアクリル酸、メタクリル酸である。
【0276】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、下記一般式(F1)で表される基を1〜3個有する繰り返し単位を有していてもよい。これによりラインエッジラフネス性能が向上する。
【化57】

【0277】
一般式(F1)中、R50〜R55は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。但し、R50〜R55の内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
Rxは、水素原子または有機基(好ましくは酸分解性保護基、アルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基)を表す。
【0278】
50〜R55のアルキル基は、フッ素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよく、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基を挙げることができる。
50〜R55は、すべてフッ素原子であることが好ましい。
【0279】
Rxが表わす有機基としては、酸分解性保護基、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルメチル基、アルコキシメチル基、1−アルコキシエチル基が好ましい。
【0280】
一般式(F1)で表される基を有する繰り返し単位として、好ましくは、下記一般式(F2)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【化58】

【0281】
一般式(F2)中、Rxは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rxのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。
Faは、単結合、直鎖または分岐のアルキレン基を表し、好ましくは単結合である。
Fbは、単環または多環の環状炭化水素基を表す。
Fcは、単結合、直鎖または分岐のアルキレン基を表し、好ましくは単結合又はメチレン基である。
は、一般式(F1)で表される基を表す。
は、1〜3の整数を表す。
【0282】
Fbに於ける環状炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基が好ましい。
以下、一般式(F1)の構造を有する繰り返し単位の具体例を示す。
【化59】

【0283】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
【0284】
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0285】
これにより、脂環炭化水素系酸分解性樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
【0286】
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0287】
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0288】
脂環炭化水素系酸分解性樹脂において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0289】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
【0290】
(1) 上記一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を含有するもの(側鎖型)。好ましくは(pI)〜(pV)の構造を有する(メタ)アクリレートによる繰り返し単位を有するもの。
【0291】
(2) 一般式(II-AB)で表される繰り返し単位を有するもの(主鎖型)。但し、(2)においては、例えば、更に以下のものが挙げられる。
【0292】
(3) 一般式(II-AB)で表される繰り返し単位、無水マレイン酸誘導体構造及び(メタ)アクリレート構造を有するもの(ハイブリッド型)。
【0293】
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは20〜50モル%、更に好ましくは25〜40モル%である。
【0294】
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中25〜70モル%が好ましく、より好ましくは35〜65モル%、更に好ましくは40〜60モル%である。
【0295】
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、一般式(II-AB)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
【0296】
ラクトン基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜70モル%が好ましく、より好ましくは20〜60モル%、更に好ましくは25〜60モル%である。
極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中1〜40モル%が好ましく、より好ましくは5〜30モル%、更に好ましくは5〜20モル%である。
【0297】
また、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し構造単位の樹脂中の含有量も、所望のレジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般的に、上記一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し構造単位と上記一般式(II-AB)で表される繰り返し単位の合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
【0298】
本発明の組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂は芳香族基有さないことが好ましい。
本発明に用いる脂環炭化水素系酸分解性樹脂として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート、繰り返し単位のすべてがアクリレート、メタクリレート/アクリレート混合のいずれのものでも用いることができるが、アクリレート繰り返し単位が全繰り返し単位の50mol%以下であることが好ましい。
【0299】
より好ましくは一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を25〜50%、上記ラクトン構造を有する繰り返し単位を25〜50%、上記極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を5〜30%有する3元共重合ポリマー、または更に、カルボキシル基、あるいは一般式(F1)で表される構造を有する繰り返し単位を5〜20%有する4元共重合ポリマーである。
【0300】
本発明に用いる脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種および開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明の感光性組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
【0301】
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50℃〜100℃である。
【0302】
本発明の組成物を多層レジストの上層レジストに使用する場合に、(B)成分の樹脂は、シリコン原子を有することが好ましい。
【0303】
シリコン原子を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大する樹脂としては、シリコン原子を主鎖及び側鎖の少なくとも一方に有する樹脂を用いることができる。樹脂の側鎖にシロキサン構造を有する樹脂として、例えば、シリコン原子を側鎖に有するオレフィン系単量体、無水マレイン酸及び酸分解性基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸系単量体の共重合体を挙げることができる。
【0304】
シリコン原子を有する樹脂としてはトリアルキルシリル構造、単環または多環の環状シロキサン構造を有する樹脂が好ましく、下記一般式(SS−1)〜(SS−4)で表される構造を有する繰り返しを有する樹脂がより好ましく、一般式(SS−1)〜(SS−4)で表される構造を有する(メタ)アクリル酸エステル系繰り返し単位、ビニル系繰り返し単位またはアリル系繰り返し単位を有する樹脂がより好ましい。
【化60】

【0305】
一般式(SS−1)〜(SS−4)中、Rsは炭素数1〜5のアルキル基を表し、好ましくはメチル基、エチル基である。
【0306】
シリコン原子を有する樹脂は、異なる2種類以上のシリコン原子を有する繰り返し単位を有することが好ましく、より好ましくは(Sa)シリコン原子を1〜4個有する繰り返し単位と(Sb)シリコン原子を5〜10個有する繰り返し単位の両方を有する樹脂であり、更により好ましくは一般式(SS−1)〜(SS−3)で表される構造を有する少なくとも1種類の繰り返し単位と一般式(SS−4)で表される構造を有する繰り返し単位を有する樹脂である。
【0307】
本発明のポジ型感光性組成物にF2エキシマレーザー光を照射する場合に、(B)成分
の樹脂は、ポリマー骨格の主鎖及び/又は側鎖にフッ素原子が置換した構造を有し、且つ酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度を増大する樹脂(以下、フッ素系酸分解性樹脂ともいう)が好ましく、さらに好ましくは1位がフッ素原子若しくはフロロアルキル基で置換された水酸基又は1位がフッ素原子若しくはフロロアルキル基で置換された水酸基を酸分解基で保護した基を有する樹脂であり、特に好ましくはヘキサフロロ−2−プロパノール構造又はヘキサフロロ−2−プロパノールの水酸基を酸分解基で保護した構造を有する樹脂である。フッ素原子を導入することで遠紫外光、特にF2(157n
m)光に対する透明性を向上させることができる。
【0308】
フッ素系酸分解性樹脂として、例えば、下記一般式(FA)〜(FG)で示される繰り返し単位を少なくとも1種類有する樹脂を好ましく挙げることができる。
【化61】

【0309】
前記一般式中、
100〜R103は、それぞれ、水素原子、フッ素原子、アルキル基またはアリール基を表す。 R104およびR106は、それぞれ、水素原子、フッ素原子またはアルキル基であり、R104およびR106の少なくとも1方がフッ素原子またはフルオロアルキル基である。R104およびR106は、好ましくは両方トリフルオロメチル基である。
105は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基または酸の作用により分解する基である。
1は、単結合、2価の連結基、例えばアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−OCO−、−COO−、または−CON(R24)−、およびこれらのうちの複数を含有する連結基である。R24は、水素原子またはアルキル基である。
107、R108は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基または酸の作用により分解する基である。
109は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は酸の作用により分解する基である。
【0310】
bは、0、1又は2である。
【0311】
また、一般式(FA)及び(FC)におけるR100とR101は、フッ素で置換されていてよいアルキレン基(炭素数1〜5)を介して環を形成していてもよい。
一般式(FA)〜(FG)で表される繰り返し単位は、一繰り返し単位あたりに少なくとも1つ、好ましくは3つ以上のフッ素原子を有する。
【0312】
上記一般式(FA)〜(FG)において、アルキル基としては、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
【0313】
シクロアルキル基としては単環型でもよく、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8個の、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基を好ましく挙げることができる。多環型としては炭素数6〜20個のものであって、例えばアダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を好ましく挙げることができる。但し、上記の単環又は多環のシクロアルキル基中の炭素原子が、酸素原子等のヘテロ原子に置換されていてもよい。
【0314】
フルオロアルキル基としては、例えば炭素数1〜12個のものであって、具体的にはトリフルオロメチル基、パーフルロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロオクチルエチル基、パーフルオロドデシル基等を好ましくあげることができる。
【0315】
アリール基としては、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を好ましく挙げることができる。
アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜8個のアルコキシ基であって、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、アリルオキシ基、オクトキシ基等を好ましく挙げることができる。
【0316】
アシル基としては、例えば炭素数1〜10個のアシル基であって、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基等を好ましく挙げることができる。
アルコキシカルボニル基としては、i−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、t−アミロキシカルボニル基、1−メチル−1−シクロヘキシルオキシカルボニル基等、好ましくは2級、より好ましくは3級のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0317】
アルキレン基としては、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
アルケニレン基としては、好ましくはエテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等の炭素数2〜6個のものが挙げられる。
【0318】
シクロアルキレン基としては、好ましくはシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数5〜8個のものが挙げられる。
アリーレン基としては、好ましくはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜15個のものが挙げられる。
【0319】
また、これらの基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシ基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、アシロキシ基(アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0320】
ここで、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基は上記で示したものが挙げられるが、アルキル基は、更にフッ素原子、シクロアルキル基で置換されていてもよい。
【0321】
本発明のフッ素系酸分解性樹脂に含まれる、酸の作用により分解しアルカリ可溶性を示す基としては、例えば−O−C(R36)(R37)(R38)、−O−C(R36)(R37)(OR39)、−O−COO−C(R36)(R37)(R38)、−O−C(R01)(R02)COO−C(R36)(R37)(R38)、−COO−C(R36)(R37)(R38)、−COO−C(R36)(R37)(OR39)等が挙げられる。
【0322】
36〜R39は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表し、R01、R02は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基(ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等)又はアリール基を表す。
【0323】
好ましい具体例としては、t−ブチル基、t−アミル基、1−アルキル−1−シクロヘキシル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、2−アダマンチル−2−プロピル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−プロピル基等の3級アルキル基のエーテル基又はエステル基、1−アルコキシ−1−エトキシ基、テトラヒドロピラニル基等のアセタール基又はアセタールエステル基、t−アルキルカーボネート基、t−アルキルカルボニルメトキシ基等が好ましく挙げられる。
【0324】
以下に一般式(FA)〜(FG)で表される繰り返し構造単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【化62】

【0325】
【化63】

【0326】
【化64】

【0327】
【化65】

【0328】
一般式(FA)〜(FG)で示される繰り返し単位の含量の合計は、樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に10〜80モル%、好ましくは30〜70モル%、更に好ましくは35〜65モル%の範囲で使用される。
【0329】
フッ素系酸分解性樹脂は、上記のような繰り返し構造単位以外にも、更に本発明のレジストの性能を向上させる目的で、他の重合性モノマーを共重合させてもよい。
【0330】
使用することができる共重合モノマーとしては、以下に示すものが含まれる。例えば、上記以外のアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物である。
【0331】
このようなフッ素系酸分解性樹脂には、ドライエッチング耐性向上、アルカリ可溶性調節、基板密着性向上などの観点から、前記フッ素原子を有する繰り返し単位の他に共重合成分として他の繰り返し単位を含有することが好ましい。他の繰り返し単位として好ましいものとしては:
1)前記一般式(pI)〜(pVI)及び(II−AB)に示す脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位。具体的には前記1〜23の繰り返し単位および[II−1]〜[II−32]の繰り返し単位。好ましくは上記具体例1〜23のうちRxがCF3のものである。
【0332】
2)前記一般式(Lc)及び(V−1)〜(V−5)に示すラクトン構造を有する繰り返し単位。具体的には先に例示した繰り返し単位、特に先に例示した一般式(Lc)、(V−1)〜(V−4)で表される基を有する繰り返し単位。
【0333】
3)無水マレイン酸、ビニルエーテルまたはシアノ基を有するビニル化合物から由来される下記一般式(XV)(XVI)(XVII)、具体的には(C−1)〜(C−15)に挙げられる繰り返し単位が挙げられる。これら他の繰返し単位中にはフッ素原子を含んでいてもいなくてもよい。
【化66】

【0334】
式中、
41は、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基もしくはアリール基を表す。R41のアルキル基は、アリール基で置換されていてもよい。
42は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を表す。
5は、単結合、2価のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基もしくはアリーレン基、又は−O−CO−R22−、−CO−O−R23−、−CO−N(R24)−R25−を表す。
【0335】
22、R23、R25は、同じでも異なっていてもよく、単結合、又はエーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基もしくはウレイド基を有してもよい、2価のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表す。
24は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。
【0336】
ここで、各置換基の例は、前記一般式(FA)〜(FG)の置換基と同様のものがあげられる。
【0337】
また一般式(XV)〜(XVII)で表される繰り返し構造単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【化67】

【0338】
一般式(XV)〜(XVII)で表される繰り返し単位とその他繰り返し単位の総量は、樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に0〜70モル%、好ましくは10〜60モル%、更に好ましくは20〜50モル%の範囲で使用される。
【0339】
フッ素系酸分解性樹脂は、酸分解性基をいかなる繰り返し単位に含んでいてもよい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、10〜70モル%が好ましく、より好ましくは20〜60モル%、更に好ましくは30〜60モル%である。
【0340】
フッ素系酸分解性樹脂は、脂環炭化水素系酸分解性樹脂とほぼ同様にラジカル重合によって合成することができる。
【0341】
(B)成分の樹脂の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは2,000〜200,000である。重量平均分子量を2,000以上とすることにより、耐熱性、ドライエッチング耐性を向上させることができ、また、重量平均分子量を200,000以下とすることにより、現像性を向上させることができ、且つ、粘度が低くなるために製膜性を向上させることができる。より好ましい分子量としては、2,500〜50,000であり、更に好ましくは、3,000〜20,000である。電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー線(EUVなど)を利用した微細パターン形成では、重量平均分子量3,000〜10,000が最も好ましい。分子量を調整することにより、組成物の耐熱性、解像力、現像欠陥等を両立させることができる。(B)成分の樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0が好ましく、より好ましくは1.2〜2.5であり、更により好ましくは1.2〜1.6である。分散度を適宜の範囲に調整することでラインエッジラフネス性能を向上させることができる。
【0342】
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物において、(B)成分の樹脂の組成物全体中の配合率は、全固形分中40〜99.9質量%が好ましく、より好ましくは50〜95質量%、更により好ましくは60〜93質量%である。
【0343】
〔4〕アルカリ現像液に可溶な樹脂(C)
以下、「(C)成分」あるいは「アルカリ可溶性樹脂」ともいう。
アルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して2nm/秒以上が好ましい。特に好ましくは20nm/秒以上である。
【0344】
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂、水素化ノボラツク樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、o−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、o/p−及びm/p−ヒドロキシスチレン共重合体、ポリヒドロキシスチレンの水酸基に対する一部O−アルキル化物(例えば、5〜30モル%のO−メチル化物、O−(1−メトキシ)エチル化物、O−(1−エトキシ)エチル化物、O−2−テトラヒドロピラニル化物、O−(t−ブトキシカルボニル)メチル化物等)もしくはO−アシル化物(例えば、5〜30モル%のo−アセチル化物、O−(t−ブトキシ)カルボニル化物等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、カルボキシル基含有メタクリル系樹脂及びその誘導体、ポリビニルアルコール誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0345】
特に好ましいアルカリ可溶性樹脂はノボラック樹脂及びo−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン及びこれらの共重合体、アルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの一部O−アルキル化、もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体である。
【0346】
該ノボラック樹脂は所定のモノマーを主成分として、酸性触媒の存在下、アルデヒド類と付加縮合させることにより得られる。
また、アルカリ溶解性樹脂の重量平均分子量は、2000以上、好ましくは5000〜200000、より好ましくは5000〜100000である。
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
本発明におけるこれらの(C)アルカリ可溶性樹脂は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂の使用量は、感光性組成物の全組成物の固形分に対し、40〜97質量%、好ましくは60〜90質量%である。
〔5〕酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(E)
以下、「(E)成分」或いは「溶解阻止化合物」ともいう。
(E)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物としては、220nm以下の透過性を低下させないため、ProceedingofSPIE, 2724,355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。酸分解性基、脂環式構造としては、上記脂環炭化水素系酸分解性樹脂のところで説明したものと同様のものが挙げられる。
【0347】
本発明の感光性組成物をKrFエキシマレーザーで露光するか、或いは電子線で照射する場合には、フェノール化合物のフェノール性水酸基を酸分解基で置換した構造を含有するものが好ましい。フェノール化合物としてはフェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、さらに好ましくは2〜6個含有するものである。
【0348】
本発明における溶解阻止化合物の分子量は、3000以下であり、好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
溶解阻止化合物の添加量は、感光性組成物の固形分に対し、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
以下に溶解阻止化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【化68】

【0349】
〔6〕酸の作用により上記アルカリ可溶性樹脂と架橋する酸架橋剤(D)
以下、「(D)成分」或いは「架橋剤」ともいう。
本発明のネガ型感光性組成物には、架橋剤が使用される。
架橋剤としては酸の作用によりアルカリ現像液に可溶な樹脂を架橋する化合物であればいずれも用いることができるが、以下の(1)〜(3)が好ましい。
(1)フェノール誘導体のヒドロキシメチル体、アルコキシメチル体、アシルオキシメチル体。
【0350】
(2)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、N−アシルオキシメチル基を有する化合物。
【0351】
(3)エポキシ基を有する化合物。
【0352】
アルコキシメチル基としては炭素数6個以下、アシルオキシメチル基としては炭素数6個以下が好ましい。
これらの架橋剤の内、特に好ましいものを以下に挙げる。
【化69】

【0353】
式中、L1〜L8は、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基又は炭素数1〜6個のアルキル基を示す。
架橋剤は、感光性組成物の固形分中、通常3〜70質量%、好ましくは5〜50質量%の添加量で用いられる。
【0354】
〔7〕塩基性化合物(F)
本発明のレジスト組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、塩基性化合物を含有することが好ましい。塩基性化合物は、露光により発生した酸による脱保護反応をクエンチする役割を果たし、その拡散性や塩基性度が実質的な酸拡散性に影響する。
【0355】
好ましい構造として、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する塩基性化合物、もしくは、アンモニウム塩を挙げることができる。
【化70】

【0356】
ここでR250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭
素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜20)であり、ここでR250とR251は互いに結合して環を形成してもよい。
これらは置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基又は炭素数3〜20のアミノシクロアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素数3〜20のヒドロキシシクロアルキル基が好ましい。
また、これらはアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでも良い。
式中、R253、R254、R255及びR256は、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6)を示す。
【0357】
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンを挙げることができ、置換基を有していてもよい。更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
【0358】
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等があげられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンなどがあげられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはトリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシドなどがあげられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等があげられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
【0359】
更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物から選ばれる少なくとも1種類の含窒素化合物を挙げることができる。
【0360】
アミン化合物は、1級、2級、3級のアミン化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアミン化合物が好ましい。アミン化合物は、3級アミン化合物であることがより好ましい。アミン化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。
【0361】
また、アミン化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、さらに好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CH2CH2O−)もしくはオキシプロピレン基(−CH(CH3)CH2O−もしくは−CH2CH2CH2O−)が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン基である。
【0362】
アンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。
【0363】
アンモニウム塩化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成していてもよい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、さらに好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CH2CH2O−)もしくはオキシプロピレン基(−CH(CH3)CH2O−もしくは−CH2CH2CH2O−)が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン基である。
【0364】
アンモニウム塩化合物のアニオンとしては、ハロゲン原子、スルホネート、ボレート、フォスフェート、ハイドロキサイド等が挙げられるが、中でも、ハイドロキサイドが好ましい。ハロゲン原子としてはクロライド、ブロマイド、アイオダイドが特に好ましく、スルホネートとしては、炭素数1〜20の有機スルホネートが特に好ましい。有機スルホネートとしては、炭素数1〜20のアルキルスルホネート、アリールスルホネートが挙げられる。アルキルスルホネートのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては例えばフッ素、塩素、臭素、アルコキシ基、アシル基、アリール基等が挙げられる。アルキルスルホネートとして、具体的にはメタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。アリールスルホネートのアリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられる。ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。直鎖若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基として、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられる。他の置換基としては炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
【0365】
フェノキシ基を有するアミン化合物は、フェノキシ基を有する1または2級アミンとハロアルキルエーテルを加熱して反応させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得ることができる。または、1または2級アミンと末端にフェノキシ基を有するハロアルキルエーテルを加熱して反応させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得ることができる。
【0366】
感度、ラフネス、安定性などの観点から、塩基性化合物の中でもアンモニウム塩化合物が好ましく、4級のアンモニウム塩化合物のハイドロキサイドが最も好ましい。
【0367】
これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上で用いられる。
【0368】
塩基性化合物の分子量は、250〜1000であることが好ましく、より好ましくは250〜800、更に好ましくは400〜800である。
【0369】
塩基性化合物の含有量は、該組成物の全固形分に対して、1.0〜8.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.5〜5.0質量%、更に好ましくは2.0〜4.0質量%である。
【0370】
〔8〕フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(G)
本発明の感光性組成物は、更に、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
【0371】
本発明の感光性組成物がフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤とを含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
【0372】
これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
【0373】
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新
秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファッ
クF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0374】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
【0375】
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
【0376】
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オ
キシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有
するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(
オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を
有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0377】
フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤の使用量は、感光性組成物の全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0378】
〔9〕有機溶剤(H)
本発明の感光性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤に溶解して用いる。
使用し得る有機溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
【0379】
ケトン構造を有する溶剤としては、鎖状ケトン溶剤、環状ケトン溶剤が挙げられ、合計炭素数5〜8の化合物が塗布性が良好で好ましい。
鎖状ケトン溶剤としては、例えば、2−ヘプタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられ、好ましくは2−ヘプタノンである。
環状ケトン溶剤としては、例えば、シクロペンタノン、3−メチル−2−シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、イソホロン等挙げられ、好ましくはシクロヘキサノン、シクロヘプタノンである。
【0380】
溶剤はケトン構造を有する溶剤単独、もしくは他の溶剤との混合溶剤として用いることが好ましい。混合する溶剤(併用溶剤)としてはプロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、乳酸アルキル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、アルコキシプロピオン酸アルキル、ラクトン化合物等を挙げることができる。
【0381】
プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
【0382】
乳酸アルキルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル等を挙げることができる。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等を挙げることができる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等を挙げることができる。
ラクトン化合物としては、例えば、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
【0383】
好ましい併用溶剤としては、プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、乳酸アルキル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルを挙げることができる。より好ましい併用溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを挙げることができる。
【0384】
また、膜厚均一性や現像欠陥性能を高める観点で、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の沸点200℃以上の高沸点溶剤を混合してもよい。
これら高沸点溶剤の添加量は、全溶剤中の通常0.1〜15質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%であり、更に好ましくは1〜5質量%である。
【0385】
本発明に於いては、溶剤を単独に用いて、好ましくは2種類以上の溶剤を用いて、固形分濃度として、通常3〜25質量%、好ましくは5〜22質量%、より好ましくは5〜15質量%の感光性組成物を調製する。
【0386】
〔10〕その他の添加剤(I)
本発明の感光性組成物には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、上記(G)成分以外の界面活性剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
【0387】
本発明で使用できる現像液に対する溶解促進性化合物は、フェノール性OH基を2個以上、又はカルボキシ基を1個以上有する分子量1,000以下の低分子化合物である。カルボキシ基を有する場合は脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。
【0388】
これら溶解促進性化合物の好ましい添加量は、(B)成分の樹脂又は(C)成分の樹脂に対して2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。現像残渣抑制、現像時パターン変形防止の点で50質量%以下が好ましい。
【0389】
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号、特開平2−28531号、米国特許第4916210号、欧州特許第219294号等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
【0390】
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0391】
本発明においては、上記(G)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を加えることもできる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪族エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル類等のノニオン系界面活性剤を挙げることができる。
【0392】
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0393】
〔11〕パターン形成方法
本発明の感光性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。
【0394】
例えば、感光性組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布、乾燥し、感光性膜を形成する。なお、予め公知の反射防止膜を塗設することもできる。
当該感光性膜に、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行い、現像する。これにより良好なパターンを得ることができる。
活性光線又は放射線の照射時に感光性膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体を満たして露光(液浸露光)を行ってもよい。これにより解像性を高めることができる。
【0395】
活性光線又は放射線としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線等を挙げることができるが、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等であ
り、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(13nm)、電子ビーム
が好ましい。
【0396】
(液浸露光)
本発明の感光性組成物を液浸露光する場合に、感光性組成物は、解像力向上の観点から、膜厚30〜250nmで使用されることが好ましく、より好ましくは、膜厚30〜100nmで使用されることが好ましい。感光性組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
感光性組成物中の全固形分濃度は、一般的には1〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%、さらに好ましくは1.0〜6.0質量%である。
【0397】
本発明の感光性組成物を液浸露光する場合に、感光性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。
すなわち、感光性組成物を、精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により、任意の厚み(通常30〜500nm)で塗布する。塗布後、必要に応じて、液浸水にてレジスト膜を洗浄する。洗浄時間は通常5秒〜5分である。
【0398】
続いて、スピンまたはベークにより塗布された感光性組成物を乾燥し、感光性膜(以降、レジスト膜ともいう)を形成後、パターン形成のためマスクなどを通し、液浸水を介して露光(液浸露光)する。たとえば、レジスト膜と光学レンズの間を液浸液で満たした状態で露光する。露光量は適宜設定できるが、通常1〜100mJ/cm2である。露光後、必要に応じて、レジスト膜を液浸水で洗浄する。時間は通常5秒〜5分である。続いて、好ましくはスピンまたは/かつベークを行い、現像、リンスを行い、良好なパターンを得る。上記ベークを行うことが好ましく、ベーク温度は、通常30〜300℃である。前述したPEDの点から、露光からベーク工程までの時間は短いほうがよい。
【0399】
ここで露光光としては、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の波長の遠紫外線である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、X線等が挙げられる。
【0400】
尚、レジストを液浸露光に適用したときに見られる性能上の変化は、レジスト表面が液浸液に接触することに由来しているものと考えられる。
【0401】
液浸露光する際に使用する液浸液について、以下に説明する。
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつレジスト上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。
また、さらに屈折率が向上できるという点で屈折率1.5以上の媒体を用いることもできる。この媒体は、水溶液でもよく有機溶剤でもよい。
【0402】
液浸液として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させるために、ウェハ上のレジスト層を溶解させず、且つレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できる添加剤(液体)を僅かな割合で添加しても良い。その添加剤としては水とほぼ等しい屈折率を有する脂肪族系のアルコールが好ましく、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。水とほぼ等しい屈折率を有するアルコールを添加することにより、水中のアルコール成分が蒸発して含有濃度が変化しても、液体全体としての屈折率変化を極めて小さくできるといった利点が得られる。一方で、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物が混入した場合、レジスト上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。
【0403】
水の電気抵抗は、18.3MQcm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は20ppb以下であることが望ましく、脱気処理をしていることが望ましい。
【0404】
また、液浸液の屈折率を高めることにより、リソグラフィー性能を高めることが可能である。このような観点から、屈折率を高めるような添加剤を水に加えたり、水の代わりに重水(D2O)を用いてもよい。
【0405】
本発明の感光性組成物によるレジスト膜と液浸液との間には、レジスト膜を直接、液浸液に接触させないために、液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。トップコートに必要な機能としては、レジスト上層部への塗布適正、放射線、特に193nmに対する透明性、液浸液難溶性である。トップコートは、レジストと混合せず、さらにレジスト上層に均一に塗布できることが好ましい。
【0406】
トップコートは、193nm透明性という観点からは、芳香族を含有しないポリマーが好ましく、具体的には、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー、フッ素含有ポリマーなどが挙げられる。
【0407】
トップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、レジストへの浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程がレジストの現像処理工程と同時にできるという点では、アルカリ現像液により剥離できることが好ましい。アルカリ現像液で剥離するという観点からは、トップコートは酸性が好ましいが、レジストとの非インターミクス性の観点から、中性であってもアルカリ性であってもよい。
【0408】
トップコートと液浸液との間には屈折率の差がない方が解像力が向上する。露光光源が、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)の場合においては、液浸液として水を用いることが好ましいため、ArF液浸露光用トップコートは、水の屈折率(1.44)に近いことが好ましい。また、透明性・屈折率の観点から薄膜の方が好ましい。
【0409】
液浸液として有機溶剤を用いる場合においては、トップコートは水溶性のものを用いることが好ましい。
【0410】
また、本発明の感光性組成物からなるレジスト膜を、液浸媒体を介して露光する場合には、トップコートの代わりに、レジスト組成物に疎水性樹脂(HR)を添加してもよい。これにより、レジスト膜表層に疎水性樹脂(HR)が偏在化し、液浸媒体が水の場合、レジスト膜とした際の水に対するレジスト膜表面の後退接触角を向上させ、液浸水追随性を向上させることができる。疎水性樹脂(HR)としては、表面の後退接触角が添加することにより向上する樹脂であれば何でもよいが、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する樹脂であることが好ましい。レジスト膜の後退接触角は60°〜90°が好ましく、更に好ましくは70°以上である。添加量は、レジスト膜の後退接触角が前記範囲になるよう適宜調整して使用できるが、感光性組成物の全固形分を基準として、0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。疎水性樹脂(HR)は前述のように界面に遍在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
【0411】
疎水性樹脂(HR)に於けるフッ素原子又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に有していても、側鎖に置換していてもよい。
疎水性樹脂(HR)は、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、または、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂(HR)としては、種々の公知のものが特に制限なく利用可能である。
【0412】
現像工程では、アルカリ現像液を次のように用いる。レジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
【実施例】
【0413】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
<酸発生剤A1の合成>
(1)化合物A1−1の合成
<トリシクロヘキシルベンゼンの合成>
ベンゼン20.0gに塩化アルミニウム6.83gを加え、3℃で冷却攪拌し、シクロ
ヘキシルクロリド40.4gをゆっくり滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌し、氷水にあけた。酢酸エチルで有機層を抽出し、得られた有機層を40℃で減圧留去した。更に170℃で減圧留去後、室温に冷却し、アセトン50mlを投入し、再結晶させた。析出した結晶を濾取し、トリシクロヘキシルベンゼン14gを得た。
【0414】
<トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成>
トリシクロヘキシルベンゼン30gを塩化メチレン50mlに溶解し、3℃で冷却攪拌し、クロロスルホン酸15.2gをゆっくり滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌し、氷10gを投入後、50%水酸化ナトリウム水溶液を40g投入した。更にエタノールを20g加え、50℃で1時間攪拌後、不溶分を濾過除去し、40℃で減圧留去した。析出した結晶を濾取し、ヘキサン洗浄し、1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30gを得た。
【0415】
<化合物A1−1の合成>
トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gをメタノール20mlに溶解し、20mlのメタノールに溶解させた1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gを加えた。室温で2時間攪拌後、イオン交換水50mlを加えクロロホルムで抽出した。得られた有機層を水で洗浄後、40℃で減圧留去し、得られた結晶をメタノール/酢酸エチル溶媒で再結晶した。これにより化合物A1−1を5.0g得た。
【0416】
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ=7.85 (d,6H),7.68(t,3H), 7.59(t,6H), 6.97(s, 2H), 4.36-4.27(m,2H), 2.48-2.38(m,1H), 1.97-1.16(m,30H)。
【0417】
(2)化合物A1−2の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gを下記スルホニウム塩B4.5gに、1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gを1,4−ジシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.0gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−2を4.0g得た。
【化71】

【0418】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ=8.30(d,2H), 8.15(d,2H), 7.92(s,1H), 7.80(t,2H), 7.67(d,2H), 7.57(t, 2H), 7.31(d,2H), 7.23(d,1H), 7.09(d,1H), 3.96-3.86(m,1H), 3.75(t,2H), 2.80(t,2H), 2.44-2.37(m,1H), 1.95-1.16(m,30H)。
【0419】
(3)化合物A1−3の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gを上記スルホニウム塩B4.5gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−3を4.0g得た。
【0420】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ=8.35(d,2H), 8.11(d,2H), 7.79(t,2H), 7.74(d,2H), 7.57(t,2H), 7.31(d,2H), 6.98(s,2H), 4.32-4.23(m,2H), 3.79(t,2H), 2.82(t, 2H), 2.37-2.46(m,1H), 1.97-1.16(m,30H)。
【0421】
(4)化合物A1−4の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gを下記ヨードニウム塩C4.5gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−4を4.0g得た。
【化72】

【0422】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ=7.91(d,4H), 7.57(t,2H), 7.41(t,4H), 6.98(s,2H), 4.13-4.01(m,2H), 2.47-2.37(m,1H), 1.94-1.15 (m,30H)。
【0423】
(5)化合物A1−5の合成
化合物A1−1の合成で、1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gを、下記に示す化合物D5.8gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−5を5.5g得た。
【化73】

【0424】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ=7.91(d,4H), 7.57(t,2H), 7.41(t,4H), 6.98(s,2H), 4.13-4.01(m,2H), 2.47-2.37(m,1H), 1.94-1.15 (m,30H)。
【0425】
(6)化合物A1−6の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gを下記化合物E4.8gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−6を3.5g得た。
【化74】

【0426】
1H-NMR(400MHz, CDCl3) により構造を確認した。
【0427】
(7)化合物A1−7の合成
化合物A1−1の合成で、1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gを下記テトラシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウムF6.0gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−7を5.0g得た。
【化75】

【0428】
1H-NMR(400MHz, CDCl3) により構造を確認した。
【0429】
(8)化合物A1−8の合成
化合物A1−1の合成で、1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gを下記化合物G6.0gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−8を6.0g得た。
【化76】

【0430】
1H-NMR(400MHz, CDCl3) により構造を確認した。
【0431】
(9)化合物A1−9の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gを下記スルホニウム塩H4.0gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−9を4.0g得た。
【化77】

【0432】
1H-NMR(400MHz, CDCl3) により構造を確認した。
【0433】
(10)化合物A1−10の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gを上記スルホニウム塩B4.5gに、1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gを1,2,4−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−10を4.0g得た。
【化78】

【0434】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ=8.38(d,2H), 8.11(d,2H), 7.91(s,1H), 7.80(t,2H), 7.75(d,2H), 7.60(t, 2H), 7.35(d,2H), 7.15(s,1H), 3.93-3.85(m,1H), 3.80(t,2H), 2.83(t,2H), 2.76-2.63(m,2H), 1.97-1.16(m,30H)。
【0435】
(11)化合物A1−11の合成
化合物A1−1の合成で、1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gを2,4−ビスシクロヘキシルメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム4.7gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−11を3.2g得た。
【0436】
(12)化合物A1−12の合成
化合物A1−1の合成で、1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gを2,6−ジシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.0gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−12を3.1g得た。
【0437】
(13)化合物A1−13の合成
化合物A1−1の合成で、1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gを2,4―ビス(シクロヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム4.4gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−13を4.1g得た。
【0438】
(14)化合物A1−14の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gを1−(4−ブトキシーナフタレンー1−イル)−テトラヒドロチオフェニウムブロミド4.3gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−14を4.0g得た。
【0439】
(15)化合物A1−15の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gを5−(プロポキシーフェニル)−チアントレンー5−イウムブロミド5.0gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−15を4.4g得た。
【0440】
(16)化合物A1−16の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gを(4−t−ブトキシフェニル)−ジフェニルスルモニウムブロミド4.8gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−16を4.4g得た。
【0441】
(17)化合物A1−17の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gを1−(4−t−ブチルフェニル)−テトラヒドロチオフェニウムブロミド3.5gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−17を3.4g得た。
【0442】
(18)化合物A1−18の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gを(4−イソプロピルフェニル)−(2−メトキシカルボニルフェニル)―(4−メトキシフェニル)スルホニウムブロミド5.5gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−18を4.4g得た。
【0443】
(19)化合物A1−19の合成
化合物A1−1の合成で、トリフェニルスルホニウムブロミドA4.0gをトリスー(4−t−ブトキシカルボニルー3,5−ジメチルフェニル)スルホニウムブロミド9.0gに変更した以外は同様の方法で、化合物A1−19を5.4g得た。
【0444】
上記合成方法により得られた化合物A1−1〜A1−19及び比較化合物1〜4を以下に示す。
【化79】

【0445】
【化80】

【0446】
【化81】

【0447】
【化82】

【0448】
<樹脂(B)>
樹脂(B)として、以下に示す(RA−1)〜(RA−25)の中から、後掲の実施例では(RA−1)、(RA−20)、(RA−23)及び(RA−25)を使用した。尚、繰り返し単位の右側の数字は、モル比を表す。Mwは重量平均分子量を、Mw/Mnは分散度を表す。以下、同様とする。
【化83】

【0449】
<実施例A>
〔実施例1A〜14A及び比較例1A〜2A〕
<レジスト調製>
下記表1に示す成分を溶剤に溶解させ固形分濃度12質量%の溶液を調製し、これをポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターでろ過してポジ型レジスト溶液を調製した。調製したポジ型レジスト溶液を下記の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0450】
<レジスト評価>
スピンコーターにてヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上にブリューワーサイエンス社製反射防止膜DUV−42を60nm均一に塗布し、100℃で90秒間ホットプレート上で乾燥した後、190℃で240秒間加熱乾燥を行った。その後、各ポジ型レジスト溶液をスピンコーターで塗布し120℃で90秒間乾燥を行い、0.25μmのレジスト膜を形成させた。
【0451】
このレジスト膜に対し、マスクを通してArFエキシマレーザーステッパー(ISI社製 NA=0.6)で露光し、露光後直ぐに120℃で90秒間ホットプレート上で加熱
した。さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを得た。
【0452】
〔感度、解像度(γ)〕
露光量を10〜40mJ/cm2の範囲で0.5mJずつ変えながら面露光を行い、さらに110℃で、90秒間ベークした。その後2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて、各露光量での溶解速度を測定し、感度曲線を得た。
【0453】
この感度曲線において、レジストの溶解速度が飽和するときの露光量を感度とし、また感度曲線の直線部の勾配から溶解コントラスト(γ値)を算出した。γ値が大きいほど溶解コントラストに優れている。
【0454】
〔ラインエッジラフネス〕
上記の感度を示す照射量における150nmラインパターンの長さ方向50μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いてエッジがあるべき基準線からの距離を測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。
【0455】
〔パターンプロファイル〕
線幅150nmのラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、最適露光量におけるプロファイルを走査型顕微鏡(SEM)により観察した。
【表1】

【0456】
使用した各成分は、以下のとおりである。
〔酸発生剤〕
本発明の酸発生剤(A1)は、先に例示したものである。
併用した酸発生剤(A2)は、下記の化合物Zである。
【化84】

【0457】
〔塩基性化合物〕
下記化合物中、C−1、C−8及びC−12を使用した。
C−1:2,4,5−トリフェニルイミダゾール
C−2:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
C−3:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
〔界面活性剤〕
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)(シリコン系)
W−4:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
〔溶剤〕
A1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
A2:2−ヘプタノン
A3:シクロヘキサノン
A4:γ−ブチロラクトン
B1:プロピレングリコールモノメチルエーテル
B2:乳酸エチル
表1の結果から、ArF露光において本発明の感光性組成物は、感度、γ値、パターンプロファイルに優れていることが明らかである。
【0458】
<実施例B>
さらに実施例1Aの感光性組成物に下記ポリマー0.06gを加えた以外は実施例Aと全く同様の操作でレジスト溶液を調製し、塗設を行い、レジスト膜を得た。さらに得られたレジスト膜に、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1250i、NA0.85)を用い、液浸液(純水)を介してパターン露光し、実施例Aと同様にパターンを形成した。得られたパターンについて、感度、解像度(γ)、ラインエッジラフネス、パターンプロファイルのいずれにおいても同様の評価結果が得られることを確認した。
【化85】

【0459】
<実施例C>
〔実施例1C〜16C及び比較例1C〜2C〕
<レジスト調製>
下記表2に示した成分を溶剤に溶解させ、これをポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して固形分濃度14質量%のポジ型レジスト溶液を調製した。
【0460】
<レジスト評価>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.4μmのレジスト膜を形成させた。
【0461】
このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザーステッパー(NA=0.63)を用いラインアンドスペース用マスクを使用してパターン露光し、露光後すぐに110℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃において60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを形成した。
【0462】
〔感度、解像度(γ)〕
露光量を10〜40mJ/cm2の範囲で0.5mJずつ変えながら面露光を行い、さらに110℃で、90秒間ベークした。その後2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて、各露光量での溶解速度を測定し、溶解度曲線を得た。
【0463】
この溶解度において、レジストの溶解速度が飽和するときの露光量を感度とし、また感度曲線の直線部の勾配から溶解コントラスト(γ値)を算出した。γ値が大きいほど溶解コントラストに優れている。
【0464】
〔ラインエッジラフネス〕
上記の感度を示す照射量における180nmラインパターンの長さ方向50μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いてエッジがあるべき基準線からの距離を測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。
【0465】
〔パターンプロファイル〕
線幅180nmのラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、最適露光量におけるプロファイルを走査型顕微鏡(SEM)により観察した。
【0466】
評価結果を表2に示す。
【表2】

【0467】
表2に記載の樹脂(R−2)、(R−8)、(R−14)、(R−17)、(R−10(H))、(R−10(L))、(R−18(H))、(R−18(L))、(R−19)、(R−20)、(R−21)は、先に例示した樹脂である。例示した樹脂における各繰り返し単位のモル比、重量平均分子量を表3に示す。
【表3】

【0468】
表2の結果から、本発明の感光性組成物は、KrFエキシマレーザー露光におけるポジ型レジスト組成物としても、優れた性能を有していることが明らかである。
【0469】
<実施例D>
〔実施例1D〜15D及び比較例1D〜2D〕
<レジスト調製>
下記表4に示した成分を溶剤に溶解させ、これをポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して固形分濃度14質量%のネガ型レジスト溶液を調製した。調製したネガ型レジスト溶液につき実施例C(KrFポジ露光)におけるのと同様の方法で評価を行い、結果を表4に示した。
【表4】

【0470】
以下に、表4におけるアルカリ可溶性樹脂(C)の構造、分子量及び分子量分布及び架橋剤を示す。
【化86】

【0471】
【化87】

【0472】
表4の結果から、本発明の感光性組成物は、KrFエキシマレーザー露光におけるネガ型レジスト組成物としても、優れた性能を有していることがわかる。
【0473】
<実施例E>
〔実施例1E〜18E及び比較例1E〜2E〕
<レジスト調製>
上記表5に示した成分を溶剤に溶解させ、これをポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して固形分濃度12質量%のポジ型レジスト溶液を調製した。
【0474】
<レジスト評価>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で60秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.3μmのレジスト膜を形成させた。
【0475】
このレジスト膜を、ニコン社製電子線プロジェクションリソグラフィー装置(加速電圧100keV)で照射し、照射後直ぐに110℃で90秒間ホットプレート上にて加熱した。更に濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインアンドスペースパターンを形成し、実施例Aと同様に評価した。
【0476】
〔感度、解像度(γ)〕
露光量を0〜10μC/cm2の範囲で0.1μC/cm2ずつ変えながら面露光を行い、
さらに110℃で、90秒間ベークした。その後2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて、各露光量での溶解速度を測定し、感度曲線を得た。
この感度曲線において、レジストの溶解速度が飽和するときの露光量を感度とし、また感度曲線の直線部の勾配から溶解コントラスト(γ値)を算出した。
【0477】
〔ラインエッジラフネス〕
上記の感度を示す照射量における150nmラインパターンの長さ方向50μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いてエッジがあるべき基準線からの距離を測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。
【0478】
〔アウトガス性能:露光後の膜厚変動率〕
電子線による面露光を行って決定した感度での照射量(μC/cm2)の2.0倍の照射量を照射し、露光後(後加熱前)の膜厚を測定し、以下の式から、未露光時の膜厚からの変動率を求めた。
【0479】
膜厚変動率(%)=[(未露光時の膜厚−露光後の膜厚)/未露光時の膜厚]×100
評価結果を表5に示す。
【表5】

【0480】
表5の結果から、本発明の感光性組成物は、電子線照射によるポジ型レジスト組成物としても、優れた性能を有することがわかる。
【0481】
<実施例F>
〔実施例1F〜15F及び比較例1F〜2F〕
<レジスト調製>
表6に示した成分を溶剤に溶解させ、これをポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して固形分濃度12質量%のネガ型レジスト溶液を調製した。
【0482】
<レジスト評価>
調製したネガ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で60秒間ホットプレート上において加熱乾燥を行い、0.3μmのレジスト膜を形成させた。
【0483】
このレジスト膜を、ニコン社製電子線プロジェクションリソグラフィー装置(加速電圧100keV)で照射し、照射後直ぐに110℃で90秒間ホットプレート上において加熱した。更に濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインアンドスペースパターンを形成し、実施例E(電子線ポジ露光)と同様に評価した。
評価結果を表6に示す。
【表6】

【0484】
表6の結果から、本発明の感光性組成物は、電子線照射によるネガ型レジスト組成物としても、優れた性能を有することがわかる。
【0485】
<実施例G>
〔実施例1G〜5G及び比較例1G〜2G〕
表7に示した成分を溶剤に溶解させ、これをポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して固形分濃度8質量%のポジ型レジスト溶液を調製し、下記の通り評価を行った。
【0486】
<レジスト評価>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で60秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.15μmのレジスト膜を形成させた。
【0487】
〔感度及びγ値〕
得られたレジスト膜にEUV光(波長13nm)を用いて、露光量を0〜10.0mJ/cmの範囲で0.5mJ/cmずつ変えながら面露光を行い、さらに110℃で、90秒間ベークした。その後2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて、各露光量での溶解速度を測定し、感度曲線を得た。
【0488】
この感度曲線において、レジストの溶解速度が飽和するときの露光量を感度とし、また感度曲線の直線部の勾配から溶解コントラスト(γ値)を算出した。γ値が大きいほど溶解コントラストに優れている。
【0489】
〔ラインエッジラフネス〕
上記の感度を示す照射量における50nmラインパターンの長さ方向50μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いてエッジがあるべき基準線からの距離を測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。
【0490】
〔アウトガス性能:露光後の膜厚変動率〕
EUV光による面露光を行って決定した感度での照射量(mJ/cm2)の2.0倍の
照射量を照射し、露光後(後加熱前)の膜厚を測定し、以下の式から、未露光時の膜厚からの変動率を求めた。
【0491】
膜厚変動率(%)=[(未露光時の膜厚−露光後の膜厚)/未露光時の膜厚]×100
評価結果を下記表7に示す
【表7】

【0492】
<実施例H>
〔実施例1H〜4H及び比較例1H〜2H〕
表8に示した成分を溶剤に溶解させ、これをポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して固形分濃度8質量%のポジ型レジスト溶液を調製し、下記の通り評価を行った。
【0493】
<レジスト評価>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で60秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.15μmのレジスト膜を形成させた。
【0494】
〔感度及びγ値〕
得られたレジスト膜にEUV光(波長13nm)を用いて、露光量を0〜10.0mJ/cmの範囲で0.5mJ/cmずつ変えながら面露光を行い、さらに110℃で、90秒間ベークした。その後2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて、各露光量での溶解速度を測定し、感度曲線を得た。
実施例G(EUVポジ露光)におけるのと同様にして評価した。結果を表8に示す。
【表8】

【0495】
表7及び8の結果から、本発明のレジスト組成物は、EUV光の照射による特性評価において、比較例の組成物に比べて、高感度で高コントラストであり、アウトガス性能にも優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される化合物を含有する感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【化1】

式中、
Arは、芳香族環を表し、−(A−B)基以外に更に置換基を有してもよい。
nは、1以上の整数を表す。
Aは、単結合、アルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)―、−S(=O)−、及び−OS(=O)−から選択されるいずれか、あるいは2以上の組み合わせ(但し、−C(=O)O−を除く)を表す。
Bは、3級若しくは4級炭素原子を含む、炭素原子数が4以上の炭化水素基を有する基を表す。
nが2以上のとき、複数の−(A−B)基は同一でも異なっていてもよい。
は、有機オニウムイオンを表す。
【請求項2】
一般式(I)において、Bが炭素原子数4以上の環状脂肪族基である、請求項1に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【請求項3】
更に、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
更に、アルカリ現像液に可溶な樹脂、及び、酸の作用により、該アルカリ現像液に可溶な樹脂と架橋する酸架橋剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物を用いて膜を形成し、該膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項6】
前記露光がX線、電子線又はEUVを用いて行われることを特徴とする、請求項5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
一般式(I)で表される化合物。
【化2】

式中、
Arは、芳香族環を表し、−(A−B)基以外に更に置換基を有してもよい。
nは、1以上の整数を表す。
Aは、単結合、アルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)―、−S(=O)−、及び−OS(=O)−から選択されるいずれか、あるいは2以上の組み合わせ(但し、−C(=O)O−を除く)を表す。
Bは、3級若しくは4級炭素原子を含む、炭素原子数が4以上の炭化水素基を有する基を表す。
nが2以上のとき、複数の−(A−B)基は同一でも異なっていてもよい。
は、有機オニウムイオンを表す。
【請求項8】
一般式(I)で表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物。
【化3】

式中、
Arは、芳香族環を表し、−(A−B)基以外に更に置換基を有してもよい。
nは、1以上の整数を表す。
Aは、単結合、アルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)―、−S(=O)−、及び−OS(=O)−から選択されるいずれか、あるいは2以上の組み合わせ(但し、−C(=O)O−を除く)を表す。
Bは、3級若しくは4級炭素原子を含む、炭素原子数が4以上の炭化水素基を有する基を表す。
nが2以上のとき、複数の−(A−B)基は同一でも異なっていてもよい。
は、有機オニウムイオンを表す。
【請求項9】
一般式(I)においてBが炭素原子数4以上の環状脂肪族基である、請求項7又は8に記載の化合物。
【請求項10】
一般式(I)においてAが単結合である、請求項7〜9のいずれかに記載の化合物。

【公開番号】特開2010−100604(P2010−100604A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39905(P2009−39905)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】