説明

成形システムにおいて活性材料素子を利用するための制御システム

第1の面及び第2の面を有する射出成形機を制御する方法及び装置は、第1の面と第2の面との間に配置されるように構成される圧電セラミックセンサを備える。圧電セラミックセンサは、第1の面と第2の面との間の力を感知するとともに、対応する感知信号を生成するように構成される。配線構造が圧電セラミックセンサに結合され、感知信号を伝達するように構成される。好ましくは、圧電セラミックアクチュエータも第1の面と第2の面との間に配置され、感知信号に従って第1の面と第2の面との間に拡張力を提供するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、制御システムを使用して、活性材料素子センサ及びアクチュエータと併せて射出成形機の機器(たとえば、インサートスタック又はホットランナーノズルアセンブリ)の各面を調整する方法及び装置に関する。「活性材料」とは、圧電アクチュエータ、圧電セラミック、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金等の形状可変材料群のことである。このような制御システムを射出成形用金型に使用して、金型構造の変形に対処し、成形品の排出を助け、溶融物に振動及び/又は圧縮を施し、それによって成形品の品質を向上させ、金型部品の寿命を長くすることができる。射出成形機器は、プラスチック材料溶融物の成形及び金属溶融物の成形の両方を含む。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
活性材料は、或る形のエネルギーを別の形のエネルギーに変換できる変換器として見なされる。たとえば、圧電アクチュエータ(又はモータ)は、入力された電気エネルギーを機械エネルギーに変換して素子の寸法を変化させ、その一方で圧電センサ(又は発電機)は機械エネルギー(素子の寸法形状変化)を電気エネルギーに変換する。圧電セラミック変換器の一例が、Berghausに付与された米国特許第5,237,238号に示されている。Marco Systemanalyse und Entwicklung GmbHは、Hans-Bockler-Str. 2, D-85221 Dachau, Germany所在の圧電アクチュエータの一供給業者であり、この業者の広告及びウェブサイトには、このような装置が示されている。通常、1000ボルトの電位を圧電セラミックインサートに印加すると、圧電セラミックインサートの厚みがおよそ0.0381mm(0.0015″/インチ)(0.15%)「成長」する。別の供給業者であるMide Technology Corporation(Medford, Maine)は、磁歪素子及び形状記憶合金を含む種々の活性材料を有しており、この業者の広告及びウェブサイトには、材料仕様及び他の公表されている詳細を含め、このような装置が示されている。
【0003】
インテリジェント処理が射出成形分野において既知である。たとえば、Choi他に付与された米国特許第6,289,259号には、インテリジェント油圧マニホルド装置が開示されている。マイクロコントローラがシステムコントローラに電気的に結合されて、射出成形機の油圧回路内に分散制御を提供する。
【特許文献1】米国特許第5237238号公報
【特許文献2】米国特許第6289259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[発明の概要]
本発明の利点は、射出成形機及び金型部品で一般に直面する位置合わせ及び他の機械的な問題を解消する、制御装置を有する射出成形機を提供するとともに、射出成形機での機械的な位置合わせずれを検出し且つ/又は補正する有利で効率的な手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、第1の面及び第2の面を有する金型の制御装置のための構造及び/又は機能が提供され、当該構造及び/又は機能は、射出成形機の第1の面と第2の面との間に配置されるように構成され、第1の面と第2の面との間の圧縮力を感知するとともに、対応する感知信号を生成する圧電セラミックセンサと、感知信号を当該圧電セラミックセンサから送るように構成される伝送構造とを備える。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、第1の面及び第2の面を有する射出成形機の制御装置のための構造及び/又は機能が提供され、当該構造及び/又は機能は、射出成形機の第1の面と第2の面との間に配置されるように構成され、作動信号を受け取るとともに、対応する拡張力を第1の面と第2の面との間に生成する圧電セラミックアクチュエータと、作動信号を当該圧電セラミックアクチュエータに送るように構成される伝送構造とを備える。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、金型の第1の面と第2の面との間の変形を制御する装置のための構造及び/又は機能が提供され、当該構造及び/又は機能は、射出成形機の第1の面と第2の面との間に配置されるように構成され、作動信号を受け取るとともに、第1の面と第2の面との間に拡張力を生成する圧電セラミックアクチュエータと、当該圧電セラミックアクチュエータに隣接して配置され、当該圧電セラミックアクチュエータの幅の変化を検出するとともに、それに対応するセンサ信号を生成する圧電セラミックセンサとを備える。
【0008】
本発明の現時点で好ましい特徴の例示的な実施の形態について、添付図面を参照しつつこれより説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[好適な実施形態の詳細な説明]
1.はじめに
本発明について、射出成形機及び射出成形用金型が、コントローラ及び1つ又は複数の活性材料素子を含む制御システムにリンクされるいくつかの実施形態に関連してこれより説明する。制御システムは、射出成形用金型及び成形機、特に射出成形用金型コアでの位置合わせ補正問題を支援するように機能するとともに、他のいくつかの問題の解消に有用である。制御システムは、位置合わせ/シーリング問題が発生し得る、射出成形装置内の任意の場所に配置することが可能である。このような制御システムの他の諸用途が、(1)「Method and Apparatus for Assisting Ejection from an Injection Molding Machine Using Active Material Elements」、(2)「Method and Apparatus for Providing Adjustable Hot Runner Assembly Seals and Tip Height Using Active material Elements」、(3)「Method and Apparatus for Controlling a Vent Gap with Active Material Elements」、(4)「Method and Apparatus for Mold Component Locking Using Active Material Elements」、(5)「Methods and Apparatus for Vibrating Melt in an Injection Molding Machine Using Active Material Elements」、(6)「Method and Apparatus for Injection Compression Molding Using Active Material Elements」、及び(7)「Method and Apparatus for Countering Mold Deflection and Misalignment Using Active Material Inserts」と題する関連出願において考察されており、これらはすべて本願と同時出願されている。
【0010】
従来のいずれの射出成形機又は射出成形用金型も、活性材料インサートを備え、活性材料センサからの信号の受信を活性材料アクチュエータへの出力信号と調整して、射出成形システムにおいてリアルタイム制御のループフィードバックを提供する制御システム等の装置を利用していない。このような制御システムは、たとえば、金型部品間の圧力検出、金型部品の位置合わせ調整、金型キャビティ内の溶融物の振動及び/又は圧縮、金型コアからの成形パーツの排出支援、並びにさらなる多くの用途のために使用することができる。
【0011】
以下の制御システムの説明では、圧電セラミックインサートを好ましい活性材料として説明するが、磁歪素子、形状記憶合金、圧電アクチュエータ、圧電セラミック、電歪素子等の活性材料群からの他の材料を本発明により使用することも可能である。可能な代替の活性材料及びそれぞれの性質のリストを以下の表1に掲げ、これら活性材料はいずれも本発明により使用することが可能である。
【0012】
【表1】

【0013】
2.第1の実施形態の構造
本発明の第1の好ましい実施形態を図1に示し、図1は、クランプ101を有する射出成形機の概略図を示し、射出ユニット102はプラテン間に設置されたツール103を有する。ツール103は少なくとも1つのセンサ104及び少なくとも1つの力付与機105を含み、これらはいずれも上述したタイプの活性材料素子である。センサ104は、入力データを提供するカメラ、又は他の光変換器若しくは電気変換器であってもよい。射出成形機制御機構の一部であっても、又はマシンに隣接して配置される独立したシステムであってもよいコンピュータ制御システム106が、センサ及び力付与機に接続されて、センサデータを処理するとともに、コマンド信号を力付与機105に提供する。
【0014】
活性材料素子は、Marco Systemanalyse und Entwicklung GmbH製のいずれの素子を含んでもよい。圧電センサ104はセンサに加えられた圧力を検出し、配線接続108を通して対応する感知信号を送る。圧電アクチュエータ105は、配線接続108を通して作動信号を受け取り、対応する力をツール103のプラテン間に加える。なお、2つ以上の圧電センサ104を設けて任意の所望の位置からの圧力を感知してもよい。同様に、2つ以上の圧電アクチュエータ105を設けて、直列又は縦続に取り付けてプラテンのより大きな移動、角運動等を行ってもよい。
【0015】
コンピュータ制御システム又は処理回路106は、圧電センサ信号を受け取り、且つ/又は作動信号を圧電アクチュエータに提供する。たとえば、1つ又は複数の汎用コンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ゲートアレイ、アナログ回路、専用デジタルプロセッサ及び/又は専用アナログプロセッサ、ハードワイヤード回路等が、本明細書において説明する活性材料素子を制御又は感知することができる。1つ又は複数のプロセッサを制御するための命令は、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、CD−ROM、RAM、EEPROM、磁気媒体、光学媒体、光磁気媒体等、任意の望ましいコンピュータ可読媒体に、及び/又は任意の望ましいデータ構造で記憶することができる。
【0016】
コンピュータ制御システムには、データ及びメニュー選択肢を視覚的に表示するための出力装置を備えるマンマシンインタフェース(HMI)107も接続される。インタフェースは好ましくは、キーパッド又はタッチセンシティブスクリーンエリア等の入力装置を備えて、操作者が射出成形機制御システムにデータ、命令を提供し、又は射出成形機制御システムからの要求への応答を提供できるようにする。
【0017】
さらに、他のマシンのプロセス及び機器のセンサ304も制御コンピュータ106に接続される。センサ304は、温度、射出能力、射出圧力、金型が開いていること、金型が閉じていること、クランプが上がっていること、及び冷却時間を監視して、成形中の特定のパーツの射出成形プロセスのリアルタイム表示を提供する。
【0018】
3.第1の実施形態のプロセス
動作に際して、制御コンピュータ106は、ツール103に設けられたセンサ104により生成されたデータ、及び/又はセンサ304により生成されたデータを受け取り、そのデータは電気コンジット108を介して制御システム内に送られる。制御コンピュータ106は、行われている成形用途のタイプに基づいて上記制御コンピュータにプログラムされているソフトウェア、ロジック、又はアルゴリズム、及びHMI107を通しての操作者の入力を用いて、受け取ったデータをリアルタイムで処理する。
【0019】
制御コンピュータ106により行われる計算に基づいて、出力データが生成され、電気コンジット108を介して活性材料アクチュエータ105に送られる。アクチュエータ105は、シール圧をツール103内の金型部品に加える、金属部品を移動させる、射出成形ノズル部品を位置合わせする、成形パーツを金型部品から排出するそれぞれの製造仕様、及び任意の数の追加の有利な射出成形用途に従って出力データに応答する。
【0020】
4.第2の実施形態の構造
図2は、クランプ201、及びツール203がプラテン間に設置された射出ユニット202を備える射出成形機を含む本発明の第2の好ましい実施形態を示す。ツール203は少なくとも1つのセンサ204及び少なくとも1つの力付与機205を含み、これらはいずれも上述したタイプの活性材料素子である。センサ204は、入力データを提供するカメラ、又は他の光変換器若しくは電気変換器であってもよい。射出成形機制御機構の一部を成すコンピュータ制御システム206が、センサ204及び力付与機205に接続され、センサデータを処理するとともに、コマンド信号を力付与機205に提供する。
【0021】
この第2の実施形態によれば、コンピュータプロセッサ209及び記憶装置210が提供され、好ましくは、ツール203に直接搭載される。これは、特定のプロセスデータ及び情報をツール203に保持し、それによってツール変更の際により素早い成形プロセスの開始に繋がるという利点を提供する。好ましくは、CPU記憶装置が金型のコールド半体と共に配置される。別法として、CPU記憶装置は、適切な断熱により金型の熱から電機部品を保護した状態で、金型のホット半体と共に配置されてもよい。別法として、コンピュータプロセッサはマシンのクランプエリアの金型付近に搭載してもよく、又はマシンコントローラ206と共に搭載してもよい。
【0022】
プロセッサ209は、通信線211を介して断続的にマシンコントローラ206と通信して、データ及び命令をアップロード及びダウンロードする。ツール203搭載のプロセッサ209は、センサ信号を処理し、且つソフトウェアにプログラミングされた所定のアルゴリズム及び命令のセットに基づいて対応するコマンド信号を力付与機205に送るのに十分な装備を有する。さらに、他のマシンプロセス及び機器のセンサ304が制御コンピュータ106及びツール203に関連するCPU記憶装置に接続される。センサ304は、温度、射出能力、射出圧力、金型が開いていること、金型が閉じていること、クランプが上がっていること、及び冷却時間を監視して、成形中の特定のパーツの射出成形プロセスのリアルタイム表示を提供する。センサ304からのデータ及び情報に直接アクセスすることができるCPU記憶装置は、制御コンピュータ206から独立して金型を完全に制御することができる。
【0023】
この実施形態によりHMI207も設けられて、ユーザ入力を受け入れるとともに、制御コンピュータ206が生成した問い合わせに対する応答を求める。
【0024】
5.第2の実施形態のプロセス
動作に際して、第2の実施形態の制御システムは、ツール203のプラテン間の射出成形用金型に設けられるセンサ204が生成するデータも受け取り、このデータもまた電気コンジット208を介してコンピュータ209に送られる。センサ304もまたデータ及び情報をツール203のCPUに提供する。制御システムがオンボード位置にあるため、センサ204、コンピュータプロセッサ209、及び力付与機205の間の通信構成が短縮され、それによって応答時間、ひいてはこの構成で提供可能な制御品質が最適化される。処理時間は、制御システムコンピュータ209が射出成形機コントローラ206に近いこと、ツール自体に制御システムを配置することによって可能になる電気コンジット又は接続208が短いことによって加速する。
【0025】
制御システムは、行われている成形用途のタイプに基づいて上記制御システムにプログラムされているソフトウェア、ロジック、又はアルゴリズム、及びHMI207を通しての操作者入力を用いて、受け取ったデータをリアルタイムで処理する。
【0026】
6.例示的な用途
制御システムを射出成形機に提供する本発明の好ましい実施形態について、射出成形機及び射出成形用金型と併せてのこのような制御システムのいくつかの例示的な用途に関連してこれより説明する。以下の例は限定とみなされるべきではなく、単に本発明による制御システムの可能な使用例として提供されるにすぎない。
【0027】
例A
圧電セラミックエジェクタリングが、コア、ストリッパリング、及び空気口ピンを備える射出成形用金型のコアとストリッパリングとの間に設けられる。成形パーツが新たにコア上に形成され、変形させることなくパーツを取り扱えるように十分な冷却が行われた後、パーツはコアから排出される準備が整う。圧電セラミックエジェクタリングは活性材料素子であり、電気信号をエジェクタリングに送ってエジェクタリングに高さを増大させるコントローラシステムに配線によって接続される。接続は、制御コンピュータ106へのツール203内のCPU記憶装置へのものであってもよい。圧電セラミックエジェクタリングは、金型が開位置にあること、又は金型が開位置になり始めることの感知に基づいて、CPU記憶装置203又は制御コンピュータ106によって作動させることができる。この動作により、パーツはコアから初期距離分持ち上げられ、次いで従来の手段を使用して排出プロセスを完了させることができる。
【0028】
例B
圧電セラミックインサートが、コア、キャビティ、及び排出手段を備える射出成形用金型のコア又はキャビティの間に設けられる。成形パーツをキャビティ内に射出している間、インサートを使用して、金型内の空気口ギャップを制御し、それによって射出中にキャビティ内のプラスチックの充填速度を加速又は遅延させる。圧電セラミックインサートは活性材料素子であり、電気信号をインサートに送って空気口ギャップを増減させるコントローラシステムに配線により接続される。別法として、圧電セラミックインサートは、ツール103内のCPU記憶装置に接続してもよく、CPU記憶装置が空気口ギャップの増減を制御し、電気信号を送って空気口ギャップを増減する。この処理能力及びデータは、CPU記憶装置に保持される。この動作により、金型キャビティを充填中のプラスチックの射出速度を変更させる。これは、特定のパーツ及びプラスチック材料の射出圧力及び射出速度の両方を感知することに基づくことができる。
【0029】
例C
圧電セラミックインサートが、コア、キャビティ、コア、可動コア部品、金型構造部品、及び排出手段を備える射出成形用金型の可動コア部品と金型構造部品との間に設けられる。可動コア部品及び/又は相手方構造部品の摩耗面が、インサートによって補われる。圧電セラミックインサートは活性材料素子であり、電子信号をインサートに送ってインサートに高さを上げさせるコントローラシステムに配線によって接続される。別法として、圧電セラミックインサートをツール103内のCPU記憶装置に接続してもよく、CPU記憶装置が、空気口ギャップの増減を制御し、電気信号を送って空気口ギャップを増減させる。この処理能力及びデータは、CPU記憶装置に保持される。この動作により、摩耗によって生じた隙間がインサートの高さを増すことによって埋められ、それによってメンテナンス作業間の金型の耐用寿命が長くなる。
【0030】
例D
圧電セラミックアクチュエータが成形システムに設けられる。成形パーツが新たに金型に形成されている間、又は形成された後、アクチュエータが電圧印加されて、射出中又は射出直後の溶融物が固化する前に溶融物に振動を加える。圧電セラミックアクチュエータは活性材料素子であり、交互になった電気信号をアクチュエータに送ってアクチュエータの高さを高速変化させるコントローラシステムに配線によって接続される。別法として、圧電セラミックインサートはツール103内のCPU記憶装置に接続してもよく、CPU記憶装置は空気口ギャップの増減を制御し、電気信号を送って空気口ギャップを増減する。この処理能力及びデータは、CPU記憶装置に保持される。この動作により、固化前に溶融物を振動させて、流れ線(weld line)を改良するとともに、キャビティ内に溶融物をよりよく分散させ、それによって成形パーツの一体性及び均一性を向上させる。溶融物への振動は、金型への射出を感知した後に開始される。
【0031】
例E
圧電セラミックインサートが、射出成形用金型のコアとコアプレートとの間に設けられる。成形パーツが新たにコア上に形成されている間、又はその後、アクチュエータが電圧印加されて、コアとコアプレートとの間に検出された位置合わせずれを補正する。圧電セラミックアクチュエータは活性材料素子であり、電気信号をエジェクタリングに送ってアクチュエータに高さを増減させるコントローラシステムに配線によって接続される。別法として、圧電セラミックインサートはツール103内のCPU記憶装置に接続してもよく、CPU記憶装置は空気口ギャップの増減を制御し、電気信号を送って空気口ギャップを増減する。この処理能力及びデータは、CPU記憶装置に保持される。この動作により、コアは完全に、又は或る角度を成してコアプレートから持ち上げられて、感知された位置合わせずれを補正する。
【0032】
例F
圧電セラミックインサートが、射出成形用金型のホットランナーシステム内の様々な位置に設けられる。成形パーツの射出中、アクチュエータが電圧印加されて、ホットランナーシステムの各種部品を互いにシールさせ、それによって射出中のホットプラスチックの漏れを最小限に抑える。圧電セラミックアクチュエータは活性材料素子であり、電気信号をアクチュエータに送ってアクチュエータに高さを増大させるコントローラシステムに配線によって接続される。別法として、圧電セラミックインサートは、ツール103内のCPU記憶装置に接続してもよく、CPU記憶装置は空気口ギャップの増減を制御し、電気信号を送って空気口ギャップを増減する。この処理能力及びデータは、CPU記憶装置内に保持される。この動作により、アクチュエータに接触しているパーツがそれぞれの相手方に対して付勢されてシール保持が確保される。
【0033】
例G
圧電セラミックアクチュエータが、射出成形用金型のコアとコアプレートとの間に設けられる。成形パーツが新たにコア上に形成されている間、又はその後、アクチュエータは電圧印加されて、コアを成形パーツの中に進めさせ、それによって成形パーツの壁厚を減じる。圧電セラミックアクチュエータは活性材料素子であり、電気信号をアクチュエータに送ってアクチュエータリングに高さを増大させるコントローラシステムに配線によって接続される。別法として、圧電セラミックインサートは、ツール103内のCPU記憶装置に接続してもよく、CPU記憶装置は、空気口ギャップの増減を制御し、電気信号を送って空気口ギャップを増減する。この処理能力及びデータは、CPU記憶装置に保持される。この動作により、コアはコアプレートから初期距離分持ち上げられ、それによってコアにより形成され、且つ材料の溶融物の射出後に感知される成形パーツの壁厚が減じる。
【0034】
7.終わりに
したがって、説明してきたのは、活性材料素子を射出成形機に別個に又は組み合わせて使用して、射出成形装置に有用な改良を行うための制御システム方法及び装置である。
【0035】
本発明による有利な特徴としては、1.射出成形装置内でのリアルタイムでの力発生、又は力感知、及び力への応答を行う1つ又は複数の活性材料素子と併せて使用される制御システム、2.制御システムを含む閉ループ制御される力発生器による成形装置内の変形への対抗作用、及び3.前の成形パーツから測定されたデータから使用して制御システムにより計算された所定の力を加える局所的に付与される力発生器による成形装置内でのコアシフトの補正が挙げられる。
【0036】
本発明は射出成形機の制御、特に射出成形機の閉ループ自動制御に明確な利点を提供するが、本発明を他の産業装置及びプロセスの自動制御に等しく適用可能なことを当業者は認めるであろう。このような制御システム及び方法はすべて、添付の特許請求の範囲内にある。
【0037】
添付図面中に略図で示す、すなわちブロックで示す個々の部品はすべて、射出成形分野において既知のものであり、それぞれの固有の構造及び動作は、本発明を実施するための動作又は最良の形態にとって重要ではない。
【0038】
本発明について、好ましい実施形態であると現時点で考えられるものを参照して説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されないことを理解されたい。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる各種変更及び均等構成を包含するものである。以下の特許請求の範囲は、このような変更及び均等構造及び機能をすべて包含するように最も広い解釈に従うべきである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態の制御システムの概略図を示す。
【図2】本発明の第2の実施形態の制御システムの概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面及び第2の面を有する金型の制御装置であって、
前記射出成形用金型の前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるように構成され、該第1の面と該第2の面との間の圧縮力を感知するとともに、対応する感知信号を生成する圧電セラミックセンサと、
使用中に、前記感知信号を前記圧電セラミックセンサから送るように構成される伝送構造と
を備える、金型の制御装置。
【請求項2】
前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるように構成され、作動信号を受け取るとともに、対応する力を前記第1の面と前記第2の面との間に生成する圧電セラミックアクチュエータをさらに備え、前記伝送構造は、前記作動信号を該圧電セラミックアクチュエータに送るように構成される、請求項1記載の金型の制御装置。
【請求項3】
前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるようにそれぞれ構成される複数の圧電セラミックセンサ及び複数の圧電セラミックアクチュエータをさらに備える、請求項2記載の金型の制御装置。
【請求項4】
第1の面及び第2の面を有する射出成形機の制御装置であって、
前記射出成形機の前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるように構成され、作動信号を受け取るとともに、対応する拡張力を前記第1の面と前記第2の面との間に生成する圧電セラミックアクチュエータと、
使用中に、前記作動信号を前記圧電セラミックアクチュエータに送るように構成される伝送構造と
を備える、射出成形機の制御装置。
【請求項5】
前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるように構成され、該第1の面と該第2の面との間の圧縮力を感知するとともに、対応する感知信号を生成する圧電セラミックセンサをさらに備え、前記伝送構造は、使用中に、前記感知信号を前記圧電セラミックセンサから送るように構成される、請求項4記載の射出成形機の制御装置。
【請求項6】
前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるようにそれぞれ構成される複数の圧電セラミックセンサ及び複数の圧電セラミックアクチュエータをさらに備える、請求項5記載の射出成形機の制御装置。
【請求項7】
金型の第1の面と第2の面との間の変形を制御する装置であって、
前記射出成形機の前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるように構成され、作動信号を受け取るとともに、該第1の面と該第2の面との間に拡張力を生成する圧電セラミックアクチュエータと、
該圧電セラミックアクチュエータに隣接して配置され、該圧電セラミックアクチュエータの幅の変化を検出するとともに、それに対応するセンサ信号を生成する圧電セラミックセンサと
を備える、金型の第1の面と第2の面との間の変形を制御する装置。
【請求項8】
前記感知信号を前記圧電セラミックセンサから受け取るとともに、閉ループ制御を使用して対応する作動信号を前記圧電セラミックアクチュエータに送るプロセッサ構造をさらに備える、請求項7記載の金型の第1の面と第2の面との間の変形を制御する装置。
【請求項9】
前記射出成形機の前記第1の面と前記第2の面との間に配置されるようにそれぞれ構成される複数の圧電セラミックセンサ及び複数の圧電セラミックアクチュエータをさらに備える、請求項8記載の金型の第1の面と第2の面との間の変形を制御する装置。
【請求項10】
コア及びコアプレートを有する金型でのコアシフトを補正する装置であって、
前記コアの周囲に配置されるように構成され、それぞれ、該コアと前記コアプレートとの間に拡張力を生成する複数の圧電アクチュエータであって、別個に制御可能なようにそれぞれ構成される複数の圧電アクチュエータと、
使用中に、作動信号を前記複数の圧電アクチュエータのそれぞれに提供するように構成される伝送構造と、
前記作動信号を前記複数の圧電アクチュエータのうちの選択された圧電アクチュエータに提供して、コアシフトを補正するように構成される制御構造と
を備える、金型でのコアシフトを補正する装置。
【請求項11】
前記コアの周囲に配置されるように構成され、それぞれ、該コアと前記コアプレートとの間の圧縮力を感知するとともに、対応する感知信号を生成する複数の圧電センサをさらに備え、前記伝送構造は、該感知信号を前記制御構造に送るように構成される、請求項10記載の金型でのコアシフトを補正する装置。
【請求項12】
各圧電センサは対応する圧電アクチュエータに隣接して配置される、請求項11記載の金型でのコアシフトを補正する装置。
【請求項13】
第1の面及び第2の面を有する射出成形用金型を制御する方法であって、
前記射出成形用金型の前記第1の面と前記第2の面との間に配置される圧電セラミックセンサを使用して、該第1の面と該第2の面との間の圧縮力を感知するステップと、
前記感知された圧縮力に対応する感知信号を生成するステップと、
前記感知信号を前記圧電セラミックセンサからプロセッサに送るステップと、
前記送られた感知信号に従って射出成形用金型制御信号を生成するステップと
を含む、射出成形用金型を制御する方法。
【請求項14】
前記制御信号は、(i)把持力信号、(ii)射出圧力信号、及び(iii)射出速度信号のうちの少なくとも1つを含む、請求項13記載の射出成形用金型を制御する方法。
【請求項15】
前記送られた感知信号に対応する作動信号を計算するステップと、
前記圧電セラミックアクチュエータを使用するステップであって、それによって前記作動信号に対応して拡張力を前記第1の面と前記第2の面との間に生成するステップと
をさらに含む、請求項13記載の射出成形用金型を制御する方法。
【請求項16】
複数の圧電セラミックセンサ及び複数の圧電セラミックアクチュエータを前記第1の面と前記第2の面との間に配置するステップをさらに含む、請求項13記載の射出成形用金型を制御する方法。
【請求項17】
第1の面及び第2の面を有する射出成形用金型を制御する方法であって、
前記第1の面と前記第2の面との間のスペースを制御する力作動信号を求めるステップと、
前記力作動信号を、前記射出成形用金型の前記第1の面と前記第2の面との間に配置される圧電セラミックアクチュエータに送るステップと、
前記圧電セラミックアクチュエータを使用するステップであって、それによって前記第1の面と前記第2の面との間に対応する拡張力を生成するステップと
を含む、射出成形用金型を制御する方法。
【請求項18】
前記圧電セラミックアクチュエータを使用するステップであって、それによって前記第1の面と前記第2の面との間の圧縮力を感知するステップと、
前記感知された圧縮力に対応する感知信号を生成するステップと、
前記感知信号を前記圧電セラミックセンサからコントローラに送るステップと
をさらに含む、請求項17記載の射出成形用金型を制御する方法。
【請求項19】
前記圧電セラミックセンサを使用するステップであって、それによって前記圧電セラミックアクチュエータの幅変化を検出し、且つ該検出された幅変化に対応するフィードバック信号を生成するステップと、
前記フィードバック信号に従って前記圧電セラミックアクチュエータをリアルタイム閉ループ制御するステップと
をさらに含む、請求項17記載の射出成形用金型を制御する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−533499(P2007−533499A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508691(P2007−508691)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000492
【国際公開番号】WO2005/102662
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(595155303)ハスキー インジェクション モールディング システムズ リミテッド (88)
【氏名又は名称原語表記】HUSKY INJECTION MOLDING SYSTEMS LIMITED
【Fターム(参考)】