成形品の製造方法及び成形品
【課題】 残渣を小さくすると共に、泡の発生を効果的に防止することができる光導波路等の成形品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 成形用の凹部11を有する型10にコア材等の成形材料4aを供給する工程と、この成形材料4aの表面側の不要部分をスキージング等によって除去して平坦化すると共に、成形材料4aを凹部11内に充填する工程と、UV照射等により成形材料4aを硬化させる工程と、この硬化物4a上にコア材4b又はクラッド材2a等の接着性材料を設ける工程と、この接着性材料上にクラッド等の他の部材2を押圧しながら前記接着性材料を硬化させる工程と、成形材料4aを型10から分離する工程とを有する、光導波路1A等の成形品の製造方法。
【解決手段】 成形用の凹部11を有する型10にコア材等の成形材料4aを供給する工程と、この成形材料4aの表面側の不要部分をスキージング等によって除去して平坦化すると共に、成形材料4aを凹部11内に充填する工程と、UV照射等により成形材料4aを硬化させる工程と、この硬化物4a上にコア材4b又はクラッド材2a等の接着性材料を設ける工程と、この接着性材料上にクラッド等の他の部材2を押圧しながら前記接着性材料を硬化させる工程と、成形材料4aを型10から分離する工程とを有する、光導波路1A等の成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路等の成形品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、LSI(大規模集積回路)等の半導体チップ間の信号伝搬は、全て基板配線を介した電気信号によりなされている。しかし、昨今のMPU高機能化に伴い、チップ間にて必要とされるデータ授受量は著しく増大し、結果として様々な高周波問題が浮上している。それらの代表的なものとして、RC信号遅延、インピーダンスミスマッチ、EMC/EMI、クロストーク等が挙げられる。
【0003】
上記の問題を解決するため、これまで実装業界などが中心となり、配線配置の最適化や新素材開発などの様々な手法を駆使し、解決に当たってきた。
【0004】
しかし近年、上記の配線配置の最適化や新素材開発等の効果も物性的限界に阻まれつつあり、今後システムの更なる高機能化を実現するためには、単純な半導体チップの実装を前提としたプリント配線板の構造そのものを見直す必要が生じてきている。近年、これら諸問題を解決すべく様々な抜本対策が提案されているが、以下にその代表的なものを記す。
【0005】
・マルチチップモジュール(MCM)化による微細配線結合
高機能チップを、セラミック・シリコンなどの精密実装基板上に実装し、マザーボード(多層プリント基板)上では形成不可能である微細配線結合を実現する。これによって配線の狭ピッチ化が可能となり、バス幅を広げることでデータ授受量が飛躍的に増大する。
【0006】
・各種半導体チップの封止、一体化による電気配線結合
各種半導体チップをポリイミド樹脂などを用いて二次元的に封止、一体化し、その一体化された基板上にて微細配線結合を行う。これによって配線の狭ピッチ化が可能となり、バス幅を広げることでデータ授受量が飛躍的に増大する。
【0007】
・半導体チップの三次元結合
各種半導体チップに貫通電極を設け、それぞれを貼り合わせることで積層構造とする。これにより、異種半導体チップ間の結線が物理的に短絡化され、結果として信号遅延などの問題が回避される。但しその一方、積層化による発熱量増加、半導体チップ間の熱応力などの問題が生じる。
【0008】
さらに、上記のように信号授受の高速化及び大容量化を実現するために、光配線による光伝送結合技術が開発されている(例えば、後記の非特許文献1及び非特許文献2参照。)。光配線は、電子機器間、電子機器内のボード間又はボード内のチップ間など、種々の個所に適用可能である。例えば図19に示すように、チップ間のような短距離間の信号の伝送には、チップが搭載されているプリント配線板6上に光導波路1を形成し、この光導波路1を信号変調されたレーザー光等の光伝送とした光伝送・通信システムを構築することができる。
【0009】
また、図20に示すように、光導波路1はクラッド2及び3と、これらのクラッド2、3間に挟持されたコア4とからなり、コア4の光入出射部7a、7bの端面は45°ミラー面に形成されている。さらに、クラッド2における光入出射部にはレンズ部5が形成されている。
【0010】
図20に示すような光導波路1の製造方法を図21を参照して説明する。
【0011】
まず、図21(a)に示すように、レンズ部5付きのクラッド2に対応した形状を有する上型8及び下型9を用い、図21(b)に示すようなクラッド2を射出成形によって作製する。
【0012】
次に、図21(c)に示すように、型10にコア材4aを充填する。次いで、図21(d)に示すように、コア材4aが充填された型10上に、上記のようにして作製したレンズ部5付きのクラッド2を貼り合わせ、クラッド2を押圧しながらUV照射することによってコア材4aを硬化させる。そして、図21(e)に示すように、型10を剥がせば、クラッド2とコア4との積層体を得ることができる。
【0013】
次いで、図21(f)に示すように、上記のようにして作製した積層体と、別途作製したクラッド3とを接合すれば、光導波路1を得ることができる。
【0014】
【非特許文献1】日経エレクトロニクス、“光配線との遭遇”2001年12月3日の122頁、123頁、124頁、125頁、図4、図5、図6、図7
【非特許文献2】NTT R&D, vol.48, no.3, pp.271-280 (1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来例による製造方法では、図21(d)に示すように、コア材4a上にクラッド2を押圧しながらUV照射によってコア材4aを硬化させる。これは、図22(a)に示すように、コア4を複数並んで配列させ、クラッド2をコア材4a上に貼り合わせただけで押圧しないで硬化させたり、或いはクラッド2の押圧が小さい場合、残渣40の厚みが大きくなり、コア4−1に入射した光信号が残渣40を通って隣接する他のコア4−2、4−3に漏れ、信号路としての機能を果たさなくなるためである。即ち、図22(b)に示すように、加圧することで残渣40の厚みを小さくし、隣接するコア4−2、4−3への光信号の漏れを防止する必要があった。
【0016】
残渣厚と光導波損失の関係は、図23(a)に示すように、光導波路の光導波損失を許容値(樹脂カタログ値)である0.08dB/cm以下に抑えるためには、残渣厚を1.5μm以下に抑えなくてはならない。即ち、図23(b)に示すように、残渣厚1.5μm以下にするためには、32N以上で加圧する必要がある。
【0017】
しかしながら、一般的にコア材としてエポキシ系などの光学部品用UV硬化樹脂が採用されているが、これらUV硬化樹脂は、硬化時に5〜10%程度の樹脂収縮が起こる(組成調整により、収縮量を抑えることは可能であるが、5%以下は困難。)。これにより、残渣量が少なくなると、コア周辺の樹脂流動が阻害され、コアに泡(ヒケ)が生じることを本発明者が初めて知見した。コアに泡が生じると、この泡が光信号の導波を阻害し、光導波損失が増してしまう。
【0018】
例えば、図24に示すように、コアに対応した形状の凹部11を有する型10を用い、また粘度40cpsの光導波路用UV硬化樹脂をコア材として用い、この樹脂を型10の凹部11内に10cc供給し、このコア材上にクラッドを貼り合わせ、加圧下でコア材を硬化させた。
【0019】
そして、このときのクラッドの押圧と、コアに発生した泡の量との関係を測定したところ、図25に示すように、クラッドの押圧量が増すと、コアにおける泡の発生量が増加することが分かった。
【0020】
ここで、コアに泡が発生するメカニズムを説明する。例えば、図26(a)に示すように、残渣40の厚みが大きい状態でUV照射を行う場合、コア材4aの硬化時に樹脂収縮(例えば10%収縮)が起こり、コアに負圧になった部分が生じるが、この負圧部分に残渣40からコア材4aが供給される。これに対し、図26(b)に示すように、残渣40の厚みが小さい状態でUV照射を行う場合、上記のようにコアに負圧部分が生じても、その負圧部分にコア材4aを供給するだけの量が残渣40には残っておらず、コア材4aの流動性が低下し、その結果コアに泡41が発生すると考えられる。
【0021】
本発明者は、上述した泡の発生メカニズムを確認するため、図27(a)に示すように、クラッド2の長さを凹部11の長さよりも短くした以外は、上記と同様の条件でクラッドの押圧と、コアに発生した泡の量との関係を測定した。その結果、図27(b)に示すように、どんなにクラッドの押圧を大きくしても泡が発生しなかった。これは、クラッド2により拘束されていない開放部から、樹脂収縮に伴う樹脂不足分が供給されたためと考えられる。
【0022】
即ち、残渣厚が小さくかつ泡が存在しないような、効果的な光導波を行える光導波路を成形するためには、硬化収縮の無い樹脂を開発するなど、非常に対応が困難なことが判明した。
【0023】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、残渣を小さくすると共に、泡の発生を効果的に防止することができる成形品の製造方法及びこの製造方法により得られる成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
即ち、本発明は、成形用の凹部を有する型に成形材料を供給する工程と、この成形材料の表面側の不要部分を除去して平坦化すると共に、前記成形材料を前記凹部内に充填する工程と、前記成形材料を硬化させる工程と、この硬化物上に接着性材料を設ける工程と、この接着性材料上に他の部材を押圧しながら前記接着性材料を硬化させる工程と、前記成形材料を前記型から分離する工程とを有する、成形品の製造方法に係るものである。
【0025】
また、硬化した成形材料からなる成形部と、この成形部に一体化され、硬化した接着性材料からなる接着層と、この接着層を介して前記成形部に接着された他の部材とによって構成され、前記接着層が前記成形部又は前記他の部材と同等の材質からなる、成形品に係るものである。
【0026】
ここで、本発明における「同等の材質」とは、構成物質の化学構造が基本的に同一であることを意味し、材質が全く同じということは勿論のこと、添加物や分子量などによって屈折率又は色等が異なる場合も含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明の製造方法によれば、前記成形材料の表面側の不要部分を除去して平坦化すると共に、前記成形材料を前記凹部内に充填する工程と、前記成形材料を硬化させる工程と、この硬化物上に前記接着性材料を設ける工程と、この接着性材料上に前記他の部材を押圧しながら前記接着性材料を硬化させる工程とを有するので、前記硬化物と前記他の部材との間の前記接着性材料の厚み(残渣)を極力薄膜化するために、前記押圧力を大きくしても、硬化された前記成形材料には従来例のような泡が発生しない。
【0028】
また、本発明の成形品における、硬化した前記成形材料からなる前記成形部に一体化され、硬化した前記接着性材料からなる前記接着層は薄膜化されており、前記成形材料と前記接着性材料とがそれぞれ硬化されるので、硬化した前記成形材料からなる前記成形部には従来例のような泡が存在しない。さらに、前記接着層が前記成形部又は前記他の部材と同等の材質からなるので、例えば、光学的には前記接着層が存在しない構成と同等の性能を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明において、前記他の部材と一体化した前記成形材料を前記型から分離するのが好ましい。
【0030】
本発明に基づく製造方法は、前記成形品としての光導波路を成形するのに好適である。
【0031】
即ち、クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路を成形するに際し、前記コアに対応する形状の前記凹部を有する前記型にコア材を供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、前記型の前記凹部内に充填し、前記コア材に対して1回目の露光を行って前記コア材を硬化し、この硬化された前記コア材上に更にコア材又はクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行い、前記積層体を前記型から分離して得ることが望ましい。
【0032】
前記コアは入射した光信号を導波する役割を果たし、前記クラッドは前記コア内に光信号を閉じ込める役割を果たす。前記コアは高い屈折率を持つ材料からなり、前記クラッドは前記コアより低い屈折率の材料で構成されている。
【0033】
本発明に基づく製造方法によれば、1回目の露光によって前記コア材を硬化するとき、上記の従来例のように、前記コア材上に前記クラッドを貼り合わせないので前記コア材の流動性が低下せず、前記コア材の硬化収縮によって上記した負圧部分が生じても、この負圧部分に前記コア材が供給され、硬化された前記コア材に泡が発生しない。
【0034】
また、一度硬化された前記コア材上に更に前記接着性材料としてのコア材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、前記接着性材料の厚み(残渣)が小さくなるような加圧下(例えば32N以上)で2回目の露光を行っても、前記コアには泡が発生せず、良質な前記光導波路を成形することができる。
【0035】
さらに、一度硬化された前記コア材上に更に前記接着性材料としてのクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行う場合、前記接着性材料として前記コア材(例えば、屈折率1.6)より屈折率の小さい前記クラッド材(例えば、屈折率1.5)を用いているので、複数並んで配列されたコア間の光漏洩を防ぐために必要条件であった残渣1.5μmという制約がなくなる。即ち、前記接着性材料を薄膜化せずとも光導波路として効果的に機能させることが可能となるので、前記型から前記積層体をより剥離し易くなって製造難易度が低下し、また、原理的に残渣厚が制限されないので管理制度が大幅に低くなり、コストダウンが可能となる。
【0036】
また、本発明は、クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路を成形し、前記クラッドにおいて、前記コアの光入出射部に相当する位置にレンズ部を形成するに際し、前記レンズ部に対応する形状の前記凹部を有する前記型にレンズ材料を供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、前記凹部内に充填し、1回目の露光を行い、これにより硬化された前記レンズ材料上に更にクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行い、前記レンズ部付きの前記クラッドを前記型から分離して得ることが好ましい。
【0037】
これによれば、1回目の露光によって前記レンズ材料を硬化するとき、前記レンズ材料上への基板等の貼り合わせがないので、前記レンズ材料の流動性が低下せず、硬化時に前記レンズ材料が収縮して負圧になった部分が生じても、この負圧部分に前記レンズ材料が供給され、硬化された前記レンズ部に泡が発生しない。
【0038】
また、一度硬化された前記レンズ材料上に更にクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行っても、泡は発生せず、良質な前記レンズ部付きの前記クラッドを成形することができる。
【0039】
本発明の成形品は、クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路であって、前記成形部が前記コアであり、前記他の部材が前記クラッドであり、前記接着層が前記コア又は前記クラッドと同等の材質からなることが望ましい。
【0040】
また、クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成され、前記クラッドにおいて、前記コアの光入出射部に相当する位置にレンズ部を有する光導波路であって、前記成形部が前記レンズ部であり、前記他の部材が前記クラッドであり、前記接着層が前記クラッドと同等の材質からなることが望ましい。
【0041】
そして、本発明に基づく光導波路は、この光導波路の前記コアに光を入射させる光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)と、前記コアからの出射光を受け入れる受光部(例えば、フォトダイオード等の受光素子)とから構成した光配線等の光情報処理装置として好適に用いることができる。
【0042】
また、光配線等の前記光情報処理装置は、その入力側に入力信号を供給する回路素子を設け、その出力側に出力信号を受ける回路素子を設けることにより構成される電子機器に好適に用いることができる。
【0043】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
【0044】
第1の実施の形態
図1は、前記成形品としての光導波路1Aを成形する場合における、本発明に基づく製造方法の一例を工程順に示す概略図である。ここで、図20に示した光導波路1と同様に、光導波路1Aは、レンズ部5付きのクラッド2と、クラッド2とは別のクラッド3と、これらクラッド2、3間に挟持されたコア4との積層体からなり、コア4を通して光が導かれるように構成されている。また、コア4の光入出射部7a、7bの端面は45°ミラー面に形成されている。コア4は入射した光信号を導波する役割を果たし、クラッド2、3はコア4内に光信号を閉じ込める役割を果たす。コア4は高い屈折率を持つ材料からなり、クラッド2、3はコア4より低い屈折率の材料で構成されている。
【0045】
レンズ部5付きのクラッド2は、例えば、図21(a)に示すように、レンズ部5付きのクラッド2に対応した形状を有する上型8及び下型9を用い、この上型8及び下型9にクラッド材2aを充填して硬化させることにより作製することができる。
【0046】
次いで、図1(a)に示すように、コア4に対応する形状の凹部11を有する型10にコア材4aを供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、型10の凹部11内に充填する。次いで、図1(b)に示すように、コア材4aに対して1回目のUV照射を行ってコア材4aを硬化する。
【0047】
次に、図1(c)に示すように、硬化されたコア材4a上に更に前記接着性材料としてのコア材4bを滴下し、この上に、図1(d)に示すように、上記のようにして作製したレンズ部5付きのクラッド2を貼り合わせ、加圧下(例えば、32N以上)で2回目のUV照射を行う。そして、図1(e)に示すように、型10を剥がせば、クラッド2とコア4との前記積層体を得ることができる。このとき、クラッド2を32N以上で押圧すれば、残渣40の厚さを1.5μm以下とすることができ、光導波損失を許容値である0.08dB/cm以下に抑えることができる。
【0048】
次いで、図示省略したが、上記のようにして成形した前記積層体と、別のクラッド3とを接合する。
【0049】
以上のようにして、本発明に基づく光導波路1Aを成形することができる。
【0050】
本発明に基づく製造方法によれば、1回目の露光を行ってコア材4aを硬化するとき、上記の従来例のようにコア材4a上にクラッド2を貼り合わせないので、コア材4aの流動性が低下せず、コア材4aが収縮して負圧になった部分が生じても、この負圧部分にコア材4aが供給され、硬化されたコア材4aに泡が発生しない。
【0051】
また、一度硬化されたコア材4a上に更に前記接着性材料としてのコア材4bを滴下し、この上にクラッド2を貼り合わせ、残渣40の厚みがより薄膜化されるような加圧下(例えば32N以上)で2回目の露光を行っても、コア4には泡が発生せず、良質な光導波路1Aを成形することができる。
【0052】
ここで、スキージ12に欠損がなければ、残膜500nm程度の安定したスキージングが可能であり、加圧下での2回目のUV照射において残渣40の厚さが1μm以下となるようクラッド2を押圧すれば、残渣40を1.5μm以下にすることができ、光導波路1Aの光伝搬損失を許容値とする0.08dB/cm以下に抑えることができる。
【0053】
従って、クラッド2の押圧を強くしてもコア4に泡が発生せず、残渣40を1.5μm以下にすることができ、コア4における光伝搬の信頼性の向上を図ることができる。
【0054】
なお、1回目のUV照射によって硬化されたコア材4aと、前記接着性材料として滴下されたコア材4bとの界面の密着性は充分であり、樹脂間の剥離等は発生しない。特に前記接着性材料として嫌気性を悪化させた樹脂を用いれば、より優れた効果が期待できる。
【0055】
また、1回目のUV照射によって硬化されたコア材4a(又はコア4)と、前記接着性材料として滴下されたコア材4b(又は残渣40)とは同等の材質からなるので、それらの界面における、光学的乱反射は生じず、安定した光伝送を行うことができる。
【0056】
さらに、コア4に直接機械的加工を行うことなく、コア4の光入出射部7a、7bを傾斜ミラー面、例えば45°ミラー面に形成することができるので、成形時のダメージがなく、表面状態を平滑にすることができ、容易かつ精度良く良質な光導波路1Aを成形することができる。
【0057】
このような光導波路1Aは、この光導波路1Aのコア4に光を入射させる前記光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)と、コア4からの出射光を受け入れる前記受光部(例えば、フォトダイオード等の受光素子)とから構成した光配線等の前記光情報処理装置として好適に用いることができる。
【0058】
また、光配線等の前記光情報処理装置は、その入力側に入力信号を供給する回路素子を設け、その出力側に出力信号を受ける回路素子を設けることにより構成される電子機器に好適に用いることができる。
【0059】
第2の実施の形態
前記レンズ部付きの前記クラッドは、第1の実施の形態で説明したように、前記レンズ部付きの前記クラッドに対応した形状を有する前記型を用いて射出成形により一体成形することができるが、これに限定されず、本発明に基づく製造方法を適用して成形することが可能である。
【0060】
具体的には、まず、図2(a)に示すように、レンズ部5に対応した形状の凹部11’を有する型10’にレンズ部材5aを供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、凹部11’内に充填する。次いで、図2(b)に示すように、レンズ材料5aに対して1回目のUV照射を行ってレンズ材料5aを硬化する。
【0061】
次に、図2(c)に示すように、硬化されたレンズ材料5a上に更に前記接着性材料としてのクラッド材2aを滴下し、この上に、図2(d)に示すように、別途作製したクラッド2を貼り合わせ、加圧下で2回目のUV照射を行う。そして、図2(e)に示すように、型10’を剥がせば、レンズ部5付きのクラッド2を得ることができる。
【0062】
本実施の形態によれば、1回目の露光を行ってレンズ材料5aを硬化するとき、レンズ材料5a上にクラッド2を貼り合わせないので、レンズ材料5aの流動性が低下せず、レンズ材料5aが収縮して負圧になった部分が生じても、この負圧部分にレンズ材料5aが供給され、硬化されたレンズ材料5aに泡が発生しない。
【0063】
また、一度硬化されたレンズ材料5a上に更に前記接着性材料としてのクラッド材2aを滴下し、この上にクラッド2を貼り合わせ、クラッド材2aの厚み(残渣)が小さくなるような加圧下で2回目の露光を行っても、レンズ部5には泡が発生せず、良質なレンズ部5付きのクラッド2を成形することができる。
【0064】
さらに、前記接着性材料として滴下されたクラッド材2a(又は残渣40)と、前記他の部材としてのクラッド2とは同等の材質からなるので、それらの界面における、光学的乱反射は生じず、安定した光伝送を行うことができる。
【0065】
第3の実施の形態
図3は、前記成形品としての光導波路1Bを成形する場合における、本発明に基づく製造方法の他の例を工程順に示す概略図である。ここで、図20に示した光導波路1と同様に、光導波路1Bは、レンズ部5付きのクラッド2と、クラッド2とは別のクラッド3と、これらクラッド2、3間に挟持されたコア4との積層体からなり、コア4を通して光が導かれるように構成されている。また、コア4の光入出射部7a、7bの端面は45°ミラー面に形成されている。コア4は入射した光信号を導波する役割を果たし、クラッド2、3はコア4内に光信号を閉じ込める役割を果たす。コア4は高い屈折率を持つ材料からなり、クラッド2、3はコア4より低い屈折率の材料で構成されている。
【0066】
レンズ部5付きのクラッド2は、例えば、図21(a)に示すように、レンズ部5付きのクラッド2に対応した形状を有する上型8及び下型9を用い、この上型8及び下型9にクラッド材2aを充填して硬化させることにより作製することができる。また、これに代えて、第2の実施の形態で説明したように、本発明に基づく製造方法により成形するのがより好ましい。
【0067】
次いで、図3(a)に示すように、コア4に対応する形状の凹部11を有する型10にコア材4aを供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、型10の凹部11内に充填する。次いで、図3(b)に示すように、コア材4aに対して1回目のUV照射を行ってコア材4aを硬化する。
【0068】
次に、図3(c)に示すように、硬化されたコア材4a上に更に前記接着性材料としてのクラッド材2aを滴下し、この上に、図3(d)に示すように、レンズ部5付きのクラッド2を貼り合わせ、加圧下で2回目のUV照射を行う。そして、図3(e)に示すように、型10を剥がせば、クラッド2とコア4との前記積層体を得ることができる。
【0069】
次いで、図示省略したが、上記のようにして成形した前記積層体と、別のクラッド3とを接合する。
【0070】
以上のようにして、本発明に基づく光導波路1Bを成形することができる。
【0071】
本発明に基づく製造方法によれば、1回目の露光を行ってコア材4aを硬化するとき、上記の従来例のようにコア材4a上にクラッド2を貼り合わせないので、コア材4aの流動性が低下せず、コア材4aが収縮して負圧になった部分が生じても、この負圧部分にコア材4aが供給され、硬化されたコア材4aに泡が発生しない。
【0072】
また、一度硬化されたコア材4a上に更に前記接着性材料としてのクラッド材2aを滴下し、この上にクラッド2を貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行う際、前記接着性材料としてコア材(例えば、屈折率1.6)4aより屈折率の小さいクラッド材(例えば、屈折率1.5)2aを用いているので、複数並んで配列されたコア4間の光漏洩を防ぐために必要条件であった「残渣40の厚みが1.5μm以下」という制約がなくなる。即ち、残渣40を高精度に薄膜化せずとも光導波路1Bとして効果的に機能させることが可能となるので、型10から前記積層体をより剥離し易くなって製造難易度が低下し、また、原理的に残渣厚が制限されないので管理制度が大幅に低くなり、コストダウンが可能となる。
【0073】
なお、1回目のUV照射によって硬化されたコア材4aと、前記接着性材料として滴下されたクラッド材2aとの界面の密着性は充分であり、樹脂間の剥離等は発生しない。特に前記接着性材料として嫌気性を悪化させた樹脂を用いれば、より優れた効果が期待できる。
【0074】
また、前記接着性材料として滴下されたクラッド材2a(又は残渣40)と、前記他の部材としてのクラッド2とは同等の材質からなるので、それらの界面における、光学的乱反射は生じず、安定した光伝送を行うことができる。
【0075】
また、コア4に直接機械的加工を行うことなく、コア4の光入出射部7a、7bを傾斜ミラー面、例えば45°ミラー面に形成することができるので、成形時のダメージがなく、表面状態を平滑にすることができ、容易かつ精度良く良質な光導波路1Bを成形することができる。
【0076】
このような光導波路1Bは、この光導波路1Bのコア4に光を入射させる前記光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)と、コア4からの出射光を受け入れる前記受光部(例えば、フォトダイオード等の受光素子)とから構成した光配線等の前記光情報処理装置として好適に用いることができる。
【0077】
また、光配線等の前記光情報処理装置は、その入力側に入力信号を供給する回路素子を設け、その出力側に出力信号を受ける回路素子を設けることにより構成される電子機器に好適に用いることができる。
【0078】
第4の実施の形態
本発明に基づく光導波路は、この光導波路の前記コアに光を入射させる前記光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)と、前記コアからの出射光を受け入れる前記受光部(例えば、フォトダイオード等の受光素子)とから構成した光配線等の光情報処理装置として好適に用いることができる。
【0079】
図4は、本発明に基づく光導波路(代表的に図1に示した光導波路1Aとするが、他の光導波路でも同様である:以下、同様)と、この光導波路1Aのコア4に光を入射させる光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)13と、コア4からの出射光を受け入れる受光部(例えば、受光素子)14とを有する、光情報処理装置15の概略図である。但し、図4では光導波路1Aにおける前記接着性材料の厚み(残渣)は図示省略した(以下、同様。)。
【0080】
本実施の形態において、45°ミラー面である光入射部7a及び光出射部7bを有するコア4は、図4(b)に示すように、複数個が並んで配列されており、各コア4の光入出射部7a、7bの位置が長さ方向において揃っている。
【0081】
また、発光素子13は、各コア4の光入射部7aに対応する位置にそれぞれ配置されている。なお、図示省略したが、各発光素子13の間隙には、発光素子13と半導体チップ(図示省略)との間の電気的な接続を行う貫通電極(図示省略)が配置されている。なお、受光素子14においても、上記の発光素子13と同様である。
【0082】
図4に示す光情報処理装置15では、コア4の並ぶ配列ピッチと同じピッチで、発光素子13や受光素子14が配列することとなる。
【0083】
この動作メカニズムは、一方の半導体チップ(図示省略)から発信される電気信号が光信号に変換されて、各発光素子13から光信号として出射される。出射された光信号は、レンズ部5によって集束され、コア4の光入射部7aに入射し、45°ミラー面から構成される光入射部7aにおいて反射し、コア4が延伸する導波方向に導波され、他方の45°ミラー面からなる光出射部7bにおいて再び反射してコア4の光出射部7bから出射する。光導波路1Aから出射された光信号は、レンズ部5を介して対応する受光素子14に受光されて電気信号に変換され、他方の半導体チップ(図示省略)に電気信号として伝送される(以下、他の実施の形態も同様。)。
【0084】
なお、上記にコア4の光入出射部7a、7bの位置が長さ方向において揃っている例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、図5〜図7のような構造であってもよい。
【0085】
図5では、コア4は複数並んで配列されており、また、各コア4の光入出射部7a、7bが、隣接する他のコア4の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されている。この場合、発光素子アレイ13aは、各コア4の光入射部7aに対応する位置に配置された複数の発光素子13を備える(これは、受光素子アレイ14aの受光素子14についても同様である。)。
【0086】
これによれば、各コア4の光入出射部7a、7bが、隣接する他のコア4の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されているので、コア4の長さ方向において配列する発光素子13同士のピッチは、上記の長さ方向のずれ量だけの大きさとなる。例えば、隣接するコア4の光入出射部7a、7bを延伸方向において100μmだけずらした場合には、コア4の長さ方向において配列する発光素子13同士のピッチは100μmとなる。これは、受光素子14においても同様である。
【0087】
また、コア4の配列方向に並ぶ発光素子13のピッチは、複数個のコア4の配列ピッチの合計分だけの大きさとなる。例えば、各コア4が20μmの配列ピッチで配列している場合には、コア4の配列方向に並ぶ発光素子13のピッチは、100μmとなる。
【0088】
このように、各コア4の光入出射部7a、7bが、隣接する他のコア4の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されていることにより、コア4に対応して配置される光素子(発光素子、受光素子を併せて称する。以下、同様。)13、14を二次元的に配置することができ、光素子13、14を100μmピッチ程度で配置しながら、コア4を20μmピッチにまで集積することが可能となっている。
【0089】
即ち、光素子13、14の距離を光干渉や素子発熱によるクロストークの影響を避けるためのピッチで配列させつつ、コア4の集積度を向上させることが可能となる。
【0090】
また、コア4を高集積化させつつ、光素子13、14を二次元的に配列することにより、無駄なスペースがなくなり、一素子当たりの基板占有面積を削減することができる。このため、一層のコストダウンを図ることができる。
【0091】
図6では、各コア4−1、4−2の光入出射部7a、7bは、隣接する他のコア4−1、4−2の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されている。即ち、光入出射部7a、7bの位置がずれた2つの第1のコア4−1及び第2のコア4−2を一単位として、繰り返し配列されている。そして、各コア4の長さ方向の一方側において、第1のコア4−1の光入射部7aに対応して配置された発光素子13を複数有する発光素子アレイ13a−1と、第2のコア4−2の光出射部7bに対応して配置された受光素子14を複数有する受光素子アレイ14a−2が配置されている。また、各コア4の長さ方向の他方側において、第1のコア4−1の光出射部7bに対応して配置された受光素子14を複数有する受光素子アレイ14a−1と、第2のコア4−2の光入射部7aに対応して配置された発光素子13を複数有する発光素子アレイ13a−2が配置されている。即ち、この光情報処理装置15では、並列に配置された各コア4−1、4−2に対し、発光素子13及び受光素子14が交互に配置されている。そのため、各コア4−1、4−2は、互いに隣接する他のコア4−2、4−1に対し逆方向に光を導波する。
【0092】
これによれば、上記した図5のような構造と同等の効果が得られると共に、並列に配置された各コア4−1、4−2に対し、発光素子13及び受光素子14が交互に配置されていることから、例えば、半導体チップの特定の回路に接続する入出力パッドに対応する発光素子13及び受光素子14の位置は、図6(a)のC部に示すように近接配置されていることから、電気配線の長さを短くすることができ、高周波対策が容易になるという効果がある。
【0093】
図7では、並列に配置された各コア4に対し、発光素子13及び受光素子14が交互に配置されており、各コア4は、互いに隣接する他のコア4に対し逆方向に光を導波する。また、各光素子アレイ13a−1、13a−2、14a−1、14a−2における光素子13、14は、図7(d)に示すように、隣り合う他の光素子13、14に対し、コア4の長さ方向にずれて配置されている。
【0094】
これによれば、各光素子アレイ13a−1、13a−2、14a−1、14a−2において光素子13、14が直線的に配列している場合に比べて、光素子13、14間のピッチを大きく取ることができることから、上記の図6のような構造の効果を維持しつつ、光素子13、14間の距離を光干渉や素子発熱によるクロストークの影響を避けるためのピッチで配列させることができ、コア4の集積度を向上させることが可能となる。
【0095】
第5の実施の形態
本発明に基づく光導波路は、プリント配線板上に直接実装することができるが、この他に、前記光導波路をソケットに設置して光電複合装置とし、この光電複合装置をプリント配線板上に実装してもよい。
【0096】
図8は、前記ソケットの概略斜視図である。図8(a)は、前記ソケットの光導波路が設置される面側から見た概略斜視図であり、図8(b)は、図8(a)の反対の面側から見た概略斜視図である。
【0097】
図8に示すように、ソケット17には、本発明に基づく製造方法により成形される光導波路を位置決めして固定するための、凹凸構造からなる位置決め手段が設けられている。具体的には、前記凹凸構造が、前記光導波路を嵌め込んでその幅方向を位置決めするための凹部18と、前記光導波路の長さ方向を位置決めするための突起部19とを有している。また、凹部18の深さは、前記光導波路の厚さよりも大きい。
【0098】
また、ソケット17の前記凹凸構造の凸面20には、ソケット17の表及び裏面とをどう通するための導通手段、例えばターミナルピン21が設けられている。そして、この凹凸構造の凸面20上に、後述するように、前記発光素子及び/又は前記受光素子が実装されたインターポーザーが固定される。
【0099】
ソケット17の材質としては絶縁性樹脂であれば、従来公知の材料を用いることができ、例えばガラス入りPES(ポリエチレンスルフィド)樹脂、ガラス入りPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等が挙げられる。このようなソケット17の材料は、その種類、絶縁性、信頼性等のデータが既に多く存在し、また扱っているメーカーも多岐に渡る。従って、機能、コスト、信頼性等の全てにおいて受け入れ易い構造物であり、既存のプリント配線板実装プロセスとの融合も図り易い。
【0100】
図9は、本発明に基づく光導波路1Aをソケット17に設置してなる光電複合装置22の概略図である。図9(a)は、光電複合装置22の概略斜視図であり、図9(b)は、図9(a)の分解図である。
【0101】
図9に示すように、光電複合装置22は、一対のソケット17と、このソケット17に設置された光導波路1Aとを有し、この一対のソケット17間に光導波路1Aが架け渡されている。なお、光導波路1Aは、本発明に基づく製造方法により成形される。このとき、光導波路1Aは、後述するプリント配線板とは非接触となっているので、半導体チップの放熱により、光導波路1Aが破壊されるのを効果的に防止することができる。
【0102】
また、ソケット17の前記凹凸構造の凸面20上に、半導体チップ23a、23bと、前記発光素子(図示省略。例えばレーザー)及び/又は前記受光素子(図示省略)とが実装されたインターポーザー24が固定されている。
【0103】
インターポーザー24は、例えば図10に示すように、一方の面側には半導体チップ23が実装されており(図10(a))、他方の面側には光導波路1Aに光入射を行うための発光素子アレイ13aと、光導波路1Aからの出射光を受けるための受光素子アレイ14aとが実装され、周辺部にはその他の信号配線用の電極(例えば電源配線、DC信号等)25が設けられている(図10(b))。なお、発光素子アレイ13a及び受光素子アレイ14aは、光導波路1Aの各光入出射部に対応する位置に配置された複数の発光素子及び受光素子を備える(図示省略)。各発光素子及び受光素子の間隙には、発光素子及び受光素子と半導体チップとの間の電気的接続を行う貫通電極が配置されている(図示省略)。
【0104】
そして、凹部18に光導波路1Aが設置されてなる一対のソケット17と、インターポーザー24とを固定するに際し、インターポーザー24の発光素子アレイ13a及び/又は受光素子アレイ14aが実装された面側をソケット17の凸面20と接するように構成し、またソケット17のターミナルピン21とインターポーザー24のその他の信号配線用の電極25とを電気的に接続するように固定する。
【0105】
また、上述したように、ソケット17の凹部18の深さを、光導波路1Aの厚さよりも大きく形成することにより、図9(a)に示すように、光導波路1Aの一方の面26側と、インターポーザー24の発光素子アレイ13a及び/又は受光素子アレイ14aが実装されている面側との間に空間27を形成することができる。
【0106】
上記したように、ソケット17上に、インターポーザー24を介して半導体チップ23を実装し、及び光導波路1Aの一方の面26側と、インターポーザー24の発光素子アレイ13a及び/又は受光素子アレイ14aが実装されている面側との間に空間27を形成することにより、光電複合装置22の使用時に半導体チップ23が発熱しても、この熱によって光導波路1Aが破壊されるのを効果的に防ぐことができる。
【0107】
このような光電複合装置22は、光導波路1Aが光配線として用いられる光配線システムを構成することができる。即ち、図11に示すように、この光電複合装置22をプリント配線板6に電気的に接続された状態で固定する。
【0108】
この動作メカニズムは、一方の半導体チップ23aから発信される電気信号が光信号に変換されて、発光素子アレイ13aの各発光素子(図示省略)からレーザー光による光信号として出射される。出射された光信号は、光導波路1Aにおける対応するレンズ部5によって集束され、コア4の光入射部7aに入射し、コア4が延伸する導波方向に導波され、他方のコア4の光出射部7bから出射する。そして、光導波路1Aから出射された光信号は、受光素子アレイ14aの対応する受光素子(図示省略)に受光されて電気信号に変換され、他方の半導体チップ23bに電気信号として伝送される。
【0109】
このような光電複合装置22によれば、本発明に基づく光導波路1Aをソケット17の凹部18に設置された状態でプリント配線板6に電気的に接続することができるので、既存のプリント配線板6の実装構造をそのまま利用できる構造である。従って、プリント配線板6上にソケット17が設置できる領域を設ければ、その他の一般の電気配線は従来通りのプロセスで形成することが可能である。
【0110】
また、光導波路1Aが高温プロセスに弱くても、例えば、プリント配線板6にソケット17を固定し、更にはんだリフロー、アンダーフィル樹脂封止などの高温プロセスを含む、全ての実装プロセスを完了した後、ソケット17の凹部18に光導波路1Aを設置することができるので、光導波路1Aが高温によるダメージをこうむることなしにその実装を行うことが可能である。
【0111】
また、プリント配線板6と比較して剛性の高い樹脂によってソケット17を作製でき、このソケット17上で、前記発光素子及び/又は前記受光素子及び光導波路1A間の光結合を行うことができるため、光結合に必要とされる実装精度を容易に確保できる。例えば、現状のモールド技術により、数μmオーダーの組立て精度は確保可能である。従って、光バスの高密度化も可能となる。
【0112】
さらに、半導体チップ23と、発光素子アレイ13a及び/又は受光素子アレイ14aとを、インターポーザー24を介してその上下面に近接させて設置することができるので、半導体チップ23と、前記発光素子及び/又は前記受光素子との間の配線長を短くすることができる。従って、電気信号のノイズ対策、クロストーク対策も容易となり、光変調速度も向上させることが可能となる。
【0113】
また、光導波路1Aがソケット17の凹部18に設置された状態でプリント配線板6に電気的に接続することができるので、プリント配線板6の高密度配線とその設計の自由度を確保しながら光配線システムを安価かつ高い自由度でプリント配線板6上に展開することが可能となり、プリント配線板6上での高速分散処理、電子機器トータルでの高機能化、及び開発の短TAT(turn around time)化等が期待できる。
【0114】
ここで、図12は、光電複合装置22をプリント配線板6上に展開した例を示す模式図である。例えば、光導波路モジュールを規格化することで、4方向に自在に展開することが可能となる。
【0115】
第6の実施の形態
本発明に基づく前記光導波路と、この光導波路の前記コアに光を入射させる前記光入射部と、前記コアからの出射光を受け入れる前記受光部とを有する前記光情報処理装置の入力側に入力信号を供給する回路素子を設け、また出力側に出力信号を受ける回路素子を設けることにより、電子機器を構成することができる。この場合、前記光入射部に、パラレル入力信号をシリアル入力信号に変換する変換器がドライバアンプを介して接続され、前記受光部に、シリアル出力信号をパラレル出力信号に変換する変換器がトランスインピーダンスアンプ及びI/V変換アンプを介して接続されているのがよい。
【0116】
図13は、上記の電子機器としてのコンピュータシステム200の構成を示している。このコンピュータシステム200は、CPU(Central Processing Unit)201と、メモリコントローラとしてのノースブリッジ202と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)203と、I/Oコントローラとしてのサウスブリッジ204と、バス205と、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)206と、記憶装置207と、その他の入出力装置(I/O装置)208とを備える。
【0117】
ノースブリッジ202は、光配線として構成された上記の光情報処理装置210aを介してCPU201に接続されている。また、サウスブリッジ204は、光配線として構成された光情報処理装置210bを介してノースブリッジ202に接続されていると共に、さらに光配線210aを介してCPU201に接続されている。また、DRAM203は、光配線として構成された光情報処理装置210cを介してノースブリッジ202に接続されている。CPU201は、OS(Operating System)及びアプリケーションプログラムに基づいて各部を制御する。ノースブリッジ202は、メモリ203へのアクセスを統括制御する。
【0118】
バス205は電気配線214を介してサウスブリッジ204に接続されている。また、ネットワークインタフェース206、記憶装置207及びその他のI/O装置208はそれぞれ、バス205に接続されている。記憶装置207は、HDD(Hard Disk Drive)、DVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、CD(Compact Disk)ドライブなどである。I/O装置208は、ビデオ入出力装置、シリアルやパラレルのインタフェースなどである。
【0119】
図14は、図13における光配線として構成された光情報処理装置210a、b、c(但し、図16では光配線210と記載している。)の構成例を示している。この光配線210は、Nチャネル分の光伝送系220−1〜220−Nを有している。光伝送系220−1〜220−Nはそれぞれ、第1の回路から第2の回路に光信号を伝送する第1の伝送系221と、第2の回路から第1の回路に光信号を伝送する第2の伝送系222とからなっている。ここで、図13における光配線210aを考える場合、前記第1の回路とはCPU201を示し、前記第2の回路とはノースブリッジ202を示す。図13における光配線210bを考える場合、前記第1の回路とはノースブリッジ202を示し、前記第2の回路とはサウスブリッジ204を示す。図13における光配線210cを考える場合、前記第1の回路とはDRAM203を示し、前記第2の回路とはノースブリッジ202を示す。また、光配線210は、図6に示すような光導波方向を有するよう構成された例を挙げる。
【0120】
第1の伝送系221は、パラレル/シリアル変換器(P/S変換器)221a、ドライバアンプ221b、前記発光素子としての半導体レーザー221c、本発明に基づく光導波路221d、受光素子としてのフォトダイオード221e、トランスインピーダンスアンプ(TIA)221f、I/V変換アンプ(IVA)221g及びシリアル/パラレル変換器(S/P変換器)221hを備えている。この場合、P/S変換器221a、ドライバアンプ221b及び半導体レーザー221cは前記第1の回路側に配置され、フォトダイオード221e、TIA221f、IVA221g及びS/P変換器221hは前記第2の回路側に配置される。また、本発明に基づく光導波路221dは、上記の各実施の形態で説明したような構造を有しており、半導体レーザー221cから出射された光信号を効果的に入射するよう配置されると共に、光導波路221dを導波して出射された光信号がフォトダイオード221eに効果的に受光されるよう配置される。
【0121】
また、第2の伝送系222は、第1の伝送系221と同様に、P/S変換器222a、ドライバアンプ222b、半導体レーザー222c、本発明に基づく光導波路222d、フォトダイオード222e、TIA222f、IVA222g及びS/P変換器222hを備えている。この場合、P/S変換器222a、ドライバアンプ222b及び半導体レーザー222cは前記第2の回路側に配置され、フォトダイオード222e、TIA222f、IVA222g及びS/P変換器222hは前記第1の回路側に配置される。また、本発明に基づく光導波路222dは、上記の各実施の形態で説明したような構造を有しており、半導体レーザー222cから出射された光信号を効果的に入射するよう配置されると共に、光導波路222dを導波して出射された光信号がフォトダイオード222eに効果的に受光されるよう配置される。
【0122】
ここで、P/S変換器221a、222aはそれぞれ、伝送すべきデータ、例えばb0〜b7の8ビットパラレルデータをシリアルデータに変換する。ドライバアンプ221b、222bはそれぞれ、P/S変換器221a、222aで得られたシリアルデータに基づいて半導体レーザー221c、222cを駆動し、この半導体レーザー221c、222cからシリアルデータに対応した光信号を発生させる。TIA221f、222fはそれぞれ、フォトダイオード221e、222eからの光電変換による電流信号を、後続のIVA221g、222gに供給する際に、インピーダンスマッチングをとる。IVA221g、222gはそれぞれ、TIA221f、222fの出力信号である電流信号を電圧信号に変換する。S/P変換器221h、222hはそれぞれ、IVA221g、222gの出力信号である、伝送されてきたシリアルデータをパラレルデータに変換する。
【0123】
次に、前記第1の回路から前記第2の回路にデータを伝送する際の動作について説明する。前記第1の回路からの伝送すべき8ビットのパラレルデータがP/S変換器221aでシリアルデータに変換され、このシリアルデータがドライバアンプ221bに供給される。このドライバアンプ221bにより半導体レーザー221cが駆動され、この半導体レーザー221cからシリアルデータに対応した光信号が発生される。そして、この光信号が光導波路221dを導波し、前記第2の回路側に伝送される。
【0124】
前記第2の回路側では、光導波路221dを導波し、出射された光信号がフォトダイオード221eに受光される。このフォトダイオード221eからの光電変換による電流信号が、インピーダンスマッチング用のTIA221fを介してIVA221gに供給され、電圧信号に変換される。そして、このIVA221gの出力信号である、伝送されてきたシリアルデータがS/P変換器221hでパラレルデータに変換され、前記第2の回路へと伝送される。
【0125】
このようにして、前記第1の回路から前記第2の回路にデータの伝送が行われる。なお、詳細説明は省略するが、前記第2の回路から前記第1の回路にデータを伝送する際の動作についても上記と同様に行われる。図14に示す光配線210では、Nチャネル分の光伝送系220−1〜220−Nを有しているので、Nチャネル分のデータ送受信を並行して行うことができる。
【0126】
上述したコンピュータシステム200においては、図示しないプリント配線基板(マザーボード)上に、電子部品としてのCPU201、ノースブリッジ202、DRAM203、サウスブリッジ204及びバス205等をそれぞれ構成する半導体チップ、及び光配線として構成された光情報処理装置210が実装される。
【0127】
本実施の形態によれば、電子機器内のチップ間において光配線として構成された前記光情報処理装置を適用しているので、信号授受の高速化及び大容量化を実現することができる。
【0128】
また、光配線210における光導波路221d、222dは、本発明に基づく製造方法によって成形されるので、上述した各実施の形態と同様の効果が奏せられる。
【0129】
従って、本発明に基づく光導波路221d、222dを用いて構成される電子機器は、安定した光入射及び光出射を行うことができる。
【0130】
第7の実施の形態
図15は、上記の電子機器としてのゲーム機300の構成を示している。このゲーム機300は、ゲームアプリケーションプログラム等の各種アプリケーションプログラムに基づいて信号処理や内部構成要素の制御を行うメインCPU301と、画像処理を行うグラフィックプロセッサ(GP)302と、インターネット等のネットワークとのインタフェースを行うためのネットワークインタフェース(ネットワークI/F)303と、インタフェース処理を行うIOプロセッサ(IOP)304と、DVDやCD等の光ディスク305の読み出し制御や読み出されたデータのデコードを行う光ディスク制御部306と、メインCPU301に接続されるメインメモリとしてのDRAM307と、IOプロセッサ304が実行する命令やデータを保持するためのIOPメモリ308と、主にオペレーティングシステム用のプログラムが格納されたOS-ROM309と、音声信号処理を行うサウンドプロセッサユニット(SPU)310と圧縮波形データを格納するサウンドバッファ311とを基本構成として備えている。
【0131】
メインCPU301とネットワークI/F303は、光配線210dにより接続されている。メインCPU301とグラフィックプロセッサ302は、光配線210eにより接続されている。
【0132】
なお、光配線210d、210eはそれぞれ、上記した図14に示すように構成されており、メインCPU301とネットワークI/F303の間、及びメインCPU301とグラフィックプロセッサ302の間では、光信号によってデータの送受信が行われる。
【0133】
メインCPU301とIOプロセッサ304は、SBUS314により接続されている。IOプロセッサ304と、光ディスク制御部306、OS-ROM309及びサウンドプロセッサユニット310は、SSBUS315により接続されている。
【0134】
メインCPU301は、OS-ROM309に格納されたプログラムや、光ディスク305から読み出されてDRAM307にロードされたり、或いは通信ネットワークを介してダウンロードされた、各種のゲームアプリケーションプログラム等を実行する。グラフィックプロセッサ302は、例えばビデオゲームにおけるレンダリング処理等を行い、ビデオ信号をディスプレイに出力する。
【0135】
IOプロセッサ304には、コントローラ(図示せず)が接続されるコントローラポート321、メモリカード(図示せず)が装填されるメモリカードスロット322、USB接続端子323及びIEEE1394接続端子324が接続されている。これにより、IOプロセッサ304は、コントローラポート321を介して接続されたコントローラ、メモリカードスロット322を介して接続されたメモリカード、USB接続端子323を介して接続された図示しない携帯電話機やパーソナルコンピュータとの間でデータの送受や、プロトコル変換等を行う。
【0136】
サウンドプロセッサユニット310は、サウンドバッファ311に格納されている圧縮波形データを、メインCPU301からの命令に基づいて所定のサンプリング周波数で再生することなどにより、様々なサウンドを合成し、オーディオ信号をスピーカに出力する。
【0137】
上述したゲーム機300においては、図示しないプリント配線基板(マザーボード)上に、メインCPU301等の基本構成電子部品としての半導体チップ、及び光配線として構成された光情報処理装置210d、210eが実装される。
【0138】
本実施の形態によれば、電子機器内のチップ間において光配線として構成された前記光情報処理装置を適用しているので、信号授受の高速化及び大容量化を実現することができる。
【0139】
また、光配線210d、210eにおける前記光導波路として、上述した本発明に基づく製造方法により成形される光導波路を適用するので、これを用いて構成される電子機器は、安定した光入射及び光出射を行うことができる。
【0140】
第8の実施の形態
図16は、上記の電子機器としてのサーバ400の構成を示している。このサーバ400は、CPU401、402と、チップセット403と、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)404と、メモリ405と、PCIブリッジ406と、ルータ407とを基本構成として備えている。
【0141】
チップセット403には、光配線210f、210gを介してCPU401、402が接続されていると共に、光配線210hを介して、ネットワークI/F404が接続されている。ネットワークI/F404は、ネットワークとのインタフェースを行う。チップセット403は、CPU401、402、ネットワークI/F404、メモリ405及びPCIブリッジ406などを制御する。
【0142】
なお、光配線210f、210g、210hはそれぞれ、上記した図14に示すように構成されており、CPU401、402とチップセット403の間、及びチップセット403とネットワークI/F404の間では、光信号によってデータの送受信が行われる。
【0143】
また、チップセット403には、電気配線により、メモリ405、PCIブリッジ406及びルータ407が接続されている。
【0144】
PCIブリッジ406には、PCIバス414を介して、記憶装置などのPCIデバイス415〜417が接続されている。ルータ407は、例えば、スイッチカード421及びラインカード422〜425から構成されている。ラインカード422〜425は、パケットの前処理を行うプロセッサであり、スイッチカード421はパケットの行き先をアドレスに従い切り替えるスイッチである。
【0145】
上述したサーバ400においては、図示しないプリント配線基板(マザーボード)上に、CPU401、402、チップセット403等の基本構成電子部品としての半導体チップ、及び光配線として構成された光情報処理装置210f、210g、210hが実装される。
【0146】
本実施の形態によれば、電子機器内のチップ間において光配線として構成された前記光情報処理装置を適用しているので、信号授受の高速化及び大容量化を実現することができる。
【0147】
また、光配線210f、210g、210hにおける前記光導波路として、上述した本発明に基づく製造方法により成形される光導波路を適用するので、これを用いて構成される電子機器は、安定した光入射及び光出射を行うことができる。
【0148】
第9の実施の形態
本発明に基づく製造方法は、前記成形品としての前記光導波路や前記レンズ部付きの前記クラッドの他にも適用可能であり、例えば図17に示すような液晶ディスプレイ(LCD)用導光板を成形するのに好適である。即ち、この導光板と各フィルムとの接着に、上述した本発明に基づく製造方法を適用する。
【0149】
液晶ディスプレイ用導光板は、LED(light-emitting diode)等の点光源から放射された光を斜め面で90度反射させ、画面裏面を照射する。但し、普通にミラーで反射させると面内の光強度にムラが出るので、それらが一様になるようギザギザのパターンを調整する。それらが最適化されたものが導光板である。なお、画面裏についている樹脂層は、全て光を拡散させるための拡散シート層である(微妙にパターンの異なった層が数層重なっている。)。
【0150】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
【0151】
例えば、前記成形材料の表面側の不要部分を除去して平坦化すると共に、前記凹部内に充填する方法として、スキージングを採用した例を挙げて説明したが、これに限らず適宜選択可能である。
【0152】
また、前記成形材料としてのコア材又はレンズ材料、或いは前記接着性材料としての前記コア材又は前記クラッド材などを硬化させるためにUV照射を行った例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば加熱による硬化方法などもある。
【0153】
また、前記コア材などの前記成形材料と、前記コア材又は前記クラッド材などの前記接着性材料とを屈折率を異ならせたり、色を変えるなどして、区別できるようにしても良い。屈折率を異ならせると、各層での光の挙動が変化するので、光学的な設計の自由度を高められる。
【0154】
また、本発明に基づく製造方法において、図20に示すように、レンズ部5の接合面とは反対側のコア4の他方の面上に、クラッド2とは別のクラッド3を設ける例を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、クラッド3を設けなくてもよい。
【0155】
また、前記レンズ部としては、例えば凸レンズなどを適用することができ、その形状は特に限定されず、球面レンズ、シリンドリカルレンズ等が適用可能である。
【0156】
さらに、ソケット17は、図18に示すように、凸面20上に、前記インターポーザーの位置決め機構32(例えばはめあいボス等)を有していてもよく、その形状、大きさ等は特に限定されない。さらに、ソケット17の凹部18に形成された突起部19の形状、大きさ等は特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】第1の実施の形態による、前記成形品としての光導波路を成形するための、本発明に基づく製造方法の一例を工程順に示す概略断面図である。
【図2】第2の実施の形態による、前記成形品としてのレンズ部付きクラッドを成形するための、本発明に基づく製造方法の一例を工程順に示す概略断面図である。
【図3】第3の実施の形態による、前記成形品としての光導波路を成形するための、本発明に基づく製造方法の他の例を工程順に示す概略断面図である。
【図4】第4の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成した光情報処理装置の概略図である。
【図5】同、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成した他の例の光情報処理装置の概略図である。
【図6】同、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成した他の例の光情報処理装置の概略図である。
【図7】同、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成した更に他の例の光情報処理装置の概略図である。
【図8】第5の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を設置するソケットの概略斜視図である。
【図9】同、前記ソケットに本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を設置してなる光電複合装置の概略斜視図である。
【図10】同、前記ソケットに接合するインターポーザーの概略斜視図である。
【図11】同、前記光電複合装置をプリント配線板上に配した概略断面図である。
【図12】同、前記光電複合装置の実装構造の一例の概略平面図である。
【図13】第6の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成された電子機器の一例を示す模式図である。
【図14】同、前記電子機器において、光配線として構成された前記光情報処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【図15】第7の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成された電子機器の一例を示す模式図である。
【図16】第8の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成された電子機器の一例を示し模式図である。
【図17】第9の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された導光板を用いて構成された液晶ディスプレイの概略断面図である。
【図18】前記ソケットの他の例の概略斜視図である。
【図19】従来例による、光導波路の実装構造を示す概略図である。
【図20】同、光導波路の概略断面図である。
【図21】同、光導波路の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図22】同、クラッドの押圧と残渣の関係を示す模式図である。
【図23】同、残渣厚と光導波損失との関係(a)、押圧と残渣厚との関係(b)を示すグラフである。
【図24】同、コアに対応する形状の凹部を有する型の概略図である。
【図25】同、クラッドの押圧と、コアに発生する泡の量との関係を示すグラフである。
【図26】同、コアに泡が発生するメカニズムを示す模式図である。
【図27】同、コアに粟が発生するメカニズムを示す模式図(a)及びグラフ(b)である。
【符号の説明】
【0158】
1、1A、1B…光導波路、2、3…クラッド、2a…クラッド材、4…コア、
4a、4b…コア材、5…レンズ部、5a…レンズ材料、6…プリント配線板、
7a…光入射部、7b…光出射部、10、10’…型、11、11’…凹部、
12…スキージ、13…発光素子、13a…発光素子アレイ、14…受光素子、
14a…受光素子アレイ、15…光情報処理装置、40…残渣、41…泡(ヒケ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路等の成形品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、LSI(大規模集積回路)等の半導体チップ間の信号伝搬は、全て基板配線を介した電気信号によりなされている。しかし、昨今のMPU高機能化に伴い、チップ間にて必要とされるデータ授受量は著しく増大し、結果として様々な高周波問題が浮上している。それらの代表的なものとして、RC信号遅延、インピーダンスミスマッチ、EMC/EMI、クロストーク等が挙げられる。
【0003】
上記の問題を解決するため、これまで実装業界などが中心となり、配線配置の最適化や新素材開発などの様々な手法を駆使し、解決に当たってきた。
【0004】
しかし近年、上記の配線配置の最適化や新素材開発等の効果も物性的限界に阻まれつつあり、今後システムの更なる高機能化を実現するためには、単純な半導体チップの実装を前提としたプリント配線板の構造そのものを見直す必要が生じてきている。近年、これら諸問題を解決すべく様々な抜本対策が提案されているが、以下にその代表的なものを記す。
【0005】
・マルチチップモジュール(MCM)化による微細配線結合
高機能チップを、セラミック・シリコンなどの精密実装基板上に実装し、マザーボード(多層プリント基板)上では形成不可能である微細配線結合を実現する。これによって配線の狭ピッチ化が可能となり、バス幅を広げることでデータ授受量が飛躍的に増大する。
【0006】
・各種半導体チップの封止、一体化による電気配線結合
各種半導体チップをポリイミド樹脂などを用いて二次元的に封止、一体化し、その一体化された基板上にて微細配線結合を行う。これによって配線の狭ピッチ化が可能となり、バス幅を広げることでデータ授受量が飛躍的に増大する。
【0007】
・半導体チップの三次元結合
各種半導体チップに貫通電極を設け、それぞれを貼り合わせることで積層構造とする。これにより、異種半導体チップ間の結線が物理的に短絡化され、結果として信号遅延などの問題が回避される。但しその一方、積層化による発熱量増加、半導体チップ間の熱応力などの問題が生じる。
【0008】
さらに、上記のように信号授受の高速化及び大容量化を実現するために、光配線による光伝送結合技術が開発されている(例えば、後記の非特許文献1及び非特許文献2参照。)。光配線は、電子機器間、電子機器内のボード間又はボード内のチップ間など、種々の個所に適用可能である。例えば図19に示すように、チップ間のような短距離間の信号の伝送には、チップが搭載されているプリント配線板6上に光導波路1を形成し、この光導波路1を信号変調されたレーザー光等の光伝送とした光伝送・通信システムを構築することができる。
【0009】
また、図20に示すように、光導波路1はクラッド2及び3と、これらのクラッド2、3間に挟持されたコア4とからなり、コア4の光入出射部7a、7bの端面は45°ミラー面に形成されている。さらに、クラッド2における光入出射部にはレンズ部5が形成されている。
【0010】
図20に示すような光導波路1の製造方法を図21を参照して説明する。
【0011】
まず、図21(a)に示すように、レンズ部5付きのクラッド2に対応した形状を有する上型8及び下型9を用い、図21(b)に示すようなクラッド2を射出成形によって作製する。
【0012】
次に、図21(c)に示すように、型10にコア材4aを充填する。次いで、図21(d)に示すように、コア材4aが充填された型10上に、上記のようにして作製したレンズ部5付きのクラッド2を貼り合わせ、クラッド2を押圧しながらUV照射することによってコア材4aを硬化させる。そして、図21(e)に示すように、型10を剥がせば、クラッド2とコア4との積層体を得ることができる。
【0013】
次いで、図21(f)に示すように、上記のようにして作製した積層体と、別途作製したクラッド3とを接合すれば、光導波路1を得ることができる。
【0014】
【非特許文献1】日経エレクトロニクス、“光配線との遭遇”2001年12月3日の122頁、123頁、124頁、125頁、図4、図5、図6、図7
【非特許文献2】NTT R&D, vol.48, no.3, pp.271-280 (1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来例による製造方法では、図21(d)に示すように、コア材4a上にクラッド2を押圧しながらUV照射によってコア材4aを硬化させる。これは、図22(a)に示すように、コア4を複数並んで配列させ、クラッド2をコア材4a上に貼り合わせただけで押圧しないで硬化させたり、或いはクラッド2の押圧が小さい場合、残渣40の厚みが大きくなり、コア4−1に入射した光信号が残渣40を通って隣接する他のコア4−2、4−3に漏れ、信号路としての機能を果たさなくなるためである。即ち、図22(b)に示すように、加圧することで残渣40の厚みを小さくし、隣接するコア4−2、4−3への光信号の漏れを防止する必要があった。
【0016】
残渣厚と光導波損失の関係は、図23(a)に示すように、光導波路の光導波損失を許容値(樹脂カタログ値)である0.08dB/cm以下に抑えるためには、残渣厚を1.5μm以下に抑えなくてはならない。即ち、図23(b)に示すように、残渣厚1.5μm以下にするためには、32N以上で加圧する必要がある。
【0017】
しかしながら、一般的にコア材としてエポキシ系などの光学部品用UV硬化樹脂が採用されているが、これらUV硬化樹脂は、硬化時に5〜10%程度の樹脂収縮が起こる(組成調整により、収縮量を抑えることは可能であるが、5%以下は困難。)。これにより、残渣量が少なくなると、コア周辺の樹脂流動が阻害され、コアに泡(ヒケ)が生じることを本発明者が初めて知見した。コアに泡が生じると、この泡が光信号の導波を阻害し、光導波損失が増してしまう。
【0018】
例えば、図24に示すように、コアに対応した形状の凹部11を有する型10を用い、また粘度40cpsの光導波路用UV硬化樹脂をコア材として用い、この樹脂を型10の凹部11内に10cc供給し、このコア材上にクラッドを貼り合わせ、加圧下でコア材を硬化させた。
【0019】
そして、このときのクラッドの押圧と、コアに発生した泡の量との関係を測定したところ、図25に示すように、クラッドの押圧量が増すと、コアにおける泡の発生量が増加することが分かった。
【0020】
ここで、コアに泡が発生するメカニズムを説明する。例えば、図26(a)に示すように、残渣40の厚みが大きい状態でUV照射を行う場合、コア材4aの硬化時に樹脂収縮(例えば10%収縮)が起こり、コアに負圧になった部分が生じるが、この負圧部分に残渣40からコア材4aが供給される。これに対し、図26(b)に示すように、残渣40の厚みが小さい状態でUV照射を行う場合、上記のようにコアに負圧部分が生じても、その負圧部分にコア材4aを供給するだけの量が残渣40には残っておらず、コア材4aの流動性が低下し、その結果コアに泡41が発生すると考えられる。
【0021】
本発明者は、上述した泡の発生メカニズムを確認するため、図27(a)に示すように、クラッド2の長さを凹部11の長さよりも短くした以外は、上記と同様の条件でクラッドの押圧と、コアに発生した泡の量との関係を測定した。その結果、図27(b)に示すように、どんなにクラッドの押圧を大きくしても泡が発生しなかった。これは、クラッド2により拘束されていない開放部から、樹脂収縮に伴う樹脂不足分が供給されたためと考えられる。
【0022】
即ち、残渣厚が小さくかつ泡が存在しないような、効果的な光導波を行える光導波路を成形するためには、硬化収縮の無い樹脂を開発するなど、非常に対応が困難なことが判明した。
【0023】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、残渣を小さくすると共に、泡の発生を効果的に防止することができる成形品の製造方法及びこの製造方法により得られる成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
即ち、本発明は、成形用の凹部を有する型に成形材料を供給する工程と、この成形材料の表面側の不要部分を除去して平坦化すると共に、前記成形材料を前記凹部内に充填する工程と、前記成形材料を硬化させる工程と、この硬化物上に接着性材料を設ける工程と、この接着性材料上に他の部材を押圧しながら前記接着性材料を硬化させる工程と、前記成形材料を前記型から分離する工程とを有する、成形品の製造方法に係るものである。
【0025】
また、硬化した成形材料からなる成形部と、この成形部に一体化され、硬化した接着性材料からなる接着層と、この接着層を介して前記成形部に接着された他の部材とによって構成され、前記接着層が前記成形部又は前記他の部材と同等の材質からなる、成形品に係るものである。
【0026】
ここで、本発明における「同等の材質」とは、構成物質の化学構造が基本的に同一であることを意味し、材質が全く同じということは勿論のこと、添加物や分子量などによって屈折率又は色等が異なる場合も含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明の製造方法によれば、前記成形材料の表面側の不要部分を除去して平坦化すると共に、前記成形材料を前記凹部内に充填する工程と、前記成形材料を硬化させる工程と、この硬化物上に前記接着性材料を設ける工程と、この接着性材料上に前記他の部材を押圧しながら前記接着性材料を硬化させる工程とを有するので、前記硬化物と前記他の部材との間の前記接着性材料の厚み(残渣)を極力薄膜化するために、前記押圧力を大きくしても、硬化された前記成形材料には従来例のような泡が発生しない。
【0028】
また、本発明の成形品における、硬化した前記成形材料からなる前記成形部に一体化され、硬化した前記接着性材料からなる前記接着層は薄膜化されており、前記成形材料と前記接着性材料とがそれぞれ硬化されるので、硬化した前記成形材料からなる前記成形部には従来例のような泡が存在しない。さらに、前記接着層が前記成形部又は前記他の部材と同等の材質からなるので、例えば、光学的には前記接着層が存在しない構成と同等の性能を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明において、前記他の部材と一体化した前記成形材料を前記型から分離するのが好ましい。
【0030】
本発明に基づく製造方法は、前記成形品としての光導波路を成形するのに好適である。
【0031】
即ち、クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路を成形するに際し、前記コアに対応する形状の前記凹部を有する前記型にコア材を供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、前記型の前記凹部内に充填し、前記コア材に対して1回目の露光を行って前記コア材を硬化し、この硬化された前記コア材上に更にコア材又はクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行い、前記積層体を前記型から分離して得ることが望ましい。
【0032】
前記コアは入射した光信号を導波する役割を果たし、前記クラッドは前記コア内に光信号を閉じ込める役割を果たす。前記コアは高い屈折率を持つ材料からなり、前記クラッドは前記コアより低い屈折率の材料で構成されている。
【0033】
本発明に基づく製造方法によれば、1回目の露光によって前記コア材を硬化するとき、上記の従来例のように、前記コア材上に前記クラッドを貼り合わせないので前記コア材の流動性が低下せず、前記コア材の硬化収縮によって上記した負圧部分が生じても、この負圧部分に前記コア材が供給され、硬化された前記コア材に泡が発生しない。
【0034】
また、一度硬化された前記コア材上に更に前記接着性材料としてのコア材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、前記接着性材料の厚み(残渣)が小さくなるような加圧下(例えば32N以上)で2回目の露光を行っても、前記コアには泡が発生せず、良質な前記光導波路を成形することができる。
【0035】
さらに、一度硬化された前記コア材上に更に前記接着性材料としてのクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行う場合、前記接着性材料として前記コア材(例えば、屈折率1.6)より屈折率の小さい前記クラッド材(例えば、屈折率1.5)を用いているので、複数並んで配列されたコア間の光漏洩を防ぐために必要条件であった残渣1.5μmという制約がなくなる。即ち、前記接着性材料を薄膜化せずとも光導波路として効果的に機能させることが可能となるので、前記型から前記積層体をより剥離し易くなって製造難易度が低下し、また、原理的に残渣厚が制限されないので管理制度が大幅に低くなり、コストダウンが可能となる。
【0036】
また、本発明は、クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路を成形し、前記クラッドにおいて、前記コアの光入出射部に相当する位置にレンズ部を形成するに際し、前記レンズ部に対応する形状の前記凹部を有する前記型にレンズ材料を供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、前記凹部内に充填し、1回目の露光を行い、これにより硬化された前記レンズ材料上に更にクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行い、前記レンズ部付きの前記クラッドを前記型から分離して得ることが好ましい。
【0037】
これによれば、1回目の露光によって前記レンズ材料を硬化するとき、前記レンズ材料上への基板等の貼り合わせがないので、前記レンズ材料の流動性が低下せず、硬化時に前記レンズ材料が収縮して負圧になった部分が生じても、この負圧部分に前記レンズ材料が供給され、硬化された前記レンズ部に泡が発生しない。
【0038】
また、一度硬化された前記レンズ材料上に更にクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行っても、泡は発生せず、良質な前記レンズ部付きの前記クラッドを成形することができる。
【0039】
本発明の成形品は、クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路であって、前記成形部が前記コアであり、前記他の部材が前記クラッドであり、前記接着層が前記コア又は前記クラッドと同等の材質からなることが望ましい。
【0040】
また、クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成され、前記クラッドにおいて、前記コアの光入出射部に相当する位置にレンズ部を有する光導波路であって、前記成形部が前記レンズ部であり、前記他の部材が前記クラッドであり、前記接着層が前記クラッドと同等の材質からなることが望ましい。
【0041】
そして、本発明に基づく光導波路は、この光導波路の前記コアに光を入射させる光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)と、前記コアからの出射光を受け入れる受光部(例えば、フォトダイオード等の受光素子)とから構成した光配線等の光情報処理装置として好適に用いることができる。
【0042】
また、光配線等の前記光情報処理装置は、その入力側に入力信号を供給する回路素子を設け、その出力側に出力信号を受ける回路素子を設けることにより構成される電子機器に好適に用いることができる。
【0043】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
【0044】
第1の実施の形態
図1は、前記成形品としての光導波路1Aを成形する場合における、本発明に基づく製造方法の一例を工程順に示す概略図である。ここで、図20に示した光導波路1と同様に、光導波路1Aは、レンズ部5付きのクラッド2と、クラッド2とは別のクラッド3と、これらクラッド2、3間に挟持されたコア4との積層体からなり、コア4を通して光が導かれるように構成されている。また、コア4の光入出射部7a、7bの端面は45°ミラー面に形成されている。コア4は入射した光信号を導波する役割を果たし、クラッド2、3はコア4内に光信号を閉じ込める役割を果たす。コア4は高い屈折率を持つ材料からなり、クラッド2、3はコア4より低い屈折率の材料で構成されている。
【0045】
レンズ部5付きのクラッド2は、例えば、図21(a)に示すように、レンズ部5付きのクラッド2に対応した形状を有する上型8及び下型9を用い、この上型8及び下型9にクラッド材2aを充填して硬化させることにより作製することができる。
【0046】
次いで、図1(a)に示すように、コア4に対応する形状の凹部11を有する型10にコア材4aを供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、型10の凹部11内に充填する。次いで、図1(b)に示すように、コア材4aに対して1回目のUV照射を行ってコア材4aを硬化する。
【0047】
次に、図1(c)に示すように、硬化されたコア材4a上に更に前記接着性材料としてのコア材4bを滴下し、この上に、図1(d)に示すように、上記のようにして作製したレンズ部5付きのクラッド2を貼り合わせ、加圧下(例えば、32N以上)で2回目のUV照射を行う。そして、図1(e)に示すように、型10を剥がせば、クラッド2とコア4との前記積層体を得ることができる。このとき、クラッド2を32N以上で押圧すれば、残渣40の厚さを1.5μm以下とすることができ、光導波損失を許容値である0.08dB/cm以下に抑えることができる。
【0048】
次いで、図示省略したが、上記のようにして成形した前記積層体と、別のクラッド3とを接合する。
【0049】
以上のようにして、本発明に基づく光導波路1Aを成形することができる。
【0050】
本発明に基づく製造方法によれば、1回目の露光を行ってコア材4aを硬化するとき、上記の従来例のようにコア材4a上にクラッド2を貼り合わせないので、コア材4aの流動性が低下せず、コア材4aが収縮して負圧になった部分が生じても、この負圧部分にコア材4aが供給され、硬化されたコア材4aに泡が発生しない。
【0051】
また、一度硬化されたコア材4a上に更に前記接着性材料としてのコア材4bを滴下し、この上にクラッド2を貼り合わせ、残渣40の厚みがより薄膜化されるような加圧下(例えば32N以上)で2回目の露光を行っても、コア4には泡が発生せず、良質な光導波路1Aを成形することができる。
【0052】
ここで、スキージ12に欠損がなければ、残膜500nm程度の安定したスキージングが可能であり、加圧下での2回目のUV照射において残渣40の厚さが1μm以下となるようクラッド2を押圧すれば、残渣40を1.5μm以下にすることができ、光導波路1Aの光伝搬損失を許容値とする0.08dB/cm以下に抑えることができる。
【0053】
従って、クラッド2の押圧を強くしてもコア4に泡が発生せず、残渣40を1.5μm以下にすることができ、コア4における光伝搬の信頼性の向上を図ることができる。
【0054】
なお、1回目のUV照射によって硬化されたコア材4aと、前記接着性材料として滴下されたコア材4bとの界面の密着性は充分であり、樹脂間の剥離等は発生しない。特に前記接着性材料として嫌気性を悪化させた樹脂を用いれば、より優れた効果が期待できる。
【0055】
また、1回目のUV照射によって硬化されたコア材4a(又はコア4)と、前記接着性材料として滴下されたコア材4b(又は残渣40)とは同等の材質からなるので、それらの界面における、光学的乱反射は生じず、安定した光伝送を行うことができる。
【0056】
さらに、コア4に直接機械的加工を行うことなく、コア4の光入出射部7a、7bを傾斜ミラー面、例えば45°ミラー面に形成することができるので、成形時のダメージがなく、表面状態を平滑にすることができ、容易かつ精度良く良質な光導波路1Aを成形することができる。
【0057】
このような光導波路1Aは、この光導波路1Aのコア4に光を入射させる前記光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)と、コア4からの出射光を受け入れる前記受光部(例えば、フォトダイオード等の受光素子)とから構成した光配線等の前記光情報処理装置として好適に用いることができる。
【0058】
また、光配線等の前記光情報処理装置は、その入力側に入力信号を供給する回路素子を設け、その出力側に出力信号を受ける回路素子を設けることにより構成される電子機器に好適に用いることができる。
【0059】
第2の実施の形態
前記レンズ部付きの前記クラッドは、第1の実施の形態で説明したように、前記レンズ部付きの前記クラッドに対応した形状を有する前記型を用いて射出成形により一体成形することができるが、これに限定されず、本発明に基づく製造方法を適用して成形することが可能である。
【0060】
具体的には、まず、図2(a)に示すように、レンズ部5に対応した形状の凹部11’を有する型10’にレンズ部材5aを供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、凹部11’内に充填する。次いで、図2(b)に示すように、レンズ材料5aに対して1回目のUV照射を行ってレンズ材料5aを硬化する。
【0061】
次に、図2(c)に示すように、硬化されたレンズ材料5a上に更に前記接着性材料としてのクラッド材2aを滴下し、この上に、図2(d)に示すように、別途作製したクラッド2を貼り合わせ、加圧下で2回目のUV照射を行う。そして、図2(e)に示すように、型10’を剥がせば、レンズ部5付きのクラッド2を得ることができる。
【0062】
本実施の形態によれば、1回目の露光を行ってレンズ材料5aを硬化するとき、レンズ材料5a上にクラッド2を貼り合わせないので、レンズ材料5aの流動性が低下せず、レンズ材料5aが収縮して負圧になった部分が生じても、この負圧部分にレンズ材料5aが供給され、硬化されたレンズ材料5aに泡が発生しない。
【0063】
また、一度硬化されたレンズ材料5a上に更に前記接着性材料としてのクラッド材2aを滴下し、この上にクラッド2を貼り合わせ、クラッド材2aの厚み(残渣)が小さくなるような加圧下で2回目の露光を行っても、レンズ部5には泡が発生せず、良質なレンズ部5付きのクラッド2を成形することができる。
【0064】
さらに、前記接着性材料として滴下されたクラッド材2a(又は残渣40)と、前記他の部材としてのクラッド2とは同等の材質からなるので、それらの界面における、光学的乱反射は生じず、安定した光伝送を行うことができる。
【0065】
第3の実施の形態
図3は、前記成形品としての光導波路1Bを成形する場合における、本発明に基づく製造方法の他の例を工程順に示す概略図である。ここで、図20に示した光導波路1と同様に、光導波路1Bは、レンズ部5付きのクラッド2と、クラッド2とは別のクラッド3と、これらクラッド2、3間に挟持されたコア4との積層体からなり、コア4を通して光が導かれるように構成されている。また、コア4の光入出射部7a、7bの端面は45°ミラー面に形成されている。コア4は入射した光信号を導波する役割を果たし、クラッド2、3はコア4内に光信号を閉じ込める役割を果たす。コア4は高い屈折率を持つ材料からなり、クラッド2、3はコア4より低い屈折率の材料で構成されている。
【0066】
レンズ部5付きのクラッド2は、例えば、図21(a)に示すように、レンズ部5付きのクラッド2に対応した形状を有する上型8及び下型9を用い、この上型8及び下型9にクラッド材2aを充填して硬化させることにより作製することができる。また、これに代えて、第2の実施の形態で説明したように、本発明に基づく製造方法により成形するのがより好ましい。
【0067】
次いで、図3(a)に示すように、コア4に対応する形状の凹部11を有する型10にコア材4aを供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、型10の凹部11内に充填する。次いで、図3(b)に示すように、コア材4aに対して1回目のUV照射を行ってコア材4aを硬化する。
【0068】
次に、図3(c)に示すように、硬化されたコア材4a上に更に前記接着性材料としてのクラッド材2aを滴下し、この上に、図3(d)に示すように、レンズ部5付きのクラッド2を貼り合わせ、加圧下で2回目のUV照射を行う。そして、図3(e)に示すように、型10を剥がせば、クラッド2とコア4との前記積層体を得ることができる。
【0069】
次いで、図示省略したが、上記のようにして成形した前記積層体と、別のクラッド3とを接合する。
【0070】
以上のようにして、本発明に基づく光導波路1Bを成形することができる。
【0071】
本発明に基づく製造方法によれば、1回目の露光を行ってコア材4aを硬化するとき、上記の従来例のようにコア材4a上にクラッド2を貼り合わせないので、コア材4aの流動性が低下せず、コア材4aが収縮して負圧になった部分が生じても、この負圧部分にコア材4aが供給され、硬化されたコア材4aに泡が発生しない。
【0072】
また、一度硬化されたコア材4a上に更に前記接着性材料としてのクラッド材2aを滴下し、この上にクラッド2を貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行う際、前記接着性材料としてコア材(例えば、屈折率1.6)4aより屈折率の小さいクラッド材(例えば、屈折率1.5)2aを用いているので、複数並んで配列されたコア4間の光漏洩を防ぐために必要条件であった「残渣40の厚みが1.5μm以下」という制約がなくなる。即ち、残渣40を高精度に薄膜化せずとも光導波路1Bとして効果的に機能させることが可能となるので、型10から前記積層体をより剥離し易くなって製造難易度が低下し、また、原理的に残渣厚が制限されないので管理制度が大幅に低くなり、コストダウンが可能となる。
【0073】
なお、1回目のUV照射によって硬化されたコア材4aと、前記接着性材料として滴下されたクラッド材2aとの界面の密着性は充分であり、樹脂間の剥離等は発生しない。特に前記接着性材料として嫌気性を悪化させた樹脂を用いれば、より優れた効果が期待できる。
【0074】
また、前記接着性材料として滴下されたクラッド材2a(又は残渣40)と、前記他の部材としてのクラッド2とは同等の材質からなるので、それらの界面における、光学的乱反射は生じず、安定した光伝送を行うことができる。
【0075】
また、コア4に直接機械的加工を行うことなく、コア4の光入出射部7a、7bを傾斜ミラー面、例えば45°ミラー面に形成することができるので、成形時のダメージがなく、表面状態を平滑にすることができ、容易かつ精度良く良質な光導波路1Bを成形することができる。
【0076】
このような光導波路1Bは、この光導波路1Bのコア4に光を入射させる前記光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)と、コア4からの出射光を受け入れる前記受光部(例えば、フォトダイオード等の受光素子)とから構成した光配線等の前記光情報処理装置として好適に用いることができる。
【0077】
また、光配線等の前記光情報処理装置は、その入力側に入力信号を供給する回路素子を設け、その出力側に出力信号を受ける回路素子を設けることにより構成される電子機器に好適に用いることができる。
【0078】
第4の実施の形態
本発明に基づく光導波路は、この光導波路の前記コアに光を入射させる前記光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)と、前記コアからの出射光を受け入れる前記受光部(例えば、フォトダイオード等の受光素子)とから構成した光配線等の光情報処理装置として好適に用いることができる。
【0079】
図4は、本発明に基づく光導波路(代表的に図1に示した光導波路1Aとするが、他の光導波路でも同様である:以下、同様)と、この光導波路1Aのコア4に光を入射させる光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)13と、コア4からの出射光を受け入れる受光部(例えば、受光素子)14とを有する、光情報処理装置15の概略図である。但し、図4では光導波路1Aにおける前記接着性材料の厚み(残渣)は図示省略した(以下、同様。)。
【0080】
本実施の形態において、45°ミラー面である光入射部7a及び光出射部7bを有するコア4は、図4(b)に示すように、複数個が並んで配列されており、各コア4の光入出射部7a、7bの位置が長さ方向において揃っている。
【0081】
また、発光素子13は、各コア4の光入射部7aに対応する位置にそれぞれ配置されている。なお、図示省略したが、各発光素子13の間隙には、発光素子13と半導体チップ(図示省略)との間の電気的な接続を行う貫通電極(図示省略)が配置されている。なお、受光素子14においても、上記の発光素子13と同様である。
【0082】
図4に示す光情報処理装置15では、コア4の並ぶ配列ピッチと同じピッチで、発光素子13や受光素子14が配列することとなる。
【0083】
この動作メカニズムは、一方の半導体チップ(図示省略)から発信される電気信号が光信号に変換されて、各発光素子13から光信号として出射される。出射された光信号は、レンズ部5によって集束され、コア4の光入射部7aに入射し、45°ミラー面から構成される光入射部7aにおいて反射し、コア4が延伸する導波方向に導波され、他方の45°ミラー面からなる光出射部7bにおいて再び反射してコア4の光出射部7bから出射する。光導波路1Aから出射された光信号は、レンズ部5を介して対応する受光素子14に受光されて電気信号に変換され、他方の半導体チップ(図示省略)に電気信号として伝送される(以下、他の実施の形態も同様。)。
【0084】
なお、上記にコア4の光入出射部7a、7bの位置が長さ方向において揃っている例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、図5〜図7のような構造であってもよい。
【0085】
図5では、コア4は複数並んで配列されており、また、各コア4の光入出射部7a、7bが、隣接する他のコア4の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されている。この場合、発光素子アレイ13aは、各コア4の光入射部7aに対応する位置に配置された複数の発光素子13を備える(これは、受光素子アレイ14aの受光素子14についても同様である。)。
【0086】
これによれば、各コア4の光入出射部7a、7bが、隣接する他のコア4の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されているので、コア4の長さ方向において配列する発光素子13同士のピッチは、上記の長さ方向のずれ量だけの大きさとなる。例えば、隣接するコア4の光入出射部7a、7bを延伸方向において100μmだけずらした場合には、コア4の長さ方向において配列する発光素子13同士のピッチは100μmとなる。これは、受光素子14においても同様である。
【0087】
また、コア4の配列方向に並ぶ発光素子13のピッチは、複数個のコア4の配列ピッチの合計分だけの大きさとなる。例えば、各コア4が20μmの配列ピッチで配列している場合には、コア4の配列方向に並ぶ発光素子13のピッチは、100μmとなる。
【0088】
このように、各コア4の光入出射部7a、7bが、隣接する他のコア4の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されていることにより、コア4に対応して配置される光素子(発光素子、受光素子を併せて称する。以下、同様。)13、14を二次元的に配置することができ、光素子13、14を100μmピッチ程度で配置しながら、コア4を20μmピッチにまで集積することが可能となっている。
【0089】
即ち、光素子13、14の距離を光干渉や素子発熱によるクロストークの影響を避けるためのピッチで配列させつつ、コア4の集積度を向上させることが可能となる。
【0090】
また、コア4を高集積化させつつ、光素子13、14を二次元的に配列することにより、無駄なスペースがなくなり、一素子当たりの基板占有面積を削減することができる。このため、一層のコストダウンを図ることができる。
【0091】
図6では、各コア4−1、4−2の光入出射部7a、7bは、隣接する他のコア4−1、4−2の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されている。即ち、光入出射部7a、7bの位置がずれた2つの第1のコア4−1及び第2のコア4−2を一単位として、繰り返し配列されている。そして、各コア4の長さ方向の一方側において、第1のコア4−1の光入射部7aに対応して配置された発光素子13を複数有する発光素子アレイ13a−1と、第2のコア4−2の光出射部7bに対応して配置された受光素子14を複数有する受光素子アレイ14a−2が配置されている。また、各コア4の長さ方向の他方側において、第1のコア4−1の光出射部7bに対応して配置された受光素子14を複数有する受光素子アレイ14a−1と、第2のコア4−2の光入射部7aに対応して配置された発光素子13を複数有する発光素子アレイ13a−2が配置されている。即ち、この光情報処理装置15では、並列に配置された各コア4−1、4−2に対し、発光素子13及び受光素子14が交互に配置されている。そのため、各コア4−1、4−2は、互いに隣接する他のコア4−2、4−1に対し逆方向に光を導波する。
【0092】
これによれば、上記した図5のような構造と同等の効果が得られると共に、並列に配置された各コア4−1、4−2に対し、発光素子13及び受光素子14が交互に配置されていることから、例えば、半導体チップの特定の回路に接続する入出力パッドに対応する発光素子13及び受光素子14の位置は、図6(a)のC部に示すように近接配置されていることから、電気配線の長さを短くすることができ、高周波対策が容易になるという効果がある。
【0093】
図7では、並列に配置された各コア4に対し、発光素子13及び受光素子14が交互に配置されており、各コア4は、互いに隣接する他のコア4に対し逆方向に光を導波する。また、各光素子アレイ13a−1、13a−2、14a−1、14a−2における光素子13、14は、図7(d)に示すように、隣り合う他の光素子13、14に対し、コア4の長さ方向にずれて配置されている。
【0094】
これによれば、各光素子アレイ13a−1、13a−2、14a−1、14a−2において光素子13、14が直線的に配列している場合に比べて、光素子13、14間のピッチを大きく取ることができることから、上記の図6のような構造の効果を維持しつつ、光素子13、14間の距離を光干渉や素子発熱によるクロストークの影響を避けるためのピッチで配列させることができ、コア4の集積度を向上させることが可能となる。
【0095】
第5の実施の形態
本発明に基づく光導波路は、プリント配線板上に直接実装することができるが、この他に、前記光導波路をソケットに設置して光電複合装置とし、この光電複合装置をプリント配線板上に実装してもよい。
【0096】
図8は、前記ソケットの概略斜視図である。図8(a)は、前記ソケットの光導波路が設置される面側から見た概略斜視図であり、図8(b)は、図8(a)の反対の面側から見た概略斜視図である。
【0097】
図8に示すように、ソケット17には、本発明に基づく製造方法により成形される光導波路を位置決めして固定するための、凹凸構造からなる位置決め手段が設けられている。具体的には、前記凹凸構造が、前記光導波路を嵌め込んでその幅方向を位置決めするための凹部18と、前記光導波路の長さ方向を位置決めするための突起部19とを有している。また、凹部18の深さは、前記光導波路の厚さよりも大きい。
【0098】
また、ソケット17の前記凹凸構造の凸面20には、ソケット17の表及び裏面とをどう通するための導通手段、例えばターミナルピン21が設けられている。そして、この凹凸構造の凸面20上に、後述するように、前記発光素子及び/又は前記受光素子が実装されたインターポーザーが固定される。
【0099】
ソケット17の材質としては絶縁性樹脂であれば、従来公知の材料を用いることができ、例えばガラス入りPES(ポリエチレンスルフィド)樹脂、ガラス入りPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等が挙げられる。このようなソケット17の材料は、その種類、絶縁性、信頼性等のデータが既に多く存在し、また扱っているメーカーも多岐に渡る。従って、機能、コスト、信頼性等の全てにおいて受け入れ易い構造物であり、既存のプリント配線板実装プロセスとの融合も図り易い。
【0100】
図9は、本発明に基づく光導波路1Aをソケット17に設置してなる光電複合装置22の概略図である。図9(a)は、光電複合装置22の概略斜視図であり、図9(b)は、図9(a)の分解図である。
【0101】
図9に示すように、光電複合装置22は、一対のソケット17と、このソケット17に設置された光導波路1Aとを有し、この一対のソケット17間に光導波路1Aが架け渡されている。なお、光導波路1Aは、本発明に基づく製造方法により成形される。このとき、光導波路1Aは、後述するプリント配線板とは非接触となっているので、半導体チップの放熱により、光導波路1Aが破壊されるのを効果的に防止することができる。
【0102】
また、ソケット17の前記凹凸構造の凸面20上に、半導体チップ23a、23bと、前記発光素子(図示省略。例えばレーザー)及び/又は前記受光素子(図示省略)とが実装されたインターポーザー24が固定されている。
【0103】
インターポーザー24は、例えば図10に示すように、一方の面側には半導体チップ23が実装されており(図10(a))、他方の面側には光導波路1Aに光入射を行うための発光素子アレイ13aと、光導波路1Aからの出射光を受けるための受光素子アレイ14aとが実装され、周辺部にはその他の信号配線用の電極(例えば電源配線、DC信号等)25が設けられている(図10(b))。なお、発光素子アレイ13a及び受光素子アレイ14aは、光導波路1Aの各光入出射部に対応する位置に配置された複数の発光素子及び受光素子を備える(図示省略)。各発光素子及び受光素子の間隙には、発光素子及び受光素子と半導体チップとの間の電気的接続を行う貫通電極が配置されている(図示省略)。
【0104】
そして、凹部18に光導波路1Aが設置されてなる一対のソケット17と、インターポーザー24とを固定するに際し、インターポーザー24の発光素子アレイ13a及び/又は受光素子アレイ14aが実装された面側をソケット17の凸面20と接するように構成し、またソケット17のターミナルピン21とインターポーザー24のその他の信号配線用の電極25とを電気的に接続するように固定する。
【0105】
また、上述したように、ソケット17の凹部18の深さを、光導波路1Aの厚さよりも大きく形成することにより、図9(a)に示すように、光導波路1Aの一方の面26側と、インターポーザー24の発光素子アレイ13a及び/又は受光素子アレイ14aが実装されている面側との間に空間27を形成することができる。
【0106】
上記したように、ソケット17上に、インターポーザー24を介して半導体チップ23を実装し、及び光導波路1Aの一方の面26側と、インターポーザー24の発光素子アレイ13a及び/又は受光素子アレイ14aが実装されている面側との間に空間27を形成することにより、光電複合装置22の使用時に半導体チップ23が発熱しても、この熱によって光導波路1Aが破壊されるのを効果的に防ぐことができる。
【0107】
このような光電複合装置22は、光導波路1Aが光配線として用いられる光配線システムを構成することができる。即ち、図11に示すように、この光電複合装置22をプリント配線板6に電気的に接続された状態で固定する。
【0108】
この動作メカニズムは、一方の半導体チップ23aから発信される電気信号が光信号に変換されて、発光素子アレイ13aの各発光素子(図示省略)からレーザー光による光信号として出射される。出射された光信号は、光導波路1Aにおける対応するレンズ部5によって集束され、コア4の光入射部7aに入射し、コア4が延伸する導波方向に導波され、他方のコア4の光出射部7bから出射する。そして、光導波路1Aから出射された光信号は、受光素子アレイ14aの対応する受光素子(図示省略)に受光されて電気信号に変換され、他方の半導体チップ23bに電気信号として伝送される。
【0109】
このような光電複合装置22によれば、本発明に基づく光導波路1Aをソケット17の凹部18に設置された状態でプリント配線板6に電気的に接続することができるので、既存のプリント配線板6の実装構造をそのまま利用できる構造である。従って、プリント配線板6上にソケット17が設置できる領域を設ければ、その他の一般の電気配線は従来通りのプロセスで形成することが可能である。
【0110】
また、光導波路1Aが高温プロセスに弱くても、例えば、プリント配線板6にソケット17を固定し、更にはんだリフロー、アンダーフィル樹脂封止などの高温プロセスを含む、全ての実装プロセスを完了した後、ソケット17の凹部18に光導波路1Aを設置することができるので、光導波路1Aが高温によるダメージをこうむることなしにその実装を行うことが可能である。
【0111】
また、プリント配線板6と比較して剛性の高い樹脂によってソケット17を作製でき、このソケット17上で、前記発光素子及び/又は前記受光素子及び光導波路1A間の光結合を行うことができるため、光結合に必要とされる実装精度を容易に確保できる。例えば、現状のモールド技術により、数μmオーダーの組立て精度は確保可能である。従って、光バスの高密度化も可能となる。
【0112】
さらに、半導体チップ23と、発光素子アレイ13a及び/又は受光素子アレイ14aとを、インターポーザー24を介してその上下面に近接させて設置することができるので、半導体チップ23と、前記発光素子及び/又は前記受光素子との間の配線長を短くすることができる。従って、電気信号のノイズ対策、クロストーク対策も容易となり、光変調速度も向上させることが可能となる。
【0113】
また、光導波路1Aがソケット17の凹部18に設置された状態でプリント配線板6に電気的に接続することができるので、プリント配線板6の高密度配線とその設計の自由度を確保しながら光配線システムを安価かつ高い自由度でプリント配線板6上に展開することが可能となり、プリント配線板6上での高速分散処理、電子機器トータルでの高機能化、及び開発の短TAT(turn around time)化等が期待できる。
【0114】
ここで、図12は、光電複合装置22をプリント配線板6上に展開した例を示す模式図である。例えば、光導波路モジュールを規格化することで、4方向に自在に展開することが可能となる。
【0115】
第6の実施の形態
本発明に基づく前記光導波路と、この光導波路の前記コアに光を入射させる前記光入射部と、前記コアからの出射光を受け入れる前記受光部とを有する前記光情報処理装置の入力側に入力信号を供給する回路素子を設け、また出力側に出力信号を受ける回路素子を設けることにより、電子機器を構成することができる。この場合、前記光入射部に、パラレル入力信号をシリアル入力信号に変換する変換器がドライバアンプを介して接続され、前記受光部に、シリアル出力信号をパラレル出力信号に変換する変換器がトランスインピーダンスアンプ及びI/V変換アンプを介して接続されているのがよい。
【0116】
図13は、上記の電子機器としてのコンピュータシステム200の構成を示している。このコンピュータシステム200は、CPU(Central Processing Unit)201と、メモリコントローラとしてのノースブリッジ202と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)203と、I/Oコントローラとしてのサウスブリッジ204と、バス205と、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)206と、記憶装置207と、その他の入出力装置(I/O装置)208とを備える。
【0117】
ノースブリッジ202は、光配線として構成された上記の光情報処理装置210aを介してCPU201に接続されている。また、サウスブリッジ204は、光配線として構成された光情報処理装置210bを介してノースブリッジ202に接続されていると共に、さらに光配線210aを介してCPU201に接続されている。また、DRAM203は、光配線として構成された光情報処理装置210cを介してノースブリッジ202に接続されている。CPU201は、OS(Operating System)及びアプリケーションプログラムに基づいて各部を制御する。ノースブリッジ202は、メモリ203へのアクセスを統括制御する。
【0118】
バス205は電気配線214を介してサウスブリッジ204に接続されている。また、ネットワークインタフェース206、記憶装置207及びその他のI/O装置208はそれぞれ、バス205に接続されている。記憶装置207は、HDD(Hard Disk Drive)、DVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、CD(Compact Disk)ドライブなどである。I/O装置208は、ビデオ入出力装置、シリアルやパラレルのインタフェースなどである。
【0119】
図14は、図13における光配線として構成された光情報処理装置210a、b、c(但し、図16では光配線210と記載している。)の構成例を示している。この光配線210は、Nチャネル分の光伝送系220−1〜220−Nを有している。光伝送系220−1〜220−Nはそれぞれ、第1の回路から第2の回路に光信号を伝送する第1の伝送系221と、第2の回路から第1の回路に光信号を伝送する第2の伝送系222とからなっている。ここで、図13における光配線210aを考える場合、前記第1の回路とはCPU201を示し、前記第2の回路とはノースブリッジ202を示す。図13における光配線210bを考える場合、前記第1の回路とはノースブリッジ202を示し、前記第2の回路とはサウスブリッジ204を示す。図13における光配線210cを考える場合、前記第1の回路とはDRAM203を示し、前記第2の回路とはノースブリッジ202を示す。また、光配線210は、図6に示すような光導波方向を有するよう構成された例を挙げる。
【0120】
第1の伝送系221は、パラレル/シリアル変換器(P/S変換器)221a、ドライバアンプ221b、前記発光素子としての半導体レーザー221c、本発明に基づく光導波路221d、受光素子としてのフォトダイオード221e、トランスインピーダンスアンプ(TIA)221f、I/V変換アンプ(IVA)221g及びシリアル/パラレル変換器(S/P変換器)221hを備えている。この場合、P/S変換器221a、ドライバアンプ221b及び半導体レーザー221cは前記第1の回路側に配置され、フォトダイオード221e、TIA221f、IVA221g及びS/P変換器221hは前記第2の回路側に配置される。また、本発明に基づく光導波路221dは、上記の各実施の形態で説明したような構造を有しており、半導体レーザー221cから出射された光信号を効果的に入射するよう配置されると共に、光導波路221dを導波して出射された光信号がフォトダイオード221eに効果的に受光されるよう配置される。
【0121】
また、第2の伝送系222は、第1の伝送系221と同様に、P/S変換器222a、ドライバアンプ222b、半導体レーザー222c、本発明に基づく光導波路222d、フォトダイオード222e、TIA222f、IVA222g及びS/P変換器222hを備えている。この場合、P/S変換器222a、ドライバアンプ222b及び半導体レーザー222cは前記第2の回路側に配置され、フォトダイオード222e、TIA222f、IVA222g及びS/P変換器222hは前記第1の回路側に配置される。また、本発明に基づく光導波路222dは、上記の各実施の形態で説明したような構造を有しており、半導体レーザー222cから出射された光信号を効果的に入射するよう配置されると共に、光導波路222dを導波して出射された光信号がフォトダイオード222eに効果的に受光されるよう配置される。
【0122】
ここで、P/S変換器221a、222aはそれぞれ、伝送すべきデータ、例えばb0〜b7の8ビットパラレルデータをシリアルデータに変換する。ドライバアンプ221b、222bはそれぞれ、P/S変換器221a、222aで得られたシリアルデータに基づいて半導体レーザー221c、222cを駆動し、この半導体レーザー221c、222cからシリアルデータに対応した光信号を発生させる。TIA221f、222fはそれぞれ、フォトダイオード221e、222eからの光電変換による電流信号を、後続のIVA221g、222gに供給する際に、インピーダンスマッチングをとる。IVA221g、222gはそれぞれ、TIA221f、222fの出力信号である電流信号を電圧信号に変換する。S/P変換器221h、222hはそれぞれ、IVA221g、222gの出力信号である、伝送されてきたシリアルデータをパラレルデータに変換する。
【0123】
次に、前記第1の回路から前記第2の回路にデータを伝送する際の動作について説明する。前記第1の回路からの伝送すべき8ビットのパラレルデータがP/S変換器221aでシリアルデータに変換され、このシリアルデータがドライバアンプ221bに供給される。このドライバアンプ221bにより半導体レーザー221cが駆動され、この半導体レーザー221cからシリアルデータに対応した光信号が発生される。そして、この光信号が光導波路221dを導波し、前記第2の回路側に伝送される。
【0124】
前記第2の回路側では、光導波路221dを導波し、出射された光信号がフォトダイオード221eに受光される。このフォトダイオード221eからの光電変換による電流信号が、インピーダンスマッチング用のTIA221fを介してIVA221gに供給され、電圧信号に変換される。そして、このIVA221gの出力信号である、伝送されてきたシリアルデータがS/P変換器221hでパラレルデータに変換され、前記第2の回路へと伝送される。
【0125】
このようにして、前記第1の回路から前記第2の回路にデータの伝送が行われる。なお、詳細説明は省略するが、前記第2の回路から前記第1の回路にデータを伝送する際の動作についても上記と同様に行われる。図14に示す光配線210では、Nチャネル分の光伝送系220−1〜220−Nを有しているので、Nチャネル分のデータ送受信を並行して行うことができる。
【0126】
上述したコンピュータシステム200においては、図示しないプリント配線基板(マザーボード)上に、電子部品としてのCPU201、ノースブリッジ202、DRAM203、サウスブリッジ204及びバス205等をそれぞれ構成する半導体チップ、及び光配線として構成された光情報処理装置210が実装される。
【0127】
本実施の形態によれば、電子機器内のチップ間において光配線として構成された前記光情報処理装置を適用しているので、信号授受の高速化及び大容量化を実現することができる。
【0128】
また、光配線210における光導波路221d、222dは、本発明に基づく製造方法によって成形されるので、上述した各実施の形態と同様の効果が奏せられる。
【0129】
従って、本発明に基づく光導波路221d、222dを用いて構成される電子機器は、安定した光入射及び光出射を行うことができる。
【0130】
第7の実施の形態
図15は、上記の電子機器としてのゲーム機300の構成を示している。このゲーム機300は、ゲームアプリケーションプログラム等の各種アプリケーションプログラムに基づいて信号処理や内部構成要素の制御を行うメインCPU301と、画像処理を行うグラフィックプロセッサ(GP)302と、インターネット等のネットワークとのインタフェースを行うためのネットワークインタフェース(ネットワークI/F)303と、インタフェース処理を行うIOプロセッサ(IOP)304と、DVDやCD等の光ディスク305の読み出し制御や読み出されたデータのデコードを行う光ディスク制御部306と、メインCPU301に接続されるメインメモリとしてのDRAM307と、IOプロセッサ304が実行する命令やデータを保持するためのIOPメモリ308と、主にオペレーティングシステム用のプログラムが格納されたOS-ROM309と、音声信号処理を行うサウンドプロセッサユニット(SPU)310と圧縮波形データを格納するサウンドバッファ311とを基本構成として備えている。
【0131】
メインCPU301とネットワークI/F303は、光配線210dにより接続されている。メインCPU301とグラフィックプロセッサ302は、光配線210eにより接続されている。
【0132】
なお、光配線210d、210eはそれぞれ、上記した図14に示すように構成されており、メインCPU301とネットワークI/F303の間、及びメインCPU301とグラフィックプロセッサ302の間では、光信号によってデータの送受信が行われる。
【0133】
メインCPU301とIOプロセッサ304は、SBUS314により接続されている。IOプロセッサ304と、光ディスク制御部306、OS-ROM309及びサウンドプロセッサユニット310は、SSBUS315により接続されている。
【0134】
メインCPU301は、OS-ROM309に格納されたプログラムや、光ディスク305から読み出されてDRAM307にロードされたり、或いは通信ネットワークを介してダウンロードされた、各種のゲームアプリケーションプログラム等を実行する。グラフィックプロセッサ302は、例えばビデオゲームにおけるレンダリング処理等を行い、ビデオ信号をディスプレイに出力する。
【0135】
IOプロセッサ304には、コントローラ(図示せず)が接続されるコントローラポート321、メモリカード(図示せず)が装填されるメモリカードスロット322、USB接続端子323及びIEEE1394接続端子324が接続されている。これにより、IOプロセッサ304は、コントローラポート321を介して接続されたコントローラ、メモリカードスロット322を介して接続されたメモリカード、USB接続端子323を介して接続された図示しない携帯電話機やパーソナルコンピュータとの間でデータの送受や、プロトコル変換等を行う。
【0136】
サウンドプロセッサユニット310は、サウンドバッファ311に格納されている圧縮波形データを、メインCPU301からの命令に基づいて所定のサンプリング周波数で再生することなどにより、様々なサウンドを合成し、オーディオ信号をスピーカに出力する。
【0137】
上述したゲーム機300においては、図示しないプリント配線基板(マザーボード)上に、メインCPU301等の基本構成電子部品としての半導体チップ、及び光配線として構成された光情報処理装置210d、210eが実装される。
【0138】
本実施の形態によれば、電子機器内のチップ間において光配線として構成された前記光情報処理装置を適用しているので、信号授受の高速化及び大容量化を実現することができる。
【0139】
また、光配線210d、210eにおける前記光導波路として、上述した本発明に基づく製造方法により成形される光導波路を適用するので、これを用いて構成される電子機器は、安定した光入射及び光出射を行うことができる。
【0140】
第8の実施の形態
図16は、上記の電子機器としてのサーバ400の構成を示している。このサーバ400は、CPU401、402と、チップセット403と、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)404と、メモリ405と、PCIブリッジ406と、ルータ407とを基本構成として備えている。
【0141】
チップセット403には、光配線210f、210gを介してCPU401、402が接続されていると共に、光配線210hを介して、ネットワークI/F404が接続されている。ネットワークI/F404は、ネットワークとのインタフェースを行う。チップセット403は、CPU401、402、ネットワークI/F404、メモリ405及びPCIブリッジ406などを制御する。
【0142】
なお、光配線210f、210g、210hはそれぞれ、上記した図14に示すように構成されており、CPU401、402とチップセット403の間、及びチップセット403とネットワークI/F404の間では、光信号によってデータの送受信が行われる。
【0143】
また、チップセット403には、電気配線により、メモリ405、PCIブリッジ406及びルータ407が接続されている。
【0144】
PCIブリッジ406には、PCIバス414を介して、記憶装置などのPCIデバイス415〜417が接続されている。ルータ407は、例えば、スイッチカード421及びラインカード422〜425から構成されている。ラインカード422〜425は、パケットの前処理を行うプロセッサであり、スイッチカード421はパケットの行き先をアドレスに従い切り替えるスイッチである。
【0145】
上述したサーバ400においては、図示しないプリント配線基板(マザーボード)上に、CPU401、402、チップセット403等の基本構成電子部品としての半導体チップ、及び光配線として構成された光情報処理装置210f、210g、210hが実装される。
【0146】
本実施の形態によれば、電子機器内のチップ間において光配線として構成された前記光情報処理装置を適用しているので、信号授受の高速化及び大容量化を実現することができる。
【0147】
また、光配線210f、210g、210hにおける前記光導波路として、上述した本発明に基づく製造方法により成形される光導波路を適用するので、これを用いて構成される電子機器は、安定した光入射及び光出射を行うことができる。
【0148】
第9の実施の形態
本発明に基づく製造方法は、前記成形品としての前記光導波路や前記レンズ部付きの前記クラッドの他にも適用可能であり、例えば図17に示すような液晶ディスプレイ(LCD)用導光板を成形するのに好適である。即ち、この導光板と各フィルムとの接着に、上述した本発明に基づく製造方法を適用する。
【0149】
液晶ディスプレイ用導光板は、LED(light-emitting diode)等の点光源から放射された光を斜め面で90度反射させ、画面裏面を照射する。但し、普通にミラーで反射させると面内の光強度にムラが出るので、それらが一様になるようギザギザのパターンを調整する。それらが最適化されたものが導光板である。なお、画面裏についている樹脂層は、全て光を拡散させるための拡散シート層である(微妙にパターンの異なった層が数層重なっている。)。
【0150】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
【0151】
例えば、前記成形材料の表面側の不要部分を除去して平坦化すると共に、前記凹部内に充填する方法として、スキージングを採用した例を挙げて説明したが、これに限らず適宜選択可能である。
【0152】
また、前記成形材料としてのコア材又はレンズ材料、或いは前記接着性材料としての前記コア材又は前記クラッド材などを硬化させるためにUV照射を行った例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば加熱による硬化方法などもある。
【0153】
また、前記コア材などの前記成形材料と、前記コア材又は前記クラッド材などの前記接着性材料とを屈折率を異ならせたり、色を変えるなどして、区別できるようにしても良い。屈折率を異ならせると、各層での光の挙動が変化するので、光学的な設計の自由度を高められる。
【0154】
また、本発明に基づく製造方法において、図20に示すように、レンズ部5の接合面とは反対側のコア4の他方の面上に、クラッド2とは別のクラッド3を設ける例を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、クラッド3を設けなくてもよい。
【0155】
また、前記レンズ部としては、例えば凸レンズなどを適用することができ、その形状は特に限定されず、球面レンズ、シリンドリカルレンズ等が適用可能である。
【0156】
さらに、ソケット17は、図18に示すように、凸面20上に、前記インターポーザーの位置決め機構32(例えばはめあいボス等)を有していてもよく、その形状、大きさ等は特に限定されない。さらに、ソケット17の凹部18に形成された突起部19の形状、大きさ等は特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】第1の実施の形態による、前記成形品としての光導波路を成形するための、本発明に基づく製造方法の一例を工程順に示す概略断面図である。
【図2】第2の実施の形態による、前記成形品としてのレンズ部付きクラッドを成形するための、本発明に基づく製造方法の一例を工程順に示す概略断面図である。
【図3】第3の実施の形態による、前記成形品としての光導波路を成形するための、本発明に基づく製造方法の他の例を工程順に示す概略断面図である。
【図4】第4の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成した光情報処理装置の概略図である。
【図5】同、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成した他の例の光情報処理装置の概略図である。
【図6】同、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成した他の例の光情報処理装置の概略図である。
【図7】同、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成した更に他の例の光情報処理装置の概略図である。
【図8】第5の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を設置するソケットの概略斜視図である。
【図9】同、前記ソケットに本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を設置してなる光電複合装置の概略斜視図である。
【図10】同、前記ソケットに接合するインターポーザーの概略斜視図である。
【図11】同、前記光電複合装置をプリント配線板上に配した概略断面図である。
【図12】同、前記光電複合装置の実装構造の一例の概略平面図である。
【図13】第6の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成された電子機器の一例を示す模式図である。
【図14】同、前記電子機器において、光配線として構成された前記光情報処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【図15】第7の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成された電子機器の一例を示す模式図である。
【図16】第8の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成された電子機器の一例を示し模式図である。
【図17】第9の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって成形された導光板を用いて構成された液晶ディスプレイの概略断面図である。
【図18】前記ソケットの他の例の概略斜視図である。
【図19】従来例による、光導波路の実装構造を示す概略図である。
【図20】同、光導波路の概略断面図である。
【図21】同、光導波路の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図22】同、クラッドの押圧と残渣の関係を示す模式図である。
【図23】同、残渣厚と光導波損失との関係(a)、押圧と残渣厚との関係(b)を示すグラフである。
【図24】同、コアに対応する形状の凹部を有する型の概略図である。
【図25】同、クラッドの押圧と、コアに発生する泡の量との関係を示すグラフである。
【図26】同、コアに泡が発生するメカニズムを示す模式図である。
【図27】同、コアに粟が発生するメカニズムを示す模式図(a)及びグラフ(b)である。
【符号の説明】
【0158】
1、1A、1B…光導波路、2、3…クラッド、2a…クラッド材、4…コア、
4a、4b…コア材、5…レンズ部、5a…レンズ材料、6…プリント配線板、
7a…光入射部、7b…光出射部、10、10’…型、11、11’…凹部、
12…スキージ、13…発光素子、13a…発光素子アレイ、14…受光素子、
14a…受光素子アレイ、15…光情報処理装置、40…残渣、41…泡(ヒケ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形用の凹部を有する型に成形材料を供給する工程と、この成形材料の表面側の不要部分を除去して平坦化すると共に、この成形材料を前記凹部内に充填する工程と、前記成形材料を硬化させる工程と、この硬化物上に接着性材料を設ける工程と、この接着性材料上に他の部材を押圧しながら前記接着性材料を硬化させる工程と、前記成形材料を前記型から分離する工程とを有する、成形品の製造方法。
【請求項2】
前記他の部材と一体化した前記成形材料を前記型から分離する、請求項1に記載した成形品の製造方法。
【請求項3】
クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路を成形するに際し、前記コアに対応する形状の前記凹部を有する前記型にコア材を供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、前記型の凹部内に充填し、前記コア材に対して1回目の露光を行って前記コア材を硬化し、この硬化された前記コア材上に更にコア材又はクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行い、前記積層体を前記型から分離して得る、請求項1に記載した成形品の製造方法。
【請求項4】
クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路を成形し、前記クラッドにおいて、前記コアの光入出射部に相当する位置にレンズ部を形成するに際し、前記レンズ部に対応する形状の前記凹部を有する前記型にレンズ材料を供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、前記型の凹部内に充填し、1回目の露光を行い、これにより硬化された前記レンズ材料上に更にクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行い、前記レンズ部付きの前記クラッドを前記型から分離して得る、請求項1に記載した成形品の製造方法。
【請求項5】
硬化した成形材料からなる成形部と、この成形部に一体化され、硬化した接着性材料からなる接着層と、この接着層を介して前記成形部に接着された他の部材とによって構成され、前記接着層が前記成形部又は前記他の部材と同等の材質からなる、成形品。
【請求項6】
クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路であって、前記成形部が前記コアであり、前記他の部材が前記クラッドであり、前記接着層が前記コア又は前記クラッドと同等の材質からなる、請求項5に記載した成形品。
【請求項7】
クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成され、前記クラッドにおいて、前記コアの光入出射部に相当する位置にレンズ部を有する光導波路であって、前記成形部が前記レンズ部であり、前記他の部材が前記クラッドであり、前記接着層が前記クラッドと同等の材質からなる、請求項5に記載した成形品。
【請求項1】
成形用の凹部を有する型に成形材料を供給する工程と、この成形材料の表面側の不要部分を除去して平坦化すると共に、この成形材料を前記凹部内に充填する工程と、前記成形材料を硬化させる工程と、この硬化物上に接着性材料を設ける工程と、この接着性材料上に他の部材を押圧しながら前記接着性材料を硬化させる工程と、前記成形材料を前記型から分離する工程とを有する、成形品の製造方法。
【請求項2】
前記他の部材と一体化した前記成形材料を前記型から分離する、請求項1に記載した成形品の製造方法。
【請求項3】
クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路を成形するに際し、前記コアに対応する形状の前記凹部を有する前記型にコア材を供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、前記型の凹部内に充填し、前記コア材に対して1回目の露光を行って前記コア材を硬化し、この硬化された前記コア材上に更にコア材又はクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行い、前記積層体を前記型から分離して得る、請求項1に記載した成形品の製造方法。
【請求項4】
クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路を成形し、前記クラッドにおいて、前記コアの光入出射部に相当する位置にレンズ部を形成するに際し、前記レンズ部に対応する形状の前記凹部を有する前記型にレンズ材料を供給し、スキージングによってその表面を平坦化すると共に、前記型の凹部内に充填し、1回目の露光を行い、これにより硬化された前記レンズ材料上に更にクラッド材を滴下し、この上に前記クラッドを貼り合わせ、加圧下で2回目の露光を行い、前記レンズ部付きの前記クラッドを前記型から分離して得る、請求項1に記載した成形品の製造方法。
【請求項5】
硬化した成形材料からなる成形部と、この成形部に一体化され、硬化した接着性材料からなる接着層と、この接着層を介して前記成形部に接着された他の部材とによって構成され、前記接着層が前記成形部又は前記他の部材と同等の材質からなる、成形品。
【請求項6】
クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成される光導波路であって、前記成形部が前記コアであり、前記他の部材が前記クラッドであり、前記接着層が前記コア又は前記クラッドと同等の材質からなる、請求項5に記載した成形品。
【請求項7】
クラッドとコアとの積層体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成され、前記クラッドにおいて、前記コアの光入出射部に相当する位置にレンズ部を有する光導波路であって、前記成形部が前記レンズ部であり、前記他の部材が前記クラッドであり、前記接着層が前記クラッドと同等の材質からなる、請求項5に記載した成形品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2006−175767(P2006−175767A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372523(P2004−372523)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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