説明

成形機の金型交換方法

【課題】金型を誤って落下させることなく安全に金型の交換を行えるようにする。
【解決手段】型開閉用サーボモータ8の駆動による可動金型6の載置された可動ダイプレート受台9の後退動作と、油圧ユニット14の駆動による固定金型突出しシリンダー11に設けた固定ダイプレート受台12の前進動作とを同調させ、固定ダイプレート5と可動ダイプレート7との間であってこれらとは非接触となる吊り上げ位置へ相互に当接された状態の可動金型6及び固定金型4を移動させるとき、型開閉用サーボモータ8により動作される可動ダイプレート受台9に載置された可動金型6の後退動作に、油圧ユニット14により動作される固定金型突出しシリンダー11の固定ダイプレート受台12に載置されている固定金型4の前進動作を追従させながら動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカストマシンや射出成形機等の成形機における金型の交換方法に関し、特に成形機から金型を取り出すときに、吊り上げ易い所定位置に金型を移動させてから取り出すことができるダイカストマシンの金型交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金型のキャビティに溶融金属材料を射出充填して鋳造製品を製造するダイカストマシンは、固定ダイプレートに取り付けられた固定金型に対し可動ダイプレートに取り付けられた可動金型を水平方向に進退させ型締めを行う、いわゆる横締型ダイカストマシンがある。このようなダイカストマシンでは、固定ダイプレートに取り付けられ固定金型と可動ダイプレートとに取り付けられた可動金型を交換のために機外へ取り出すに際し、可動金型と固定金型を連結部材で一体的に連結した状態で、この連結した金型を相対向して設けられた固定ダイプレートと可動ダイプレートの各々から取り外し、固定ダイプレートと可動ダイプレートとの間であってこれらとは離間させた、吊り上げ可能な中間位置に移動させてから、ワイヤーロープ等で一体に連結した金型を吊り上げることで機外への取り出し作業を行っている。そのため、ダイカストマシンには、連結した金型を吊り上げ可能な位置などへ移動させることを目的とした、金型移動手段を備えているものがある。
【0003】
特許文献1には、ダイカストマシンに設けられた金型を交換する際、固定金型と可動金型とを連結板で一体的に連結し、固定盤からは固定金型を、可動盤からは可動金型を取り外したのち、エアシリンダのピストンロッドをエア圧で前進させフォークで連結ロッドを把持して、油圧シリンダのピストンロッドを油圧で前進させることで、連結ロッドで連結した金型を搭載した金型受け台と金型との相対位置を変えずに、金型受け台から金型が落下しないようにしながら中央所定位置へと移動させ、続いて、モータの駆動によりローラを回転させることで金型をその側部に設けた架台上に押し出して、金型を取り出し可能な所定位置に移動させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2969304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述した特許文献1のダイカストマシンによれば、金型が金型受け台から落下することがないよう、金型を取り出す所定位置へと移動することは可能ではあるものの、それを実現するがゆえに、連結板で一体化した可動金型及び固定金型と、これらを搭載した可動盤側金型受け台及び固定盤側金型受け台との位置関係に相対的な位置ずれが生じないよう、可動盤側金型受け台と固定盤側金型受け台とを連結ロッド等で連結して、相対的な位置ずれを防止しているわけではあるが、可動盤側金型受け台と固定盤側金型受け台とを連結するための連結ロッド、連結ロッドと金型受け台とを連結するためのフォーク、フォークを進退させるためのピストンロッド、及び駆動源たるエアーシリンダ等の多数の部品を必要とし、しかもそれらがダイカストマシンの左右に一対で設けられていることから、部品点数が多くなり、コストを安価に抑えるには不向きなものとなる。
【0006】
しかも、可動金型と固定金型とを連結板で一体化すると共に、これらの各々を搭載した可動盤側金型受け台と固定盤側金型受け台との相対的な位置関係が変化することがないよう一体的に連結することで、可動金型及び固定金型と、これらを搭載する可動盤側金型受け台及び固定盤側金型受け台との位置関係を同じにし、金型受け台を移動するに際し、金型の落下を防止することを可能にしているものの、可動盤と固定盤との間の中央位置に一体的に連結された金型を搭載した金型受け台を移動させる際には、トグル機構で可動盤の後退を行って型開を行いながら、油圧シリンダのピストンロッドを油圧で前進させて行っており、例えば、可動盤を後退させる速度より、ピストンロッドを前進させる速度が速くなってしまった場合には、連結された金型が可動盤側へ押し出されてしまい、金型受け台に搭載されている連結された金型は、落下や位置ずれを起こす虞がある。よって、たとえ可動金型と固定金型とを連結して一体化すると共に、これらと同じ間隔で可動金型と固定金型を搭載した可動盤側金型受け台と固定盤側金型受け台との間隔を同じにして、金型と金型受け台との相対的な位置関係を変わらないようにしたとしても、必ずしも金型が金型受け台からずれて落下してしまうことを防止できるわけではない。
【0007】
そこで、金型受け台から金型の落下を確実に防止するためには、可動盤を後退させるトグル機構の動作とピストンロッドの動作を細やかに制御することが極めて重要な課題となるのだが、その点については、特許文献1には何ら示唆も開示もされてはおらず、単に、可動盤側金型受け台及び固定盤側金型受け台と、これらの各々に搭載されていると共に一体に連結された可動金型及び固定金型との相対的な位置関係を同じにして、金型受け台からの金型の落下を防止したという内容に過ぎない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、部品点数を少なくすることでコストを抑えることができると共に、安全且つ容易に金型の交換を行うことができる成形機の金型交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る成形機の金型交換方法の発明は、
固定金型が装着される固定ダイプレートと、
可動金型が装着されると共に、該可動金型を載置する可動ダイプレート受台を備えた可動ダイプレートと、
該可動ダイプレートを型開閉方向に進退させる電動駆動源としての型開閉用サーボモータと、
油圧ユニットを油圧駆動源として前記固定金型を載置した固定ダイプレート受台を前記型開閉方向に進退させる固定金型突出しシリンダーとを備え、
前記可動金型及び固定金型を機外へ取り出してこれらを他の金型と交換を行うダイカストマシンの金型交換方法であって、
前記可動ダイプレートを前進させ前記固定金型に対して前記可動金型を型閉させることで相互に当接させた状態において、前記可動ダイプレートに装着された前記可動金型を前記可動ダイプレートから離脱可能に非装着にすると共に前記可動ダイプレート受台に載置し、且つ前記固定金型を前記固定ダイプレートから離脱可能に非装着にすると共に前記固定金型突出しシリンダーに設けた固定ダイプレート受台に載置した後、
前記型開閉用サーボモータの駆動による前記可動金型の載置された可動ダイプレート受台の後退動作と、前記油圧ユニットの駆動による前記固定金型突出しシリンダーに設けた固定ダイプレート受台の前進動作とを、同調させながら動作させ、前記固定ダイプレートと前記可動ダイプレートとの間であってこれらとは非接触となる吊り上げ位置へ前記相互に当接された状態の可動金型及び固定金型を移動させるとき、
前記型開閉用サーボモータにより動作される前記可動ダイプレート受台に載置された前記可動金型の後退動作に、前記油圧ユニットにより動作される前記固定金型突出しシリンダーに設けた前記固定ダイプレート受台に載置された前記固定金型の前進動作を追従させながら動作させることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る成形機の金型交換方法の発明は、請求項1において、
前記吊り上げ位置へ前記相互に当接された可動金型及び固定金型を移動させるとき、
前記型開閉用サーボモータにより動作される可動ダイプレート受台の後退動作速度は、前記油圧ユニットにより動作される前記固定ダイプレート受台の前進動作速度と同じになるように動作制御されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る成形機の金型交換方法の発明は、請求項1において、
前記吊り上げ位置へ前記相互に当接された可動金型及び固定金型を移動させるとき、
前記油圧ユニットにより動作される前記固定ダイプレート受台の前進動作駆動力は、前記型開閉用サーボモータにより動作される前記可動ダイプレート受台の後退動作駆動力よりも大きくなるようにし、前記固定金型は前記吊り上げ位置へ移動されるとき前記可動金型を押圧しながら移動されることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る成形機の金型交換方法の発明は、請求項1において、
前記吊り上げ位置へ前記相互に当接された可動金型及び固定金型を移動させるとき、
前記油圧ユニットにより動作される前記固定ダイプレート受台の前進動作駆動力は、前記型開閉用サーボモータにより動作される前記可動ダイプレート受台の後退動作駆動力よりも大きくなるようにし、
前記固定金型が前記可動金型を押圧しない無負荷状態では、該固定金型の載置された固定ダイプレート受台の前進動作速度は前記可動金型の載置された可動ダイプレート受台の後退動作速度よりも速く若しくは少なくとも同じにする一方で、
前記固定金型が可動金型を押圧する負荷状態では、該固定金型の載置された固定ダイプレート受台の前進動作速度と、前記可動金型の載置された可動ダイプレート受台の後退動作速度とが同じになるよう、前記固定金型が前記可動金型を押圧しながら前記吊り上げ位置へ移動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
成形機の金型交換方法の発明によれば、成形機に設けられた金型を取り出して交換するに際し、ワイヤーロープやチェーン等の吊り上げ手段を用いて容易に吊り上げ可能な吊り上げ位置(固定ダイプレートと可動ダイプレートとの間であってこれらとは非接触となる位置)へ相互に当接された可動金型及び固定金型を移動させるとき、従来のように連結板などの物理的な手段を用いて可動金型と固定金型とをいちいち一体的になるよう着脱したりしなくても、固定ダイプレート受台や可動ダイプレート受台に載置した金型を落下させることなく移動させることができるから安全性に優れる。しかも従来のように金型の落下を防止するために、可動盤側金型受け台と固定盤側金型受け台とを連結するための連結ロッド、連結ロッドと金型受け台とを連結するためのフォーク、フォークを進退させるためのピストンロッド、及び駆動源たるエアーシリンダ等の多数の部品を用いずに済み部品点数を軽減できることから、製品のコストダウン化を図ることができ、その価値は多大なものとなる。
【0014】
さらに、可動金型を移動する駆動源は電動駆動源であって、固定金型を移動する駆動源は油圧駆動源としたものである。よって、各々を別々の駆動源とすることで、可動金型と固定金型の動作速度の微調整を容易に行うことが可能となり、これらの動作速度が同じになるよう速度調整を容易に行うことができる。従って、例えば、可動金型と固定金型を移動する駆動源が、単独の油圧駆動源であった場合には、油圧や流量調整が難しく、可動金型と固定金型の動作速度を一致させようとしても微調整が困難であり、受台から金型が落下する虞があったが、こうした不具合を防止でき、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】吊り上げ位置に金型を移動させた状態を示すダイカストマシンの概略構成図である。
【図2】吊り上げ位置に金型を移動させるときの動作を示すフローチャートである。
【図3】型締完了位置に金型を移動させた状態を示すダイカストマシンの概略構成図である。
【図4】前進完了位置に進退ロッドを移動させた状態を示すダイカストマシンの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4により以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0017】
図1に示すように、本願の横締型の成形機たるダイカストマシン1は、周知のダイカストマシンと同様に主要な構成として型締装置2と射出装置(図示せず)を具備しており、前者の型締装置2においては、固定金型4が装着された固定ダイプレート5、可動金型6が装着された可動ダイプレート7、可動ダイプレート7を進退させるための型開閉用サーボモータ8等を備え、型開閉用サーボモータ8を電動動力源として、固定金型4に対し可動ダイプレート7に取り付けられた可動金型6を進退させることで型開閉等がなされるものである。
【0018】
また、本実施形態のダイカストマシン1においては、可動ダイプレート7に可動ダイプレート受台9が設けられており、この可動ダイプレート受台9の上部には可動金型が載置される可動金型用載置部を備え、そこには複数のローラ10が回動自在に枢支されている。なお、ローラ10の軸心方向は型開閉方向に対して直交した水平方向になっている。
【0019】
固定ダイプレート5には、その下方に固定金型突出しシリンダー11が設けられており、この固定金型突出しシリンダー11の進退ロッド11aの先端には固定ダイプレート受台12が一体に設けられている。また、固定ダイプレート受台12の上部には、そこに載置された固定金型4の位置ずれを抑止するための、位置ずれ防止部材としてのストッパー部材13が設けられている。そして、油圧駆動源である油圧ユニット14により固定金型突出しシリンダー11の進退ロッド11aが動作されることにより、固定ダイプレート受台12は、進退ロッド11aの進退に伴い型開閉方向(図1に示す左右方向)に進退され、固定ダイプレート受台12の固定金型載置部に載置された固定金型4は、型開閉方向に移動できるようになっている。なお、油圧ユニット17には、図示しないアキュームレータ、このアキュームレータに作動油を供給する油圧ポンプ15等を備え、アキュームレータ内に固定金型突出しシリンダー11を駆動するのに必要な圧力が蓄圧されているか否かを検知し、アキュームレータ内の圧力が所定圧力以下であるときには、前記油圧ポンプ15を通じてアキュームレータ内に作動油が供給され蓄圧(チャージ)を行い、アキュームレータ内の圧力が所定圧力に達した段階で油圧ポンプ15を停止するための制御手段16を備えている。
【0020】
次に、本実施形態におけるダイカストマシン1に装着されている金型を取り出し、他の金型へ入れ替える際の動作について、図2に示すフローチャートに基づきさらに説明する。なお、本実施形態では金型を交換するに際し、ワイヤーロープやチェーン等の吊り上げ手段を用いて金型を容易に吊り上げることができる位置を吊り上げ位置とし、吊り上げ位置は、固定ダイプレートと可動ダイプレートとの間であってこれらと金型が非接触となっている位置を差すものと定義して以下に説明する。
【0021】
先ず、図3に示すように、型開閉用サーボモータ8によって、可動金型6が装着された可動ダイプレート7が前進限(型締完了位置)まで前進されると共に(ステップ1)、固定金型突出しシリンダー11の進退ロッド11aが後退限まで後退され(ステップ2)、固定ダイプレート5に装着された固定金型4と可動金型6とが相互に当接された状態(型閉状態)において、図示しない金型クランプを取外して、固定ダイプレート5から固定金型4を離脱可能に非装着にすると共に固定ダイプレート受台12に固定金型4を載置し、且つ、可動ダイプレート7から可動金型6を離脱可能に非装着にすると共に可動ダイプレート受台9に可動金型6を載置する(ステップ3)。
【0022】
次に、油圧ユニット14の動作により、固定ダイプレート受台12に載置されている固定金型4で可動ダイプレート受台9に載置されている可動金型6を押圧し負荷をかけた状態で型開閉用サーボモータ8を動作させることにより可動ダイプレート7を後退させてゆくと(ステップ4)、進退ロッド11aに設けた固定ダイプレート受台12と可動ダイプレート受台9は同調し、可動金型6の型開方向へ移動されてゆき、固定ダイプレート受台12に載置された固定金型4は進退ロッド11aにより前進され固定ダイプレート5から離間されてゆく(ステップ4、5)。そして、図4に示すように進退ロッド11aが前進限までの前進動作を完了すると(ステップ6)、続いて、可動ダイプレート7が型開き完了位置まで型開きされてゆき(ステップ7)、可動金型6が可動ダイプレート7から離間され、図1に示すように、相互に当接された固定金型4と可動金型6は、吊り上げ位置へと移動され、ワイヤーロープやチェーン等の吊り上げ手段を用いて2つの金型(固定金型4、可動金型6)をまとめて吊り上げることが可能となり、これらを取り出して他の金型に入れ替えを行うことが簡単に行うことができる。
【0023】
なお、相互に当接された状態の固定金型4と可動金型6が吊り上げ位置に移動されてゆく工程においては、型開閉用サーボモータ8により動作される可動ダイプレート7の後退動作速度と、固定金型4の載置された固定ダイプレート受台12の前進動作速度とが同じになるよう速度の同調制御がされるようになっており、可動ダイプレート受台9の後退動作速度と固定ダイプレート受台12の前進動作速度とを同調させるだけではなく、型開閉用サーボモータ8により動作される可動ダイプレート7の後退動作駆動力を、油圧ユニット14により動作される固定金型4の前進動作駆動力よりも大きくし、固定金型4は可動金型6と共に吊り上げ位置へ移動されるときには可動金型6を押圧しながら移動される。より具体的には、油圧ユニット14により動作される固定金型4の前進動作速度は、型開閉用サーボモータ8により動作される可動ダイプレート7の後退動作速度と同じ(同調)になるよう、制御手段16は、固定金型4が可動金型6を押圧しない無負荷状態では、可動金型6の後退動作速度よりも速く(又は少なくとも同じ速度)なるようにして、固定金型4が可動金型6を押圧しながら吊り上げ位置へ移動されることで、固定金型4と可動金型と6が離れてしまい不安定にならないよう吊り上げ位置へ移動することができるようになっている。
【0024】
以上のような本実施形態の成形機たるダイカストマシン1の金型交換方法によれば、ダイカストマシン1に設けられた金型4,6をまとめて取り出して交換するに際し、ワイヤーロープやチェーン等の吊り上げ手段を用いて容易に吊り上げ可能な吊り上げ位置(固定ダイプレート5と可動ダイプレート7との間であってこれらとは非接触となる位置)へ相互に当接された可動金型6及び固定金型4を移動させるとき、従来のように連結板などの物理的な手段を用いて可動金型と固定金型とをいちいち一体的になるよう着脱したりしなくても、固定ダイプレート受台や可動ダイプレート受台に載置した金型を落下させることなく移動させることができるから安全性に優れる。しかも従来のように金型の落下を防止するために、可動盤側金型受け台と固定盤側金型受け台とを連結するための連結ロッド、連結ロッドと金型受け台とを連結するためのフォーク、フォークを進退させるためのピストンロッド、及び駆動源たるエアーシリンダ等の多数の部品を用いずに済み部品点数を軽減できることから、製品のコストダウン化を図ることができ、その価値は多大なものとなる。
【0025】
さらに、可動金型6を移動する駆動源は電動駆動源であって、固定金型4を移動する駆動源は油圧駆動源としたものである。よって、各々を別々の駆動源で動作させることで、制御手段16は可動金型6と固定金型4の動作速度の微調整を容易に行うことができる。従って、例えば、可動金型と固定金型を移動する駆動源が、単独の油圧駆動源であった場合には、油圧や流量調整が難しく、可動金型と固定金型の動作速度を一致させようとしても微調整が難しく、受台から金型が落下する虞があったが、こうした不測の事態を防止でき、安全性を向上することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 ダイカストマシン
4 固定金型
5 固定ダイプレート
6 可動金型
7 可動ダイプレート
8 型開閉用サーボモータ
9 可動ダイプレート受台
11 固定金型突出しシリンダー
12 固定ダイプレート受台
14 油圧ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型が装着される固定ダイプレートと、
可動金型が装着されると共に、該可動金型を載置する可動ダイプレート受台を備えた可動ダイプレートと、
該可動ダイプレートを型開閉方向に進退させる電動駆動源としての型開閉用サーボモータと、
油圧ユニットを油圧駆動源として前記固定金型を載置した固定ダイプレート受台を前記型開閉方向に進退させる固定金型突出しシリンダーとを備え、
前記可動金型及び固定金型を機外へ取り出してこれらを他の金型と交換を行う成形機の金型交換方法であって、
前記可動ダイプレートを前進させ前記固定金型に対して前記可動金型を型閉させることで相互に当接させた状態において、前記可動ダイプレートに装着された前記可動金型を前記可動ダイプレートから離脱可能に非装着にすると共に前記可動ダイプレート受台に載置し、且つ前記固定金型を前記固定ダイプレートから離脱可能に非装着にすると共に前記固定金型突出しシリンダーに設けた固定ダイプレート受台に載置した後、
前記型開閉用サーボモータの駆動による前記可動金型の載置された可動ダイプレート受台の後退動作と、前記油圧ユニットの駆動による前記固定金型突出しシリンダーに設けた固定ダイプレート受台の前進動作とを、同調させながら動作させ、前記固定ダイプレートと前記可動ダイプレートとの間であってこれらとは非接触となる吊り上げ位置へ前記相互に当接された状態の可動金型及び固定金型を移動させるとき、
前記型開閉用サーボモータにより動作される前記可動ダイプレート受台に載置された前記可動金型の後退動作に、前記油圧ユニットにより動作される前記固定金型突出しシリンダーに設けた前記固定ダイプレート受台に載置された前記固定金型の前進動作を追従させながら動作させることを特徴とする成形機の金型交換方法。
【請求項2】
前記吊り上げ位置へ前記相互に当接された可動金型及び固定金型を移動させるとき、
前記型開閉用サーボモータにより動作される可動ダイプレート受台の後退動作速度は、前記油圧ユニットにより動作される前記固定ダイプレート受台の前進動作速度と同じになるように動作制御されることを特徴とする請求項1記載の成形機の金型交換方法。
【請求項3】
前記吊り上げ位置へ前記相互に当接された可動金型及び固定金型を移動させるとき、
前記油圧ユニットにより動作される前記固定ダイプレート受台の前進動作駆動力は、前記型開閉用サーボモータにより動作される前記可動ダイプレート受台の後退動作駆動力よりも大きくなるようにし、前記固定金型は前記吊り上げ位置へ移動されるとき前記可動金型を押圧しながら移動されることを特徴とする請求項1記載の成形機の金型交換方法。
【請求項4】
前記吊り上げ位置へ前記相互に当接された可動金型及び固定金型を移動させるとき、
前記油圧ユニットにより動作される前記固定ダイプレート受台の前進動作駆動力は、前記型開閉用サーボモータにより動作される前記可動ダイプレート受台の後退動作駆動力よりも大きくなるようにし、
前記固定金型が前記可動金型を押圧しない無負荷状態では、該固定金型の載置された固定ダイプレート受台の前進動作速度は前記可動金型の載置された可動ダイプレート受台の後退動作速度よりも速く若しくは少なくとも同じにする一方で、
前記固定金型が可動金型を押圧する負荷状態では、該固定金型の載置された固定ダイプレート受台の前進動作速度と、前記可動金型の載置された可動ダイプレート受台の後退動作速度とが同じになるよう、前記固定金型が前記可動金型を押圧しながら前記吊り上げ位置へ移動されることを特徴とする請求項1記載の成形機の金型交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−206792(P2011−206792A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75160(P2010−75160)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000222587)東洋機械金属株式会社 (299)
【出願人】(594142207)トヨタ自動車北海道株式会社 (10)
【Fターム(参考)】