説明

成膜装置および噴出ノズル

【課題】AD法によって成膜を行う成膜装置において、薄く均一な膜の形成を可能とする成膜装置を提供することにある。
【解決手段】噴出ノズル30の内部通路31に進入したエアロゾルZは、ブロック部35を配することによって流路を狭められた狭窄路34Bを通過する際に流速を増し、その下流側に設けられたテーパ面36Aに衝突する。このとき、エアロゾルZに含まれる材料粒子Mのうち比較的質量の大きい凝集粒子がこのテーパ面36Aに衝突し、微粉化される。このように、凝集粒子が粉砕され、微粒化した状態で噴出ノズル30から供給されるから、被処理材上に薄く均一な膜を形成することができる。加えて、テーパ部36が設けられた領域は狭窄路34Bより流路面積が広い拡張部37とされており、ここでテーパ面36Aへの衝突によって生じた凝集粒子の破砕片がミキシングされる。これにより、エアロゾルZの濃度を均一化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AD法を用いてセラミックスや金属材料を成膜するための成膜装置、および成膜装置に用いられる噴出ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタのインクジェットヘッド等に用いられる圧電アクチュエータの圧電膜の製造方法として、エアロゾルデポジション法(AD法)と呼ばれるものがある。これは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料の微粒子を気体中に分散させたもの(エアロゾル)を基板表面に向けて噴射させ、微粒子を基板上に衝突・堆積させることにより圧電膜を形成させるものである。この製法は、圧電材料の成膜に限られず、セラミックス材料や金属材料の成膜にも利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2003−293159公報)には、このようなAD法を使用して成膜を行うための装置が開示されている。この装置は、エアロゾルを発生させるためのエアロゾル形成室と、発生したエアロゾルの基板への噴き付けを行うための成膜室と、成膜室の内部に備えられたノズルとを備え、エアロゾル形成室で発生したエアロゾルは、搬送管を通ってノズルに導かれ、このノズルから基板に向かって噴射される。
【特許文献1】特開2003−293159公報 図9は、成膜装置で用いられる従来の一般的なノズル70の側断面図を示している。ノズル70は全体として上下方向に貫通する円筒状であり、その内部にはエアロゾルが流れる内部通路71が形成されている。この内部通路71の下端側の開口は、エアロゾルの搬送管と接続されてエアロゾルを受け入れる供給口72を画成し、上端側の開口はエアロゾルを噴出する噴出口73を画成している。エアロゾルは、供給口72からノズル70内に進入して内部通路71を上方に向かって流れ、噴出口73から基板に向かって噴射される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前出のようなノズルに導かれる前に、エアロゾル発生の段階で粒子が充分に微粒化されず、あるいはいったん微粒化した粒子がエアロゾル形成室からノズルに至るまでの間に再凝集して、大きな凝集粒子となった状態で基板へ吹き付けられることがある。これらの凝集粒子は、質量が大きいために基板へ衝突する際の衝突エネルギーが大きくなり、膜にダメージを与えるなど、薄く均一な膜の形成を阻害する一因となっていた。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、AD法によって成膜を行う成膜装置において、薄く均一な膜の形成を可能とする成膜装置および成膜装置に用いられる噴出ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、材料粒子をキャリアガスに分散してエアロゾルを発生させるエアロゾル発生部と、内部に前記エアロゾルを流す内部通路が設けられ、この内部通路の一端が前記エアロゾル発生部からの前記エアロゾルの供給を受ける供給口を画成し、他端が前記エアロゾルを被処理材に向けて噴出する噴出口を画成する噴出ノズルと、前記内部通路に設けられてその上流側よりも流路面積が狭い狭窄路と、前記狭窄路よりも下流側に設けられて前記狭窄路を通過した前記エアロゾルの流れが衝突する衝突部と、を備える成膜装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、材料粒子をキャリアガスに分散してエアロゾルを発生させるエアロゾル発生部を備えた成膜装置に用いられる噴出ノズルであって、内部に前記エアロゾルを流す内部通路が設けられ、この内部通路の一端は前記エアロゾル発生部からの前記エアロゾルの供給を受ける供給口を画成し、他端は前記エアロゾルを前記被処理材に向けて噴射する噴射口を画成し、前記内部通路に設けられてその上流側よりも流路面積が狭い狭窄路と、前記狭窄路よりも下流側に設けられて前記狭窄路を通過した前記エアロゾルの流れが衝突する衝突部と、を備える噴出ノズルが提供される。
【0008】
本発明の成膜装置および噴出ノズルにおいて、前記狭窄路は、前記内部通路に前記エアロゾルの流れを妨げる障害部材を設けることにより形成されてもよい。
【0009】
本発明の成膜装置および噴出ノズルでは、ノズルの内部通路に進入したエアロゾルは、狭窄路を通過する際に流速を増し、その下流側に設けられた衝突部へ至る。このとき、エアロゾルに含まれる材料粒子のうち、質量の小さい微粒子は衝突部の壁面を回り込んで下流側へ流れていくが、比較的質量の大きい凝集粒子は慣性力が大きいために衝突部を回り込むことができずにこの衝突部に衝突し、粉砕される。このように、凝集粒子が粉砕され、微粒化した状態でノズルから供給されるから、被処理材上に薄く均一な膜を形成することができる。
【0010】
本発明の成膜装置において、前記衝突部における前記エアロゾルの流れと対向する衝突面が、前記エアロゾルの流れの方向に対して傾く傾斜面であってもよい。この場合、粒子の衝突エネルギーが大きくなりすぎて衝突面に粒子が固着したり、エアロゾルの滞留が起こり、粒子が吹き溜りとなって堆積してしまう等の不具合を低減することができる。
【0011】
本発明の成膜装置において、前記衝突面の傾き角度は、前記エアロゾルの流れの方向に対して45°〜60°であってもよい。ここで、衝突面の角度は上記した不具合を抑制できる程度に小さいことが好ましいが、あまりに小さすぎれば、凝集粒子の衝突面に対する衝突エネルギーが小さくなり、粒子が充分に破砕されなくなるおそれがある。したがって、衝突面の角度は45°〜60°とされるのが好ましい。
【0012】
本発明の成膜装置において、前記内部通路における前記狭窄路の流路面積がこの狭窄路よりも上流位置での流路面積の50%以下とされてもよい。このように流路面積が制限されると、狭窄路を通過するエアロゾルを充分に加速し、凝集粒子が粉砕するのに充分な衝突エネルギーをもって衝突部に衝突させることができる。
【0013】
本発明の成膜装置において、前記内部通路の前記衝突部よりも下流側には、前記噴出口に向かって流路が絞られた絞り部が設けられており、前記噴出口の開口面積が前記絞り部の入口の流路面積の3分の1以下とされてもよい。このように絞り部において流路を絞ることにより、衝突部への衝突によってエアロゾルの流れが乱れ、減速したとしても、十分な加速を行ない、被処理材への固着に十分な衝突エネルギーを材料粒子に付与することができる。
【0014】
本発明の成膜装置において、前記障害部材における前記エアロゾルの流れと対向する対向面が、前記エアロゾルの流れの方向に対して傾く傾斜面であってもよく、上流側へ張り出す弧状面であってもよい。また、前記障害部材は柱状の形状であってもよい。このような形状により、粒子の衝突エネルギーが大きくなりすぎて対向面に粒子が固着したり、エアロゾルの滞留が起こり、粒子が吹き溜りとなって堆積してしまう等の不具合を低減することができる。
【0015】
本発明の成膜装置において、前記対向面の傾き角度は、前記エアロゾルの流れの方向に対して30°〜60°であってもよい。ここで、対向面の角度は上記した不具合を防止できる程度に小さいことが好ましいが、あまりに小さすぎれば、必要な流路の絞り量、すなわち対向面においてエアロゾルの流れの方向と交差方向の長さを稼ぐために流れの方向と沿った方向の長さを大きくしなければならないから、障害部材を大型化する必要が生じる。このため、対向面の角度は30°〜60°とされるのが好ましい。
【0016】
本発明の成膜装置において、前記障害部材が、前記内部通路の中心軸線上に設けられてもよい。この場合、エアロゾルは中心軸線上にある障害部材を迂回してやや外周方向へと向きを変えて進み、その下流側において内部通路の内壁面に衝突する。このような構造によれば、内部通路の内壁面を衝突部として利用可能であるから、噴出ノズルの構造の複雑化を回避できる。
【0017】
本発明の成膜装置および噴出ノズルにおいて、前記噴出口がスリット状に形成されており、前記障害部材が前記噴出口の長さ方向に沿って形成されてもよい。また本発明の成膜装置において、前記噴出口がスリット状に形成されており、前記噴出口の長さ方向に前記障害部材を支持する支持部材が延在してもよい。この構造によれば、スリットの長さ方向の全長に渡って、エアロゾルの流れの偏りが生じにくいから、均一な膜形成ができる。
【0018】
本発明の成膜装置において、前記障害部材が前記絞り部の入口に設けられることで前記絞り部の内壁面が前記衝突面とされてもよい。この場合、衝突部を別部材として設けなくても良いから、噴出ノズルの構造の複雑化を回避しつつ凝集粒子を粉砕し、均一な膜形成を図ることができる。
【0019】
本発明の成膜装置において、前記内部通路において前記狭窄路よりも下流側に前記狭窄路よりも流路面積が広げられた拡張部が設けられてもよい。この構造によれば、拡張部で流路が急激に広げられることによって乱流が生じ、衝突部によって破砕した粒子の破砕片がミキシングされる。これにより、エアロゾル濃度を均一化して均質な膜を形成することができる。
【0020】
本発明の成膜装置において、前記内部通路の前記障害部材を包囲する内壁面は、下流側に向かってテーパ状に形成されてもよい。この場合、テーパ状に形成された内壁面が衝突部とされ、上流側の領域が拡張部となる。このように、テーパ状の内壁面という一つの構造によって衝突部と拡張部とを形成できる。したがって、噴出ノズルの構造の複雑化を回避しつつ凝集粒子を粉砕し、均一な膜形成を図ることができる。
【0021】
本発明の成膜装置において、前記内部通路の内壁面の面粗度がRZ0.3μm以下であってもよい。このように内壁面を一定以上の粗さとしておくことにより、この内壁面への材料粒子の付着を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1〜図3を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図1には、本発明を具体化した成膜装置1の概略図を示す。この成膜装置1は、材料粒子Mをキャリアガスに分散させてエアロゾルZを形成するエアロゾル発生器10、およびエアロゾルZを噴出ノズル30から噴出させて基板B(本発明の被処理材に該当する)に付着させるための成膜チャンバ20を備えている。
【0024】
エアロゾル発生器10には、内部に材料粒子Mを収容可能なエアロゾル室11と、このエアロゾル室11に取り付けられてエアロゾル室11を振動する加振装置12とが備えられている。エアロゾル室11には、キャリアガスを導入するためのガスボンベGが導入管13を介して接続されている。導入管13の先端はエアロゾル室11内部において底面付近に位置し、材料粒子M中に埋没するようにされている。キャリアガスとしては、例えばヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスや空気、酸素等を使用することができる。
【0025】
成膜チャンバ20には、基板Bを取り付けるためのステージ21と、このステージ21の下方に設けられた噴出ノズル30が備えられている。この成膜チャンバ20には、粉体回収装置22を介して真空ポンプPが接続されており、その内部を減圧できるようにされている。
【0026】
さて、噴出ノズル30は図2に示すように、全体として上下方向に貫通する円筒状に形成され、その内部の空間はエアロゾルZが流れる内部通路31が形成されています。この内部通路31の下端側の開口は、エアロゾル供給管14と接続されてエアロゾルZを受け入れる供給口32を画成し、一方、上端側の開口は、スリット状に形成されてエアロゾルZを噴出する噴出口33が画成されている。供給口32から噴出口33までの長さは70〜100mmとなるように形成されている。また上記スリット状の噴出口33は、長手方向が10〜15mm、短手方向が0.2〜0.5mmとなるように形成されている。エアロゾル室11からエアロゾル供給管14を介して供給されたエアロゾルZは、供給口32から噴出ノズル30内に進入して内部通路31を上方に向かって流れ、噴出口33から基板Bに向かって噴射される。
【0027】
この内部通路31において供給口32のやや上方位置には、ブロック部35(本発明の障害部材に該当する)が設けられている。ブロック部35はニッケル合金またはステンレスにより円錐状に形成され、その表面は衝突耐久性を考慮してダイヤモンドライクカーボン(DLC)によりコーティングされるのが好ましい。円錐の頂点35Aが下側(上流側)を向くとともに、円錐の頂点35Aと底面35Bの中心点とを結ぶ軸が内部通路31の中心軸線Lと一致するようにして設置されている。これにより、ブロック部35においてエアロゾルZの流れに相対する面である円錐面35C(本発明の対向面に該当する)が、エアロゾルZの流れる方向(噴出ノズル30の延在方向)に対して傾斜するようになっている。この円錐面35Cを構成する母線の傾き角度θ1は、エアロゾルZの流れの方向(内部通路31の中心軸線Lの延在方向)に対して30°〜60°の範囲に設定されている。
【0028】
一方、内部通路31の内壁面31Aにおいて前記障害部材を包囲する部分には、下流側に向かってテーパ状に形成されたテーパ部36、言い換えると、上流側に向かって拡径されたテーパ部36が設けられている。このテーパ部36はニッケル合金またはステンレスにより形成され、その表面は衝突耐久性を考慮してDLCによりコーティングされているのが好ましい。テーパの始端、すなわち径小側の端部36Bの位置はブロック部35の下流側の端部(円錐の底面35B)に対応する位置よりもやや下流位置とされており、テーパの終端、すなわち径大側の端部36Cの位置はブロック部35の上流側の端部(円錐の頂点35A)よりも下流であって下流側の端部(円錐の底面35B)よりも上流となる位置とされている。
【0029】
また、内部通路31においてテーパ部36よりも上流側は、テーパ部36の径小側の端部36Bと略同一径の直管部34とされており、直管部34の下流側の端部34Aの位置がテーパ部36の下流側の端部36Cの位置に一致している。そして、ブロック部35の頂点35Aは、この直管部34内に位置している。
【0030】
また、図3に示すように、ブロック部35の円錐面35Cからは、スリット状の噴出口33の長手方向に向かって、それぞれ円柱状に形成された2つの連結軸35Dが互いに反対方向に突出され、これら連結軸35Dの先端は内部通路31において直管部34の下流側端部34Aに固定されている。
【0031】
これらのブロック部35およびテーパ部36によって、内部通路31には狭窄路34Bおよび拡張部37が形成され、かつ、テーパ部36は、狭窄路34Bを通過してきたエアロゾルZが衝突する衝突部とされている。すなわち、直管部34においてブロック部35の頂点35Aに対応する位置から下流側の端部34Aまでの領域は、その上流側に比べて流路面積が狭められた狭窄路34Bとされ、テーパ部36に対応する領域においてブロック部35の底面35Bよりも下流側の領域は、狭窄路34Bよりも流路が拡大された拡張部37とされている。また、テーパ部36のテーパ面36Aは、狭窄路34Bを通過してきたエアロゾルZが衝突する衝突面とされている。
【0032】
内部通路31の流路面積(断面積)は、狭窄路34Bにおいてはブロック部35の頂点35Aに対応する位置から徐々に狭められ、直管部34とテーパ部36との境界位置(直管部34の端部34Aとテーパ部36の径大側の端部36Cに対応する位置。図2のB−B線位置に相当する)において最も絞られる。この境界位置を超えると流路面積はいったん拡大するが、下流に向かうに従ってテーパ面36Aと円錐面35Cとによって徐々に狭められる。そして、ブロック部35の端部(円錐の底面35B)を超えて拡張部37に入ると流路面積は一気に拡大するようになっている。なお、狭窄路34Bにおいて流路が最も狭められた位置における流路面積は、それよりも上流での流路面積の50%以下とされている。
【0033】
また、上記したテーパ面36Aの傾き角度θ2は、テーパ部36の直前(上流側)にある狭窄部34Bを通過してきたエアロゾルの流れの方向、すなわち、ブロック部35の円錐面Cを構成する母線に沿う方向に対して45°〜60°の範囲に設定されている。
【0034】
内部通路31においてこの拡張部37よりもやや下流位置には、下流側に向かってなだらかに流路が絞られた絞り部38が設けられている。この絞り部38は最終的に噴出口33と同形状のスリット状に絞られており、その終端部(上端部)から噴出口33に至るまでの通路は断面形状が噴出口33の形状と同形をなす細幅の先端通路39とされている。先端通路39の長さは20〜30mmとなるように形成されている。絞り部38における流路の絞り量は、終端位置での断面積(噴出口33の開口面積に等しい)が内部通路31において絞り部38の入口38A、すなわち絞り開始位置における断面積の3分の1以下となるように設定されており、これによりエアロゾルZが充分に加速されて噴出口33から噴出するようになっている。
【0035】
なお、内部通路31の内壁面31Aは面粗度RZ0.3μm以下の平滑な面とされており、これにより内壁面31Aに材料粒子Mが付着しないようにされている。
【0036】
次に、上記のように構成された本実施形態の成膜装置および噴出ノズルの動作及び原理について説明する。
【0037】
成膜装置1を用いて材料粒子Mの膜を形成する際には、まず、基板Bをステージ21にセットする。次いで、エアロゾル室11の内部に材料粒子Mを投入する。材料粒子Mとしては、例えば圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を使用することができる。
【0038】
そして、ガスボンベGからキャリアガスを導入して、そのガス圧で材料粒子Mを舞い上がらせる。それととともに、加振装置12によってエアロゾル室11を振動することで、材料粒子Mとキャリアガスとを混合してエアロゾルZを発生させる。次いで、成膜チャンバ20内を真空ポンプPにより減圧する。すると、エアロゾル室11と成膜チャンバ20との間の差圧により、エアロゾル室11内のエアロゾルZは高速に加速しつつエアロゾル供給管14から噴出ノズル30の内部通路31に進入する。図2において、エアロゾルZの流れを矢印で示した。
【0039】
噴出ノズル30の内部通路31に進入したエアロゾルZは、ブロック部35を設けることにより形成された狭窄路34Bを通過する際に流速を増すとともに、円錐面35Cに沿った方向の流れとなって、その下流側に設けられたテーパ部36のテーパ面36Aにぶつかる。このとき、エアロゾルZに含まれる材料粒子Mのうち、質量の小さい微粒子はテーパ部36のテーパ面36Aに沿って向きを変えられ、下流側へ流れていくが、比較的質量の大きい凝集粒子は慣性力が大きいために容易に方向を転換することができずにこのテーパ部36に衝突し、粉砕される。このように、凝集粒子が粉砕され、微粒化した状態で供給されるから、基板B上に薄く均一な膜を形成することができる。このとき、凝集粒子の粉砕のためにエアロゾルZの流れの方向に対して斜め向きのテーパ面36Aを利用することで、衝突エネルギーが大きくなりすぎて材料粒子Mがテーパ部36に固着したり、エアロゾルZの滞留が起こり、材料粒子Mがテーパ面36A上に吹き溜りとなって堆積してしまう等の不具合を防ぐことが出来る。
【0040】
なお、狭窄路34Bにおいて最も狭められた部分の流路面積はこの狭窄路34Bよりも上流位置での流路面積の50%以下とされている。これにより、狭窄路34Bを通過するエアロゾルZを充分に加速し、凝集粒子が粉砕するのに充分な衝突エネルギーをもってテーパ面36Aに衝突させることができる。また、テーパ面36Aの角度は上記した不具合を抑制できる程度に小さいことが好ましいが、あまりに小さすぎれば、凝集粒子のテーパ面36Aに対する衝突エネルギーが小さくなり、凝集粒子が充分に破砕されなくなるおそれがある。このため、傾き角度θ2をエアロゾルZの流れの方向(ブロック部35の円錐面Cを構成する母線に沿う方向)に対して45°以上60°以下に設定している。
【0041】
さらに、ブロック部35を円錐の頂点35Aが下側(上流側)を向く姿勢で設置することにより、エアロゾルZの流れに相対する面である円錐面35CがエアロゾルZの流れの方向に対して傾斜するようにしている。これにより、衝突エネルギーが大きくなりすぎて材料粒子Mがブロック部35に固着したり、エアロゾルZの滞留が起こり、材料粒子Mが吹き溜りとなってブロック部35の表面に堆積してしまう等の不具合が起こることを防いでいる。なお、傾き角度θ1は上記した不具合を防止できる程度に小さいことが好ましいが、あまりに小さすぎれば、必要な流路の絞り量、すなわち円錐面35CにおいてエアロゾルZの流れの方向と交差方向の張り出し長さを稼ぐためにブロック部35全体を大型化する必要が生じる。このため、傾き角度θ1をエアロゾルZの流れの方向(内部通路31の中心軸線Lの延在方向)に対して30°以上60°以下に設定している。
【0042】
狭窄路34Bを通過したエアロゾルZは、その下流側に設けられている拡張部37に至る。この拡張部37においては、エアロゾルZの流路が急激に広げられることによって乱流が生じ、テーパ部36への衝突によって生じた凝集粒子の破砕片がミキシングされる。これにより、エアロゾルZの濃度を均一化することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、テーパ部36とブロック部35からなる単純な構造によって材料粒子Mを破砕するための衝突部とミキシングのための拡張部37とを形成している。すなわち、このテーパ部36のテーパ面36Aが凝集粒子を粉砕するための衝突面とされるとともに、テーパ部36によって拡張された領域のうちブロック部35が存在しない領域(ブロック部35の底面35Bよりも下流側の領域)が拡張部37となる。これにより、噴出ノズル30の構造の複雑化を回避しつつ凝集粒子を粉砕し、均一な膜形成を図ることができる。
【0044】
拡張部37を通過したエアロゾルZは、さらに下流側の絞り部38へと進んでいく。絞り部38においては、最終的に流路面積が入口38Aの流路面積の3分の1以下にまで絞られることにより、拡張部37においていったん減速したエアロゾルZを充分に加速し、基板Bへの固着に十分な衝突エネルギーを材料粒子Mに付与することができる。
【0045】
絞り部38および先端通路39を通過したエアロゾルZは噴出口33から噴出する。噴出したエアロゾルZに含まれる材料粒子Mは基板Bに衝突して堆積し、膜を形成する。
【0046】
以上のように本実施形態によれば、エアロゾル室11から噴出ノズル30に至るまでの間に再凝集してできた大きな凝集粒子を噴出ノズル30内で再度解砕することにより、薄く均一な膜の形成が可能となる。
【0047】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について、図4および図5を参照しつつ説明する。本実施形態の第1実施形態との主たる相違点は、ブロック部45においてエアロゾルZの流れと相対する面が円弧状面である点、および、衝突部46が内部通路41に張り出し形成されている点にある。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態の噴出ノズル40は、第1実施形態と同様の成膜装置1に使用される。噴出ノズル40は、第1実施形態と同様に内部通路41を備えた円筒状に形成されており、この内部通路41の下端側の開口が供給口42を画成し、上端側の開口がスリット状の噴出口43を画成している。
【0049】
この噴出ノズル40の内部通路41において供給口42よりやや上方(下流位置)には、ブロック部45(本発明の障害部材に該当する)が配されることによって狭窄路44が設けられている。ブロック部45は円柱状に形成され、その軸方向が噴出口43のスリット長さ方向に沿う姿勢で、かつ、その径方向の中心位置が内部通路41の中心軸線L上に位置するように配されている。すなわち、ブロック部45の中心軸線は内部通路41の中心軸線と直交している。
【0050】
また、ブロック部45においてエアロゾルZの流れと相対する面が、円柱の外周面45A、すなわち、上流側へ張り出す円弧状の面となっている。なお、狭窄路44において最も流路が狭められている位置(図4のVB−VB線位置に相当)での流路面積は、第1実施形態と同様の理由でこの狭窄路44よりも上流位置での流路面積の50%以下とされていることが好ましい。
【0051】
このブロック部45の軸方向の両端部はそれぞれ内部通路41の内壁面41Aに固定されている。
【0052】
また、内部通路41においてこのブロック部45よりもやや上方には、衝突部46が設けられている。この衝突部46は、内部通路41の全周にわたって中心軸線L側へ張り出す円環状に形成されている。この衝突部46の下側面46Aは中心軸線L側に向かって上る傾斜面とされ、上側面46Bは内側に向かって下る傾斜面とされている。なお、エアロゾルZが衝突する衝突面である下側面46Aの傾き角度θ3は、第1実施形態と同様の理由でエアロゾルZの流れの方向(中心軸線Lの延在方向)に対して45°以上60°以下に設定されていることが好ましい。
【0053】
内部通路41においてこの衝突部46よりも下流位置には、第1実施形態と同様に絞り部48および先端通路49が設けられている。
【0054】
上記のような噴出ノズル40を備えた成膜装置1を用いて材料粒子Mの膜を形成する際には、第1実施形態と同様に、基板Bをステージ21にセットする。そして、エアロゾル室11においてエアロゾルZを発生させ、噴出ノズル40に導く。図4において、エアロゾルZの流れを矢印で示した。
【0055】
噴出ノズル40の内部通路41に進入したエアロゾルZは、ブロック部45を設けることにより形成された狭窄路44を通過する際に流速を増し、その下流側に設けられた衝突部46の下側面46Aにぶつかる。これにより、第1実施形態と同様に、凝集粒子を粉砕して、微粉化することができる。このとき、ブロック部45はその軸方向が噴出口43のスリット長さ方向に沿うとともに、その径方向の中心位置が内部通路41の中心軸線L上に位置するように配されている。これにより、エアロゾルZはブロック部45の長さ方向(噴出口43の長さ方向に一致)の全長に渡ってほぼ均等に分断されながら狭窄路44を通過していくから、噴出口43の長さ方向におけるエアロゾルZの流れの偏りが生じにくくなり、均一な膜形成が可能となる。また、ブロック部45においてエアロゾルZの流れと相対する対向面が、円柱の外周面45A、すなわち、上流側へ張り出す円弧状の面となっている。これにより、対向面が傾斜面(円錐面35C)とされている第1実施形態と同様に、衝突エネルギーが大きくなりすぎてブロック部45に材料粒子Mが固着したり、エアロゾルZの滞留が起こり、材料粒子Mが吹き溜りとなって堆積してしまう等の不具合を防止できる。
【0056】
また、衝突部46より下流であって絞り部48よりも上流の領域には、内部通路41にエアロゾルZの流れの障害となるような部材が特に設けられておらず、これにより、この領域は狭窄路44と比べて相対的に流路面積が広い拡張部47の役割を果たす。この拡張部47においては、第1実施形態と同様に流路が急激に広げられることによって乱流が生じ、衝突部46への衝突によって破砕した材料粒子Mの破砕片がミキシングされる。これにより、エアロゾルZの濃度を均一化することができる。
【0057】
拡張部47を通過したエアロゾルZは、第1実施形態と同様に絞り部48、先端通路49を通過して噴出口43から噴出する。噴出したエアロゾルZに含まれる材料粒子Mは基板Bに衝突して堆積し、膜を形成する。
【0058】
以上のように本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、エアロゾル室11から噴出ノズル40に至るまでの間に再凝集してできた大きな凝集粒子を噴出ノズル40内で再度解砕することにより、薄く均一な膜の形成が可能となる。加えて、ブロック部45が噴出口43のスリット長さ方向に沿って形成されている。これにより、スリット長さ方向の全長に渡って、エアロゾルZの流れの偏りが生じにくくなり、より均一な膜形成が可能となる。
【0059】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態について、図6および図7を参照しつつ説明する。本実施形態の第1実施形態との主たる相違点は、ブロック部55が絞り部58の入口に設けられることで絞り部58の内壁面58Bが衝突面とされている点にある。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
本実施形態の噴出ノズル50は、第1実施形態と同様の成膜装置1に使用することができる。噴出ノズル50は、第1実施形態と同様に内部通路51を備えた円筒状に形成されており、この内部通路51の下端側の開口が供給口52を画成し、上端側の開口がスリット状の噴出口53を画成している。
【0061】
この噴出ノズル50の内部通路51において下流側には、第1実施形態と同様に絞り部58および先端通路59が設けられている。
【0062】
この絞り部58の入口58Aには、ブロック部55が配されることによって狭窄路54が設けられている。このブロック部55は、第2実施形態と同様の円柱状に形成され、円柱の軸方向が噴出口53のスリット長さ方向に沿うとともに、その径方向の中心位置が内部通路51の中心軸線Lと直交するように配されており、かつ、ブロック部55においてエアロゾルZの流れと対向する対向面が、円柱の外周面55A、すなわち、上流側へ張り出す円弧状の面となっている。ブロック部55の軸方向の両端部はそれぞれ内部通路51の内壁面51Aに固定されている。なお、狭窄路54において最も流路が狭められた位置での流路面積は、第1実施形態と同様の理由でこの狭窄路54よりも上流位置での流路面積の50%以下とされていることが好ましい。
【0063】
上記のような噴出ノズル50を備えた成膜装置1を用いて材料粒子Mの膜を形成する際には、第1実施形態と同様に、基板Bをステージ21にセットする。そして、エアロゾル室11においてエアロゾルZを発生させ、噴出ノズル50に導く。図6において、エアロゾルZの流れを矢印で示した。
【0064】
噴出ノズル50の内部通路51に進入したエアロゾルZは、ブロック部55を設けることにより形成された狭窄路54を通過する際に流速を増し、その下流側に設けられた絞り部58に進入する。そして、下流側に向かって縮径するテーパ状となっている絞り部58の内壁面58Bに衝突する。これにより、第1実施形態と同様に、凝集粒子が粉砕され、微粉化される。このように、本実施形態では、ブロック部55を絞り部58の入口58Aに設けることで絞り部58の内壁面58Bを衝突面として利用している。
【0065】
なお、第2実施形態と同様に、ブロック部55はその軸方向が噴出口53のスリット長さ方向に沿うとともに、その径方向の中心位置が内部通路51の中心軸線L上に位置するように配されているから、噴出口53の長さ方向の全長に渡ってエアロゾルZの流れの偏りが生じにくくなり、均一な膜形成が可能となる。また、ブロック部55においてエアロゾルZの流れと対向する対向面が、円柱の外周面55A、すなわち、上流側へ張り出す円弧状の面となっているから、第2実施形態と同様に、材料粒子Mの衝突エネルギーが大きくなりすぎてブロック部55に粒子が固着したり、エアロゾルZの滞留が起こり、材料粒子Mが吹き溜りとなって堆積してしまう等の不具合を防止できる。
【0066】
絞り部58、先端通路59を通過したエアロゾルZは噴出口53から噴出する。噴出したエアロゾルZに含まれる材料粒子Mは基板Bに衝突して堆積し、膜を形成する。
【0067】
以上のように本実施形態によれば、上記各実施形態と同様に、エアロゾル室11から噴出ノズル50に至るまでの間に再凝集してできた大きな凝集粒子を噴出ノズル50内で再度解砕することにより、薄く均一な膜の形成が可能となる。加えて、ブロック部55を絞り部58の入口58Aに設けることで絞り部58の内壁面58Bを衝突面として利用しているから、衝突部を別部材として設けなくても良い。これにより、噴出ノズル50の構造の複雑化を回避しつつ凝集粒子を粉砕し、均一な膜形成を図ることができる。
【0068】
<他の実施形態>
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。その他、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
(1)例えば図8に示す噴出ノズル60のように、内部通路61のブロック部63が設置される位置から上流側となる部分を流路断面の径が小さい小径部61Bとして構成し、この小径部61Bの内径(流路断面の径)をブロック部63の断面円の径とほぼ同じかそれよりも小さくすることで、内部通路61の内壁面61Aを衝突部として利用しても良い。すなわち、ブロック部63が設置される位置から上流側となる部分を小径部61Bとしたことで、この小径部61Bを流れるエアロゾルZの全てがブロック部63を迂回して内部通路61の外周側にやや傾く流れとなって内部通路61の内壁面61Aに衝突することとなる。このような構成によれば、噴出ノズル60の構造を複雑化させることなく、内部通路61を流れるエアロゾルZのほぼ全てを内壁面61Aに確実に衝突させることができ、凝集粒子の粉砕作用を高めることができる。
(2)障害部材の形状は、必ずしも上記実施例で述べたような円錐形、あるいは円柱形に限るものではなく、例えば四角錐、三角錐などの錐体状であっても良く、半球状、または四角柱、三角柱などの柱状であっても良い。
(3)材料粒子として、上記実施形態では圧電材料であるPZTを使用したが、材料粒子の種類はエアロゾルデポジション法による膜形成に使用可能なものであれば特に制限はなく、例えば絶縁材料であるアルミナを使用しても良い。
(4)第1実施形態では、連結軸35Dが2つ設けられていたが、連結軸は3つ以上設けられていてもよく、その場合はブロック部の外周方向に沿って均等ピッチで突出させることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1実施形態の成膜装置の概略図である。
【図2】第1実施形態の噴出ノズルの側断面図である。
【図3】図3(A)は図2のA−A線断面図、図3(B)は図2のB−B線断面図である。
【図4】第2実施形態の噴出ノズルの側断面図である。
【図5】図5(A)は図4のC−C線断面図、図5(B)は図4のD−D線断面図である。
【図6】第3実施形態の噴出ノズルの側断面図である。
【図7】図6のE−E線断面図である。
【図8】他の実施形態の噴出ノズルの側断面図である。
【図9】従来の噴出ノズルの側断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1…成膜装置
10…エアロゾル発生器(エアロゾル発生部)
30、40、50、60…噴出ノズル
31、41、51、61…内部通路
31A、41A、51A…内壁面
32、42、52…供給口
33、43、53…噴出口
34、44、54…狭窄路
35、45、55、63…ブロック部(障害部材)
35C…円錐面(対向面)
36…テーパ部
36A…テーパ面(衝突部)
37、47…拡張部
38、48、58…絞り部
45A…外周面(対向面)
46…衝突部
58B…内壁面(衝突部)
61A…内壁面(衝突部)
M…材料粒子
Z…エアロゾル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料粒子をキャリアガスに分散してエアロゾルを発生させるエアロゾル発生部と、
内部に前記エアロゾルを流す内部通路が設けられ、この内部通路の一端側が前記エアロゾル発生部からの前記エアロゾルの供給を受ける供給口を画成し、他端側が前記エアロゾルを被処理材に向けて噴出する噴出口を画成する噴出ノズルと、
前記内部通路に設けられてその上流側よりも流路面積が狭い狭窄路と、
前記狭窄路よりも下流側に設けられて前記狭窄路を通過した前記エアロゾルの流れが衝突する衝突部と、
を備える成膜装置。
【請求項2】
前記衝突部において前記エアロゾルの流れと対向する衝突面が、前記エアロゾルの流れの方向に対して傾く傾斜面である請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記衝突面の傾き角度が、前記エアロゾルの流れの方向に対して45°以上60°以下である請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記内部通路において前記狭窄路の流路面積がこの狭窄路よりも上流位置での流路面積の50%以下である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項5】
前記内部通路において前記衝突部よりも下流側には、前記噴出口に向かって流路が絞られた絞り部が設けられており、前記噴出口の開口面積が前記絞り部の入口の流路面積の3分の1以下である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項6】
前記狭窄路が、前記内部通路に前記エアロゾルの流れを妨げる障害部材を設けることにより形成されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項7】
前記障害部材において前記エアロゾルの流れと対向する対向面が、前記エアロゾルの流れの方向に対して傾く傾斜面である請求項6に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記対向面の傾き角度が、前記エアロゾルの流れの方向に対して30°以上60°以下である請求項7に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記障害部材において前記エアロゾルの流れと対向する対向面が、下流側へ張り出す弧状面である請求項6に記載の成膜装置。
【請求項10】
前記障害部材が、前記内部通路の中心軸線上に設けられている請求項6〜請求項9のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項11】
前記障害部材は柱状の形状である請求項6〜請求項10のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項12】
前記噴出口がスリット状に形成されており、前記障害部材が前記噴出口の長さ方向に沿って形成されたものである請求項6〜請求項11のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項13】
前記噴出口がスリット状に形成されており、前記噴出口の長さ方向に前記障害部材を支持する支持部材が延在する請求項6〜請求項11のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項14】
前記障害部材が前記絞り部の入口に設けられることで前記絞り部の内壁面が前記衝突面とされている請求項6〜請求項13のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項15】
前記内部通路において前記狭窄路よりも下流側に前記狭窄路よりも流路面積が広げられた拡張部が設けられている請求項1〜請求項12のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項16】
前記内部通路の前記障害部材を包囲する内壁面は、前記障害部材の設置位置よりも下流側から上流側に向かうほどに前記障害部材側から離れるテーパ部が設けられている請求項6〜請求項14のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項17】
前記内部通路の内壁面の面粗度がRZ0.3μm以下である請求項1〜請求項16のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項18】
材料粒子をキャリアガスに分散してエアロゾルを発生させるエアロゾル発生部を備えた成膜装置に用いられる噴出ノズルであって、
内部に前記エアロゾルを流す内部通路が設けられ、この内部通路の一端側が前記エアロゾル発生部からの前記エアロゾルの供給を受ける供給口を画成し、他端側が前期エアロゾルを前記被処理材に向けて噴射する噴射口を画成し、
前記内部通路に設けられてその上流側よりも流路面積が狭い狭窄路と、
前記狭窄路よりも下流側に設けられて前記狭窄路を通過した前記エアロゾルの流れが衝突する衝突部と、
を備える噴出ノズル。
【請求項19】
前記狭窄路が、前記内部通路に前記エアロゾルの流れを妨げる障害部材を設けることにより形成されている請求項18に記載の噴出ノズル。
【請求項20】
前記噴出口がスリット状に形成されており、前記障害部材が前記噴出口の長さ方向に沿って形成されている請求項19に記載の噴出ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−84924(P2007−84924A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227860(P2006−227860)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「ナノテクノロジープログラム(ナノ加工・計測技術) ナノレベル電子セラミックス材料低温成形・集積化技術」 産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】