説明

扇風機

【課題】送風の強弱や首振角度が自動的に設定される、使い勝手の良い扇風機を提供する。
【解決手段】扇風機1は、ファン6と、ファン6を回転させるファン用モータ5と、ファン用モータ5に首振運動を行わせる首振装置を構成する首振用モータ16と、温度センサ12と、湿度センサ13と、全体制御を司る制御部10を備える。制御部10は、温度センサ12の測定した温度が所定温度以上であるときはファン用モータ5を「強」モードで駆動し、温度センサ12の測定した温度が所定温度未満であるときはファン用モータ5を「弱」モードで駆動し、湿度センサ13の測定した湿度が所定湿度以上であるときは首振用モータ16を「首振角度大」とし、湿度センサ13の測定した湿度が所定湿度未満であるときは首振用モータ16を「首振角度小」とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の扇風機は、モータの回転数を変えることにより送風の強弱を変えられるようになっており、送風の向きを変える首振装置も備えている。首振の角度を変えられるようにした扇風機もある。その例を特許文献1に見ることができる。
【0003】
特許文献1に記載された扇風機では、扇風機頭部をスタンドに対して左右方向に首振する左右首振用モータを正逆転可能なモータにより構成し、左右首振用モータの正逆転時間を変えることにより首振角度を変えている。左右首振用モータの正逆転時間は、周囲の温度を検出する温度センサの出力に基づいて制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−350398号公報(国際特許分類:F04D25/10、F04D27/00)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の扇風機は、使用者が、温度計や湿度計の計測結果に基づいて、あるいは自分が体感する温度や湿度によって、送風の強弱や首振角度などを設定していた。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、送風の強弱や首振角度が自動的に設定される、使い勝手の良い扇風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によれば、扇風機は、ファンと、前記ファンを回転させるモータと、前記モータに首振運動を行わせる首振装置と、温度センサと、湿度センサと、全体制御を司る制御部を備え、前記制御部は、前記温度センサの測定した温度が所定温度以上であるときは前記モータを「強」モードで駆動し、前記温度センサの測定した温度が所定温度未満であるときは前記モータを「弱」モードで駆動し、前記湿度センサの測定した湿度が所定湿度以上であるときは前記首振装置を「首振角度大」とし、前記湿度センサの測定した湿度が所定湿度未満であるときは前記首振装置を「首振角度小」とする。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の扇風機において、前記制御部は、前記温度センサの測定した温度が前記所定温度よりも低く設定した第2の所定温度未満となり、且つ前記湿度センサの測定した湿度が所定湿度未満であるときは前記モータと前記首振装置を停止させる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の扇風機において、前記ファンを囲むガードに人体が接触したことを検知する接触センサと、前記ガードに人体が接触したことを前記接触センサが検知したときに鳴動するアラーム装置を備え、前記アラーム装置は音量減少操作または消音操作が可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、温度センサが測定した温度に基づきモータが「強」モードで駆動されるか「弱」モードで駆動されるかが定まり、湿度センサが測定した湿度に基づき首振装置が「首振角度大」とされるか「首振角度小」とされるかが定まるから、その時々の環境に応じて快適な送風に自動的に切り換えられる。従って、強風と弱風の選択や首振角度の選択に使用者自身が頭を悩ます必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る扇風機の概略構造を示す正面図である。
【図2】第1実施形態に係る扇風機のブロック構成図である。
【図3】第1実施形態に係る扇風機の動作チャートである。
【図4】第2実施形態に係る扇風機のブロック構成図である。
【図5】第2実施形態に係る扇風機の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明が実施される扇風機の構造を図1に示す。扇風機1は、ベース3と伸縮式の支柱4からなるスタンド2を有し、支柱4の上端にファン用モータ5(図1には現れず、図2にその存在を示す)が支持され、ファン用モータ5によって回転せしめられるファン6の周囲を金属線製のガード7で囲む、という伝統的なスタイルを備えている。
【0013】
扇風機1の制御システムは図2に示す構成となっている。扇風機1の制御を司る制御部10はマイクロコンピュータを中核として構成される。制御部10は、操作部11、温度センサ12、及び湿度センサ13から出力信号を受け取り、表示部14とモータ駆動回路15に対し制御信号を出力する。
【0014】
操作部11と表示部14はスタンド2のベース3の天面に配置され、温度センサ12と湿度センサ13はスタンド2の内部の通風の良い箇所に配置される。モータ駆動回路15は、ファン用モータ5と、首振装置を構成する首振用モータ16を駆動する。首振用モータ16は、特許文献1に記載された左右首振用モータと同様、正逆転可能なモータにより構成され、正逆転時間を変えることにより首振角度を変えられる仕組みのものである。
【0015】
制御部10は、温度センサ12の測定した温度が所定温度以上であるときは、ファン用モータ5を「強」モードで駆動して涼風効果を得るようにし、温度センサ12の測定した温度が所定温度未満であるときは、ファン用モータ5を「弱」モードで駆動する。その様子が図3に示されている。図3では「所定温度」が30℃とされているが、これは単なる例示であり、発明を限定するものではない。
【0016】
また制御部10は、湿度センサ13の測定した湿度が所定湿度以上であるときは、首振用モータ16の正逆転時間を長くし、「首振角度大」として部屋全体の空気を循環してカビの発生を防ぐようにし、湿度センサ13の測定した湿度が所定湿度未満であるときは、首振用モータ16の正逆転時間を短くして「首振角度小」とする。図3では「所定湿度」が60%とされているが、これは単なる例示であり、発明を限定するものではない。
【0017】
このように、温度も湿度も高い場合は送風を「強」、首振角度を「大」として部屋全体の空気を循環し、カビの発生を防ぐと共に涼風効果を得る。温度が高く湿度が低い場合は送風を「強」、首振角度を「小」としてスポット送風し、涼風効果を最大限得る。温度が高くなく、湿度が高い場合は送風を「弱」、首振角度を「大」として部屋全体の空気を循環し、カビの発生を防ぐ。温度が高くなく、湿度が低い場合は送風を「弱」、首振角度を「小」としてスポット送風し、涼風効果を得る。
【0018】
本実施形態では、温度に関し第2の所定温度が設定されている。第2の所定温度は前記所定温度よりも低い。図3では「第2の所定温度」が20℃とされているが、これは単なる例示であり、発明を限定するものではない。
【0019】
温度センサ12の測定した温度が第2の所定温度未満であり、湿度センサ13の測定した湿度が所定湿度未満であるときは、室内の空気が冷たく乾いており、風に当たって涼風効果を得る必要もなく、部屋全体の空気を循環してカビの発生を防ぐ必要もない。従ってこの場合はファン用モータ5も首振用モータ16も停止させる。
【0020】
尚図3では、温度を3段階に区分し、湿度を2段階に区分しているが、区分を更に細かくし、風の強さと首振角度を細かく調整してもよい。また風の強さや首振角度は、温度センサや湿度センサに関係なく、使用者の好みの風の強さ、首振角度に調整できるようにしてもよい。
【0021】
本発明の第2実施形態を図4及び図5に示す。第2実施形態が第1実施形態から変わった点は、接触センサ17、アラーム制御回路18、及びアラーム装置19が備えられている点である。接触センサ17は、ファン6を囲むガード7に人体が接触したことを検知する。アラーム制御回路18は、ガード7に人体が接触したことを接触センサ17が検知したとき、アラーム装置19を鳴動させる。
【0022】
ガードに人体が接触したことを検知すると運転を停止してアラームを鳴動させる扇風機は以前から存在するが、そのような扇風機では、運転を停止する度にアラーム音が鳴り、誤ってガードに接触した場合にもアラーム音が鳴り、うるさく感じられることがあった。そこで第2実施形態では、アラーム装置19は音量減少操作または消音操作が可能であることとして、うるささの解消を図っている。
【0023】
図5に示したのは操作部11に設けられるアラーム音量調節手段の一例である。アラーム音量調節手段はアラーム制御回路18に含まれるスライド式可変スイッチにより構成されるものであり(スライド式可変スイッチの本体は図示しない)、ベース3の天面には、スライド式可変スイッチのスライドつまみ20と、スライドつまみ20のロッド部を通す長穴21が設けられている。スライドつまみ20を図の上方にスライドさせればアラーム音量が大きくなり、スライドつまみ20を図の下方にスライドさせればアラーム音量が小さくなる。スライドつまみ20の長穴21の図における下端までスライドさせれば、アラームはOFF、すなわち消音状態となる。
【0024】
このように、スライドつまみ20の位置を変えることにより、誤ってガード7に接触した場合でもうるさく感じられないようにアラーム音量を調整する、あるいは消音することができる。最小限のアラーム音とすることで省エネ効果も生じる。
【0025】
なお、可変スイッチ(ボリューム)を用いてアラーム音量を連続的に変化させる構成は必須ではない。単なるON−OFFスイッチを用い、鳴動か消音かだけを選択できるようにしておいてもよい。
【0026】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、扇風機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 扇風機
2 スタンド
5 ファン用モータ
6 ファン
8 操作部
10 制御部
11 操作部
12 温度センサ
13 湿度センサ
16 首振用モータ
17 接触センサ
19 アラーム装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、前記ファンを回転させるモータと、前記モータに首振運動を行わせる首振装置と、温度センサと、湿度センサと、全体制御を司る制御部を備え、
前記制御部は、前記温度センサの測定した温度が所定温度以上であるときは前記モータを「強」モードで駆動し、前記温度センサの測定した温度が所定温度未満であるときは前記モータを「弱」モードで駆動し、前記湿度センサの測定した湿度が所定湿度以上であるときは前記首振装置を「首振角度大」とし、前記湿度センサの測定した湿度が所定湿度未満であるときは前記首振装置を「首振角度小」とすることを特徴とする扇風機。
【請求項2】
前記制御部は、前記温度センサの測定した温度が前記所定温度よりも低く設定した第2の所定温度未満となり、且つ前記湿度センサの測定した湿度が所定湿度未満であるときは前記モータと前記首振装置を停止させることを特徴とする請求項1に記載の扇風機。
【請求項3】
前記ファンを囲むガードに人体が接触したことを検知する接触センサと、前記ガードに人体が接触したことを前記接触センサが検知したときに鳴動するアラーム装置を備え、前記アラーム装置は音量減少操作または消音操作が可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の扇風機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−97625(P2012−97625A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244875(P2010−244875)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】