投写用ズームレンズおよび投写型表示装置
【課題】6群構成の投写用ズームレンズにおいて、広角でズーム比が大きく、実用上、充分な長さのバックフォーカスを確保しつつ、諸収差を良好に補正し得る投写用ズームレンズおよび投写型表示装置を提供する。
【解決手段】拡大側から、負の第1群G1、正の第2群G2、正の第3群G3、負の第4群G4、正の第5群G5、正の第6群G6からなり、縮小側がテレセントリック系とされ、変倍の際に、第1群G1、第6群G6は固定、第2〜5群G2〜G5は移動とされる。また、第4群G4は、拡大側に凹面を向けた負レンズ1枚からなり、かつ第5群G5は2枚以上の正レンズと2枚以上の負レンズを有し、下記条件式(1)を満足する。
-5.0≦f4/fw≦-1.2(1)
ただし、f4は第4群G4の焦点距離、fwは広角端での全系焦点距離
【解決手段】拡大側から、負の第1群G1、正の第2群G2、正の第3群G3、負の第4群G4、正の第5群G5、正の第6群G6からなり、縮小側がテレセントリック系とされ、変倍の際に、第1群G1、第6群G6は固定、第2〜5群G2〜G5は移動とされる。また、第4群G4は、拡大側に凹面を向けた負レンズ1枚からなり、かつ第5群G5は2枚以上の正レンズと2枚以上の負レンズを有し、下記条件式(1)を満足する。
-5.0≦f4/fw≦-1.2(1)
ただし、f4は第4群G4の焦点距離、fwは広角端での全系焦点距離
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写用ズームレンズおよびその投写用ズームレンズを搭載した投写型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、透過型や反射型の液晶表示装置、DMD表示装置等の各種ライトバルブを用いた比較的バックフォーカスの長い投写型表示装置が広く普及し、かつ高性能化してきている。
【0003】
その投写型表示装置に用いられる投写レンズとしては、スクリーン上での画像のサイズを変えることができるズームレンズが用いられることが多く、最近では、その変化の割合の大きなもの、すなわちズーム比が大きいズームレンズが求められるようになってきている。
【0004】
また、投写される画像の中心を投写型表示装置に対して、例えば上方にずらすレンズシフト機能や、投写型表示装置から近い位置に大きな画像を投写し得るワイド化機能が要求されるようになっているが、そのためにズームレンズの広角化が必要となる。
【0005】
また、ライトバルブを複数用いた光学系等では、各ライトバルブからの各色光束を合成する合成プリズムを挿入するスペースが必要となるため、長いバックフォーカスが要求されている。
【0006】
従来、この種の投写型ズームレンズとしては、下記特許文献1や特許文献2に記載されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−240731号公報
【特許文献2】特開2007−304268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載されたズームレンズにおいては、ズーム比、画角およびバックフォーカスのいずれにおいても、近年の要求を十分に満足したものとはなっていない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、広角でズーム比が大きく、合成プリズム等を挿入するための充分長いバックフォーカスを確保しつつ、諸収差を良好に補正し得る投写用ズームレンズおよび投写型表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の投写用ズームレンズは、
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、正の屈折力を有する第5レンズ群、および正の屈折力を有する第6レンズ群が配設されるとともに、縮小側がテレセントリックな構成とされ、変倍時には前記第1レンズ群および前記第6レンズ群は固定とされ、前記第2レンズ群から第5レンズ群までの各レンズ群は光軸に沿って移動するように構成され、
前記第4レンズ群は拡大側に凹面を向けた負レンズ1枚からなり、かつ前記第5レンズ群は少なくとも2枚以上の正レンズと少なくとも2枚以上の負レンズを有し、下記条件式(1)を満足することを特徴とするものである。
−5.0≦f4/fw≦−1.2 ・・・(1)
ただし、
f4:前記第4レンズ群における焦点距離
fw:広角端におけるレンズ全系の焦点距離
【0011】
また、本発明の第2の投写用ズームレンズは、前記第1の投写用ズームレンズにおいて、以下の条件式(2)を満足することを特徴とするものである。
2.0≦Bf/fw≦5.0 ・・・(2)
ただし、
Bf:全系縮小側における空気換算バックフォーカス
【0012】
また、本発明の第3の投写用ズームレンズは、前記第1または第2の投写用ズームレンズにおいて、以下の条件式を満足することを特徴とするものである。
1.5≦ft/fw ・・・(3)
ただし、
ft:望遠端における全系の焦点距離
【0013】
また、本発明の第4の投写用ズームレンズは、前記第1〜3のうちいずれか1の投写用ズームレンズにおいて、以下の条件式(4)を満足することを特徴とするものである。
55≦ν5 ・・・(4)
ただし、
ν5:第5レンズ群に含まれる正レンズのアッベ数の平均値
【0014】
また、本発明の第5の投写用ズームレンズは、前記第1〜4のうちいずれか1の投写用ズームレンズにおいて、前記第5レンズ群は、拡大側から、負、正、負、正の順に並んだ4つのレンズを含んでなることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の第6の投写用ズームレンズは、前記第5の投写用ズームレンズにおいて、前記第5レンズ群の前記4つのレンズは、2組の、負と正の接合レンズを構成していることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の第7の投写用ズームレンズは、前記第1〜6のうちいずれか1の投写用ズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、少なくとも1面の非球面を有してなることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の投写型表示装置は、光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、前記第1から第7の投写用ズームレンズのうちいずれか1の投写用ズームレンズであって、かつ縮小側がテレセントリックとされてなる投写用ズームレンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写用ズームレンズによりスクリーンに投写することを特徴とするものである。
【0018】
なお、上記「拡大側」とは、被投写側(スクリーン側)を意味し、縮小投影する場合も、便宜的にスクリーン側を拡大側と称するものとする。一方、上記「縮小側」とは、原画像表示領域側(ライトバルブ側)を意味し、縮小投影する場合も、便宜的にライトバルブ側を縮小側と称するものとする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の投写用ズームレンズおよびこれを用いた投写型表示装置によれば、ズーム比、画角およびバックフォーカスのいずれにおいても、近年の要求に十分応えたものとすることができる。
【0020】
すなわち、一般にズーム比が大きいと各レンズ群の移動量がどうしても大きくなってしまうため、広角端と望遠端における球面収差や像面湾曲の収差バランスが大幅に劣化してしまう。しかし、本願発明のズームレンズにおいては、移動群中の中間群である第4レンズ群に負の屈折力を持たせることで、移動量が大きい(変倍作用が大きな)レンズ群同士の間に、大きな補正作用を持たせたレンズ群を配置することができ、広角端と望遠端における球面収差や像面湾曲の収差バランスの劣化をより小さくすることができる。
【0021】
さらに、条件式(1)を満足するように設定することで、その作用効果をより良好に満足させることができ、大きなズーム比を確保しつつも、広角端と望遠端における球面収差や像面湾曲の収差バランスの劣化をさらに低減することができる。また第4レンズ群を単レンズによって構成することで、コストの低減も図ることができる。
【0022】
また全体として正の屈折力を有する第5レンズ群を、少なくとも2枚以上の正レンズと少なくとも2枚以上の負レンズを含むように構成することで、負レンズと正レンズの組合せによる色消し効果を増幅することができるとともに、広角化を図ることにより生じ得る像面湾曲(サジタル方向の像面湾曲)を効果的に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図2】実施例2に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図3】実施例3に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図4】実施例4に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図5】実施例5に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図6】実施例6に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図7】実施例7に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図8】実施例8に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図9】実施例1に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図10】実施例2に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図11】実施例3に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図12】実施例4に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図13】実施例5に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図14】実施例6に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図15】実施例7に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図16】実施例8に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図17】本実施形態に係る投写型表示装置の一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施例1に係るズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ構成を示すものである。以下、このレンズを代表例として実施形態を説明する。
【0025】
すなわちこのレンズは、投写型表示装置に搭載される投写用ズームレンズとして用いられるものであって、一例として、拡大側より順に、変倍時に固定でフォーカシングを行う負の屈折力を有する第1レンズ群G1、変倍時に光軸Zに沿って移動する正の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、および正の屈折力を有する第5レンズ群G5、ならびに変倍時に固定で正の屈折力を有する第6レンズ群G6、を備えたものである。
【0026】
また、前記第2レンズ群G2、前記第3レンズ群G3、前記第4レンズ群G4および前記第5レンズ群G5は各々、広角端から望遠端への変倍時において、縮小側から拡大側に移動する(一旦縮小側に移動した後、拡大側に移動するものを含む(各実施例では第4レンズ群G4が一旦縮小側に移動した後、拡大側に移動するように設定されている))ことが好ましい。
また、縮小側が略テレセントリック(テレセントリック系)となるように構成されている。
【0027】
また、前記第4レンズ群G4は、拡大側に凹面を向けた負の単レンズ1枚からなり、かつ前記第5レンズ群G5は、少なくとも2枚以上の正レンズと少なくとも2枚以上の負レンズを有することにより構成される。
【0028】
また、例えば、第1レンズ群G1は4枚(実施例8は3枚)のレンズL1〜L4により構成され、第2レンズ群G2は2枚(実施例3は1枚)のレンズL5、L6により構成され、第3レンズ群G3は2枚のレンズL7、L8により構成され、第4レンズ群G4は1枚のレンズL9により構成され、第5レンズ群G5は5枚(実施例2,3,5は6枚)のレンズL10〜L14により構成され、第6レンズ群G6は2枚(実施例5〜8は1枚)のレンズL15、L16により構成される。
【0029】
また、フォーカシングは、例えば、第1レンズ群G1の全体を光軸Z方向に移動させることにより行なわれる。
【0030】
なお、前記第6レンズ群G6は変倍の際に固定のリレーレンズであり、この第6レンズ群G6とライトバルブとしての画像表示面1との間には、色合成プリズム2(ローパスフィルタ等の各種フィルタを含む(以下同じ)。)が配設されている。
【0031】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
−5.0≦f4/fw≦−1.2 ・・・(1)
ただし、
f4:第4レンズ群G4の焦点距離
fw:広角端におけるレンズ全系の焦点距離
【0032】
この条件式(1)は、第4レンズ群G2のパワーを規定するものであり、広角端と望遠端における球面収差と像面湾曲のバランスの劣化(収差の変動)を抑制するための条件式である。
【0033】
この上限を上回ると、第4レンズ群G4の負の屈折力が強くなりすぎて、第4レンズ群G4によって軸上光線が跳ね上げられすぎ、上記バランスを抑制することが困難となるばかりか、球面収差の補正自体が困難となる。一方、その下限を下回ると、第4レンズ群G4の負の屈折力が弱くなりすぎて、上記バランスに大きな作用効果を持たせることが困難となるばかりか、色合成プリズム等を挿入するために必要な、バックフォーカスを確保するのも困難となる。
【0034】
このような観点から、上記条件式(1)に替えて以下の条件式(1´)を満足するように構成することがより好ましい。
−4.0≦f4/fw≦−1.5 ・・・(1´)
【0035】
また、上記条件式(1´)に替えて以下の条件式(1´´)を満足するように構成することが、さらに好ましい。
−3.0≦f4/fw≦−1.7 ・・・(1´´)
【0036】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
2.0≦Bf/fw≦5.0 ・・・(2)
ただし、
Bf:全系縮小側における空気換算バックフォーカス
fw:広角端におけるレンズ全系の焦点距離
【0037】
この条件式(2)はバックフォーカスを規定するものである。
すなわち、この条件式(2)の範囲の上限を上回ると、レンズ系の大型化を招来するので好ましくない。一方、上記範囲の下限を下回ると、このズームレンズとライトバルブとの間に色合成プリズム等の色合成部を挿入することが困難となる。
【0038】
このような観点から、上記条件式(2)に替えて以下の条件式(2´)を満足するように構成することがより好ましい。
2.5≦Bf/fw≦4.0 ・・・(2´)
【0039】
また、上記条件式(2´)に替えて以下の条件式(2´´)を満足するように構成することが、さらに好ましい。
2.7≦Bf/fw≦3.7 ・・・(2´´)
【0040】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
1.5≦ft/fw ・・・(3)
ただし、
ft:望遠端におけるレンズ全系の焦点距離
fw:広角端におけるレンズ全系の焦点距離
【0041】
この条件式(3)は、広角端での焦点距離と望遠端での焦点距離の比であるズーム比を規定するものであり、この下限を下回ると、装置の設置性を高めることが困難となる。
【0042】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。この条件式(4)は、第5レンズ群G5に含まれる正レンズのアッベ数の平均値を規定するものであり、この下限を下回ると倍率色収差が過大となり種々の収差補正が困難となる。
55≦ν5 ・・・(4)
ただし、
ν5:第5レンズ群G5に含まれる正レンズのアッベ数の平均値
【0043】
このような観点から、上記条件式(4)に替えて以下の条件式(4´)を満足するように構成することがより好ましい。
65≦ν5 ・・・(4´)
【0044】
また、上記条件式(4´)に替えて以下の条件式(4´´)を満足するように構成することが、さらに好ましい。
70≦ν5 ・・・(4´´)
【0045】
また、前記第5レンズ群G5は、拡大側から、負、正、負、正の順に並んだ4つのレンズを含んでなることが好ましい。このように、全体として正の屈折力を有する第5レンズ群を、少なくとも2枚以上の正レンズと少なくとも2枚以上の負レンズを含むように構成することで、負レンズと正レンズの組合せによる色消し効果を増幅することができるとともに、広角化を図ることにより生じ得る像面湾曲(サジタル方向の像面湾曲)を効果的に補正することができる、という作用効果を奏することができる。
【0046】
また、これら負、正、負、正の順に並んだ4つのレンズは、2組の、負と正の接合レンズを構成していることが好ましい。このように2組の負正接合レンズを配列することにより、上記色消し効果および像面湾曲の補正効果をより増幅することができる。
【0047】
また、前記第1レンズ群G1には、少なくとも1面の非球面を設けることが好ましい。これにより、光束径が大きくなる、最も拡大側のレンズ群中に非球面を配置することとなり、諸収差を効率よく低減することができる。
【0048】
次に、本発明に係る投写型表示装置の実施形態について簡単に説明しておく。図17は本実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
【0049】
図17に示す投写型表示装置は、ライトバルブとして透過型液晶パネル11a〜11cを備え、投写用レンズ10として上述した実施形態に係る投写用ズームレンズを用いている。また、光源20とダイクロイックミラー12の間には、フライアイ等のインテグレータ(図示を省略)が配されており、光源20からの白色光は照明光学部を介して、3つの色光光束(G光、B光、R光)にそれぞれ対応する液晶パネル11a〜11cに入射されて光変調され、クロスダイクロイックプリズム14により色合成され、投写レンズ10により図示されないスクリーン上に投映される。この装置は、色分解のためのダイクロイックミラー12,13、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム14、コンデンサレンズ16a〜16c、全反射ミラー18a〜18cを備えている。この投写型表示装置は、本実施形態に係る投写用ズームレンズを用いているので、広角、かつ投写画像の画質が良好であり、明るくコンパクトな投写型表示装置とすることができる。
【0050】
なお、図17に示す投写型表示装置は、本発明の一実施形態を示すものであって、種々の態様の変更が可能である。例えば、ライトバルブとして、透過型液晶パネルに替えて反射型の液晶パネルやDMDを用いることも勿論可能である。
【実施例】
【0051】
以下、具体的な実施例を用いて、本発明の投写用ズームレンズをさらに説明する。なお、以下に示すR、D等の各数値データは、広角端の焦点距離が1となるように規格化されている。
【0052】
<実施例1>
図1は、実施例1の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0053】
このレンズにおいて、第1レンズ群G1は、拡大側から順に、パワーの弱い両面非球面レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2および第3レンズL3と、両凹レンズよりなる第4レンズL4からなり、第2レンズL2と第3レンズL3とは互いに接合されて接合レンズを構成している。
【0054】
第2レンズ群G2は、拡大側から順に、両凸レンズよりなる第5レンズL5と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第6レンズL6からなる。
【0055】
また、第3レンズ群G3は、拡大側から順に、両凸レンズよりなる第7レンズL7と、縮小側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第8レンズL8からなり、第7レンズL7と第8レンズL8とは互いに接合されて接合レンズを構成している。
【0056】
また、第4レンズ群G4は、両凹レンズよりなる第9レンズL9のみからなり、第5レンズ群G5は、拡大側から順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11と、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、両凸レンズよりなる第13レンズL13と、両凸レンズよりなる第14レンズL14からなり、第10レンズL10と第11レンズL11、および第12レンズL12と第13レンズL13は、各々互いに接合されて接合レンズを構成している。
【0057】
また、第6レンズ群G6は、拡大側から順に、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状の両面非球面レンズよりなる第15レンズL15と、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第16レンズL16からなる。
【0058】
上記第1レンズL1および上記第15レンズL15の両面の非球面形状は、下記に示す非球面式により規定される。
【0059】
【数1】
【0060】
図1に示すように、変倍時において、上記第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0061】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔(以下、これらを総称して軸上面間隔という)D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表1に示す。なお、表中の数字は、拡大側からの順番を表すものである(以下の表3、5、7、9、11、13、15において同じ)。
【0062】
なお、表1の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す(無限遠にフォーカスした時:以下の表3、5、7、9、11、13、15において同じ)。また、各非球面を表す非球面係数を表2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
実施例1の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0066】
また、図9は、実施例1の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。なお、非点収差図には、サジタル像面およびタンジェンシャル像面に対する収差が示されている(図10〜16において同じ)。
【0067】
これらの収差図から明らかなように、実施例1の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0068】
<実施例2>
図2は、実施例2の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0069】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例1のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1を構成する第2レンズL2が平凹レンズとされている点、第2レンズ群G2を構成する第6レンズL6が両凸レンズとされている点、第5レンズ群G5が、拡大側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状の両面非球面レンズよりなる第10レンズL10と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第11レンズL11と、両凸レンズよりなる第12レンズL12と、両凹レンズよりなる第13レンズL13と、両凸レンズよりなる第14レンズL14と、両凸レンズよりなる第15レンズL15からなり、第11レンズL11と第12レンズL12、および第13レンズL13と第14レンズL14が、各々互いに接合されて接合レンズを構成している点、において上記実施例1のものと各々相違する。
【0070】
図2に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0071】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表3に示す。
なお、表3の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を表4に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
実施例2の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0075】
また、図10は、実施例2の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例2の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0076】
<実施例3>
図3は、実施例3の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0077】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例1のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1を構成する第2レンズL2が、両凹レンズよりなる点において、また第2レンズ群G2が、両凸レンズよりなる第5レンズL5のみからなる点において、また、第5レンズ群G5が、拡大側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状の両面非球面レンズよりなる第9レンズL9と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11と、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、両凸レンズよりなる第13レンズL13と、両凸レンズよりなる第14レンズL14からなり、第10レンズL10と第11レンズL11、および第12レンズL12と第13レンズL13が、各々互いに接合されて接合レンズを構成している点、において上記実施例1のものと各々相違する。
【0078】
図3に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0079】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表5に示す。
なお、表5の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を表6に示す。
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
実施例3の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0083】
また、図11は、実施例3の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例3の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0084】
<実施例4>
図4は、実施例4の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0085】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例1のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1を構成する第2レンズL2が平凹レンズとされている点、第6レンズ群G6を構成する第15レンズL15が縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる一方、第16レンズL16が両面非球面レンズよりなる点、において上記実施例1のものと各々相違する。
【0086】
図4に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0087】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表7に示す。
なお、表7の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を、表8に示す。
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
【0090】
実施例4の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0091】
また、図12は、実施例4の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例4の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0092】
<実施例5>
図5は、実施例5の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0093】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例2のものと略同様の6群構成とされているが、第5レンズ群G5を構成する第11レンズL11が、両凹レンズからなる点、および第6レンズ群G6が拡大側に凸面を向けた平凸レンズよりなる第16レンズL16のみからなる点、において上記実施例2のものと各々相違する。
【0094】
図5に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0095】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表9に示す。
なお、表9の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を、表10に示す。
【0096】
【表9】
【0097】
【表10】
【0098】
実施例5の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0099】
また、図13は、実施例5の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例5の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0100】
<実施例6>
図6は、実施例6の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0101】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例1のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1を構成する第2レンズL2が、両凹レンズよりなる点において、また第2レンズ群G2を構成する第6レンズL6が両凸レンズよりなる点において、第5レンズ群G5を構成する第13レンズL13が、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる点において、および第6レンズ群G6が、両凸レンズよりなる第15レンズL15のみからなる点において、上記実施例1のものと各々相違する。
【0102】
図6に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0103】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表11に示す。
なお、表11の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を、表12に示す。
【0104】
【表11】
【0105】
【表12】
【0106】
実施例6の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0107】
また、図14は、実施例6の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例6の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0108】
<実施例7>
図7は、実施例7の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0109】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例6のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1が、拡大側から順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第1レンズL1と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、両面非球面レンズよりなる第3レンズL3と、両凹レンズよりなる第4レンズL4からなり、かつ第1レンズL1と第2レンズL2が互いに接合されて接合レンズを構成している点において、また、第5レンズ群G5を構成する第12レンズL12が両凹レンズよりなる一方、第13レンズL13が両凸レンズよりなる点において、上記実施例6のものと各々相違する。
【0110】
図7に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0111】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表13に示す。
なお、表13の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を、表14に示す。
【0112】
【表13】
【0113】
【表14】
【0114】
実施例7の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0115】
また、図15は、実施例7の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例7の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0116】
<実施例8>
図8は、実施例8の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0117】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例6のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1が、拡大側から順に、両面非球面レンズよりなる第1レンズL1と、両凹レンズよりなる第2レンズL2と、両凹レンズよりなる第3レンズL3からなる点において、上記実施例6のものと相違する。
【0118】
図8に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0119】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表15に示す。
なお、表15の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を、表16に示す。
【0120】
【表15】
【0121】
【表16】
【0122】
実施例8の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0123】
また、図16は、実施例8の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例8の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0124】
【表17】
【0125】
なお、本発明の投写用ズームレンズとしては、上記実施例のものに限られるものではなく種々の態様の変更が可能であり、例えば各レンズの曲率半径Rおよび軸上面間隔Dを適宜変更することが可能である。
【0126】
また、本発明の投写型表示装置としても、上記構成のものに限られるものではなく、本発明の投写用ズームレンズを備えた種々の装置構成が可能である。ライトバルブとしては、例えば、透過型または反射型の液晶表示素子や、傾きを変えることができる微小な鏡が略平面上に多数形成された微小ミラー素子(例えば、テキサス・インスツルメント社製のデジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることができる。また、照明光学系としても、ライトバルブの種類に対応した適切な構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0127】
1 画像表示面
2 色合成プリズム
10 投写用ズームレンズ
11a〜11c 透過型液晶パネル
12,13 ダイクロイックミラー
18a〜18c 全反射ミラー
20 光源
G1〜G6 レンズ群
L1〜L17 レンズ
R1〜R32 レンズ面等の曲率半径
D1〜D31 軸上面間隔
Z 光軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写用ズームレンズおよびその投写用ズームレンズを搭載した投写型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、透過型や反射型の液晶表示装置、DMD表示装置等の各種ライトバルブを用いた比較的バックフォーカスの長い投写型表示装置が広く普及し、かつ高性能化してきている。
【0003】
その投写型表示装置に用いられる投写レンズとしては、スクリーン上での画像のサイズを変えることができるズームレンズが用いられることが多く、最近では、その変化の割合の大きなもの、すなわちズーム比が大きいズームレンズが求められるようになってきている。
【0004】
また、投写される画像の中心を投写型表示装置に対して、例えば上方にずらすレンズシフト機能や、投写型表示装置から近い位置に大きな画像を投写し得るワイド化機能が要求されるようになっているが、そのためにズームレンズの広角化が必要となる。
【0005】
また、ライトバルブを複数用いた光学系等では、各ライトバルブからの各色光束を合成する合成プリズムを挿入するスペースが必要となるため、長いバックフォーカスが要求されている。
【0006】
従来、この種の投写型ズームレンズとしては、下記特許文献1や特許文献2に記載されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−240731号公報
【特許文献2】特開2007−304268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載されたズームレンズにおいては、ズーム比、画角およびバックフォーカスのいずれにおいても、近年の要求を十分に満足したものとはなっていない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、広角でズーム比が大きく、合成プリズム等を挿入するための充分長いバックフォーカスを確保しつつ、諸収差を良好に補正し得る投写用ズームレンズおよび投写型表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の投写用ズームレンズは、
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、正の屈折力を有する第5レンズ群、および正の屈折力を有する第6レンズ群が配設されるとともに、縮小側がテレセントリックな構成とされ、変倍時には前記第1レンズ群および前記第6レンズ群は固定とされ、前記第2レンズ群から第5レンズ群までの各レンズ群は光軸に沿って移動するように構成され、
前記第4レンズ群は拡大側に凹面を向けた負レンズ1枚からなり、かつ前記第5レンズ群は少なくとも2枚以上の正レンズと少なくとも2枚以上の負レンズを有し、下記条件式(1)を満足することを特徴とするものである。
−5.0≦f4/fw≦−1.2 ・・・(1)
ただし、
f4:前記第4レンズ群における焦点距離
fw:広角端におけるレンズ全系の焦点距離
【0011】
また、本発明の第2の投写用ズームレンズは、前記第1の投写用ズームレンズにおいて、以下の条件式(2)を満足することを特徴とするものである。
2.0≦Bf/fw≦5.0 ・・・(2)
ただし、
Bf:全系縮小側における空気換算バックフォーカス
【0012】
また、本発明の第3の投写用ズームレンズは、前記第1または第2の投写用ズームレンズにおいて、以下の条件式を満足することを特徴とするものである。
1.5≦ft/fw ・・・(3)
ただし、
ft:望遠端における全系の焦点距離
【0013】
また、本発明の第4の投写用ズームレンズは、前記第1〜3のうちいずれか1の投写用ズームレンズにおいて、以下の条件式(4)を満足することを特徴とするものである。
55≦ν5 ・・・(4)
ただし、
ν5:第5レンズ群に含まれる正レンズのアッベ数の平均値
【0014】
また、本発明の第5の投写用ズームレンズは、前記第1〜4のうちいずれか1の投写用ズームレンズにおいて、前記第5レンズ群は、拡大側から、負、正、負、正の順に並んだ4つのレンズを含んでなることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の第6の投写用ズームレンズは、前記第5の投写用ズームレンズにおいて、前記第5レンズ群の前記4つのレンズは、2組の、負と正の接合レンズを構成していることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の第7の投写用ズームレンズは、前記第1〜6のうちいずれか1の投写用ズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、少なくとも1面の非球面を有してなることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の投写型表示装置は、光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、前記第1から第7の投写用ズームレンズのうちいずれか1の投写用ズームレンズであって、かつ縮小側がテレセントリックとされてなる投写用ズームレンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写用ズームレンズによりスクリーンに投写することを特徴とするものである。
【0018】
なお、上記「拡大側」とは、被投写側(スクリーン側)を意味し、縮小投影する場合も、便宜的にスクリーン側を拡大側と称するものとする。一方、上記「縮小側」とは、原画像表示領域側(ライトバルブ側)を意味し、縮小投影する場合も、便宜的にライトバルブ側を縮小側と称するものとする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の投写用ズームレンズおよびこれを用いた投写型表示装置によれば、ズーム比、画角およびバックフォーカスのいずれにおいても、近年の要求に十分応えたものとすることができる。
【0020】
すなわち、一般にズーム比が大きいと各レンズ群の移動量がどうしても大きくなってしまうため、広角端と望遠端における球面収差や像面湾曲の収差バランスが大幅に劣化してしまう。しかし、本願発明のズームレンズにおいては、移動群中の中間群である第4レンズ群に負の屈折力を持たせることで、移動量が大きい(変倍作用が大きな)レンズ群同士の間に、大きな補正作用を持たせたレンズ群を配置することができ、広角端と望遠端における球面収差や像面湾曲の収差バランスの劣化をより小さくすることができる。
【0021】
さらに、条件式(1)を満足するように設定することで、その作用効果をより良好に満足させることができ、大きなズーム比を確保しつつも、広角端と望遠端における球面収差や像面湾曲の収差バランスの劣化をさらに低減することができる。また第4レンズ群を単レンズによって構成することで、コストの低減も図ることができる。
【0022】
また全体として正の屈折力を有する第5レンズ群を、少なくとも2枚以上の正レンズと少なくとも2枚以上の負レンズを含むように構成することで、負レンズと正レンズの組合せによる色消し効果を増幅することができるとともに、広角化を図ることにより生じ得る像面湾曲(サジタル方向の像面湾曲)を効果的に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図2】実施例2に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図3】実施例3に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図4】実施例4に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図5】実施例5に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図6】実施例6に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図7】実施例7に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図8】実施例8に係る投写用ズームレンズのレンズ構成、ならびに広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置を示す図である。
【図9】実施例1に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図10】実施例2に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図11】実施例3に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図12】実施例4に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図13】実施例5に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図14】実施例6に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図15】実施例7に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図16】実施例8に係る投写用ズームレンズの、広角端(ワイド)、中間位置(ミドル)および望遠端(テレ)における各収差図である。
【図17】本実施形態に係る投写型表示装置の一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施例1に係るズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ構成を示すものである。以下、このレンズを代表例として実施形態を説明する。
【0025】
すなわちこのレンズは、投写型表示装置に搭載される投写用ズームレンズとして用いられるものであって、一例として、拡大側より順に、変倍時に固定でフォーカシングを行う負の屈折力を有する第1レンズ群G1、変倍時に光軸Zに沿って移動する正の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、および正の屈折力を有する第5レンズ群G5、ならびに変倍時に固定で正の屈折力を有する第6レンズ群G6、を備えたものである。
【0026】
また、前記第2レンズ群G2、前記第3レンズ群G3、前記第4レンズ群G4および前記第5レンズ群G5は各々、広角端から望遠端への変倍時において、縮小側から拡大側に移動する(一旦縮小側に移動した後、拡大側に移動するものを含む(各実施例では第4レンズ群G4が一旦縮小側に移動した後、拡大側に移動するように設定されている))ことが好ましい。
また、縮小側が略テレセントリック(テレセントリック系)となるように構成されている。
【0027】
また、前記第4レンズ群G4は、拡大側に凹面を向けた負の単レンズ1枚からなり、かつ前記第5レンズ群G5は、少なくとも2枚以上の正レンズと少なくとも2枚以上の負レンズを有することにより構成される。
【0028】
また、例えば、第1レンズ群G1は4枚(実施例8は3枚)のレンズL1〜L4により構成され、第2レンズ群G2は2枚(実施例3は1枚)のレンズL5、L6により構成され、第3レンズ群G3は2枚のレンズL7、L8により構成され、第4レンズ群G4は1枚のレンズL9により構成され、第5レンズ群G5は5枚(実施例2,3,5は6枚)のレンズL10〜L14により構成され、第6レンズ群G6は2枚(実施例5〜8は1枚)のレンズL15、L16により構成される。
【0029】
また、フォーカシングは、例えば、第1レンズ群G1の全体を光軸Z方向に移動させることにより行なわれる。
【0030】
なお、前記第6レンズ群G6は変倍の際に固定のリレーレンズであり、この第6レンズ群G6とライトバルブとしての画像表示面1との間には、色合成プリズム2(ローパスフィルタ等の各種フィルタを含む(以下同じ)。)が配設されている。
【0031】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
−5.0≦f4/fw≦−1.2 ・・・(1)
ただし、
f4:第4レンズ群G4の焦点距離
fw:広角端におけるレンズ全系の焦点距離
【0032】
この条件式(1)は、第4レンズ群G2のパワーを規定するものであり、広角端と望遠端における球面収差と像面湾曲のバランスの劣化(収差の変動)を抑制するための条件式である。
【0033】
この上限を上回ると、第4レンズ群G4の負の屈折力が強くなりすぎて、第4レンズ群G4によって軸上光線が跳ね上げられすぎ、上記バランスを抑制することが困難となるばかりか、球面収差の補正自体が困難となる。一方、その下限を下回ると、第4レンズ群G4の負の屈折力が弱くなりすぎて、上記バランスに大きな作用効果を持たせることが困難となるばかりか、色合成プリズム等を挿入するために必要な、バックフォーカスを確保するのも困難となる。
【0034】
このような観点から、上記条件式(1)に替えて以下の条件式(1´)を満足するように構成することがより好ましい。
−4.0≦f4/fw≦−1.5 ・・・(1´)
【0035】
また、上記条件式(1´)に替えて以下の条件式(1´´)を満足するように構成することが、さらに好ましい。
−3.0≦f4/fw≦−1.7 ・・・(1´´)
【0036】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
2.0≦Bf/fw≦5.0 ・・・(2)
ただし、
Bf:全系縮小側における空気換算バックフォーカス
fw:広角端におけるレンズ全系の焦点距離
【0037】
この条件式(2)はバックフォーカスを規定するものである。
すなわち、この条件式(2)の範囲の上限を上回ると、レンズ系の大型化を招来するので好ましくない。一方、上記範囲の下限を下回ると、このズームレンズとライトバルブとの間に色合成プリズム等の色合成部を挿入することが困難となる。
【0038】
このような観点から、上記条件式(2)に替えて以下の条件式(2´)を満足するように構成することがより好ましい。
2.5≦Bf/fw≦4.0 ・・・(2´)
【0039】
また、上記条件式(2´)に替えて以下の条件式(2´´)を満足するように構成することが、さらに好ましい。
2.7≦Bf/fw≦3.7 ・・・(2´´)
【0040】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
1.5≦ft/fw ・・・(3)
ただし、
ft:望遠端におけるレンズ全系の焦点距離
fw:広角端におけるレンズ全系の焦点距離
【0041】
この条件式(3)は、広角端での焦点距離と望遠端での焦点距離の比であるズーム比を規定するものであり、この下限を下回ると、装置の設置性を高めることが困難となる。
【0042】
また、本実施形態の投写用ズームレンズは、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。この条件式(4)は、第5レンズ群G5に含まれる正レンズのアッベ数の平均値を規定するものであり、この下限を下回ると倍率色収差が過大となり種々の収差補正が困難となる。
55≦ν5 ・・・(4)
ただし、
ν5:第5レンズ群G5に含まれる正レンズのアッベ数の平均値
【0043】
このような観点から、上記条件式(4)に替えて以下の条件式(4´)を満足するように構成することがより好ましい。
65≦ν5 ・・・(4´)
【0044】
また、上記条件式(4´)に替えて以下の条件式(4´´)を満足するように構成することが、さらに好ましい。
70≦ν5 ・・・(4´´)
【0045】
また、前記第5レンズ群G5は、拡大側から、負、正、負、正の順に並んだ4つのレンズを含んでなることが好ましい。このように、全体として正の屈折力を有する第5レンズ群を、少なくとも2枚以上の正レンズと少なくとも2枚以上の負レンズを含むように構成することで、負レンズと正レンズの組合せによる色消し効果を増幅することができるとともに、広角化を図ることにより生じ得る像面湾曲(サジタル方向の像面湾曲)を効果的に補正することができる、という作用効果を奏することができる。
【0046】
また、これら負、正、負、正の順に並んだ4つのレンズは、2組の、負と正の接合レンズを構成していることが好ましい。このように2組の負正接合レンズを配列することにより、上記色消し効果および像面湾曲の補正効果をより増幅することができる。
【0047】
また、前記第1レンズ群G1には、少なくとも1面の非球面を設けることが好ましい。これにより、光束径が大きくなる、最も拡大側のレンズ群中に非球面を配置することとなり、諸収差を効率よく低減することができる。
【0048】
次に、本発明に係る投写型表示装置の実施形態について簡単に説明しておく。図17は本実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
【0049】
図17に示す投写型表示装置は、ライトバルブとして透過型液晶パネル11a〜11cを備え、投写用レンズ10として上述した実施形態に係る投写用ズームレンズを用いている。また、光源20とダイクロイックミラー12の間には、フライアイ等のインテグレータ(図示を省略)が配されており、光源20からの白色光は照明光学部を介して、3つの色光光束(G光、B光、R光)にそれぞれ対応する液晶パネル11a〜11cに入射されて光変調され、クロスダイクロイックプリズム14により色合成され、投写レンズ10により図示されないスクリーン上に投映される。この装置は、色分解のためのダイクロイックミラー12,13、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム14、コンデンサレンズ16a〜16c、全反射ミラー18a〜18cを備えている。この投写型表示装置は、本実施形態に係る投写用ズームレンズを用いているので、広角、かつ投写画像の画質が良好であり、明るくコンパクトな投写型表示装置とすることができる。
【0050】
なお、図17に示す投写型表示装置は、本発明の一実施形態を示すものであって、種々の態様の変更が可能である。例えば、ライトバルブとして、透過型液晶パネルに替えて反射型の液晶パネルやDMDを用いることも勿論可能である。
【実施例】
【0051】
以下、具体的な実施例を用いて、本発明の投写用ズームレンズをさらに説明する。なお、以下に示すR、D等の各数値データは、広角端の焦点距離が1となるように規格化されている。
【0052】
<実施例1>
図1は、実施例1の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0053】
このレンズにおいて、第1レンズ群G1は、拡大側から順に、パワーの弱い両面非球面レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2および第3レンズL3と、両凹レンズよりなる第4レンズL4からなり、第2レンズL2と第3レンズL3とは互いに接合されて接合レンズを構成している。
【0054】
第2レンズ群G2は、拡大側から順に、両凸レンズよりなる第5レンズL5と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第6レンズL6からなる。
【0055】
また、第3レンズ群G3は、拡大側から順に、両凸レンズよりなる第7レンズL7と、縮小側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第8レンズL8からなり、第7レンズL7と第8レンズL8とは互いに接合されて接合レンズを構成している。
【0056】
また、第4レンズ群G4は、両凹レンズよりなる第9レンズL9のみからなり、第5レンズ群G5は、拡大側から順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11と、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、両凸レンズよりなる第13レンズL13と、両凸レンズよりなる第14レンズL14からなり、第10レンズL10と第11レンズL11、および第12レンズL12と第13レンズL13は、各々互いに接合されて接合レンズを構成している。
【0057】
また、第6レンズ群G6は、拡大側から順に、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状の両面非球面レンズよりなる第15レンズL15と、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第16レンズL16からなる。
【0058】
上記第1レンズL1および上記第15レンズL15の両面の非球面形状は、下記に示す非球面式により規定される。
【0059】
【数1】
【0060】
図1に示すように、変倍時において、上記第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0061】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔(以下、これらを総称して軸上面間隔という)D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表1に示す。なお、表中の数字は、拡大側からの順番を表すものである(以下の表3、5、7、9、11、13、15において同じ)。
【0062】
なお、表1の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す(無限遠にフォーカスした時:以下の表3、5、7、9、11、13、15において同じ)。また、各非球面を表す非球面係数を表2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
実施例1の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0066】
また、図9は、実施例1の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。なお、非点収差図には、サジタル像面およびタンジェンシャル像面に対する収差が示されている(図10〜16において同じ)。
【0067】
これらの収差図から明らかなように、実施例1の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0068】
<実施例2>
図2は、実施例2の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0069】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例1のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1を構成する第2レンズL2が平凹レンズとされている点、第2レンズ群G2を構成する第6レンズL6が両凸レンズとされている点、第5レンズ群G5が、拡大側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状の両面非球面レンズよりなる第10レンズL10と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第11レンズL11と、両凸レンズよりなる第12レンズL12と、両凹レンズよりなる第13レンズL13と、両凸レンズよりなる第14レンズL14と、両凸レンズよりなる第15レンズL15からなり、第11レンズL11と第12レンズL12、および第13レンズL13と第14レンズL14が、各々互いに接合されて接合レンズを構成している点、において上記実施例1のものと各々相違する。
【0070】
図2に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0071】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表3に示す。
なお、表3の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を表4に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
実施例2の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0075】
また、図10は、実施例2の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例2の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0076】
<実施例3>
図3は、実施例3の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0077】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例1のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1を構成する第2レンズL2が、両凹レンズよりなる点において、また第2レンズ群G2が、両凸レンズよりなる第5レンズL5のみからなる点において、また、第5レンズ群G5が、拡大側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状の両面非球面レンズよりなる第9レンズL9と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11と、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、両凸レンズよりなる第13レンズL13と、両凸レンズよりなる第14レンズL14からなり、第10レンズL10と第11レンズL11、および第12レンズL12と第13レンズL13が、各々互いに接合されて接合レンズを構成している点、において上記実施例1のものと各々相違する。
【0078】
図3に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0079】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表5に示す。
なお、表5の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を表6に示す。
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
実施例3の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0083】
また、図11は、実施例3の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例3の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0084】
<実施例4>
図4は、実施例4の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0085】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例1のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1を構成する第2レンズL2が平凹レンズとされている点、第6レンズ群G6を構成する第15レンズL15が縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる一方、第16レンズL16が両面非球面レンズよりなる点、において上記実施例1のものと各々相違する。
【0086】
図4に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0087】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表7に示す。
なお、表7の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を、表8に示す。
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
【0090】
実施例4の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0091】
また、図12は、実施例4の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例4の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0092】
<実施例5>
図5は、実施例5の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0093】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例2のものと略同様の6群構成とされているが、第5レンズ群G5を構成する第11レンズL11が、両凹レンズからなる点、および第6レンズ群G6が拡大側に凸面を向けた平凸レンズよりなる第16レンズL16のみからなる点、において上記実施例2のものと各々相違する。
【0094】
図5に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0095】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表9に示す。
なお、表9の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を、表10に示す。
【0096】
【表9】
【0097】
【表10】
【0098】
実施例5の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0099】
また、図13は、実施例5の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例5の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0100】
<実施例6>
図6は、実施例6の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0101】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例1のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1を構成する第2レンズL2が、両凹レンズよりなる点において、また第2レンズ群G2を構成する第6レンズL6が両凸レンズよりなる点において、第5レンズ群G5を構成する第13レンズL13が、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる点において、および第6レンズ群G6が、両凸レンズよりなる第15レンズL15のみからなる点において、上記実施例1のものと各々相違する。
【0102】
図6に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0103】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表11に示す。
なお、表11の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を、表12に示す。
【0104】
【表11】
【0105】
【表12】
【0106】
実施例6の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0107】
また、図14は、実施例6の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例6の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0108】
<実施例7>
図7は、実施例7の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0109】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例6のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1が、拡大側から順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第1レンズL1と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、両面非球面レンズよりなる第3レンズL3と、両凹レンズよりなる第4レンズL4からなり、かつ第1レンズL1と第2レンズL2が互いに接合されて接合レンズを構成している点において、また、第5レンズ群G5を構成する第12レンズL12が両凹レンズよりなる一方、第13レンズL13が両凸レンズよりなる点において、上記実施例6のものと各々相違する。
【0110】
図7に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0111】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表13に示す。
なお、表13の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を、表14に示す。
【0112】
【表13】
【0113】
【表14】
【0114】
実施例7の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0115】
また、図15は、実施例7の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例7の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0116】
<実施例8>
図8は、実施例8の投写用ズームレンズにおいて、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における、各レンズ群の移動位置、およびその移動軌跡を示すものである。
【0117】
この投写用ズームレンズは、基本的には上記実施例6のものと略同様の6群構成とされているが、第1レンズ群G1が、拡大側から順に、両面非球面レンズよりなる第1レンズL1と、両凹レンズよりなる第2レンズL2と、両凹レンズよりなる第3レンズL3からなる点において、上記実施例6のものと相違する。
【0118】
図8に示すように上記実施例1のものと略同様に、変倍時において、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は固定群とされ、第2〜5レンズ群G2〜G5は移動群とされている。
また、縮小側は略テレセントリックとされている。
【0119】
この投写用ズームレンズの各レンズ面の曲率半径R、各レンズの軸上面間隔D、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νの値を表15に示す。
なお、表15の下段には、広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における各レンズ群間隔を示す。また、各非球面を表す非球面係数を、表16に示す。
【0120】
【表15】
【0121】
【表16】
【0122】
実施例8の投写用ズームレンズによれば、表17に示すように、条件式(1)〜(4)、(1´)、(1´´)、(2´)、(2´´)、(4´)、(4´´)は全て満足されている。
【0123】
また、図16は、実施例8の投写用ズームレンズの広角端(ワイド)、中間(ミドル)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
これらの収差図から明らかなように、実施例8の投写用ズームレンズによれば、ズーミングに伴う球面収差、非点収差を始めとする諸収差の変動量を極めて小さくすることができるとともに、諸収差を極めて良好に補正することができる。
【0124】
【表17】
【0125】
なお、本発明の投写用ズームレンズとしては、上記実施例のものに限られるものではなく種々の態様の変更が可能であり、例えば各レンズの曲率半径Rおよび軸上面間隔Dを適宜変更することが可能である。
【0126】
また、本発明の投写型表示装置としても、上記構成のものに限られるものではなく、本発明の投写用ズームレンズを備えた種々の装置構成が可能である。ライトバルブとしては、例えば、透過型または反射型の液晶表示素子や、傾きを変えることができる微小な鏡が略平面上に多数形成された微小ミラー素子(例えば、テキサス・インスツルメント社製のデジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることができる。また、照明光学系としても、ライトバルブの種類に対応した適切な構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0127】
1 画像表示面
2 色合成プリズム
10 投写用ズームレンズ
11a〜11c 透過型液晶パネル
12,13 ダイクロイックミラー
18a〜18c 全反射ミラー
20 光源
G1〜G6 レンズ群
L1〜L17 レンズ
R1〜R32 レンズ面等の曲率半径
D1〜D31 軸上面間隔
Z 光軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大側から、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力有する第4レンズ群、正の屈折力を有する第5レンズ群および正の屈折力を有する第6レンズ群が配設されるとともに、縮小側がテレセントリックな構成とされ、変倍時には前記第1レンズ群および前記第6レンズ群は固定とされ、前記第2レンズ群から第5レンズ群までの各レンズ群は光軸に沿って移動するように構成され、
前記第4レンズ群は拡大側に凹面を向けた負レンズ1枚からなり、かつ前記第5レンズ群は少なくとも2枚以上の正レンズと少なくとも2枚以上の負レンズを有し、下記条件式(1)を満足することを特徴とする投写用ズームレンズ。
−5.0≦f4/fw≦−1.2 ・・・(1)
ただし、
f4:前記第4レンズ群における焦点距離
fw:広角端におけるレンズ全系の焦点距離
【請求項2】
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写用ズームレンズ。
2.0≦Bf/fw≦5.0 ・・・(2)
ただし、
Bf:全系縮小側における空気換算バックフォーカス
【請求項3】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1または2記載の投写用ズームレンズ。
1.5≦ft/fw ・・・(3)
ただし、
ft:望遠端における全系の焦点距離
【請求項4】
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズ。
55≦ν5 ・・・(4)
ただし、
ν5:第5レンズ群に含まれる正レンズのアッベ数の平均値
【請求項5】
前記第5レンズ群は、拡大側から順に、負、正、負、正の順に並んだ4つのレンズを含んでなることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズ。
【請求項6】
前記第5レンズ群の前記4つのレンズは、2組の、負と正の接合レンズを構成していることを特徴とする請求項5記載の投写用ズームレンズ。
【請求項7】
前記第1レンズ群は、少なくとも1面の非球面を有してなることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズ。
【請求項8】
光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、請求項1〜7のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズであって、かつ縮小側がテレセントリックとされてなる投写用ズームレンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写用ズームレンズによりスクリーンに投写することを特徴とする投写型表示装置。
【請求項1】
拡大側から、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力有する第4レンズ群、正の屈折力を有する第5レンズ群および正の屈折力を有する第6レンズ群が配設されるとともに、縮小側がテレセントリックな構成とされ、変倍時には前記第1レンズ群および前記第6レンズ群は固定とされ、前記第2レンズ群から第5レンズ群までの各レンズ群は光軸に沿って移動するように構成され、
前記第4レンズ群は拡大側に凹面を向けた負レンズ1枚からなり、かつ前記第5レンズ群は少なくとも2枚以上の正レンズと少なくとも2枚以上の負レンズを有し、下記条件式(1)を満足することを特徴とする投写用ズームレンズ。
−5.0≦f4/fw≦−1.2 ・・・(1)
ただし、
f4:前記第4レンズ群における焦点距離
fw:広角端におけるレンズ全系の焦点距離
【請求項2】
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写用ズームレンズ。
2.0≦Bf/fw≦5.0 ・・・(2)
ただし、
Bf:全系縮小側における空気換算バックフォーカス
【請求項3】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1または2記載の投写用ズームレンズ。
1.5≦ft/fw ・・・(3)
ただし、
ft:望遠端における全系の焦点距離
【請求項4】
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズ。
55≦ν5 ・・・(4)
ただし、
ν5:第5レンズ群に含まれる正レンズのアッベ数の平均値
【請求項5】
前記第5レンズ群は、拡大側から順に、負、正、負、正の順に並んだ4つのレンズを含んでなることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズ。
【請求項6】
前記第5レンズ群の前記4つのレンズは、2組の、負と正の接合レンズを構成していることを特徴とする請求項5記載の投写用ズームレンズ。
【請求項7】
前記第1レンズ群は、少なくとも1面の非球面を有してなることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズ。
【請求項8】
光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、請求項1〜7のうちいずれか1項記載の投写用ズームレンズであって、かつ縮小側がテレセントリックとされてなる投写用ズームレンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写用ズームレンズによりスクリーンに投写することを特徴とする投写型表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−100079(P2011−100079A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256587(P2009−256587)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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