説明

投影光学系及びプロジェクタ

【課題】ズーム時にレンズ群の移動がなく、耐衝撃性に強く、たとえば小型プロジェクタに好適な投影光学系及びプロジェクタを提供する。
【解決手段】投影光学系において、少なくとも1つの屈折力可変なレンズを用い、各レンズの間隔を固定し、前記屈折力可変なレンズの屈折力を変化させることによって、スクリーン面上に投影された表示素子面の画像の寸法を変化させるので、ズームを行うために可動部を必要とせず、これにより前記投影光学系を搭載するプロジェクタの小型化・軽量化を図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ等の投影光学系に関し、特に、スクリーン上に寸法を変えて投影するのに好適なズーム機構を備えた投影光学系及びそれを用いたプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタ等の投影光学系では、スクリーン上に寸法を変えて投影するのに好適なズーム機構を備えた投影光学系が種々に提案されている。このようなプロジェクタでは、ズームの際にアクチュエータ等を使用し、拡大投影側、中間または表示素子面側のレンズ群を光軸方向に移動させることによって投影画像の寸法を変化させている。
【0003】
一方、近年においては、プロジェクタの小型化が試行されているが、レンズ群を光軸方向に移動させる機構が、プロジェクタを小型化する障害となっている。
【0004】
さらに明るい拡大投影画像を得る際には、拡大投影画像のボケがズームにより目視で確認できてしまうため、投影光学系にフォーカス機能を備えることにより焦点距離の調整を行っているが、これにより装置の大型化を招いてしまうということもある。
【0005】
例えば特許文献1に記載された投影光学系では、可変焦点レンズを用いてさらにレンズ群を移動させることによりズーム、フォーカス、またはズーム及びフォーカスを行っている。
【0006】
更に、特許文献2に記載された投影光学系では、広角端から望遠端にズームする際に、第2レンズ群G2から第5レンズ群G5までをそれぞれ拡大投影側に移動させている。
【0007】
又、特許文献に記載された投影光学系3では、広角端から望遠端にズームする際に、第1レンズ群L1を縮小側に、第2レンズ群L2を拡大投影側にそれぞれ移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−053275号公報
【特許文献2】特開2009−128684号公報
【特許文献3】特開2003−344763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載された投影光学系では、可変焦点レンズ以外のレンズ群を移動させることにより良好な投影画像が得られるものの、機構が複雑になってしまい装置の大型化につながっていた。
【0010】
更に上記特許文献2,3に記載された投影光学系では、ズーム時にアクチュエータ等を使用しレンズ群を光軸方向に移動させることによって投影画像の寸法を変化させているため、レンズ移動量分の長さが必要となり、全長が長くなってしまっていた。
【0011】
特に、上記特許文献2に記載された投影光学系では、4つのレンズ群をそれぞれ異なった動きで移動させるため、アクチュエータ等のレンズ群を移動させるための機構が多くなり、装置自体の大型化を招くことが予想される。さらに、レンズ群が移動することにより可動部分の強度が弱くなるため対衝撃性能も低下する。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ズーム時にレンズ群の移動がなく、耐衝撃性に強く、たとえば小型プロジェクタに好適な投影光学系及びプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の投影光学系は、表示素子面の画像をスクリーン面上に拡大投影する複数のレンズで構成されている投影光学系において、少なくとも1つの屈折力可変なレンズを用い、各レンズの間隔を固定し、前記屈折力可変なレンズの屈折力を変化させることによって、スクリーン面上に投影された表示素子面の画像の寸法を変化させることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、投影光学系において、少なくとも1つのレンズを屈折力可変とし、各レンズを固定し、屈折力可変なレンズの屈折力を変化させることによって、スクリーン面上に投影された表示素子面の画像の寸法を変化させるので、ズームを行うために可動部を必要とせず、これにより前記投影光学系を搭載するプロジェクタの小型化・軽量化を図れる。
【0015】
請求項2に記載の投影光学系は、表示素子面の画像をスクリーン面上に拡大投影する投影光学系において、拡大投影面側から、少なくとも屈折力可変な第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、負の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズで構成され、前記第1レンズ乃至前記第4レンズは光軸方向位置を固定されており、前記屈折力可変なレンズは、スクリーン面上に投影された表示素子面の画像の寸法を変化させることを特徴とする。
【0016】
本発明のズーム機能を備えた投影光学系は、拡大投影面側から、少なくとも屈折力可変な第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、負の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズで構成され、いわゆるトリプレットによる簡単なレンズ構成となっているため、小型化と低コスト化を達成することが可能である。さらに光学長を短く出来るので、解像度を向上させ、軸上色収差、コマ収差や歪曲収差を撫えた高い光学性能を得ることが可能である。また、各レンズを固定することによりズーム時のレンズ群の移動による投影光学系の拡大を防ぐことができ、装置の小型化が可能となる。加えて、前記第1レンズ乃至前記第4レンズは光軸方向位置を固定されているので、ズームを行うために可動部を必要とせず、これにより前記投影光学系を搭載するプロジェクタの小型化・軽量化を図れる。
【0017】
請求項3に記載の投影光学系は、請求項1又は2の発明において、前記投影光学系は、Fナンバーが8より大きいことを特徴とする。
【0018】
前記投影光学系において、Fナンバーを8より大きくすることにより、ズーム時の拡大投影画像のボケを目視では確認することができないような範囲にすることが可能であるので、これによりフォーカシング機構を省略でき、プロジェクタのコンパクト化を一層図れる。
【0019】
請求項4に記載の投影光学系は、請求項1〜3のいずれかの発明において、前記屈折力可変なレンズは、第1液体と混合しない第2液体とを備えて容器内に封入し、前記容器内に加える物理量を変化させることによって、前記第1液体と前記第2液体との境界面形状を変化させることが可能な光学素子であることを特徴とする。
【0020】
前記屈折力可変なレンズは、内壁面を形成する部材に設けられた電極と、第1液体および第2液体との間に設けられた絶縁手段とを有し、導電性の液体と電極との間に電圧を印加していると好ましい。例をあげると、第1液体および第2液体のいずれか一方は誘導性であり、他方は絶縁性である。さらに、第1液体および第2液体の密度はほぼ同密度であり、第1液体および第2液体は異なる屈折率を有するように構成されている。これにより第1液体と第2液体の境界面形状を変化させることが可能となり、レンズを移動させることなく表示素子面画像の変倍が可能となる。但し、屈折力可変なレンズは、このような液体を用いたレンズに限らず、例えばレンズに歪みを与えて屈折力を変化させるような光学素子を用いても良い。
【0021】
請求項5に記載の投影光学系は、請求項1〜4のいずれかの発明において、前記投影光学系において、次の条件式を満足することを特徴とする。
1.6<fB1-4w/fw<7.8・・・(1)
ただし、
fB1-4w:広角端における前記第1レンズ乃至前記第4レンズの合成系のバックフォーカス
w:広角端における前記投影光学系の焦点距離
【0022】
条件式(1)の値が下限1.6を下回り小さくなってしまうと、前記第4レンズと前記表示素子との空気間隔が小さくなりすぎ、例えば反射光学素子を挿入することが出来なくなってしまう。一方、条件式(1)の値が上限7.8を超えて大きくなるときは、前記第4レンズと前記表示素子との空気間隔を確保するためには有利であるが、前記第3レンズの焦点距離が小さくなりすぎ収差が増大してしまう。そこで、この条件式(1)の条件を満たすことにより、前記第1レンズから前記第4レンズまでの合成系におけるバックフォーカスを所要の大きさにし、良好な光学性能を保ちながら前記第4レンズと前記表示素子の問に反射光学素子を挿入できる空気間隔を確保することが可能である。
【0023】
請求項6に記載の投影光学系は、請求項1〜5のいずれかの発明において、前記投影光学系において、次の条件式を満足することを特徴とする。
−6.0<f1w/fw<−3.1・・・(2)
ただし、
1w:広角端における前記屈折力可変なレンズの焦点距離
w:広角端における前記投影光学系の焦点距離
【0024】
また、条件式(2)の値が下限−6.0を下回り小さくなってしまうと、前記第1レンズのパワーが小さくなってしまい、前記第2レンズ以降の倍率も小さくなるため、投影光学系が大型化してしまう。一方、条件式(2)の値が上限−3.1を超えて大きくなってしまうと、前記第1レンズのパワーが強くなるので球面収差等の諸収差が大きくなってしまう。この条件式(2)を満たすことにより、前記第1レンズの屈折力を適切に確保し変倍しながらも、適度な全長と良好な光学性能を保つことが可能である。
【0025】
請求項7に記載の投影光学系は、請求項1〜6のいずれかの発明において、前記第4レンズが、次の条件式を満足することを特徴とする。
−8.1<(r42+r41)/(r42−r41)<−1.0・・・(3)
ただし、
42:前記第4レンズの拡大投影側レンズ面の曲率半径
41:前記第4レンズの表示素子面側レンズ面の曲率半径
【0026】
条件式(3)の値が下限−8.1を下回り小さくなってしまうと、前記第4レンズの主点が像側へ行き過ぎてしまい、これにより前記第3レンズと前記第4レンズの合成系のパワーが大きくなってしまうため、コマ収差や非点収差が大きくなってしまう。一方、条件式(3)の値が上限−1.0を超えて大きくなってしまうと、前記第4レンズの主点が物体側へ行き過ぎてしまい、これにより前記第3レンズと前記第4レンズの合成系のパワーが弱くなってしまい全長が長くなってしまう。この条件式(3)を満たすことにより、前記第4レンズの形状を適切に保ちつつ、小型化に必要な全長を確保するための適切な前記第4レンズの屈折力と良好な光学性能を得ることが可能である。
【0027】
請求項8に記載の投影光学系は、請求項1〜7のいずれかの発明において、前記第4レンズが、次の条件式を満足することを特徴とする。
0.4<f4/fw<2.2・・・(4)
ただし、
4:前記第4レンズの焦点距離
w:広角端における前記投影光学系の焦点距離
【0028】
条件式(4)の値が上限2.2を超えて大きくなると前記第4レンズのパワーが弱くなりすぎて、バックフォーカスが大きくなりすぎることによりコンパクト性が損なわれる。一方、条件式(4)の値が下限0.4を下回り小さくなると十分なバックフォーカスを確保できず、テレセントリック性が崩れていく傾向となり、さらには軸外収差の補正が困難となり好ましくない。この条件式(4)の条件を満たすことにより、テレセントリック性を確保するための適切な前記第4レンズの屈折力を指定することが可能である。
【0029】
請求項9に記載の投影光学系は、請求項1〜8のいずれかの発明において、正の屈折力を備えた第5レンズを有することを特徴とする。
【0030】
本発明の投影光学系は正の屈折力を有する第5レンズを挿入することが可能である。これによって、縮小側の良好なテレセントリック性を確保することが可能である。
【0031】
請求項10に記載の投影光学系は、請求項1〜8のいずれかの発明において、前記投影光学系において、表示素子面に最も近い位置に、曲率を有する反射光学素子を有することを特微とする。
【0032】
一般的な投影光学系は、表示素子に光が角度を持って入射した場合、偏光特性により、色味が変化し、反射率が悪化する。これを防ぐために、縮小側の良好なテレセントリック性が必要である。このため、本発明における投影光学系ではトリプレットと表示素子面側に曲率を有する反射光学素子を組み合わせる方法、トリプレットの表示素子面側に正の屈折力を有するレンズを挿入し曲率をもたない反射光学素子を組み合わせる方法がある。
【0033】
本発明の投影光学系は曲率つきの光学素子を挿入することで、縮小側の良好なテレセントリック性を確保すると共に全長を短く保つことが可能となる。
【0034】
請求項11に記載のプロジェクタは、請求項1〜10のいずれかに記載の投影光学系を用いていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ズーム時にレンズ群の移動がなく、耐衝撃性に強く、たとえば小型プロジェクタに好適な投影光学系及びプロジェクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施の形態にかかるプロジェクタの概略構成図である。
【図2】第1レンズL1の拡大断面図である。
【図3】広角端における実施例1の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図4】広角端における実施例1の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【図5】中間における実施例1の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図6】中間における実施例1の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【図7】望遠端における実施例1の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図8】望遠端における実施例1の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【図9】広角端における実施例2の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図10】広角端における実施例2の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【図11】中間における実施例2の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図12】中間における実施例2の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【図13】望遠端における実施例2の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図14】望遠端における実施例2の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【図15】広角端における実施例3の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図16】広角端における実施例3の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【図17】中間における実施例3の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図18】中間における実施例3の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【図19】望遠端における実施例3の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図20】望遠端における実施例3の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【図21】広角端における実施例4の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図22】広角端における実施例4の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【図23】中間における実施例4の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図24】中間における実施例4の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【図25】望遠端における実施例4の投影光学系の光軸方向断面図である。
【図26】望遠端における実施例4の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態にかかるプロジェクタPJTの概略構成図である。
【0038】
図1に示すプロジェクタPJTにおいて、半導体レーザ(LEDでも良い)である光源LDの発光部から放射状に放射された照明光は、集光レンズCOLによって平行光に変換された後、プリズムである反射光学素子PZの透過・反射面TRPを透過し偏光分離され、テレセントリック性を保ち表示素子面DEに照射される。そして、この表示素子面DEで反射された光線は、表示素子面DEの画像に応じて変調されており、反射光学素子PZに入射して透過・反射面TRPで透過され、正の屈折力を有する第4レンズL4、負の屈折力を有する第3レンズL3、正の屈折力を有する第2レンズL2を通過後、屈折力可変な第1レンズL1を通過し、表示素子面DEの画像がスクリーン上の投影面(不図示)に拡大投影される。ここで、屈折力可変な第1レンズL1の境界面の形状を変化させることにより、レンズL1〜L4を不図示の鏡枠に固定して、移動させることなく表示素子面の画像の寸法を変化させることができる。
【0039】
尚、本実施の形態の変形例として、正の屈折力を有する第4レンズL4と反射光学素子PZとの間に、正の屈折力を有する第5レンズL5を固定配置することもできる。
【0040】
図2は、第1レンズL1およびその駆動部の概略構成図である。図2において、拡大投影面は右側になる。40は不導体で形成された下容器である。この下容器40の底面(図で右内側面)のうち周辺部には第1の凹部41が形成されているとともに、これよりも内径側(中心側)には第1の封止板2を保持する第2の凹部42が形成されている。第1の封止板(液体を密封する部材)2は、透明アクリルあるいはガラスにより形成されている。
【0041】
この下容器40の周辺壁部の内側全周には第2の電極リング43が設けられており、この第2の電極リング43の表面には、電極端面43aもカバーするアクリル樹脂等でできた絶縁層44が密着形成されている。
【0042】
ここで、下容器40の周辺壁部は、光軸Xに対して図で右端側が左端側よりも光軸Xに近づくように傾いている。このため、第1の電極リング43と絶縁層44も共に光軸Xに対して傾いている。
【0043】
また、絶縁層44の厚さは、図で右に向かって徐々に増加している。更に、絶縁層44の内面全周の下側には、撥水処理剤が塗布されて撥水層11が形成されている。さらに、絶縁層44の内面全周の左側には、親水処理剤が塗布されて親水層12が形成されている。
【0044】
50は不導体で形成された上容器であり、その内径側で、透明アクリルあるいはガラスにより形成された第2の封止板(液体を密封する部材)6を保持する。また、上容器50の周辺部右端面には、シート状の第1の電極リング51が密着形成されている。
【0045】
この第1の電極リング51の表面には、絶縁層52が密着形成されているが、後述する第1の液体21に接してこれに電圧を印加するための露出部51aが備わるように、絶縁層52は第1の電極リング51の外縁側のみをカバーするように形成されている。
【0046】
そして、下容器40の周辺壁部と上容器50とを液密に封止することにより、下容器40、上容器50、第1の封止板2および第2の封止板6で囲まれた所定体積の液室を有した筐体としての容器が形成される。
【0047】
この容器は、光軸Xに対して軸対称形状をなしている。そして、液室には、以下のようにして2種類の液体が充填される。
【0048】
まず、第1の封止板2を取り付けた下容器40の光軸Xを鉛直方向に向けた状態で、液室の底面である第1の封止板2の上面および下容器40の周辺側の底面すなわち(これらが界面対向面に相当する)に、第2の液体22が、その液柱の高さが周辺壁部の撥水膜11の中間の高さになる分量だけ滴下される。
【0049】
第2の液体22は無色透明で、比重1.06、室温での屈折率1.489のシリコーンオイルが用いられる。続いて、液室内の残りの空間には、第1の液体21が充填される。第1の液体21は、水とエチルアルコールが所定比率で混合され、更に所定量の食塩が加えられた、比重1.06、室温での屈折率1.400の電解液(導電性又は有極性を有する液体)である。尚、第1および第2の液体21,22の屈折力差を大きくすることで、変倍比を大きくとれる。
【0050】
すなわち、第1および第2の液体21,22は、比重が等しく、屈折率が異なり、かつ互いに混ざることのない(不溶な)液体が選定される。そして、両液体21,22は界面24を形成し、混ざり合わずにそれぞれが独立して存在する。
【0051】
この界面24の形状は、液室(容器)の内面、第1の液体21および第2の液体22の3物質が交わる点、すなわち界面24の外縁部に働く3つの界面張力の釣り合いで決まる。その後、第2の封止板6を取り付けた上容器50を、下容器40に取り付けることで、2種類の液体が封止される。
【0052】
31は第1の電極リング25と第2の電極リング3とに接続された給電回路である。
【0053】
給電回路31の2つの増幅器(図示せず)はそれぞれ、第1の電極リング51および第2の電極リング43から上容器50の右端面に沿って光軸直交方向に引き出された端子部51b,43bに接続されている。
【0054】
以上の構成において、第1の液体21に第1の電極リング51および第2の電極リング43を介して電圧が印加されると、いわゆるエレクトロウェッティング効果によって界面24が変形する。
【0055】
次に、第1レンズL1における界面24の変形と、この変形によってもたらされる光学作用について説明する。
【0056】
まず、第1の液体21に電圧が印加されていない場合、図2に示すように、界面24の形状は、両液体21,22間の界面張力、第1の液体21と絶縁層44上の撥水膜11あるいは親水膜12との界面張力、第2の液体22と絶縁層44上の撥水膜11あるいは親水膜12との界面張力、および第2の液体22の体積で決まる。
【0057】
一方、給電回路31より第1の液体21に電圧が印加されると、エレクトロウェッティング効果によって第1の液体21と親水膜12との界面張力が減少し、第1の液体21が親水膜12と撥水膜11との境界を乗り越えて撥水膜11上に入り込む。この結果、第2の液体22の光軸上での高さが増加する。
【0058】
このように第1および第2の電極リング51,43を通じた第1の液体21への電圧印加によって、2種類の液体の界面張力の釣り合いが変化し、両液体21,22間の界面24の形状が変わる。こうして、給電回路31の電圧制御によって界面24の形状を自在に変えられる光学素子が実現できる。
【0059】
また、第1および第2の液体21,22が異なる屈折率を有しているため、光学レンズとしての光学パワー(1/f:fは焦点距離)が付与されることになり、即ち第1レンズL1は、界面24の形状変化によって焦点距離が変化する。これにより、投影光学系の変倍を連続的に行うことができる。尚、第1および第2の液体21,22が異なる屈折率差を大きくすれば、大きなパワー変化を得ることができるが、かかる屈折率差が小さくても、このような第1レンズL1を複数個直列に連結したレンズ群とすれば、大きなズーム比を得ることができる。
【実施例1】
【0060】
以下、上述のプロジェクタに好適な投影光学系の実施例を示す。各実施例に使用する記号は下記の通りである。
f :投影光学系全系の焦点距離
fB :バックフォーカス
Fno:Fナンバー
R :曲率半径
D :軸上面間隔
Nd :レンズ材料のd線に対する屈折率
νd :レンズ材料のアッベ数
【0061】
各実施例において、各面番号の後に「*」が記載されている面が非球面形状を有する面であり、非球面の形状は、面の頂点を原点とし、光軸方向にX軸をとり、光軸と垂直方向の高さをhとして以下の「数1」で表す。
【0062】
【数1】

ただし、
Ai:i次の非球面係数
R:曲率半径
K:円錐定数である。
【0063】
また、以降(表のレンズデータを含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10−02)をE(例えば2.5E−02)を用いて表すものとする。また、レンズデータの面番号は、第1レンズの拡大投影面側を1面として順に付与した。なお、実施例に記載の長さを表す数値の単位はすべてmmとする。
【0064】
(実施例1)
実施例1の投影光学系のレンズデータを、以下の(表1)に示す。
【0065】
(表1)
実施例1
面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
スクリーン∞ 2000.00
1 ∞ 0.30 1.52300 54.5 1.93
2 ∞ 0.50 1.48900 60.6 1.83
3 R1 0.70 1.40000 39.8 1.00
4 ∞ 0.55 1.52300 54.5 2.00
5 ∞ 1.00 1.22
6* 12.358 1.00 1.80000 28.5 0.66
7* -4.047 0.00 0.39
8(絞り) ∞ 1.00 0.33
9* -1.688 0.70 1.75000 25.0 0.69
10* 6.308 0.50 1.20
11* -9.395 1.00 1.75000 57.0 1.84
12* -2.319 0.50 1.95
13 ∞ 14.00 1.80610 40.7 2.45
14 -11.930 5.14
表示素子∞

非球面係数
第6面 K= 0.00000E+00
A4= -0.41856E-01
A6= -0.23244E-01
A8= -0.51745E-02
第7面 K= 0.00000E+00
A4= -0.74537E-01
A6= -0.57029E-01
A8= 0.19114E+00
第8面 K= 0.00000E+00
A4= -0.17298E+00
A6= -0.11345E+00
A8= 0.10959E+00
第9面 K= 0.00000E+00
A4= -0.70727E-01
A6= 0.27677E-01
A8= -0.50679E-02
第10面 K= 0.00000E+00
A4= 0.16745E-01
A6= -0.67745E-03
A8= 0.62338E-05
第11面 K= 0.00000E+00
A4= 0.79285E-02
A6= 0.28058E-03
A8= 0.96437E-03

各ポジションの焦点距離、本実施例のスクリーン距離におけるレンズ最終面と近軸結像点との距離(L)
Fナンバー
f L Fno
Wide 9.33 4.59 15.00
Middle 9.80 1.94 14.99
Tele 9.97 0.95 14.99

各ポジションの曲率半径、画角、第1レンズの焦点距離、レンズ全長
R1 画角ω 第1レンズの焦点距離 レンズ全長
Wide 2.96 60.40 -33.43 9.69
Middle ∞ 56.98 0.00 9.69
Tele -8.54 55.44 96.45 9.69

ズーム比、像高
ズーム比 像高
1.07 5.15
【0066】
図3は、広角端の状態にある実施例1の投影光学系の断面図であり、図5は、中間の状態にある実施例1の投影光学系の断面図であり、図7は、望遠端の状態にある実施例1の投影光学系の断面図であるが、第1レンズL1への配線等は省略している。実施例1の投影光学系は、拡大投影面側(左側)から、屈折力可変な第1レンズL1と、正の屈折力を有する第2レンズL2と、負の屈折力を有する第3レンズL3と、正の屈折力を有する第4レンズL4と、反射光学素子PZで構成され、いずれも光軸方向位置を固定されており、変倍は第1レンズL1に印加される電圧を変化させることで行われる。尚、図において、DEは表示素子画面であり、表示素子画面DEから拡大投影面に向かう光路のみを描いている。反射光学素子PZは、表示素子画面DE側に凸形状の光学面を有する。
【0067】
図4は、広角端の状態にある実施例1の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))であり、図6は、中間の状態にある実施例1の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))であり、図8は、望遠端の状態にある実施例1の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。尚、以降の収差図において、球面収差図では、実線がd線、点線がg線を表し、非点収差図では、実線がサジタル像面、点線がメリジオナル像面をあらわすものとする。
【0068】
(実施例2)
実施例2の投影光学系のレンズデータを、以下の(表2)に示す。
【0069】
(表2)
実施例2
面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
スクリーン∞ 2000.00
1 ∞ 0.30 1.52300 54.5 1.87
2 ∞ 0.50 1.48900 60.6 1.78
3 R1 0.70 1.40000 39.8 1.69
4 ∞ 0.55 1.52300 54.5 1.42
5 ∞ 1.99 1.27
6(絞り) ∞ 1.66 0.38
7* 14.637 1.50 1.54470 56.2 1.15
8* -7.962 1.47 1.45
9* -441.395 1.00 1.63200 23.4 1.87
10* 4.421 1.76 2.25
11* -4.712 1.84 1.54470 56.2 2.77
12* -3.665 1.00 3.32
13 11.810 12.00 1.77250 49.6 4.86
14 ∞ 4.83
表示素子∞


非球面係数
第7面 K= 0.18041E+02 第10面 K= -0.28818E+01
A4= 0.16258E-02 A4= -0.51515E-02
A6= 0.19644E-03 A6= 0.26325E-03
A8= 0.43649E-03 A8= 0.61140E-07
A10= 0.39700E-03 A10= -0.10456E-06
第8面 K= -0.22408E+02 A12= 0.15624E-06
A4= 0.34412E-03 第11面 K= -0.49824E+01
A6= 0.20178E-03 A4= -0.79116E-03
A8= -0.25847E-04 A6= -0.29902E-03
A10= 0.15810E-05 A8= 0.18823E-04
第9面 K= 0.54520E+05 A10= 0.20227E-06
A4= -0.58195E-02 A12= 0.15069E-06
A6= 0.14529E-03 第12面 K= -0.10076E+01
A8= -0.27043E-04 A4= -0.39439E-03
A10= -0.89304E-05 A6= -0.13325E-03
A12= -0.13634E-05 A8= 0.66953E-07
A10= 0.78410E-08
A12= 0.79000E-09

各ポジションの焦点距離、本実施例のスクリーン距離におけるレンズ最終面と近軸結像点との距離(L)
Fナンバー
f L Fno
Wide 10.47 5.93 14.99
Middle 10.96 2.60 14.99
Tele 11.14 1.37 14.99

各ポジションの曲率半径、画角、第1レンズの焦点距離、レンズ全長
R1 画角ω 第1レンズの焦点距離 レンズ全長
Wide 2.96 51.67 -33.43 28.87
Middle ∞ 48.33 0.00 28.87
Tele -8.54 46.83 96.45 28.87

ズーム比、像高
ズーム比 像高
1.06 4.80
【0070】
図9は、広角端の状態にある実施例2の投影光学系の断面図であり、図11は、中間の状態にある実施例2の投影光学系の断面図であり、図13は、望遠端の状態にある実施例2の投影光学系の断面図であるが、第1レンズL1への配線等は省略している。実施例1の投影光学系は、拡大投影面側(左側)から、屈折力可変な第1レンズL1と、正の屈折力を有する第2レンズL2と、負の屈折力を有する第3レンズL3と、正の屈折力を有する第4レンズL4と、反射光学素子PZで構成され、いずれも光軸方向位置を固定されており、変倍は第1レンズL1に印加される電圧を変化させることで行われる。尚、図において、DEは表示素子画面であり、表示素子画面DEから拡大投影面に向かう光路のみを描いている。反射光学素子PZは、拡大投影面側に凸形状の光学面を有する。
【0071】
図10は、広角端の状態にある実施例2の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))であり、図12は、中間の状態にある実施例2の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))であり、図14は、望遠端の状態にある実施例2の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【0072】
(実施例3)
実施例3の投影光学系のレンズデータを、以下の(表3)に示す。
【0073】
(表3)
実施例3
面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
スクリーン∞ 2000.00
1 ∞ 0.30 1.52300 54.5 2.73
2 ∞ 0.50 1.62390 59.1 2.62
3 R1 0.70 1.40000 39.8 2.51
4 ∞ 0.55 1.52300 54.5 2.20
5 ∞ 3.03 2.01
6(絞り) ∞ 1.47 0.27
7* -33.691 2.00 1.55200 71.8 1.14
8* -4.005 2.00 1.73
9* -18.421 1.50 1.82200 24.2 2.52
10* 4.113 1.50 3.48
11* -8.246 2.00 1.72900 54.1 3.77
12* -3.684 0.50 3.99
13 12.375 10.00 1.77500 47.1 5.36
14 ∞ 5.04
表示素子∞


非球面係数
第7面 K= 0.50000E+02 第10面 K= -0.18346E+02
A4= 0.35725E-01 A4= -0.43582E-02
A6= -0.21376E-01 A6= 0.31964E-03
A8= 0.48108E-02 A8= -0.15801E-05
A10= -0.19948E-03 A10= -0.95419E-06
第8面 K= -0.15497E+02 A12= -0.28390E-08
A4= 0.11522E-01 第11面 K= -0.94287E+01
A6= 0.13573E-02 A4= -0.12289E-02
A8= -0.10609E-02 A6= -0.19875E-03
A10= 0.36112E-04 A8= 0.22777E-04
第9面 K= 0.50000E+02 A10= -0.28601E-06
A4= -0.55759E-02 A12= -0.56870E-08
A6= 0.14154E-02 第12面 K= -0.93086E+00
A8= -0.30203E-04 A4= 0.10663E-04
A10= -0.11050E-04 A6= -0.10821E-03
A12= 0.60941E-06 A8= 0.94858E-06
A10= 0.16428E-06
A12= 0.19198E-07

各ポジションの焦点距離、本実施例のスクリーン距離におけるレンズ最終面と近軸結像点との距離(L)
Fナンバー
f L Fno
Wide 7.52 3.37 15.01
Middle 8.53 1.94 15.02
Tele 9.02 1.25 15.02

各ポジションの曲率半径、画角、第1レンズの焦点距離、レンズ全長
R1 画角ω 第1レンズの焦点距離 レンズ全長
Wide 10.00 66.17 -33.43 27.99
Middle ∞ 59.04 0.00 27.99
Tele -25.00 55.93 96.45 27.99

ズーム比、像高
ズーム比 像高
1.20 4.80
【0074】
図15は、広角端の状態にある実施例3の投影光学系の断面図であり、図17は、中間の状態にある実施例3の投影光学系の断面図であり、図19は、望遠端の状態にある実施例3の投影光学系の断面図であるが、第1レンズL1への配線等は省略している。実施例1の投影光学系は、拡大投影面側(左側)から、屈折力可変な第1レンズL1と、正の屈折力を有する第2レンズL2と、負の屈折力を有する第3レンズL3と、正の屈折力を有する第4レンズL4と反射光学素子PZで構成され、いずれも光軸方向位置を固定されており、変倍は第1レンズL1に印加される電圧を変化させることで行われる。尚、図において、DEは表示素子画面であり、表示素子画面DEから拡大投影面に向かう光路のみを描いている。反射光学素子PZは、拡大投影面側に凸形状の光学面を有する。
【0075】
図16は、広角端の状態にある実施例3の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))であり、図17は、中間の状態にある実施例3の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))であり、図18は、望遠端の状態にある実施例2の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【0076】
(実施例4)
実施例4の投影光学系のレンズデータを、以下の(表4)に示す。
【0077】
(表4)
実施例4
面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
スクリーン∞ 2000.00
1 ∞ 0.30 1.52300 54.5 1.56
2 ∞ 0.50 1.48900 60.6 1.46
3 R1 0.70 1.40000 39.8 1.33
4 ∞ 0.55 1.52300 54.5 1.04
5 ∞ 1.00 0.85
6(絞り) ∞ 2.28 0.31
7* -17.552 2.14 1.54470 56.2 1.51
8* -4.075 0.45 2.14
9* 11.056 1.00 1.63200 23.4 2.65
10* 2.686 1.04 3.08
11* -150.489 2.60 1.54470 56.2 3.26
12* -5.379 1.68 3.74
13 14.073 1.20 1.80420 46.5 4.89
14 ∞ 0.50 4.88
15 ∞ 9.00 1.51680 64.2 4.88
16 ∞ 4.83
表示素子∞


非球面係数
第7面 K= 0.11484E+03 第10面 K= -0.45618E+01
A4= -0.14601E-01 A4= -0.31883E-02
A6= 0.69146E-02 A6= 0.14229E-03
A8= -0.21332E-04 A8= -0.46611E-05
A10= 0.70141E-04 A10= -0.51465E-06
第8面 K= -0.40725E+01 A12= -0.16916E-07
A4= -0.28052E-02 第11面 K= 0.20434E+04
A6= 0.30757E-03 A4= 0.16442E-02
A8= -0.15791E-03 A6= -0.19708E-04
A10= 0.56720E-04 A8= 0.79140E-05
第9面 K= 0.11078E+01 A10= -0.49290E-08
A4= -0.45651E-02 A12= -0.66733E-07
A6= -0.13650E-03 第12面 K= -0.35296E+01
A8= -0.49573E-05 A4= -0.21192E-03
A10= 0.10394E-05 A6= 0.29860E-04
A12= 0.40975E-06 A8= 0.13002E-05
A10= -0.13258E-06
A12= 0.65660E-08

各ポジションの焦点距離、本実施例のスクリーン距離におけるレンズ最終面と近軸結像点との距離(L)
Fナンバー
f L Fno
Wide 8.88 4.01 15.00
Middle 9.25 1.56 15.00
Tele 9.39 0.66 15.00

各ポジションの曲率半径、画角、第1レンズの焦点距離、レンズ全長
R1 画角ω 第1レンズの焦点距離 レンズ全長
Wide 2.96 59.63 -33.43 26.50
Middle ∞ 56.97 0.00 26.50
Tele -8.54 55.80 96.45 26.50

ズーム比、像高
ズーム比 像高
1.06 4.80
【0078】
図21は、広角端の状態にある実施例4の投影光学系の断面図であり、図23は、中間の状態にある実施例4の投影光学系の断面図であり、図25は、望遠端の状態にある実施例4の投影光学系の断面図であるが、第1レンズL1への配線等は省略している。実施例1の投影光学系は、拡大投影面側(左側)から、屈折力可変な第1レンズL1と、正の屈折力を有する第2レンズL2と、負の屈折力を有する第3レンズL3と、正の屈折力を有する第4レンズL4と、正の屈折力を有する第5レンズL5で構成され、いずれも光軸方向位置を固定されており、変倍は第1レンズL1に印加される電圧を変化させることで行われる。尚、図において、DEは表示素子画面であり、第5レンズL5と表示画面DEとの間に配置された表示素子画面DEから拡大投影面に向かう光路のみを描いている。
【0079】
図22は、広角端の状態にある実施例4の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))であり、図24は、中間の状態にある実施例4の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))であり、図26は、望遠端の状態にある実施例4の収差図(球面収差(a)、非点収差(b)、歪曲収差(c))である。
【0080】
各条件式に対応する各実施例の値を表5に示す。
【0081】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、小型のプロジェクタに好適な投影光学系を提供できる。
【符号の説明】
【0083】
11 撥水層
12 親水層
21 第1の液体
22 第2の液体
24 界面
25 電極リング
31 給電回路
40 下容器
41 凹部
42 凹部
43 電極リング
43a 電極端面
44 絶縁層
50 上容器
51 電極リング
51a 露出部
51b 端子部
52 絶縁層
COL 集光レンズ
DE 表示素子画面
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
LD 光源
PJT プロジェクタ
PZ 反射光学素子
TRP 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示素子面の画像をスクリーン面上に拡大投影する複数のレンズで構成されている投影光学系において、少なくとも1つの屈折力可変なレンズを用い、各レンズの間隔を固定し、前記屈折力可変なレンズの屈折力を変化させることによって、スクリーン面上に投影された表示素子面の画像の寸法を変化させることを特徴とする投影光学系。
【請求項2】
表示素子面の画像をスクリーン面上に拡大投影する投影光学系において、拡大投影面側から、少なくとも屈折力可変な第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、負の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズで構成され、前記第1レンズ乃至前記第4レンズは光軸方向位置を固定されており、前記屈折力可変なレンズは、スクリーン面上に投影された表示素子面の画像の寸法を変化させることを特徴とする投影光学系。
【請求項3】
前記投影光学系は、Fナンバーが8より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の前記投影光学系。
【請求項4】
前記屈折力可変なレンズは、第1液体と混合しない第2液体とを備えて容器内に封入し、前記容器内に加える物理量を変化させることによって、前記第1液体と前記第2液体との境界面形状を変化させることが可能な光学素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の投影光学系。
【請求項5】
前記投影光学系において、次の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の投影光学系。
1.6<fB1-4w/fw<7.8・・・(1)
ただし、
fB1-4w:広角端における前記第1レンズ乃至前記第4レンズの合成系のバックフォーカス
w:広角端における前記投影光学系の焦点距離
【請求項6】
前記投影光学系において、次の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の投影光学系。
−6.0<f1w/fw<−3.1・・・(2)
ただし、
1w:広角端における前記屈折力可変なレンズの焦点距離
w:広角端における前記投影光学系の焦点距離
【請求項7】
前記第4レンズが、次の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の投影光学系。
−8.1<(r42+r41)/(r42−r41)<−1.0・・・(3)
ただし、
42:前記第4レンズの拡大投影側レンズ面の曲率半径
41:前記第4レンズの表示素子面側レンズ面の曲率半径
【請求項8】
前記第4レンズが、次の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の投影光学系。
0.4<f4/fw<2.2・・・(4)
ただし、
4:前記第4レンズの焦点距離
w:広角端における前記投影光学系の焦点距離
【請求項9】
正の屈折力を備えた第5レンズを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の投影光学系。
【請求項10】
前記投影光学系において、表示素子面に最も近い位置に、曲率を有する反射光学素子を有することを特微とする請求項1〜8のいずれかに記載の投影光学系。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の投影光学系を有することを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−158595(P2011−158595A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18671(P2010−18671)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】