説明

投影対物レンズの結像特性を改良する方法およびそのような投影対物レンズ

【課題】
【解決手段】本発明はマイクロリソグラフィー投影対物レンズの結像特性を改良する方法に関し、該投影対物レンズは物体平面と画像平面との間に複数のレンズを有し、複数のレンズのうち第1レンズにはレンズを能動変形するための第1マニピュレータが割り当てられ、第1レンズは収差を少なくとも部分的に修正するために変形され、複数のレンズのうち少なくとも1つの第2レンズにはさらに少なくとも1つの第2マニピュレータが割り当てられ、かつ前記第2レンズは第1レンズに加えて変形される。さらに、投影対物レンズの複数のレンズのうち少なくとも1つのレンズを能動変形可能な素子として選択する方法、および投影対物レンズを説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロリソグラフィー投影対物レンズの結像特性を改良する方法に関する。
本発明は、マイクロリソグラフィー投影対物レンズの複数のレンズのうち少なくとも1つのレンズを、像欠損を少なくとも部分的に修正するための能動変形可能な素子として選択する方法に関する。
【0002】
本発明は、さらに、投影対物レンズに関する。
【背景技術】
【0003】
投影対物レンズは、たとえば、半導体部品、撮像素子、ディスプレイ等を製造するために、リソグラフィ法で用いられる。一般に、投影対物レンズは、微細構造部品のリソグラフィ製造のために用いられる。
投影対物レンズは、すべてがレンズであってもよい複数の光学素子から構成され、または投影対物レンズは、レンズと鏡との組合せからなることもある。
【0004】
投影対物レンズは、投影対物レンズの物体平面に配置されるマスク(レティクル)の構造またはパターンを、投影対物レンズの画像平面に配置される感光性基板上に結像するために用いられる。結像される構造またはパターンは、製造される部品の集積度を上げるためにさらに小さくなってきており、そのため現在の投影対物レンズの解像度および結像品質の要求がますます高まってきている。
【0005】
投影対物レンズの結像品質は、収差によって悪化することがある。
そのような収差は、さまざまな種類がある。したがって、そのような投影対物レンズを稼働する前に、収差は、不満足な材料仕様または製造もしくは組立における誤差のせいで切迫したものとなることがある。しかしながら、そのように切迫した収差を、対物レンズの個々の光学素子の製造中および組立工程中に大幅に除去することができ、特にこの目的のために、対物レンズの個々のレンズには非球面化された表面が設けられる。
【0006】
しかしながら、収差は、投影対物レンズの稼働後および/または動作中または投影対物レンズのエージングの過程でも生じることがある。そのような収差は、投影対物レンズの光学素子の光学材料の放射依存性変化によって生じることがある。放射依存性変化は、たとえば、光学素子の材料の圧縮の場合のように永久的であることもあり、または一時的なものにすぎないこともある。投影対物レンズの光学素子の光学材料の一時的な変化は、個々の光学素子が熱くなり、それゆえ露光動作中変形されるということに大きく基づいている。
【0007】
照明スリットの矩形視野および像視野の2倍対称性が収差に移行されるのは、収差を起こす放射依存性材料変化に特有のものである。投射対物レンズの回転対称性をこのように損なうことによって、修正するのが一般に困難である典型的な収差がもたらされる。
屈折率の変化をもたらし、かつ表面変化ももたらす光学素子の材料の加熱によって生じ、または屈折率の変化によって波面誤差をもたらすことがある密度の変化(圧縮)によって生じる典型的な収差は、たとえば、一定視野非点収差、三葉収差の一定視野発生、または四葉収差の一定視野発生である。しかしながら、一定視野収差に加えて、視野依存性または視野プロファイル、たとえばひずみ(歪像)の一倍視野プロファイルおよび像表面の非点視野プロファイルを示す収差も生じる。
【0008】
一定視野非点収差を、レンズの非点変形を経て修正することができることが公知である。
この目的のために用いることができる能動変形可能なレンズ素子は、たとえば、下記特許文献1に記載されている。ここで、能動変形可能なレンズはマウントに配置され、レンズには光学軸にほぼ垂直にレンズに作用する1つ以上のアクチュエータを有するマニピュレータが割り当てられる。アクチュエータは、曲げ事例の形態の変形をもたらすために、回転対称ではなくかつ半径方向からそれる力および/またはトルクを光学素子上に生じさせる。マニピュレータがアクチュエータをいくつ有するかに応じて、能動変形可能なレンズを少なくとも部分的に変形することによって相応して1倍、2倍、3倍または略n倍収差を修正するために、1倍、2倍、3倍、または略n倍変形または曲げ事例を生じさせることが可能である。
【0009】
任意の所望の複雑な幾何学形状を示すことができる光学素子の上記非球面化と対照してみると、相応して複雑な波面誤差プロファイルを修正するために、能動変形可能なレンズの修正潜在力はより低くなる傾向にあり、かつ実質的には簡単な波面収差プロファイルに限られる。
能動変形可能なレンズを使用するという従来の概念は、特定の誘起された像欠陥を修正するために用いられることを目的とする1つの能動変形可能な素子の使用に限られている。能動変形可能なレンズを適切に変形し、修正対象の像欠陥(収差)を大幅に修正するこの方法の手順を用いることは確かに可能であるが、この修正は、他の像欠陥を誘起または増大し、この結果、投影対物レンズの結像品質全体が、改良されないことがあるか、または実質的に改良されない。
【0010】
このことは、1つ以上の像欠陥、特に材料のエージングおよび/または一時的な材料の加熱のせいで生じるものを効果的に抑えるために用いることができる投影対物レンズの結像特性を改良する方法が今もなお必要であることを意味している。
【特許文献1】国際公開第99/67683号パンフレット
【特許文献2】独国特許出願公開第102 10 899号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/019128号パンフレット
【特許文献4】特開2004−317534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、マイクロリソグラフィー投影対物レンズの結像特性を改良する方法を提供することである。
さらに、本発明の目的は、結像特性に関して改良される投影対物レンズを提供することである。
さらに、本発明の目的は、マイクロリソグラフィー投影対物レンズについて、投影対物レンズの複数のレンズから、少なくとも1つの好適なレンズを像欠陥を少なくとも部分的に修正するための能動変形可能な素子として選択することによる方法を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1態様にしたがって、マイクロリソグラフィー投影対物レンズの結像特性を改良する方法が提供され、該投影対物レンズは物体平面と画像平面との間に複数のレンズを備え、複数のレンズのうち第1レンズにはレンズを能動変形するための第1マニピュレータが割り当てられ、第1レンズは像欠陥を少なくとも部分的に修正するために変形され、複数のレンズのうち少なくとも1つの第2レンズはさらに少なくとも1つの第2マニピュレータが割り当てられ、かつ第2レンズは第1レンズに加えて変形される。
【0013】
本発明による方法は、投影対物レンズの少なくとも2つの能動変形可能なレンズを提供することに基づき、かつこのことは、とりわけ、互いに独立している一次および高次の次数の像欠陥を修正する可能性を広げる。対照的に、この可能性は1つの能動変形可能なレンズのみを使用する際には存在せず、このことは一次および高次の次数の像欠陥が互いに線形依存できるということに基づいている。たとえば、Z5における一次の2倍画像欠陥は、Z12における関連する次に高次の像欠陥に線形依存している。Z11における3倍像欠陥は、たとえばZ20における次に高次の像欠陥に線形依存しており、かつZ17における4倍像欠陥は、Z28における次に高次の像欠陥に線形依存している。この場合、Z5、Z12、Z11、Z20、Z17、Z28は像欠陥を波面の級数展開において分類するために公知であるように用いられているツェルニケ係数である。
【0014】
本発明による方法は液浸構成または乾燥構成の投影対物レンズに応用することができる。さらに、本発明による方法は屈折素子、すなわちレンズのみから構成されている投影対物レンズに応用することができるのみならず、屈折素子と反射素子、たとえば鏡との組合せから構成される投影対物レンズに応用することもできる。
投影対物レンズの像欠陥を少なくとも部分的に修正するための少なくとも2つの能動変形可能なレンズを使用するさらなる利点は、少なくとも2つの能動変形可能なレンズの位置および/または幾何学形状の好適な選択が与えられたとすると、簡単なマニピュレータを用いて、さらにより複雑な波面プロファイル、すなわち上述したレンズの変形性の限定によって、1つの能動変形可能なレンズのみを用いては実施することができないもの、または費用を実質的に増やしてしか実施することができないものを作成することが可能であるという点にある。
【0015】
したがって、第1レンズおよび少なくとも第2レンズを好ましくは隣接させことができ、または物体平面と画像平面との間の相互光学的な共役位置に配置することができ、そして両方のレンズは変形が異なる変形プロファイルを示すように変形される。
このことは、複雑な視野プロファイルがある波面収差を少なくとも部分的に修正するという有利な可能性となる。
【0016】
第1レンズおよび少なくとも第2レンズが隣接していない、または物体平面と画像平面との間の非相互光学的な共役位置に配置され、かつどちらも変形が異なる変形プロファイルを示すように変形されれば、類似の効果を有利に達成することができる。
投影対物レンズにおいて隣接または共役位置に配置されるレンズには画像の視野プロファイルに対して実質的に同一な効果があるが、非隣接レンズまたは非相互光学的な共役位置に配置される投影対物レンズにおけるレンズは、像視野に対して異なる効果がある。両方の場合において特定の収差視野プロファイルまたは一定視野収差を補正するために、少なくとも2つのレンズは、前者の場合には好ましくは異なって変形され、かつ後者の場合には実質的に同一に変形される。
【0017】
異なるプロファイルの上で指定された変形を、第1レンズおよび少なくとも第2レンズは形状が異なるという事実によって好適に達成することができる。
少なくとも2つの能動変形可能なレンズが異なる形状または幾何学的形状を有するなら、2つのレンズに加える同一の力を生じさせても、異なる変形プロファイル、ひいては異なる修正効果がもたらされる。
【0018】
同様に、第1レンズおよび少なくとも第2レンズは異なる力を生じさせることによって変形されるという事実によって、異なるプロファイルの変形を達成することが可能である。
特に、特定の修正効果を達成するために、逆方向の力を生じさせて第1および少なくとも第2レンズを変形することができる。
【0019】
第1レンズおよび少なくとも第2レンズが物体平面と画像平面との間の非相互光学的な共役位置に配置されれば、どちらも少なくとも実質的に同一に変形することができ、しかも2つの能動変形可能なレンズの修正効果は投影対物レンズにおけるそれらの位置の関数であるので、同一変形は画像平面における像欠陥に対する異なる修正効果を生じることができる。
【0020】
逆に、第1レンズおよび少なくとも第2レンズが物体平面と画像平面との間の相互光学的な共役位置に配置される場合、両方のレンズを実質的に異なって変形することが可能であり、このようにして異なる修正効果を達成する。
さらに、好都合なことには、第1レンズおよび少なくとも第2レンズを互いに対して特定の比で変形することを規定することができる。
【0021】
たとえば、第1レンズおよび少なくとも第2レンズが像視野にわたって一定にZ5およびZ12における波面収差に影響を及ぼし、Z5とZ12との間の比がたとえば第1レンズについて−3であり、たとえば第2レンズについて+2であるなら、第1レンズの場合と比較して、Z5とZ12との間の所望の比xを、第2レンズの変形を3+x/2−xの比で選択することによって設定することが可能である。絶対的な大きさは、波面におけるZ5の所望の振幅によって決まる。
【0022】
一般的な言葉で表現すると、上で指定された比は、好ましくは、第1レンズおよび少なくとも第2レンズの、その半径方向一次ツェルニケ次数(たとえば、Z5)および半径方向高次ツェルニケ次数(たとえば、Z12)の波面収差に対する影響の関数として選択される。
さらに、第1レンズおよび少なくとも第2レンズが、像欠陥の半径方向一次ツェルニケ次数をその半径方向高次ツェルニケ次数とは実質的に独立して、また逆も同様に修正できるように複数のレンズから選択されることが好ましい。
【0023】
最初にすでに述べたように、たとえば1つのレンズのみが変形されるとき、Z5とZ12との間などの、同じ像欠陥の一次ツェルニケ次数と半径方向高次ツェルニケ次数との間に線形依存性がある。第1レンズおよび少なくとも第2レンズの幾何学的形状および/または位置を好適に選択することによって、この線形依存性を修正される波面収差に関して断ち切ることができる。
【0024】
このことは、好ましくは、第1および少なくとも第2レンズを、半径方向一次ツェルニケ次数と半径方向高次ツェルニケ次数との比に対する第1レンズの修正影響の大きさが少なくとも第2レンズの修正影響にほぼ等しいが、符合が異なるように複数のレンズから選択することによって生じることができる。
修正影響の同一の大きさとともに少なくとも第2レンズの修正影響を参照して、線形依存性を第1レンズの修正影響の異なる符号によって断ち切ることができる。
【0025】
それぞれ異なる符合の第1レンズおよび少なくとも第2レンズの修正影響は、好ましくは、それぞれ第1レンズが正レンズであり、かつ少なくとも第2レンズが負レンズであるという事実によって実現することができる。投影対物レンズ中のビーム経路の方向における配列は、ここでは重要ではなく、すなわち第1レンズを少なくとも第2レンズの上流またはその下流のビーム伝搬方向に配置することができる。
【0026】
本方法のより具体的な改良形態を以下で説明する。
像欠陥が、視野依存性要素と一定視野要素との組合せまたは多数が視野依存性の要素を含み、複数のレンズから第1レンズとしておよび/または少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比の大きさが負レンズの場合には約0.8〜約0.9または約1.1〜約1.2の範囲にあり、かつ正レンズの場合には約0.9〜約1.1の範囲にある。
【0027】
レンズの副開口半径は、レンズ前側またはレンズ後側の視野点から発する光円錐の半径として理解される。レンズ前側およびレンズ後側の副開口半径は、投影対物レンズのレンズの位置およびそれらの幾何学的形状に依存している。
修正される像欠陥が、視野依存性要素と一定視野要素との組合せまたは多数が視野依存性の要素を含む前述の場合には、複数のレンズから第1レンズとしておよび/または少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径の最大レンズ高さに対する比の大きさが約0.7より小さく、かつ約0.1より大きい。
【0028】
レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径の最大レンズ高さに対する比は、次に投影対物レンズにおけるレンズの位置によって影響される。たとえばZ2(歪像)におけるような像欠陥の視野依存性要素は、約0.7という前述の値によって表現されるように、瞳孔平面よりも視野平面の近くに位置決めされる能動変形可能なレンズによって最も効果的に修正することができる。
【0029】
修正される像欠陥が、少なくとも多数が一定視野の要素を有する場合、複数のレンズから第1レンズとしておよび/または少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比の大きさが、負レンズの場合には約0.8〜約0.9または約1.1〜約1.2の範囲にあり、かつ正レンズの場合には約0.9〜約1.1の範囲にある。
【0030】
正レンズおよび負レンズが像欠陥を修正するために選択される場合、これらのレンズの位置は、好ましくは、正レンズのすぐ上流の周辺光線のビーム角の大きさが選択された負レンズのすぐ上流の周辺光線のビーム角よりも小さいように選択される。
同様に、複数のレンズから第1レンズとしておよび/または少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径の最大レンズ高さに対する比の大きさが約0.7より大きいことがこの場合好ましい。
【0031】
したがって、瞳孔近くの素子が像視野における波面収差に対して実質的に一定の視野効果を示すので、一定視野要素は、好ましくは視野平面よりも瞳孔平面に近いレンズの能動変形によって生じる。
能動変形可能な素子としての第1レンズおよび/または第2レンズの投影対物レンズの複数のレンズからの好適な選択については、1つのレンズが選択され、その場合、レンズ中心部の厚みの最大レンズ高さに対する比は約0.4より小さいのが好ましい。
【0032】
ここでは、レンズの最大高さはレンズ本体の最大光線の高さとして理解される。これは一般にレンズの実際の高さ全体より若干小さい。
しかしながら、これらの場合には比較的弱い力を生じさせることによって変形を達成することができるので、能動変形可能な素子としてレンズを薄くすることが優先され、かつこのことは好都合なことに、組立のコストおよびマニピュレータに関する要件を低減する。
【0033】
しかしながら、前述したような薄いレンズは好適な位置にまたは好適な幾何学的形状では存在せず、その代わり、能動変形可能なレンズとしての選択に関して好適な位置に、変形にはそれ自体厚すぎる厚いレンズが置かれる場合、このレンズは少なくとも2つの個別のレンズに分割することができ、かつ個別のレンズのうち少なくとも1つを変形することができる。
【0034】
さらに好ましい改良形態では、複数のレンズから第1レンズとしておよび/または第2レンズとして動作中2回以上光が通過するレンズが選択されると規定されている。
ここにおける利点は、そのようなレンズを光が数倍、たとえば2倍通過することが、このレンズの変形の光学効果を修正潜在力として強化し、かつ2倍通過の場合にはその効果をすでに事実上2倍にするということである。たとえば、ビーム偏向を有するカタディオプトリック(反射屈折)投影対物レンズには、動作中に光が2回通過するレンズが存在する。
【0035】
さらに好ましい改良形態では、第1レンズおよび少なくとも第2レンズは、1倍、2倍、3倍またはn倍対称性(式中n>3)によって変形される。
前述した改良形態によって、能動変形可能なレンズを用いて、1倍、2倍、3倍またはn倍波面収差を、このようにして少なくとも部分的に修正することが可能である。
本発明のさらなる態様によれば、マイクロリソグラフィー投影対物レンズの複数のレンズのうち少なくとも1つのレンズを、像欠陥を少なくとも部分的に修正するための能動変形可能な素子として選択する方法が特定され、複数のレンズのうち少なくとも1つのレンズの幾何学的形状および/または位置が、修正される像欠陥の関数としての選択基準として用いられる。
【0036】
したがって、本方法は、複数のレンズを有する投影対物レンズの既存の光学設計または製図の場合に、1つ以上の像欠陥を修正するための能動変形可能なレンズとして最適な上記で特定したような少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つのレンズを決定するという思想に基づいている。
好適な幾何学的形状についての選択基準として、少なくとも1つのレンズの正レンズまたは負レンズとしての特性を用いることが好ましい。
【0037】
正レンズおよび負レンズの波面収差に対する、特に特定の波面収差に対する影響の符号(+/−)に対する異なる効果はすでに上述している。
さらに、中心部厚みの最大レンズ高さに対する比を、好適な幾何学的形状についての選択基準として用いることが好ましい。
「最大レンズ高さ」は、関連したレンズに対する最大光線高さとして理解されるものである。この選択基準は、強い力を生じることによって作動する必要なく、投影対物レンズの特定のレンズをマニピュレータを用いて好適な方法で変形することができるという好適性を考慮している。
【0038】
この場合、1つのレンズを選択し、その場合、中心部厚みと最大レンズ高さとの比が約0.4より小さいことが好ましい。
少なくとも1つのレンズの好適な位置についてのさらに好ましい選択基準は、レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比である。
像欠陥が、少なくとも多数が一定視野の要素を含む場合、少なくとも1つのレンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比の大きさが負レンズの場合には約0.8〜約0.9または約1.1〜約1.2の範囲にあり、かつ正レンズの場合には約0.9〜約1.1の範囲にある。
【0039】
像欠陥が、視野依存性要素と一定視野要素との組合せまたは多数が視野依存性の要素である場合、少なくとも1つのレンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比の大きさが負レンズの場合には約0.8〜約0.9または約1.1〜約1.2の範囲にあり、かつ正レンズの場合には約0.9〜約1.1の範囲にある。
【0040】
少なくとも1つのレンズの好適な位置についてのさらに好ましい選択基準は、レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径と最大レンズ高さとの比である。
像欠陥が、少なくとも多数が一定視野の要素を含む場合、少なくとも1つのレンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径の最大レンズ高さに対する比の大きさが約0.7より大きい。
【0041】
像欠陥が、視野依存性要素と一定視野要素との組合せまたは多数が視野依存性の要素である場合、少なくとも1つのレンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径の最大レンズ高さに対する比の大きさが0.7より小さい。
さらなる選択基準は、投影対物レンズの動作中に2回以上光が少なくとも1つのレンズを通過するかどうかということである。
【0042】
すでに上述したように、カタディオプトリック投影対物レンズの場合において規定することができように、そのようなレンズを好ましくは、2回以上、たとえば2回光が通過する能動変形可能なレンズとして選択することができる。
本発明のさらなる態様によれば、マイクロリソグラフィー投影対物レンズが設けられ、対物レンズの物体平面と画像平面との間に配置される複数のレンズを備え、第1レンズを能動変形するための第1マニピュレータは複数のレンズのうち第1レンズに割り当てられ、第1レンズは収差を少なくとも部分的に修正するために変形可能であり、少なくとも1つの第2マニピュレータはさらに複数のレンズのうち少なくとも1つの第2レンズに割り当てられ、かつ少なくとも第2レンズは第1レンズに加えて変形可能である。
【0043】
本発明による投影対物レンズの場合には、請求項において特定される投影対物レンズの好ましい改良形態によって、該投影対物レンズの結像特性を改良するために前述した方法を応用することが可能である。
さらなる利点および特徴は、次の説明および添付の図面から明らかとなる。
上記の特徴およびさらに以下で説明すべき特徴を、それぞれ特定された組合せにおいてのみならず、本発明の趣旨を逸脱することなく他の組合せで、または単独で用いることができることは自明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
選択した例示的実施形態を用いて、本発明を以下でより詳細に説明する。
複数のレンズから構成されるマイクロリソグラフィー投影対物レンズの場合、光学素子の材料の動作またはエージング中の加熱に基づいて生じることがある像欠陥を修正するために、本発明による方法では、投影対物レンズの複数のレンズから少なくとも2つのレンズを、選択し、かつ生じる像欠陥を少なくとも部分的に修正するために、マニピュレータを介して能動変形されると規定されている。
【0045】
少なくとも2つのレンズが能動変形可能なレンズとして選択されるかどうか、または1つのレンズのみが、能動変形可能なレンズとして選択されるかどうかにかかわらず、本発明のさらなる態様は、能動変形可能なレンズのようなレンズを選択するのに好適な基準を特定することにある。
まず第一に述べる、かつそれに従って少なくとも2つのレンズが複数のレンズから能動変形可能なレンズとして選択される本発明の態様を、まずより詳細に説明する。
【0046】
1つのレンズのみが、像欠陥を修正するための能動変形可能なレンズとして用いられる場合、個々のレンズの変形によって比較的単純な波面の影響のみが像視野における波面上に生じることがある。対照的に、システムにおいて共役位置に配置される2つ以上の隣接するレンズが、たとえば、レンズの異なる形状および/またはマニピュレータによる力の異なる導入に基づいて異なる符号の、および適切な場合には、たとえば力を逆方向に導入することによって異なる符号の変形を有するなら、1つの変形可能なレンズを用いて達成することができないような複雑な波面の影響が、少なくとも2つのレンズの変形の異なるプロファイルの組合せにおいて生じることがある。
【0047】
2つ以上の能動変形可能なレンズが投影対物レンズにおける異なる位置で変形されるとき、同じ結果を達成することができ、これらの選択されたレンズは、類似の変形をすることができるが、投影対物レンズにおける異なる位置によって異なる波面の影響を有する。
このことを、簡単な場合について、図1に図示する。一番上の曲線Aで図示するのは、投影対物レンズの複数のレンズのうち第1レンズの、二次であると仮定する波面の影響である。
【0048】
下方の曲線Bで図示するのは、4倍の依存性を示す能動変形された第2レンズの波面の影響であり、しかも、曲線Aに沿った波面の影響と符号が異なっている。
破線で図示する曲線Cは、曲線Aおよび曲線Bに沿った波面の影響の合計として生じる重ね合わせを示し、単独では、第1レンズおよび第2レンズの個々の波面の影響よりも複雑な視野プロファイルを示す。像視野における波面収差を少なくとも部分的に補正するために、2つ以上のレンズを組み合せ、かつ適切な変形によって波面の複雑な視野プロファイルを生成することは、このようにして可能である。
【0049】
この場合、特に、第1レンズおよび少なくとも第2レンズを互いに特定の比で変形することが可能である。この比は、第1レンズおよび少なくとも第2レンズの、半径方向一次ツェルニケ次数および半径方向高次ツェルニケ次数の波面収差に対する影響の関数として選択される。
このことを、その一次ツェルニケ次数Z5および半径方向の次の高次ツェルニケ次数Z12の例で説明する。
【0050】
第1レンズは、Z5とZ12との比が−3である場合、波面の影響を生じると仮定してもよい。この比が、第2レンズについて+2であるとさらに仮定してもよい。次に、Z5とZ12との所望の比xを、第1レンズと比較して、3+x/2−xの比で第2レンズの変形を選択することによって設定することができる。大きさは、波面におけるZ5(またはZ12)の所望の振幅によって決まる。
【0051】
たとえば、1倍、2倍、または3倍またはより高倍で対象に変形される能動変形可能なレンズを用いて、光学素子の加熱によって動作中に生じる可能性がある投影対物レンズの像欠陥を修正するとき、1つの能動変形可能なレンズのみが修正のために用いられる場合には、一次ツェルニケ次数および関連する高次ツェルニケ次数が互いに線形依存していることに留意されたい。
【0052】
このように、Z5の一次ツェルニケ次数、およびZ12の半径方向高次ツェルニケ次数に従って2倍の対称性を持つ像欠陥は、互いに依存しており、かつ同様に3倍一次ツェルニケ次数Z11および3倍ツェルニケ次数Z20が互いに依存しており、かつ4倍ツェルニケ次数Z17が、半径方向高次4倍ツェルニケ次数Z28に依存している。
たとえば2倍対称性を持つ像欠陥の場合には、1つの能動変形可能なレンズのみを用いて一次および高次次数間の線形依存性に基づいて、Z12をZ5と無関係に修正することは不可能であり、結果として、2つのツェルニケ係数の一方が修正後にかなり増加する可能性がある。したがって、合理的な最適化は不可能である。
【0053】
しかしながら、少なくとも2つのレンズが、投影対物レンズ内の能動変形可能なレンズとして修正のために選択されるとき、かかる像欠陥の合理的な修正が可能である。もちろん、3つ以上のレンズを能動変形可能なレンズとして選択することも可能であり、特に偶数のかかるレンズが使用される。少なくとも2つのレンズを能動変形可能なレンズとして用いることによって、互いに独立して一次および半径方向に高次の次数を設定することができる。
【0054】
一次および半径方向に高次な次数と修正とがそのように独立していることを確実なものにするために、2つのレンズの修正影響は異なる符号でなければならないが、大きさの点で類似であるものとする。
同様に、投影対物レンズにおける選択されたレンズの幾何学的形状および位置について特定の要求をする必要がある。
【0055】
この結果、投影対物レンズの複数のレンズから、像欠陥の修正のための能動変形可能なレンズとして好適なレンズを選択することについて、さまざまな選択基準が生じる。
たとえば第1レンズを負レンズとし、かつたとえば第2レンズを正レンズとすることによって、第1ツェルニケ次数およびそれに関連する半径方向に高次なツェルニケ次数に関して独立した修正を達成することが可能である。このことを、図2を参照して以下でより詳細に説明する。
【0056】
図2は負レンズ10および正レンズ12を図示している。
光線14は、負レンズ10のレンズ前側16に入射する。
連続線は非変形状状態の負レンズ10を図示し、かつ破線はマニピュレータ21によって生じた変形状態のレンズを図示している。
負レンズ10内部での入射光線14の伝搬は、非変形状態では線18に沿って、変形状態では線20に沿って起こる。光線は、負レンズ10の後側22から出た後、負レンズ10の非変形状態では線24に沿って、および変形状態では線26に沿ってさらに伝搬する。
【0057】
28は正レンズ12の前側を示し、かつ30は後側を示している。連続線は非変形状態の正レンズ12を図示し、かつ破線は変形状態のレンズを図示している。入射光線32は、正レンズ12の非変形状態では線34および36に沿って、かつ変形状態では線38および40に沿って伝搬する。
負レンズ10の変形は、正レンズ12の変形のように、光学軸zに垂直な距離rの二次関数であると以下で仮定する
次に、変形の後生じるレンズの厚さd(r)については、およそ以下のように考えられる。
【0058】
【数1】

【0059】
ここでdは負レンズ10または正レンズ12の中心部厚みであり、Rはレンズ前側16または28の曲率半径であり、Rは、レンズ後側22または30の曲率半径である。
それぞれのレンズ前側16または28およびそれぞれのレンズ後側22または30での副開口(subaperture)半径Rによって、n倍波面変形WFDをおよそ以下のように説明することができる。
【0060】
【数2】

【0061】
極率半径RおよびRは符号によって影響され、かつこれらの符号が同様に負レンズ10と正レンズ12との間で互いに異なっているので、負レンズ10についてはa>0、および正レンズ12についてはa<0である。
負レンズ10および正レンズ12に付与さられる、n倍対称性を有する変形が2倍(n=2)であると仮定すると、波面変形WFDについては、およそ以下のようになる。
【0062】
【数3】

【0063】
さて、一次ツェルニケ次数Z5および半径方向高次ツェルニケ次数Z12に対する波面変形WFDの寄与率に戻ると、負レンズ10については以下のように考えられる。
【0064】
【数4】

【0065】
かつ、正レンズ12については以下のように考えられる。
【0066】
【数5】

【0067】
波面変形におけるツェルニケ係数Z5に対する寄与率aが等しいように変形が選択される場合、Z5に対する波面変形の寄与率は互いに消去し合い、第1ツェルニケ次数Z5とはかかわりなく次数Z12における波面変形に到達することができる。
逆に、もちろん、Z12における波面変形の寄与率が互いに消去し合い、かつこの場合Z5をZ12とかかわりなく修正することができるように、Z5におけるZ5の修正に関する寄与率の合計が有限値になるようにして進行することも可能である。
【0068】
投影対物レンズ内部の能動変形可能なレンズとして選択されるレンズの幾何学的形状に加えて、図3を参照して以下で説明する能動変形可能なレンズとして好適なレンズを選択するためのさらなる選択基準が重要である。
レンズまたはレンズの変形の像視野における波面変形に対する光学効果も、投影対物レンズ内部のレンズの位置に依存している。
【0069】
投影対物レンズ内部のレンズの位置に依存しているレンズの変形の光学効果は、少なくとも、とりわけレンズ前側における副口径とレンズ後側における副口径との比によって、および前側または後側における副口径(またはこれら2つのうち大きい方)のレンズの最大高さに対する比によって影響される。
図3は、変形と光学効果との間の関係をさまざまなレンズの副開口半径の関数として図示する図を示している。
【0070】
図面の横座標は、副口径(レンズ前側もしくはレンズ後側における、またはこれらの2つのうち大きい方)の最大レンズ高さに対する比を示し、この比は当然1を超えることができない。
図面の縦座標は、レンズ前側における副口径のレンズ後側における副口径に対する比を示す。
【0071】
23個のレンズLE1〜LE23が、図面における値の対(RSV/RSH;RSH/Hmax)に割り当てられている。図12a)および図12b)に図示するように、レンズLE1〜LE23はそれぞれ投影対物レンズに属している。レンズLE1〜LE23の一覧は、図12a)および図12b)の図示におけるレンズの左から右への、すなわち物体平面から画像平面への配列に対応している。
【0072】
線は図面にもプロットされ、各線は、値の対(RSV/RSH;RSH/Hmax)についての変形の同一の光学効果を図示している。
光学効果の増加の方向を、矢印AおよびBによって図示している。
光学効果は、すべてのレンズについて同一であると仮定する変形事例の結果生じる波面変形の1つの尺度である。増加する派生波面変形は、増加する光学効果を意味している。
【0073】
存在しているレンズの変形が一定視野および視野依存性波面変形に対して最も大きな光学効果を有する値の対(RSV/RSH;RSH/Hmax)の範囲を図示する枠も図3にプロットされている。これらは、一定視野波面変形に関するレンズLE11〜LE23である。この範囲はレンズを含んでおり、それらのレンズについては、レンズ前側またはレンズ後側における副口径の最大レンズ高さに対する比が約0.7より大きく、かつレンズ前側における副口径とレンズ後側における副口径との比が、正レンズについては約0.9〜約1.1の範囲にあり、負レンズについては約0.8〜約0.9および約1.1〜約1.2の範囲にある。
【0074】
視野依存性の要素を極めて多く有する、または視野依存性要素と一定視野要素との組合せからなる像欠陥を修正するために、能動変形可能なレンズとしてレンズが選択され、それらの選択されたレンズについては、副口径の最大レンズ高さに対する比が約0.7より小さく、かつレンズ前側における副口径のレンズ後側における副口径に対する比が、正レンズについては約0.9〜約1.1の範囲にあり、かつ負レンズについては約0.8〜約0.9または約1.1〜約1.2の範囲にあると同様に考えることができる。このことを、レンズLE1〜LE10について図3に示す。
【0075】
レンズの中心部厚みのレンズ高さに対する比が、約0.4より小さくなる場合、および投影対物レンズの動作中、光が対応するレンズを1回だけでなく2回または数回通過するとしても、後者の場合には光学効果が通過ごとに実質的に2倍、または増大するので、能動変形可能なレンズとして選択されるレンズについてのさらなる選択基準はレンズの厚みとなる。
【0076】
図4a〜図11bは、投影対物レンズの例示的な実施形態を図示し、能動変形可能なレンズを用いて収差の修正をするという前述の概念の場合を図示している。
図4aおよび図4bは、上記特許文献2に記載されているような投影対物レンズ50を示している。投影対物レンズ50は、1.1の開口数NAを有している。
光学的に有効なモジュールの以下の配列において、投影対物レンズ50は、光の通過の意味において、正の屈折率の第1純ディオプトリック部、投影対物レンズ50の中間領域に配置される両凹レンズ、および正の屈折率の第3純ディオプトリック部を含んでいる。
【0077】
この投影対物レンズ50の場合に有することができる像点の最大半径Y’は、11.0mmである。
図4aは、存在するレンズについて、それぞれのレンズにおける副口径の最大レンズ高さに対する比が、約0.7より小さい投影対物レンズ50の領域を強調している。
この領域では、存在するレンズを、レンズの加熱またはレンズのエージングによって生じることがある多数の視野依存性の像欠陥または一定視野欠陥と視野依存性像欠陥との組合せ(たとえば、軸上の非点収差および歪像)を少なくとも部分的に修正するために適切なマニピュレータM,・・・,M(n≧1)が次に割り当てられる、収差を修正するための能動変形可能なレンズとして選択することができる。
【0078】
図4aにおいて暗い背景で図示するのは、像欠陥を修正するための能動変形可能なレンズとして好適であるレンズである。暗い背景をもたない、ひいては、副口径の最大レンズ高さに対する比が約0.7より小さいという選択基準を満たすレンズは、確かに他の理由で能動変形可能なレンズとしてはあまり適していない。たとえば、レンズL4は能動変形可能なレンズとしては厚すぎるが、この場合、レンズL4は2つの別個のレンズに分割することができ、かつこれらの2つの別個のレンズの一方または両方を能動変形可能なレンズとして選択することができる。
【0079】
たとえば、レンズL1、L2およびL3等の負レンズを能動変形可能なレンズとして選択することができ、かつレンズL7およびL8を正レンズとして選択することができることも、図4aから分かる。
図4aにおいて暗い背景を有するレンズは、前述したように多数が視野依存性の要素を有する像欠陥を修正するための能動変形可能なレンズとして用いることができる。
【0080】
同じ投影対物レンズ50を図4bに図示し、レンズにおける副口径の最大レンズ高さに対する比が約0.7より大きい場合のレンズをハッチングで図示している。次に、ハッチングで図示するこれらのレンズは負レンズおよび正レンズを含み、多数が一定視野要素、たとえば、Z5、Z11、Z17等を有する像欠陥を修正するための能動変形可能なレンズとして選択することができる。適切なマニピュレータK,...,K(m≧1)は、変形のために選択されるレンズの1つ以上を変形するために設けられている。
【0081】
図5〜図11は、図4aおよび図4bと同様に解釈される投影対物レンズのさらなる例示的な実施形態を特徴付けている。暗い背景を有する、またはハッチングで図5〜図11に表す対物レンズのレンズを変形するためのマニピュレータは図5〜図11に示されていないが、図4aおよび図4bに図示するように設けられている。
図5aおよび図5bに図示する投影対物レンズは、ちょうど図8aおよび図8bに図示する投影対物レンズと同様に、上記特許文献3に記載されている。
【0082】
光の通過の意味において、図6aおよび図6bに図示する投影対物レンズは、光学的に有効なモジュールの以下の配列において、第1瞳孔平面を経て物体平面を第1中間画像上に結像する第1純ディオプトリック部、第2瞳孔平面を経て第1中間画像を第2中間画像上に結像しかつ第2瞳孔平面のそれぞれ上流および下流に2つ凹面鏡を有する第2純カトプトリック(光反射)部、および第3瞳孔平面を経て第2中間画像を画像平面上に結像する第3ディオプトリック部を有している。投影対物レンズは、図6aおよび図6bによれば、開口数NA=1.35を有し、この投影対物レンズに対して有することができる像点の最大半径Y’は、16.25mmである。
【0083】
光の通過の意味において、図7aおよび7bに図示する投影対物レンズは、光学的に有効なモジュールの以下の配列において、第1瞳孔平面を経て物体平面を第1中間画像上に結像する第1カタディオプトリック(反射屈折)部、第2瞳孔平面を経て第1中間画像を第2中間画像上に結像する第2カタディオプトリック部、および第3瞳孔平面を経て第2中間画像を画像上に結像する第3カタディオプトリック部を有している。投影対物レンズの開口数は、NA=1.20であり、この投影対物レンズに対して有することができる像点の最大半径は、14.4mmである。
【0084】
図8aおよび図8bに図示する投影対物レンズは、図7aおよび図7bを参照して前述した設計原理に対応し、この投影対物レンズは、NA=1.25の開口数を有し、この投影対物レンズに対して有することができる像点の最大半径Y’は、15.0mmである。
光の通過の意味において、図9aおよび図9bに図示する投影対物レンズは、光学的に有効なモジュールの以下の配列において、第1瞳孔平面を経て物体平面を第1中間画像上に結像する第1ディオプトリック部、第2瞳孔平面を経て第1中間画像を第2中間画像上に結像する第2カタディオプトリック部、第3瞳孔平面を経て第2中間画像を第3中間画像上に結像する第3カタディオプトリック部、および第4瞳孔平面を経て第3中間画像を画像上に結像する第4カタディオプトリック部を有している。投影対物レンズは、NA=1.30の開口数を有し、この投影対物レンズに対して有することができる像点の最大半径Y’は、15.75mmである。
【0085】
図10aおよび図10bに図示する投影対物レンズは、図9aおよび図9bに準じる投影対物レンズによる設計原理に対応し、この投影対物レンズは、NA=0.92の開口数を有し、かつこの投影対物レンズに対して有することができる像点の最大半径Y’は、16.1mmである。
図10aおよび図10bに図示する投影対物レンズは、上記特許文献4に記載されている。
【0086】
最後に、図11aおよび図11bに図示する投影対物レンズは、図4aおよび図4bの投影対物レンズを参照して上述した設計原理を有している。この投影対物レンズは、NA=0.95の開口数を有し、この投影対物レンズに対して有することができる像点の最大半径Y’は、14.0mmである。
それぞれの投影対物レンズに対して有することができる像点の開口数NAおよび最大半径Y’を以下の表にまとめる。
【0087】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】異なる変形の2つのレンズの組合せの場合、または投影対物レンズにおける異なる位置での波面効果を図示する図を示す。
【図2】負レンズおよび正レンズが能動変形する際のこれらのレンズの異なる修正効果または波面効果を図示する目的で、負レンズおよび正レンズを示す。
【図3】変形の光学効果間の関係を、図11に表される投影対物レンズ内のさまざまなレンズの副口径の関数として図示する図を示す。
【図4a】図4aおよび図4bは、投影対物レンズの例示的実施形態を示し、図4aにおいては視野依存性要素を有する像欠陥または多数の像欠陥を修正するための能動変形可能なレンズとして好適である投影対物レンズの特定のレンズが強調され、一方図4bにおいては圧倒的多数の一定視野要素を有する像欠陥を修正するための能動変形可能なレンズとして好適である投影対物レンズのレンズが強調されている。
【図4b】図4aおよび図4bは、投影対物レンズの例示的実施形態を示し、図4aにおいては視野依存性要素を有する像欠陥または多数の像欠陥を修正するための能動変形可能なレンズとして好適である投影対物レンズの特定のレンズが強調され、一方図4bにおいては圧倒的多数の一定視野要素を有する像欠陥を修正するための能動変形可能なレンズとして好適である投影対物レンズのレンズが強調されている。
【図5a】図5aおよび図5bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図5b】図5aおよび図5bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図6a】図6aおよび図6bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図6b】図6aおよび図6bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図7a】図7aおよび図7bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図7b】図7aおよび図7bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図8a】図8aおよび図8bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図8b】図8aおよび図8bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図9a】図9aおよび図9bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図9b】図9aおよび図9bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図10a】図10aおよび図10bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図10b】図10aおよび図10bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図11a】図11aおよび図11bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。
【図11b】図11aおよび図11bは、図4aおよび図4bに類似の図において、投影対物レンズのさらなる例示的実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィー投影対物レンズの結像特性を改良する方法であって、前記投影対物レンズは、物体平面と画像平面との間に複数のレンズを備え、前記複数のレンズのうち第1レンズには前記レンズを能動変形するための第1マニピュレータが割り当てられ、前記第1レンズは像欠陥を少なくとも部分的に修正するために変形され、前記複数のレンズのうちの少なくとも1つの第2レンズにはさらに少なくとも1つの第2マニピュレータが割り当てられ、かつ前記第2レンズは前記第1レンズに加えて変形される方法。
【請求項2】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは、隣接しているかまたは前記物体平面と前記画像平面との間の相互光学的な共役位置に配置され、かつどちらも前記変形が異なる変形プロファイルを示すように変形される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは、隣接していないかまたは前記物体平面と前記画像平面との間の非相互光学的な共役位置に配置され、かつどちらも前記変形が異なる変形プロファイルを示すように変形される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは形状が異なっていうる、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは異なる力を導入することによって変形される、請求項2ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは逆方向の力を導入することによって変形される、請求項2ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは前記物体平面と前記画像平面との間の非相互光学的な共役位置に配置され、かつ少なくとも実質的に同一に変形される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは前記物体平面と前記画像平面との間の相互光学的な共役位置に配置され、かつ実質的に異なって変形される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは互いに対して特定の比で変形される、請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記比は、前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズの半径方向一次ツェルニケ次数および半径方向高次ツェルニケ次数の波面収差に対する影響の関数として選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは、前記像欠陥の半径方向一次ツェルニケ次数をその半径方向高次ツェルニケ次数とは実質的に独立して、またその逆も同様に修正できるように前記複数のレンズから選択される、請求項1ないし10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは、前記第1レンズの半径方向一次ツェルニケ次数と前記半径方向高次ツェルニケ次数との比に対する修正影響の大きさが前記少なくとも第2レンズの修正影響にほぼ等しいが、符号が異なるように前記複数のレンズから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1レンズは正レンズであり、かつ前記少なくとも第2レンズは負レンズである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記正レンズのすぐ上流の周辺光線のビーム角の大きさは、前記負レンズのすぐ上流の周辺光線のビーム角より小さい、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記像欠陥は、視野依存性要素と一定視野要素との組合せまたは多数が視野依存性の要素を含み、前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比の大きさが負レンズの場合には約0.8〜約0.9または約1.1〜約1.2の範囲にあり、かつ正レンズの場合には約0.9〜約1.1の範囲にある、請求項1ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記像欠陥は、視野依存性要素と一定視野要素との組合せまたは多数が視野依存性の要素を含み、前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径の最大レンズ高さに対する比の大きさが約0.7より小さく、約0.1より大きい、請求項1ないし15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記像欠陥は、少なくとも多数が一定視野の要素を含み、前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比の大きさが、負レンズの場合には約0.8〜約0.9または約1.1〜約1.2の範囲にあり、かつ正レンズの場合には約0.9〜約1.1の範囲にある、請求項1ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記像欠陥は、少なくとも多数が一定視野の要素を有し、前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径の最大レンズ高さに対する比の大きさが約0.7より大きい、請求項1ないし14または17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ中心部厚みの最大レンズ高さに対する比は約0.4より小さい、請求項1ないし18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記複数のレンズから前記第1レンズおよび/または前記少なくとも第2レンズとして変形にはそれ自体厚すぎるレンズが選択され、このレンズは少なくとも2つの個別のレンズに分割され、かつ前記個別のレンズのうち少なくとも1つが変形される、請求項1ないし19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記第2レンズとして動作中2回以上光が通過するレンズが選択される、請求項1ないし20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは、1倍、2倍、3倍またはn倍対称性(式中n>3)によって変形される、請求項1ないし21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
マイクロリソグラフィー投影対物レンズの複数のレンズのうち少なくとも1つのレンズを選択する方法であって、前記少なくとも1つのレンズの幾何学的形状および/または位置が、修正される像欠陥の関数としての選択基準として用いられる場合、当該少なくとも1つのレンズを、前記像欠陥を少なくとも部分的に修正するための能動変形可能な素子として選択する方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのレンズの正レンズまたは負レンズとしての特性は、好適な幾何学的形状についての選択基準として用いられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記中心部厚みの最大レンズ高さに対する比は、好適な幾何学的形状についての選択基準として用いられる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
1つのレンズが選択され、その場合、中心部厚みの最大レンズ高さに対する比が約0.4より小さい、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比は、前記少なくとも1つのレンズの好適な位置についての選択基準として用いられる、請求項23ないし26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記像欠陥は、少なくとも多数が一定視野の要素を含み、前記少なくとも1つのレンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比の大きさが負レンズの場合には約0.8〜約0.9または約1.1〜約1.2の範囲にあり、かつ正レンズの場合には約0.9〜約1.1の範囲にある、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記像欠陥は、視野依存性要素と一定視野要素との組合せまたは多数が一定視野の要素を含み、前記少なくとも1つのレンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比の大きさが負レンズの場合には約0.8〜約0.9または約1.1〜約1.2の範囲にあり、かつ正レンズの場合には約0.9〜約1.1の範囲にある、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
レンズ前側およびレンズ後側のうち大きい方の副開口半径の最大レンズ高さに対する比が、前記少なくとも1つのレンズの好適な位置についての選択基準として用いられる、請求項23ないし29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記像欠陥は、少なくとも多数が一定視野の要素を含み、前記少なくとも1つのレンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径の最大レンズ高さに対する比の大きさが約0.7より大きい、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記像欠陥は、視野依存性要素と一定視野要素との組合せまたは多数が視野依存性の要素を含み、前記少なくとも1つのレンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径の最大高さに対する比の大きさが約0.7より小さく、かつ約0.1より大きい、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つのレンズとして動作中2回以上光が通過するレンズが選択される、請求項23ないし32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
マイクロリソグラフィー投影対物レンズであって、前記対物レンズの物体平面と画像平面との間に配置される複数のレンズを備え、第1レンズを能動変形するための第1マニピュレータが前記複数のレンズのうち前記第1レンズに割り当てられる場合、前記第1レンズは像欠陥を少なくとも部分的に修正するために変形可能であり、少なくとも1つの第2マニピュレータはさらに前記複数のレンズのうち少なくとも1つの第2レンズに割り当てられ、かつ前記少なくとも第2レンズは前記第1レンズに加えて変形可能である投影対物レンズ。
【請求項35】
前記投影対物レンズは、光の通過方向に、
正の屈折力の第1純ディオプトリック部と、
両凹レンズと、
正の屈折力の第3純ディオプトリック部との光学的に有効な構造部品の配列を含み、
前記第1レンズは前記第1ディオプトリック部に含まれ、および前記少なくとも第2レンズは前記第3ディオプトリック部に含まれる、請求項34に記載の投影対物レンズ。
【請求項36】
前記投影対物レンズは、光の通過方向に、
第1瞳孔平面を経て前記物体平面を第1中間画像上に結像する第1純ディオプトリック部と、
第2瞳孔平面を経て前記第1中間画像を第2中間画像上に結像し、かつ前記第2瞳孔平面の上流または下流に2つの凹面鏡を含む第2純カトプトリック部と、
第3瞳孔平面を経て前記第2中間画像を前記画像平面上に結像する第3ディオプトリック部との光学的に有効な構造部品の配列を含み、
前記第1レンズは前記第1ディオプトリック部に含まれ、および前記少なくとも第2レンズは前記第1または第3ディオプトリック部に含まれる、請求項34に記載の投影対物レンズ。
【請求項37】
前記投影対物レンズは、光の通過方向に、
第1瞳孔平面を経て前記物体平面を第1中間画像上に結像する第1カタディオプトリック部と、
第2瞳孔平面を経て前記第1中間画像を第2中間画像上に結像する第2カタディオプトリック部と、
第3瞳孔平面を経て前記第2中間画像を前記画像上に結像する第3カタディオプトリック部との光学的に有効な構造部品の配列を含み、
前記第1レンズは前記第1または第3カタディオプトリック部に含まれ、および前記少なくとも第2レンズは前記第2または第3カタディオプトリック部に含まれる、請求項34に記載の投影対物レンズ。
【請求項38】
前記投影対物レンズは、光の通過方向に、
第1瞳孔平面を経て前記物体平面を第1中間画像上に結像する第1ディオプトリック部と、
第2瞳孔平面を経て前記第1中間画像を第2中間画像上に結像する第2カタディオプトリック部と、
第3瞳孔平面を経て前記第2中間画像を第3中間画像上に結像する第3カタディオプトリック部と、
第4瞳孔平面を経て前記第3中間画像を前記画像上に結像する第4カタディオプトリック部との光学的に有効な構造部品の配列を含み、
前記第1レンズは前記第1ディオプトリック部または前記第3もしくは第4カタディオプトリック部に含まれ、および前記少なくとも第2レンズは前記第2、第3または第4カタディオプトリック部に含まれる、請求項34に記載の投影対物レンズ。
【請求項39】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは、隣接しているかまたは相互光学的な共役位置の前記物体平面と前記画像平面との間に配置され、かつどちらも前記変形が異なる変形プロファイルを示すように変形可能である、請求項34ないし38のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項40】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは、隣接していないかまたは非相互光学的な共役位置の前記物体平面と前記画像平面との間に配置され、かつどちらも前記変形が異なる変形プロファイルを示すように変形可能である、請求項34ないし38のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項41】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは形状が異なっている、請求項39または40に記載の投影対物レンズ。
【請求項42】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは異なる力を導入することによって変形可能である、請求項39ないし41のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項43】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは逆方向の力を導入することによって変形可能である、請求項39ないし42のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項44】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは前記物体平面と前記画像平面との間の非相互光学的な共役位置に配置され、かつ少なくとも実質的に同一に変形可能である、請求項34ないし38のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項45】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは前記物体平面と前記画像平面との間の相互光学的な共役位置に配置され、かつ実質的に同一に変形可能である、請求項34ないし38のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項46】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは互いに対して特定の比で変形可能である、請求項34ないし45のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項47】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは、前記像欠陥の半径方向一次ツェルニケ次数をその半径方向高次ツェルニケ次数とは実質的に無関係に、またその逆も同様に修正できるように前記複数のレンズから選択される、請求項34ないし46のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項48】
前記第1レンズおよび前記少なくとも第2レンズは、前記第1レンズの、前記半径方向一次ツェルニケ次数と前記半径方向高次ツェルニケ次数との比に対する修正影響の大きさが前記少なくとも第2レンズの修正影響にほぼ等しいが、符号が異なるように前記複数のレンズから選択される、請求項47に記載の投影対物レンズ。
【請求項49】
前記第1レンズは正レンズであり、かつ前記少なくとも第2レンズは負レンズである、請求項47または48に記載の投影対物レンズ。
【請求項50】
前記正レンズのすぐ上流の周辺光線のビーム角の大きさは、前記負レンズのすぐ上流の周辺光線のビーム角より小さい、請求項49に記載の投影対物レンズ。
【請求項51】
修正される前記像欠陥は、視野依存性要素と一定視野要素との組合せまたは多数が視野依存性の要素を含み、前駆複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比の大きさが負レンズの場合には約0.8〜約0.9または約1.1〜約1.2の範囲にあり、かつ正レンズの場合には約0.9〜約1.1の範囲にある、請求項34ないし50のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項52】
前記像欠陥は、視野依存性要素と一定視野要素との組合せまたは多数が視野依存性の要素を含み、前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径の最大レンズ高さに対する比の大きさが、約0.7より小さく、約0.1より大きい、請求項34ないし51のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項53】
前記像欠陥は、少なくとも多数が一定視野の要素を含み、前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側の副開口半径とレンズ後側の副開口半径との比の大きさが、負レンズの場合には約0.8〜約0.9または約1.1〜約1.2の範囲にあり、かつ正レンズの場合には約0.9〜約1.1の範囲にある、請求項34ないし50のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項54】
前記像欠陥は、少なくとも多数が一定視野の要素を含み、前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ前側またはレンズ後側の副開口半径の最大レンズ高さに対する比の大きさが約0.7より大きい、請求項34ないし50のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項55】
前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記少なくとも第2レンズとして1つのレンズが選択され、その場合、レンズ中心部厚みの最大レンズ高さに対する比が約0.4より小さい、請求項34ないし54のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項56】
前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記少なくとも第2レンズとして変形にはそれ自体厚すぎるレンズが選択され、このレンズは少なくとも2つの個別のレンズに分割され、かつ前記個別のレンズの少なくとも1つは変形可能である、請求項34ないし55のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項57】
前記複数のレンズから前記第1レンズとしておよび/または前記第2レンズとして動作中2回以上光が通過するレンズが選択される、請求項34ないし56のいずれかに記載の投影対物レンズ。
【請求項58】
前記投影対物レンズは、開口数NA=1.10、1.00、1.35、1.20、1.25、1.30、0.92、0.95を含むグループから選択される開口数NAを有し、かつ像点を有することができる最大直径2Y’は、直径2Y’であって、2Y’=22.0、36.0、32.5、28.8、30.0、31.5、32.2、28.0を含むグループの一部分である、請求項34ないし57のいずれかに記載の投影対物レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【公表番号】特表2008−546007(P2008−546007A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512758(P2008−512758)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004929
【国際公開番号】WO2006/125617
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・アーゲー (435)
【Fターム(参考)】