説明

抗アレルギー性組成物

【課題】生薬であるコウジュ、特にホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの薬理作用の検討に基づき、その抽出エキスが有するケミカルメディエーター遊離抑制作用、脱顆粒阻害作用基づく、優れた抗アレルギー作用による、抗アレルギー性組成物の提供。
【解決手段】コウジュの溶媒抽出エキスを有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー性組成物であり、抽出対象となるコウジュがホソバヤマジソ又はナギナタコウジュであり、抽出溶媒が、水、低級アルコール又は低級アルコールと水との混合溶媒、好ましくはエタノールである抗アレルギー性組成物である。抗アレルギー性組成物として、食品、なかでも特定保健用食品、医薬、化粧品等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物抽出液、詳細にはコウジュ、なかでもホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの溶媒抽出エキスを含有する抗アレルギー性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生体には、本来的に恒常性の維持機能、自然治癒機能を有しており、様々な内的及び外的な環境変化に対応し得る機能を有しているが、近年の生活環境の劇的な変化、複雑さから、アレルギー疾患(各種の花粉症、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、小児喘息等)に悩んでいる人たちが急増している。
このアレルギー症状の発症には、分子生物学的には、肥満細胞や、好塩基球などから脱顆粒により遊離されるヒスタミン、或いはI型アレルギー反応によって産生されるロイコトリエンなどのケミカルメディエーターや、これら細胞から産生されるTNF−αなどの炎症性サイトカインが深く関係しているといわれている。
【0003】
したがって、アレルギー疾患の治療薬としては、抗ヒスタミン剤などがもっとも一般的に使用されているが、花粉症による鼻つまりには効果が無く、また、抗ヒスタミン剤には本来的に眠気、めまい、倦怠感などの副作用が生じやすいという問題点がある。
そのため、これらの副作用のない、より効果的な抗アレルギー剤の開発が望まれているが、いまだ有効な抗アレルギー剤が登場していないのが現状である。
【0004】
本発明者らは、従来から抗アレルギー作用物質の検索を積極的に行ってきた中で、その素材として天然植物が有する薬理活性に注目してきている。すなわち、天然植物には種々の薬理活性が認められているが、本発明者らは広く天然物より抗アレルギー作用を有する物質のスクリーニングを行った結果、コウジュが有する薬理効果に注目した。
【0005】
コウジュ(生薬名)は、ホソバヤマジソの全草をいい、ホソバヤマジソ(学名:Mosla chinensis Maxim.)は、シソ科(Labiatae)のイヌコウジュ(Mosla)属に属する一年草であり、わが国においては中国地方から九州北部に僅かに確認されているのみであるが、朝鮮半島及び中国大陸などでは広い範囲で分布する植物である。
コウジュ(Xiangru)は、中国においては、夏風邪、発熱、頭痛、腹痛、下痢などの症状に対して用いられている(非特許文献1)。
【0006】
このホソバヤマジソの揮発性成分に対する報告は、これまで多くあり、チモ−ルやカルバクロールなどの成分を多く含んでおり、その強い抗菌作用が報告されている(非特許文献2、特許文献1)。
一方、ホソバヤマジソの非揮発成分に関する報告は少なく、僅かにその成分として数種類のフラボノイドを同定しているに過ぎない(非特許文献3)。
【0007】
今回本発明者らは、このコウジュとして知られているホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの抽出エキスに優れたケミカルメディエーター遊離抑制作用並びに肥満細胞や、好塩基球などからの脱顆粒阻害作用があり、したがって、優れた抗アレルギー作用があることを新規に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
様々な植物において抗アレルギー効果を有する物質の探索が行われているが、中でもシソ科シソ(Perilla frutescens)には優れた抗アレルギー作用が報告されており、機能性食品として利用されつつある(特許文献2、特許文献3)。また、最近、同じシソ科の植物であるヒメジソ(Mosla dianthera)の抗アレルギー作用についての報告があるが(非特許文献4)、ホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの抽出エキスがケミカルメディエーター遊離抑制作用並びに肥満細胞や、好塩基球などからの脱顆粒阻害作用に基づく抗アレルギー作用を有することは本発明者等によって初めて確認されたものであり、その点で本発明は特異的なものである。
【特許文献1】特開2001−342106号公報
【特許文献2】特許3071669号公報
【特許文献3】特許3302302号公報
【非特許文献1】中華人民共和国葯典、2005年版、182−183頁
【非特許文献2】中葯大辞典、1985、1421−1422頁、小学館
【非特許文献3】Indian Journal of Chemistry, 35:392-294, 1996
【非特許文献4】Toxicology and Applied Pharmacology, 216(2006), 479-484
【0009】
なお、中国葯典ではホソバヤマジソの全草をコウジュ(生薬名)として記載しており、また、流通生薬のコウジュもホソバヤマジソが一般的である。しかしながら、古い葯典においては、ホソバヤマジソに似たナギナタコウジュ(シソ科ナギナタコウジュ属、学名:Elsholtzia ciliata Hylander, Elsholtzia splendens Nakai ex F. Maekawa)をコウジュとして記載していた経緯もあり、中国では地域によってはナギナタコウジュをコウジュとして用いている場合もある。また、本邦においても、ナギナタコウジュ、或いはイヌコウジュ(シソ科イヌコウジュ属、学名:Mosla punctulata)をコウジュとして扱う場合もある。
【0010】
したがって、本明細書においては、コウジュとは一般的にはホソバヤマジソ(Mosla chinensis Maxim.)のことを意味するが、特に断らない限り、広くはナギナタコウジュ、イヌコウジュも包含してコウジュと称する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明は、上記現状に鑑み、生薬であるコウジュ、特にホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの薬理作用の検討に基づき、その抽出エキスが有する、優れたケミカルメディエーター遊離抑制作用並びに肥満細胞や、好塩基球などからの脱顆粒阻害作用に基づく抗アレルギー作用による抗アレルギー組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するための本発明は、その基本的態様として、コウジュの溶媒抽出エキスを有効成分とすることを特徴とするケミカルメディエーター遊離抑制剤である。
より詳細には、本発明は、当該ケミカルメディエーターが、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエン、TNF−αから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とするケミカルメディエーター遊離抑制剤である。
【0013】
また本発明は別の基本的態様として、コウジュの溶媒抽出エキスを有効成分とすることを特徴とする脱顆粒阻害剤である。
【0014】
すなわち、より具体的な本発明は、抽出対象となるコウジュがホソバヤマジソ又はナギナタコウジュ、好ましくはその全草乾燥物であり、抽出溶媒が、水、低級アルコール又は低級アルコールと水との混合溶媒であるケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤である。
その中でも、より好ましい具体的な本発明は、抽出溶媒である低級アルコールがエタノールであるケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤である。
【0015】
したがって、最も好ましい本発明は、特に、ホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの全草乾燥物のエタノール抽出エキスを有効成分とすることを特徴とするケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤である。
【0016】
また本発明は、別の態様として上記のケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤を含有する抗アレルギー性組成物である。
すなわち、より詳細には、生薬であるコウジュの溶媒抽出エキスを有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー性組成物であり、特に、コウジュがホソバヤマジソ又はナギナタコウジュである抗アレルギー性組成物である。
【0017】
より具体的には、抽出対象となるコウジュがホソバヤマジソ又はナギナタコウジュ、好ましくはその全草乾燥物であり、抽出溶媒が、水、低級アルコール又は低級アルコールと水との混合溶媒である抗アレルギー性組成物である。
その中でも、より好ましい具体的な本発明は、抽出溶媒である低級アルコールがエタノールである抗アレルギー性組成物である。
【0018】
したがって、最も好ましい本発明は、特に、ホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの全草乾燥物のエタノール抽出エキスを有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー性組成物である。
【0019】
また本発明は別の態様として、上記した抗アレルギー性組成物を含有する食品、なかでも特定保健用食品であり、また、上記した抗アレルギー性組成物を含有する医薬である。
【0020】
更に本発明は、また別の態様として、上記した抗アレルギー性組成物を含有する化粧料であり、また飼料でもある。
【発明の効果】
【0021】
本発明が提供するホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの溶媒抽出エキス(以下、広く、コウジュの溶媒抽出エキスを含め、単に「抽出エキス」と記す場合もある)を有効成分とするケミカルメディエーター遊離抑制作用並びに脱顆粒阻害作用に基づく抗アレルギー組成物は、後記する試験例からも判明するように、
(1)肥満細胞及び好塩基球から脱顆粒阻害により産生するヒスタミン、或いはI型アレルギー反応によって産生されるロイコトリエン等のケミカルメディエーターの遊離を抑制する効果を有する。
(2)肥満細胞及び好塩基球からTNF−αの産生を阻害する効果を有する。
(3)アレルギー性鼻炎モデルマウスのアレルギー症状を緩和する効果を有する。
(4)アレルギー性鼻炎モデルマウスの体重減少を抑える効果(全身的な機能低下の改善)を有する。
したがって、本発明の抽出エキスを含有する抗アレルギー性組成物を応用して、日常生活の中で気軽に摂取できる安全性の高い抗アレルギー剤(医薬品、健康食品、化粧品)を提供できる利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明において、有効成分である抽出エキスを構成するホソバヤマジソ(Mosla chinensis Maxim.)は、上記したように、シソ科(Labiatae)のイヌコウジュ(Mosla)属に属する一年草である。わが国では中国地方から九州北部に僅かに確認されているのみであるが、朝鮮半島及び中国大陸などでは広い範囲で分布する植物である。
このホソバヤマジソは、その乾燥生薬名はコウジュ(Xiangru)と呼ばれ、中国においては、夏風邪、発熱、頭痛、腹痛、下痢などの症状に対して用いられている漢方薬成分の一つである。
また、ナギナタコウジュ(シソ科ナギナタコウジュ属、学名:Elsholtzia ciliata Hylander, Elsholtzia splendens Nakai ex F. Maekawa)については、これをコウジュとして記載していた経緯もあり、中国では地域によってはナギナタコウジュをコウジュとして用いている場合もある。また、本邦においても、ナギナタコウジュ、或いはイヌコウジュ(シソ科イヌコウジュ属、学名:Mosla punctulata)をコウジュとして扱う場合もある。
このホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの溶媒抽出エキスに抗アレルギー作用があることは、今まで知られておらず、その点で本発明は特異的なものである。
【0023】
本発明において、その有効成分である抽出エキスを調製するに当たって、そのホソバヤマジソ又はナギナタコウジュとしては、例えば、茎、葉、花、果実等の各部分の乾燥物、或いはこれらを含めた全草乾燥物であり、好ましくは全草乾燥物を使用するのがよい。
【0024】
抽出に当たっては、当該乾燥物を適当に裁断し、溶媒抽出を行うのがよい。抽出に使用する溶媒として、水、低級アルコール又は低級アルコールと水との混合溶媒がよく、特にエタノールを使用して抽出するのが好ましい。
熱水を用いて抽出すること、或いは低級アルコールと水との混合溶媒を用いて抽出することも可能であるが、本発明者らの検討によれば、抽出エキスが有する抗アレルギー作用は、特にエタノール抽出エキスのほうが強いものであった。
【0025】
抽出の具体的手法としては、一般的に使用されている抽出手段が採用され、例えば、ホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの全草乾燥物を適当に裁断した後、その全重量に対して1〜50倍、好ましくは10〜20倍量の水、低級アルコール又は低級アルコールと水との混合溶媒、好ましくはエタノールを用い、1〜24時間程度、室温〜使用溶媒の沸点の範囲で浸漬・加熱抽出を行い、得られた抽出液を減圧濃縮し、使用した抽出溶媒を除去し、目的とするホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの溶媒抽出エキスを調製することができる。
【0026】
かくして本発明の有効成分であるホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの抽出エキスを調製することができ、本発明者等の検討の結果、得られた抽出エキスには、優れたケミカルメディエーター遊離抑制作用並びに肥満細胞や、好塩基球などからの脱顆粒阻害作用に基づく、優れた抗アレルギー作用があることが判明した。
【0027】
したがって、本発明はかかるホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの抽出エキスを有効成分として含有するケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤であり、これらのケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤を含有する抗アレルギー性組成物である。
【0028】
本発明が提供するケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤は、汎用されている賦形剤、添加剤等を用いて、通常の方法により種々の形態の製剤として調製することができる。
また、本発明の抗アレルギー性組成物は、上記のケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤を用いて、通常の方法により各種の形態に加工することで製造できる。例えば、固体状物、液状物、乳化状物、ペースト状物、ゼリー状物等の形態に加工して、医薬品として、また食品として製造することができる。
【0029】
すなわち、本発明が提供する抗アレルギー性組成物は、医薬品の他に、食品として有効に適用することができる。本発明の抗アレルギー性組成物には、そのまま直ちに食品として摂取し得るものとして、また、その他調理して摂取し得るもの、あるいは食品製造用のプレミックスされた材料として提供することができる。
【0030】
本発明の抗アレルギー性組成物を含有する食品としては、固形状、粉末状、顆粒状のいずれの形態であってもよい。具体的には、例えば、ビスケット、クッキー、ケーキ、スナック、煎餅などの各種の菓子類、パン、粉末飲料(粉末コーヒー、粉末ココアなど)、飴、キャラメル等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
また、液状、乳化状、ペースト状、ゼリー状のものとしては、ジュース、炭酸飲料、乳酸菌飲料などの各種の飲料を挙げることができ、これらに限定されるものではない。そのなかでも、好ましくはペースト状、ゼリー状、液状のものである
【0032】
本発明の抗アレルギー性組成物を、特に医薬品として使用する場合には、錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤等の形態である通常の製剤とすることができる。これらの製剤は、適宜製剤学的に許容される他の添加剤、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤等の担体と共に、常法にしたがって、製剤化することができる。
また、甘味剤、着色剤等を添加して服用させることもできる。これらの製剤化にあたっては、日本薬局方の製剤総則に記載の方法によって行うことができる。
【0033】
本発明の抗アレルギー性組成物において、有効成分として使用する抽出エキスは、その抗アレルギー作用を標準として、1日約1〜20g程度、好ましくは、2〜10g程度を摂取するのがよく、一般的には、1日1〜3回、好ましくは1日3回毎食直前に服用する有効成分の含有量を設定し、その用量を摂取する製剤として設計すればよい。
【0034】
また、抽出エキスそのものを含有する場合には、抽出エキスを適当な溶媒で希釈し、液状組成物とし調製することもできる。また、抽出エキスそのものを適当な担体、好ましくは脂肪酸トリグリセライドと混合し、液状のままソフトカプセル等に充填し、調製することもできる。
【0035】
上記の製剤化においては、通常使用されている賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、界面活性剤、溶解補助剤、還元剤、緩衝剤、吸着剤、流動化剤、帯電防止剤、抗酸化剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、遮光剤、着香剤、香料、芳香剤、コーティング剤、可塑剤等の製剤添加物の一種または二種以上を適宜選択して添加してもよいことはいうまでもない。
【0036】
そのような製剤添加物としては、具体的には、例えば、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、マルトデキストリン、エチルセルロース、乳糖、ソルビトール、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸、オレイン酸、流動パラフィン、第二リン酸カルシウム、セバチン酸ジブチル、マクロゴール、プロピレングリコール、コーンスターチ、デンプン、アルファー化デンプン、ゼラチン、ポピドン、クロスポピドン、グリセリン、ポリソルベート80、クエン酸、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、炭酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等を挙げることができる。
【0037】
また、本発明の抗アレルギー性組成物としての製剤化にあたっては、有効成分である抽出エキスが有する抗アレルギー作用を損なわない程度の質及び量の範囲で、ビタミン、ミネラル等の他の成分を添加させることもできる。
【0038】
さらに本発明は、上記で調製された抽出エキスを有効成分として含有する抗アレルギー性組成物であるが、かかる組成物を食品として使用することができる。すなわち、上記で調製された抗アレルギー性組成物をそのまま食品、また他の成分と共に混合し、特に特定保健用食品(特保)、または動物用の飼料の形態とすることができる。
【実施例】
【0039】
以下、具体的実施例、試験例を説明することにより、本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1:ホソバヤマジソのエタノール抽出エキスの調製
ホソバヤマジソの全草乾燥物100gに1Lのエタノールを加え、70℃で2時間加熱抽出し、これを濾過後、減圧下濃縮乾固して、4.5gの抽出エキスを得た。
【0041】
実施例2:ホソバヤマジソの水抽出エキスの調製
ホソバヤマジソの全草乾燥物100gに1Lの水を加え、70℃で2時間加熱抽出し、これを濾過後、減圧下濃縮乾固して、10.1gの抽出エキスを得た。
【0042】
実施例3:ナギナタコウジュのエタノール抽出エキスの調製
ナギナタコウジュのエタノール抽出エキスを上記実施例1と同様にして調製した。すなわち、ナギナタコウジュの全草乾燥物100gを用いて、1Lのエタノールを加え、70℃で2時間加熱抽出し、これを濾過後、減圧下濃縮乾固して、4.4gの抽出エキスを得た。
【0043】
実施例3:ナギナタコウジュの水抽出エキスの調製
ナギナタコウジュの水抽出エキスを上記実施例2と同様にして調製した。すなわち、ナギナタコウジュの全草乾燥物100gに1Lの水を加え、70℃で2時間加熱抽出し、これを濾過後、減圧下濃縮乾固して、18.5gの抽出エキスを得た。
【0044】
上記で得られたホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの抽出エキスのケミカルメディエーター遊離抑制作用並びに脱顆粒阻害作用に基づく抗アレルギー作用効果を、以下の試験例により実証する。
【0045】
試験例1:脱顆粒に対する効果試験
脱顆粒阻害試験は、ラット好塩基球白血病細胞(RBL−2H3:東北大学加齢医学研究所・医用細胞資源センターから入手)から脱顆粒によりヒスタミン等と共に遊離されるβ−hexosaminidaseの活性を測定する方法を用いた。
【0046】
[方法]
すなわち、継代培養により増殖させたRBL−2H3細胞を、10%牛胎児血清の入ったMEM培養液に遊離させ、48ウェルプレートに3.5×10cells/mLの濃度の細胞を400μLずつ播種し、60分後に抗dinitrophenyl(DNP)−IgE抗体を最終濃度が0.45μg/mLとなるように100μL加え、5%炭酸ガス、37℃下に24時間培養した。培養したRBL−2H3細胞をsiraganian buffer(119mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、0.4mM塩化マグネシウム、25mM PIPES、40mM水酸化ナトリウム、pH7.2)500μLで洗浄した後、牛血清アルブミン(BSA)含有siraganian buffer(5.6mMグルコース、1mM塩化カルシウム、0.1%BSA含有)160μLを加え、5%炭酸ガス、37℃下で10分間培養した。
【0047】
これにDMSO又はDMSOにて適当量に希釈した試料20μLを添加し(DMSO最終濃度0.1%)、5%炭酸ガス、37℃下で10分間培養した。次いで、抗原となるDNP−BSAを最終濃度10μg/mLとなるように20μL加えて、5%炭酸ガス、37℃下で30分間培養して脱顆粒を惹起させた。その後、氷上で10分間反応を停止させ遠心(1000rpm、4℃、5分間)後、上清50μLを96ウェルプレートに移し、これに1mM PNAG(p-nitrophenyl-N-acetyl-β-D-glucosamide 3.42gを0.1Mクエン酸緩衝液 pH4.5、100mLに溶解して調製)を50μL加え、5%炭酸ガス、37℃下で60分間反応させた。反応後、200μLのstop buffer(0.1M NaHCO/NaCO、pH10)を加えた後、405nmにおける吸光度を測定し、以下の式によりβ−hexosaminidase遊離阻害率(%)を求めた。
【0048】
β−hexosaminidase遊離阻害率(%)=[1−(C−B−D)/(A−B)]×100
上記において、
A:DNP−BSA刺激、DMSOのみの吸光値
B:DNP−BSA非刺激、DMSOのみの吸光値
C:DNP−BSA刺激、試料(+)の吸光値
D:試料(+)のみの吸光値
【0049】
試験試料として、実施例1で得られたホソバヤマジソのエタノール抽出エキスを10、50、100及び200μg/mL、及び実施例2で得られたホソバヤマジソの水抽出エキスを10、50、100及び200μg/mL、実施例3で得られたナギナタコウジュのエタノール抽出エキスを100及び200μg/mL、実施例4で得られたナギナタコウジュの水抽出エキスを100μg/mL用いた。
【0050】
対照試料として、シソ(蘇葉)から実施例1及び2と同様にして調製した蘇葉のエタノール抽出エキス並びに水抽出エキスをそれぞれ100μg/mL用いた。
さらに、活性対照としてアゼラスチン(一般名)並びにトラニラスト(一般名)を10及び100μg/mLを用いた。
[結果]
得られた、各試験試料のRBL−2H3細胞からのβ−hexosaminidase遊離に対する阻害効果(n=3)を、下記表1に示した。
阻害率は、平均値±標準偏差で示した。
【0051】
【表1】

【0052】
表中に示した結果からも判明するように、本発明のホソバヤマジソのエタノール及び水抽出エキス、ナギナタコウジュのエタノール抽出エキスに阻害効果が認められた。特に、ホソバヤマジソのエタノール抽出エキスは、蘇葉よりも強く、優れた阻害率を示していることが判明する。
【0053】
試験例2:TNF−α産生に対する効果試験
[方法]
試験例1と同様に、継代培養により増殖させたRBL−2H3細胞を、10%牛胎児血清の入ったMEM培養液に浮遊させ、24ウェルプレートに7.5×10cells/mLの濃度の細胞を400μLずつ播種し、60分後に抗DNP−IgE抗体を最終濃度が0.45μg/mLとなるように100μL加え、5%炭酸ガス、37℃下で24時間培養した。培養したRBL−2H3細胞を培養液で洗浄した後、培養液160μLを加え、5%炭酸ガス、37℃下で10分間培養した。これにDMSO又はDMSOにて適当量に希釈した試料20μLを添加し(DMSO最終濃度0.1%)、5%炭酸ガス、37℃下で10分間培養した。次いで、抗原となるDNP−BSAを最終濃度10μg/mLとなるように20μL加えて、5%炭酸ガス、37℃下で4時間培養した。
培養液中に産生されたTNF−αの濃度をサンドイッチELISA法(Rat TNF OptEIA ELISA Set. 日本ベクトン・デキソン社製)にて測定し、以下の式によりTNF−α産生阻害率(%)を求めた。
【0054】
TNF−α産生阻害率(%)=[1−(C−B)/(A−B)]×100
上記において、
A:DNP−BSA刺激、DMSOのみの吸光値
B:DNP−BSA非刺激、DMSOのみの吸光値
C:DNP−BSA刺激、試料(+)の吸光値
【0055】
試験試料として、実施例1で得られたホソバヤマジソのエタノール抽出エキスを10、50、100及び200μg/mL、及び実施例2で得られたホソバヤマジソの水抽出エキスを100及び200μg/mL、実施例3で得られたナギナタコウジュのエタノール抽出エキスを100及び200μg/mL、実施例4で得られたナギナタコウジュの水抽出エキスを100μg/mL用いた。
【0056】
また対照試料として、シソ(蘇葉)から実施例1及び2と同様にして調製した蘇葉のエタノール抽出エキス並びに水抽出エキスをそれぞれ100μg/mL用いた。
さらに、活性対照としてアゼラスチン(一般名)並びにトラニラスト(一般名)を10及び100μg/mLを用いた。
【0057】
[結果]
得られた、各資料のRBL−2H3細胞からのTNF−α産生に対する阻害効果(n=3)を、下記表2に示した。
阻害率は、平均値±標準偏差で示した。
【0058】
【表2】

【0059】
表中に示す結果からの判明するように、本発明のホソバヤマジソのエタノール及び水抽出エキス、ナギナタコウジュのエタノール抽出エキスに阻害効果が認められた。特に、ホソバヤマジソのエタノール抽出エキスにおいては、用量依存的な優れたTNF−α産生阻害効果が認められた。
【0060】
試験例3:ロイコトリエン産生に対する効果試験
[方法]
試験例1と同様に、継代培養により増殖させたRBL−2H3細胞を、10%牛胎児血清の入ったMEM培養液に遊離させ、24ウェルプレートに7.5×10cells/mLの濃度の細胞を400μLずつ播種し、60分後に抗DNP−IgE抗体を最終濃度が0.45μg/mLとなるように100μL加え、5%炭酸ガス、37℃下に24時間培養した。培養したRBL−2H3細胞を培養液で洗浄した後、培養液160μLを加え、5%炭酸ガス、37℃下で10分間培養した。
【0061】
これにDMSO又はDMSOにて適当量に希釈した試料20μLを添加し(DMSO最終濃度0.1%)、5%炭酸ガス、37℃下で10分間培養した。次いで、抗原となるDNP−BSAを最終濃度10μg/mLとなるように20μL加えて、5%炭酸ガス、37℃下で1時間培養した。
培養液中に産生されたロイコトリエンの濃度を競合EIA法(Cysteinyl-Leukotriene EIA KIT、Cayman Chemical Company社製)測定し、以下の式によりロイコトリエン産生阻害率(%)を求めた。
【0062】
ロイコトリエン産生阻害率(%)=[1−(C−B)/(A−B)]×100
上記において、
A:DNP−BSA刺激、DMSOのみの吸光値
B:DNP−BSA非刺激、DMSOのみの吸光値
C:DNP−BSA刺激、試料(+)の吸光値
【0063】
試験試料として、実施例1で得られたホソバヤマジソのエタノール抽出エキスを2、10、50及び100μg/mL、及び実施例2で得られたホソバヤマジソの水抽出エキスを50、100及び200μg/mL、実施例3で得られたナギナタコウジュのエタノール抽出エキスを50及び100μg/mL、実施例4で得られたナギナタコウジュの水抽出エキスを100μg/mL用いた。
【0064】
また対照試料として、シソ(蘇葉)から実施例1及び2と同様にして調製した蘇葉のエタノール抽出エキス並びに水抽出エキスをそれぞれ100μg/mL用いた。
さらに、活性対照としてアゼラスチン(一般名)を10及び100μg/mL、並びにトラニラスト(一般名)を50及び100μg/mL用いた。
【0065】
[結果]
得られた、各資料のRBL−2H3細胞からのロイコトリエン産生に対する阻害効果(n=3)を、下記表3に示した。
阻害率は、平均値±標準偏差で示した。
【0066】
【表3】

【0067】
表中に示した結果からも判明するように、本発明のホソバヤマジソのエタノール及び水抽出エキス、ナギナタコウジュのエタノール抽出エキスにロイコトリエン産生阻害効果が認められた。特に、ホソバヤマジソのエタノール抽出エキスにおいては、優れた阻害活性を有することが示された。
【0068】
試験例4:細胞に対する毒性試験
[方法]
試験例1と同様に、継代培養により増殖させたRBL−2H3細胞を、10%牛胎児血清の入ったMEM培養液に遊離させ、96ウェルプレートに7.5×10cells/mLの濃度の細胞を100μLずつ播種し、5%炭酸ガス、37℃下に24時間培養した。培養したRBL−2H3細胞を培養液で洗浄した後、培養液90μLを加え、5%炭酸ガス、37℃下で10分間培養した。
【0069】
これにDMSO又はDMSOにて適当量に希釈した試料10μLを添加し(DMSO最終濃度0.1%)、5%炭酸ガス、37℃下で24時間培養した。培養後、細胞増殖アッセイキット(Cell counting Kit-8、同仁化学研究所社製)を用いて生存率を測定した。
生存率(%)は、対照(DMSOのみを添加した場合の吸光度)を100%とし、各試料を添加した場合の生存率を示した。
【0070】
試験試料として、実施例1で得られたホソバヤマジソのエタノール抽出エキスを50及び100μg/mL、及び実施例2で得られたホソバヤマジソの水抽出エキスを50及び100μg/mL、実施例3で得られたナギナタコウジュのエタノール抽出エキスを50及び100μg/mL、実施例4で得られたナギナタコウジュの水抽出エキスを50及び100μg/mL用いた。
【0071】
また対照試料として、シソ(蘇葉)から実施例1及び2と同様にして調製した蘇葉のエタノール抽出エキス並びに水抽出エキスをそれぞれ50及び100μg/mL用いた。
さらに、活性対照としてアゼラスチン(一般名)を2、10及び50μg/mL、並びにトラニラスト(一般名)を10及び50μg/mL用いた。
【0072】
[結果]
得られた、各資料の生存率(n=3)を、下記表4に示した。
【0073】
【表4】

【0074】
表中に示した結果からも判明するように、本発明のホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの抽出エキスは、添加後24時間後も生存率が90%以上と高く、細胞に対する毒性はないものと判断された。このことから、本発明のホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの抽出エキスの脱顆粒抑制作用並びに各ケミカルメディエーター産生抑制作用は、細胞毒性によるものではないことが示唆された。
【0075】
試験例5:アレルギー性鼻炎モデルマウスに対する効果試験
[方法]
OVA(卵白アルブミン)10μg及び水酸化アルミニウムゲル1.3mgを生理食塩水0.2mLに溶解し、balb/cマウス(6週齢/雌性)の腹腔内へ1週間に1回、計3回感作した。さらに、最終感作日の1週間後から両側鼻腔にOVA25mg/mLの溶液をマイクロピペットで10μLずつ7日間点鼻することによりくしゃみ及び鼻掻き行動を誘発させた。
実施例1で得られたホソバヤマジソのエタノール抽出エキス、及び活性対照のアゼラスチンは0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)溶液に懸濁して投与に用いた。試験群は、0.5%CMCのみを投与した対照群(10匹)、ホソバヤマジソ抽出エキスを50、200、800mg/kgの用量で投与した3群(各群10匹)、アゼラスチン10mg/kgを投与した群(7匹)を設けた。被験物の投与はOVA点鼻期間中、毎日、点鼻1時間前に1回経口投与し、OVA点鼻最終日の点鼻直後から10分間のくしゃみ及び鼻掻き回数を測定して、抗アレルギー効果を評価した。
各群間の検定には、ボンフェローニの多重比較検定を用い、危険率5%以下のものを有意差ありと判断した。
【0076】
[結果]
下記表5に、アレルギー性鼻炎マウスのくしゃみ及び鼻掻き行動に対するホソバヤマジソ抽出エキス、及び活性対照としてのアゼラスチンの効果を示した。
また、図1及び図2にそれらの結果をグラフとして示した。
【0077】
図1は、アレルギー性鼻炎モデルマウスのくしゃみに対する作用を示す図である。対照およびホソバヤマジソ投与群は各10匹、アゼラスチン投与群は7匹のデータについて平均値±標準偏差で示した。
図中、*:p<0.05、**:p<0.01で対照に対して統計学的有意差あり(ボンフェローニの多重比較検定)
【0078】
図2は、アレルギー性鼻炎モデルマウスの鼻掻き行動に対する作用を示す図である。対照およびホソバヤマジソ投与群は各10匹、アゼラスチン投与群は7匹のデータについて平均値±標準偏差で示した。
【0079】
【表5】

*:危険率5%以下で無投与対照群と比較し、有意差あり。
**:危険率1%以下で無投与対照群と比較し、有意差あり。
【0080】
対照群(0.5%CMC投与群)に対して、本発明のホソバヤマジソ抽出エキスを経口投与した群では、用量依存的なくしゃみ、及び鼻掻き行動の抑制が認められた。特にくしゃみ回数においては、ホソバヤマジソ抽出エキス200mg/kg及び800mg/kgの用量から統計的に有意な抑制効果が認められた。
活性対照のアゼラスチンにおいても10mg/kgの投与でくしゃみ、及び鼻掻き回数の抑制効果が認められた。
【0081】
図3に、7日間の抗原点鼻期間における体重の変化に対する本発明のホソバヤマジソ抽出エキス及びアゼラスチンの効果を示した。
図中の結果から判明するように、対照群(0.5%CMC投与群)では、抗原点鼻開始から最終日まで徐々に体重の低下が認められたが、本発明のホソバヤマジソ抽出エキス投与群では、200mg/kgの用量から体重低下を押さえる効果が認められた。
なお、活性対照であるアゼラスチン投与群では、体重低下の抑制効果は認められなかった。
【0082】
以上の試験結果から、本発明のホソバヤマジソ抽出エキスは、肥満細胞及び好塩基球から脱顆粒阻害によりヒスタミン等のケミカルメディエーターの遊離を抑制する効果を有するものであり、また、肥満細胞及び好塩基球からTNF−αの産生を阻害する効果を有することが確認された。
さらにアレルギー性鼻炎モデルマウスのアレルギー症状を緩和する効果を有するものであり、加えてアレルギー性鼻炎モデルマウスの体重減少を抑える効果(全身的な機能低下の改善)を有することが確認された。
【0083】
試験例4:毒性試験
[方法]
ddyマウス(7週齢、雄性)を用いてホソバヤマジソ抽出エキスの単回大量投与による毒性試験を行った。
実施例1で得られたホソバヤマジソのエタノール抽出エキスを0.5%CMC溶液に懸濁して経口投与に用いた。試験群は、0.5%CMCのみを投与した対照群、及びホソバヤマジソ抽出エキスを2500mg/kgの用量で投与した群(各群3匹)を設け、投与後14日間のマウスの状態を観察した。
【0084】
[結果]
ホソバヤマジソ抽出エキス投与後14日間の一般症状、及び体重経過は、対照群と変わり無い状態を維持していた。また、投与後14日目に、開腹して各臓器(胸腺、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、精巣)を摘出し、臓器重量の測定、及び肉眼的観察を行ったが、いずれの臓器にも異常は見られなかった。
【0085】
実施例3:コウジュ(ホソバヤマジソ又はナギナタコウジュ)抽出エキスを含有する医薬品
実施例1で得たホソバヤマジソ又は実施例2で得られたナギナタコウジュのエタノール抽出エキス55.0gを、乳糖249.5gおよびステアリン酸マグネシウム0.5gとともに、単発式打錠機にて打錠することにより、直径10mm、重量300mgの錠剤を製造した。
【0086】
(2)散剤:
上記実施例1で得たホソバヤマジソ又は実施例2で得られたナギナタコウジュのエタノール抽出エキス100.0gにステアリン酸マグネシウム0.5gを加え、圧縮、粉砕、整粒、篩別して20〜50メッシュの顆粒剤を得た。
【0087】
実施例4:コウジュ(ホソバヤマジソ又はナギナタコウジュ)のエタノール抽出エキスを含有する各種飲食物
以下に示す組成にて、実施例1で得たホソバヤマジソ又は実施例2で得られたナギナタコウジュのエタノール抽出エキス(以下、単に抽出エキスと記す)入りの各種飲食物を製造した。
(1)飴:
(組成) (重量部)
粉末ソルビトール 89.70
香料 0.25
抽出エキス 10.00
ソルビトールシード 0.05
全量 100.00
【0088】
(2)ガム:
(組成) (重量部)
ガムベース 20.00
炭酸カルシウム 2.00
ステビオサイド 0.10
抽出エキス 10.00
乳糖 66.90
香料 1.00
全量 100.00
【0089】
(3)キャラメル:
(組成) (重量部)
グラニュー糖 32.00
水飴 20.00
粉乳 30.00
硬化油 4.00
食塩 0.60
香料 0.03
水 3.37
抽出エキス 10.00
全量 100.00
【0090】
(4)炭酸飲料:
(組成) (重量部)
グラニュー糖 8.00
濃縮レモン果汁 1.00
L−アスコルビン酸 0.10
クエン酸 0.09
クエン酸ナトリウム 0.05
着色料 0.05
炭酸水 80.71
抽出エキス 10.00
全量 100.00
【0091】
(5)ジュース:
(組成) (重量部)
冷凍濃縮オレンジ果汁 5.00
果糖ブドウ糖液糖 1.00
クエン酸 0.10
L−アスコルビン酸 0.09
抽出エキス 10.00
香料 0.20
色素 0.10
水 83.51
全量 100.00
【0092】
(6)乳酸菌飲料:
(組成) (重量部)
乳固形21%発酵乳 14.76
果糖ブドウ糖液糖 13.31
ペクチン 0.50
クエン酸 0.08
香料 0.15
水 61.20
抽出エキス 10.00
全量 100.00
【0093】
(7)アルコール飲料:
(組成) (重量部)
50%エタノール 32.00
砂糖 8.60
果汁 2.40
抽出エキス 10.00
水 47.00
全量 100.00
【0094】
実施例5:コウジュ(ホソバヤマジソ又はナギナタコウジュ)のエタノール抽出エキスを含有する各種化粧品
以下に示す組成にて、実施例1で得たホソバヤマジソ又は実施例2で得られたナギナタコウジュのエタノール抽出エキス(以下、単に抽出エキスと記す)含有の各種化粧品を製造した。
(1)エモリエントクリーム:
(組成) (重量部)
ミツロウ 2.0
ステアリルアルコール 5.0
ステアリン酸 8.0
スクアラン 10.0
自己乳化型プロピレングリコール 3.0
モノステアレートポリオキシエチレン
セチルエーテル(20EO) 1.0
香料 0.5
酸化防止剤 微量
防腐剤 微量
プロピレングリコール 4.8
グリセリン 3.0
ヒアロルン酸ナトリウム 0.1
抽出エキス 0.1
トリエタノールアミン 1.0
精製水 61.5
全量 100.0
【0095】
(2)乳液状ファンデーション:
(組成) (重量部)
ステアリン酸 2.4
モノステアリン酸プロピレングリコール 2.0
セトステアリルアルコール 0.2
液状ラノリン 2.0
流動パラフィン 3.0
ミリスチン酸イソプロピル 8.5
パラオキシ安息香酸プロピル 微量
精製水 64.1
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
ベントナイト 0.5
プロピレングリコール 3.8
ヒアロルン酸ナトリウム 0.1
抽出エキス 0.1
トリエタノールアミン 1.1
パラオキシ安息香酸メチル 微量
酸化チタン 8.0
タルク 4.0
着色含量 微量
香料 微量
スクアラン 10.0
全量 100.0
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上記載のように、本発明は、天然植物であるコウジュ、具体的にはホソバヤマジソ並びにナギナタコウジュの薬理作用の検討に基づき、その抽出エキスが有する、優れた抗アレルギー作用による、抗アレルギー組成物を提供するものであり、本発明のホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの抽出エキスを応用して、日常生活の中で気軽に摂取できる安全性の高い抗アレルギー剤(医薬品、健康食品、化粧品等)を提供できることから、その産業上の利用性は多大なものである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】試験例3におけるアレルギー性鼻炎モデルマウスのくしゃみに対する作用を示す図である。
【図2】試験例3におけるアレルギー性鼻炎モデルマウスの鼻掻き行動に対する作用を示す図である。
【図3】試験例3におけるモデルマウスの体重変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コウジュの溶媒抽出エキスを有効成分とすることを特徴とするケミカルメディエーター遊離抑制剤。
【請求項2】
ケミカルメディエーターが、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエン、TNF−αから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のケミカルメディエーター遊離抑制剤。
【請求項3】
コウジュの溶媒抽出エキスを有効成分とすることを特徴とする脱顆粒阻害剤。
【請求項4】
コウジュが、ホソバヤマジソ又はナギナタコウジュである請求項1、2又は3のいずれかに記載のケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤。
【請求項5】
コウジュの溶媒抽出エキスがホソバヤマジソ又はナギナタコウジュの溶媒抽出エキスである請求項1、2又は3のいずれかに記載のケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤。
【請求項6】
抽出溶媒が、水、低級アルコール又は低級アルコールと水との混合溶媒である請求項5に記載のケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤。
【請求項7】
低級アルコールがエタノールである請求項6に記載のケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のケミカルメディエーター遊離抑制剤又は脱顆粒阻害剤を含有する抗アレルギー性組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の抗アレルギー性組成物を含有する食品。
【請求項10】
食品が特定保健用食品である請求項9に記載の食品。
【請求項11】
請求項8に記載の抗アレルギー性組成物を含有する医薬。
【請求項12】
請求項8に記載の抗アレルギー性組成物を含有する化粧料。
【請求項13】
請求項8に記載の抗アレルギー性組成物を含有する飼料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−7328(P2009−7328A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38474(P2008−38474)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(391019728)養命酒製造株式会社 (11)
【Fターム(参考)】