説明

抗炎症組成物及び抗炎症作用を有する健康美容用組成物

【課題】ナタマメの莢のエキスを主成分とする抗炎症組成物及び抗炎症作用を有する健康美容用組成物を提供すること。
【解決手段】抗炎症組成物は、ナタマメの生の莢から抽出したエキスを主成分とすることからなる。抗炎症作用を有する健康美容用組成物は、ナタマメの生の莢から抽出したエキスを主成分とすることからなる。前記抗炎症組成物及び抗炎症作用を有する健康美容用組成物がナタマメの生の莢が20%以上(w/w)水分を含んでいることからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナタマメの生の莢から抽出したエキスを主成分とする抗炎症組成物及び抗炎症作用を有する健康美容用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ナタマメの豆に関しては、のどの腫れ、痛み、声がれ、口内炎に効くこと、又便秘、下痢、腹痛の解消に効果があること、排膿消炎作用があること、ウミのたまる病気に用いられること、痔瘻等で煎じ液をふろの中に入れ、浴剤として用いること、等に効果があることが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
さらにナタマメのつるや茎を採取して乾燥させたものが湿疹等の皮膚病の改善に有効であること等も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第2535311号公報([0002])
【特許文献2】特許第3237092号公報([0005])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記文献にはナタマメの莢に関しては何も記載されていない。ナタマメの莢に関しては残渣として捨てられ産業廃棄物となっているのが現状である。
【0006】
そこで、本発明者らは残渣として捨てられていたナタマメの莢に着目し、ナタマメの莢に関して何か効果があれば残渣として捨てられることもなく産業廃棄物になることもないと考え、鋭意研究した結果ナタマメの莢に抗炎症作用があることを発見した。
【0007】
通常、植物等を利用する場合、保存等を考慮し、乾燥させてからエキス等を抽出して利用するものであり、このため、ナタマメを利用する場合も乾燥させてから利用するのが通常である。その結果ナタマメの莢に抗炎症作用があることを発見したが、乾燥させると活性作用が落ちてしまうことが分かった。
【0008】
そこで、さらに鋭意研究の結果生の莢で実験したところ、生の莢は乾燥させた莢よりもより強い抗炎症作用があることを発見した。生の莢は20%以上(w/w)水分を含んでいることが必要である。20%未満(w/w)だと乾燥状態になってしまうからである。したがって水分含有量が多ければ多いほど生の状態に近いので多いほど良い。
【0009】
したがって、本発明の目的は、ナタマメの莢のエキスを主成分とする抗炎症組成物及び抗炎症作用を有する健康美容用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明の抗炎症組成物及び抗炎症作用を有する健康美容用組成物は、ナタマメの生の莢から抽出したエキスを主成分とすることからなる。
又、ナタマメの生の莢は20%以上(w/w)水分を含んでいるものでなければならないが、水分含有量が多ければ多いほど生の状態に近いので多いほど良い。
抗炎症組成物の例としては、抗炎症作用を有する医薬部外品、抗炎症作用を有する健康美容用組成物としては、化粧品、健康食品等がある。
【発明の効果】
【0011】
ナタマメの生の莢から抽出したエキスにより抗炎症組成物、抗炎症作用を有する健康美容用組成物等を提供することが出来る。
【実施例】
【0012】
下記に本発明の実験例を示す。
[実験例1]
マウス皮膚における強力な発癌プロモーターである12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate (TPA)が誘発する炎症に対する効果を検討し、抑制効果についてマウス皮膚二段階発癌実験を行った。今回,本発癌系に対して、ナタマメの莢についてその有効性を検討した。
【0013】
実験方法はT. Kaminagaらの方法を用いた(T. Kaminaga, K. Yasukawa, M. Takido, T. Tai, Y. Nunoura,Phytother. Res. 10, 581-584(1996))。実験動物各7週齢のICR雌性マウスをJapan SLCから購入し、室温23±5 °C、湿度50±5%のSPF飼育室で8時より20時まで照明を付けて飼育した。
マウスの右内・外耳殻にTPA 1μgを20μ1のacetone溶液として塗布し,最高腫脹時である塗布6時間後の耳殻腫脹を測定し、対照群との比より算出した。検体は、CHCl3-MeOH-H2O (1:2:1〕混液20μ1に溶解しTPA塗布の30分前に同一部位に塗布した。各群4匹を用いて行った。
【0014】
薬物及びTPAの塗布には、エッペソドルフピペット4710クリスタルを用いた。
ナタマメの乾燥させた莢,生の莢の50%EtOH抽出エキスは、TPAが誘発する炎症に対して1 mg/earの用量で 29%, 40%の抑制率を示した。又、50%EtOHエキスのEtOAc可溶部について同様の実験を行ったところ、0.5 mg/earの用量で、それぞれ同様に 31%, 72%の抑制率を示した。生の莢は乾燥させた莢よりもかなり強い抑制効果が見られた。抗炎症薬であるインドメタシン及びヒドロコーチゾンのID50は、それぞれ325,25.2 μgであり、これらはインドメタシンと同程度の効果を有すると考えられる。
【0015】
下記に本発明の生の莢の抽出エキスの抽出例を示す。
【0016】
[抽出例1]
ナタマメの生の莢を適当な大きさに刻み、80%エタノールにつけ、80℃で20分間加熱する。加熱後、ろ過し抽出エキスを減圧で乾燥した。抽出エキスはスプレードライ末、凍結乾燥末、エキスそのもの等を使用する。
【0017】
下記にローション、乳液、健康食品(通常行われているように、カプセル状、パウダー状、錠剤、顆粒、液状等の形態があるが、ここでは代表例として、カプセル状、パウダー状を例に示す。)の混合例、配合例を示す。
【0018】

【0019】

【0020】
[例3]
ソフトカプセルの健康食品の混合例
小麦胚芽油 50%(w/w)
ミツロウ 7%
抽出例1のエキス10%
豚由来ジェラチン 22%
グリセリン 7%
小麦末 4%
【0021】
[例4]
パウダー状の健康食品の配合例
明日葉パウダー 50%(w/w)
大麦若葉バウダー40%
抽出例1のパウダー10%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナタマメの生の莢から抽出したエキスを主成分とすることを特徴とする抗炎症組成物。
【請求項2】
ナタマメの生の莢から抽出したエキスを主成分とする抗炎症作用を有する健康美容用組成物。
【請求項3】
前記ナタマメの生の莢が20%以上(w/w)水分を含んでいることを特徴とする請求項1記載の抗炎症組成物。
【請求項4】
前記ナタマメの生の莢が20%以上(w/w)水分を含んでいることを特徴とする請求項2記載の抗炎症作用を有する健康美容用組成物。

【公開番号】特開2007−210935(P2007−210935A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31960(P2006−31960)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(500254837)株式会社 ウイル・コーポレーション (20)
【Fターム(参考)】