説明

抗菌材料および被膜

テキスタイル、医療機器、包装材料など、またはそれらの上に被膜を形成する際に使用するための抗菌材料を提供する。いくつかの実施形態において、抗菌材料を、物品のバルク修飾のために利用してもよい。抗菌材料は、ビニル官能基および/またはアクリレート官能基を有するフラノンを、場合によってはビニル基および/またはアクリレート基を有する別のモノマーと組み合わせて含む。実施形態において、本開示は、物品を準備するステップと、少なくとも1つのビニル基またはアクリレート基を有する第1のモノマーと第2のモノマーを組み合わせて、物品と接触させるステップと、第1のモノマーおよび第2のモノマーを重合するステップとを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2007年5月14日に出願された、米国仮特許出願第60/930,087号の利益および上記仮特許出願に対する優先権を主張し、上記仮特許出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、テキスタイル、医療機器、包装材料などで使用することができる抗菌材料および被膜に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
縫合糸および/または前記縫合糸を含む包装材などの医療機器での抗菌剤の使用は、以前に開示されている。しかし、いくつかの医療機器は、有効な抗菌活性レベルを十分な期間提供することができない。さらに、医療機器上の抗菌剤は、望ましくないことに、その包装材に移る可能性があり、in vivoで縫合糸または他の医療機器を移植したとき所望の抗菌効果を得るためにはより高いレベルの抗菌剤を使用する必要がある。
【0004】
したがって、増強された抗菌効力を保持できる医療機器、包装材料、およびテキスタイルが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本開示は、ビニルおよび/またはアクリレート官能性フラノンを含む組成物を提供する。これらのフラノンを利用して、ホモポリマーを形成することができ、または実施形態において、他のモノマーと組み合わせて、コポリマーを形成することができる。これらの組成物は、テキスタイル、医療機器、包装材料など物品、およびこのような品目のための被膜の形成に適する可能性がある。
【0006】
実施形態において、本開示は、物品を準備するステップと、少なくとも1つのビニル基またはアクリレート基を有する第1のモノマーと次式の第2のモノマー:
【0007】
【化1】

(式中、R、R、およびRは、独立にもしくはすべてHまたはハロゲンであり、
は、H、ハロゲン、ホルミル、カルボキシル、シアノ、エステル、アミド、アルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、および/またはアリールアルキルなどの部分であり、
、R、R、およびRの少なくとも1つは、ビニル部分および/またはアクリレート部分などの部分で置換されている)を組み合わせて、物品と接触させるステップと、
第1のモノマーおよび第2のモノマーを重合するステップとを含む方法を提供する。
【0008】
他の実施形態において、本開示は、次式の、少なくとも1つのビニル基を有する少なくとも1つのホスホリルコリン:
【0009】
【化2】

(式中、xは約1〜約10であり、yは約1〜約10である)を含む第1のモノマー、および次式の第2のモノマー:
【0010】
【化3】

(式中、R、R、およびRは、独立にもしくはすべてHまたはハロゲンであり、
は、H、ハロゲン、ホルミル、カルボキシル、シアノ、エステル、アミド、アルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、および/またはアリールアルキルなどの部分であり、
、R、R、およびRの少なくとも1つは、ビニル部分および/またはアクリレート部分などの部分で置換されている)
を含む溶液を物品と接触させるステップと、
第1のモノマーおよび第2のモノマーを重合するステップとを含む方法を提供する。
【0011】
本開示の組成物は、抗菌剤の物品表面からの損失が最小であり、かつ/または抗菌剤の包装材料への移動が最小であるなど、微生物から長期間保護する医療機器、包装材料、またはテキスタイルに抗菌剤を組み込みまたは塗布する容易でかつ安価な方法を提供することができる。このように、より少量の抗菌剤を利用して、所望の抗菌効果を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
本開示は、テキスタイル、医療機器、包装材料など、およびこのような品目のための被膜に適した組成物を提供する。組成物には、ビニルおよび/またはアクリレート官能性フラノンが含まれる。実施形態において、これらのフラノンを利用して、ホモポリマーを形成することができ、または実施形態において、他のモノマーと組み合わせて、コポリマーを形成することができる。本明細書でコポリマーは、生体吸収性でも、非吸収性でもよく、コポリマーとしては、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、および/またはセグメント化コポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
実施形態において、ビニル官能基および/またはアクリレート官能基を有するフラノンは、ハロゲン化されていてもよい。ハロゲン化フラノンは、クオラムセンシングの阻害剤と呼ばれる。細菌シグナル伝達とも呼ばれるクオラムセンシングは、多くの細菌において遺伝子制御の一般的機序として認められ、クオラムセンシングによって、細菌が一斉に生物発光、スウォーミング、バイオフィルム形成、タンパク質分解酵素の産生、抗生物質の合成、遺伝子コンピーテンスの発現、プラスミド接合伝達、および奪取(spoliation)などの活動を行うことができる。クオラムセンシングは、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Salmonella enteritidis、Staphylococcus epidermidis、Bacillus subtilisなどのグラム陽性細菌と、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Aeromonas hydrophilaなどのグラム陰性細菌の両方が使用する普遍的な調節機構である。
【0014】
したがって、本明細書に記載するフラノンなどのクオラムセンシング阻害剤は、微生物の発生および増殖を抑制することによって抗菌剤として作用することができる。スウォーミング運動とバイオフィルム形成は共に、頻繁に感染疾患の病態生理の基礎を成すが、実施形態において、クオラムセンシング阻害剤は、スウォーミング運動およびバイオフィルム形成を抑制することができる。したがって、スウォーミングおよびバイオフィルム形成の抑制は、細菌負荷を低減し、ひいては感染および疾患進行を予防することができる。
【0015】
ハロゲン化フラノンも、クオラムセンシングを遮断し、かつ哺乳類細胞に対して非毒性である量の細菌の増殖を抑制することができる。その作用機序を考慮すると、ハロゲン化フラノンの抗病原性は、広範囲の感染病原体に対して有効である可能性があり、上記に示したものを含めてグラム陽性細菌とグラム陰性細菌の両方のコロニー形成を低減および/または防止することができる可能性がある。
【0016】
さらに、微生物を死滅させ、かつ抗菌剤耐性の誘導の危険を伴う抗生物質および防腐剤化合物とは異なり、ハロゲン化フラノンは、このような進化圧をかけない。したがって、ハロゲン化フラノンを含む本開示の組成物で被覆した物品に対する抗菌剤耐性は、問題ではない。
【0017】
本開示によるコポリマーを形成する際に使用するのに適切な、ビニル基および/またはアクリレート基を有するフラノンとしては、例えば次式の化合物:
【0018】
【化4】

(式中、R、R、およびRは、独立にもしくはすべてHまたはハロゲンであり、
は、H、ハロゲン、ホルミル、カルボキシル、シアノ、エステル、アミド、アルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはアリールアルキルなどの部分とすることができ、その部分は、1つもしくは複数の置換基で場合によっては置換されていてもよく;かつ/または1個または複数のヘテロ原子で中断されていてもよく;かつ/または直鎖、分枝鎖、疎水性、親水性、または親フッ素性でもよく、
ただし、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、ビニルおよび/またはアクリレート基で置換されていることを条件とする。実施形態において、ビニルおよび/またはアクリレート基を有するフラノンは、ハロゲン基も有することができる)
が挙げられる。
【0019】
本明細書では、置換フラノンまたは置換部分には、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ニトロ、アミノ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロヘテロシクリル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミン、アルキニルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アシルアミノ、ジアシルアミノ、アシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロキシ、ヘテロシクラミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、カルボアルコキシ、アルキルチオ、アシルチオ、ホスホノおよびホスフィニルなどリンを含有する基、ならびにそれらの組合せなどの基を有するものが含まれる。
【0020】
本明細書では、単独でまたは「ハロアルキル」もしくは「アルキルチオ」などの複合語として使用される「アルキル」には、直鎖または分枝状のC1〜6アルキル基が含まれる。例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどが挙げられる。
【0021】
本明細書では、「アルコキシ」には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、およびブトキシ異性体など直鎖または分枝状のアルコキシ、実施形態においてC1〜10アルコキシが含まれる。
【0022】
本明細書では、「アルケニル」には、先に定義したエチレン性モノ不飽和またはポリ不飽和のアルキルまたはシクロアルキル基を含めて、直鎖、分枝状、または単環式もしくは多環式のアルケンから形成された基、実施形態においてC2〜10アルケニルが含まれる。アルケニルの例としては、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1−4,ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル、および/または1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルが挙げられる。
【0023】
本明細書では、「ハロゲン」および/または「ハロゲン化された」には、フッ素、塩素、臭素、および/またはヨウ素が含まれる。実施形態において、適切なハロゲンとしては、臭素が挙げられる。
【0024】
本明細書では、「ヘテロ原子」には、O、N、および/またはSが含まれる。
【0025】
本明細書では、単独でまたは「アシルオキシ」、「アシルチオ」、「アシルアミノ」、または「ジアシルアミノ」などの複合語として使用される「アシル」には、カルバモイル、脂肪族アシル基、およびヘテロ環式アシルと呼ばれることがあるヘテロ環式環を含むアシル基、実施形態においてC1〜10アシルが含まれる。アシルの例としては、カルバモイル;ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイルなどの直鎖または分枝状アルカノイル;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、t−ペンチルオキシカルボニルまたはヘプチルオキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル;シクロポピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、またはシクロヘキシルカルボニルなどのシクロアルキルカルボニル;メチルスルホニルまたはエチルスルホニルなどのアルキルスルホニル;メトキシスルホニルまたはエトキシスルホニルなどのアルコキシスルホニル;ヘテロシクリルカルボニル;ピロリジニルアセチル、ピロリジニルプロパノイル、ピロリジニルブタノイル、ピロリジニルペンタノイル、ピロリジニルヘキサノイル、またはチアゾリジニルアセチルなどのヘテロシクリルアルカノイル;ヘテロシクリルプロペノイル、ヘテロシクリルブテノイル、ヘテロシクリルペンテノイル、またはヘテロシクリルヘキセノイルなどのヘテロシクリルアルケノイル;および/あるいはチアゾリジニルグリオキシロイルまたはピロリジニルグリオキシロイルなどのヘテロシクリルグリオキシロイルが挙げられる。
【0026】
本明細書では、「親フッ素性」には、C〜C10鎖長の高フッ素化アルキル基などある種の基が、ペルフルオロアルカンおよびペルフルオロアルカンポリマーに対して有する高引力相互作用が含まれる。
【0027】
他の実施形態において、適切なフラノンは、次式:
【0028】
【化5】

を有することができ、
式中、RおよびRは独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルであり、1個または複数のヘテロ原子で場合によっては中断されており、直鎖または分枝鎖、親水性または親フッ素性であり、
およびRは独立に、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキル〜であり、
は、H、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルであり、1個または複数のヘテロ原子で場合によっては中断されており、直鎖または分枝鎖、親水性または親フッ素性である。
【0029】
式IIのこのような化合物の具体例としては、例えば次のものが挙げられる。
【0030】
【化6】

【0031】
【化7】

【0032】
【化8】

いくつかの実施形態において、上記の式IIのフラノンを脱水して、次式IIIの別の適切なフラノン化合物:
【0033】
【化9】

を生じることができ、
式中、R、R、R、R、およびRは上記に定義した通りである。
【0034】
式IIIの化合物の具体例としては、次のものが挙げられる。
【0035】
【化10】

【0036】
【化11】

【0037】
【化12】

他の適切なフラノン誘導体としては、実施形態において次式のもの:
【0038】
【化13】

を挙げることができ、
式中、R、R、R、R、およびRは上記に定義した通りであり、XはOまたはNRである。
【0039】
式IVのフラノンの具体例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
【化14】

【0041】
【化15】

さらに他の適切なフラノンには、次式のもの:
【0042】
【化16】

が含まれ、
式中、R、R、R、およびRは上記に定義した通りであり、XはOまたはNRである。
【0043】
式Vのフラノンの具体例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
【化17】

さらに他の適切なフラノンには、次式のもの:
【0045】
【化18】

が含まれ、
式中、R、R、R、R、およびRは上記に定義した通りであり、かつZは、R、ハロゲン、OC(O)R、=O、アミン、アジド、チオール、メルカプトアリール、アリールアルコキシ、メルカプトアリールアルキル、SC(O)R、OS(O)、NHC(O)R、=NR、またはNHRである。
【0046】
式VIのフラノンの具体例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
【化19】

【0048】
【化20】

実施形態において、前述のフラノンの組合せを利用することができる。
【0049】
上に記載したように、本開示のフラノンを利用して、ホモポリマーを形成することができ、または他のモノマーと組み合わせて、コポリマーを形成することができる。上記のフラノンと組み合わせてもよい適切なモノマーとしては、ビニル基および/またはアクリレート基を有する他のモノマーが挙げられるが、これに限定されるものではない。このようなモノマーとしては、ビニル基および/またはアクリレート基を有する薬物、ペプチド、タンパク質、多糖類、核酸、レクチン、脂質などを挙げることができる。
【0050】
このようなモノマーには、例えばビニル官能性第四級アミン;アクリル酸ナトリウム、ビス−アクリレート、ブチルアクリレート、スルホプロピルアクリレート、ヒドロキシアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールアクリレート、シリコーンアクリレートを含めてアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)およびスルホプロピルメタクリレートを含めてメタクリレート、アクリルアミドおよびジアクリルアミドを含めてアミド、アクリル酸、メタクリル酸、およびスチレンスルホン酸を含めて酸、n−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドン、および2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどのホスホリルコリンなど、ならびにそれらの組合せも含まれる。2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されないモノマーをベースとし、またはそれに由来するホスホリルコリンを含めて、他のホスホリルコリンを利用してもよい。本明細書では、「(メタ)アクリル」は、メタクリル基およびアクリル基とメタクリル基またはアクリル基との両方を包含する。
【0051】
実施形態において、適切なホスホリルコリンとしては、Biocompatibles Limited(英国、ミドルセックス)からPC 1059、PC 1036、PC 1062、PC 2028、PC 1071、PC 1015、および/またはPC 2083として市販されているものが挙げられる。
【0052】
他の実施形態において、ビニル基および/またはアクリレート基を有するフラノンと組み合わせてもよい適切なビニルホスホリルコリンとしては、次式のもの:
【0053】
【化21】

(式中、xは約1〜約10、実施形態において約2〜約6であり、yは約1〜約10、実施形態において約2〜約6である)
が挙げられる。
【0054】
本開示のコポリマーは、ビニル基および/またはアクリレート基を有する上記のフラノンを少なくとも1つのビニル基を有するリン脂質と一緒に重合することによって形成することができる。
【0055】
ビニル基またはアクリレート基を有する上記のフラノンモノマーおよびコモノマーを用いてポリマーおよび/またはコポリマーを形成する方法は、当業者の理解の範囲内である。例えば、ビニルまたはアクリレートフラノンモノマーを、ビニル基またはアクリレート基を有する液体状態のコモノマーに溶解してもよい。例えば、反応容器中で、フラノンモノマーおよびビニル基またはアクリレート基を有するモノマーを、望むなら適切な重合触媒と場合によっては組み合わせて混合し、約0℃〜約250℃、実施形態において約25℃〜約80℃の温度で、約15分間〜約72時間、実施形態において約60分間〜約24時間加熱することができる。
【0056】
他の実施形態において、フラノンモノマー、ビニル基および/またはアクリレート基を有するコモノマー、または両方を有する水溶液または懸濁液を調製することができる。溶液を形成する際に利用してもよい適切な溶媒としては、例えばアセトニトリル、酢酸、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、またはポリマーがプロトン性溶媒と反応する基を含まない場合、水または約1個〜約4個の炭素原子を含むアルカノール、例えばメタノール、エタノール、またはプロパン−2−オールが挙げられる。あるいは、上記の溶媒のいずれかの混合物を、使用してもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、モノマーを単一の溶媒中で組み合わせてもよい。他の実施形態において、フラノンモノマーを第1の溶媒中に入れることができ、ビニル基および/またはアクリレート基を有するコモノマーを第2の溶媒中に入れることができ、次いで2つの溶液を、モノマーと溶媒の相溶性に応じて単一の溶液または懸濁液に組み合わせる。
【0058】
溶液の調製は、比較的簡単な手順である可能性があり、ブレンド、混合などによって実施することができる。溶液重合条件は、当業者の理解の範囲内であり、例えば約25℃〜約120℃の温度、実施形態において約40℃〜約80℃で、約15分間〜約72時間、実施形態において約60分間〜約24時間加熱することを挙げることができる。モノマーを含む2つの溶液が非相溶性である実施形態において、懸濁液または乳濁液を形成することがある。
【0059】
溶液を利用して、フラノンモノマー、ビニル基および/またはアクリレート基を有するコモノマー、または両方を機器の被膜として塗布する場合、任意の溶媒または溶媒の組合せは、(1)被膜成分と混和性があるべきであり、(2)縫合糸などの被覆される物品を形成するために使用する任意の材料の完全性に大きな影響を与えるべきではない。
【0060】
重合を開始する他の方法は、当業者の理解の範囲内である。例えば、いくつかの実施形態において、フラノンビニルモノマーを場合によってはビニル基またはアクリレート基を有するモノマーと組み合わせて含む溶液で、医療機器を膨潤させてもよく、γ線またはeビーム、紫外線、光開始剤、化学開始剤、パルスレーザーアブレーション堆積(PLAD)、プラズマエネルギー、陽電子などの高エネルギー放射線を使用して、重合を開始させてもよい。
【0061】
実施形態において、高エネルギー放射線を利用して、重合を開始することができる。被覆する機器が高エネルギー放射線に感受性を示す、例えばラクトン、ポリプロピレンなどで作製された機器の場合、低線量を適用して、重合を開始することができる。例えば、いくつかの実施形態において、約0.05Mrad〜約0.5Mrad、実施形態において約0.1Mrad〜約0.3Mradの低線量でγ線を適用して、重合を開始することができる。
【0062】
重合を開始する他の方法は、当業者の理解の範囲内であり、例えば米国特許第5,290,548号、第5,376,400号、第5,804,263号、第5,885,566号、および第6,387,379号に開示されたものが挙げられ、それぞれの開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
他の実施形態において、被膜は、本開示のフラノンを有する脱気したモノマー溶液中に、物品を場合によっては上述したコモノマーと組み合わせて入れることによって、形成することができる。溶液は、約4℃〜約50℃、実施形態において約10℃〜約40℃の温度とすることができる。機器は、適切な時間、実施形態において約1時間〜約24時間、他の実施形態において約4時間〜約20時間、溶液中に維持することができる。溶液中でのこのインキュベーションに続いて、上述したγ線またはeビームなどの高エネルギー放射線に機器を曝露することができる。他の実施形態において、機器を新しいモノマー溶液に移し、照射して、in situで重合を開始することができる。重合に続いて、本開示の被膜を有する改変した機器は洗浄して、残留する遊離ポリマーまたはモノマーを除去し、あるいは使える状態になるまで重合媒体中に保持してもよい。重合を開始するために利用する放射線が、約2.5Mradより高い線量である場合、放射線の適用は、同時重合開始剤および滅菌ステップとして作用することができる。
【0064】
重合は、ベンゾイルペルオキシド、2,2’−アゾ−ビス(2−メチルプロピオニトリル)、および/またはベンゾインメチルエーテルなどの1種または複数の重合開始剤の存在下で実施することができる。使用してもよい他の重合開始剤は、当業者の理解の範囲内であり、例えば「Polymer Handbook」、第3版、Ed.J.BrandrupおよびE.H.Immergut、Pub.Wiley−Interscience、ニューヨーク、1989年に開示されたものが挙げられる。
【0065】
重合に続いて、ポリマー、またはポリマー被膜を有する物品を、重合媒体から取り出し、洗浄して、過剰の遊離ポリマーまたは残留モノマーのいずれも除去することができる。次いで、ポリマー、またはポリマーもしくはコポリマーのグラフト化および相互貫入被膜を有する物品を滅菌してもよい。場合によっては、滅菌は、γ線などの高エネルギー放射線への曝露によって行われる場合がある。したがって、いくつかの実施形態において、放射線を利用して、同時に重合を開始し、本開示の被膜を有する物品を滅菌することができる。
【0066】
本開示のフラノンコポリマーのいくつかの例としては、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と組み合わせてビニル基およびアクリレート基を有するフラノンが挙げられる。2つのモノマーは、フラノン:HEMAの重量比を約5:95〜約30:70で組み合わせ、γ線を用いて重合して、ポリ(HEMA)−フラノンコポリマーまたはコポリマーヒドロゲルを生成することができる。このような組成物は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、および治療が困難な感染の影響を受けやすいことがある同様の機器で有用である場合がある。さらに、このような機器を、(機器に対して貧溶媒である溶媒を利用した)フラノンモノマー溶液中でインキュベートして、機器表面をモノマーで膨潤させることができる。次いで、材料を低線量のγ線に曝露させて、ポリマーの形成、およびグラフト/相互貫入ネットワーク被膜の形成を開始することができる。これは、実施形態において移植血管、メッシュ、上述した眼内レンズ、弁、縫合糸、ステント、カテーテル、組織工学による機器、組織スキャフォールド、血液接触機器、シャント、気管内チューブ、呼吸装置、抗接着性機器、密封材、接着剤などを被覆する際に利用することができるであろう。
【0067】
同様に、ビニルフラノンモノマーを、ビニルピロリドン、またはMPCを含めてビニルホスホリルコリンと重合して、本開示の物品を被覆するのに適した親水性コポリマーを調製することができる。このような被膜は、生体適合性および湿潤性を改善することができ、ならびに細菌が機器の表面にスウォーミングおよび/または付着することを(フラノンのため)生化学的にも(PVPまたはホスホリルコリンのため)立体的にも困難にする表面を提供することができる。このような被膜は、血液成分、細菌などの非特異的吸収が困難または問題となる可能性がある場合に移植血管、メッシュ、カテーテル、コンタクトレンズ、縫合糸、ステント、ステントグラフトなどの機器に望ましいことがある。フラノン−MPCコポリマーおよび/またはフラノン−PVPコポリマーを使用して、γ線への曝露によって機器を改変することもできる。
【0068】
ホモポリマーまたはコポリマーを形成することに加えて、実施形態において、上記の重合スキームを利用して、本明細書に記載するフラノンから形成されたポリマーを含む被膜を形成することができる。例えば、実施形態において、フラノンモノマーおよび場合によっては上述したコモノマーを含む溶液に医療機器を入れてもよく、重合を起こすことが可能になり、それによってフラノンポリマーまたはコポリマーのグラフトまたは相互貫入ネットワークが機器の表面に形成される。溶液を、通常の化学カップリング剤、例えばシラン系カップリング剤と一緒に使用して、上述したフラノンビニル系ポリマーまたはコポリマーを医療機器の表面に共有結合させることもできる。
【0069】
上述したフラノンホモポリマーまたはコポリマーで形成または被覆することができる適切な医療機器としては、クリップおよび他のファスナー、ステープル、縫合糸、ピン、ネジ、補綴装置、創傷被覆材、包帯、薬物送達装置、吻合リング、外科用ブレード、コンタクトレンズ、眼内レンズ、外科用メッシュ、ステント、ステント被膜、グラフト、カテーテル、ステント/グラフト、結び目のない創縫合糸(wound closure)、密封材、接着剤、組織スキャフォールド、ステープリング装置、バットレス、ラップバンド、整形外科用ハードウェア、ペーサー、ペースメーカー、および他の植込み型機器が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本開示のフラノンコポリマーから、繊維を作製することができる。実施形態において、本開示のフラノンコポリマーで作製した繊維を、吸収性繊維と非吸収性繊維のどちらかの他の繊維と編みまたは織って、テキスタイルを形成することができる。繊維を不織材料にして、メッシュおよびフェルトなどの布地を形成することもできる。縫合糸は、編み糸を含めて、モノフィラメントでも、マルチフィラメントでもよい。他の実施形態において、密封材および/または接着剤を本開示の組成物と組み合わせてもよい。
【0070】
医療機器は、実施形態において本開示のポリマーおよびコポリマーを含む医療機器の所期の使用に適切な物理的諸特性を有する任意の材料から形成することができる。したがって、医療機器は、吸収性材料、非吸収性材料、およびそれらの組合せで形成することができる。医療機器を形成するために利用してもよい適切な吸収性材料としては、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの組合せが挙げられる。医療機器を形成するために利用してもよい適切な非吸収性材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンのコポリマー、およびポリエチレンとポリプロピレンのブレンドなどのポリオレフィンが挙げられる。
【0071】
実施形態において、本開示に従って処理される医療機器は、縫合糸とすることができる。本開示による縫合糸は、モノフィラメントでも、マルチフィラメントでもよく、外科用ガット、絹、綿、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリグリコール酸、ポリエチレンテレフタレートおよびグリコリド−ラクチドコポリマーなどのポリエステルなど生体吸収性材料と非生体吸収性材料の両方を含めて、いずれの通常の材料で作製してもよい。
【0072】
実施形態において、縫合糸はポリオレフィンで作製してもよい。適切なポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンのコポリマー、およびポリエチレンとポリプロピレンのブレンドが挙げられる。いくつかの実施形態において、ポリプロピレンを利用して、縫合糸を形成することができる。ポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレン、あるいはアイソタクチックおよびシンジオタクチックまたはアタクチックポリプロピレンの混合物とすることができる。
【0073】
他の実施形態において、縫合糸は、グリコリド、ラクチド、カプロラクトン、アルキレンカーボネート(すなわち、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートなど)、ジオキサノン、ならびにそれらのコポリマーおよび組合せから作製されたものなどの合成吸収性ポリマーから作製してもよい。利用してもよい1つの組合せとしては、グリコリドとラクチドのコポリマーを含めて、グリコリドおよびラクチド系ポリエステルが挙げられる。
【0074】
上記に指摘したように、縫合糸はモノフィラメントでも、マルチフィラメントでもよい。縫合糸がモノフィラメントである場合、このような縫合糸を生成する方法は、当業者の理解の範囲内である。このような方法は、ポリオレフィン樹脂などの縫合糸材料を形成するステップと、樹脂の押出、伸長、およびアニールを行って、モノフィラメントを形成するステップとを含む。
【0075】
縫合糸が複数のフィラメントで作製されている場合、縫合糸は、例えばブレーディング、ウィービング、またはニッティングなど当業者の理解の範囲内のいずれかの技法を使用して作製することができる。フィラメントを組み合わせて、不織縫合糸を生成することもできる。フィラメントそれ自体の伸長、延伸、捲縮、撚り、混繊、またはエアーエンタングルを行って、縫合糸形成方法の一部として糸を形成することができる。
【0076】
実施形態において、本開示のマルチフィラメント縫合糸は、ブレーディングによって生成することができる。ブレーディングは、当業者の理解の範囲内のいずれかの方法で行うことができる。例えば、縫合糸および他の医療機器用のブレード構築物は、米国特許第5,019,093号、第5,059,213号、第5,133,738号、第5,181,923号、第5,226,912号、第5,261,886号、第5,306,289号、第5,318,575号、第5,370,031号、第5,383,387号、第5,662,682号、第5,667,528号、および第6,203,564号に記載されており、それぞれの開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
縫合糸が構築されると、当業者の理解の範囲内のいずれかの手段で無菌化することができる。
【0078】
場合によっては、管状ブレードまたは鞘部を、編組機の中心を通して供給される芯構造の周りに構築することができる。芯を有するものを含めて、周知の管状編み糸は、例えば米国特許第3,187,752号、第3,565,077号、第4,014,973号、第4,043,344号、および第4,047,533号に開示されている。
【0079】
フラノンは、本開示の機器または被膜を形成する際に任意の適量を利用することができる。上記に指摘したように、その優れた抗菌活性のため、フラノンは、被覆を施す物品に抗菌性を付与することができる低レベルの用量で利用することができる。実施形態において、本開示の被膜中に存在するフラノンの量は、約5ppm(百万分率)〜約1000ppm、実施形態において約20ppm〜約800ppm、他の実施形態において約100ppm〜約600ppmとすることができる。機器および/または抗菌性被膜中のフラノンの正確な量は、使用する特定のフラノン、接触させる物品の組成、および被覆材料中で利用するポリマーの選択などいくつかの要因に依存する。
【0080】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、脂肪酸、脂肪酸塩、または脂肪酸エステルの塩などの脂肪酸成分も含有することができる。適切な脂肪酸は、飽和でも、不飽和でもよく、約12個より多い炭素原子を有する高級脂肪酸が挙げられる。適切な飽和脂肪酸としては、例えばステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、およびラウリン酸が挙げられる。適切な不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸が挙げられる。さらに、ソルビタントリステアレートまたは水添ヒマシ油などの脂肪酸エステルを使用することができる。
【0081】
適切な脂肪酸塩としては、Cおよびより高級な脂肪酸、実施形態において約12個〜約22個の炭素原子を有するもの、ならびにそれらの混合物の多価金属イオン塩が挙げられる。ステアリン酸、パルミチン酸、およびオレイン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩、および亜鉛塩を含めて、脂肪酸塩は、本開示のいくつかの実施形態において有用であり得る。有用な塩の一部としては、約1/3のC16脂肪酸と2/3のC18脂肪酸の混合物、ならびに少量のC14およびC22脂肪酸を含有する市販の「食品用」ステアリン酸カルシウムが挙げられる。
【0082】
本開示の組成物および/または被膜中に含まれていてもよい脂肪酸エステルの適切な塩としては、ステアロイル乳酸カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、もしくは亜鉛;パルミチル乳酸カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、もしくは亜鉛;および/またはオレリル乳酸カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、もしくは亜鉛が挙げられる。実施形態において、ステアロイル−2乳酸カルシウム(American Ingredients Co.(ミズーリ州カンザスシティー)から販売名VERVで市販されているステアロイル−2乳酸カルシウムなど)を利用することができる。利用してもよい他の脂肪酸エステル塩としては、ステアロイル乳酸リチウム、ステアロイル乳酸カリウム、ステアロイル乳酸ルビジウム、ステアロイル乳酸セシウム、ステアロイル乳酸フランシウム、パルミチル乳酸ナトリウム、パルミチル乳酸リチウム、パルミチル乳酸カリウム、パルミチル乳酸ルビジウム、パルミチル乳酸セシウム、パルミチル乳酸フランシウム、オレリル乳酸ナトリウム、オレリル乳酸リチウム、オレリル乳酸カリウム、オレリル乳酸ルビジウム、オレリル乳酸セシウム、およびオレリル乳酸フランシウムが挙げられる。
【0083】
脂肪酸成分を利用する場合、脂肪酸成分の量は、全組成物の約5重量%〜約60重量%とすることができる。実施形態において、脂肪酸成分は、全組成物の約15重量%〜約55重量%の量で存在することができる。
【0084】
他の実施形態において、上記のフラノンおよび任意選択のコモノマーを、追加のポリマーと組み合わせて、機器および/または被膜を形成することもできる。機器および/または被膜としての使用に適したポリマーはいずれも、本開示に従って利用することができる。ポリマーは、生体吸収性でも、非吸収性でもよい。実施形態において、生体吸収性フィルム形成のポリマーを、本開示の機器および/または被膜中で利用してもよい。機器および/または被膜中で利用してもよいフィルム形成のポリマーは、当業者の理解の範囲内であり、例えばグリコリド、ラクチド、グリコール酸、乳酸、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ジオキサノン、ジオキセパノンなど、ならびにそれらのホモポリマー、コポリマー、および組合せを含めて、モノマーに由来する結合を含むものが挙げられる。
【0085】
実施形態において、フィルム形成ポリマーとしては、米国特許第5,716,376号に記載されるカプロラクトン含有コポリマーを挙げることができ、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。このようなカプロラクトン含有コポリマーは、主要量のε−カプロラクトンと少量の少なくとも1種の他の共重合性モノマーまたはこのようなモノマーの混合物を、多価アルコール開始剤などのヒドロキシル官能性開始剤の存在下で重合することによって得ることができる。
【0086】
ε−カプロラクトンと共重合することができるモノマーとしては、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ジメチルトリメチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネート;ジオキサノン;ジオキセパノン;吸収性環状アミド;クラウンエーテル由来の吸収性環状エーテル−エステル;αヒドロキシ酸(グリコール酸および乳酸など)およびβヒドロキシ酸(βヒドロキシ酪酸およびγヒドロキシ吉草酸など)を含めて、エステル化が可能であるヒドロキシ酸;ポリアルキルエーテル(ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの組合せが挙げられる。実施形態において、フィルム形成ポリマー中のε−カプロラクトンとともにコモノマーとしてグリコリドを利用することができる。
【0087】
フィルム形成ポリマーを調製する際に利用してもよい適切な多価アルコール開始剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エリトリトール、トレイトール、ペンタエリトリトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ジペンタエリトリトール、アリトール、ズルシトール、グルシトール、アルトリトール、イジトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトールなどが挙げられ、いくつかの実施形態においてマンニトールが利用される。
【0088】
多価アルコール開始剤は、少量、実施形態において全モノマー混合物の約0.01重量%〜約5重量%、他の実施形態において全モノマー混合物の約0.1重量%〜約3重量%を使用することができる。
【0089】
フィルム形成コポリマーを利用する場合、約70重量%〜約98重量%のε−カプロラクトン由来単位、実施形態において約80重量%〜約95重量%のε−カプロラクトン由来単位を含有することができ、残量のコポリマーは、グリコリドなど他の共重合性モノマーに由来する。
【0090】
実施形態において、上述したカプロラクトン/グリコリドコポリマーなどのフィルム形成ポリマーは、本開示の組成物の約45重量%〜約60重量%の量で存在することができ、脂肪酸塩または脂肪酸エステルの塩などの脂肪酸成分は、本開示の組成物の約40重量%〜約55重量%の量で存在することができる。実施形態において、上述したカプロラクトン/グリコリドコポリマーなどのフィルム形成ポリマーは、本開示の組成物の約50重量%〜約55重量%の量で存在することができ、脂肪酸成分は、本開示の組成物の約45重量%〜約50重量%の量で存在することができる。
【0091】
例えば、溶液または懸濁液として被膜を物品に塗布するために、いずれの周知の技法を使用してもよい。適切な技法としては、浸し塗り、吹付け塗り、ワイピング、および刷毛塗りが挙げられる。続いて、被覆溶液または懸濁液で湿らせた物品を、溶媒を気化し、追い払うのに十分な程度の時間および温度で、乾燥オーブンに通し、またはそこで保持してもよい。
【0092】
本開示の組成物から作製され、またはそれで被覆された物品は、細菌に対する抵抗性の改善を必要とするいずれの材料から形成してもよい。このような物品としては、テキスタイル、包装材料、医療機器などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
本開示の被膜から作製してもよく、またはそれで被覆してもよいテキスタイルとしては、天然繊維、合成繊維、天然繊維のブレンド、合成繊維のブレンド、および天然繊維と合成繊維のブレンドで作製されたものが挙げられる。テキスタイルを形成するために利用した適切な材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリマー、ポリエステル/ポリエーテル、ポリウレタン、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの組合せが挙げられる。適切な材料の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリビニルクロリド、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、およびナイロン6,6が挙げられる。
【0094】
本開示の組成物から作製してもよく、またはそれで被覆してもよい包装材料としては、医療機器、薬剤、テキスタイル、消費財、食品などの製品のための包装材が挙げられる。包装材料は、当業者の理解の範囲内の任意の適切な材料で形成してもよい。
【0095】
個々の繊維、および複数の繊維で作製された布地を含めて、テキスタイルは、同様の方式で形成および/または被覆してもよい。
【0096】
本開示の組成物から作製され、またはそれで被覆された縫合糸は、抗菌性を有する。実施形態において、本開示の縫合糸は、細長い構造を有することがあり、少なくとも1種の高分子フィラメント、実施形態において複数のフィラメントから形成してもよい。フィラメントは、生理的条件下で吸収性であるポリマー材料から形成してもよく、本開示の組成物を含む被膜は、その上に配置してもよい。
【0097】
実施形態において、本開示による縫合糸は、当業者の理解の範囲内の外科用針のいずれかに取り付けて、針付き縫合糸を作製してもよい。縫合糸101を針100に取り付けたこのような針付き縫合糸を図に示す。針付き縫合糸を組織に通して、創傷閉鎖を行うことによって、創傷を縫合してもよい。次いで、針を縫合糸から取り外し、縫合糸を結んでもよい。縫合糸は、組織に残存し、その抗菌性のおかげで前記組織の汚染および感染の予防の役に立つ可能性があり、それによって創傷治癒が促進され、感染が最小限に抑えられる。縫合糸被膜が、外科医の縫合糸を組織に通す能力を高め、かつ縫合糸を結ぶことができる容易さおよび安全性を高めることも有利である。
【0098】
本開示による医療機器および包装材料は、当業者の理解の範囲内の技法に従って滅菌することができる。
【0099】
本明細書に記載するハロゲン化フラノンを含む本開示の被膜は、物品の加工、取扱い、および貯蔵中、物品の表面に取り付けられたままである。これによって、ハロゲン化フラノンの損失、または物品からいずれかのパッケージングへの移動、いずれかのパッケージングからいずれかの物品、環境などへの移動が最小限に抑えられる。
【0100】
望むなら、本開示の組成物は、追加の成分、例えば染料、抗菌剤、増殖因子、抗炎症剤などを場合によっては含有することができる。本開示で使用する「抗菌剤」という用語は、抗生物質、防腐剤、消毒剤、およびそれらの組合せを包含する。実施形態において、抗菌剤は、トリクロサンなどの防腐剤とすることができる。
【0101】
組成物中で使用することができる抗生物質のクラスとしては、ミノサイクリンのようなテトラサイクリン;リファンピンのようなリファマイシン;エリスロマイシンのようなマクロライド;ナフシリンのようなペニシリン;セファゾリンのようなセファロスポリン;イミペネムおよびアズトレオナムのようなβ−ラクタム抗生物質;ゲンタマイシンおよびTOBRAMYCIN(登録商標)のようなアミノグリコシド;クロラムフェニコール;スルファメトキサゾールのようなスルホンアミド;バンコマイシンのような糖ペプチド;シプロフロキサシンのようなキノロン;フシジン酸;トリメトプリム;メトロニダゾール;クリンダマイシン;ムピロシン;アムホテリシンBのようなポリエン;フルコナゾールのようなアゾール;ならびにスルバクタムのようなβ−ラクタム阻害剤が挙げられる。
【0102】
他の実施形態において、イオン性フラノンの銀塩を含めて銀塩は、それらの抗菌性のために添加してもよい。
【0103】
組成物中で利用してもよい防腐剤および消毒剤の例としては、ヘキサクロロフェン;クロルヘキシジンおよびシクロヘキシジンのようなカチオン性ビグアニド;ポビドン−ヨウ素のようなヨウ素およびヨードフォア;PCMX(すなわち、p−クロロ−m−キシレノール)およびトリクロサン(すなわち、2,4,4’−トリクロロ−2’ヒドロキシ−ジフェニルエーテル)のようなハロ置換フェノール化合物;ニトロフラントインおよびニトロフラゾンのようなフラン医薬調製物;メテナミン;グルタルアルデヒドおよびホルムアルデヒドのようなアルデヒド;ならびにアルコールが挙げられる。いくつかの実施形態において、抗菌剤の少なくとも1種は、トリクロサンなどの防腐剤とすることができる。
【0104】
本開示の抗菌組成物は、安定化剤、粘稠化剤、着色剤など様々な任意選択の材料を含有してもよい。任意選択の材料は、抗菌組成物の全重量の約10%までの量で存在してもよい。
【0105】
本開示の組成物では低量のフラノンが必要であるので、既存の処方および製造方法は、本明細書に記載する組成物を最小限の修正だけで生成する。このように処方および製造が容易であるので、他の抗菌剤を既存の組成物に添加することに比べて、本開示の組成物を調製するのに必要な時間とコストの両方を低減することができる。
【0106】
上記説明は多くの細目を含むが、これらの細目は、本明細書に記載の開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、その特に有用な実施形態を例示するものにすぎないと解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲および趣旨の範囲内で多くの他の可能性を想像するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を準備するステップと、
少なくとも1つのビニル基またはアクリレート基を含む第1のモノマーと次式の第2のモノマー:
【化22】

(式中、R、R、およびRは、独立にもしくはすべてHまたはハロゲンであり、
は、H、ハロゲン、ホルミル、カルボキシル、シアノ、エステル、アミド、アルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、およびアリールアルキルからなる群から選択された部分であり、
、R、R、およびRの少なくとも1つは、ビニル部分およびアクリレート部分からなる群から選択された部分で置換されている)を組み合わせて、前記物品と接触させるステップと、
前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーを重合するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーが、液状のビニルモノマー、水、有機溶媒、およびそれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒を含む溶液中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のモノマーが、次式の、少なくとも1つのビニル基を有するホスホリルコリン:
【化23】

(式中、xは約1〜約10であり、yは約1〜約10である)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のモノマーが、ビニル官能性第四級アミン、ヒドロキシエチルメタクリレート、n−ビニルピロリドン、アクリル酸ナトリウム、ビス−アクリレート、スチレンスルホン酸、ブチルアクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、アクリルアミド、ジアクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールアクリレート、シリコーンアクリレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のモノマーが、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のモノマーがビニルフラノンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーの重合がin situで起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーの重合が、光開始剤、化学開始剤、およびそれらの組合せからなる群から選択された開始剤の存在下で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーの重合が、さらにγ線、eビーム線、紫外線、パルスレーザーアブレーション堆積、プラズマエネルギー、陽電子、およびそれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種のエネルギー源の適用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーの重合によって、物品上または内にポリマーが形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記物品が、縫合糸、外科用メッシュ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、ステープル、クリップ、バットレス、ラップバンド、カテーテル、包帯、ステント、グラフト、ステント/グラフト、結び目のない創縫合糸、密封材、接着剤、組織スキャフォールド、ピン、ネジ、整形外科用ハードウェア、ペーサー、およびペースメーカーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
次式の、少なくとも1つのビニル基を有する少なくとも1つのホスホリルコリン:
【化24】

(式中、xは約1〜約10であり、yは約1〜約10である)を含む第1のモノマー、および次式の第2のモノマー:
【化25】

(式中、R、R、およびRは、独立にもしくはすべてHまたはハロゲンであり、
は、H、ハロゲン、ホルミル、カルボキシル、シアノ、エステル、アミド、アルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、およびアリールアルキルからなる群から選択された部分であり、
式中、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、ビニル部分およびアクリレート部分からなる群から選択された部分で置換されている)を含む溶液を、物品と接触させるステップと、
前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーを重合するステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記溶液が、液状のビニルモノマー、水、有機溶媒、およびそれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のモノマーが、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のモノマーがビニルフラノンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記重合がin situで起こる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液が、ビニルモノマーおよびアクリレートモノマーからなる群から選択された少なくとも1種の追加のモノマーをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液が、ビニル官能性第四級アミン、ヒドロキシエチルメタクリレート、n−ビニルピロリドン、アクリル酸ナトリウム、ビス−アクリレート、スチレンスルホン酸、ブチルアクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、アクリルアミド、ジアクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールアクリレート、シリコーンアクリレート、およびそれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の追加のモノマーをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーの重合が、光開始剤、化学開始剤、およびそれらの組合せからなる群から選択された開始剤の存在下で起こる、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーの重合が、さらにγ線、eビーム線、紫外線、パルスレーザーアブレーション堆積、プラズマエネルギー、陽電子、およびそれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種のエネルギー源の適用を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーの重合によって、物品上または内にポリマーが形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記物品が、縫合糸、外科用メッシュ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、ステープル、クリップ、バットレス、ラップバンド、カテーテル、包帯、ステント、グラフト、ステント/グラフト、結び目のない創縫合糸、密封材、接着剤、組織スキャフォールド、ピン、ネジ、整形外科用ハードウェア、ペーサー、およびペースメーカーからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2010−527401(P2010−527401A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508507(P2010−508507)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/063147
【国際公開番号】WO2008/144247
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】