説明

振動付与構造検出装置及び車両制御装置

【課題】車両が振動付与構造に接触することを高精度に検出できる振動付与構造検出装置等を提供する。
【解決手段】コントローラ(1)は、自車両が走行車線から逸脱する可能性である車線逸脱傾向が有るかを判断する車線逸脱判断部(11)と、路面から自車両に入力される振動を検出する振動検出手段(3,14-16)と、検出された振動のうち振幅が予め定められた所定の振幅閾値以上である振動の周波数が所定の周波数範囲である場合に、自車両が走行する走行路外であって走行路の延在方向に沿って設けられ車両に振動を付与する振動付与構造に対して車両の車輪が接触していると判断するランブルストリップス検出部(17,18)と、振幅閾値を設定する周波数閾値設定部(13)とを備え、周波数閾値設定部(13)は、車線逸脱判断部(11)によって車線逸脱傾向が有ると判断されている場合に、車線逸脱傾向が有ると判断されていない時の振幅閾値に比して、振幅閾値を小さい値に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行路に形成された振動付与構造を検出する振動付与構造検出装置及び当該振動付与構造検出装置を備えた車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、振動付与構造としてのランブルストリップスに対して車輪が接触したことを検出する技術として、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。このランブルストリップスは、走行車線の端部に、当該走行車線に沿って設けられた路面凹凸である。
【0003】
この特許文献1には、車両に入力される振動の振幅と周波数とを検出し、検出した振動の振幅と周波数とに基づいて自車両の車輪がランブルストリップスに接触していることが検出された場合に、当該事項をドライバに報知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−90956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、走行中の車両には、ランブルストリップス以外の路面上の凹凸による振動も入力される。このため、上述の特許文献1のように、車両に入力する振動の振幅と周波数とに基づいて自車両の車輪がランブルストリップスに接触していることを検出していた。したがって、当該振動の振幅や周波数によってはランブルストリップスを検出することができなかったり、ランブルストリップス以外によって発生した振動をランブルストリップスによる振動として検出してしまう恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、車輪が振動付与構造に接触していることを高精度に検出できる振動付与構造検出装置及び車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、路面から自車両に入力される振動を検出し、振幅が予め定められた所定の振幅閾値以上である振動の周波数が予め定められた所定の周波数閾値以上である場合に、ランブルストリップスに対して車両の車輪が接触していると判断すると共に、自車両の車輪が振動付与構造に接触していると判断する上記周波数閾値もしくは振幅閾値のうちの少なくとも一方を、車線逸脱傾向が有ると判断されている場合には車線逸脱傾向が有ると判断されていない場合よりも小さい値に設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自車両の車輪が振動付与構造に接触していると判断する振幅閾値を、車線逸脱傾向が有ると判断されているには小さい値に設定するので、車両が振動付与構造に接触することを高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用した車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した車両制御装置におけるコントローラの機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明を適用した車両制御装置が動作するときの車両の挙動についての説明図である。
【図4】本発明を適用した車両制御装置による全体動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用した車両制御装置による路外逸脱判定処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明を適用した車両制御装置により自車両がランブルストリップを踏んだことを検出する様子を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明を適用した車両制御装置において発行される警報フラグを説明するタイミングチャートである。
【図8】本発明を適用した車両制御装置におけるシートベルト作動フラグを立てるタイミングチャートである。
【図9】本発明を適用した車両制御装置におけるアクセルペダル作動判断フラグを立てるタイミングチャートである。
【図10】本発明を適用した車両制御装置におけるエンジントルク作動フラグを立てるタイミングチャートである。
【図11】本発明を適用した車両制御装置におけるヨーモーメント作動フラグを立てるタイミングチャートである。
【図12】本発明を適用した車両制御装置における減速制御作動フラグを立てるタイミングチャートである。
【図13】本発明を適用した車両制御装置におけるシートベルト作動フラグに対するシートベルト巻き上げ量のタイミングチャートである。
【図14】本発明を適用した車両制御装置におけるアクセルペダル作動判断フラグに対するアクセルペダル反力のタイミングチャートである。
【図15】本発明を適用した車両制御装置におけるエンジントルク作動フラグに対するエンジントルク制御量のタイミングチャートである。
【図16】本発明を適用した車両制御装置におけるヨーモーメント作動フラグに対するヨーモーメント制御量のタイミングチャートである。
【図17】本発明を適用した車両制御装置における減速制御作動フラグに対する減速指令値のタイミングチャートである。
【図18】本発明を適用した車両制御装置において、(a)右側車輪の周波数閾値、(b)左側車輪の周波数閾値、(c)自車両の横位置の関係を示すタイミングチャートである。
【図19】本発明を適用した車両制御装置において、(a)右側車輪の周波数閾値、(b)左側車輪の周波数閾値、(c)走行路逸脱フラグ、(d)右側車輪のランブルストリップス検出フラグの関係を示すタイミングチャートである。
【図20】本発明を適用した車両制御装置において、(a)右側車輪の周波数閾値、(b)左側車輪の周波数閾値、(c)走行路逸脱フラグ、(d)右側車輪のランブルストリップス検出フラグ、(e)横速度の関係を示すタイミングチャートである。
【図21】本発明を適用した車両制御装置において、(a)フリーウェイでの周波数閾値、(b)一般道での周波数閾値を示すタイミングチャートである。
【図22】本発明を適用した車両制御装置において、(a)フリーウェイで走行路右側に逸脱傾向が発生しているときの周波数閾値、(b)フリーウェイ又は一般道で走行路左側に逸脱傾向が発生しているときの周波数閾値、(c)一般道で走行路右側に逸脱傾向が発生しているときの周波数閾値を示すタイミングチャートである。
【図23】本発明を適用した車両制御装置において、加速度、矩形波信号、ランブルストリップス検出フラグとの関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
「車両制御装置の全体構成」
本発明の実施形態として示す車両制御装置は、例えば図1に示すように構成される。この車両制御装置は、自車両が走行する道路(走行車線)上の車線端又は道路境界(走行路と路肩との境界)に設けられ、車両に振動を付与するランブルストリップス(振動付与構造)に自車両のタイヤが接触(自車両のタイヤがランブルストリップスを踏んだ)ことを検出する。これにより、車両制御装置は、自車両が道路外に逸脱する可能性が有ることを検出して、自車両の路外逸脱(道路からの逸脱)を防止する動作を行う。
【0012】
ランブルストリップスとは、走行路延在方向に沿って設けられた路面上の段差又は窪みにより形成される凹凸である。従って、車両のタイヤがランブルストリップス上に乗り上げた(接触した)ときに自車両にノイズ及び/又は振動が発生する。これにより、自車両が路外に逸脱しかけている際に自車両のドライバに注意を喚起することができる。
【0013】
車両制御装置は、コントローラ1に、カメラ2、車輪速センサ3、車両システム4が接続されている。
【0014】
カメラ2は、自車両が走行している車線(以下では自車線もしくは走行車線と記載)内における自車両位置を検出するための外界認識センサである。このカメラ2は、例えば自車両前方に設けられ、数メートル先の車線区分線が撮像可能な撮像範囲とされている。カメラ2は、カメラ画像を所定時間毎にコントローラ1に出力する。
【0015】
コントローラ1は、カメラ2により撮像されたカメラ画像から車線区分線を検出し、検出した車線区分線に基づいて、走行車線内の自車両のヨー角Φ、横変位X、走行車線の曲率β、車線種類L_classを検出する。なお、横変位Xとは車線幅方向における車線中心から自車両までの距離を表わし、ヨー角Φとは車線延在方向と自車両進行方向との成す角を表わし、車線種類L_classは車線区分線が走行路端の車線区分線(実線の車線区分線)であるか走行路内の車線区分線(破線の車線区分線)であるかを表わす。これらヨー角Φ、横変位X、曲率βおよび車線種類L_classを、カメラ2により撮像されたカメラ画像から検出された車線区分線に基づいて検出する手法は公知の技術であるので特に詳述はしないが、例えば撮像した画像を俯瞰画像に変換し、俯瞰画像上における車線区分線の画像上下方向に対する角度からヨー角Φを、俯瞰画像上における車線区分線の左右方向位置から横変位Xを、俯瞰画像上における車線区分線の曲率から自車線の曲率βを、俯瞰画像上における車線区分線の形状から車線区分線の種類L_classを検出することができる。
【0016】
車輪速センサ3は、自車の車輪速を計測する。車輪速センサ3は、自車両の4輪のそれぞれに対して設けられる。車輪速センサ3は、車輪速信号をコントローラ1に出力する。これにより、コントローラ1は、自車両の各車輪ごとに、車輪速を検出できる。
【0017】
車両システム4は、ブレーキ制御装置41、エンジン制御装置42、アクセルペダル制御装置43、シートベルト制御装置44を含む。車両システム4における各制御装置41〜44は、コントローラ1からの制御信号に応じて、自車両の路外逸脱を防止するための制御(以下、路外逸脱防止制御と呼ぶ。)を行う。
【0018】
コントローラ1は、実際にはROM、RAM、CPU等にて構成されているが、当該CPUがROMに格納された路外逸脱防止用プログラムに従って処理をすることによって実現できる機能を有している。
【0019】
コントローラ1は、自車両が走行車線から逸脱する可能性である車線逸脱傾向が有るか否かを判断すると共に、路面から自車両の車輪に入力される振動を検出する。コントローラ1は、当該検出された振動のうち、振幅が予め定められた所定の振幅閾値以上である振動の周波数が予め定められた所定の周波数閾値以上である場合に、ランブルストリップスに対して自車両の車輪が接触していると判断する。このようなコントローラ1は、車線逸脱傾向が有ると判断されている場合には、当該車線逸脱傾向が有ると判断されていない時の周波数閾値に比して、小さい値に設定する。なおここで、本実施例において車線逸脱とは自車両が走行中の車線(自車線もしくは走行車線)からの逸脱(例えば対向車線、隣接車線、路肩への逸脱)を言い、走行路逸脱とは車両が走行するための走行路からの逸脱(例えば走行路から路肩への逸脱)を言う。また、路外逸脱とは走行路や路肩等を含む道路からの逸脱を言う(図3参照)。
【0020】
コントローラ1は、自車両がランブルストリップスを高精度に検出するために、周波数閾値を調整する。先ず、コントローラ1は、所定の周波数閾値を設定しておく。コントローラ1は、横位置X、ヨー角Φ、走行車線の曲率β及び車輪速に基づいて、自車両が走行車線から逸脱する可能性があるか否かを判断(自車両に車線逸脱傾向が有るか否かを判断)する。コントローラ1は、自車両が車線から逸脱する可能性が有るか否かを表す車線逸脱判断フラグと、車線種類L_classとを用いて自車両が走行路から逸脱する可能性が有るか否かを判断(自車両に走行路逸脱傾向が有るか否かを判断)し、走行路逸脱傾向が有ると判定された場合に周波数閾値を変更する。
【0021】
例えば、自車両に車線逸脱傾向が有ることが検出されたために車線逸脱判断フラグがセットされ、さらに、逸脱方向の車線種類L_classが実線である場合、コントローラ1は、走行路逸脱傾向が有ると判定して当該逸脱方向の車輪(左右輪のうちの、逸脱傾向が発生している方向側の車輪であり、以下では逸脱方向輪とも記載する)に対する周波数閾値を小さくするよう変更する。このとき、コントローラ1は、逸脱方向とは逆側の車輪(左右輪のうちの、逸脱傾向が発生している方向とは逆側の車輪であり、以下では逸脱方向逆側輪とも記載する)に対する周波数閾値を変更しない。
【0022】
その後、逸脱方向の車輪がランブルストリップスに接触したことを検出した場合、コントローラ1は、逸脱方向の車輪に対する周波数閾値を元の値に戻す。そして、コントローラ1は、逸脱方向とは逆側の車輪に対する周波数閾値を小さくする。その後、逸脱方向とは逆側の車輪でランブルストリップの接触を検出した場合、コントローラ1は、逸脱方向とは逆側の車輪に対する周波数閾値を元の値に戻す。
【0023】
コントローラ1は、自車両のうち何れかの車輪がランブルストリップスと接触していることが検出された場合に、路外逸脱を回避するように自車両の挙動を制御する路外逸脱防止制御を行う。
【0024】
具体的には、コントローラ1は、自車両を走行車線内に戻すように自車両にヨーモーメントを発生させる、又は、速度を低下させるための減速度を発生させる。このとき、コントローラ1は、自車両の路外逸脱を防止するように自車両の挙動を制御する路外逸脱防止制御を行うための制御指令値を算出して、車両システム4へ出力する。これにより、コントローラ1は、自車両の車輪がランブルストリップスを踏んだときに、ドライバに自車両が路外逸脱する可能性が有ることを報知すると共に、自車両の制駆動力を制御して路外への逸脱を回避する路外逸脱防止制御を行う。
【0025】
以下、コントローラ1の更に詳細な構成及び動作について説明する。
【0026】
「コントローラ1の機能的な構成」
つぎに、上述した車両制御装置におけるコントローラ1の機能的な構成を、図2を参照して説明する。
【0027】
コントローラ1は、カメラ2と接続された車線逸脱判断部11、走行路逸脱判断部12、閾値設定部13を有する。また、コントローラ1は、車輪速センサ3に接続された車輪速算出部14、車輪加速度算出部15、矩形波生成部16を有する。更に、コントローラ1はランブルストリップス検出部17、路外逸脱判断部19、制御作動判断部20を有する。更に、コントローラ1は、車両システム4に接続されたシートベルト作動指令値算出部21、エンジントルク指令値算出部22、ブレーキ液圧指令値算出部23、ヨーモーメント指令値算出部24、アクセルペダル反力指令値算出部25を有する。
【0028】
車線逸脱判断部11は、カメラ2から供給されたカメラ画像を用いて求められる走行車線内の自車両のヨー角Φ、車線中心からの横変位X、走行車線の曲率β及び車輪速に基づいて、自車両が走行車線から逸脱する可能性が有るか否か(車線逸脱傾向が発生しているか否か)の車線逸脱判断を行う。この車線逸脱判断における判断方法は後述する。車線逸脱判断部11は、自車両が走行車線から逸脱する車線逸脱傾向が有ると判断している場合には、車線逸脱判断フラグをセットする。この車線逸脱判断フラグは、自車両が走行車線に対して左右どちらに逸脱しようとしているかの逸脱方向に応じて、右側逸脱、左側逸脱ごとに生成される。この車線逸脱判断フラグは、走行路逸脱判断部12に供給される。
【0029】
走行路逸脱判断部12は、車線逸脱判断部11から供給された車線逸脱判断フラグと、カメラ2から供給されたカメラ画像を用いて求められる車線種類L_classに基づいて、自車両が走行路から逸脱しようとしているか(走行路逸脱傾向が発生しているか)の走行路逸脱判断を行う。具体的には、車線逸脱フラグがセットされ、且つ車線種類L_classに基づいて判定される逸脱方向側の車線区分線が実線である場合には走行路逸脱傾向が発生していると判定する。なお、本実施形態においては車線種類L_classは実線の車線区分線と破線の車線区分線の二種類としたが、これに限定されない。例えば車線種類L_classを実線の車線区分線、破線の車線区分線及び二重の車線区分線の三種類とし、逸脱方向側の車線区分線が実線もしくは二重線である場合には走行路逸脱傾向が発生していると判定しても良い。すなわち車線種類L_classは走行路端の車線区分線であるか否かを判別できれば良い。また、走行路端の車線区分線の形状と走行路内の車線区分線の形状をナビゲーションの地図情報に対応して記憶しておき、記憶した情報と撮像した車線区分線の形状とを比較して走行路端の車線区分線であるか否かを判定しても良い。
【0030】
コントローラ1は、自車両が走行路から逸脱しようとしている場合には、走行路逸脱フラグをセットする。この走行路逸脱フラグは車線逸脱判断部11から供給された車線逸脱判断フラグと共に、閾値設定部13及び路外逸脱判断部19に供給される。なお、走行路逸脱フラグは、自車両が走行路から逸脱する可能性が有るか否かを表すが、これは自車両が走行車線から逸脱する場合に走行車線外が走行路であるか否かを表わすものである。つまり、走行路逸脱及び車線逸脱ともに走行車線からの逸脱であり、逸脱した先が走行路外であるか否かの違いであるので、走行路逸脱は自車両が車線から逸脱する車線逸脱の1形態であるとも言える。
【0031】
なお、上述した車線逸脱判断部11は、車線区分線の車線種類L_classに基づいて、逸脱方向の車線区分線が実線であるか否かを判断し、検出された車線区分線が実線である場合に、当該実線の車線区分線と車線中心からの横変位(現在の横変位Xもしくは所定時間後の横変位)との距離を検出しても良い。これにより、実線の車線区分線を逸脱して(すなわち走行路から逸脱して)ランブルストリップスに到達してしまう可能性が高いときにのみ、後述する周波数閾値を変更することとなる。
【0032】
閾値設定部13は、走行路逸脱判断部12から供給された走行路逸脱フラグ(車線逸脱傾向)、カメラ2から供給されたカメラ画像を用いて求められる車線中心からの横変位X、道路種別、道路種別および逸脱方向に基づいて、周波数閾値を設定する。この周波数閾値は、ランブルストリップス検出部17に供給される。なお、上述の閾値設定部13における周波数閾値に関しては後述する。
【0033】
車輪速算出部14は、車輪速センサ3から供給された車輪速パルスに基づいて、自車両の右前輪、左前輪、右後輪、左後輪の車輪速を算出する。この各輪の車輪速は、車輪加速度算出部15に供給される。
【0034】
車輪加速度算出部15は、車輪速算出部14から供給された各輪の車輪速に基づいて、例えば各車輪の車輪速を微分して各輪の車輪加速度を算出する。この各輪の加速度は、ランブルストリップス検出部17に供給される。
【0035】
ランブルストリップス検出部17はまず、車輪加速度算出部15により算出された各輪の車輪加速度の絶対値を予め定められた振幅閾値Aと比較することにより、各輪の矩形波信号を生成する。具体的には図23に記載のように車輪の加速度の絶対値が、予め定められた振幅閾値A以上である場合に1、車輪の加速度の絶対値が振幅閾値A未満である場合に0の信号を出力することにより、矩形波信号を生成する。なお、この振幅閾値Aは車輪がランブルストリップスに接触した場合に車輪に発生する加速度を予め実験等によって求め、この実験によって求めた加速度に基づいて設定される。
【0036】
このように、コントローラ1は、各輪の車輪速から車輪加速度を求め、当該各輪の車輪加速度の絶対値と振幅閾値Aとに基づいて矩形波信号を生成する。したがって、例えばアスファルト表面等の路面の小さな凹凸の影響を排除した、車輪がランブルストリップスを踏んだ際に発生する大きさ以上の車輪加速度(振幅が振幅閾値A以上の加速度)に基づいて矩形波信号が生成される。
【0037】
次にランブルストリップス検出部17は、走行路逸脱判断部12から得られる走行路逸脱フラグと、各輪の矩形波信号の周波数が閾値設定部13から得られた周波数閾値を超えているか否かに基づいて、各輪がランブルストリップスに接触したか否かの検出を行う。具体的には図23に記載のように、予め定められた所定時間Ta(例えば30msec)の間における矩形波の数が、後述する閾値設定部13で設定される閾値数以上である場合、すなわち矩形波信号の周波数が所定の周波数以上である場合に、車輪がランブルストリップスに接触していることを検出する。従って、閾値設定部13にて設定される周波数閾値とは、矩形波の数を表す値となる。ランブルストリップスの接触が検出された場合、ランブルストリップス検出部17は、当該車輪についてのランブルストリップス検出フラグ(ランブルストリップスに接触している車輪がいずれの車輪であるのかを示す情報を含んだフラグ)を路外逸脱判断部19に供給する。なおここで、閾値設定部13にて設定する周波数閾値、すなわち矩形波の数は車速に応じて、車速が大きくなるほど大きくなるように可変して設定しても良い。
【0038】
なお、車両制御装置は、各車輪とランブルストリップスとの接触を判断するために各車輪に上下G(上下加速度)センサを設けて、上記と同様にランブルストリップスとの接触を判定しても良い。この場合、コントローラ1は、上下Gセンサによって検出された車輪の上下加速度に基づいて、車輪の上下振動の振動周波数が各車輪とランブルストリップスの間の接触を示すか否かを判断する。すなわち、ランブルストリップスは、予め定められた所定距離毎に設けられた段差又は窪みによって形成されているため、車輪がランブルストリップスに接触している際に各車輪に入力する上下加速度の大きさを予め実験等によって求めて振幅閾値Aを設定しておき、上下Gセンサによって検出された車輪の加速度と振幅閾値Aとから矩形波信号を生成し、矩形波信号の周波数が所定の周波数閾値を越えていれば、自車両の車輪がランブルストリップスと接触していると判断することができる。
【0039】
路外逸脱判断部19は、ランブルストリップス検出部17から供給された各輪のランブルストリップス検出フラグおよび走行路逸脱判断部12から供給された車線逸脱判断フラグとに基づいて、自車両が路外に逸脱する可能性が高いか否かを判断する。ここで、図5を用いて路外逸脱判断部19の処理内容を詳述する。なお、下記の処理はいずれかの車輪がランブルストリップスに接触したことが検出された際に(後述する図4に記載のステップS6にて、いずれかの車輪がランブルストリップスに接触したことが検出された際に)起動する。
【0040】
ステップS21においては走行路逸脱判断部12から供給される走行路逸脱フラグに基づいて自車両に走行路からの逸脱傾向が発生しているか否かを判定する。走行路逸脱フラグが走行路からの逸脱傾向が発生していることを示すフラグであればステップS22へ進み、そうでない場合は再び走行路からの逸脱傾向が発生しているか否かを判定する。
【0041】
ステップS22では、ランブルストリップス検出部17から供給されるランブルストリップス検出フラグと走行路逸脱判断部12から供給される車線逸脱フラグとに基づいて、逸脱方向輪がランブルストリップスに接触したか(ランブルストリップスに接触している車輪が逸脱方向輪か否か)を判定する。すなわち、ランブルストリップス検出部17から供給されるランブルストリップス検出フラグが示すランブルストリップスに接触した車輪が車両右側輪であり且つ、車線逸脱フラグが示す車線逸脱方向が右方向である場合には、逸脱方向輪がランブルストリップスに接触したと判定する。同様に、ランブルストリップスに接触した車輪が車両左側であり且つ、車線逸脱フラグが示す車線逸脱方向が左方向である場合には、逸脱方向輪がランブルストリップスに接触したと判定する。逸脱方向輪がランブルストリップスに接触したと判定した場合にはステップS23へ進み、そうでない場合は再び走行路からの逸脱傾向が発生しているか否かを判定する。
【0042】
ステップS23では不図示のタイマーによる計時を開始してステップS24へ進む。
【0043】
ステップS24ではランブルストリップス検出部17から供給されるランブルストリップス検出フラグと走行路逸脱判断部12から供給される車線逸脱フラグとに基づいて、逸脱方向逆側輪(逸脱方向とは逆側の車輪)がランブルストリップスに接触したか否かを判定する。すなわち、ランブルストリップス検出部17から供給されるランブルストリップス検出フラグが示すランブルストリップスに接触している車輪が車両右側輪であり且つ、車線逸脱フラグが示す車線逸脱方向が左方向である場合には、逸脱方向逆側輪がランブルストリップスに接触したと判定する。同様に、ランブルストリップスに接触している車輪が車両左側であり且つ、車線逸脱フラグが示す車線逸脱方向が右方向である場合には、逸脱方向逆側輪がランブルストリップスに接触したと判定する。逸脱方向逆側輪がランブルストリップスに接触したと判定した場合にはステップS25へ進む。
【0044】
前述のステップS22にて逸脱方向輪がランブルストリップスに接触したと判定され、ステップS24にて逸脱方向逆側輪がランブルストリップスに接触したと判定された場合とは、自車両が走行路から逸脱していく過程において、逸脱方向輪がランブルストリップスに接触した後に逸脱方向逆側輪がランブルストリップスに接触した場合であり、路外逸脱の可能性が高いと言える。すなわち、逸脱方向輪がランブルストリップスに接触した時点では路外逸脱の傾向が発生していると言え、更にその後、逸脱方向逆側輪がランブルストリップスに接触した場合には路外逸脱の可能性が高い状態となったと言える。ステップS25では路外逸脱の可能性が高いことを示す路外逸脱フラグをセットして、制御作動判断部20に出力する。
【0045】
一方、ステップS24にて逸脱方向逆側輪がランブルストリップスに接触していないと判定した場合にはステップS26にて計時を開始したタイマーの計時時間が所定時間(例えば20sec)以上であるか否かを判定する。タイマーの計時時間が所定時間以上である場合にはステップS27へ進み、タイマーの計時時間が所定時間未満である場合にはステップS24へ戻って再び逸脱方向逆側輪がランブルストリップスに接触したか否かを判定する。
【0046】
ステップS27ではタイマーの計時時間をクリアすると共に計時を終了する。すなわち、タイマーの計時時間は逸脱方向輪がランブルストリップスに接触したと判定した時点からの経過時間であり、この経過時間が所定時間以上である場合には、逸脱方向輪がランブルストリップスに接触したことにより、自車両が路外へ逸脱する傾向に有ることに運転者が気付いて走行路内側に戻る方向に操作している可能性がある。このため、タイマーの計時時間をクリアすると共に計時を終了する。
【0047】
制御作動判断部20は、路外逸脱判断部19から供給された路外逸脱フラグ及びランブルストリップス検出部17から供給されたランブルストリップス検出フラグに基づいて、車両システム4を制御するための制御作動判断を行う。制御作動判断部20は、車両システム4の各部を制御する制御信号を、シートベルト作動指令値算出部21、エンジントルク指令値算出部22、ブレーキ液圧指令値算出部23、ヨーモーメント指令値算出部24、アクセルペダル反力指令値算出部25に供給する。
【0048】
シートベルト作動指令値算出部21は、制御作動判断部20から供給された制御作動判断結果を基に、シートベルト作動指令値を算出し、当該指令値をシートベルト制御装置44に供給する。
【0049】
エンジントルク指令値算出部22は、制御作動判断部20から供給された制御作動判断結果に基づいてエンジントルク指令値を算出し、当該指令値をエンジン制御装置42に供給する。
【0050】
ブレーキ液圧指令値算出部23は、制御作動判断部20から供給された制御作動判断結果に基づいて、ブレーキ液圧指令値を算出し、当該指令値をブレーキ制御装置41に供給する。
【0051】
ヨーモーメント指令値算出部24は、制御作動判断部20から供給された制御作動判断結果に基づいて、ヨーモーメント指令値を算出し、当該指令値をブレーキ制御装置41に供給する。
【0052】
アクセルペダル反力指令値算出部25は、制御作動判断部20から制御作動指令が供給された場合には、アクセルペダル反力指令値を算出し、当該指令値をアクセルペダル制御装置43に供給する。
【0053】
「車両制御装置の全体動作」
つぎに、上述したように構成された車両制御装置による、路外逸脱防止のための全体動作について説明する。
【0054】
例えば図3に示すように、自車両が位置P1から走行していて、実線の走行車線L1を横切って、位置P2にて右前車輪RがランブルストリップスRSを踏み、その後に、位置P3にて左前車輪LがランブルストリップスRSを踏んで、位置P4を走行する場面についての動作を説明する。
【0055】
車両制御装置は、図4に示すような動作を、自車両走行時において一定間隔毎に連続的に行う。
【0056】
先ず、ステップS1において、コントローラ1は、カメラ2のカメラ画像、車輪速センサ3の検出値、及び予め記憶しておいた各種データを読み込む。具体的には、カメラ2のカメラ画像に基づく横変位X、ヨー角Φ、走行車線の曲率β、車線種類L_class、各輪の車輪速Vwi(i=1〜4)を読み込む。
【0057】
次のステップS2において、コントローラ1の車輪速算出部14にて自車速Vを算出する。本実施形態において、コントローラ1は、通常走行時に、例えば後輪駆動の車両の場合は、前輪の車輪速Vw,Vwの平均値として、自車速Vを算出する。具体的には、コントローラ1は、下記の式1により、自車速Vを算出する。
【0058】
V=(Vw+Vw)/2 (式1)
なお、ABS制御などの車速を用いたシステムが作動している場合には、そのようなシステムで使用している自車速(推定車速)を用いても良い。
【0059】
次のステップS3において、閾値設定部13によって周波数閾値(具体的には、予め定められた所定時Ta毎の矩形波の数)を設定する。この周波数閾値は、各輪ごとに求められる。右前輪の周波数閾値はvRS_FR_th、左前輪の周波数閾値はvRS_FL_th、右後輪の周波数閾値はv_RS_RR_th、左後輪の周波数閾値はv_RS_RL_thである。周波数閾値設定部13は、各車輪の周波数閾値を、予め記憶された所定値に設定する。
【0060】
この所定値は、車輪がランブルストリップスRSと接触していないときに、車輪がランブルストリップスRSに接触したと誤判断しない高い値である必要があり、例えば20程度の値が設定される。
【0061】
次のステップS3において、車線逸脱判断部11によって車線逸脱判断を行う。このとき、車線逸脱判断部11は、ステップS1にて読み込んだカメラ画像に基づく横変位X、ヨー角Φ、走行車線の曲率β及びステップS2にて算出された自車速Vに基づいて、車線逸脱判断を行う。このとき、車線逸脱判断部11は、先ず逸脱推定量を算出する。本実施形態では、ステップS2にて算出した自車速V、カメラ画像に基づく横変位X、ヨー角Φ、走行車線の曲率βを用いて、下記の式2に従って、逸脱推定量Xsを算出する。なお、カメラ画像に基づく横変位X、ヨー角Φ、走行車線の曲率βはいずれも左方向を正、右方向を負とする。
【0062】
Xs = Tt × V × ( Φ + Tt × V × β ) + X (式2)
ここで、Ttは、前方注視距離算出用の車頭時間であり、予め定められた所定時間である。すなわち、逸脱推定量Xsとは車頭時間(所定時間)後の横変位を表す。
【0063】
そして、コントローラ1は、算出された逸脱推定量Xsと予め定められた逸脱判断閾値Xc(即ち予め定められた所定の横変位)とを比較して、自車両が車線から逸脱する可能性(逸脱する傾向)があるか否かを判断する。具体的には、下記の(1)〜(3)の場面が想定される。
【0064】
(1)コントローラ1は、算出した逸脱推定量Xsが逸脱判断閾値Xc以上(Xs≧Xc)である場合、自車両が左側に逸脱する傾向が有ると判断し、車線逸脱判断フラグFldを「LEFT」に設定する。
【0065】
(2)コントローラ1は、算出した逸脱推定量Xsが逸脱判断閾値Xcの負値以下(Xs≦−Xc)である場合、自車両が右側に逸脱する傾向が有ると判断し、車線逸脱判断フラグFld「RIGHT」に設定する。
【0066】
(3)コントローラ1は、上記場面(1)、(2)に該当しない場合、自車両に車線を逸脱する傾向がないと判断し、車線逸脱判断フラグFldを「OFF」に設定する。
【0067】
次のステップS4において、コントローラ1は、走行路逸脱判断部12により、走行路逸脱判断を行う。このとき、走行路逸脱判断部12は、ステップS1にて読み込んだカメラ画像に基づいて定められた車線種類L_classと、ステップS4にて設定した車線逸脱判断フラグFldとに基づいて、自車両が走行路から逸脱する傾向に有るか否かの判定である走行路逸脱判断を行う。例えば、車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」、且つ、逸脱方向である右方向の車線種類L_classが実線の場合、走行路逸脱判断部12は、走行路逸脱フラグFlg_road_departの値を、「1」とする。同様に車線逸脱判断フラグFldが「LEFT」、且つ、逸脱方向である左方向の車線種類L_classが実線の場合、走行路逸脱判断部12は、走行路逸脱フラグFlg_road_departの値を、「1」とする。すなわち車線逸脱傾向が発生している状態で逸脱方向の車線種別が実線である場合には、走行路逸脱フラグFlg_road_departの値を「1」とし、それ以外は走行路逸脱フラグFlg_road_departの値を「0」とする。
【0068】
次のステップS5において、閾値設定部13は、周波数閾値を変更する。なお、この周波数閾値の変更処理についての詳細については後述する。
【0069】
次のステップS6において、ランブルストリップス検出部17は、ステップS6にて設定された周波数閾値を用いて、自車両の各車輪がランブルストリップスに接触したかを検出する。自車両の何れかの車輪がランブルストリップスに接触したことを検出した場合にはステップS7に処理を進め、検出していない場合には、ステップS1に処理を戻す。
【0070】
ここで、ランブルストリップスに接触したかの検出は、各輪について行う。図6に示すように、(1)のように右前輪FRでランブルストリップスRSを検出した場合は、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRを「1」とし、(3)のように左前輪FLでランブルストリップスRSを検出した場合は、左前輪検出フラグfRS_HIT_FLを「1」とし、(2)のように右後輪RRでランブルストリップスRSを検出した場合は、右後輪検出フラグfRS_HIT_RRを「1」とし、(4)のように左後輪RLでランブルストリップスRSを検出した場合は、左後輪検出フラグfRS_HIT_RLを「1」とする。なお、これら右前輪検出フラグfRS_HIT_FR、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右後輪検出フラグfRS_HIT_RR、左後輪検出フラグfRS_HIT_RLを総称してランブルストリップス検出フラグと言う。
【0071】
なお、以下の説明では、前輪でランブルストリップスRSを検出した際の制御作動を記載するが、後輪でランブルストリップスRSを検出した時であっても制御動作をしても良い。また、以下では右側に逸脱した例を示すが、左側に逸脱したときでは、逆側のフラグを利用して同様の処理を行うことになる。
【0072】
ステップS7では路外逸脱判断部19にて、ランブルストリップス検出部17にて設定されたランブルストリップス検出フラグと、走行路逸脱判断部12にて設定された走行路逸脱フラグFlg_road_departとに基づいて、自車両が路外へ逸脱する可能性が高いか否かを判定する。自車両が路外へ逸脱する可能性が高いと判定と判定された場合には、自車両が路外へ逸脱する可能性が高いことを示す路外逸脱フラグをセットする。
【0073】
次のステップS8において、コントローラ1は制御作動判断部20にて、警報装置45の警報作動判断を行う。具体的には、ステップS7でセットされた路外逸脱フラグ、ステップS7にて判断された右前輪検出フラグfRS_HIT_FR、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右後輪検出フラグfRS_HIT_RR、左後輪検出フラグfRS_HIT_RLとに基づいて、警報作動判断を行う。
【0074】
例えば、図3のように自車両が走行路から右方向に逸脱する場面を図7を用いて説明する。自車両に走行路逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(図7における(A))、その後に右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合(図7における(B))には、路外逸脱フラグはセットされていないが右前輪検出フラグfRS_HIT_FR(ランブルストリップス検出フラグ)は「1」にセットされている。この場合には、路外逸脱に対する1次警報フラグfWOW_FIRSTを「fWOW_FIRST=1」をセットして1次警報を作動させる。そして、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRを「1」とした後に、左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「fRS_HIT_FL=1」となった場合(図7における(C))には路外逸脱フラグがセットされ、かつ左前輪検出フラグfRS_HIT_FL(ランブルストリップス検出フラグ)が「1」にセットされる。この場合、2次警報フラグfWOW_SECONDを「fWOW_SECOND=1」をセットして路外逸脱に対する2次警報を作動させる。ここで、上記2次警報は1次警報に対して、運転者により明確に、自車両の路外逸脱の可能性を報知するものである。具体的には、例えば1次警報における警報音よりも2次警報における警報音を大きくする、もしくは1次警報を警報音のみとして2次警報を警報音と警報ランプの点灯とする等、2次警報は1次警報に対して、運転者に強い警報を行なうものである。
【0075】
なお、この例では、右側逸脱に対して1次警報フラグfWOW_FIRST、2次警報フラグfWOW_SECONDを遷移させたが、左側の走行車線L1に逸脱する左側逸脱に対しても、左側車輪の検出フラグを利用して同様の処理を実施することとなる。以下同様に、図3のように自車両が走行車線から右方向に逸脱する場面を説明するが、同様に左側の走行車線L1に逸脱する左側逸脱に対しても、左側車輪の検出フラグを利用して同様の処理を実施する。
【0076】
次のステップS9において、コントローラ1は、制御作動判断部20により、シートベルト制御作動判断を行う。具体的には、ステップS7でセットされた路外逸脱フラグと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、シートベルト作動判断を行う。
【0077】
例えば、右側に走行路逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(図8における(A))、その後、右前輪がランブルストリップスRSを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合(図8における(B))には、路外逸脱フラグはセットされていないが右前輪検出フラグfRS_HIT_FR(ランブルストリップス検出フラグ)は「1」にセットされている。この場合には、1次シートベルト作動フラグfPSB1_ACTを「1」とする。さらにその後、左前輪がランブルストリップスRSを踏んで左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合(図8における(C))には路外逸脱フラグがセットされ、かつ左前輪検出フラグfRS_HIT_FL(ランブルストリップス検出フラグ)が「1」にセットされる。この場合、2次シートベルト作動フラグfPSB2_ACTを「1」とする。
【0078】
次のステップS10において、コントローラ1は、制御作動判断部20により、アクセルペダル制御作動判断を行う。具体的には、ステップS7でセットされた路外逸脱フラグと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、アクセルペダル制御作動判断を行う。
【0079】
例えば、右側に走行路逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(図9における(A))、その後、右前輪がランブルストリップスRSを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合(図9における(B))には、路外逸脱フラグはセットされていないが右前輪検出フラグfRS_HIT_FR(ランブルストリップス検出フラグ)は「1」にセットされている。この場合には、1次アクセルペダル作動フラグfFFP1_ACTを「1」とする。さらにその後、左前輪がランブルストリップスRSを踏んで左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合(図9における(C))には、路外逸脱フラグがセットされ、かつ左前輪検出フラグfRS_HIT_FL(ランブルストリップス検出フラグ)が「1」にセットされる。この場合、2次アクセルペダル作動フラグfFFP2_ACTを「1」とする。
【0080】
次のステップS11において、コントローラ1は、制御作動判断部20により、エンジントルク制御作動判断を行う。具体的にはステップS7でセットされた路外逸脱フラグと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、エンジン制御作動判断を行う。
【0081】
例えば、右側に走行路逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(図10における(A))、その後、右前輪がランブルストリップスRSを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合(図10における(B))には、路外逸脱フラグはセットされていないが右前輪検出フラグfRS_HIT_FR(ランブルストリップス検出フラグ)は「1」にセットされている。この場合には、1次エンジン作動フラグfETRQ1_ACTを「1」とする。さらにその後、左前輪がランブルストリップスRSを踏んで左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合(図10における(C))には、路外逸脱フラグがセットされ、かつ左前輪検出フラグfRS_HIT_FL(ランブルストリップス検出フラグ)が「1」にセットされる。この場合、2次エンジン作動フラグfETRQ2_ACTを「1」とする。
【0082】
次のステップS12において、コントローラ1は、制御作動判断部20により、ヨーモーメント制御作動判断を行う。具体的には、ステップS7でセットされた路外逸脱フラグと、右前輪検出フラグfRS_HIT_FR、左前輪検出フラグfRS_HIT_FLに応じて、ヨーモーメント制御作動判断を行う。
【0083】
例えば、右側に走行路逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(図11における(A))、その後、右前輪がランブルストリップスRSを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合(図11における(B))には、路外逸脱フラグはセットされていないが右前輪検出フラグfRS_HIT_FR(ランブルストリップス検出フラグ)は「1」にセットされている。この場合には、1次ヨーモーメント作動フラグfMOM1_ACTを「1」とする。
【0084】
次のステップS13において、コントローラ1は、制御作動判断部20により、減速制御作動判断を行う。具体的には、ステップS7でセットされた路外逸脱フラグと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、減速制御作動判断を行う。
【0085】
例えば、右側に走行路逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(図12における(A))、その後、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となり(図12における(B))、さらに左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合(図12における(C))に路外逸脱フラグがセットされる。この場合には、自車両を減速させる減速作動フラグfPCMD_ACTを「1」とする。
【0086】
次のステップS14において、コントローラ1は、シートベルト作動指令値算出部21により、シートベルト制御量を算出する。図13に示すように、ステップS9で判断されたシートベルト作動フラグに応じて、シートベルト制御量を算出する。例えば、1次シートベルト作動フラグfPSB1_ACTが「1」となった場合には、Aといった予め定められた所定の巻き上げ量だけ所定時間に亘りシートベルトを巻き上げ、シートベルトの張力を増大させる。1次シートベルト作動の後に、2次シートベルト作動フラグfPSB2_ACTが「1」となった場合、1次シートベルト作動時よりも大きい力で、巻き上げ量をA〜Bに亘りシートベルトを巻き上げる。
【0087】
次のステップS15において、コントローラ1は、アクセルペダル反力指令値算出部25により、アクセルペダル制御量を算出する。図14に示すように、ステップS10で判断されたアクセルペダル作動フラグに応じて、アクセルペダル制御量を算出する。例えば、1次アクセルペダル作動フラグfFFP1_ACTが「1」となった場合は、Aといった予め定められた所定のアクセル反力量だけ、所定時間に亘りアクセルペダル反力を増加させるような指令値とする。ここでは、所定量、所定時間としたが、例えば、逸脱時のヨー角が0となるまで作動させてもよい。また、1次アクセルペダル作動後、2次アクセルペダル作動フラグfFFP2_ACTが「1」となった場合は、1次アクセルペダル作動時の制御量Aよりも大きなアクセルペダル反力Bとなるように指令値を算出する。また、逸脱度に応じて指令値を算出しても良い。
【0088】
次のステップS16において、コントローラ1は、エンジントルク指令値算出部22により、エンジントルク低減制御量を算出する。図15に示すように、ステップS11で判断されたエンジントルク作動フラグに応じて、エンジントルク低減制御量を算出する。例えば、1次エンジン作動フラグfETRQ1_ACTが「1」となった場合には、ドライバのアクセル開度に応じたエンジン駆動トルクを予め定められた所定のエンジントルク低減制御量Aだけ所定時間に亘り低減させるような指令値とする。1次エンジン制御作動後、2次エンジン作動フラグfETRQ2_ACTが「1」となった場合は、1次エンジン作動時の低減制御量Aよりも大きな低減制御量Bとなるように指令値を算出する。
【0089】
次のステップS17において、コントローラ1は、ヨーモーメント指令値算出部24により、ヨーモーメント制御量を算出する。図16に示すように、ステップS12で判断されたヨーモーメント作動フラグに応じて、ヨーモーメント制御量を算出する。例えば、1次ヨーモーメント作動フラグfMOM1_ACTが「1」となった場合は、予め定められた所定のヨーモーメント制御量を所定時間(例えば2秒)に亘り作動させるような指令値とする。この指令値は、車線逸脱時の走行車線内の自車両のヨー角Φ、車線中心からの横変位X、自車速Vに応じて制御量を変えても良く、自車両のヨー角が所定値となるような値とする。なお、ヨーモーメント制御量に基づく指令値は、車両に目標とするヨーモーメントが発生するような、左右車輪のブレーキ液圧差として算出される。
【0090】
次のステップS18において、コントローラ1は、ブレーキ液圧指令値算出部23により、減速制御量を算出する。図17に示すように、ステップS13で判断された減速作動フラグに応じて、減速制御量を算出する。例えば、減速作動フラグfPCMD_ACTが「1」となった場合に、予め定められた所定のブレーキ液圧値で所定時間に亘り、車両各輪のブレーキを作動させるように指令値を算出する。また、車速が0となるまで減速制御を継続するような指令値としても良い。
【0091】
次のステップS19において、コントローラ1は、ステップS14〜ステップS18にて算出された各制御量を車両システム4に出力する。これにより、コントローラ1は、シートベルト制御装置44によるシートベルトの巻き上げ量、エンジン制御装置42によるエンジントルク量、ブレーキ制御装置41によるブレーキ液圧、アクセルペダル制御装置43によるアクセルペダル反力を制御する。
【0092】
「ランブルストリップスRSの検出処理」
つぎに、上述したように動作する車両制御装置のステップS6において、コントローラ1によってランブルストリップスRSを検出する処理について、図23を用いて説明する。
【0093】
先ず車輪加速度算出部15において、コントローラ1は、各車輪の車輪加速度を検出する。具体的には、車輪速算出部14が検出した各輪の車輪速Vwi(i=1〜4)に基づいて、例えば微分処理等によって各輪の車輪加速度を算出する。この際、車輪加速度算出部15は、下記の式3のように、ある所定の時定数を持つバンドパスフィルタf_BP(Vwi)を通した値を、各輪の車輪加速度Avwi(i=1〜4)として算出する。
【0094】
Avwi = f_BP(Vwi) (i=1〜4) (式3)
なお、f_BPは、バンドパスフィルタを表す関数である。
【0095】
次に、車輪加速度算出部15は、上述の各輪の車輪加速度Avwiに対して、下記の式4に示すように、上限及び下限のリミッタ処理を行う。
【0096】
Avwi_limit = limit(Avwi) (i=1〜4) (式4)
この式4において、limit()は上限及び下限のリミッタ処理を行う関数である。
【0097】
ランブルストリップス検出部17は、上記の車輪加速度算出部15にてリミッタ処理された各輪の車輪加速度Avwi_limit(i=1〜4)に対して、各輪それぞれの矩形波(0と1で表される矩形波)を生成する。具体的には、矩形波生成部16は、下記式5によって、各輪に対応した矩形波を生成する。
【0098】
Avwi_pulse = f_pulse(Avwi_limit) (i=1〜4) (式5)
この式5において、f_pulseは矩形波を生成する関数である。具体的には図23に示すように、車輪加速度Avwi_limitの絶対値と所定の振幅閾値Aとを比較し、車輪加速度Avwi_limitの絶対値が所定の振幅閾値A以上である場合には1、車輪加速度Avwi_limitの絶対値が所定の振幅閾値A未満である場合には0を算出する関数である。
【0099】
次に、ランブルストリップス検出部17は、ランブルストリップス検出処理を行う。ランブルストリップス検出部17は、各輪に対応して生成された矩形波Avwi_pulseの立ち上がり回数を所定時間Ta(例えば30msec)に亘りカウントする。カウント値がステップS5にて設定された(閾値設定部13で設定された)周波数閾値以上となった場合に、ランブルストリップス検出フラグ(右前輪検出フラグfRS_HIT_FR、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右後輪検出フラグfRS_HIT_RR、左後輪検出フラグfRS_HIT_RLのうちの対応するフラグ)の値を「1」とする。
【0100】
「周波数閾値の変更処理」
上述した車両制御装置において、周波数閾値設定部13は、以下に示すように、周波数閾値を変更する。
【0101】
このランブルストリップスRSの検出処理は、自車両が走行車線内を走行中において、右前輪の周波数閾値vRS_FR_th、左前輪の周波数閾値vRS_FL_th、右後輪の周波数閾値v_RS_RR_th、左後輪の周波数閾値v_RS_RL_thを、所定の大きな値(例えば20)としておく。これにより、コントローラ1は、通常の走行中には、ステップS7においてランブルストリップスRSを検出しない否定判断となるように周波数閾値を大きな値とする。そして、コントローラ1は、以下に説明する所定の条件となったときに、周波数閾値を小さくして、各車輪がランブルストリップスRSと接触したことを検出しやすくする。
【0102】
(周波数閾値の変更処理)
次に、周波数閾値設定部13における周波数閾値の設定処理を、自車両に右方向の走行路逸脱傾向が発生した場合を例に挙げて説明する。周波数閾値の変更処理は、図18に示すように、時刻t1にて、車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となっており、(c)のように走行路逸脱フラグFlg_road_departが「1」となったときに、(a)のように、逸脱方向(右側車輪)の周波数閾値を小さくする(例えば3に設定する)。これに対し、左側車輪の周波数閾値は、(c)に示すように、一定値(上述の所定値であり、例えば20)に維持する。
【0103】
その後の時刻t2にて、自車両の右前車輪がランブルストリップスRSに接触すると、ランブルストリップス検出部17によってランブルストリップスRSに接触したことを検出し、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となる。このとき、既に時刻t1にて右前輪の周波数閾値を小さくしているので、ランブルストリップス検出部17は、右前車輪がランブルストリップスRSに接触したことを高精度に検出できる。また、左側車輪の周波数閾値は高い値を維持しているので、ランブルストリップス以外の要因によって発生する自車両の振動によって左側車輪がランブルストリップスRSと接触したという誤検出を抑制できる。
【0104】
その後、時刻t1から所定時間の経過後の時刻t3において、周波数閾値設定部13は、右側車輪の周波数閾値を元の値(例えば20)に戻す。周波数閾値設定部13は、所定時間後に周波数閾値を元の値に戻したが、右側車輪がランブルストリップスRSに接触したことを検出した時刻t2に、周波数閾値を元の値に戻しても良い。これにより、右側車輪がランブルストリップスRSと接触した後に、再度右側車輪がランブルストリップスRSに接触したという誤検知を抑制する。
【0105】
周波数閾値設定部13は、時刻t3にて、左側車輪の周波数閾値を所定値(例えば3)まで小さくする。これにより、右側車輪がランブルストリップスRSと接触した後に、更に自車両が逸脱して左側車輪がランブルストリップスRSに接触することを高精度に検知できるようにする。周波数閾値設定部13は、その所定時間の経過後の時刻t4に、当該左側車輪の周波数閾値を元の値に戻す。
【0106】
周波数閾値は、所定の期間に亘って徐々に小さくしても良い。また、右側車輪の周波数閾値と、左側車輪の周波数閾値とで差が発生するように、それぞれの周波数閾値を変更しても良い。このとき、周波数閾値設定部13は、より確実にランブルストリップスRSと接触したことを検出したいほど、周波数閾値を低くし、ランブルストリップスRSに接触していないのにランブルストリップスRSに接触したと検出する誤検知を抑制したいほど、周波数閾値を高くする。
【0107】
以上のように、この車両制御装置によれば、走行路逸脱判断部12によって走行路逸脱傾向が有ると判断されている場合には、当該走行路逸脱傾向が有ると判断されていない時の周波数閾値に比して、周波数閾値を小さい値に設定する。これにより、この車両制御装置によれば、車線逸脱傾向がある場合には高い精度でランブルストリップスRSの接触を検出でき、車線逸脱傾向がない場合にはランブルストリップスRSの接触の誤検出を抑制できる。このように、車両制御装置は、自車両がランブルストリップスRSに接触することを高精度に検出できる。なお上述の通り、走行路逸脱とは車線逸脱の一形態である。従って、上記周波数閾値を車線逸脱傾向が検出されている場合(すなわち車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」もしくは「LEFT」である時)に、車線逸脱傾向が検出されていない時に比して小さい値に設定しても良い。但し、この場合には例えば二車線の走行路において、ランブルストリップが存在する可能性が低い隣接車線への車線逸脱傾向が発生した際にも上記周波数閾値が小さい値に設定されるため、上述のように走行路逸脱傾向が検出された場合にのみ上記周波数閾値を小さい値に設定することが好ましい。
【0108】
また、この車両制御装置によれば、走行路逸脱傾向(若しくは車線逸脱傾向)が有ると判断されている逸脱方向の車輪に対応した周波数閾値を小さく設定するので、ランブルストリップスRSに接触する可能性がある車輪については高精度にランブルストリップスRSの接触を検出でき、それ以外の車輪についてはランブルストリップスRSと接触したとの誤検出を抑制できる。
【0109】
更に、この車両制御装置によれば、走行路逸脱傾向(もしくは車線逸脱傾向)が有ると判断された逸脱方向の車輪の周波数閾値を、当該周波数閾値を小さくした後の所定時間経過後に元に戻すので、ドライバの操作によって走行車線中央に向けて走行したときには、周波数閾値を小さくさせたままとすることなく、誤検出を抑制できる。
【0110】
また、この車両制御装置によれば、走行路逸脱傾向(もしくは車線逸脱傾向)が有ると判断された逸脱方向とは逆側の車輪の周波数閾値を、当該逸脱方向側の車輪がランブルストリップスRSに接触したと判断された後の所定時間経過後に小さく設定する。これにより、この車両制御装置によれば、逸脱方向の車輪がランブルストリップスRSに接触し、その後に逆側の車輪がランブルストリップスRSに接触したときの検出精度を高くできる。また、車両制御装置は、逸脱方向の車輪がランブルストリップスRSに接触した後又は値を小さくした後の所定時間後に、当該逸脱方向の車輪の周波数閾値を元に戻すので、誤検出を抑制できる。
【0111】
更に、この車両制御装置によれば、走行路逸脱傾向(もしくは車線逸脱傾向)が有ると判断された逸脱方向とは逆側の車輪の周波数閾値を、所定時間経過後に、小さく設定する前の周波数閾値に戻すので、ドライバの操作によって走行車線中央に向けて走行したときには、周波数閾値を小さくさせたままとすることなく、誤検出を抑制できる。
【0112】
更に、この車両制御装置によれば、走行路逸脱傾向(もしくは車線逸脱傾向)が有ると判断されている場合には周波数閾値を小さい値に設定し、車輪がランブルストリップスRSに接触したことが検出された場合に、自車両が走行路外に逸脱すること回避するよう自車両にヨーモーメントを付与する。これにより、この車両制御装置によれば、ランブルストリップスRSを高精度で検出してヨーモーメントを付与でき、自車両の挙動を適切に制御できる。また、この車両制御装置によれば、ランブルストリップスRSの誤検出を抑制して、誤ってヨーモーメントを発生させることを抑制できる。
【0113】
更に、この車両制御装置によれば、走行路逸脱傾向(もしくは車線逸脱傾向)が有ると判断されている場合には周波数閾値を小さい値に設定し、自車両の左右輪のうち一方輪がランブルストリップスRSに接触したことが検出された場合に自車両にヨーモーメントを付与し、自車両の左右輪のうち一方輪がランブルストリップスRSに接触したことが検出された後の所定時間以内に他方輪がランブルストリップスRSに接触したことが検出された場合に、自車両に減速度を付与する。これにより、この車両制御装置によれば、ランブルストリップスRSを高精度に検出してヨーモーメントを付与でき、その後に、更にランブルストリップスRSを検出したときには自車両に減速度を付与でき、車両の挙動を適切に制御できる。この車両制御装置によれば、ランブルストリップスRSの誤検出を抑制して、誤ってヨーモーメント及び減速度を発生させることを抑制できる。
【0114】
(周波数閾値の変更処理の第1変形例)
つぎに、周波数閾値の変更処理について、変形例を図19を参照して説明する。
【0115】
図19には、車線中心からの横変位Xから求められる車線区分線までの距離に応じて周波数閾値を変更する周波数閾値の変更処理を示す。
【0116】
図19(c)に示すように、走行車線内の横位置に応じた右側車線までの距離が時刻t11にて所定値以下となった場合、当該右側車線までの距離は、周波数閾値設定部13によって検出される。この右側車線までの距離は、カメラ2により撮像したカメラ画像に基づく車線中心からの横変位Xに基づいて、周波数閾値設定部13が判断する。
【0117】
このとき、周波数閾値設定部13は、図19(a)に示すように、逸脱方向(右側車輪)の周波数閾値を、時刻t11からt12のように右側車線までの距離が小さくなるほど小さくなるように徐々に小さくしていく。これにより、周波数閾値設定部13は、次第にランブルストリップスRSを高精度に検出できるようにする。なお、図19では、周波数閾値を徐々に小さくしているが、段階的に小さくしても良い。
【0118】
これに対し、左側車輪の周波数閾値は、図19(b)に示すように、一定値に維持する。本例では、右側車輪の周波数閾値と、左側車輪の周波数閾値とで差が発生するように、それぞれの周波数閾値を変更しても良い。
【0119】
時刻t11又はt12から所定時間の経過後の時刻t13において、周波数閾値設定部13は、右側車輪の周波数閾値を元の値に戻す。周波数閾値設定部13は、所定時間後に周波数閾値を元の値に戻したが、右側車輪がランブルストリップスRSに接触した後に周波数閾値を元の値に戻しても良い。
【0120】
同時に、周波数閾値設定部13は、時刻t13にて、左側車輪の周波数閾値を所定値まで小さくする。周波数閾値設定部13は、その所定時間の経過後の時刻t14に、当該左側車輪の周波数閾値を元の値に戻す。
【0121】
以上のように、周波数閾値設定部13は、図3の実線の走行車線L1のように、自車両位置から車線区分線までの距離に応じて周波数閾値を小さくする。なお、周波数閾値を変更する車線区分線までの所定距離は、ドライバの運転特性から、走行車線の右寄りを常に走行する人や、走行車線の左寄りを常に走行する人などが考えられるので、通常において自車両が走行車線内のどの位置で走行しているかに応じて、周波数閾値を変更する車線中心からの横変位Xの所定値を変えてもよい。また、車線中央付近に横変位Xの不感帯を設けて、当該不感帯以上の横位置の移動があった場合に、周波数閾値を小さくしてもよい。
【0122】
以上のように、車両制御装置によれば、車線中心からの横変位Xに応じて、車線逸脱傾向が有ると判断されている場合には、当該車線逸脱傾向が有ると判断されていない時の周波数閾値に比して、周波数閾値を小さい値に設定する。これにより、この車両制御装置によれば、車線逸脱傾向がある場合には高い精度でランブルストリップスRSを検出でき、車線逸脱傾向がない場合にはランブルストリップスRSの誤検出を抑制できる。このように、車両制御装置は、自車両がランブルストリップスRSに接触することを高精度に検出できる。
【0123】
また、この車両制御装置は、車線中心からの横変位Xと車線区分線との距離が所定距離以下となった場合に車線逸脱傾向が有ると判断するので、当該車線中心からの横変位Xによって自車両がランブルストリップスRSに接触する可能性があるときに、周波数閾値を小さく変更できる。したがって、この車両制御装置によれば、ランブルストリップスRSに到達する可能性がないときに周波数閾値を小さく変更することなく、誤検出を抑制できる。
【0124】
更に、この車両制御装置によれば、車線区分線が実線である場合に、当該実線の車線区分線と車線中心からの横変位Xとの距離を検出して車線逸脱傾向を判断するので、実線の車線区分線を逸脱してランブルストリップスRSに到達してしまうときのみに、周波数閾値を小さく変更することとなる。したがって、この車両制御装置によれば、ランブルストリップスRSに到達する可能性がないときに周波数閾値を小さく変更することなく、誤検出を抑制できる。
【0125】
更に、この車両制御装置によれば、車線区分線が実線であり、且つ、当該実線の車線区分線と自車両の位置との距離が所定距離以下となった場合に、車線逸脱傾向が有ると判断するので、図3の実線の走行車線L1のように、自車両が実線の車線区分線を越えてランブルストリップスRSに到達してしまうときのみに、周波数閾値を小さく変更することとなる。したがって、この車両制御装置によれば、ランブルストリップスRSに到達する可能性がないときに周波数閾値を小さく変更することなく、誤検出を抑制できる。
【0126】
(周波数閾値の変更処理における第2変形例)
上述した周波数閾値の変更処理において、周波数閾値を元に戻す所定時間、周波数閾値の低下のさせ方は、周波数閾値設定部13によって調整されても良い。
【0127】
図20(d)に示すように右側車輪でランブルストリップスRSの接触を検出した際における、図20(e)の横速度は、カメラ2により取得されたカメラ画像に基づいて、周波数閾値設定部13によって検出される。この横速度は、自車両が走行車線中央から車線区分線に向かうとき、時刻t21から次第に大きくなる。その後、横速度の発生が継続すると、時刻t21にて、車線逸脱判断部11及び走行路逸脱判断部12によって、右側への走行路逸脱が検出されて、走行路逸脱フラグFlg_road_departが「1」とされる。
【0128】
走行路逸脱フラグFlg_road_departが「1」とされると、周波数閾値設定部13は、図20(a)のように、逸脱方向(右側)における車輪(右側車輪)の周波数閾値を低下させる。
【0129】
次に、周波数閾値設定部13は、横速度に基づいて、逸脱方向とは逆側の左側車輪でランブルストリップスRSを通過するまでの時間を推定する。周波数閾値設定部13は、当該推定時間内に、左側車輪の周波数閾値を所定値まで小さくなるような傾きで、当該左側車輪の周波数閾値を低下させる。これにより、左側車輪の周波数閾値は、図20(b)に示すように、時刻t22における横速度に基づいて左側車輪の車輪がランブルストリップスRSに接触すると推定される傾きで、時刻t23からt24に亘って、所定値まで低下させる。
【0130】
また、周波数閾値設定部13は、左側車輪がランブルストリップスRSに接触すると推定される時刻t24に、段階的に左側車輪の周波数閾値を低下させても良い。
【0131】
なお、周波数閾値設定部13は、左側車輪がランブルストリップスRSに接触するタイミングを、走行路逸脱した時刻t22又はランブルストリップスRSに接触した時刻t23の何れかの横速度を用いて推定しても良い。また、周波数閾値設定部13は、横速度に代えて、横加速度、横方向の移動量を用いて左側車輪がランブルストリップスRSに接触するタイミングを推定しても良い。
【0132】
その後、周波数閾値設定部13は、左側車輪の周波数閾値を小さくした所定時間後の時刻t25に、左側車輪の周波数閾値を元の値に戻す。また、左側車輪の周波数閾値は、左側車輪でランブルストリップスRSを検出したときに元の値に戻しても良い。
【0133】
この車両制御装置によれば、車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向側の車輪がランブルストリップスRSに接触したと判断された後に、当該逸脱方向とは逆側の車輪の周波数閾値を小さくする所定時間を、少なくとも自車両の横速度を用いて調整する。これにより、車両制御装置は、横速度が高いほど短い期間で周波数閾値を低下させる。この車両制御装置によれば、逸脱方向とは逆の車輪がランブルストリップスRSに接触すると推定されるタイミングで周波数閾値を低下させることができる。これにより、ランブルストリップスRSする可能性が高いときに周波数閾値を低下させることができ、高精度にランブルストリップスRSを検出することができると共に、誤検出を抑制できる。
【0134】
また、この車両制御装置によれば、車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向とは逆側の車輪の周波数閾値を、自車両の横速度から推定した所定時間以内に、所定の傾きで、所定の小さな値に変更する。これにより、この車両制御装置によれば、ランブルストリップスRSする可能性が高いときに周波数閾値を低下させることができ、高精度にランブルストリップスRSを検出することができると共に、誤検出を抑制できる。
【0135】
(周波数閾値の変更処理の第3変形例)
つぎに、周波数閾値の変更処理における第3の変形例について説明する。
【0136】
周波数閾値の変更処理は、自車両が走行中の道路種別に応じて、車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向の車輪の周波数閾値を小さくするときの傾きを変更すしても良い。コントローラ1は、例えば、図示しないナビゲーション装置等と接続されている。コントローラ1は、当該ナビゲーション装置からGPS信号に基づく現在位置と地図データとから取得した自車両が走行している道路種別情報が供給される。
【0137】
自車両が走行している道路が高速道路であるフリーウェイである場合、図21(a)に示すように、周波数閾値設定部13は、周波数閾値を低下させると判断した時刻t31から時刻t32に亘り、所定の傾きに沿って次第に周波数閾値を低下させる。この時刻t31は、上述したように、車線中心からの横変位X、走行路逸脱フラグFlg_road_departによって決定される。
【0138】
自車両が走行している道路が一般道である場合、図21(b)に示すように、周波数閾値設定部13は、周波数閾値を低下させると判断した時刻t31に、段階的に周波数閾値を低下させる。
【0139】
また、道路種別情報は、道路種別のカテゴリであっても良い。道路種別のカテゴリが、例えばフリーウェイなどを含む上位カテゴリであるほど、徐々にランブルストリップ検出閾値を小さくしていく期間(t31〜t32)を変更しても良い。そして、下位カテゴリ例えば一般道を含む下位カテゴリほど、期間(t31〜t32)を短くして、段階的にランブルストリップ検出閾値を小さくしても良い。
【0140】
このように、車両制御装置によれば、道路種別に応じて周波数閾値を低下させる傾きを変更することによって、当該道路種別に応じて高精度にランブルストリップスRSを検出し、誤検出を抑制できる。すなわち、路肩が広いフリーウェイではランブルストリップスRSに接触してもドライバの運転操作によって走行車線内に誘導できるので、周波数閾値を低下させる期間を長くして、ランブルストリップスRSを検出しにくくする。一方、路肩が無い一般道ではランブルストリップスRSに接触した後に壁等に接触してしまう可能性があるので、ランブルストリップスRSを確実に検出できるようランブルストリップスRSを段階的に低くすることができる。
【0141】
(周波数閾値の変更処理の第4変形例)
つぎに、周波数閾値の変更処理における第4変形例について説明する。
【0142】
周波数閾値の変更処理は、自車両が走行中の道路種別及び車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向に応じて、車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向の輪の周波数閾値を小さくするときの傾きを変更しても良い。
【0143】
自車両が走行している道路が高速道路であるフリーウェイであり、右側に路肩がある高速道路で逸脱方向が右側である場合、図22(a)に示すように、周波数閾値設定部13は、周波数閾値を低下させると判断した時刻t41から時刻t42に亘り、所定の傾きに沿って次第に周波数閾値を低下させる。この時刻t41は、上述したように、車線中心からの横変位X、走行路逸脱フラグFlg_road_departによって決定される。
【0144】
自車両が走行している道路がフリーウェイ又は一般道であり、路肩がない左側が逸脱方向である場合、図22(b)に示すように、周波数閾値設定部13は、周波数閾値を低下させると判断した時刻t41に、段階的に周波数閾値を低下させる。
【0145】
自車両が走行している道路が一般道であり、右側に路肩がある一般道で逸脱方向が右側である場合、図22(c)に示すように、周波数閾値設定部13は、周波数閾値を低下させると判断した時刻t41から時刻t42よりも短い期間に亘り、所定の傾きに沿って次第に周波数閾値を低下させる。このために、周波数閾値設定部13は、図22(a)にて示した傾きよりも急峻な傾きで周波数閾値を低下させる。
【0146】
このように、車両制御装置によれば、道路種別及び逸脱方向に応じて周波数閾値を低下させる傾きを変更することによって、当該道路種別及び逸脱方向に応じて高精度にランブルストリップスRSを検出し、誤検出を抑制できる。すなわち、路肩がある方向に逸脱する場合には、フリーウェイよりも一般道の方が急峻な傾きで周波数閾値を低下させる。しかし、フリーウェイ又は一般道であって、路肩がない左側に逸脱する場合には、対向車線に設けられたランブルストリップスRSを高精度に検出する必要がある。このため、周波数閾値設定部13は、路肩が無い方向に逸脱する場合には、段階的にランブルストリップスRSを低下させる。このように、車両制御装置は、道路種別及び逸脱方向に応じて、適切に周波数閾値を低下させることができる。
【0147】
(第2の実施形態)
上述した実施形態においては、閾値設定部13が周波数閾値を変更する例を示した。すなわち、走行路逸脱傾向(もしくは車線逸脱傾向)が有ると判断されている場合には周波数閾値を小さい値に設定する例を示した。しかしながら、閾値設定部13にて設定するランブルストリップスを検出する際の閾値を、周波数閾値に替えて振幅閾値としても良い。すなわち、走行路逸脱傾向(もしくは車線逸脱傾向)が有ると判断されている場合の振幅閾値(即ち図23における閾値A)を小さくし、走行路逸脱傾向(もしくは車線逸脱傾向)が有ると判断されていない場合の振幅閾値(即ち図23における閾値A)を大きくすることによっても実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、その他の構成に関しては上記実施の形態に記載した周波数閾値の設定と同様であるので説明は省略する。なお、もちろん、周波数閾値及び振幅閾値の両方を、走行路逸脱傾向(もしくは車線逸脱傾向)が有ると判断されている場合には小さくし、走行路逸脱傾向(もしくは車線逸脱傾向)が有ると判断されていない場合には大きくしても良い。
【0148】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0149】
1 コントローラ
2 カメラ
3 車輪速センサ
4 車両システム
11 車線逸脱判断部
12 走行路逸脱判断部
13 周波数閾値設定部
14 車輪速算出部
15 車輪加速度算出部
16 矩形波生成部
17 ランブルストリップス検出部
19 路外逸脱判断部
20 制御作動判断部
21 シートベルト作動指令値算出部
22 エンジントルク指令値算出部
23 ブレーキ液圧指令値算出部
24 ヨーモーメント指令値算出部
25 アクセルペダル反力指令値算出部
41 ブレーキ制御装置
42 エンジン制御装置
43 アクセルペダル制御装置
44 シートベルト制御装置
45 警報装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行車線から逸脱する可能性である車線逸脱傾向が有るか否かを判断する車線逸脱判断手段と、
路面から自車両に入力される振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段によって検出された振動のうち、振幅が予め定められた所定の振幅閾値以上である振動の周波数が予め定められた所定の周波閾値以上の周波数である場合に、自車両が走行する走行路外であって当該走行路の延在方向に沿って設けられ車両に振動を付与する振動付与構造に対して、車両の車輪が接触していると判断する接触判断手段と、
前記振幅閾値を設定する閾値設定手段とを備え、
前記閾値設定手段は、前記車線逸脱判断手段によって車線逸脱傾向が有ると判断されている場合には、当該車線逸脱傾向が有ると判断されていない時に比して、前記周波数閾値もしくは振幅閾値のうちの少なくとも一方を小さい値に設定することを特徴とする振動付与構造検出装置。
【請求項2】
前記車線逸脱判断手段は、自車両が走行する走行車線の車線区分線を検出し、自車両が走行する走行車線内における自車両の位置を検出し、当該走行車線内の自車両の位置と前記車線区分線との距離を検出し、当該検出した距離が所定距離以下となった場合に車線逸脱傾向が有ると判断することを特徴とする請求項1に記載の振動付与構造検出装置。
【請求項3】
前記閾値設定手段は、前記車線逸脱判断手段によって車線逸脱傾向が有ると判断されている場合に、逸脱方向の前記車線区分線が走行路端の車線区分線であるか否かを判断し、検出された車線区分線が走行路端の車線区分線である場合に、当該車線逸脱傾向が有ると判断されていない時に比して、前記周波数閾値もしくは振幅閾値のうちの少なくとも一方を小さい値に設定することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の振動付与構造検出装置。
【請求項4】
前記車線逸脱判断手段は、前記車線逸脱傾向が有るか否かを判断すると共に当該車線逸脱が発生している逸脱方向を検出し、
前記振動検出手段は、路面から自車両の左右輪のそれぞれに入力する振動を自車両に入力する振動として検出し、
前記接触判断手段は、前記振動検出手段によって検出された左右輪それぞれに入力する振動に対して、振幅が予め定められた所定の振幅閾値以上である振動の周波数が予め定められた所定の周波数以上であるか否かを判断することにより、当該左右輪のそれぞれが振動付与構造に接触しているか否かを判断し、
前記閾値設定手段は、前記左右輪のうち前記車線逸脱判断手段によって車線逸脱傾向が有ると判断されている逸脱方向の車輪に対応した前記周波数閾値もしくは振幅閾値のみを、車線逸脱傾向が有ると判断されていない時に比して、小さい値に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の振動付与構造検出装置。
【請求項5】
前記閾値設定手段は、前記車線逸脱判断手段により車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向の車輪の前記周波数閾値もしくは振幅閾値を、当該周波数閾値もしくは振幅閾値を小さくした後の所定時間経過後に、当該小さく設定する前の前記周波数閾値もしくは振幅閾値に戻すことを特徴とする請求項4に記載の振動付与構造検出装置。
【請求項6】
前記閾値設定手段は、前記車線逸脱判断手段により車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向とは逆側の車輪の前記周波数閾値もしくは振幅閾値を、当該逸脱方向側の車輪が振動付与構造に接触したと判断された後の所定時間経過後に小さく設定することを特徴とする請求項4に記載の振動付与構造検出装置。
【請求項7】
前記閾値設定手段は、前記車線逸脱判断手段により車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向とは逆側の車輪の前記周波数閾値もしくは振幅閾値を、所定時間経過後に、前記小さく設定する前の前記周波数閾値もしくは振幅閾値に戻すことを特徴とする請求項6に記載の振動付与構造検出装置。
【請求項8】
前記閾値設定手段は、自車両が走行中の道路種別に応じて、前記車線逸脱判断手段により車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向の車輪の前記周波数閾値もしくは振幅閾値を小さくするときの傾きを変更することを特徴とする請求項4に記載の振動付与構造検出装置。
【請求項9】
前記閾値設定手段は、自車両が走行中の道路種別及び前記車線逸脱判断手段により車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向に応じて、前記車線逸脱判断手段により車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向の輪の前記周波数閾値もしくは振幅閾値を小さくするときの傾きを変更することを特徴とする請求項4に記載の振動付与構造検出装置。
【請求項10】
前記閾値設定手段は、前記車線逸脱判断手段により車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向側の車輪が振動付与構造に接触したと判断された後に、当該逸脱方向とは逆側の車輪の前記周波数閾値もしくは振幅閾値を小さくする所定時間を、少なくとも自車両の横速度を用いて調整することを特徴とする請求項6に記載の振動付与構造検出装置。
【請求項11】
前記閾値設定手段は、前記車線逸脱判断手段により車線逸脱傾向が有ると判断された逸脱方向とは逆側の車輪の前記周波数閾値もしくは振幅閾値を、自車両の横速度から推定した所定時間以内に、所定の傾きで、所定の小さな値に変更することを特徴とする請求項10に記載の振動付与構造検出装置。
【請求項12】
自車両が走行車線から逸脱する可能性である車線逸脱傾向が有るか否かを判断する車線逸脱判断手段と、
路面から自車両に入力される振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段によって検出された振動のうち、振幅が予め定められた所定の振幅閾値以上である振動の周波数が予め定められた所定の周波数以上である場合に、自車両が走行する走行路外であって当該走行路の延在方向に沿って設けられ車両に振動を付与する振動付与構造に対して、車両の車輪が接触していると判断する接触判断手段と、
前記車線逸脱判断手段によって車線逸脱傾向が有ると判断されている場合には、当該車線逸脱傾向が有ると判断されていない時に比して、前記周波数閾値もしくは振幅閾値を小さい値に設定する閾値設定手段とを備えた振動付与構造検出装置を備え、
前記振動付与構造検出装置によって振動付与構造に接触したことが検出された場合に、自車両が走行路外に逸脱すること回避するよう自車両にヨーモーメントを付与するヨーモーメント付与手段を備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項13】
自車両が走行車線から逸脱する可能性である車線逸脱傾向が有るか否かを判断すると共に当該車線逸脱が発生している逸脱方向を検出し、車線逸脱判断手段と、
路面から自車両の左右輪のそれぞれに入力する振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段によって検出された左右輪それぞれに入力する振動に対して、振幅が予め定められた所定の振幅閾値以上である振動の周波数が予め定められた所定の周波数以上である場合か否かを判断することにより、当該左右輪のそれぞれが振動付与構造に接触しているか否かを判断する接触判断手段と、
前記左右輪のうち前記車線逸脱判断手段によって車線逸脱傾向が有ると判断されている逸脱方向の車輪に対応した前記周波数閾値もしくは振幅閾値のみを、車線逸脱傾向が有ると判断されていない時に比して、小さい値に設定する閾値設定手段を備えた振動付与構造検出装置を備え、
前記振動付与構造検出装置によって自車両の左右輪のうち一方輪が振動付与構造に接触したことが検出された場合に、自車両が走行路外に逸脱すること回避するよう自車両にヨーモーメントを付与するヨーモーメント付与手段と、
前記振動付与構造検出装置によって自車両の左右輪のうち一方輪が振動付与構造に接触したことが検出された後、所定時間以内に他方輪が振動付与構造に接触したことが検出された場合に、自車両に減速度を付与する減速手段と
を備えることを特徴とする車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−35793(P2012−35793A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178931(P2010−178931)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】