説明

振動片、振動子及び発振器

【課題】振動漏れの抑制によって、所望のQ値を確保しつつ、小型化を図ることができる振動片、この振動片を備えた振動子及びこの振動片を備えた発振器の提供。
【解決手段】水晶振動片1は、基部11と、基部11から、互いに沿って延びる一対の振動腕12と、基部11から、一対の振動腕12に対して反対側に延びる引き出し部13と、引き出し部13の先端部から、引き出し部13の延びる方向に対して略直交する方向に沿って引き出し部13の両側へ延びる吸収部14と、吸収部14の両端部から、引き出し部13の延びる方向に沿って延びると共に、外部部材に保持される一対の保持部15と、を備え、一対の振動腕12の延びる方向に対して直交する方向における、基部11及び一対の保持部15を含めた吸収部14の全幅W1が、一対の振動腕12の全幅W2以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動片、この振動片を備えた振動子及びこの振動片を備えた発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基部と、基部から突出して形成されている振動腕部(以下、振動腕という)と、を有する振動片であって、振動腕の表面部及び裏面部の少なくとも一方に溝部が形成されていると共に、基部に切り込み部が形成されている振動片が開示されている。
また、特許文献2には、表裏面に括れた形状が表れるように1つの直線に沿って対向方向に一対の切り込み(以下、切り込み部という)が形成され、一対の切り込み部を挟んで両側に位置する第1及び第2の部分と、一対の切り込み部の間で第1及び第2の部分を接続する接続部と、を含む基部と、第1の部分から表裏面に平行に延びる一対の振動腕と、第2の部分から一対の振動腕の両外側に延びる一対の支持腕(以下、保持部という)と、を備えた圧電振動片(以下、振動片という)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−261575号公報
【特許文献2】特開2008−219066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような振動片は、基部の切り込み部によって、振動腕の屈曲振動が基部側へ漏れるのを緩和することができるとされているが、振動片の小型化の進展に伴って、基部の切り込み部だけでは振動漏れに対する効果が不十分となり、所望のQ値が得られないという問題がある。
【0005】
これに対して、特許文献2のような振動片は、一対の振動腕の両外側に延びる一対の保持部を備え、基部ではなく保持部が外部部材に保持されることで、振動片が小型化されても振動漏れを抑制することができるとされている。
しかしながら、上記振動片は、一対の振動腕の両外側に一対の保持部を備えていることから、振動片の小型化に際して、特許文献1のような振動片よりも、振動腕の腕部の幅を必然的に細くしなければならないという制約がある。
これにより、上記振動片は、振動腕の腕部の幅を太くして熱弾性損失(屈曲振動する振動片の圧縮部と伸張部との間で発生する熱伝導により生じる振動エネルギーの損失)を低減し、Q値を向上させることが極めて難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる振動片は、基部と、前記基部から、互いに沿って延びる一対の振動腕と、前記基部から、前記一対の振動腕に対して反対側に延びる引き出し部と、前記引き出し部の先端部から、前記引き出し部の延びる方向に対して略直交する方向に沿って前記引き出し部の両側へ延びる吸収部と、前記吸収部の両端部から、前記引き出し部の延びる方向に沿って延びると共に、外部部材に保持される一対の保持部と、を備え、前記一対の振動腕の延びる方向に対して直交する方向における、前記基部及び前記一対の保持部を含めた前記吸収部の全幅が、前記一対の振動腕の全幅以下であることを特徴とする。
【0008】
これによれば、振動片は、基部から振動腕に対して反対側に延びる引き出し部と、引き出し部の先端部から引き出し部の両側へ延びる吸収部と、吸収部の両端部から延びると共に、外部部材に保持される一対の保持部と、を備えている。
このことから、振動片は、振動腕からの振動が引き出し部、吸収部及び保持部によって吸収(緩和)され、外部部材に保持される保持部における振動漏れ(振動エネルギーの損失)を抑制することができる。
【0009】
加えて、振動片は、基部及び一対の保持部を含めた吸収部の全幅が、一対の振動腕の全幅以下であることから、特許文献2の振動片のような振動腕の腕部の幅に対する制約が解消されることになる。
この結果、振動片は、振動腕の腕部の幅を最大限まで太くすることにより熱弾性損失を低減し、Q値を向上させることが可能となる。
これらのことから、振動片は、振動漏れの抑制及び振動腕の腕部の幅の拡大によって、所望のQ値を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかる振動片において、前記一対の保持部の先端部同士を繋ぐ連結部を、さらに備えたことが好ましい。
【0011】
これによれば、振動片は、一対の保持部の先端部同士を繋ぐ連結部を、さらに備えたことから、振動腕の振動に伴う各保持部の僅かな振動を、連結部によって相殺し吸収することができる。この結果、振動片は、保持部における振動漏れを、さらに抑制することができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕の先端部に前記振動腕の腕部より幅が広い錘部が設けられていることが好ましい。
【0013】
これによれば、振動片は、振動腕の先端部に振動腕の腕部より幅が広い錘部が設けられていることから、錘部の慣性質量の増加によるQ値の向上効果により、Q値を維持しながら振動腕を短くすることができる。
この結果、振動片は、Q値を維持しながら、さらなる小型化を図ることが可能となる。
【0014】
[適用例4]上記適用例にかかる振動片において、前記一対の振動腕と、前記基部とを含んで音叉を構成することが好ましい。
【0015】
これによれば、振動片は、一対の振動腕と、基部とを含んで音叉を構成することから、所望のQ値を確保しつつ、小型化が図られた音叉型振動片を提供できる。
【0016】
[適用例5]本適用例にかかる振動子は、上記適用例1ないし適用例4のいずれか一例に記載の振動片と、前記振動片を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする。
【0017】
これによれば、振動子は、所望のQ値を確保しつつ、小型化が図られた振動片を備えていることから、振動特性の維持向上と小型化とを両立させることができる。
【0018】
[適用例6]本適用例にかかる発振器は、上記適用例1ないし適用例4のいずれか一例に記載の振動片と、前記振動片を発振させる発振回路を有する回路素子と、前記振動片及び前記回路素子を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする。
【0019】
これによれば、発振器は、所望のQ値を確保しつつ、小型化が図られた振動片を備えていることから、振動特性の維持向上と小型化とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の断面図。
【図2】変形例1の振動片の概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の断面図。
【図3】変形例2の振動片の概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の断面図。
【図4】第2の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の断面図。
【図5】第3の実施形態の振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の断面図。
【図6】第4の実施形態の発振器の概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A線での断面図である。
【0023】
図1に示すように、振動片としての水晶振動片1は、一例として、水晶の原石などから、水晶の結晶軸としての互いに直交するX軸、Y軸、Z軸に対して所定の角度で切り出されたZ板を基材とし、外形形状がフォトリソグラフィ技術を用いたウエットエッチングによって形成されている。
【0024】
ここで、Z板とは、切り出し面(主面10)がZ軸に対して略直交したものをいい、このZ軸に直交した主面10が、X軸のプラス側から見てY軸からZ軸の方向へ反時計回りまたは時計回りに0度〜数度の範囲で回転した状態で切り出されたものも含まれる。
水晶振動片1は、X軸が電気軸、Y軸が機械軸、Z軸が光軸となるように、水晶の単結晶から切り出される。
なお、水晶振動片1は、水晶からの切り出し角度の誤差を、X軸、Y軸及びZ軸の各々につき多少の範囲(例えば、0度〜5度程度の範囲)で許容できる。
【0025】
水晶振動片1は、基部11と、基部11から、互いに沿ってY軸方向のYプラス側へ延びる一対の振動腕12と、基部11から、一対の振動腕12に対して反対側(Yマイナス側)に延びる腕状の引き出し部13と、引き出し部13の先端部から、引き出し部13の延びる方向(Y軸方向)に対して略直交する方向(X軸方向)に沿って引き出し部13の両側(Xプラス側及びXマイナス側)へ延びる腕状の吸収部14と、吸収部14の両端部から、引き出し部13の延びる方向(Y軸方向)に沿ってYマイナス側へ延びると共に、外部部材に保持される一対の腕状の保持部15と、を備えている。
【0026】
一対の振動腕12は、基部11からYプラス側に延びる腕部(振動腕の本体部分)16と、腕部16の先端部に形成され、腕部16より幅が広く、腕部16からYプラス側に延びる錘部17と、一対の振動腕12の延びる方向(Y軸方向)に沿って形成され、一対の振動腕12の並ぶ方向(X軸方向)に沿って切断した振動腕12の断面形状が、略H字状となる溝部18と、を有している。
【0027】
そして、水晶振動片1は、一対の振動腕12の延びる方向(Y軸方向)に対して直交する方向(X軸方向)における、基部11及び一対の保持部15を含めた吸収部14の全幅W1が、一対の振動腕12の全幅W2以下となるように形成されている。
【0028】
図1(a)に示すように、水晶振動片1は、基部11と、一対の振動腕12とを含んで音叉を構成することで、音叉型振動片としての音叉型水晶振動片となっており、一対の保持部15の2点鎖線で示した所定の位置で、パッケージなどの外部部材に、導電性接着剤などを用いて固定されるようになっている。
そして、水晶振動片1は、一対の振動腕12に形成された図示しない励振電極に、外部から駆動信号が印加されることにより、一対の振動腕12が、所定の周波数(例えば、32kHz)で矢印B方向及び矢印C方向に交互に屈曲振動(共振)する。
【0029】
この際、水晶振動片1は、基部11、引き出し部13、吸収部14、保持部15にも振動が伝播される。
このとき、基部11におけるY軸方向以外の振動は、基部11の内部で互いに相殺され吸収されるが、Y軸方向の振動は、吸収されずに引き出し部13に伝播される。
【0030】
詳述すれば、基部11における振動を、X軸方向の振動成分とY軸方向の振動成分とに分けて解析してみると、X軸方向の振動成分は、Xプラス方向の振動成分とXマイナス方向の振動成分とが、振動腕12の屈曲振動時の、一対の振動腕12の先端部の間隔が広がる矢印B方向のときと、狭まる矢印C方向のときとで、互いに圧縮状態または引張り状態となり相殺し合うことから、基部11の内部で殆どが吸収される。
一方、Y軸方向の振動成分は、Yプラス方向の振動成分とYマイナス方向の振動成分とが、振動腕12の屈曲振動時の、一対の振動腕12の先端部の間隔が広がる矢印B方向のときと、狭まる矢印C方向のときとで、交互に発生することから、互いに相殺し合うことがなく、基部11の内部で殆どが吸収されずに引き出し部13に伝播される。
【0031】
引き出し部13に伝播されたY軸方向の振動は、吸収部14に伝播され、吸収部14が矢印D方向及び矢印E方向に交互に屈曲振動することにより、殆どが吸収される。
これらにより、保持部15に伝播される振動は、僅かなものとなる。さらに、保持部15に伝播された振動は、吸収部14との接続部分から外部部材への固定部分までの間で、僅かながら吸収され得る。
【0032】
上述したように、第1の実施形態の水晶振動片1は、一対の振動腕12の屈曲振動に伴う基部11で吸収できなかったY軸方向の振動が、引き出し部13、吸収部14及び保持部15によって吸収(緩和)されることから、パッケージなどの外部部材に保持される保持部15の固定部分における振動漏れを抑制することができる。
【0033】
加えて、水晶振動片1は、基部11及び一対の保持部15を含めた吸収部14の全幅W1が、一対の振動腕12の全幅W2以下であることから、特許文献2の振動片のような、振動腕12の腕部16の幅に対する制約が解消されることになる。
この結果、水晶振動片1は、振動腕12の腕部16の幅を最大限まで太くすることにより熱弾性損失を低減し、Q値を向上させることが可能となる。
これらのことから、水晶振動片1は、振動漏れの抑制及び振動腕12の腕部16の幅の拡大によって、所望のQ値を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0034】
また、水晶振動片1は、振動腕12の先端部に振動腕12の腕部16より幅が広い錘部17が設けられていることから、錘部17の慣性質量の増加によるQ値の向上効果により、Q値を維持しながら振動腕12を短くすることができる。
この結果、水晶振動片1は、Q値を維持しながら、さらなる小型化を図ることが可能となる。
【0035】
また、水晶振動片1は、一対の振動腕12と、基部11とを含んで音叉を構成することから、所望のQ値を確保しつつ、小型化が図られた音叉型振動片としての音叉型水晶振動片を提供できる。
【0036】
また、水晶振動片1は、一対の保持部15の外部部材に保持される固定部分から、引き出し部13までの距離が、後述する各変形例と比較して長くできる構成であることから、外部部材に保持される際に、例えば、保持部15の固定部分を接着する導電性接着剤が、引き出し部13まで流出して付着する虞が殆どない。
これにより、水晶振動片1は、引き出し部13への導電性接着剤の付着に起因する振動漏れの増加を回避することができる。
【0037】
(変形例1)
次に、第1の実施形態の変形例1について説明する。
図2は、変形例1の振動片の概略構成を示す模式図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は、図2(a)のF−F線での断面図である。なお、第1の実施形態との共通部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0038】
図2に示すように、変形例1の振動片としての水晶振動片2は、一対の保持部115が、吸収部14の両端部から、引き出し部13の延びる方向(Y軸方向)に沿って、吸収部14の両側(Yプラス側及びYマイナス側)へ延びている。
なお、引き出し部13のY軸方向の長さ及び一対の保持部115のY軸方向の長さは、第1の実施形態と同じものとする。
【0039】
これによれば、変形例1の水晶振動片2は、第1の実施形態と比較して、Y軸方向の全長を短くできることから、さらなる小型化が可能となる。
【0040】
(変形例2)
次に、第1の実施形態の変形例2について説明する。
図3は、変形例2の振動片の概略構成を示す模式図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は、図3(a)のG−G線での断面図である。なお、第1の実施形態との共通部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0041】
図3に示すように、変形例2の振動片としての水晶振動片3は、一対の保持部215が、吸収部14の両端部から、引き出し部13の延びる方向(Y軸方向)に沿って、吸収部14のYプラス側へ延びている。
なお、引き出し部13のY軸方向の長さ及び一対の保持部215のY軸方向の長さは、第1の実施形態と同じものとする。
【0042】
これによれば、変形例2の水晶振動片3は、第1の実施形態及び変形例1と比較して、Y軸方向の全長をより短くできることから、さらなる小型化が可能となる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図4は、第2の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は、図4(a)のH−H線での断面図である。なお、第1の実施形態との共通部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0044】
図4に示すように、第2の実施形態の振動片としての水晶振動片4は、一対の保持部15の先端部同士を繋ぐ梁状の連結部319を、さらに備えている。
これによれば、水晶振動片4は、一対の保持部15の先端部同士を繋ぐ連結部319を備えたことから、一対の振動腕12の屈曲振動に伴う各保持部15のX軸方向に沿った僅かな振動を、連結部319によって互いに圧縮状態または引張り状態とすることで相殺し、吸収することができる。
この結果、水晶振動片4は、第1の実施形態と比較して、保持部15における振動漏れを、さらに抑制することができる。
【0045】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、上記で説明した水晶振動片を備えた振動子について説明する。
図5は、第3の実施形態の振動子の概略構成を示す模式図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は、図5(a)のJ−J線での断面図である。
【0046】
図5に示すように、振動子としての水晶振動子5は、第1の実施形態の水晶振動片1と、水晶振動片1を収容するパッケージ80と、を備えている。
パッケージ80は、パッケージベース81、シームリング82、蓋体85などから構成されている。
パッケージベース81は、水晶振動片1を収容できるように凹部が形成され、その凹部に水晶振動片1の図示しないマウント電極と接続される接続パッド88が設けられている。
接続パッド88は、パッケージベース81内の配線に接続され、パッケージベース81の外周部に設けられた外部接続端子83と導通可能に構成されている。
【0047】
パッケージベース81の凹部の周囲には、シームリング82が設けられている。さらに、パッケージベース81の底部には、貫通穴86が設けられている。
水晶振動片1は、パッケージベース81の接続パッド88に導電性接着剤84を介して接着固定されている。そして、パッケージ80は、パッケージベース81の凹部を覆う蓋体85とシームリング82とがシーム溶接されている。
パッケージベース81の貫通穴86には、金属材料などからなる封止材87が充填されている。この封止材87は、減圧雰囲気内で溶融後固化され、パッケージベース81内が減圧状態を保持できるように、貫通穴86を気密に封止している。
水晶振動子5は、外部接続端子83を介した外部からの駆動信号により水晶振動片1が励振され、所定の周波数(例えば、32kHz)で発振(共振)する。
【0048】
上述したように、水晶振動子5は、振動漏れを抑制し所望のQ値を確保しつつ、小型化が図られた水晶振動片1を備えていることから、振動特性の維持向上と小型化とを両立させることができる。
なお、水晶振動子5は、水晶振動片1に代えて水晶振動片2,3,4のいずれかを用いても、同様の効果を得ることができる。
【0049】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態として、上記で説明した水晶振動片を備えた発振器について説明する。
図6は、第4の実施形態の発振器の概略構成を示す模式図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)のK−K線での断面図である。
【0050】
発振器としての水晶発振器6は、上記水晶振動子5の構成に回路素子をさらに備えた構成となっている。なお、水晶振動子5との共通部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図6に示すように、水晶発振器6は、第1の実施形態の水晶振動片1と、水晶振動片1を発振させる発振回路を有する回路素子としてのICチップ91と、水晶振動片1及びICチップ91を収容するパッケージ80と、を備えている。
ICチップ91は、パッケージベース81の底部に固着され、Au、Alなどの金属ワイヤー92により他の配線と接続されている。
水晶発振器6は、ICチップ91の発振回路からの駆動信号により水晶振動片1が励振され、所定の周波数(例えば、32kHz)で発振(共振)する。
【0051】
上述したように、水晶発振器6は、振動漏れを抑制し所望のQ値を確保しつつ、小型化が図られた水晶振動片1を備えていることから、振動特性の維持向上と小型化とを両立させることができる。
なお、水晶発振器6は、水晶振動片1に代えて水晶振動片2,3,4のいずれかを用いても、同様の効果を得ることができる。
【0052】
なお、上記各実施形態及び変形例において、水晶振動片(1など)の錘部17、溝部18は、なくてもよい。
また、上記各実施形態及び変形例では、振動片を水晶としたが、これに限定するものではなく、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、または酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体を被膜として備えたシリコンなどであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1,2,3,4…振動片としての水晶振動片、5…振動子としての水晶振動子、6…発振器としての水晶発振器、10…主面(切り出し面)、11…基部、12…振動腕、13…引き出し部、14…吸収部、15…保持部、16…腕部、17…錘部、18…溝部、80…パッケージ、81…パッケージベース、82…シームリング、83…外部接続端子、84…導電性接着剤、85…蓋体、86…貫通穴、87…封止材、88…接続パッド、91…回路素子としてのICチップ、92…金属ワイヤー、115,215…保持部、319…連結部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部から、互いに沿って延びる一対の振動腕と、
前記基部から、前記一対の振動腕に対して反対側に延びる引き出し部と、
前記引き出し部の先端部から、前記引き出し部の延びる方向に対して略直交する方向に沿って前記引き出し部の両側へ延びる吸収部と、
前記吸収部の両端部から、前記引き出し部の延びる方向に沿って延びると共に、外部部材に保持される一対の保持部と、を備え、
前記一対の振動腕の延びる方向に対して直交する方向における、前記基部及び前記一対の保持部を含めた前記吸収部の全幅が、前記一対の振動腕の全幅以下であることを特徴とする振動片。
【請求項2】
請求項1に記載の振動片において、前記一対の保持部の先端部同士を繋ぐ連結部を、さらに備えたことを特徴とする振動片。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の振動片において、前記振動腕の先端部に前記振動腕の腕部より幅が広い錘部が設けられていることを特徴とする振動片。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の振動片において、前記一対の振動腕と、前記基部とを含んで音叉を構成することを特徴とする振動片。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする振動子。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を発振させる発振回路を有する回路素子と、
前記振動片及び前記回路素子を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−223229(P2011−223229A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89258(P2010−89258)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】