説明

捜索装置及び捜索システム

【課題】被捜索者とマイクを装着する動物との距離が離れている場合や、マイクの周囲の音が大きい場合でも、被捜索者が外部と交信することができる捜索装置及び捜索システムを提供する。
【解決手段】音声を集音するマイクと、映像を撮影するカメラと、マイクが集音した音声及びカメラが撮影した映像を、予め定められた外部の端末装置に無線で送信する無線機と、外部の端末装置から送信され、無線機により受信された音声を拡声するスピーカと、を備え、被捜索者を捜索する捜索用動物に装着される捜索装置であって、マイクは、被捜索者による操作に応じて捜索用動物から取り外し可能に構成されることを特徴とする捜索装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、捜索装置及び捜索システムに関する。さらに詳しくは、被捜索者の状況を捜索者に送信する捜索装置及び捜索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遭難者や被災者などの救出に動物が利用されている。このとき、適切な救出を行うため、動物に通信装置を装着することが知られている。このような通信装置として、例えば、動物に装着されるマイクを含む通信装置がある(特許文献1参照)。この通信装置によれば、被捜索者は、動物に装着されるマイクを使用することで外部と交信することができる。
【特許文献1】特開2002−58376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した通信装置では、被捜索者とマイクを装着する動物との距離が離れている場合や、マイクの周囲の音が大きい場合には、被捜索者が外部と交信することが困難になるおそれがあった。
【0004】
そこで、本発明は、被捜索者とマイクを装着する動物との距離が離れている場合や、マイクの周囲の音が大きい場合でも、被捜索者が外部と交信することができる捜索装置及び捜索システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、捜索装置に備えられたマイクは、被捜索者による操作に応じて捜索用動物から取り外し可能に構成されることを特徴とする。
【0006】
より具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
【0007】
(1) 音声を集音するマイクと、映像を撮影するカメラと、前記マイクが集音した音声及び前記カメラが撮影した映像を、予め定められた外部の端末装置に無線で送信する無線機と、前記外部の端末装置から送信され、前記無線機により受信された音声を拡声するスピーカと、を備え、被捜索者を捜索する捜索用動物に装着される捜索装置であって、前記マイクは、前記被捜索者による操作に応じて前記捜索用動物から取り外し可能に構成されることを特徴とする捜索装置。
【0008】
(1)記載の捜索装置によれば、マイクは、被捜索者による操作に応じて捜索用動物から取り外し可能に構成される。したがって、被捜索者と捜索用動物との距離が離れている場合や、マイクの周囲の音が大きい場合でも、被捜索者が捜索用動物から取り外すことで外部との交信が容易になる。なお、上記のマイクとは、マイクの機能を含む携帯端末装置を含む。
【0009】
(2) (1)記載の捜索装置において、前記カメラは、前記被捜索者による操作に応じて前記捜索用動物から取り外し可能に構成されることを特徴とする捜索装置。
【0010】
(2)記載の捜索装置によれば、カメラは、被捜索者による操作に応じて捜索用動物から取り外し可能に構成される。したがって、被捜索者が受けた負傷の状況や、被捜索者の周囲の状況など、被捜索者が伝えたい状況を映像として撮影することができる。なお、上記のカメラとは、カメラの機能を含む携帯端末装置を含む。
【0011】
(3) (1)または(2)記載の捜索装置において、前記マイクは、前記捜索用動物の前方の音声を集音するように前記捜索用動物に装着され、前記カメラは、前記マイクが集音する方向とほぼ同一の方向の映像を撮影するように前記捜索用動物に装着されることを特徴とする捜索装置。
【0012】
(3)記載の捜索装置によれば、マイクは、捜索用動物の前方の音声を集音するように捜索用動物に装着されている。したがって、マイクを捜索用動物に装着したままでも、被捜索者の音声をより鮮明に集音することができる。また、カメラは、マイクが集音する方向とほぼ同一の方向の映像を撮影する。したがって、カメラを捜索用動物に装着したままでも、被捜索者の映像を撮影することができる。
【0013】
(4) (3)記載の捜索装置において、前記マイクが集音する方向とほぼ同一の方向を照らす照明装置を備えることを特徴とする捜索装置。
【0014】
(4)記載の捜索装置によれば、マイクは、捜索用動物の前方の音声を集音するように捜索用動物に装着され、かつ照明装置は、マイクが集音する方向とほぼ同一の方向を照らす。したがって、被捜索者は、照明装置で照らされることにより捜索用動物が近づいていることを認識することができ、かつマイクの向きを気にすることなく音声をマイクに集音させることができる。
また、捜索装置は、マイクが集音する方向とほぼ同一の方向の映像を撮影するように捜索用動物に装着されたカメラも備えているので、捜索者は、カメラを捜索用動物に装着したままで被捜索者の映像を認識することができる。
【0015】
(5) (3)または(4)記載の捜索装置において、前記マイクが集音する方向とほぼ同一の方向の音声を検知する音声検知センサーと、前記音声検知センサーが前記音声を検知したことを条件に前記マイクを起動させる音声検知時起動手段と、を備えることを特徴とする捜索装置。
【0016】
(5)記載の捜索装置によれば、音声検知時起動手段は、音声検知センサーが音声を検知したことを条件にマイクを起動させる。したがって、マイクが消費するエネルギーを軽減することができるので、結果としてマイクを長時間使用することができる。
【0017】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の捜索装置において、前記被捜索者による操作に応じて前記マイクが前記捜索用動物から取り外された場合に前記マイクを起動させる操作時起動手段を備えることを特徴とする捜索装置。
【0018】
(6)記載の捜索装置によれば、操作時起動手段は、被捜索者による操作に応じてマイクが捜索用動物から取り外された場合にマイクを起動させる。したがって、マイクが消費するエネルギーを軽減することができるので、結果としてマイクを長時間使用することができる。
【0019】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載の捜索装置において、前記被捜索者による操作に応じて前記マイクが前記捜索用動物から取り外された場合に音を発生する音発生手段を備えることを特徴とする捜索装置。
【0020】
(7)記載の捜索装置によれば、音発生手段は、被捜索者による操作に応じてマイクが捜索用動物から取り外された場合に音を発生する。したがって、被捜索者にとってみれば、たとえ話すことが困難な状態であっても、マイクを捜索用動物から取り外すことで、被捜索者の生存及び所在を捜索者に伝えることができる。
【0021】
(8) 音声を集音するマイク、映像を撮影するカメラ、並びに前記マイクが集音した音声及び前記カメラが撮影した映像を無線で送信する第1無線機を含み、被捜索者を捜索する捜索用動物に装着される捜索装置と、前記第1無線機から送信された音声及び映像を受信する第2無線機、前記第2無線機が受信した音声を拡声する拡声装置、並びに前記第2無線機が受信した映像を映すモニターを含み、捜索者の周囲に予め設けられる端末装置と、を備える捜索システムであって、前記捜索装置は、前記第2無線機から無線で送信され、前記第1無線機により受信された音声を拡声するスピーカをさらに含み、前記マイクは、前記被捜索者による操作に応じて前記捜索用動物から取り外し可能に構成されていることを特徴とする捜索システム。
【0022】
(8)記載の捜索システムによれば、捜索装置は、マイクが集音した音声及びカメラが撮影した映像を無線で送信する第1無線機を含み、被捜索者を捜索する捜索用動物に装着される。また、端末装置は、第1無線機から送信された音声及び映像を受信する第2無線機、第2無線機が受信した音声を拡声する拡声装置、並びに前記第2無線機が受信した映像を映すモニターを含み、捜索者の周囲に予め設けられる。したがって、捜索者は、捜索用動物に装着されたマイクが集音した音声を、周囲に予め設けられる拡声装置を通じて聞き取ることができる。また、捜索者は、捜索用動物に装着されたカメラが撮影した映像を、周囲に予め設けられるモニターを通じて見ることができる。
また、マイクは、被捜索者による操作に応じて捜索用動物から取り外し可能に構成されるので、被捜索者と捜索用動物との距離が離れている場合や、マイクの周囲の音が大きい場合でも、被捜索者が捜索用動物から取り外すことで被捜索者と捜索者との間の交信を容易に行うことができる。なお、上記のマイクとは、マイクの機能を含む携帯端末装置を含む。
【0023】
(9) (8)記載の捜索システムにおいて、前記マイクは、前記捜索用動物の前方の音声を集音するように前記捜索用動物に装着され、前記カメラは、前記マイクが集音する方向とほぼ同一の方向の映像を撮影するように前記捜索用動物に装着され、前記捜索装置は、前記マイクが集音する方向とほぼ同一の方向の被災状況を検知する被災状況検知センサーを含み、前記第1無線機は、前記被災状況検知センサーが検知した被災状況を音声または映像のいずれかまたは両方として前記第2無線機に無線で送信することを特徴とする捜索システム。
【0024】
(9)記載の捜索システムによれば、被災状況検知センサーは、マイクが集音する方向とほぼ同一の方向の被災状況を検知し、第1無線機は、被災状況検知センサーが検知した被災状況を音声または映像のいずれかまたは両方として、捜索者の周囲に予め設けられた第2無線機に無線で送信する。したがって、捜索者にとってみれば、捜索用動物に被捜索者を捜索させると同時に、被捜索者がおかれている被災状況を音声または映像のいずれかまたは両方で把握することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、被捜索者と捜索用動物との距離が離れている場合や、集音手段の周囲の音が大きい場合でも、被捜索者が捜索用動物から取り外すことで外部との交信が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る捜索システム1の構成を示す概略図である。捜索システム1は、被捜索者を捜索する捜索装置2と、捜索者の周囲に設置される外部端末装置3により構成され、これらの装置はお互いに無線機を備え、無線による送受信を行う。
【0028】
図2は、捜索装置2が装着された状態を示す概略図である。捜索装置2は、被捜索者を捜索する捜索用動物4に装着される。この捜索装置2は、音声を集音するマイク12などを含む携帯端末装置10と、マイク12が集音した音声などを外部端末装置3に無線により送信する無線機30と、外部端末装置3から送信され、無線機30で受信した音声を拡声するスピーカ40と、照明装置50と、を備える。
【0029】
携帯端末装置10は、捜索用動物4の頭部7の下部に首を取り巻く首輪5に対して、取り外し可能な状態で装着される。この携帯端末装置10は、携帯端末装置10のほぼ中央に設けられ、捜索用動物4の前方の被災状況を検知する被災者状況検知器11と、この被災者状況検知器11の左方に設けられ、捜索用動物4の前方の音声を集音するマイク12と、被災者状況検知器11の右方に設けられ、捜索用動物4の前方の映像を撮影するカメラ13と、を備える。また携帯端末装置10は、カメラ13の上方に設けられ、被災者状況検知器11が検知した被災状況をマイク12が集音した音声及びカメラ13が撮影した映像を電気信号として無線機30に送信するためのアンテナ14をさらに備える。
【0030】
被災者状況検知器11は、煙、ガス、炎などを検知するセンサーを有する。これらセンサーが煙、ガスなどを検知すると、対応する検知信号を作成し、携帯端末装置10の内部に設けられた後述する通信制御部97に送信する。
【0031】
マイク12は、捜索用動物4の前方の音声を集音する。集音された音声は、携帯端末装置10の内部に設けられた後述する音声コーデック98により音声データに変換され、後述の通信制御部97に送信される。このマイク12は、音声検知センサー11eを内蔵していてもよいし、図4に示すように、これらが別体で構成されてもよい。この音声検知センサー11eは、人の音声の周波数帯を検知する、もしくは、予め記憶した人の声のサンプルと入力された音声とを比較することで人の声を検知したと判断して、マイク12のスイッチを起動させる。
【0032】
カメラ13は、携帯端末装置10に設けられ、主に可視光線を集光するカメラレンズ15と、このカメラレンズ15の下方に設けられ、主に赤外線を集光する赤外線カメラレンズ16と、を備える。
【0033】
アンテナ14は、携帯端末装置10の端部に設けられ、携帯端末装置10で集音した音声や撮影映像などの情報を無線機30に送信する通信制御部97のために使用される。
【0034】
カメラレンズ15は、携帯端末装置10の内部にて、後述する可視光線検知器42と接続される。このカメラレンズ15は、焦点距離を口径で割ったF値が2.0程度の単焦点レンズで構成されている。
【0035】
赤外線カメラレンズ16は、携帯端末装置10の内部にて、後述する赤外線検知器43と接続される。この赤外線カメラレンズ16は、F値が1.0程度の単焦点レンズで構成されている。
【0036】
無線機30は、捜索用動物4の胴体を取り巻くハーネス6のうち、胴体の側方に装着される。この無線機30は、通信制御部97から送信された電気信号を受信し、受信した電気信号を外部端末装置3に無線で送信するアンテナ31を備える。
【0037】
スピーカ40は、捜索用動物4の胴体を取り巻くハーネス6のうち、胴体の前方に装着される。このスピーカ40は、外部端末装置3から送信された電気信号を受信するアンテナ41と、このアンテナ41が受信した電気信号に対応する音声を、捜索用動物4の前方に向けて拡声する拡声部を備える。
【0038】
照明装置50は、捜索用動物4の前方に配置され、この頭部の下方から捜索用動物4の前方を照らすように構成される。
【0039】
図3は、携帯端末装置10を背面から見た概略図である。携帯端末装置10は、この携帯端末装置10の背面から見てほぼ中央に設けられ、図示しないバッテリーを携帯端末装置10の内部に格納するバッテリー格納蓋17と、このバッテリー格納蓋17の左上方に固着し、下方に向かって設けられている帯状のベルト18と、このベルト18を留めるための留め金19a〜dと、ベルト18と同様にバッテリー格納蓋17の右上方に固着され、下方に向かって設けられている帯状のほぼL字型のベルト20と、このベルト20を留めるための留め穴21と、を備える。ベルト18は、L字型のベルト20を有することで、留め金19dからベルト18dが容易に外れることがないため、携帯端末装置10と首輪5との間の保持力を高めることが可能である。
【0040】
携帯端末装置10のベルト18a、bの長手方向と、首輪5が、略垂直に配置されて、ベルト18が留め金19a〜dにより留められることで、首輪5とベルト18a、bとが固定される。被捜索者は、ベルト18a、bを緩めることで、首輪5から携帯端末装置10を取り外すことが可能である。
【0041】
バッテリー格納蓋17は、携帯端末装置10から取り外し可能に構成されてよく、下方にずらす操作をすることにより取り外すことができる。
【0042】
ベルト18は、バッテリー格納蓋17の左上方に設けられ、一端部をバッテリー格納蓋17に固着し、下方に向けて帯状に形成される。
【0043】
ベルト20は、バッテリー格納蓋17に設けられ、一端部をバッテリー格納蓋17に固着し、下方に向けて帯状に形成される。またベルト20の他端部は、この下方から中央に向けてL字状に形成されている。また、ベルト18の他端部の先端には、携帯端末装置10に対向して設けられている端子23が設けられている。この端子23は、留め穴21に嵌合することが可能な形状で形成されている。
【0044】
留め金19a〜dは、ほぼコの字型の形状により構成され、携帯端末装置10の背面から見て手前側に突出して形成される。また、留め金19a〜dは、ベルト20の厚さよりもわずかに長く突出するように形成される。また、留め金19aと留め金19bとの間の幅は、首輪5の幅よりもわずかに広く構成されている。
【0045】
端子23と留め穴21は、被災者状況検知器11、カメラ13、音声検知センサー11e(マイク12に含まれてもよい)等を起動させるためのスイッチとして機能する。この端子23と留め穴21とが嵌合状態であるときは被災者状況検知器11、カメラ13、マイク12が切断状態にあり、この端子23と留め穴21とが非嵌合状態となったときは被災者状況検知器11、カメラ13、マイク12が起動される。すなわち、携帯端末装置10が捜索用動物4の首輪5に装着されているときには、捜索状態であるとして、被災者状況検知器11、カメラ13、マイク12は起動していないが、この携帯端末装置10が捜索用動物4から外されたときに被災者状況検知器11、カメラ13、マイク12が起動する。
【0046】
図4は、捜索装置2の回路構成を示す図である。捜索装置2は、携帯端末装置10を含み、携帯端末装置10は、処理動作を制御する制御回路90と、制御回路90に電気的に接続する周辺装置(アクチュエータ)を備える。
【0047】
携帯端末装置10の制御回路90は、回路基板上に配置されたマイクロコンピュータ91を主たる構成要素としている。マイクロコンピュータ91は、後述する予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCentral Processing Unit92(以下、「CPU92」とする。)、記憶手段であるRead Only Memory93(以下、「ROM93」とする。)、およびRandom Access Memory94(以下、「RAM94」とする。)、を含む。
【0048】
CPU92は、ROM93に記憶されている制御プログラムをRAM94に展開し、バスを介して無線機30の全体の動作を制御する。例えば、CPU92は、可視光線検知器42や赤外線検知器43が出力したデジタル信号に含まれるコードに基づいて被写体の画像を演算し、演算された画像データに対応する信号を通信制御部97に出力する。
【0049】
ROM93には、電源投入時に実行される初期実行プログラムデータ等が格納されている。また、通信制御部97や音声コーデック98へ送信するための各種制御指令(コマンド)等が格納されている。RAM94には、種々の情報が格納される。例えば、後述する顔面テンプレートや、髪テンプレート、色彩データなどが格納される。
【0050】
メインメモリ95には、種々の情報が格納される。例えば、オペレーティングシステム用プログラムデータ及びアプリケーションプログラムデータを格納する他、静的変数や動的変数等を格納するワークエリアを提供する。
【0051】
バックアップメモリ96には、被写体のカメラ撮影によって得た人体画像データや、被写体の赤外線カメラ撮影によって得た人体情報データなどが格納される。また、電子メールの進行状況に関するデータも格納される。これらのデータは、電源遮断時に電源遮断直前の状態から再開するためのバックアップデータとして機能することが可能である。したがって、CPU92は、被災者状況検知器11からの検知信号や、マイク12から入力された音声、カメラ13からの画像を、適宜、バックアップメモリ96に格納する。
【0052】
通信制御部97には、アンテナ14が接続される。通信制御部97は、このアンテナ14を介して、携帯端末装置10と無線機30との間の電波の送受信を行う。例えば、外部端末装置3のワイヤレスマイク80が集音した音声を受信する場合において、アンテナ14で受信されたRF(Radio Frequency)信号を増幅して周波数変換処理、アナログデジタル変換処理、スペクトラム逆拡散処理などの所定の処理を行い、得られた音声データを音声コーデック98に出力する。また、通信制御部97は、音声コーデック98から音声データが供給されてきたとき、デジタルアナログ変換処理、周波数変換処理、およびスペクトラム拡散処理などの所定の処理を行い、得られた音声信号をアンテナ14から送信する。
【0053】
音声コーデック98は、通信制御部97から供給されてきた音声データを音声信号に変換し、対応する音声信号をスピーカ40から出力する。また、音声コーデック98は、マイク12により集音されたユーザの音声を音声データに変換し、それを通信制御部97に出力する。
【0054】
可視光線検知器42は、カメラレンズ15が集光した可視光線をアナログ信号に変換し、出力するCharge Coupled Device (以下、「CCD」とする。)と、CCDが出力したアナログ信号を入力し、このアナログ信号をデジタル信号に変換し、CPU92に出力するAnalog to Digital Converter (以下、「A/Dコンバータ」とする。)を含んで構成される。
【0055】
CCDには、カメラレンズ15が集光した可視光線を電荷に変換するフォトダイオードが、画素数と同数だけ配置されている。また、CCDが出力するアナログ信号には、波長が約400nm〜500nmの青色光の階調、波長が約500nm〜600nmの緑色光の階調、および波長が約600nm〜700nmの赤色光の階調、を含むコードが画素数と同数だけ含まれている。CPU92は、このコードに基づいて、被写体の画像を演算し、演算された画像データに対応する信号を、CPU92を介して通信制御部97に送信する。
【0056】
赤外線検知器43は、赤外線カメラレンズ16が集光した赤外線をアナログ信号に変換し、出力する赤外線用CCDと、赤外線用CCDが出力したアナログ信号を入力し、このアナログ信号をデジタル信号に変換し、CPU92を介して通信制御部97に出力するA/Dコンバータとを含んで構成される。
【0057】
赤外線用CCDには、赤外線カメラレンズ16が集光した赤外線を電荷に変換するフォトダイオードが、画素数と同数だけ配置されている。また、赤外線用CCDが出力するアナログ信号には、波長が約8000nm〜14000nmの赤外線の階調を含むコードが画素数と同数だけ含まれている。
【0058】
ここで、赤外線の階調は、被写体から出る赤外線放射エネルギーの量と相関関係があり、被写体から出る赤外線放射エネルギーの量は、被写体の表面温度と相関関係があるので、赤外線の階調は、被写体の表面温度と相関関係がある。CPU92は、この相関関係を利用し、赤外線の階調を含むコードに基づいて、被写体の表面温度分布を演算し、演算された温度に対応する信号を出力する。
【0059】
ここで、図4の煙センサー11aには、発光部と受光部より構成され、発光部から光を出射してその光が煙粒子に当たったときに生じる散乱現象を利用し、受光部の光電電子が入射光を受けて生る光電流の変化を煙濃度に換算する光電式煙センサーでもよい。また、放射線源を利用したイオン化式煙センサーであってもよい。
【0060】
ガスセンサー11bには、n型半導体表面にガス分子が吸着することによって生じる電気抵抗の変化を検知する半導体式ガスセンサーでもよく、検知素子に接触したガスを触媒により燃焼させ、その温度を測定することでガスを検知する接触燃焼式ガスセンサーでもよい。
【0061】
炎センサー11cには、炎より発せられる紫外線を感知する紫外線炎センサーであってよく、その他、化学反応により一酸化炭素を検知する一酸化炭素センサーや熱センサー11dなどを有しても良い。
【0062】
図5は、本発明の一実施形態に係る捜索システム1を構成する外部端末装置3の外観を示す概略図である。この外部端末装置3は、無線機30から送信された電気信号を受信する無線機60と、この無線機60から送信された電気信号を、コード61を介して受信する受信装置70と、音声を集音するワイヤレスマイク80とを備える。
【0063】
無線機60は、捜索装置2の無線機30から送信された電気信号を受信するアンテナ62を備える。受信した電気信号は、無線機60の内部に設けられた通信制御装置に送信し、通信制御装置は、この電気信号を、コード61を介して受信装置70に送信する。
【0064】
受信装置70は、無線機60の通信制御部97から送信された電気信号を受信し、受信した電気信号を音声や映像に変換する。また、受信装置70は、変換された音声を拡声する拡声装置71L、71Rと、変換された映像を映すモニター72と、を備える。
【0065】
ワイヤレスマイク80は、音声を集音し、集音した音声を電気信号に変換し、変換した電気信号を無線で無線機60に送信する。このとき、送信された電気信号は、無線機60のアンテナ62から捜索装置2の無線機30に送信される。
【0066】
モニター72には、無線機30から送信された電気信号に基づいた画像が表示される。例えば、モニター72には、可視光線検知器42から無線機30を経由して入力された信号に基づいて合成された色彩データが表示させる。また、例えば、赤外線検知器43から無線機30を経由した信号に基づいて、画素毎の輪郭データおよび表面温度データから画素毎の色彩データを合成し、モニター72に表示させてもよい。
【0067】
図6、図7に基づいて、携帯端末装置10のCPU92の処理について説明する。図6は、音声検知センサー11eが検知信号をCPU92に送信した際の、携帯端末装置10の処理フローである。音声検知センサー11eは、人の音声の周波数帯を検知する、もしくは、予め記憶した人の声のサンプルと入力された音声とを比較することで人の声を検知(ステップS01)したと判断して、マイク12のスイッチを起動させる(ステップS02)。音声検知センサー11eからの検知信号を受信して、CPU92は、カメラ13を併せて起動して(ステップS02)、撮影を開始する。
【0068】
次に、音声検知センサー11eからの検知信号を受信して、CPU92は、被災者状況検知器11を起動し(ステップS03)、各種センサーが被災状況の検知を開始する。CPU92は、各種センサーの検知信号と、カメラ13により撮影された画像と、マイク12から入力された音声とを通信制御部97を介して無線機30に送信し、外部端末装置3の無線機60に送信する(ステップS04)。その後、所定時間、音声検知センサー11eからCPU92が、音声を検知しないと判断した場合(ステップS05)には、処理を終了する。これに対して、さらに音声を検知していると判断した場合には、ステップS04に戻り、各種センサーの検知信号と、カメラ13により撮影された画像と、マイク12から入力された音声とを通信制御部97を介して無線機30に送信し、外部端末装置3の無線機60に送信する。
【0069】
図7は、端子23と留め穴21とが非嵌合状態となったときのCPU92の処理について説明する。端子23が留め穴21から取り外されたとCPU92が判断した場合には(ステップS11)、CPU92は、音声検知センサー11eと被災者状況検知器11を起動する(ステップS12)。次に、CPU92は、カメラ13、マイク12を起動する(ステップS13)。ここで、マイク12は、音声検知センサー11eが音声を検知した場合に起動される態様であってもよい。
【0070】
ここで、ステップS11にて、端子23が留め穴21から取り外されたとCPU92が判断した場合に、CPU92が、RAM94に記憶された音声データをスピーカ40から発生する態様であってもよい。この場合には、被捜索者を周辺の捜索者に報知することが可能であるため有用である。
【0071】
端子23が留め穴21に取り付けられて、嵌合状態になったとCPU92が判断した場合(ステップS15)には、処理を終了する。一方、端子23が留め穴21と非嵌合状態であるとCPU92が判断した場合には、ステップS14に戻り、各種センサーの検知信号と、カメラ13により撮影された画像と、マイク12から入力された音声とを通信制御部97を介して無線機30に送信し、外部端末装置3の無線機60に送信する。
【0072】
このような実施形態を実現する装置、方法を、携帯小型コンピュータやサーバにて実行するためのプログラムにより実現することができる。このプログラムのための記憶媒体としては、光学記憶媒体、テープ媒体、半導体メモリ等が挙げられる。また、専用通信ネットワークやインターネットに接続されたサーバ・システムに設けられたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記憶媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムを提供してもよい。
【0073】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定しない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載された効果に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】捜索システム1の構成を示す概略図である。
【図2】捜索装置2が捜索用動物に装着された状態を示す概略図である。
【図3】携帯端末装置10を背面から見た概略図である。
【図4】捜索装置2の回路構成を示す図である。
【図5】捜索システム1を構成する外部端末装置3の外観を示す概略図である。
【図6】携帯端末装置10のCPU92が実行するフロー図である。
【図7】携帯端末装置10のCPU92が実行するフロー図である。
【符号の説明】
【0075】
1 捜索システム
2 捜索装置
3 外部端末装置
4 捜索用動物
5 首輪
6 ハーネス
10 携帯端末装置
11 被災者状況検知器
11a 煙センサー
11b ガスセンサー
11c 炎センサー
11d 熱センサー
11e 音声検知センサー
12 マイク
13 カメラ
14 アンテナ
15 カメラレンズ
16 赤外線カメラレンズ
17 バッテリー格納蓋
18 ベルト
18a ベルト
19 留め金
19a 留め金
19b 留め金
20 ベルト
21 留め穴
23 端子
30 無線機
31 アンテナ
40 スピーカ
41 アンテナ
42 可視光線検知器
43 赤外線検知器
50 照明装置
60 無線機
61 コード
62 アンテナ
70 受信装置
71L 拡声装置
71R 拡声装置
72 モニター
80 ワイヤレスマイク
90 制御回路
91 マイクロコンピュータ
93 ROM
94 RAM
95 メインメモリ
96 バックアップメモリ
97 通信制御部
98 音声コーデック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を集音するマイクと、
映像を撮影するカメラと、
前記マイクが集音した音声及び前記カメラが撮影した映像を、予め定められた外部の端末装置に無線で送信する無線機と、
前記外部の端末装置から送信され、前記無線機により受信された音声を拡声するスピーカと、
を備え、被捜索者を捜索する捜索用動物に装着される捜索装置であって、
前記マイクは、前記被捜索者による操作に応じて前記捜索用動物から取り外し可能に構成されることを特徴とする捜索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の捜索装置において、
前記カメラは、前記被捜索者による操作に応じて前記捜索用動物から取り外し可能に構成されることを特徴とする捜索装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の捜索装置において、
前記マイクは、前記捜索用動物の前方の音声を集音するように前記捜索用動物に装着され、
前記カメラは、前記マイクが集音する方向とほぼ同一の方向の映像を撮影するように前記捜索用動物に装着されることを特徴とする捜索装置。
【請求項4】
請求項3に記載の捜索装置において、
前記マイクが集音する方向とほぼ同一の方向を照らす照明装置を備えることを特徴とする捜索装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の捜索装置において、
前記マイクが集音する方向とほぼ同一の方向の音声を検知する音声検知センサーと、
前記音声検知センサーが前記音声を検知したことを条件に前記マイクを起動させる音声検知時起動手段と、
を備えることを特徴とする捜索装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の捜索装置において、
前記被捜索者による操作に応じて前記マイクが前記捜索用動物から取り外された場合に前記マイクを起動させる操作時起動手段を備えることを特徴とする捜索装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の捜索装置において、
前記被捜索者による操作に応じて前記マイクが前記捜索用動物から取り外された場合に音を発生する音発生手段を備えることを特徴とする捜索装置。
【請求項8】
音声を集音するマイク、
映像を撮影するカメラ、
並びに前記マイクが集音した音声及び前記カメラが撮影した映像を無線で送信する第1無線機を含み、
被捜索者を捜索する捜索用動物に装着される捜索装置と、
前記第1無線機から送信された音声及び映像を受信する第2無線機、
前記第2無線機が受信した音声を拡声する拡声装置、
並びに前記第2無線機が受信した映像を映すモニターを含み、
捜索者の周囲に予め設けられる端末装置と、
を備える捜索システムであって、
前記捜索装置は、前記第2無線機から無線で送信され、前記第1無線機により受信された音声を拡声するスピーカをさらに含み、
前記マイクは、前記被捜索者による操作に応じて前記捜索用動物から取り外し可能に構成されていることを特徴とする捜索システム。
【請求項9】
請求項8に記載の捜索システムにおいて、
前記マイクは、前記捜索用動物の前方の音声を集音するように前記捜索用動物に装着され、
前記カメラは、前記マイクが集音する方向とほぼ同一の方向の映像を撮影するように前記捜索用動物に装着され、
前記捜索装置は、前記マイクが集音する方向とほぼ同一の方向の被災状況を検知する被災状況検知センサーを含み、
前記第1無線機は、前記被災状況検知センサーが検知した被災状況を音声または映像のいずれかまたは両方として前記第2無線機に無線で送信することを特徴とする捜索システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−117225(P2007−117225A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310538(P2005−310538)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】