説明

排ガス後処理システム

2.1本発明は、内燃機関用排ガス後処理システムに関し、当該システムは、内燃機関の工程排ガスが通る排ガス管に炭化水素を導入するための装置と、工程排ガスによって導入箇所の下流へと貫流される、導入された炭化水素を酸化することによって工程排ガス温度を高める処理装置とを有するものである。2.2本発明によれば、コスト的に有利に実現可能な排ガス処理システム、及び当該排ガスシステムの稼働方法が提供される。これは、前記処理装置が触媒で被覆された部材を有すること、並びに前記炭化水素が、前記導入装置で少なくとも部分的に蒸発し、クラック反応及び/又は部分酸化によって化学変化すること、及び白金の割合が、少なくとも前記部材の触媒被覆の部分領域で、前記被覆の当該部分領域にある触媒活性を有する全物質の全質量の50%未満であることによって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の排ガス後処理システムに関する。当該システムはとりわけ、炭化水素(HC)を内燃機関の工程排ガスが通る排ガス管へと導入するための導入装置と、工程排ガスにより導入箇所の下流へと貫流される、導入された炭化水素の酸化によって工程排ガス温度を高める処理装置とを有する。
【0002】
このような排ガス後処理システムは、EP1537304から公知である。この排ガス後処理システムは、コンプレッサー点火型エンジン、例えばディーゼルエンジンに接続するために設置されている。ここで、前記文献の対象が取り組んでいるのは、そのようなコンプレッサー点火型エンジンの総排出量を低減させることである。このために、コンプレッサー点火型エンジンを様々な稼働方式で稼働させ、所定の選択肢から選択される触媒成分(白金触媒を少なくとも1種有するもの)を排ガスシステムに備えることが提案されている。特定の所与の触媒反応を起こすために白金触媒が使用可能なことは、一般的に知られている。
【0003】
粒子フィルター用の通常の熱生成システムを、例えば触媒バーナーに利用することは、一般的に知られている。この際にはたいてい、排ガスへの液状HC供給が、ディーゼル酸化触媒とともに用いられ、当該触媒が前記炭化水素を変換し、排ガス温度を約600℃に上昇させるための熱エネルギーをもたらすのである。燃料は好ましくは、内燃機関と触媒との間にある排ガス導管に注入される。PKW適用の際、炭化水素は通常、遅い段階で、もはや熱的に変換されない事後注入によって、内燃機関の燃焼室に用意される。これらのシステムはすべて、多量の白金含有触媒を利用するものである。それに加えて、基本的にコストが比較的低いパラジウムも、主に触媒の熱安定化のために使用されるが、その質量割合は、全貴金属に対して最大で約50%である。
【0004】
EP1857648から読み取れるのは、「燃料プロセッサー(fuel processor)」を、熱生成のためにディーゼルエンジンの排ガスシステムで考慮することである。ここで、この処理装置は、酸化触媒及び改質触媒から成っていてよく、前記処理装置は、排ガスに導入された燃料を、場合により、下流の粒子トラップを加熱するために利用可能にするものである。
【0005】
本発明の課題は、排ガス後処理システム、及びこのような排ガス処理システムを稼働させるための方法を提供することであり、当該システムは、内燃機関の排ガスを加熱することができ、それに加えてコスト的に有利に実現可能である。
【0006】
前記課題、及びここでは詳述しないが従来技術から想到可能な課題は、内燃機関用排ガス後処理システムの提供によって解決され、当該システムは、
内燃機関の工程排ガスが通る排ガス管に炭化水素を導入するための装置(ここで当該炭化水素は、前記装置の中で少なくとも部分的に蒸発し、かつクラック反応によって、及び/又は部分酸化によって化学変化する)と、さらに
工程排ガスによって導入箇所の下流へと貫流される、一部が蒸発し、クラック反応によって及び/又は部分酸化によって化学的に変化した、前記導入された炭化水素を酸化することによって工程排ガス温度を高める処理装置と、
を有する前記後処理システムであって、
少なくとも部分的に蒸発させるため、またクラック反応により、及び/又は部分酸化により炭化水素に化学変化を起こすための前記装置が、燃料及び空気用の供給装置を備えるバーナー(2)と、燃焼チャンバ(3)と、炭化水素用注入装置(5)を備える排ガス導管(4)とを有する配置構成であり、当該導管(4)は、排ガス管(6)への導入箇所で合流しており、
工程排ガス温度を高める前記処理装置は、触媒により被覆された部材を有し、
ここで白金の割合が、少なくとも前記部材の触媒被覆の部分領域で、前記被覆の当該部分領域にある触媒作用を有する全物質の全質量の50%未満であり、
ここで触媒により被覆された前記部材は、触媒基材又は粒子フィルターであり、当該触媒基材又は粒子フィルターは、それぞれ一様に、又は領域によって異なって被覆されていてよい。
【0007】
この構成は、適切な導入装置を用いて、炭化水素を既に特別な手法で蒸発させ、かつクラック反応及び/又は部分酸化により化学的に変化した形でもたらす排ガス後処理システムは、後続する処理装置の触媒成分中の白金含分が、従来の炭化水素混合物で必要とされたよりも著しく少ない白金含分で稼働できるという、意想外の知見に基づく。ここで炭化水素の導入、及び処理装置における変換の目的は、粒子フィルターで内燃機関の工程排ガスからフィルター除去されたスス粒子を連続的に、又は非連続的に燃焼させることである。このことが、本発明による装置によって極めて効果が高いにも拘わらずコスト的に有利に実施可能なことは、予見できなかった。
【0008】
排ガス後処理システムの内部では、処理装置の部材にある触媒被覆の部分領域が、工程排ガス温度を上昇させる処理装置の部材にある触媒被覆の全質量に対して、少なくとも20%、好適には30%、さらに好適には50%、及び特に好適には100%を有する。部材の触媒被覆とは、排ガスの加熱フェーズの間の流れ方向に沿って、勾配が+1K/cm超、好適には+2.5K/cm超、及び特に好適には+10K/cm超である被覆と理解される。これによって、システムの信頼機能が確保される。
【0009】
処理装置の触媒被覆の部分領域には、触媒作用を有するさらなる物質があり、とりわけパラジウムが存在し得る。部分領域の触媒被覆は好ましくは、部材体積若しくは基材体積に対して、全貴金属質量が0.1〜10g/L、好ましくは0.5〜5g/L、及び特に好ましくは0.7〜3.5g/Lの範囲の貴金属を含有する。
【0010】
特に有利な構成では、処理装置の部分領域にある触媒被覆の貴金属割合が、考慮される部分領域の触媒被覆の全質量の10%未満、好ましくは5%未満、特に好ましくは3%未満であることが企図され、また可能である。これは下限では、そもそも貴金属が全く存在しないことを意味する。この場合に好ましくは、触媒作用を有する別の触媒(触媒機能を担うもの)が存在している。
【0011】
1つの構成では、処理装置の触媒被覆の部分領域が、触媒活性を有する別の物質を有する。しかしながら好ましい実施態様において、貴金属の割合は、触媒作用を有する物質の全質量に対して、10%超、特に好ましくは30%超、及び極めて特に好ましくは100%である。
【0012】
部分領域に存在する貴金属のうち1つがパラジウムであれば、処理装置の部分領域にある触媒被覆のパラジウム割合は、処理装置の部分領域の全貴金属の全質量の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、及び特に好ましくは100%であり得る。
【0013】
部分領域に白金が存在する場合、白金割合が、部材にある触媒被覆の部分領域で、被覆の当該部分領域にある触媒作用を有する全物質の全質量の50%未満、より好ましくは30%未満、及び極めて特に好ましくは20%未満、若しくは特に好ましくは10%未満であることが意図されている。特別な態様において白金含分は、部分領域にある触媒作用を有する全物質の全質量の5%未満、好ましくは3%未満、及び特に好ましくは1%未満であり、その下限は0%である。
【0014】
本発明の意味合いにおいて触媒作用を有する物質とは、活性金属、すなわちVB、VIB、VIIB、VIII、IB、及びIIBの属の遷移金属と理解され、とりわけまた、触媒被覆の構成要素として、それぞれ触媒空間1Lあたり0.1〜500g、好ましくは0.2〜200g、及び特に好ましくは0.5〜100gの範囲から選択される活性金属濃度において350℃の温度で、体積濃度が1000ppmC1のエンジン排ガス中にあるディーゼル燃料の蒸発から生じる炭化水素混合物を、少なくとも主に二酸化炭素及び水に酸化できる貴金属と理解される。触媒作用を有する物質、若しくは活性金属は、元素の形で、及び/又は化合物の形で、とりわけ酸化物の形で存在し得る。
【0015】
始めに述べた触媒作用を有する物質、若しくは活性金属に加えて、処理装置の触媒被覆は更なる成分を含有することができ、それは例えば触媒作用を有する物質若しくは活性金属を微細に分布させる成分、及び一般的にその作用機構を補強する成分、又はその作用機構をそもそも初めて可能にする成分である。これらの成分に該当するのはとりわけ、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、又は希土類金属の純粋な酸化物又は混合酸化物であり、ここでとりわけアルカリ金属元素、若しくはアルカリ土類金属元素、ハロゲン化物及び/又は硫黄化合物若しくはリン化合物を添加することにより、これらの特性、例えば酸度をさらに変性させることができる。その他の添加物も、原則的に可能である。さらに吸蔵成分、例えばゼオライト、及び/又はセリウム/ジルコニウムの混合酸化物がしばしば用いられる(「Autoabgaskatalysatoren」、Hagelueken et. al.著、expert Verlag刊、第2版、2005)。
【0016】
触媒作用を有する物質はたいてい、これらのさらなる成分に、又はこれらの成分の選択的な部分に配置されている。貴金属、例えば白金又はパラジウムは、主に小さな粒子の形で存在し、その直径は0.1〜100nmの範囲、好ましくは0.2〜50nmの範囲、さらに好ましくは0.5〜25nmの範囲である。
【0017】
触媒被覆は全体で、表面積が広い高多孔質の構造を形成する。BET表面積は通常、1〜300m2/gの範囲、好ましくは50〜200m2/gの範囲、特に好ましくは80〜160m2/gの範囲である;細孔体積は、0.1〜2g/Lの範囲、好ましくは0.2〜1.5g/Lの範囲、特に好ましくは0.25〜1g/Lの範囲にある。
【0018】
触媒被覆は、一般的に泥状(Schlicker)(「Autoabgaskatalysatoren」、Hagelueken et. al.著、expert Verlag刊、第2版、2005)の形で、被覆すべき部材に一段階又は多段階で塗布される。それぞれの場合において、溶液又は気相法も使用できる。セラミック又は金属製の基材はしばしば、ハニカム体、又は他の構造体(例えば発泡体、波形板、若しくはフリース)の形で被覆されるが、原則的には平滑な部材、例えばパイプの内壁も被覆できる。これらの基材は、単純な配管用基材(Durchflusssubstrate)であってもよいが、またフィルター機能を有する基材(その中で濾過すべき媒体が、例えば多孔質セラミック壁、又は金属フリースを通るもの)であってもよい。
【0019】
触媒被覆の機能は、供給された酸化可能な成分、とりわけ炭化水素(HC)を、供給流ガス中で可能な限り充分に二酸化炭素及び水へと変換し、その際に熱を生成させることにある。供給流ガスに由来するこれらの成分の一部は、中間段階において、吸着された形、又は液体の形で被覆に蓄えることができるが、ここで特に機能的な被覆の特徴は、その機能性がこのような貯蔵効果によって、僅かにしか損なわれないことである。適用時において、特に機能的な触媒被覆は、排出部における僅かな炭化水素濃度によって、及び放射状の温度逸脱が、特に処理装置の温度上昇用部分領域の入口領域で僅かであることによって特徴付けられ、ここでこれらの特性は、典型的には約10分〜20分の完全な再生インターバルによって、できる限り一定に保つことができる。
【0020】
触媒被覆は好適には、部材体積若しくは基材体積1Lあたり、5〜300g、好適には10〜150g、及び特に好適には20〜130gの範囲の量で施与する。この被覆は好適には、層厚が5〜200μmの範囲、好適には10〜100μの範囲、特に好適には20〜60μmの範囲である。活性成分として貴金属を用いる場合、部材体積若しくは基材体積に対して全金属質量は、好適には0.1〜10g/Lの範囲であり、非貴金属の活性金属、若しくは触媒活性を有する物質は、明らかにより多くの負荷量を有することがあり得、極端な場合には全被覆を占めることがある。
【0021】
とりわけ、処理装置の部分領域の触媒被覆でパラジウムを用いる場合、触媒作用を有する物質の白金割合は、下限で0%であり得る。このことは本発明の時点で、決して予測できなかったことである。炭化水素を酸化可能な触媒ではしばしば、高価な白金の割合が高い。
【0022】
白金不含な被覆の利点は、以下の通りである:
・パラジウムの価格は、長期的な平均値で見て、白金の価格よりも明らかに低く、非貴金属は、コスト的にさらに明らかに有利である。
・NO2放出量が非常に僅かなシステムが実現できる(NO2には毒性があり、その放出は規制されている。坑道内稼働、及び内部空間では、NO2を発生させるシステムは、許されない)。
・パラジウムの硫黄敏感性が知られているにも拘わらず、意外なことに、白金含有被覆と比べて、硫黄許容性が高まった。パラジウム及び非貴金属の活性金属は、白金と比べて、SO2からSO3への酸化に対する作用が明らかにより低く、多分これに相応して、硫黄による触媒被毒と直接的に関連する硫酸塩がより僅かな量でしか形成されないと考えられる。
【0023】
排ガス温度の上昇は好ましくは、いわゆるディーゼル酸化触媒によってもたらされる。これは、工程排ガス温度を上昇させる処理装置にある部材の触媒被覆の部分領域が、このようなディーゼル酸化触媒の一部であるか、又はその全体がディーゼル酸化触媒であるということである。しかしながら排ガス温度の上昇はまた、特別な実施態様において、再生式フィルターのみで行うことができる。極端な場合、ディーゼル酸化触媒はそもそも全く必要ではなく、炭化水素混合物を直接、触媒で被覆された粒子フィルター(この場合、当該フィルターは、工程排ガス温度を高める処理装置にある、触媒で被覆された唯一の部材である)へと導く。この場合にはもちろん、フィルターへの導入後に可能な限り早く、再生に充分な温度にすることが望まれる。
【0024】
工程排ガス温度を高める触媒被覆部材は、触媒基材又は粒子フィルターであり得るが、これらはそれぞれ一様に、又は領域により異なって被覆されていてよい。重なり合って存在する1つ又は複数の触媒活性層を用いる被覆的解決法も考えられる。本発明の範囲では、例えばディーゼル酸化触媒、又は他の課題も担うことができるその他の触媒を触媒被覆とともに自立性部材として構成及び構築(verbauen)することができ、又はディーゼル酸化触媒を、触媒被覆とともに、最終的には粒子フィルターに組み込むことができる。もちろんまた、記載した構成の双方を組み合わせた解決法も、本発明の範囲で可能であり、また企図されている。
【0025】
本発明のさらなる態様では、処理装置の部分領域が、好ましくは工程排ガス温度を高める触媒被覆部材全体、又はこのような1つの部材の一部、又はこのような複数の部材の一部を含む。つまりあらゆる部材は、様々な特性を有する複数の部分領域を有することができ、これらの部分領域のうち1つの部分領域が、先に記載した特性を有する。この部分領域は、必ずしも各部材の最初の部分である必要はないが、少なくとも流れ方向で、このような部材(特に粒子フィルター)の領域的な被覆の前方部であるのが望ましい。
【0026】
少なくとも部分的な蒸発のための、及びクラック反応及び/又は部分酸化により炭化水素に化学変化をもたらすための導入装置は、さらなる構成において、燃料及び空気用の供給装置を備えるバーナーと、炭化水素用注入装置を備える排ガス導管とを備える配置構成であり、当該配置構成は、排ガス管への導入箇所で合流している(図2)。注入された炭化水素は、液体燃料の形で存在し、当該液体燃料は好ましくは、バーナーの供給装置により注入されたのと同じ燃料(例えばディーゼル燃料)である。バーナー稼働のため基本的には、気体燃料、例えば天然ガスも使用できる。注入装置によってさらなる燃料を別個に導入することによって、従来技術と異なり、工程に例えば必要とされる燃料の量を、バーナーの供給装置によってまとめて供給しなくてすみ、バーナーの下流で全体で必要となる燃料の部分量を「二次燃料量」として供給できるという利点が得られる。その後、この二次燃料量は、最終的に完全に制御して処理するか、かつ/又は燃焼させる。対応する稼働法の特徴は基本的に、排ガス管へと注入される燃料量を蒸発させるために充分なエネルギー量をもたらすことによって下限が規定されている熱出力を、バーナーが提供することである。この構成、若しくは排ガス後処理システムを稼働させるためのこの方法は、結果的に、従来の排ガス後処理システムよりも明らかにコスト的に有利に実現可能である。
【0027】
本発明のさらなる構成では、排ガス導管(4)にある注入装置(5)の合流部(11)が、噴霧ノズルを、とりわけ圧力噴霧ノズル若しくは空気流噴霧ノズルを有する。圧力噴霧ノズルによって液体燃料は、燃料の圧力のみによって噴霧される。注入装置はまた代替的に、空気流噴霧ノズルとして構成されていてもよい。ここで空気流噴霧ノズルは、燃料が僅かな量の空気とともに排ガス導管に導入されるように稼働させる。通常稼働の場合、空気流噴霧ノズルには例えば、20L/分の空気、及び2cm3/分の燃料が、点火可能な燃料と空気の混合物を用意するために必要となる一方、本発明により稼働される空気流噴霧ノズルでは、20L/分の空気、及び最大で100cm3/分の燃料が噴霧される。このようにリッチな燃料と空気の混合物は、このままでは点火し得ない。
【0028】
さらなる構成では、注入装置の合流部の領域にある排ガス導管に、ベンチュリ装置が配置されている。この装置により、連続して現れる排ガス及び蒸発した燃料の部分流が、迅速に混合される。
【0029】
本発明のさらなる実施態様では、燃焼チャンバを有するバーナー、排ガス導管、及び注入装置がジャケット内に組み込まれており、かつ前記ジャケットが、排ガス管に適合されている。これにより、様々な排ガス管に取り付け可能な部材ユニットが提供される。ここでこのジャケットは、理想的な場合には、当該ジャケットが内燃機関への適用時に、好ましくは内燃機関に近く、例えば排ガス集合管の真後ろ、又は内燃機関の排ガスターボの真後ろで、排ガスシステムに取り付け可能なように構成されていてよい。
【0030】
さらなる態様では、少なくとも1つの排出部を有する排ガス導管が、排ガス管の中に延伸している。これにより、一緒に現れるガス流の良好な混合が保証される。このため、排ガス導管は好ましくは排ガス管に同心状に通じており、これにより排ガス導管からの排出部が、工程排ガス流の流れ方向で、つまり例えば内燃機関排ガス流の流れ方向で配置されている。これによって、工程排ガスの流速が向上し、これにより、バーナー排ガス及び蒸発した燃料と、工程排ガスとのガス混合物が迅速に完全混合される。これによって、工程排ガスが酸素を含有している場合でも、ガス混合物の発火が防止できる。導入部の領域における化学反応の発現をさらに防止するために、これを補助する適切な補助手段が企図されていてよい。このような補助手段としてあり得るのは例えば、排ガス導管の排出部前に配置されているプレート又は円錐であり、ここで円錐の頂点は、排ガス導管の排出部に向けて調整されている。また、排出部の領域における流速をさらに向上させるため、付加的に又は代替的に、排ガス管内に例えばベンチュリ装置又はベンチュリノズルの形で、流量減少部を備えることが企図されている。言い換えると、蒸発した燃料で処理されるバーナー排ガスと、工程排ガスとの起こり得る反応を、抑制するのが望ましい。
【0031】
本発明のさらなる態様では、工程排ガスを通すガス誘導装置が、排ガス導管に合流している。これを通じて、バーナー排ガス及び蒸発した燃料に、工程排ガスが供給される。これによってバーナー排ガス(流れ方向で供給する場合には、注入装置)が制御しながら冷却され、注入された燃料を蒸発させるためになお充分な出力を提供しつつも、その発火は防止される。この供給はまた、供給装置の領域で、又は流れ方向でその後方で行うことができる。記載の補助手段を適切に選択することにより、燃料とバーナー排ガス及び/又は工程排ガスとの化学反応は、必要に応じてもたらされるか、又は防止される。特に、注入装置の領域で温度に影響を与えることにより、注入された燃料とバーナー排ガスとの反応によって適切に、後続のディーゼル酸化触媒で望ましい反応を補助する物質を生成することができる。
【0032】
先に記載した構成態様は、以下で記載する、本発明による稼働方法のさらなる構成を変更するために、有意義に使用される。
【0033】
本発明による内燃機関用排ガス後処理システムを稼働させるための方法において、注入された炭化水素は、装置内で少なくとも部分的に蒸発し、かつクラック反応及び/又は部分酸化により化学変化し、ここでバーナー(2)が前記装置の構成要素として、熱的な定格出力を有し、その出力の下限は、注入装置(5)によって前記バーナー(2)の排ガス導管(4)に導入される炭化水素の量を蒸発させるために充分なエネルギー量をもたらすことによって規定されている。
【0034】
触媒作用を有する被覆は好ましくは、酸化作用を有する処理装置の少なくとも部分領域に配置されており、ここで白金割合は、少なくとも部材の触媒被覆の部分領域で、被覆の当該部分領域にある触媒作用を有する全物質の全質量の50%未満である。前記バーナー(2)はさらに好ましくは、さらに工程排ガスを規定の温度へと加熱する熱出力をもたらす。
【0035】
よって前記バーナーは、0.75〜1.75のλ範囲、好ましくは0.9〜1.1のλ範囲で稼働できる。前記バーナーはさらに、約1〜25%、好適には2〜20%、及び特に好ましくは2.5〜15%に相当する出力範囲で使用可能なように設置されている。本発明の目的の1つは、前記バーナーをできる限り僅かな出力で稼働させることである。なぜならば、そうすれば(燃焼)空気を供給するために特に必要となる空気輸送装置が、比較的容易に構成可能だからである。
【0036】
さらに、一般的な形での本発明による方法によって、注入された燃料を(場合により工程排ガスの部分量を直接添加しながら)、バーナー排ガスによって蒸発させ、バーナー排ガス及び工程排ガスの全量と一緒に、排ガス後処理装置に誘導し、その場所で企図した反応を引き起こす。ここで、注入された燃料は、バーナー排ガス及び工程排ガスと一緒に、排ガス管を介して触媒に、とりわけディーゼル酸化触媒に、及び後続の粒子フィルターに供給され、その触媒(ディーゼル酸化触媒)で、かつ/又は場合により触媒で被覆された更なる粒子フィルターで酸化される。この構成の特別な利点は、前記酸化反応が触媒(ディーゼル酸化触媒)で初めて行われ、これによりここで初めて粒子フィルターの再生に必要な温度が生じることである。もし仮に、注入された燃料を既に排ガス導管への導入箇所で点火すれば、これにより排ガスシステム全体の熱負荷がより高くなり、相当な熱損失をより多量の燃料によって補わなければならないだろう。
【0037】
提案したシステムの相応する利点は、蒸発及び/又は化学変性によって変化した炭化水素が、触媒(ディーゼル酸化触媒)で、若しくは被覆された粒子フィルターで、又はこれらの組み合わせで、従来のシステムの反応とは少なくとも一部異なる化学反応を引き起こすことである。これが、本発明によって白金をパラジウムで置き換えることができる理由である。
【0038】
触媒(ディーゼル酸化触媒)で、若しくは被覆された粒子フィルターで、又はこれらの組み合わせで、注入された燃料の酸化により、例えば最大650℃という、粒子フィルターの再生に必要な温度が生じる。本方法のさらなる構成では、注入された燃料量の部分量を、熱を放出させながら、排ガス導管の内部で、及び/又は工程排ガスとの共通導入箇所の内部で、酸化する。
【0039】
これによって熱出力全体が、最小に調整されたバーナー出力で、触媒(ディーゼル酸化触媒)、若しくは被覆された粒子フィルター、又はこれらの組み合わせが安全に運転可能な限りにおいて、高めることができる。その活性を開始させるため、つまり導入された蒸発燃料の触媒反応を開始させるためには、触媒(ディーゼル酸化触媒)若しくは被覆された粒子フィルター、又はこれらの組み合わせは、規定の最小温度、例えば300℃に達しなければならない。この温度は、バーナー出力と、燃焼した部分量により生成する出力との合計によって達成される。
【0040】
さらなる構成において、注入された燃料量の酸化された部分量は、注入された燃料量全体とは無関係に、少なくともほぼ一定に保たれる。ここでさらに、部分変換された燃料量の限界量を超えた後に、部分反応を終了させ、燃料全体を蒸発させることが企図されている。これらの様々な作用は、バーナーでの燃料空気比を厳格に制御することによって、及び/又は空気流噴霧ノズルを用いる場合に供給される噴霧空気の量を空気流噴霧ノズルに対して厳格に制御することによって、達成される。さらなる影響要素は、注入装置合流部の結合箇所、及び工程排ガスの部分量の供給部(バーナー排ガスの冷却用、ひいては蒸発液体用)であり、同様に供給箇所も考慮される。
【0041】
本発明の有利なさらなる構成は、図面の記載から読み取ることができ、そこには、図面で表された本発明の実施例について、より詳細に記載されている。
【0042】
図1は、内燃機関用排ガス後処理システム全体の構成を概略的に示す。
【0043】
図2は、排ガス管と相互作用をもたらす蒸発装置の第一態様を示す。
【0044】
図3は、排ガス管と相互作用をもたらす蒸発装置の第二態様を示す。
【0045】
図4は、排ガス管と相互作用をもたらす蒸発装置の第三態様を示す。
【0046】
図1に示されたシステムは内燃機関17を有し、当該内燃機関は、とりわけディーゼル内燃機関である。内燃機関17には、ディーゼル燃料及び空気が供給され、これらが図に示された4つのシリンダー内で燃焼し、これらによって、シリンダー内で動くピストン及び連接棒の前方へと、クランクシャフトが回転運動する。シリンダー18内で燃焼する排ガスは、集合管19によって排ガス管6内に誘導される。排ガス管6内に、バーナー2の排ガス導管4が延伸しており、ここで排ガス導管4内には、注入装置5が延伸している。バーナー2には、以下でさらにまとめて説明するように、燃料及び空気が供給される一方で、注入装置5によって液体燃料が排ガス導管4内に注入される。バーナー2、注入装置5、及び排ガス導管4から成るこのシステムは、以降、蒸発装置と呼ぶ。排ガス管6内には、排ガス導管4の合流部の下流で、ディーゼル酸化触媒15、及び粒子フィルター16が組み込まれている。粒子フィルター16で、とりわけ内燃機関17の工程排ガスからフィルター除去されたスス粒子は、排ガス後処理システムで発生する熱によって燃焼する。
【0047】
図2〜4に記載の蒸発装置は、すべての実施態様でジャケット1を有し、当該ジャケットの中には、バーナー2、燃焼チャンバ3、排ガス導管4、及び液体燃料用の注入装置5が組み込まれている。ここでジャケット1は、すべての実施態様の場合で同様に、排ガス管6と接続しており、これによって排出部7を有する排ガス導管4は同心状に排ガス管6内に導入されており、かつ当該排出部7は、排ガス管6を通じて流れる工程排ガスの流れ方向に配置されている。
【0048】
前記バーナー2は、気体状若しくは液体状の燃料用供給装置8a、並びに空気用供給装置8bを有する。燃料及び空気は、適切な方法で相互に混合され、例えば空気噴射ノズル9によって燃料チャンバ3に導入され、この混合物が燃焼チャンバ3内で燃焼する。このために前記混合物は、バーナー2、及び/又は燃焼チャンバ3で適切な方法で点火される。熱損失を僅かに保つため、燃焼チャンバ3は、できるかぎり充分に遮断してジャケット1内に設置する。燃焼チャンバ3は、排出開口部10を有し、この開口部を通じて燃焼排ガスは排ガス導管4内に入り、排ガス導管4に沿って排出部7まで流れ、その場所で排ガス管6内に流れる工程排ガス(=内燃機関排ガス)と混合される。燃料と空気からの混合物は、排出開口部10の領域で、燃焼チャンバ3から酸化反応が充分に排除されるように、その結果、加熱された排ガス流が排ガス導管4内へと流れ込むように調整する。合流部11を有する注入装置5は、好適には排ガス導管4と同心状に、排ガス導管4内に合流している。合流部11の箇所には、噴霧ノズルが配置されており、このノズルによって、注入装置5により供給される液体燃料が微細に噴霧される。従って、こうして導入された燃料は加熱され、蒸発する。合流部11の領域には、ベンチュリ装置12aが、排ガス導管4内に設置されている。ベンチュリ装置12aは、蒸発液体と排ガスとのさらなる混合をもたらす。排出部7の領域には、クエンチ装置13が配置されており、このクエンチ装置は、実施例においては衝突板(Prallplatte)として構成されており、排出部7から流出する、蒸発した蒸発液体と混合された排ガスと、工程排ガスとの完全混合をもたらすものである。クエンチ装置13はまた、ここで生じる混合物全体の発火を防止するためにも用いることができる。工程排ガス流の流速向上のために、排出部7の領域に、若しくはクエンチ装置13の領域に、ベンチュリ装置12bが、排ガス管6内に組み込まれている。
【0049】
記載されたように形成された混合物全体は、それから排ガス後処理装置に供給され、当該装置は、窒素酸化物を選択的に触媒して還元する触媒、及び/又はNO吸蔵触媒、及び/又はディーゼル酸化触媒15、及び粒子フィルター16を有するものである。
【0050】
図3に記載の態様は、図1に記載の態様と以下の点で異なる。この図3ではさらに、ベンチュリ装置12aの領域に、ガス誘導装置14が、排ガス導管4の円周部に配置され、かつベンチュリ装置12aのほぼ中心で合流している複数の穿孔の形で配置されている。ガス誘導装置14を通じて、排ガス導管4へと、工程排ガスの部分量が導入される。その他には、この態様において合流部11の領域でベンチュリ装置12bは組み込まれていない。
【0051】
図4に記載の態様が、図2の態様と異なるのは、図4ではガス誘導装置14が、ベンチュリ装置12aの下流領域で排ガス導管4に追加されている点である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】内燃機関用排ガス後処理システム全体の構成を概略的に示す。
【図2】排ガス管と相互作用をもたらす蒸発装置の第一態様を示す。
【図3】排ガス管と相互作用をもたらす蒸発装置の第二態様を示す。
【図4】排ガス管と相互作用をもたらす蒸発装置の第三態様を示す。
【0053】
実施例
触媒A(本発明によるもの):
コーディエライト基材上にPdを60g/ft3有するディーゼル酸化触媒(DOC)、寸法はD9.5"×L4.5"、セル密度300cpsi、壁厚5ミル(mil)。この触媒は、酸化アルミニウム(BET比表面積160m2/g)を硝酸パラジウム溶液で含浸し、この含浸した酸化物を130g/Lの負荷量で基材に施与し、引き続き乾燥及び温度処理して製造した。この触媒は、それから16時間、700℃で、炉内で空気中でエージングした。
【0054】
触媒B(本発明によるもの):
コーディエライト上にPdを全部で25g/ft3有する、触媒で被覆されたフィルター(CDPF)、寸法はD9.5"×L12"、セル密度200cpsi、壁厚は12ミル。パラジウム含分は、入口から出発して5ツォルの領域で、46g/ft3であり、残りの領域では10g/ft3である。
【0055】
触媒C(本発明によるもの):
コーディエライト基材上にPt:Pdを1:4(質量割合)で40g/ft3有するDOC、寸法はD9.5"×L4.5"、セル密度300cpsi、壁厚は5ミル。この触媒は、アルモシリケート(BET比表面積150m2/g、SiO2は5%)を硝酸パラジウム溶液及び硝酸白金溶液で含浸し、この含浸した酸化物を130g/Lの負荷量で基材に施与し、引き続き乾燥及び温度処理して製造した。この触媒は、それから16時間、700℃で、炉内で空気中でエージングした。
【0056】
触媒D(本発明によるもの):
コーディエライト基材上にPt:Pdを1:2(質量割合)で30g/ft3有するDOC、寸法はD9.5"×L4.5"、セル密度300cpsi、壁厚は5ミル。この触媒は、アルモシリケート(BET比表面積150m2/g、SiO2は5%)を硝酸パラジウム溶液及び硝酸白金溶液で含浸し、この含浸した酸化物を130g/Lの負荷量で基材に施与し、引き続き乾燥及び温度処理して製造した。この触媒は、それから16時間、700℃で、炉内で空気中でエージングした。
【0057】
触媒E(本発明によらないもの):
コーディエライト基材上にPt:Pdを2:1(質量割合)で30g/ft3有するDOC、寸法はD9.5"×L4.5"、セル密度300cpsi、壁厚は5ミル。この触媒は、アルモシリケート(BET比表面積150m2/g、SiO2は5%)を硝酸パラジウム溶液及び硝酸白金溶液で含浸し、この含浸した酸化物を130g/Lの負荷量で基材に施与し、引き続き乾燥及び温度処理して製造した。この触媒は、それから16時間、700℃で、炉内で空気中でエージングした。
【0058】
システム構築:
エンジン:Deutz社のTier III式TCD 2012 L06-4
バーナー:熱出力10kW(ディーゼル燃料供給)、バーナー火炎への二次ディーゼル注入部付き。
【0059】
前記触媒はそれぞれ、10個の熱素子T5.1i〜T5.10i、若しくはT5.1o〜T5.10oを、触媒の入口側及び出口側からの深さ1ツォルで備えていた。
【0060】
試験の実施:
触媒システムを30分間、完全負荷に環境調整した後、所望のエンジン稼働点(EOP)に調整し、出力10kWでバーナーのスイッチを入れる。排ガス質量流MFRが得られる。DOC入口の温度を目標値のT5.0にした後、バーナーの炎の中に二次ディーゼル燃料を、断熱条件における完全燃焼で650℃という目的温度に達する量で注入する。この注入は、8分間にわたって一定に保ち、それから再び停止した。この温度は、触媒の前、触媒の後、及び触媒で記録され、またHC量は触媒の後(HC_out)で記録される。引き続き、新たなエンジン稼働点が、バーナーのスイッチが入ると始まる。DOC入口温度が安定化した後、再度適切なディーゼル燃料量がバーナーの炎に注入され、測定が行われる。このことが、あらゆる別の稼働点について繰り返される。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
相対的なコストは、5年間にわたって平均化した約4という白金対パラジウムの価格比を基準にして算出した。触媒Bは、比較可能なものではない。と言うのも、ここではフィルター機能が一緒に組み込まれているからである。
【0064】
白金割合が減少するにつれて、炭化水素のスリップ(Schiupf)(HC_out)が減少し、触媒の入口領域での温度の平均値(ΦT5.xi)は増大することがわかる。このために、各温度素子の測定値を、再生サイクルの最後の20秒にわたって平均化し、そこから再度全体の平均値を出した。再生サイクルの最後の20秒におけるこの温度測定箇所の標準偏差(σT5.xi)は、白金が少ない触媒ではより小さく、このことは均一な燃焼を示している。この観察は、低い入口温度T5.0についての特別な基準にも当てはまる。
【0065】
本発明による触媒単独で、本発明によらない変法と比較して同等若しくはより僅かなコストで、満足のいく性能が示される。
【0066】
触媒Bは、組み込まれたフィルター機能が原因で明らかに負荷量が低下しており、特別な位置を占めている。より僅かな負荷量、並びにより高い熱量、及びフィルター基材のより僅かな表面積により、監視された入口領域においては、燃焼がより早く始動し、不均一に進行する。このため入口で得られた平均温度ΦT5.xiは、比較例に比べて明らかに低下し、その標準偏差もより高い。しかしながら、600℃若しくは650℃という目的温度は、フィルターの前方部で達成される。
【0067】
さらに激しいエージングにおける別の試験によれば(16時間、800℃で、N280%/O210%/H2O10%)、この区別はさらに激しく起こる。
【符号の説明】
【0068】
1 ジャケット、 2 バーナー、 3 燃焼チャンバ、 4 排ガス導管、 5 注入装置、 6 排ガス管、 7 排出部、 8a、8b 供給装置、 9 空気流噴霧ノズル、 10 排出開口部、 11 合流部、 12a、12b ベンチュリ装置、 13 クエンチ装置、 14 ガス誘導装置、 15 ディーゼル酸化触媒、 16 粒子フィルター、 17 内燃機関、 18 シリンダー、 19 集合管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用排ガス後処理システムであって、
内燃機関の工程排ガスが通る排ガス管に炭化水素を導入するための装置(ここで当該炭化水素は、前記装置の中で少なくとも部分的に蒸発し、かつクラック反応によって、及び/又は部分酸化によって化学変化する)と、
工程排ガスによって導入箇所の下流へと貫流される、一部が蒸発し、クラック反応によって及び/又は部分酸化によって化学的に変化した、前記導入された炭化水素を酸化することによって工程排ガス温度を高める処理装置と、
を有する前記排ガス後処理システムにおいて、
少なくとも部分的に蒸発させるため、またクラック反応により、及び/又は部分酸化により炭化水素に化学変化を起こすための前記装置が、燃料及び空気用の供給装置を備えるバーナー(2)と、燃焼チャンバ(3)と、炭化水素用注入装置(5)を備える排ガス導管(4)とを有する配置構成であり、当該導管(4)は、排ガス管(6)への導入箇所で合流しており、
工程排ガス温度を高める前記処理装置は、触媒により被覆された部材を有し、
ここで白金の割合が、少なくとも前記部材の触媒被覆の部分領域で、前記被覆の当該部分領域にある触媒作用を有する全物質の全質量の50%未満であり、
ここで触媒により被覆された前記部材は、触媒基材又は粒子フィルターであり、当該触媒基材又は粒子フィルターは、それぞれ一様に、又は領域により異なって被覆されていてよい、
ことを特徴とする、前記排ガス後処理システム。
【請求項2】
前記処理装置の前記部材にある触媒被覆の部分領域が、工程排ガス温度を高める処理装置の部材における触媒被覆の全質量の少なくとも20%であることを特徴とする、請求項1に記載の排ガス後処理システム。
【請求項3】
前記部分領域の触媒被覆が、全貴金属質量が部材体積若しくは基材体積に対して0.1〜10g/Lの範囲の貴金属を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の排ガス後処理システム。
【請求項4】
貴金属の割合が、前記処理装置の部分領域にある触媒作用を有する全物質の全質量に対して、10%超であることを特徴とする、請求項3に記載の排ガス後処理システム。
【請求項5】
前記部分領域の触媒被覆のパラジウム割合が、前記処理装置の部分領域にある全貴金属の全質量の少なくとも50%であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の排ガス後処理システム。
【請求項6】
前記部分領域にある触媒被覆の白金含分が、前記処理装置の部分領域にある触媒作用を有する全物質の全質量の1%未満であることを特徴とする、請求項3、4、又は5に記載の排ガス後処理システム。
【請求項7】
前記部分領域が、工程排ガス温度を高める触媒被覆部材の全部、又は工程排ガス温度を高める1つの触媒被覆部材の一部、若しくは工程排ガス温度を高める複数の触媒被覆部材の一部を含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項8】
前記部分領域が、流れ方向で、工程排ガス温度を高める触媒被覆部材の領域的な被覆の前方部であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項9】
前記排ガス導管(4)中にある前記注入装置(5)の合流部(11)が特に、噴霧ノズル、特に圧力噴霧ノズル又は空気流噴霧ノズルを有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項10】
前記注入装置(5)の合流部(11)の領域にある前記排ガス導管(4)に、ベンチュリ装置(12a、12b)が配置されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項11】
前記バーナー(2)、前記排ガス導管(4)、及び前記注入装置(5)が、ジャケット(1)内に組み込まれており、当該ジャケット(1)が排ガス管(6)に適合されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項12】
排出部(7)を有する前記排ガス導管(4)が、前記排ガス管(6)内に延伸していることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項13】
前記排ガス導管(4)が、前記排ガス管(6)内へと同心状に通じており、これにより前記排ガス導管(4)からの前記排出部(7)が、工程排ガス流の流れ方向に配置されていることを特徴とする、請求項12に記載の排ガス後処理システム。
【請求項14】
前記排出部(7)の領域にクエンチ装置(13)、及び/又はベンチュリ装置が存在していることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項15】
工程排ガスを通すガス誘導装置(14)が、好適には前記導入装置の合流部(11)の上流で、前記排ガス導管(4)に合流していることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の内燃機関用排ガス後処理システムの稼働方法において、
炭化水素が前記装置内で少なくとも部分的に蒸発し、またクラック反応によって、及び/又は部分酸化によって化学変化し、かつバーナー(2)が前記装置の構成要素として、定格熱出力を有し、当該出力の下限が、注入装置(5)により前記バーナー(2)の排ガス導管(4)に導入される炭化水素の量を蒸発させるために充分なエネルギー量をもたらすことによって規定されていることを特徴とする、前記稼働方法。
【請求項17】
触媒作用を有する被覆が、酸化作用をもたらす処理装置の少なくとも部分領域に配置されており、かつ白金の割合が、少なくとも部材の触媒被覆の部分領域で、前記被覆の当該部分領域にある触媒作用を有する全物質の全質量の50%未満であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記バーナー(2)がさらに、工程排ガスを規定の温度に加熱する熱出力をもたらすことを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−528974(P2012−528974A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513497(P2012−513497)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003260
【国際公開番号】WO2010/139429
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【出願人】(511291038)ドイツ アクチエンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】DEUTZ Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Ottostrasse 1, D−51149 Koeln, Germany
【Fターム(参考)】