説明

排気ターボチャージャーのタービンケーシング

本発明は、排気ターボチャージャー(62)のタービンケーシング(1)であって、渦巻き部(3)に隣接した入口接続部(2)を有し、かつ出口接続部(4)を有しており、入口接続部(2)、渦巻き部(3)、および/または出口接続部(4)への熱の流入を低減する断熱装置(5)を特徴とする、タービンケーシングに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段にかかわる、排気ターボチャージャーのタービンケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのタービンケーシングは、独国特許出願公開第102008011257A1号から公知である。このタービンケーシングの場合、シェル要素が、クーラントが導入される空洞部を形成するためにタービンケーシングの外部に固定されている。
【0003】
このタイプのクーラント装置は、独国特許出願公開第102008011257A1号明細書の情報によると、他のデザインと比較して、タービンケーシングの重量の僅かな増加でデザインを単純にすることを可能にしているが、それでもなお、タービンケーシング内への熱の流入を低減できないという問題が残ったままであり、むしろ、クーラント装置によって緩和され得るのはこの入熱の負の影響だけである。特に自動車に使用される場合、冷却タービンケーシングに、比較的大きな取り付けスペースがどうしても必要であるため、排気ターボチャージャーの総重量が増加するというさらなる問題が残ったままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、請求項1の前段に規定されているタイプのタービンケーシングであって、高温の排気ガス、特に、タービン入口およびタービン出口の領域ならびにウエストゲート導管の領域でも、特に、高速で流れる高温の排気ガスと直接接触するタービンケーシング内の表面を減少させることを可能にした、タービンケーシングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0006】
本発明の基本概念は、特に鋳造アルミニウム製タービンケーシングの場合、冷却対策にかかる費用を少なくとも最小限にできるように過度の入熱を最初から防止することである。
【0007】
これは、導入部で述べた重量と取り付けスペースに関する問題が、特に水冷式の冷却タービンケーシングの場合でさえも存在し、これらの問題が、主に自動車分野でのこのようなケーシングの使用を困難にするためである。しかしながら、タービンケーシング内、特にタービンケーシングの上述の領域内への熱の流入が、最初から防止されれば、たとえ冷却が必要であったとしても、このようなケーシングを主に自動車分野で使用できるようにするために冷却にかかる費用を、最小限にすることが可能となる。
【0008】
独立請求項は、本発明の有利な展開形態を記載している。
【0009】
したがって、本発明によるタービンケーシングの断熱装置は、好ましくは高温耐熱材料から形成できるスリーブまたは断熱スリーブを備えることができる。具体的には、このスリーブは、タービンケーシング内の入口領域、特に入口接続部、および出口領域、特に出口接続部に取り付けることができる。このために、スリーブは、ボルトまたはねじ接続によって固定することができる。あるいは、スリーブは、既存のフランジ間にサンドイッチ構造で押し込む、嵌め込む、または取り付けることができる。ここでは、スリーブは、タービンケーシングに1つ以上の狭い面積接触部、すなわち支持点を有することができ、または入口フランジまたは出口フランジの近傍のみに固定することができ、この場合、スリーブの残りの部分は、さらに支持されることなく、タービンケーシングの内壁に近接して延在する。スリーブは、いかなる場合も内壁に直接接触することはなく、これにより、間隙の形成が可能となる。
【0010】
この間隙が、さらなる断熱層として空気を含んでも良いし、または一例として、エアクッションを含む繊維マットを、さらなる断熱対策としてこの間隙に配設しても良い。
【0011】
さらに考えられる好ましい実施形態では、セラミックインレーをターボチャージャーの内壁、特に上記の領域に固定すること、またはこのようなインレーを嵌め込むことも可能である。
【0012】
本発明による断熱装置は、被覆を備えることも可能であり、この被覆は、例えば、内壁にスプレーされる、または他の方法で固定される。
【0013】
最後に、本発明によるタービンケーシングの断熱装置は、技術的に有用かつ実現可能な範囲で、上述の任意の個別の構成要素の組み合わせ、またはこれらの構成要素全ての組み合わせを含むことが可能である。
【0014】
さらに考えられる対策は、タービンケーシングの内壁近傍の流量を低減するために、この内壁から高温の排気ガスを遠ざけることであり、これは、排気ガスからケーシングへの熱の移動の減少に寄与する。
【0015】
このために、例えば、1つ以上のバッフルプレートをタービンケーシング内、特に、ウエストゲート開口に近接した領域およびタービンケーシングの渦巻き部に入る前の舌部の先端部における、入口領域および出口領域に設けることが可能である。
【0016】
さらなる代替として、本発明によるタービンケーシングの断熱装置は、タービンケーシングの完全に外部に延在するウエストゲージ装置を備えることができる。ここでは、ウエストゲート導管を排気マニホールドの領域で分岐させて、タービン出口の下流の排気管に接続することにより、ウエストゲートラインおよびウエストゲート弁の両方をタービンケーシングの外部に配設することが可能である。
【0017】
あるいは、ウエストゲートラインが入熱の大部分を占めるため、ウエストゲートラインのみをタービンケーシングの外部に配設し、ウエストゲート弁自体はタービンケーシング内に残すことも可能である。
【0018】
外部ウエストゲート弁を使用すると、このウエストゲート弁は、硬質ケーシング内に収容された非冷却ウエストゲート弁の形態、または適切な合金から形成されたケーシング内に収容された冷却ウエストゲート弁の形態とすることが可能である。本発明によると、2つの水冷ターボチャージャーおよび外部ウエストゲート弁(すなわち、タービンケーシングの外部に配設されたウエストゲート弁)を備えたエンジンの場合は、1つの弁を除外できるというさらなる利点がある。このような外部ウエストゲージ弁の配設は、タービンケーシング内への熱の流入を著しく低減できるのであれば有利である。
【0019】
本発明によるさらなる代替として、断熱装置は、鉄または鋼からなる、比較的高い温度に耐え得る舌部を備えることができる。この鋼または鉄製舌部は、ケーシング、特にアルミニウムからなるケーシング内に嵌め込む、またはボルトによってケーシング内に取り付けることができる。また、舌部をケーシング内に押し込む、または舌部を鋼または鉄製ブシュの一部としてデザインすることも可能である。また、舌部は、上記したように断熱インサートの一体部分として、またはこの断熱インサートに溶接された部品としてデザインすることも可能である。また、冷却が不十分となり得るタービンケーシングの全ての他の領域を、高い熱安定性を有する材料、特に鋼などから形成して、嵌め込み、ねじ止め、圧入、また他の適切な手段によってタービンケーシング内に導入することができる。
【0020】
さらなる代替として、断熱装置は、タービンケーシングに組み込まれたクーラントシステムを備えることが可能であり、クーラントシステムのクーラント入口は、タービン渦巻き部の最も低い位置に配設され、クーラントシステムのクーラント出口は、タービン渦巻き部の最も高い位置に配設される。この構成は、クーラント入口が常に、渦巻き部の最も低い位置にあり、クーラント出口が常に、渦巻き部の最も高い位置にあり、これにより加熱されて膨張したクーラントが底部から上方に流れることができ、熱サイフォン効果が起きるため、タービンケーシングの位置に左右されない。
【0021】
また、タービンケーシングと排気管システムとの間の接続フランジの領域に近接した非冷却ケーシング領域を過度の入熱から防護するために、環状クーラント導管を、この接続フランジの領域に近接したタービンケーシング出口に配設することも可能である。この対策は、タービンケーシング内への熱の流入を防止または最小限にするために、例えば、シールまたは他の熱遮断要素の形態のさらなる熱障壁と組み合わせることもでき、またはこれらのさらなる熱遮断要素単独で、この領域の断熱を行うこともできる。この対策は、断熱対策が採られていない場合、エンジンのスイッチが切られて、隣接する排気管システムを通るタービンケーシングの下流の入熱が非常に大きくなり得るときに特に有利である。
【0022】
最後に、冷却フィン装置を追加の断熱装置としてタービンケーシングの外部に設けることが可能であり、この場合、ターボチャージャーが装着されたときに気流をこれらの冷却フィンに強制的に偏向すること、および放熱特性に優れた材料を使用することが可能である。
【0023】
本発明による全ての上述の対策および断熱装置の可能なデザインは、いずれの場合も、別個に採用することができ、またはあらゆる考えられる技術的に有用な組み合わせで採用することもできる。
【0024】
本発明のさらなる詳細、利点、および特徴は、図を参照する以下の例示的な実施形態の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるタービンケーシングの第1の実施形態の模式的にやや簡易化した図を示している。
【図2】第2の実施形態の、図1に相当する図を示している。
【図3】第3の実施形態の、図2に相当する図を示している。
【図4】第4の実施形態による、本発明によるタービンケーシングを通る、模式的にやや簡易化した断面図を示している。
【図5】本発明によるタービンケーシングの第5の実施形態を通る断面図を示している。
【図6】本発明によるタービンケーシングの第6の実施形態の基本図を示している。
【図7】本発明によるタービンケーシングの第7の実施形態の模式的に簡易化した図を示している。
【図8】本発明によるタービンケーシングの第8の実施形態の斜視図を示している。
【図9】内燃機関に装着された本発明による排気ターボチャージャーの一部である、本発明によるタービンケーシングの第9の実施形態のブロック図を示している。
【図10】本発明による排気ターボチャージャーのさらなる実施形態の一部である、本発明によるタービンケーシングの第10の実施形態の図9に相当する図を示している。
【図11】本発明によるタービンケーシングのさらなる実施形態の斜視図を示している。
【図12】本発明によるタービンケーシングのさらなる実施形態の斜視図を示している。
【図13】図11および図12に示されている実施形態の一部の基本構成要素の斜視図を示している。
【図14】図11および図12に示されている実施形態の一部の基本構成要素の斜視図を示している。
【図15】本発明によるタービンケーシングのさらなる実施形態を通る断面図を示している。
【図16】タービンケーシングの入口領域における熱シールドの構成を説明するための模式的にやや簡易化した図を示している。
【図17】タービンケーシングの出口領域における熱シールドの構成を説明するための図16に相当する図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、入口接続部2および出口接続部4を有する本発明によるタービンケーシング1の第1の実施形態を示している。渦巻き部3が、入口接続部2と出口接続部4との間に位置している。図1はまた、ウエストゲート装置6および断熱装置5も示し、この断熱装置5は、入熱を低減するように構成され、この例では、入口接続部2の領域に配設されている。図1に示されている実施形態では、この断熱装置5は、この例では、図1の図から分かるようにやや円錐状のデザインで延在するスリーブすなわちインサート部品8の形態である。スリーブ8は、このスリーブ5の入口接続部2への固定を可能にする固定部9から、入口接続部2内の渦巻き部3内の移行領域内に突き出た自由端部9’まで延びている。この例では、スリーブ8は、この端部領域9’の近傍でビード10の形態のスペーサを備えているため、スリーブ5が、入口接続部2の内壁に支持されるのではなく、図1の選択された図によると、特に中心領域に見られる、参照符号7で示されている間隙、特に空隙を形成している。
【0027】
図示されている実施形態では、タービンケーシング1は、内部に冷却液を導入できる冷却ジャケット11も備えている。しかしながら、このタイプの冷却ジャケットは、必ずしも設ける必要はないが、主にアルミニウムケーシングの場合に設けられる。
【0028】
対応する特徴的要素全てに関して、図2に示されている実施形態には、図1と同じ参照符号が付されている。この実施形態では、断熱装置5は、同様にスリーブ12の形態であるが、出口接続部4に設けられている。同様に、スリーブ12は、出口接続部4の内壁と共に、間隙15、特に空隙を形成し、かつ固定部13を有し、スリーブ12が、ウエストゲート装置6のフランジを介して固定部13に固定される。
【0029】
スリーブ12の反対側の端部には、固定部14が設けられており、この固定部14により、前記スリーブを出口接続部4の出口開口の領域に固定することができる。
【0030】
図1および図2に示されている実施形態は、組み合わせてもよく、このような場合は、入口接続部2および出口接続部4の両方が、断熱装置5を備えることになる。
【0031】
図3は、本発明によるタービンケーシング1の第3の実施形態を示している。この実施形態は、図2に示されている実施形態に相当している。単に、空気含有物を含み、これにより断熱効果をさらに向上させることができる不織材料15’が間隙15内に導入されているだけである。
【0032】
図4は、本発明によるタービンケーシング1のさらなる実施形態を示している。この選択された図は、入口接続部2および渦巻き部3を示している。
【0033】
この実施形態では、バッフルプレート16が、例えば、入口接続部2の内壁22に溶接されて、または、例えば、ねじ接続によってぴったりと内壁22に取り付けられて入口接続部2に固定されている。このバッフルプレート16は、偏向部17を有し、この偏向部17は、タービンケーシングの舌部21の領域に配設され、入口接続部2の内壁22から立ち上がり、これにより、図4から分かるように内壁22に対して一定の角度を成している。この構成により、高速の排気ガスの流れ(矢印19および20によって示されている)を偏向することが可能であり、これにより、バッフルプレート16自体の断熱効果と共に、タービンケーシング1への熱の流入を減らす。ここで、矢印18は、低い貫流速度が存在する領域を示している。
【0034】
図5は、本発明によるタービンケーシング1の第5の実施形態を示しており、舌部21が鋼または鋳鉄製舌部としてデザインされている点が異なる。図5に示されているように、この舌部21は、冷却ジャケット11によって冷却できる領域の外側に位置しているため、入熱の増加は、この舌部を高耐熱材料から形成して適切にタービンケーシングに取り付けることで防止される。これに関連して、図5は、舌部21は、タービンホイール23に近接した渦巻き部3の最初の領域に開口いることを示している。
【0035】
図6は、本発明によるタービンケーシング1の第6の実施形態を示しており、渦巻き部3の領域にクーラント装置24が設けられている点が異なる。クーラント装置24は、渦巻き部3の少なくともほぼ最も低い位置にあるクーラント入口25、および渦巻き部3の少なくともほぼ最も高い位置にあるクーラント出口26を備えており、これにより、導入部で述べたサイフォン効果を達成することが可能である。
【0036】
図7は、本発明によるタービンケーシング1の第7の実施形態を示している。図7の模式的な簡易図は、内燃機関(詳細は図示せず)の排気管システム27(模式的に簡易化された形態で示されている)と出口接続部4との間の接続を示しており、この接続は、特にエンジンが切られたときに、ターボチャージャーまたはタービンケーシング1内に熱の流入(3つの矢印hで示されている)をもたらす。タービンケーシング1または出口接続部4は、この入熱hによって著しく加熱され得る非冷却領域28を有する。したがって、図示されている実施形態では、環状クーラント導管29が、非冷却領域28の端部に設けられている。このクーラント導管29は、例えば、シールまたは他の熱遮断装置の形態であるさらなる断熱部30(太い黒い線で示されている)と組み合わせても良い。あるいは、この熱遮断装置30のみを設けることも可能である。
【0037】
図8は、本発明によるタービンケーシング1の第8の実施形態を示しており、この実施形態では、複数の冷却フィンが外面に配設されており、1つの冷却フィンが、全ての冷却フィンの代表として参照符号31で示されている。これらの冷却フィンは、周囲への放熱を向上させ、これらの冷却フィンの端部により、ターボチャージャーが装着されたときに、冷却効果をさらに向上させるために気流をこれらの冷却フィン31に意図的に偏向することが可能である。これにより、冷却システムへの給熱を、部分的ではあるが周囲への放熱によって自動的に低減できるという有利な効果がもたらされる。
【0038】
図9および図10は、タービン61の周りのブロックとして簡易形態で示されている、本発明によるタービンケーシング1の2つのさらなる実施形態を示しており、ここでは、ブロック図は、圧縮機42を伴うタービン61の排気ターボチャージャー62への組み込みを示している。さらに、ターボチャージャー62は、内燃機関34に装着されている状態で、簡易形態で示されている。
【0039】
内燃機関および給排気システムの構成要素が、添付の符号の説明に記載されている参照符号32〜62で示されている。
【0040】
図9に示されている実施形態の特別な特徴は、ここでは、タービンケーシング1がウエストゲート装置49、50によって完全に迂回されていることである。これに関連して、ウエストゲートライン29は、排気マニホールド33から分岐し、タービン61の下流の排気ライン48に開口している。ウエストゲート弁50は、タービンケーシング1の外部のウエストゲートライン49に配設されている。
【0041】
対照的に、図10に示されている実施形態では、ウエストゲート弁50は、タービンケーシング1内に組み込まれ、ウエストゲートライン49のみが、タービンケーシングの周りに案内され、この実施形態でも、タービン61の下流の排気ライン48に開口している。
【0042】
図11および図12は、本発明によるタービンケーシング1の2つのさらなる実施形態を示している。上述の実施形態から明らかな構成要素に相当する要素には、同じ参照符号が付されている。
【0043】
図11に示されている実施形態では、タービンケーシング1は、その入口接続部2およびその出口接続部4の両方に断熱装置5を有する。ここでは、入口接続部2の断熱装置5は、漏斗状スリーブ8の形態であるが、出口接続部4の断熱装置5は、槽型スリーブ12の形態である。スリーブ8および12は、図13および図14を参照して以下に詳細に説明する。
【0044】
図11および図12に示されているように、図12に示されている実施形態は、ここでは、槽型スリーブ12が出口接続部4に設けられているだけで、断熱装置5が入口接続部2に設けられていないという点のみが、図11の実施形態と異なっている。
【0045】
共通の特徴として、図11および図12は、従来の要領でデザインすることができるウエストゲート装置6用の作動リンク79も示している。
【0046】
共通の特徴として、図11および図12はそれぞれ、図13および図14にも詳細に示されている弁座5およびピン74も示している。
【0047】
共通の特徴として、図11および図12はそれぞれ、5つのストッパーおよび関連する5つのシールリングも示しており、ストッパーの1つが、代表として参照符号80で示され、シールリングの1つが、代表として参照符号81で示されている。
【0048】
これらのストッパー80は、それらのシールリング81と共に、端部中子栓を形成し、これらの栓は、板金から形成されており、圧入されるか、またはシールされるタービンケーシング1の開口の対応する雌ねじにねじ込むことができる雄ねじ備える。
【0049】
ストッパー80によってシールされるこれらの開口は、鋳造後にタービンケーシング1内の砂を取り除くために設けられている。
【0050】
図13は、既に上記したスリーブ8および12を示している。
【0051】
スリーブ8は、漏斗63および隣接した管状部64を有する漏斗状スリーブである。図1を参照して上記したように、この漏斗型スリーブ8は、図1で参照符号7で示されている空隙を形成するために、入口接続部2内に挿入することができる。
【0052】
図11〜図14に示されている実施形態では、出口接続部4内に挿入される断熱装置5は、2つの円形の孔66および67が形成されている底壁76を有する槽型スリーブ12である。図13および図14の図から分かるように、上縁領域に4つのクリップ68、69、70、および71を有する周壁65が、この底壁76から立ち上がっている。また、ピン74(図14に示されている)が挿入される小さめの保持孔73も、孔76と孔67との間に設けられている。このピン74は、弁座75(図11および図12にも示されている)を固定する役割を果たし、このために弁座75は、挿通孔77が形成された固定部78を有しており、この挿通孔77によってピン74が案内され、このピン74を底壁76の保持孔73に導入することができる。
【0053】
弁座75には、この弁座75が組み立てられると孔66に係合する接続部84を備えた円形の挿通孔83が、図14によると下縁に設けられている。
【0054】
スリーブ12が組み立てられると、スリーブ12の接続部72が、タービンケーシング1の開口82(図11および図12に示されている)に係合する。
【0055】
図15は、図5に示されている第5の実施形態に実質的に相当した、本発明によるタービンケーシング1のさらなる実施形態の断面図を示している。したがって、全ての一致する要素には、同じ参照符号が付されている。
【0056】
しかしながら、図15に示されているタービンケーシング1の実施形態は、渦巻き部3の壁86と共に空隙85を画定する内部板金シェル84を有する。この内部板金シェル85は、鋳造することによって、または2つのシェルを渦巻き領域内に挿入することによって形成することができる。2つのシェルが設けられる場合は、これらのシェルは、通常は車軸に対してまたは長手方向に分割され、シェル部品が渦巻き部3に挿入されてから、渦巻き部3の壁領域86にねじ止め、溶接、または別の方法で結合する。
【0057】
したがって、渦巻き部も断熱することが可能であり、また、入口接続部および/または出口接続部の断熱装置との組み合わせも可能である。
【0058】
図16は、本発明によるタービンケーシング1のさらなる実施形態の一部を示している。この場合、薄肉板金部品の形態にすることができるスリーブすなわち熱シールド8が、入口領域2に配設されている。
【0059】
この配設のために、熱シールド8は、前方からタービンケーシング1または入口領域2に押し込まれる。熱シールド8は、好ましくは、内部線形接触によって入口接続部すなわち入口フランジ2のみと接触する。
【0060】
熱シールド8を取り付けるために、組み立て中に適切な器具で熱シールド8を広げることが可能である。
【0061】
これに関連して、入口接続部すなわち入口フランジ2だけでの接触のみも考えられる。
【0062】
これは、入口フランジ2における接触面積を最小限にする有利な効果を有する、すなわち、全周囲の完全な接触を回避することができる。
【0063】
さらに、任意選択で、熱シールド8と入口接続部2との間の空隙に断熱材(図16には図示せず)を配設することも可能である。
【0064】
図17による実施形態では、熱シールド8は、タービンケーシング1の出口接続部4に配設されている。この配設のために、熱シールド8は、後方からタービンケーシング1内に押し込まれる。次いで、ウエストゲートブシュ87を用いて、組み立て中にこの熱シールドをロスに対して固定することができる。
【0065】
これに関連して、フランジ4における接触面積を最小限にする(全周囲の接触を回避する)ことを可能にすることが同様に可能である。
【0066】
さらに、熱シールド8と出口接続部4との間の空隙に断熱材を設けることも同様に可能である。
【0067】
最後に、熱シールド8を出口接続部4の内部領域に押し込む、または前記熱シールドを出口接続部4の内部領域に遊びをもたせて配設することも可能である。
【0068】
上記の全ての実施形態では、アルミニウム/鋼またはアルミニウム/マグネシウム複合鋳造も可能である。
【0069】
上記の開示に加えて、本開示を補足するために図1〜図17の本発明の図について参照符号を明確に説明する。
【符号の説明】
【0070】
1 タービンケーシング
2 入口接続部
3 渦巻き部
4 出口接続部
5 断熱装置
6 ウエストゲート装置
7 間隙/空隙
8 スリーブ/熱シールド
9 固定部
9’ 自由端部
10 スペーサ/ビード
11 冷却液、特に水用の冷却ジャケット
12 スリーブ
13、14 固定部
15 間隙/空隙
15’ 不織材料
16 バッフルプレート
17 偏向部
18 流速の低い領域
19、20 排気ガスの流れ
21 舌部
22 内壁
23 タービンホイール
24 クーラント装置
25 クーラント入口
26 クーラント出口
27 排気管/排気ライン
28 非冷却部
29 環状冷却導管
30 熱遮断装置
31 冷却フィン
32 クーラント導管
33 排気マニホールド
34 内燃機関
35 出口カム
36 入口カム
37 入口マニホールド
38 高圧排気ガス再循環冷却器
39 高圧排気ガス再循環弁
40 絞り弁
41 給器冷却器
42 圧縮機
43 入口ライン
44 低圧排気ガス再循環弁
45 低圧排気ガス再循環冷却器
46 触媒コンバータ
47 出口弁
48 排気ライン
49 ウエストゲートライン
50 ウエストゲート弁
60 クーラントジャケット
61 タービン
62 排気ターボチャージャー
63 漏斗
64 管状部
65 周壁
66、67 底壁76に形成された円形の孔
68〜71 クリップ
72 円形の孔67における円筒接続部
73 保持孔
74 ピン
75 弁座
76 底壁
77 挿通孔
78 固定部
79 ウエストゲート装置6の作動リンク
80 ストッパー
81 シーリングディスク
82 開口
83 挿通孔
84 内部板金シェル
85 空隙
86 渦巻き部3の壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ターボチャージャー(62)のタービンケーシング(1)であって、
渦巻き部(3)に隣接した入口接続部(2)を有し、かつ
出口接続部(4)を有しており、
前記入口接続部(2)、前記渦巻き部(3)、および/または前記出口接続部(4)への熱の流入を低減する断熱装置(5)、
を特徴とする、タービンケーシング。
【請求項2】
前記断熱装置(5)が、前記入口接続部(2)に挿入して間隙(7)を形成することができるスリーブ(8)を備えている、請求項1に記載のタービンケーシング。
【請求項3】
前記断熱装置(5)が、前記出口接続部(4)に挿入して間隙(15)を形成することができるスリーブ(12)を備えている、請求項1または2に記載のタービンケーシング。
【請求項4】
前記断熱装置(5)が、前記スリーブ(12)と前記入口接続部(2)との間および/または前記スリーブ(12)と前記出口接続部(4)との間の前記間隙(15)に挿入できる繊維マット(15’)を備えている、請求項1に記載のタービンケーシング。
【請求項5】
前記断熱装置(5)が、セラミックインレーを有する、請求項1に記載のタービンケーシング。
【請求項6】
前記断熱装置(5)が、前記タービンケーシング(1、2)の内壁面(22)に設けることができる被覆を有する、請求項1に記載のタービンケーシング。
【請求項7】
前記断熱装置(5)が、前記入口接続部(2)内に配設することができ、かつ/またはウエストゲート出口開口に近接させることができるバッフルプレート(16)を備えている、請求項1に記載のタービンケーシング。
【請求項8】
前記断熱装置(5)が、前記タービンケーシング(1)の外部に延在するウエストゲート装置(49、50)を備えている、請求項1に記載のタービンケーシング。
【請求項9】
ウエストゲートライン(49)およびウエストゲート弁(50)の両方が、前記タービンケーシング(1)の外部に延在する、請求項8に記載のタービンケーシング。
【請求項10】
前記ウエストゲートライン(49)のみが、前記タービンケーシング(1)の外部に延在する、請求項8に記載のタービンケーシング。
【請求項11】
前記断熱装置(5)が、前記渦巻き部(3)の入口領域に挿入することができる鋼製舌部(21)を備えている、請求項1に記載のタービンケーシング。
【請求項12】
前記断熱装置(5)が、クーラント装置(24)を備えており、前記クーラント装置(24)のクーラント入口(25)が、前記渦巻き部(3)の少なくともほぼ最も低い位置に配設され、前記クーラント装置(24)のクーラント出口(26)が、前記渦巻き部(3)の少なくともほぼ最も高い位置に配設されている、請求項1に記載のタービンケーシング。
【請求項13】
前記断熱装置(5)が、環状クーラント導管(29)および/または熱遮断装置(30)を備えている、請求項1に記載のタービンケーシング。
【請求項14】
前記断熱装置(5)が、前記タービンケーシング(1)の外面に冷却フィン(31)を備えている、請求項1に記載のタービンケーシング。
【請求項15】
前記タービンケーシング(1)が、鋳造アルミニウム鋳物の形態をとり、冷却装置(11)を備えている、請求項1〜14のいずれか1項に記載のタービンケーシング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−509534(P2013−509534A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536894(P2012−536894)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/053644
【国際公開番号】WO2011/053513
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(500124378)ボーグワーナー インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】