説明

接合方法および接合装置

【課題】基体および蓋体の小型化に対応することができ、かつ、外観を損ねることなく、歪みの発生を抑制することのできる基体と蓋体との接合方法および当該接合方法を実施することのできる接合装置を提供すること。
【解決手段】本発明の接合方法は、まず、凹部521の開口を塞ぐようにリッド530をパッケージ520に載置するとともに、プラズマ電極130をリッド530に対して空隙を隔てて配置し、接地電極140をリッド530に接触させる。次に、プラズマ電極130とリッド530との間に処理ガスを供給しつつ、プラズマ電極130へ電圧を印加することによりプラズマグロー放電Pを発生させる。これにより、リッド530内に電流を流し、パッケージ520との接触部に発生する抵抗熱によって接触部を溶融し、リッド530をパッケージ520に溶接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合方法および接合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、圧電素子等の機能素子をケーシングに収納して構成される圧電デバイスが知られている。具体的には、凹部を有し、酸化アルミニウム等のセラミックスで構成されたセラミックパッケージ(基体)と、凹部内に配置された圧電素子と、凹部を封止するリッド(蓋体)とを有する圧電デバイスが知られている。
また、前記凹部内を気密的に封止するために、蓋体をセラミックパッケージに接合しているが、この接合方法として、シーム溶接、レーザー溶接、プラズマアーク放電を用いたプラズマ溶接(アーク溶接)等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、シーム溶接、レーザー溶接、アーク溶接には、次のような問題があった。
【0003】
まず、シーム溶接には、圧電デバイスの小型化に対応することができないという問題がある。具体的に説明すれば、シーム溶接は、例えば、一対のローラー電極をリッドの縁に押し当て、一対のローラー電極間に電圧を印加しながら縁に沿って転がすことにより、リッドの縁を加熱し溶融させることにより、リッドをセラミックパッケージに溶接する接合方法である。しかしながら、近年、市場の要望により、圧電デバイスの小型化が急速に進んでおり、そのため、リッドの縁に電極を接触させることや、電極をリッドの縁に沿って転がすことが困難である。
【0004】
次に、レーザー溶接には、ケーシングに歪みが発生するという問題がある。具体的に説明すれば、レーザー溶接は、高温のレーザーをリッドの縁に沿って移動しながら局所的かつ連続的に照射し、リッドの縁を溶融させることにより、リッドをセラミックパッケージに溶接する方法である。しかしながら、レーザー溶接は、前述のように、レーザーを局所的に照射するため、レーザーが照射された部分が局所的に昇温し熱膨張する。これにより、ケーシングに歪みが発生するおそれがある。ケーシングに歪みが生じると、当該歪みによって内部に収納された圧電素子に応力が加わり、その結果、圧電素子の機能が低下する。
次に、アーク溶接には、酸化により外観を損ねるという問題がある。具体的に説明すれば、プラズマアーク放電は、比較的高温(例えば、2000℃程度)であるため、リッドのプラズマアーク放電に曝された部分(縁部)が酸化してしまう。これにより、ケーシングの外観が損なわれ、製品として販売することができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−158208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、基体および蓋体の小型化に対応することができ、かつ、外観を損ねることなく、歪みの発生を抑制することのできる基体と蓋体との接合方法および当該接合方法を実施することのできる接合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の接合方法は、基体および導電性を有する蓋体のうちの少なくとも一方に凹部が形成されており、前記凹部の開口を塞ぐように前記基体と前記蓋体とを接合する接合方法であって、
前記凹部の開口を塞ぐように前記蓋体を前記基体に載置するとともに、第1の電極を前記蓋体に対して空隙を隔てて配置し、基準電位点に接続された第2の電極を前記基体または前記蓋体に接触させ、
前記第1の電極と前記蓋体の間の前記空隙に処理ガスを供給しつつ、前記第1の電極へ電圧を印加することにより、前記第1の電極と前記蓋体との間にプラズマグロー放電を発生させ、
前記プラズマグロー放電を前記蓋体に接触させることにより前記蓋体に電流を流し、前記蓋体の前記基体との接触部に発生する抵抗熱によって、前記蓋体を前記基体に溶接することを特徴とする。
これにより、基体および蓋体の小型化に対応することができ、かつ、外観を損ねることなく、歪みの発生を抑制することのできる基体と蓋体との接合方法を提供することができる。
【0008】
本発明の接合方法では、前記第1の電極を、前記蓋体の縁と前記空隙を隔てて配置することが好ましい。
これにより、より確実に、蓋体を基体に溶接することができる。
本発明の接合方法では、前記第1の電極は、前記蓋体の平面視にて、前記蓋体の外側に位置していることが好ましい。
これにより、より確実に、プラズマグロー放電を蓋体の縁に接触させることができる。
本発明の接合方法では、前記第1の電極は、前記蓋体の前記縁を向いていることが好ましい。
これにより、より確実に、プラズマグロー放電を蓋体の縁に接触させることができる。
【0009】
本発明の接合方法では、前記第2の電極は、前記蓋体と接触することが好ましい。
これにより、効率的に、蓋体内に電流を流すことができる。
本発明の接合方法では、前記第2の電極は、前記蓋体の、前記第1の電極と対向する部位と前記蓋体の中心を介して対向する位置に接触することが好ましい。
これにより、蓋体内にムラなく均一な電流を流すことができる。そのため、接触部の全域を抵抗熱によって均一に加熱することができる。
本発明の接合方法では、前記第2の電極は、前記蓋体の縁に接触することが好ましい。
これにより、より確実に、蓋体の縁よりも内側にある接触部を抵抗熱によって加熱することができる。
【0010】
本発明の接合方法では、前記蓋体および前記基体の少なくとも一方を他方に押圧した状態にて、前記プラズマグロー放電を発生させることが好ましい。
これにより、より効果的に、接触部に抵抗熱を発生させることができる。
本発明の接合方法では、前記蓋体を前記基体上に載置する給材手段を有していることが好ましい。
これにより、簡単かつ正確に、蓋体を基体上に載置することができる。
【0011】
本発明の接合方法では、前記給材手段は、蓋体を保持する保持部を有し、
前記保持部により、前記蓋体を前記基体に押圧した状態にて、前記プラズマグロー放電を発生させることが好ましい。
これにより、簡単な構成で、蓋体を基体に押圧することができる。
本発明の接合方法では、前記第2の電極は、前記保持部に一体的に固定されており、前記保持部が前記蓋体を保持した状態で前記蓋体に接触することが好ましい。
これにより、蓋体の基体への溶接をより円滑に行うことができる。
【0012】
本発明の接合方法では、大気圧下にて、前記プラズマグロー放電を発生させることが好ましい。
これにより、プラズマグロー放電を発生させ易くすることができる。加えて、プラズマグロー放電の広がりを抑制すること、すなわちプラズマグロー放電のビーム径を小さくすることができる。そのため、プラズマグロー放電を蓋体に対してより局所的に接触させることができ、蓋体の基体への溶接をより効率的に行うことができる。
本発明の接合方法では、前記プラズマグロー放電の温度は、前記蓋体の前記抵抗熱により溶融する部分の構成材料の融点よりも低いことが好ましい。
これにより、蓋体および基体への熱ダメージを低減することができる。
【0013】
本発明の接合方法では、前記蓋体の輪郭形状は、第1の辺と、第1の辺と対向配置された第2の辺と、前記第1の辺および前記第2の辺の一端同士を連結する第3の辺と、前記第1の辺および前記第2の辺の他端同士を連結する第4の辺と、を有する四角形であり、
前記第1の電極は、所定方向に延在する先端部を有し、前記先端部が前記第1の辺の全域と対向するように配置されることが好ましい。
これにより、第1の辺の全域にプラズマグロー放電を接触させることができ、第1の辺に対応する接触部の全域を同時かつ均一に溶融させることができる。
本発明の接合方法では、前記第2の電極は、前記第2の辺の全域と接触するように配置されることが好ましい。
これにより、第2の辺に対応する接触部の全域を同時かつ均一に溶融させることができる。
【0014】
本発明の接合方法では、前記第1の電極を前記第1の辺の全域と対向配置するとともに、前記第2の電極を前記第2の辺の全域と接触させて配置した状態にて前記第1の電極に電圧を印加し、前記蓋体の縁部の前記第1の辺および前記第2の辺に対応する部分を前記基体に溶接する第1の工程と、
前記第1の電極を前記第3の辺の全域と対向配置するとともに、前記第2の電極を前記第4の辺の全域と接触させて配置した状態にて前記第1の電極に電圧を印加し、前記蓋体の縁部の前記第3の辺および前記第4の辺に対応する部分を前記基体に溶接する第2の工程とを有することが好ましい。
これにより、蓋体の接触部のうちの比較的広い範囲を同時に溶接することができる。そのため、接合後の状態にて、蓋体および基体に残留する残留力を小さくすることができる。
本発明の接合方法では、前記凹部には、機能素子が収納されていることが好ましい。
このように、凹部内に機能素子が収納されている場合には、機能素子に与える熱ダメージを低減することができる。
【0015】
本発明の接合装置は、基体および導電性を有する蓋体のうちの少なくとも一方に凹部が形成されており、前記凹部の開口を塞ぐように前記基体と前記蓋体とを接合する接合装置であって、
第1の電極と、
基準電位点に接続された第2の電極と、
処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、を有し、
前記凹部の開口を塞ぐように前記蓋体を前記基体に載置するとともに、前記第1の電極を前記蓋体に対して空隙を隔てて配置し、前記第2の電極を前記基体または前記蓋体に接触した状態とし、
前記第1の電極と前記蓋体の間の前記空隙に処理ガスを供給しつつ、前記第1の電極へ電圧を印加することにより、前記第1の電極と前記蓋体との間にプラズマグロー放電を発生させ、
前記蓋体に前記プラズマグロー放電を接触させて前記蓋体内に電流を流し、前記蓋体と前記基体との接触部に発生する抵抗熱によって、前記蓋体を前記基体に溶接することを特徴とする。
これにより、基体および蓋体の小型化に対応することができ、かつ、外観を損ねることなく、歪みの発生を抑制することのできる接合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】振動デバイスの一例を示す平面図である。
【図2】図1に示す振動デバイスが有する圧電素子の平面図である。
【図3】本発明の接合装置の第1実施形態を示す概略図である。
【図4】図3に示す接合装置を用いた接合方法(本発明の接合方法)を説明するための図である。
【図5】図3に示す接合装置を用いた接合方法(本発明の接合方法)を説明するための図である。
【図6】図3に示す接合装置を用いた接合方法(本発明の接合方法)を説明するための図である。
【図7】図3に示す接合装置を用いた接合方法(本発明の接合方法)を説明するための図である。
【図8】振動デバイスの一例を示す平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る接合装置を示す概略図である。
【図10】図9に示す接合装置を用いた接合方法(本発明の接合方法)を説明するための図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る接合装置の概略図である。
【図12】図11に示す接合装置を用いた接合方法(本発明の接合方法)を説明するための図である。
【図13】図11に示す接合装置を用いた接合方法(本発明の接合方法)を説明するための図である。
【図14】図11に示す接合装置を用いた接合方法(本発明の接合方法)を説明するための図である。
【図15】振動デバイスの他の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の接合方法および接合装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、振動デバイスの一例を示す平面図、図2は、図1に示す振動デバイスが有する圧電素子の平面図、図3は、本発明の接合装置の第1実施形態を示す概略図、図4、図5、図6および図7は、図3に示す接合装置を用いた接合方法(本発明の接合方法)を説明するための図である。図4、図5、図6および図7では、各図(a)が平面図を示し、各図(b)が断面図を示している。
なお、以下では、説明の都合上、図1中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」として説明する。また、図3中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0018】
1.振動デバイス
まず、本発明の接合方法(接合装置)により溶接される部分を有する振動デバイス500について説明する。
図1に示すように、振動デバイス500は、ケーシング510と、ケーシング510内に収容された圧電素子(機能素子)590とを有している。
【0019】
[圧電素子]
図2(a)は、圧電素子590を上方から見た平面図であり、同図(b)は、圧電素子590を上方から見た透過図(平面図)である。
図2(a)、(b)に示すように、圧電素子590は、平面視形状が長方形(矩形)の板状をなす圧電基板591と、圧電基板591の表面に形成された一対の励振電極593、595とを有している。
【0020】
圧電基板591は、主として厚み滑り振動をする水晶素板である。本実施形態では、圧電基板591としてATカットと呼ばれるカット角で切り出された水晶素板を用いている。
ATカットとは、水晶の結晶軸であるX軸とZ軸とを含む平面(Y面)をX軸回りにZ軸から反時計方向に約35度15分程度回転させて得られる主面(X軸とZ’軸とを含む主面)を有するように切り出すことを言う。
このような構成の圧電基板591では、圧電基板591の長手方向が水晶の結晶軸であるX軸と一致する。
【0021】
励振電極593は、圧電基板591の上面に形成された電極部593aと、圧電基板591の下面に形成されたボンディングパッド593bと、電極部593aおよびボンディングパッド593bを電気的に接続する配線593cとを有している。
一方、励振電極595は、圧電基板591の下面に形成された電極部595aと、圧電基板591の下面に形成されたボンディングパッド595bと、電極部595aおよびボンディングパッド595bを電気的に接続する配線595cとを有している。
【0022】
電極部593a、595aは、圧電基板591を介して対向して設けられ、互いにほぼ同じ形状をなしている。すなわち、圧電基板591の平面視にて、電極部593a、595aは、互いに重なるように位置し、輪郭が一致するように形成されている。
また、ボンディングパッド593b、595bは、圧電基板591の下面の図2中右側の端部に離間して形成されている。
【0023】
このような励振電極593、595は、例えば、圧電基板591上に蒸着やスパッタリングによってニッケル(Ni)またはクロム(Cr)の下地層を成膜した後、下地層の上に蒸着やスパッタリングによって金(Au)の電極層を成膜し、その後フォトリソグラフィおよび各種エッチング技術を用いて、所望の形状にパターニングすることにより形成することができる。下地層を形成すすることにより、圧電基板591と前記電極層との接着性が向上し、信頼性の高い圧電素子590が得られる。
なお、励振電極593、595の構成としては、上記の構成に限定されず、例えば、下地層を省略してもよいし、その構成材料を他の導電性を有する材料(例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブテン(Mo)等の各種金属材料)としてもよい。
【0024】
[ケーシング]
ケーシング510は、上面に開放する凹部521を有するパッケージ(基体)520と、凹部521の開口を塞ぐ、すなわち、凹部521を封止するリッド(蓋体)530とを有している。リッド530により塞がれた凹部521内は、前述の圧電素子590を収納する収納空間3として機能する。
【0025】
パッケージ520およびリッド530は、共に、平面視形状が略長方形(矩形)である。
パッケージ520は、板状のベース523と、ベース523の上面に設けられた枠状の枠部524とを有し、これによりパッケージ520の上面の中央部に開放する凹部521が形成されている。
また、ベース523には、収納空間3の内外を連通する封止孔527が形成されている。この封止孔527は、例えば、収納空間3内から空気(気体)を除去して真空状態としたり、収納空間3内に窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを充填したりするための孔である。
【0026】
封止孔527は、収納空間3内を所望の環境とした後、封止材528によって封止される。例えば、封止材528は、元は、金等の金属材料で構成された金属ボールである。この金属ボールを封止孔527内に詰めた状態で、レーザー照射等により金属ボールを溶融させることにより、封止材528が形成され、封止孔527が封止される。このような方法によれば、簡単に、封止孔527を封止することができる。
【0027】
このようなパッケージ520の構成材料としては、絶縁性を有していれば、特に限定されず、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックスなどを用いることができる。
なお、セラミックスによりパッケージ520を製造する場合、ベース523の平面視形状に対応する少なくとも1枚の平板状の基板(グリーンシート)と、枠部524の平面視形状に対応する少なくとも1枚の枠状の基板(グリーンシート)とを順に積層して積層体を形成し、この積層体を焼成することにより、パッケージ520を簡単に製造することができる。
【0028】
このようなベース523の上面には、収納空間3に臨む一対の接続端子541、542が形成されている。また、ベース523の下面には、接続端子541、542をケーシング510の外側へ引き出すための一対の外部実装電極(図示せず)が形成されている。接続端子541と一方の外部実装電極、接続端子542と他方の外部実装電極は、それぞれ、ベース523を厚さ方向に貫通する導体ポスト(図示せず)を介して電気的に接続されている。
接続端子541、542や各前記外部実装電極は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの金属配線材料をベース523上にスクリーン印刷して焼成し、その上にニッケル(Ni)、金(Au)などのめっきを施すことにより形成することができる。
【0029】
リッド530は、パッケージ520の凹部521の開口を塞ぐようにして、パッケージ520に接合されている。具体的には、リッド530は、その縁部の全周にわたってパッケージ520の上面(枠部524の上面)526と溶接されている。これにより、凹部521の開口が塞がれ、収納空間3が形成される。
リッド530とパッケージ520の接合は、例えば、パッケージの上面526に設けられたシーリングを介して行ってもよいし、このようなシーリングを介さずに直接に接合してもよい。シーリングとしては、例えば、鉄−ニッケル(Fe−Ni)合金で構成されたものを用いることができる。
ここで、パッケージ520とリッド530の溶接は、本発明の接合方法により行われる。この接合方法については、後に詳細に説明する。
【0030】
リッド530の構成材料としては、導電性を有していれば、特に限定されないが、パッケージ520の構成材料と線膨張係数が近似する部材であると良い。例えば、パッケージ520の構成材料を前述のようなセラミックスとした場合には、コバール等の合金とするのが好ましい。
また、リッド530の表面には、銀ロウ、無電解Niなどの膜が形成されていてもよい。なお、この場合の銀ロウ、無電解Niによる膜は、少なくとも、パッケージ520と接触する部分に形成されていればよい。
【0031】
このようなケーシング510の収納空間3には、圧電素子590が収納されている。収納空間3に収納された圧電素子590は、一対の導電性接着剤561、562を介してパッケージ520のベース523に片持ち支持されている。このように、圧電素子590を片持ち支持することにより、昇温による圧電素子590の撓み等を抑制することができる。
【0032】
導電性接着剤561は、接続端子541とボンディングパッド593bとに接触して設けられており、これにより、導電性接着剤561を介して、接続端子541とボンディングパッド593bとが電気的に接続されている。一方の導電性接着剤562は、接続端子542とボンディングパッド595bとに接触して設けられており、これにより、導電性接着剤562を介して、接続端子542とボンディングパッド595bとが電気的に接続されている。
【0033】
以上、振動デバイス500について説明したが、振動デバイス500が有する機能素子としては、前述した圧電素子590、すなわち、いわゆるATカット水晶振動子に限定されない。機能素子としては、例えば、音叉型の水晶振動子、SAW共振器、角速度検出素子、加速度検出素子等であってもよい。また、収納空間3内には、複数の機能素子が収納されていてもよい。
また、機能素子の駆動を制御したり、機能素子からの信号を受信したりするICチップ等が収納されていてもよい。ICチップを収納する場合には、ICチップを機能素子の隣に並設してもよいし、ICチップをケーシングの厚さ方向に機能素子と重なるように配置してもよい。
【0034】
2.接合装置
次に、接合装置(本発明の接合装置)100について説明する。
接合装置100は、前述した振動デバイス500のリッド530をパッケージ520に溶接する装置である。
図3に示すように、接合装置100は、チャンバー170と、ステージ110と、給材手段120と、プラズマ電極(第1の電極)130と、接地電極(第2の電極)140と、電圧印加手段150と、処理ガス供給手段160と、これらの駆動を制御する制御装置(図示せず)とを有している。なお、チャンバー170は、省略してもよい。
【0035】
[ステージ]
ステージ110は、振動デバイス500のパッケージ520を載置するための載置台である。
ステージ110に載置されるパッケージ520には、導電性接着剤561、562を介して圧電素子590が固定されているとともに、接続端子541、542、前記外部実装電極および前記導体ポストが形成されているが、封止孔527は、封止材528で封止されていない。すなわち、ステージ110には、リッド530および封止材528が設けられていない状態の振動デバイス500が載置される。
【0036】
ステージ110の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、銀等の各種金属材料、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金(例えば、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム系合金等)または金属間化合物、これらの金属の酸化物、窒化物、炭化物等を用いることができる。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等の比較的硬質な樹脂材料を用いることもできる。
【0037】
このようなステージ110は、図示しない回転手段(ステージ回転手段)によりz軸周りに回転可能となっている。これにより、プラズマ電極130および接地電極140に対してステージ110上のパッケージ520およびリッド530を回転させることができるため、後述するように、パッケージ520とリッド530の溶接をより円滑に行うことができる。
なお、プラズマ電極130および接地電極140を自在に移動させることができる場合には、前記回転手段(ステージ回転手段)は、省略してもよい。プラズマ電極130および接地電極140をステージ110に対して変位させることにより、ステージ110を回転させた場合と同様の効果を発揮することができる。
【0038】
また、ステージ110は、図示しない移動手段(ステージ移動手段)により、チャンバー170の内外を移動可能となっているのが好ましい。これにより、チャンバー170外でステージ110にパッケージ520を載置した後に、チャンバー170内にステージ110を移動することにより、パッケージ520を簡単にチャンバー内に配置することができる。そのため、パッケージ520とリッド530の溶接をより円滑に行うことができる。
なお、前記移動手段(ステージ移動手段)は、省略してもよい。この場合には、ステージ110は、チャンバー170内に設置され、例えば、作業者がチャンバー170のステージ110上にパッケージ520を載置すればよい。
【0039】
[給材手段]
給材手段120は、ステージ110上のパッケージ520にリッド530を載置する機能を有する。このような給材手段120は、吸着パット(保持部)121と、吸着パット121に形成された吸引孔122と、吸引孔122内の空気を吸引し、吸引孔122内を減圧する吸引ポンプ123と、吸着パット121を移動させる移動手段(吸着パット移動手段)124とを有している。
吸着パット121は、少なくとも、リッド530に接触する部分が絶縁性を有しており、リッド530との導通が防止されている。このように、吸着パット121とリッド530の導通を防止することにより、後述するように、パッケージ520とリッド530の溶接をより円滑に行うことができる。
【0040】
上記のような観点から、吸着パット121は、絶縁性を有する材料で構成されているのが好ましい。これにより、簡単に、吸着パット121とリッド530との導通を防止することができる。
絶縁性を有する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等の比較的硬質な樹脂材料が挙げられる。
【0041】
なお、吸着パット121は、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、銀等の導電性を有する各種金属材料で構成されてもよいが、この場合には、吸着パット121が直接リッド530に接触しないように、吸着パット121の表面(少なくともリッド530と対向する下面)に、吸着パット121とリッド530の導通を防止する絶縁層を形成しておけばよい。
【0042】
このような給材手段120は、例えば、次のようにして、リッド530をパッケージ520上に載置する。例えば、まず、チャンバー170外にあるリッド530の上面に吸着パット121を接触させ、吸引孔122の開口がリッド530で塞がれた状態とする。次に、吸引ポンプ123によって吸引孔122内を減圧し、これにより発生する吸着力により、リッド530を吸着パット121に吸着固定する。そして、リッド530が吸着パット121に固定された状態を保ちつつ、移動手段124によって吸着パット121をパッケージ520上に移動することにより、リッド530をパッケージ520上に凹部521の開口を塞ぐように載置することができる。
このような構成の給材手段によれば、簡単かつ正確に、リッド530をパッケージ520上に載置することができる。
【0043】
ここで、移動手段124は、パッケージ520上にリッド530を正確に載置するための位置決め手段を有していてもよい。このような位置決め手段の構成としては、特に限定されないが、例えば、CCD等の撮像素子を用いた構成とすることができる。例えば、前記撮像素子によってリッド530とパッケージ520との位置関係を認識できるようになっており、これらの位置関係を認識しながら、リッド530をパッケージ520上に載置することにより、パッケージ520に対するリッド530の位置決めを正確に行うことができる。
なお、給材手段120の吸着パット121は、後述するように、リッド530をパッケージ520に押圧する押圧手段としても機能する。
【0044】
[プラズマ電極]
図3に示すように、プラズマ電極130は、チャンバー170内に設けられている。このプラズマ電極130は、パッケージ520上に載置されたリッド530との間にプラズマグロー放電を発生させるための電極である。
プラズマ電極130は、その先端部131が先細りした形状をなしている。このように、先細りした先端部131を有することにより、リッド530との間にプラズマグロー放電を効率的に発生させることができる。
【0045】
また、プラズマ電極130の先端132は、所定方向(図3の紙面奥行き方向)に延在するライン状(線状)をなしている。また、プラズマ電極130の先端132の長さは、リッド530の上面外周(縁)の各辺(後述する第1、第2、第3、第4の辺531a、531b、531c、531d)よりも長く設定されている。このような長さとすることにより、後述するように、パッケージ520とリッド530の溶接をより円滑に行うことができる。
プラズマ電極130の構成材料としては、導電性を有していれば、特に限定されず、例えば、鉄、ニッケル、銅、銀等の各種金属材料、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金または金属間化合物等が挙げられる。このうち、合金としては、例えば、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム系合金が挙げられる。
【0046】
このようなプラズマ電極130は、その先端部131が誘電体材料で構成された図示しない誘電体部によって覆われている。これにより、リッド530との間にてプラズマ電極130である金属が露出しないため、プラズマ電極130とリッド530との間に電界を均一に発生させることができる。また、インピーダンスの増大を防止することができ、比較的低電圧で所望の放電を生じさせることができる。なお、誘電体部は、省略してもよい。
【0047】
このような誘電体部の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の各種プラスチック、水晶等の結晶性材料、石英ガラス、無アルカリガラス等の各種ガラス、無機酸化物等が挙げられる。前記無機酸化物としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等の酸化物セラミックス、窒化珪素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化物セラミックス、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、PZT、PLZT、PLLZT等の強誘電体材料等が挙げられる。
【0048】
[接地電極]
接地電極140は、基準電位点(例えば、アース)に接続されている。図3に示すように、このような接地電極140は、その先端部141が先細りした形状をなしている。また、接地電極140の先端部141のリッド530側の面は、リッド530の上面に対して傾斜した傾斜面142で構成されている。この傾斜面142は、リッド530と接触する面であり、リッド530と接触することにより、リッド530が基準電位点に接続される。
【0049】
傾斜面142は、所定方向(図3の紙面奥行き方向)に延在している。また、傾斜面142の長さは、リッド530の上面外周(縁)の各辺(第1、第2、第3、第4の辺531a、531b、531c、531d)よりも長く設定されている。このような長さとすることにより、傾斜面142をリッド530の上面外周の所定の辺の全域と接触させることができるため、後述するように、パッケージ520とリッド530の溶接をより円滑に行うことができる。
【0050】
このような接地電極140は、前述した給材手段120の吸着パット121に一体的に固定されている。具体的には、吸引孔122内を減圧することによりリッド530が吸着パット121に固定された状態にて、接地電極140の傾斜面142がリッド530の上面外周(縁)に含まれる4つ辺のうちの1つの辺の全域に接触するように、接地電極140が吸着パット121に固定されている。
【0051】
このような構成とすることにより、給材手段120によってリッド530をパッケージ520上に載置するとともに、接地電極140をリッド530に接触させることができる。すなわち、接地電極140をリッド530に接触させる工程が別途必要でなくなるため、リッド530のパッケージ520への溶接をより円滑に行うことができる。
接地電極140の構成材料としては、導電性を有していれば、特に限定されず、例えば、前述したプラズマ電極130の構成材料として例示した材料と同様のものを用いることができる。
【0052】
[処理ガス供給手段]
処理ガス供給手段160は、チャンバー170内、具体的には、プラズマ電極130とリッド530との間のプラズマ生成空間Sにプラズマを発生させるための処理ガスを供給する機能を有する。
図3に示すように、処理ガス供給手段160は、所定のガスを充填するガスボンベ(ガス供給源)161と、チャンバー170に形成された導入口(図示せず)とガスボンベ161とを接続する処理ガス供給流路162と、ガスボンベ161から供給されるガスの流量を調整するマスフローコントローラー(流量調整手段)163と、マスフローコントローラー163より下流端側で、処理ガス供給流路162内の流路を開閉するバルブ(電磁バルブ)164とを有している。マスフローコントローラー163およびバルブ164は、それぞれ、図示しない制御装置に電気的に接続され、制御装置によりその作動が制御される。
【0053】
このような処理ガス供給手段160は、バルブ164を開状態とした状態にて、ガスボンベ161から処理ガスを送り出し、マスフローコントローラー163により処理ガスの流量を調節する。そして、流量が調整された処理ガスを、処理ガス供給流路162を介して導入口からチャンバー170内(プラズマ生成空間S)に導入する。また、処理ガス供給手段160は、バルブ164を閉状態とすることにより、チャンバー170内への処理ガスの供給を停止する。
【0054】
処理ガスとしては、He、Ne、Ar、Xeまたはこれらの混合ガス等の不活性ガス(希ガス)を主成分とするものが好適に用いられる。また、この処理ガスは、N(窒素ガス)を含有するものが好ましい。これにより、より確実にプラズマを発生させることができるとともに、プラズマの温度を高めることができる。
この場合、処理ガス中のNの含有量は、特に限定されないが、常圧(1気圧換算)で10vol%以下が好ましく、5vol%以下であるのがより好ましい。これにより、速かつ効率的にプラズマを発生させることができる。
【0055】
また、供給する処理ガスの流量は、ガスの種類、加熱処理の程度等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、30SCCM〜50SLM程度であるのが好ましい。
なお、チャンバー170には、チャンバー170内に導入された処理ガス(プラズマ発生の用に供された処理ガス)を排気する排気口(図示せず)が形成されており、処理ガスの導入口からの導入流量と排気口からの排気流量とを制御することにより、チャンバー内の圧力を調節できるようになっている。
【0056】
また、処理ガス供給手段160としては、本実施形態のように、チャンバー170内の全域を処理ガスで満たすような構成であってもよいが、プラズマ生成領域Sに局所的に処理ガスを供給する構成であってもよい。この場合には、例えば、処理ガス供給手段160は、処理ガス供給流路162の一端に接続されており、処理ガスを噴出することのできるノズルを有し、このノズルをプラズマ発生領域Sの近傍であって、処理ガスをプラズマ生成領域Sに向けて噴出することができるように配置した構成とすることができる。このような構成によれば、プラズマ生成領域Sに局所的に処理ガスを供給することができるため、処理ガスの使用量を抑えることができる。また、チャンバー170を省略した構成のときに有効である。
【0057】
[電圧印加手段]
電圧印加手段150は、プラズマ電極130に高周波電圧を印加する高周波電源151を備えている。
高周波電源151は、前記制御装置によりその作動が制御される電力調整部を有しており、制御装置の制御により、供給する電力の大きさを変更し得るようになっている。また、供給する電力に対する整合回路(インピーダンスマッチング回路)や、高周波電源151の周波数を変える周波数調整手段(回路)や、高周波電源151の印加電圧の最大値(振幅)を変える電圧調整手段(回路)などが必要に応じて設置されている。
プラズマ電極130に印加する高周波の周波数としては、特に限定されないが、10〜70MHzであるのが好ましい。
【0058】
なお、本実施形態の電圧印加手段150では、前述したように、プラズマ電極130が誘電体部で覆われているため、電源として高周波電圧を印加する高周波電源151を備えているが、例えば、プラズマ電極130が誘電体部で覆われていない場合(金属が剥き出しの場合)には、電圧印加手段150は、直流の電圧を印加する電源を備えているのが好ましい。これにより、プラズマ生成領域Sにより確実にプラズマを発生させることができる。
以上、接合装置100の構成について説明した。
【0059】
3.接合方法
次に、接合装置100を用いたパッケージ520とリッド530との接合方法(本発明の接合方法)について説明する。
パッケージ520とリッド530との接合方法は、パッケージ520にリッド530を載置するとともに、プラズマ電極130がリッド530に空隙を隔てて対向配置し、接地電極140がリッド530に接触する状態とする工程Aと、処理ガス供給手段160によってプラズマ生成空間Sに処理ガスが供給されている状態にて、前記第1の電極へ電圧を印加することにより、前記第1の電極と前記蓋体との間にプラズマグロー放電を発生させる工程Bとを有している。
工程A、Bを実施することにより、リッド530内に電流が流れ、これにより、リッド530とパッケージ520との接触部に抵抗熱(抵抗加熱による昇温)が発生し、凹部521の周囲にてリッド530とパッケージ520とを溶接することができる。
以下、各工程について、詳細に説明する。
【0060】
なお、以下では、図4に示すように、リッド530の上面531の外周(縁)が有する4つの辺を第1の辺531a、第2の辺531b、第3の辺531cおよび第4の辺531dとする。第2の辺531bは、第1の辺531aと対向するとともに第1の辺531aと平行な辺であり、第3の辺531cは、第1、第2の辺531a、531bの一端同士を連結する辺であり、第4の辺531dは、第1、第2の辺531a、531bの他端同士を連結するとともに第3の辺531cと平行な辺である。
【0061】
[工程A]
(A−1)
まず、ステージ110上にパッケージ520を載置する。ステージ110へのパッケージ520の載置は、チャンバー170外にステージ110を移動させて行う。パッケージ520が載置されたステージ110をチャンバー170内に移動し、チャンバー170内にパッケージ520を配置する。
【0062】
(A−2)
次に、ステージ110上のパッケージ520に、凹部521を塞ぐようにリッド530を載置する。リッド530を載置した状態では、リッド530の縁部535の全周がパッケージ520の上面(凹部521の開口の周囲に形成された面)526の全周と接触する。
【0063】
リッド530のパッケージ520への載置は、給材手段120によって行われる。具体的には、まず、チャンバー170外にあるリッド530の上面に吸着パット121を接触させ、吸引孔122の開口をリッド530で塞ぐ。次に、吸引ポンプ123によって吸引孔122内を減圧し、これにより発生する吸着力によって、リッド530を吸着パット121に固定する。次に、移動手段124によって吸着パット121をパッケージ520上に移動し、リッド530をパッケージ520上に凹部521の開口を塞ぐように載置する。これにより、簡単かつ正確に、リッド530をパッケージ520上に載置することができる。
【0064】
図4(a)、(b)に示すように、リッド530がパッケージ520に載置された状態では、吸着パット121に一体的に固定された接地電極140が、傾斜面142にてリッド530の第2の辺531bの全域と接触(線接触)している。このように、接地電極140をリッド530と接触させることにより、後述するプラズマグロー放電を発生させた際に、効率的にリッド530内に電流を流すことができる。そのため、パッケージ520とリッド530の溶接をより確実に行うことができる。
【0065】
(A−3)
次に、図4(a)、(b)に示すように、プラズマ電極130をリッド530の第1の辺531aに対して空隙を隔てて対向配置する。前記空隙は、プラズマグロー放電を発生させるプラズマ生成領域Sを構成するものである。
ここで、リッド530の平面視にて、プラズマ電極130は、その先端132がリッド530の外側に位置するように配置されている。すなわち、リッド530の平面視にて、プラズマ電極130は、その先端132がリッド530と重ならないように配置されている。プラズマ電極130は、その先端132が第1の辺531aを向くように傾いて配置されている。
また、プラズマ電極130は、その先端132が第1の辺531aに対して平行となるように配置されている。また、プラズマ電極130は、その先端132が第1の辺531aの全域と対向するように配置されている。
【0066】
[工程B]
(B−1)
まず、処理ガス供給手段160によって、チャンバー170内に処理ガスを充填し、プラズマ生成領域Sに処理ガスを供給する。
なお、処理ガスの充填のタイミングは、これに限定されず、例えば、チャンバー170内にパッケージ520を配置する前に行ってもよいし、リッド530をパッケージ520上に載置する前に行ってもよいし、プラズマ電極130に電圧を印加した後に行ってもよい。また、これら作業と並行して行ってもよい。
【0067】
(B−2(第1の工程))
次に、電圧印加手段150(高周波電源151)によって、プラズマ電極130に高周波電圧を印加し、プラズマ電極130とリッド530との間に電界を発生させて、プラズマ発生領域Sにプラズマグロー放電Pを発生させる。
図4(b)に示すように、発生したプラズマグロー放電Pは、リッド530のプラズマ電極130と対向する部位である第1の辺531a(第1の辺531aを頂点とする角部)と接触し、これにより、リッド530内に、第1の辺531aから、接地電極140が接触している第2の辺531bに向けた電流Aが流れる。
【0068】
そのため、リッド530の縁部535のうち、第1の辺531aに対応した領域でありパッケージ520と接触する接触部535aと、第2の辺531bに対応した領域でありパッケージ520と接触する接触部535bとに、それぞれ、抵抗熱が発生する。そして、この抵抗熱によって、接触部535a、535bがそれぞれ溶融し、図5(a)、(b)に示すように、リッド530がパッケージ520に溶接された第1の溶接部410および第2の溶接部420が形成される。
【0069】
(B−3)
次に、図6(a)、(b)に示すように、プラズマ電極130をリッド530の第3の辺531cに対して空隙(プラズマ生成空間S)を隔てて対向配置する。
なお、プラズマ電極130の配置は、前述した工程(B−2)と同様である。すなわち、プラズマ電極130は、リッド530の平面視にて、その先端132がリッド530の外側に位置し、また、先端132が第3の辺531cを向くように傾いて配置されている。また、プラズマ電極130は、その先端132が第3の辺531cに対して平行となるように、かつ、先端132が第3の辺531cの全域と対向するように配置されている。
【0070】
このような配置とするには、まず、前述した工程(B−2)終了後、プラズマ電極130および接地電極140(吸着パット121)を一旦、リッド530から離間させる。次に、接地電極140およびプラズマ電極130をリッド530に対して移動させるか、ステージ110を回転するか、または両方を行うかし、プラズマ電極130および接地電極140と、リッド530との位置関係を変更する。次に、リッド530に向けてプラズマ電極130および接地電極140を移動させる。このような手順により、プラズマ電極130および接地電極140を前述の配置とすることができる。
【0071】
(B−4(第2の工程))
次に、電圧印加手段150(高周波電源151)によって、プラズマ電極130に高周波電圧を印加し、プラズマ電極130とリッド530との間に電界を発生させて、プラズマ発生領域Sにプラズマグロー放電Pを発生させる。
図6(b)に示すように、発生したプラズマグロー放電Pは、リッド530のプラズマ電極130と対向する部位である第3の辺531c(第3の辺531cを頂点とする角部)と接触し、これにより、リッド530内に、第3の辺531cから、接地電極140が接触している第4の辺531dに向けた電流Aが流れる。
【0072】
そのため、リッド530の縁部535のうち、第3の辺531cに対応した領域でありパッケージ520と接触する接触部535cと、第4の辺531dに対応した領域でありパッケージ520と接触する接触部535dとに、それぞれ、抵抗熱が発生する。そして、この抵抗熱によって、接触部535c、535dがそれぞれ溶融し、図7(a)、(b)に示すように、リッド530がパッケージ520に溶接されてなる第3の溶接部430および第4の溶接部440が形成される。
第3の溶接部430は、第1、第2の溶接部410、420の一端同士を連結するように形成され、第4の溶接部440は、第1、第2の溶接部410、420の他端同士を連結するように形成されている。これにより、枠状の溶接部400が形成され、リッド530がパッケージ520にその凹部521の周囲の全周にて溶接された状態となる。
【0073】
ここで、前述の工程(B−2)、(B−4)において、プラズマ発生領域Sにプラズマグロー放電P、P’を発生させる際のチャンバー170内の処理ガスの圧力(すなわちチャンバー170内の圧力)としては、特に限定されないが、大気圧(100KPa)程度であるのが好ましい。具体的には、80KPa以上、120KPa以下程度であるのが好ましい。
【0074】
これにより、プラズマグロー放電P、P’を発生させ易くすることができる。これに加えて、プラズマグロー放電P、P’の広がりを抑制すること、すなわちプラズマグロー放電P、P’のビーム径を小さくすることができる。そのため、プラズマグロー放電P、P’をリッド530に対して、より局所的に接触させることができ、リッド530のパッケージ520への溶接をより効率的に行うことができる。
【0075】
なお、チャンバー170内の処理ガスの圧力が陰圧(例えば、80KPa未満)であると、前述した大気圧下の場合と比較して、プラズマグロー放電P、P’が発生し易くなるが、プラズマグロー放電P、P’のビーム径が大きくなる。
反対に、チャンバー170内の処理ガスの圧力が陽圧(例えば、120KPa超)であると、前述した大気圧下の場合と比較して、プラズマグロー放電P、P’が発生し難くなるが、プラズマグロー放電P、P’のビーム径を小さくすることができる。
【0076】
また、前述の工程(B−2)、(B−4)において、プラズマグロー放電P、P’の温度(リッド530と接触する領域の温度)としては、特に限定されないが、抵抗熱により溶融する接触部535a、535b、535c、535dの構成材料の融点よりも低いことが好ましい。具体的には、プラズマグロー放電P、P’の温度としては、例えば、300℃以上、500℃以下程度であるのが好ましい。これにより、振動デバイス500が受ける熱ダメージを低減することができ、信頼性の高い振動デバイス500を得ることができる。
【0077】
また、工程(B−2)、工程(B−4)では、リッド530をパッケージ520に向けて押圧した状態、すなわち、リッド530をパッケージ520に押し付けた状態にてプラズマグロー放電P、P’を発生させるのが好ましい。これにより、接触部535a、535b、535c、535dに抵抗熱を効率的に発生させることができる。そのため、効率的に、第1、第2、第3、第4の溶接部410、420、430、440を形成することができる。
【0078】
リッド530をパッケージ520に押圧する方法としては、特に限定されないが、例えば、吸着パット121によって押圧するのが好ましい。これにより、簡単にリッド530をパッケージ520に向けて押圧することができる。また、別途、リッド530を押圧する部材を用意しなくてもよいため、接合手順および接合装置100の装置構成の簡易化を図ることができる。
【0079】
また、工程(B−2)では、プラズマ電極130が第1の辺531aに対向するとともに、接地電極140が第2の辺531bに接触している。これと同様に、工程(B−4)では、プラズマ電極130が第3の辺531cに対向し、接地電極140が第4の辺531dに接触している。すなわち、工程(B−2)および工程(B−4)では、プラズマ電極130と接地電極140とが、リッド530の中心を介して互いに対向するように配置されている。
【0080】
プラズマ電極130と接地電極140とをこのような配置とすることにより、リッド530内にムラなく均一な電流を流すことができる。そのため、工程(B−2)ならば接触部535a、535bの全域を抵抗熱によって均一に加熱することができ、工程(B−4)ならば接触部535c、535dの全域を抵抗熱によって均一に加熱することができる。そのため、接合強度にムラのない溶接部400を形成することができる。
【0081】
また、工程(B−2)では、プラズマ電極130は、その先端132がリッド530の外側に位置し、また、先端132が第1の辺531aを向くように傾斜して配置されている。そのため、より効率的かつ確実に、プラズマ生成領域Sに発生したプラズマグロー放電Pを第1の辺531a(第1の辺531aを頂点とする角部)に接触させることができる。
【0082】
具体的には、角や先端などの突出した部分、尖った部分は、プラズマグロー放電Pが接触し易い。そのため、プラズマ電極130を、尖った部分である第1の辺531a(第1の辺531aを頂点とする角部)へ向けて配置することにより、より効率的に、リッド530にプラズマグロー放電を接触させることができる。そのため、接触部535a、535bに効率的に抵抗熱を発生させることができ、効率的に第1、第2の溶接部410、420を形成することができる。工程(B−4)でも、同様の効果を発揮することができる。
【0083】
また、工程(B−2)のように、リッド530の縁である第1の辺531a(第1の辺531aを頂点とする角部)へプラズマグロー放電Pを接触させることにより、リッド530の縁を介してリッド530内に電流を流すことができるので、第1の辺531aよりも内側(中央側)に位置する接触部535aの全域を抵抗熱によって均一に加熱することができる。そのため、より確実に、接合強度にムラのない第1の溶接部410を形成することができる。工程(B−4)でも、同様の効果を発揮することができる。
【0084】
また、工程(B−2)では、プラズマ電極130は、その先端132が第1の辺531aに対して平行となるように配置されている。そのため、第1の辺531a(第1の辺531aを頂点とする角部)の全域にわたって均一にプラズマグロー放電を接触させることができ、接触部535aの全域にわたって均一に抵抗熱が発生する。そのため、接合強度にムラのない均一な第1の溶接部410を形成することができる。工程(B−4)でも、同様の効果を発揮することができる。
【0085】
また、工程(B−2)では、プラズマ電極130は、その先端132が第1の辺531aの全域と対向するように配置されている。そのため、第1の辺531aの全域にプラズマグロー放電Pを接触させることができ、接触部535aの全域を同時かつ均一に溶融させることができる。その結果、より確実かつ効率的に、接合強度にムラのない第1の溶接部410を形成することができる。工程(B−4)でも、同様の効果を発揮することができる。
【0086】
また、工程(B−2)では、接地電極140は、第2の辺531b(第2の辺531bを頂点とする角部)の全域と接触して配置されている。そのため、第2の辺531bの全域を介して接地電極140に電流が流れていき、第2の辺531bよりも内側(中央側)に位置する接触部535bの全域を抵抗熱によって均一に加熱することができる。そのため、より確実に、接合強度にムラのない第2の溶接部420を形成することができる。工程(B−4)でも、同様の効果を発揮することができる。
【0087】
以上、接合装置100を用いたパッケージ520とリッド530との接合方法について説明した。
なお、リッド530をパッケージ520に接合した後は、チャンバー170から振動デバイス500を取り出し、例えば、封止孔527から気体を除去して収納空間3を減圧状態とした後、封止材528にて封止孔527を封止することにより、振動デバイス500を製造することができる。
【0088】
このような接合方法(本発明の接合方法)は、プラズマグロー放電を用いた抵抗加熱によってリッド530をパッケージ520に溶接するため、次のような効果を発揮することができる。
第1に、リッド530の熱酸化を効果的に抑制することができ、良好な外観を有する振動デバイス500を得ることができる。具体的には、プラズマグロー放電は、従来の溶接に用いられているプラズマアーク放電に対して温度が低い。処理ガスの種類や電圧値(電流値)にもよるが、通常、アーク溶接を実施する際のプラズマアーク放電の温度は、2000℃程度であり、プラズマグロー放電の温度は、400℃程度である。そのため、上述の接合方法によれば、リッド530の熱酸化を効果的に抑制することができ、良好な外観を有する振動デバイス500を得ることができる。
【0089】
また、プラズマグロー放電によれば、振動デバイス500が従来のアーク溶接のような高温環境下に曝されないため、振動デバイス500に加わる熱ダメージを抑制することができる。また、抵抗熱は、接触部535a、535b、535c、535d(接触部535a、535b、535c、535dとパッケージ520の上面526との界面)に局所的に発生するため、この点でも振動デバイス500に熱ダメージが加わるのを抑制することができる。
【0090】
なお、熱によるダメージとしては、種々のものがあり、例えば、圧電素子590に歪み(撓み)が生じてしまうことが挙げられる。また、前述したように、振動デバイス500の各種電極や配線は、ニッケル、クロムの下地層上に、金の電極層を成膜した構成であるため、熱によりこれら金属が合金化し、電極等が母材から剥がれ落ちてしまうことが挙げられる。
【0091】
第2に、パッケージ520とリッド530との接合性を均一化することができ、信頼性に優れる振動デバイス500を得ることができる。具体的には、溶接部400の全域が抵抗加熱により発生する抵抗熱により形成されたものである。そのため、溶接部400の全域にわたり接合状態を均一化することができ、優れた接合強度を有するとともに、所定箇所への応力集中を抑制することができる。その結果、信頼性に優れる振動デバイス500が得られる。
【0092】
なお、仮に、上述の接合方法をプラズマアーク放電によって行った場合には、次のような問題が発生する。例えば、前述の工程(B−2)にて、プラズマ生成領域Sにプラズマアーク放電を発生させた場合、プラズマグロー放電のときと同様にリッド530内に電流が流れ、抵抗加熱により接触部535a、535bが昇温する。しかしながら、プラズマアーク放電の温度が高い(例えば2000℃)ため、プラズマアーク放電が接触する部位の近傍にある接触部535aは、抵抗加熱よりもプラズマアーク放電自体が有する熱によって支配的に加熱され、当該熱により第1の溶接部410が形成される。一方、プラズマアーク放電が接触する部位と離間した接触部535bは、プラズマアーク放電自体が有する熱よりも抵抗加熱によって支配的に加熱され、当該熱により第2の溶接部420が形成される。
このように、溶接部の形成に関よる熱が第1、第2の溶接部410、420で異なってしまうため、異なる温度で第1、第2の溶接部410、420が形成され、溶接部400の全域の接合性を均一化することができない。そのため、溶接部400の所定箇所への応力集中が起きやすく、信頼性に優れる振動デバイス500を得ることができない。
【0093】
第3に、歪み(撓み)の発生が抑制され、信頼性に優れる振動デバイス500を得ることができる。具体的には、前述したように、従来と比較して温度の低いプラズマグロー放電を用いているため、パッケージ520およびリッド530の昇温(熱膨張)を抑制しつつ、これらを溶接することができる。そのため、ケーシング510内部に残留する残留力を小さくすることができ、圧電素子590の撓みが効果的に抑制された振動デバイス500を得ることができる。
【0094】
特に、前述の工程では、接触部535a、535bをパッケージ520に溶接して第1、第2の溶接部410、420を形成する第1の工程と、接触部535c、535dをパッケージ520に溶接して第3、第4の溶接部430、440を形成する第2の工程とを有している。すなわち、前述の工程では、対向する一対の溶接部を同時に形成する方法を用いている。
【0095】
このように、リッド530の縁部535の比較的広い範囲を同時に溶接することにより、従来のレーザー溶接のように局所的かつ連続的に溶接を行う場合と比較して、リッド530やパッケージの520の局所的な昇温を抑制することができ、歪み(撓み)の発生を抑制することができる。そのため、ケーシング510内部に残留する残留力を小さくすることができ、圧電素子590の歪み(撓み)が効果的に抑制された振動デバイス500を得ることができる。
【0096】
第4に、リッド530およびパッケージ520の小型化にも、簡単に、対応することができる。具体的には、上述の接合方法によれば、プラズマ電極130をリッド530と接触させなくてもよい。また、接地電極140は、リッド530に接触してさえすればよい。すなわち、従来のシーム溶接のように、一対のローラー電極をリッド530に接触させつつ移動させるというような煩雑な手順が必要ない。そのため、上記の接合方法によれば、リッド530およびパッケージ520が小さくても、これらを簡単かつ確実に接合(溶接)することができる。
【0097】
<第2実施形態>
次に、本発明の接合方法および接合装置の第2実施形態について説明する。
図8は、振動デバイスの一例を示す平面図、図9は、本発明の第2実施形態に係る接合装置を示す概略図、図10は、図9に示す接合装置を用いた接合方法(本発明の接合方法)を説明するための図である。
【0098】
以下、第2実施形態の接合方法および接合装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる接合方法および接合装置は、プラズマ電極および接地電極の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0099】
1.振動デバイス
まず、本実施形態の接合装置100Aにより溶接される部分を有する振動デバイス500Aについて説明する。
図8に示すように、振動デバイス500Aでは、ケーシング510Aの平面視形状が略円形である。具体的には、パッケージ520Aおよびリッド530Aの平面視形状がともに円形であり、凹部521の開口形状は、パッケージ520Aと同心的な円形である。このように、ケーシング510Aの平面視形状が異なる以外は、前述した振動デバイス500と同様である。
【0100】
2.接合装置
図9に示すように、接合装置100Aでは、プラズマ電極130Aは、針状の先端部131Aを有している。
また、接地電極140Aは、リッド530に接触する傾斜面142Aを有している。ただし、傾斜面142Aは、前述した第1実施形態の傾斜面142ほど延在していない。また、接地電極140Aは、吸着パット121に固定されていない。
これらプラズマ電極130Aおよび接地電極140Aは、ステージ110に対して自在に変位することができるように構成されている。
【0101】
3.接合方法
次に、接合装置100Aを用いたパッケージ520Aとリッド530Aとの接合方法(本発明の接合方法)について説明する。
[工程A]
(A−1)
まず、ステージ110上にパッケージ520Aを載置する。
(A−2)
次に、パッケージ520A上に、凹部521を塞ぐようにリッド530Aを載置する。
【0102】
(A−3)
次に、図10(a)、(b)に示すように、プラズマ電極130Aをリッド530Aの上面531Aの縁に対して空隙(プラズマ生成空間S)を隔てて対向配置するとともに、接地電極140Aをリッド530Aの上面531Aの縁に接触させる。
具体的には、プラズマ電極130Aは、リッド530Aの平面視にて、その先端132Aがリッド530Aの外側に位置するとともに、先端132Aがリッド530Aの上面531Aの縁を向くように傾いて配置される。
【0103】
一方、接地電極140Aは、その傾斜面142Aがリッド530Aの上面531Aの縁と接触するように配置される。また、接地電極140Aは、プラズマ電極130Aとリッド530Aの中心Oを介して対向するように配置され、リッド530Aの上面531Aの縁のプラズマ電極130Aと対向する部位531A’と、接地電極140Aと接触する部位531A”とがリッド530Aの中心Oを介して対向している。
【0104】
[工程B]
(B−1)
まず、処理ガス供給手段160によって、チャンバー170内に処理ガスを充填し、プラズマ生成領域Sに処理ガスを供給する。
(B−2)
次に、電圧印加手段150(高周波電源151)によって、プラズマ電極130Aに高周波電圧を印加し、プラズマ電極130Aとリッド530Aとの間に電界を発生させ、プラズマ発生領域Sにプラズマグロー放電Pを発生させる。
図10(a)、(b)に示すように、発生したプラズマグロー放電Pは、リッド530Aのプラズマ電極130Aと対向する部位531A’と接触し、リッド530A内に、部位531A’から部位531A”に向けた電流Aが流れる。
そして、このように、プラズマグロー放電Pを発生させつつ、プラズマ電極130Aと接地電極140Aとを互いの位置関係(すなわち、リッド530Aの中心を介して対向する位置関係)を維持したまま、リッド530Aの縁に沿って移動する。これにより、リッド530Aのパッケージ520Aと接触する接触部535Aの全域に抵抗熱が発生する。そして、この抵抗熱によって、接触部535Aが全域にわたって溶融し、リッド530Aがパッケージ520Aに溶接される。
以上のような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0105】
<第3実施形態>
次に、本発明の接合方法および接合装置の第3実施形態について説明する。
図11は、本発明の第3実施形態に係る接合装置の概略図、図12、図13および図14は、図11に示す接合装置を用いた接合方法(本発明の接合方法)を説明するための図である。
【0106】
以下、第3実施形態の接合方法および接合装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかる接合方法および接合装置は、2つのリッドを同時に溶接する以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0107】
1.接合装置
まず、本実施形態の接合装置100Bについて説明する。
図11に示すように、接合装置100Bは、ステージ110、接地電極140および給材手段120がそれぞれ2つずつ設けられている。それ以外は、前述した第1実施形態の接合装置100と同様である。このような接合装置100Bでは、2つのリッド530を同時に溶接することができ、生産性を向上することができる。
【0108】
なお、以下では、説明の便宜上、2つのステージ110を第1、第2のステージ110’、100”とし、2つの接地電極140を第1、第2の接地電極140’、140”とし、2つの給材手段120を第1、第2の給材手段120’、120”とする。また、第1のステージ110’上に配置されるパッケージ520およびリッド530を「パッケージ520’」および「リッド530’」とし、第2のステージ110”上に配置されるパッケージ520およびリッド530を「パッケージ520”」および「リッド530”」とする。
【0109】
2.接合方法
次に、接合装置100Bを用いた接合方法について説明する。
[工程A]
(A−1)
まず、第1のステージ110’上にパッケージ520’を載置するとともに、第2のステージ110”にパッケージ520”を載置する。これにより、パッケージ520’、520”が並設される。
【0110】
(A−2)
次に、第1の給材手段120’によって、パッケージ520’上にリッド530’を載置するとともに、第2の給材手段120”によって、パッケージ520”上にリッド530”を載置する。図12(a)、(b)に示すように、この状態では、リッド530’の第1の辺531a’と、リッド530”の上面531”の第1の辺531a”とが対向しかつ互いに平行となっている。
また、第1の接地電極140’の傾斜面142’は、リッド530’の第2の辺531b’と接触しており、第2の接地電極140”の傾斜面142”は、リッド530”の第2の辺531b”と接触している。
【0111】
(A−3)
次に、図12(a)、(b)に示すように、プラズマ電極130をリッド530’、530”の間に、リッド530’、530”に対して空隙(プラズマ生成空間S)を隔てて対向配置する。なお、プラズマ電極130は、その先端132が第1の辺531a’、531a”と平行となるとともに、第1の辺531a’、531a”の全域と対向するように配置されている。また、プラズマ電極130は、リッド530’、530”のいずれの方にも傾いておらず、下側を向いている。また、プラズマ電極130は、その先端132と各リッド530’、530”との離間距離がほぼ等しくなるように配置されている。
【0112】
[工程B]
(B−1)
まず、処理ガス供給手段160によって、チャンバー170内に処理ガスを充填し、プラズマ生成領域Sに処理ガスを供給する。
【0113】
(B−2)
次に、電圧印加手段150(高周波電源151)によって、プラズマ電極130に高周波電圧を印加し、プラズマ電極130と各リッド530’、530”との間に電界を発生させ、プラズマ発生領域S’、S”にそれぞれプラズマグロー放電P’、P”を発生させる。
【0114】
図12(b)に示すように、発生したプラズマグロー放電P’は、リッド530’のプラズマ電極130と対向する部位である第1の辺531a’と接触し、これにより、リッド530’内に、第1の辺531a’から、第1の接地電極140’が接触している第2の辺531b’に向けた電流A’が流れる。
そのため、リッド530’のパッケージ520’との接触部535a’、535b’に、それぞれ、抵抗熱が発生する。そして、この抵抗熱によって、接触部535a’、535b’がそれぞれ溶融し、第1の溶接部410’および第2の溶接部420’が形成される。
【0115】
また、これとともに、プラズマグロー放電P”は、リッド530”のプラズマ電極130と対向する部位である第1の辺531a”と接触し、これにより、リッド530”内に、第1の辺531a”から、第2の接地電極140”が接触している第2の辺531b”に向けた電流A”が流れる。
そのため、リッド530”のパッケージ520”との接触部535a”、535b”に、それぞれ、抵抗熱が発生する。そして、この抵抗熱によって、接触部535a”、535b”がそれぞれ溶融し、第1の溶接部410”および第2の溶接部420”が形成される。
【0116】
(B−3)
次に、図13(a)、(b)に示すように、リッド530’、530”の第3の辺531c’、531c”同士が対向するように第1、第2のステージ110’、110”を回転させた後、第1の接地電極140’をリッド530’の第4の辺531d’と接触させるとともに、第2の接地電極140”をリッド530”の第4の辺531d”と接触させる。
【0117】
また、プラズマ電極130をリッド530’、530”の間に、リッド530’、530”に対して空隙(プラズマ生成空間S)を隔てて対向配置する。なお、プラズマ電極130は、その先端132が第3の辺531c’、531c”と平行となるとともに、第3の辺531c’、531c”の全域と対向するように配置されている。また、プラズマ電極130は、リッド530’、530”のいずれの方にも傾いておらず、下側を向いている。また、プラズマ電極130は、その先端132と各リッド530’、530”との離間距離がほぼ等しくなるように配置されている。
【0118】
(B−4)
次に、電圧印加手段150(高周波電源151)によって、プラズマ電極130に高周波電圧を印加し、プラズマ電極130と各リッド530’、530”との間に電界を発生させ、プラズマ発生領域S’、S”にそれぞれプラズマグロー放電P’、P”を発生させる。
【0119】
図13(b)に示すように、発生したプラズマグロー放電P’は、リッド530’のプラズマ電極130と対向する部位である第3の辺531c’と接触し、これにより、リッド530’内に、第3の辺531c’から、第1の接地電極140’が接触している第4の辺531d’に向けた電流A’が流れる。
そのため、リッド530’のパッケージ520’との接触部535c’、535d’に、それぞれ、抵抗熱が発生する。そして、この抵抗熱によって、接触部535c’、535d’がそれぞれ溶融し、第3の溶接部430’および第4の溶接部440’が形成される。
【0120】
また、これとともに、プラズマグロー放電P”は、リッド530”のプラズマ電極130と対向する部位である第3の辺531c”と接触し、これにより、リッド530”内に、第3の辺531c”から、第2の接地電極140”が接触している第4の辺531d”に向けた電流A”が流れる。
そのため、リッド530”のパッケージ520”との接触部535c”、535d”に、それぞれ、抵抗熱が発生する。そして、この抵抗熱によって、接触部535c”、535d”がそれぞれ溶融し、第3の溶接部430”および第4の溶接部440”が形成される。
【0121】
図14に示すように、リッド530’において、第3の溶接部430’は、第1、第2の溶接部410’、420’の一端同士を連結するように形成され、第4の溶接部440’は、第1、第2の溶接部410’、420’の他端同士を連結するように形成されている。これにより、枠状の溶接部400’が形成され、リッド530’がパッケージ520’に凹部521の周囲の全周にて溶接される。
【0122】
同様に、リッド530”において、第3の溶接部430”は、第1、第2の溶接部410”、420”の一端同士を連結するように形成され、第4の溶接部440”は、第1、第2の溶接部410”、420”の他端同士を連結するように形成されている。これにより、枠状の溶接部400”が形成され、リッド530”がパッケージ520”に凹部521の周囲の全周にて溶接される。
以上のような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0123】
以上、本発明の接合方法および接合装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、チャンバー内にてパッケージにリッドを載置する構成について説明したが、これに限定されず、例えば、チャンバー外にてパッケージにリッドを載置し、その後、ステージを移動してチャンバー内に配置してもよい。
【0124】
また、前述した実施形態では、振動デバイスが有するケーシングが、機能素子を収納する凹部を有する基体(パッケージ)と、基体の凹部の開口を塞ぐ蓋体(リッド)とで構成されていたが、反対に、機能素子を収納する凹部を有する蓋体(キャップ)と、蓋体の凹部の開口を塞ぐ基体(ベース基板)とで構成されていてもよい。
具体的には、図15に示すように、振動デバイス500Cのケーシング510cは、板状のベース基板(基体)920cと、下面に開放する凹部931cを有するキャップ(蓋体)930Cとを有し、キャップ930Cの下面(凹部931Cの開口の周囲に形成されている面)932Cにて、ベース基板920Cに接合(溶接)されている。そして、凹部931C内に圧電素子590が収納されている。
【符号の説明】
【0125】
100……接合装置 100A……接合装置 100B……接合装置 110……ステージ 110’……第1のステージ 110”……第2のステージ 120……給材手段
120’……第1の給材手段 120”……第2の給材手段 121……吸着パット 122……吸引孔 123……吸引ポンプ 124……移動手段 130……プラズマ電極 130A……プラズマ電極 131……先端部 131A……先端部 132……先端 132A……先端 140……接地電極 140’……第1の接地電極 140”……第2の接地電極 140A……接地電極 141……先端部 142……傾斜面 142’……傾斜面 142”……傾斜面 142A……傾斜面 150……電圧印加手段 151……高周波電源 160……処理ガス供給手段 161……ガスボンベ 162……処理ガス供給流路 163……マスフローコントローラー 164……バルブ 170……チャンバー 3……収納空間 400……溶接部 400’……溶接部 400”……溶接部 410……第1の溶接部 410’……第1の溶接部 410”……第1の溶接部 420……第2の溶接部 420’……第2の溶接部 420”……第2の溶接部 430……第3の溶接部 430’……第3の溶接部 430”……第3の溶接部 440……第4の溶接部 440’……第4の溶接部 440”……第4の溶接部 500……振動デバイス 500A……振動デバイス 500C……振動デバイス 510……ケーシング 510A……ケーシング 510C……ケーシング 520……パッケージ 520’……パッケージ 520”……パッケージ 520A……パッケージ 521……凹部 523……ベース 524……枠部 526……上面 527……封止孔 528……封止材 530……リッド 530’……リッド 530”……リッド 530A……リッド 531……上面 531’……上面 531”……上面 531A……上面 531A’……部位 531A”……部位 531a……第1の辺 531a’……第1の辺 531a”……第1の辺 531b……第2の辺 531b’……第2の辺 531b”……第2の辺 531c……第3の辺 531c’……第3の辺 531c”……第3の辺 531d……第4の辺 531d’……第4の辺 531d”……第4の辺 535……縁部 535a……接触部 535a’……接触部 535a”……接触部 535b……接触部 535b’……接触部 535b”……接触部 535c……接触部 535c’……接触部 535c”……接触部 535d……接触部 535d’……接触部 535d”……接触部 535A……接触部 541……接続端子 542……接続端子 561……導電性接着剤 562……導電性接着剤 590……圧電素子 591……圧電基板 593……励振電極 593a……電極部 593b……ボンディングパッド 593c……配線 595……励振電極 595a……電極部 595b……ボンディングパッド 595c……配線 920C……ベース基板 930C……キャップ 931C……凹部 932C……下面 A……電流 A’……電流 A”……電流 P……プラズマグロー放電 P’……プラズマグロー放電 P”……プラズマグロー放電 S……プラズマ生成空間 S’……プラズマ生成空間 S”……プラズマ生成空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体および導電性を有する蓋体のうちの少なくとも一方に凹部が形成されており、前記凹部の開口を塞ぐように前記基体と前記蓋体とを接合する接合方法であって、
前記凹部の開口を塞ぐように前記蓋体を前記基体に載置するとともに、第1の電極を前記蓋体に対して空隙を隔てて配置し、基準電位点に接続された第2の電極を前記基体または前記蓋体に接触させ、
前記第1の電極と前記蓋体の間の前記空隙に処理ガスを供給しつつ、前記第1の電極へ電圧を印加することにより、前記第1の電極と前記蓋体との間にプラズマグロー放電を発生させ、
前記プラズマグロー放電を前記蓋体に接触させることにより前記蓋体に電流を流し、前記蓋体の前記基体との接触部に発生する抵抗熱によって、前記蓋体を前記基体に溶接することを特徴とする接合方法。
【請求項2】
前記第1の電極を、前記蓋体の縁と前記空隙を隔てて配置する請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
前記第1の電極は、前記蓋体の平面視にて、前記蓋体の外側に位置している請求項2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記第1の電極は、前記蓋体の前記縁を向いている請求項3に記載の接合方法。
【請求項5】
前記第2の電極は、前記蓋体と接触する請求項1ないし4のいずれかに記載の接合方法。
【請求項6】
前記第2の電極は、前記蓋体の、前記第1の電極と対向する部位と前記蓋体の中心を介して対向する位置に接触する請求項5に記載の接合方法。
【請求項7】
前記第2の電極は、前記蓋体の縁に接触する請求項6に記載の接合方法。
【請求項8】
前記蓋体および前記基体の少なくとも一方を他方に押圧した状態にて、前記プラズマグロー放電を発生させる請求項1ないし7のいずれかに記載の接合方法。
【請求項9】
前記蓋体を前記基体上に載置する給材手段を有している請求項1ないし8のいずれかに記載の接合方法。
【請求項10】
前記給材手段は、蓋体を保持する保持部を有し、
前記保持部により、前記蓋体を前記基体に押圧した状態にて、前記プラズマグロー放電を発生させる請求項9に記載の接合方法。
【請求項11】
前記第2の電極は、前記保持部に一体的に固定されており、前記保持部が前記蓋体を保持した状態で前記蓋体に接触する請求項9または10に記載の接合方法。
【請求項12】
大気圧下にて、前記プラズマグロー放電を発生させる請求項1ないし11のいずれかに記載の接合方法。
【請求項13】
前記プラズマグロー放電の温度は、前記蓋体の前記抵抗熱により溶融する部分の構成材料の融点よりも低い請求項1ないし12のいずれかに記載の接合方法。
【請求項14】
前記蓋体の輪郭形状は、第1の辺と、第1の辺と対向配置された第2の辺と、前記第1の辺および前記第2の辺の一端同士を連結する第3の辺と、前記第1の辺および前記第2の辺の他端同士を連結する第4の辺と、を有する四角形であり、
前記第1の電極は、所定方向に延在する先端部を有し、前記先端部が前記第1の辺の全域と対向するように配置される請求項1ないし13のいずれかに記載の接合方法。
【請求項15】
前記第2の電極は、前記第2の辺の全域と接触するように配置される請求項14に記載の接合方法。
【請求項16】
前記第1の電極を前記第1の辺の全域と対向配置するとともに、前記第2の電極を前記第2の辺の全域と接触させて配置した状態にて前記第1の電極に電圧を印加し、前記蓋体の縁部の前記第1の辺および前記第2の辺に対応する部分を前記基体に溶接する第1の工程と、
前記第1の電極を前記第3の辺の全域と対向配置するとともに、前記第2の電極を前記第4の辺の全域と接触させて配置した状態にて前記第1の電極に電圧を印加し、前記蓋体の縁部の前記第3の辺および前記第4の辺に対応する部分を前記基体に溶接する第2の工程とを有する請求項14または15に記載の接合方法。
【請求項17】
前記凹部には、機能素子が収納されている請求項1ないし16のいずれかに記載の接合方法。
【請求項18】
基体および導電性を有する蓋体のうちの少なくとも一方に凹部が形成されており、前記凹部の開口を塞ぐように前記基体と前記蓋体とを接合する接合装置であって、
第1の電極と、
基準電位点に接続された第2の電極と、
処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、を有し、
前記凹部の開口を塞ぐように前記蓋体を前記基体に載置するとともに、前記第1の電極を前記蓋体に対して空隙を隔てて配置し、前記第2の電極を前記基体または前記蓋体に接触した状態とし、
前記第1の電極と前記蓋体の間の前記空隙に処理ガスを供給しつつ、前記第1の電極へ電圧を印加することにより、前記第1の電極と前記蓋体との間にプラズマグロー放電を発生させ、
前記蓋体に前記プラズマグロー放電を接触させて前記蓋体内に電流を流し、前記蓋体と前記基体との接触部に発生する抵抗熱によって、前記蓋体を前記基体に溶接することを特徴とする接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−30691(P2013−30691A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167250(P2011−167250)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】