説明

接点装置及びガラスアンテナ装置

【課題】ガラスアンテナ装置の受信性能の安定及びシールド性能の向上を図ることができ、アンプユニットが不要なガラスアンテナ装置にも使用できる接点装置の提供。
【解決手段】同軸線14の内部導体(19)に接続された第1導体(20)と、同軸線14の外部導体(17)に接続された第2導体21と、第1導体(20)及び第2導体21間を絶縁する絶縁体(22)と、固定された第1機器に形成された接点(図示せず)及び第1導体(20)に接触して、第1機器及び第1導体(20)間を電気的に接続する導電ゴム製の接続部材13と、固定された第2機器に固定される固定部材(図示せず)と、第1導体(20)及び接続部材13を固定部材から第1機器の接点へ付勢する付勢部材(図示せず)とを備える構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のガラスアンテナ装置に使用される接点装置、及びこの接点装置を使用するガラスアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、車両に搭載されるラジオ及びテレビジョン装置用のアンテナについては、車両の外観上の理由等により、ガラスアンテナ装置が主流となっている。
ガラスアンテナ装置は、車両のリアウインドウガラス又はフロントウインドウガラス等の内部又は車室側表面に、埋込み、印刷又は貼付け等により、ラジオ及びテレビジョン等の電波を受信する為の複数のアンテナ素子が形成され、アンテナ素子により受信した信号をチューナへ伝送するように構成されている。
ガラスアンテナ装置では、アンテナ素子とチューナ側との接続に、ガラスの車室側表面にアンテナ素子の接点を設け、この接点にチューナ側の接触子が当接する接点装置が多用されており、これにより、煩雑な結線作業を不要にし、部品寸法のばらつきにも対応し易いようになっている。
【0003】
特許文献1には、弾性部材によって付勢され被当接体に押付けられ、導電性フィラーを含有する導電ゴムからなり、被当接体との当接面の端縁に角R(R≧0.1mm)が形成され、JISA硬度を60以上95以下とされた当接部材、及びこの当接部材を備えた接点装置が開示されている。
【0004】
図10は、特許文献1に開示された接点装置の要部構成例を示す外観図である。この接点装置は、車両ウインドウアンテナ用の信号処理ユニット(アンプユニット)42と、アンテナ素子のウインドウガラス6の車室側表面に設けられた接点4(被当接体)との間で導通路を形成する。車両側に固定された信号処理ユニット42の導体パターン(図示せず)、導線40、金属リード部46、導電ゴム製の当接部48、及び接点4が、この順に電気的に接続されて導通路が形成される。
基体部32は、絶縁性部材により構成され、ボルトにより信号処理ユニット42側に固定される。
【0005】
中間体38は、基体部32に設けられたガイド孔にガイドされ、ウインドウガラス6に対して接離自在である。ガイド孔は、ウインドウガラス6側に開口を有し、信号処理ユニット42の設置面に対して略垂直となる方向に伸びる有底孔として設けられ、断面は略長穴形状である。中間体38は、このガイド孔に案内され、基体部32のウインドウガラス6側の端面から出没自在となる。
【0006】
中間体38は、上底壁および側壁を有する筒状の部材として構成され、上底壁に設けられた貫通孔に当接部48が緩挿され、当接部48はウインドウガラス6側に露出している。当接部48は、中間体38内で弾性部材(金属製スプリング)34によりウインドウガラス6に向けて付勢され、ウインドウガラス6に押し付けられる。
この接点装置では、弾性部材34は導通路としては使用されず、上述したように、アンテナ素子の接点4、当接部48、金属リード部46、導線40、信号処理ユニット42の導体パターンの経路で信号が伝達される。
【0007】
特許文献2には、弾性部材に付勢されて被当接体に押付けられる導体からなる当接部と、当接部と弾性部材との間に介在する絶縁体と、当接部に接続され導通路の一部となる導線とを備え、弾性部材によらず導線及び当接部を介して被当接体との導通を確保し、寄生キャパシタンスを抑制する高周波回路用接点装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−166307号公報
【特許文献2】特開2005−166311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した引用文献1に記載された接点装置では、導通路として、一部区間(導線40)でAV線(自動車用電線)を使用している為、アンテナの受信性能及びシールド性能への悪影響が出る虞があるという問題がある。また、信号処理ユニット(アンプユニット)42に接点装置が実装され、導電ゴムとアンプユニットの基板との間をAV線で接続しているが、例えば、アンプユニットが不要なガラスアンテナ装置の場合は、このような接続形態を適用することができないという問題がある。アンプユニットが不要なガラスアンテナ装置の場合、接点装置と同軸線とを直接接続する必要がある。
【0009】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、第1,2発明では、ガラスアンテナ装置の受信性能の安定及びシールド性能の向上を図ることができ、アンプユニットが不要なガラスアンテナ装置にも使用できる接点装置を提供することを目的とする。
第3,4発明では、受信性能の安定及びシールド性能の向上を図ることができるガラスアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る接点装置は、同軸線の内部導体に接続された第1導体と、前記同軸線の外部導体に接続された第2導体と、前記第1導体及び第2導体間を絶縁する絶縁体と、固定された第1機器に形成された接点及び前記第1導体に接触して、前記第1機器及び第1導体間を電気的に接続する導電ゴム製の接続部材と、固定された第2機器に固定される固定部材と、前記第1導体及び接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを備えることを特徴とする。
【0011】
この接点装置では、第1導体が、同軸線の内部導体に接続され、第2導体が、同軸線の外部導体に接続されている。絶縁体が、第1導体及び第2導体間を絶縁し、導電ゴム製の接続部材が、固定された第1機器に形成された接点及び第1導体に接触して、第1機器及び第1導体間を電気的に接続する。固定部材が、固定された第2機器に固定され、付勢部材が、第1導体及び接続部材を固定部材から第1機器に形成された接点へ付勢する。
【0012】
第2発明に係る接点装置は、前記第1導体及び接続部材間に挟着され、両面に電極を有する板形状のコンデンサを更に備え、該コンデンサは、前記第1導体及び接続部材間に直列接続してあることを特徴とする。
【0013】
この接点装置では、両面に電極を有する板形状のコンデンサが、第1導体及び接続部材間に挟着され、第1導体及び接続部材間に直列接続されている。
【0014】
第3発明に係るガラスアンテナ装置は、車両の窓ガラスに形成されるアンテナ素子と、該アンテナ素子により受信した信号を伝送する同軸線とを備え、該同軸線の内部導体に接続された第1導体と、前記同軸線の外部導体に接続された第2導体と、前記第1導体及び第2導体間を絶縁する絶縁体と、前記アンテナ素子に形成された接点及び前記第1導体に接触して、該接点及び第1導体間を電気的に接続する導電ゴム製の接続部材と、車体側に固定される固定部材と、前記第1導体及び接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを有する接点装置を備えることを特徴とする。
【0015】
このガラスアンテナ装置では、アンテナ素子が、車両の窓ガラスに形成され、同軸線が、アンテナ素子により受信した信号を伝送する。接点装置は、第1導体が、同軸線の内部導体に接続され、第2導体が、同軸線の外部導体に接続されている。絶縁体が、第1導体及び第2導体間を絶縁し、導電ゴム製の接続部材が、アンテナ素子に形成された接点及び第1導体に接触して、接点及び第1導体間を電気的に接続する。固定部材が、車体側に固定され、付勢部材が、第1導体及び接続部材を固定部材からアンテナ素子の接点へ付勢する。
【0016】
第4発明に係るガラスアンテナ装置は、前記接点装置は、前記第1導体及び接続部材間に挟着され、両面に電極を有する板形状のコンデンサを更に有し、該コンデンサは、前記第1導体及び接続部材間に直列接続してあることを特徴とする。
【0017】
このガラスアンテナ装置では、接点装置は、両面に電極を有する板形状のコンデンサが、第1導体及び接続部材間に挟着され、第1導体及び接続部材間に直列接続されている。
【発明の効果】
【0018】
第1発明に係る接点装置によれば、ガラスアンテナ装置の受信性能の安定及びシールド性能の向上を図ることができ、アンプユニットが不要なガラスアンテナ装置にも使用できる接点装置を実現することができる。
【0019】
第2発明に係る接点装置によれば、ガラスアンテナ装置の受信性能の安定及びシールド性能の向上を図ることができ、アンプユニットが不要なガラスアンテナ装置にも使用できる接点装置を実現することができる。また、回路のインピーダンスマッチング及び直流カットの為のコンデンサを接続する場合に、作業性の悪い同軸線とコンデンサとの接続作業が不要となる。
【0020】
第3発明に係るガラスアンテナ装置によれば、受信性能の安定及びシールド性能の向上を図ることができるガラスアンテナ装置を実現することができる。
【0021】
第4発明に係るガラスアンテナ装置によれば、受信性能の安定及びシールド性能の向上を図ることができるガラスアンテナ装置を実現することができる。また、回路のインピーダンスマッチング及び直流カットの為のコンデンサを接続する場合に、作業性の悪い同軸線とコンデンサとの接続作業が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係るガラスアンテナ装置及び接点装置の実施の形態1の要部構成を示す説明図である。
このガラスアンテナ装置は、ラジオ、テレビジョン等のシステムについて、ダイバシティ方式より各メディアで2〜4本程度のアンテナ素子(第1機器)3を有する複数アンテナ1,7を搭載しており、リアウインドウのガラス6と車両のルーフパネル8とが重なった領域Aで、車室側に各接点4が露出形成されている状態を示している。各接点4は、車幅方向に略等間隔に形成されている。
【0023】
ルーフパネル8には、アンテナ素子3で受信した信号を、図示しないチューナ等へ伝送する為の接点装置2を、車体側で支持する為の支持部材(第2機器)5がねじ等で固定されている。支持部材5及び各接点4間には、接点装置2が挿設されている。
尚、領域Aは、図示しないカバー又は着色ガラス等により、支持部材5及び接点4等が見えないようにされている。
【0024】
図2は、図1に示す接点装置2の外観例を示す斜視図であり、(a)はガラス6に対向する側を、(b)はその裏側を示している。
接点装置2は、略直方体形状を成す3つの部分が横並びに一体構成されており、その中央の接続部10及び両側のハウジング11は、絶縁部材で構成され、ガラスに対向する壁16の中央部に設けられた方形の貫通孔から、直方体形状の導電ゴム13(接続部材)が突出している。接続部10の直方体形状の長手方向の一方の端面は、方形の孔が開口しており、同軸線14をかしめた外部導体が嵌挿されている。
【0025】
接続部10の両側は、導電ゴム13をガラス6方向へ付勢する付勢部材を収納するハウジング11である。ハウジング11のガラス6に対向する壁、ハウジング11の接続部10との隔壁、及び接続部10の壁16に対向する壁には、1枚の短冊状の金属板からπ型に折曲げ形成されたアースブラケット12の各部分が、それぞれに半ば埋込まれた状態で組込まれている。ハウジング11のガラス6とは反対側の壁には、方形の孔が開口している。
【0026】
図3は、図2に示す接続部10の外観例を示す斜視図である。
接続部10は、上述したように、壁16に設けられた貫通孔から導電ゴム13が突出しており、接続部10の直方体形状の長手方向の一方の端面は、方形の孔が開口している。段剥きした同軸線14の外部導体17と外被とを、外導体端子21でかしめ、この方形の孔から接続部10内に嵌挿している。この際、外導体端子21とアースブラケット12とは導通するようになっている。外部導体17は、同軸線14内で絶縁体18により内部導体19と絶縁されている。
【0027】
接続部10の内部は、図4の分解斜視図(ハウジング11は省略)に示すように、同軸線14の内部導体19に接続された方形板形状の内導体端子(第1導体)20と導電ゴム13とが、コンデンサ23を挟着した構造となっている。コンデンサ23は、両面に電極を有する方形板形状であり、内導体端子20及び導電ゴム13間に直列接続されている。
内導体端子20及び外導体端子(第2導体)21間には、絶縁性薄板でコの字形状に形成された絶縁体22が設けられ、内導体端子20及び外導体端子21間を絶縁している。
【0028】
導電ゴム13は、コンデンサ23に接する面が出張るように鍔部13aが設けられている。
壁16の中央部に設けられた貫通孔は、導電ゴム13の断面より僅かに大きく、導電ゴム13が壁16の貫通孔の縁に接触し、鍔部13aが絶縁体22の内壁に接触することにより、導電ゴム13が接点4に当接する角度が保持される。
尚、導電ゴム13の断面、内導体端子20及びコンデンサ23の形状は、方形に限定されることはなく、円形、楕円形、多角形等であっても良い。
【0029】
ハウジング11は、図5(a)の断面図に示すように、また、上述したように、ガラス6に対向する壁にアースブラケット12の一部が組込まれており、この壁に対向する壁には、方形の孔が開口し、この孔には、この孔より断面が僅かに小さい直方体形状の中間体(固定部材)25が挿通している。中間体25のガラス6と反対側の壁には、支持部材5にねじ止めする為のねじ孔(ナット)15が設けられ、支持部材5を貫通したねじ24が、ナットのねじ孔15に螺合することにより、中間体25が支持部材5に固定されている。
【0030】
中間体25のガラス6側は開放されており、中間体25内には、アースブラケット12及びねじ24間に付勢状態で装着された金属製のスプリング(付勢部材)26が収納されている。これにより、支持部材5、ねじ24、スプリング26、アースブラケット12(外導体端子21)、同軸線14の外部導体17の経路でアースを取ることができる。また、場合によっては、余長を有する銅テープ状の導体をアースブラケット12及びねじ24間に接続し、アースを強化しても良い。
【0031】
中間体25のアースブラケット12側へ開放された端縁には、外側に鍔部が設けられ、スプリング26によりアースブラケット12から付勢された中間体25は、図5(b)に示すように、この鍔部がハウジング11の孔の縁に当接する迄突出可能である。また、中間体25は、その鍔部が、アースブラケット12、及びハウジング11の孔の縁間を移動する距離、付勢された状態で移動可能である。
スプリング26は、その自然長Yに対して、図5(b)に示す最も伸張したときの長さX1が、X1<Yとなるように、つまり、常時圧縮された状態となるようにしてある。
【0032】
導電ゴム13は、支持部材5に対して、図5(b)に示すように、中間体25の鍔部がハウジング11の孔の縁に当接するときの位置から、図5(c)に示すように、中間体25の鍔部がアースブラケット12に当接するときの位置迄、付勢された状態で移動可能である。従って、導電ゴム13は、図5(a)に示すように、(b)(c)がそれぞれ示す位置の中間を標準位置として、(b)(c)が示す位置の間は、想定誤差として、取付け可能である。
この想定誤差の間を中間体25が移動することがあっても、接続部10及び導電ゴム13は、動くことなく、常時、付勢されて接点4に接触し続けることができ、不必要に動いて故障することがない。
【0033】
このガラスアンテナ装置は、アンテナ1,7の各アンテナ素子3が、ラジオ及びテレビジョン等の電波を受信し、受信した高周波信号は、アンテナ素子3の接点4、導電ゴム13、コンデンサ23、内導体端子20、同軸線14の内部導体19の経路で、車両内の図示しないチューナへ伝送される。
【0034】
(実施の形態2)
図6は、本発明に係る接点装置の実施の形態2の外観を示す斜視図である。
この接点装置2aは、実施の形態1で説明した接点装置2と同様に、図1に示すガラスアンテナ装置に使用されるものであり、図6(a)はガラス6に対向する側を、(b)はその裏側を示している。
この接点装置2aは、略直方体形状を成す2つの部分が、略Z字形状であるアースブラケット12aの、ガラス6への距離が異なる2つの面に、それぞれ固定されており、アースブラケット12aの2つの面を接続する部分は、各面に略直角に形成されている。
【0035】
アースブラケット12aのガラス6への距離が近い方の面には、接続部10aが固定されている。接続部10aの構成は、図3,4で説明した接続部10と略同様であるので、説明を省略する。
アースブラケット12aのガラス6への距離が遠い方の面には、接続部10aの導電ゴム13をガラス6方向へ付勢する付勢部材を収納するハウジング11aが固定されている。
【0036】
ハウジング11aは、図7(a)の断面図に示すように、また、上述したように、ガラス6に対向する側の壁に、方形の孔が開口され、この孔には、この孔より断面が僅かに小さい直方体形状の中間体(固定部材)25aが挿通している。中間体25aのガラス6に対向する側の壁には、支持部材5にねじ止めする為のねじ24が貫通する為の孔15a(図6(a))が設けられ、中間体25aの内側から孔15aを貫通したねじ24が、支持部材5に設けられたねじ穴に螺合することにより、中間体25aが支持部材5に固定される。
【0037】
中間体25aのアースブラケット12a側は開放されており、中間体25a内には、アースブラケット12a及びねじ24間に付勢状態で装着された金属製のスプリング26が収納されている。これにより、支持部材5、ねじ24、スプリング26、アースブラケット12a、同軸線14の外部導体17の経路でアースを取ることができる。また、場合によっては、余長を有する銅テープ状の導体をアースブラケット12a及びねじ24間に接続し、アースを強化しても良い。
【0038】
中間体25aのアースブラケット12a側へ開放された端縁には、外側に鍔部が設けられ、スプリング26によりアースブラケット12aから付勢された中間体25aは、図7(c)に示すように、この鍔部がハウジング11aの孔の縁に当接する迄突出可能である。また、中間体25aは、その鍔部が、アースブラケット12a、及びハウジング11aの孔の縁間を移動する距離、付勢された状態で移動可能である。
スプリング26は、その自然長Yに対して、図7(b)に示す最も引張されていない(最も短い)ときの長さX2が、X2>Yとなるように、つまり、常時引張された状態となるようにしてある。
【0039】
接続部10aの導電ゴム13は、支持部材5に対して、図7(c)に示すように、中間体25aの鍔部がハウジング11aの孔の縁に当接するときの位置から、図7(b)に示すように、中間体25aの鍔部がアースブラケット12aに当接するときの位置迄、付勢された状態で移動可能である。従って、導電ゴム13は、図7(a)に示すように、(b)(c)がそれぞれ示す位置の中間を標準位置として、(b)(c)が示す位置の間は、想定誤差として、取付け可能である。
この想定誤差の間を中間体25aが移動することがあっても、接続部10a及び導電ゴム13は、動くことなく、常時、付勢されて接点4に接触し続けることができ、不必要に動いて故障することがない。
【0040】
このガラスアンテナ装置では、上述した実施の形態1と同様、アンテナ1,7の各アンテナ素子3が、ラジオ及びテレビジョン等の電波を受信し、受信した高周波信号は、アンテナ素子3の接点4、導電ゴム13、コンデンサ23、内導体端子20、同軸線14の内部導体19の経路で、車両内の図示しないチューナへ伝送される。
【0041】
(実施の形態3)
図8は、本発明に係る接点装置の実施の形態3の外観を示す斜視図である。
この接点装置2bは、実施の形態1で説明した接点装置2と同様に、図1に示すガラスアンテナ装置に使用されるものである。
この接点装置2bは、実施の形態1で説明した接続部10及びハウジング11にそれぞれ相当する接続部10b及びハウジング11bについて、接続部10bをハウジング11bが内蔵する形態で形成したものである。略直方体形状の接点装置2bは、略Z字形状であるアースブラケット12bの、ガラス6への距離が異なる2つの面の、ガラス6への距離が遠い方の面に固定されている。アースブラケット12bの2つの面を接続する部分は、各面に略直角に形成されている。
【0042】
接続部10bの構成は、図3,4で説明した接続部10と略同様であるので、説明を省略する。
ハウジング11bは、図8の斜視図及び図9(a)の断面図に示すように、接続部10bが内蔵されている側と反対側の壁には、方形の孔が開口し、この孔には、この孔より断面が僅かに小さい直方体形状の中間体(固定部材)25bが挿通している。中間体25bの接続部10bと反対側の壁は、上述したアースブラケット12bのガラス6への距離が遠い方の面に固定されている。
【0043】
アースブラケット12bは、ガラス6への距離が近い方の面に、支持部材5にねじ止めする為の孔が設けられ、図9(a)の断面図に示すように、この孔を貫通したねじ24aが、支持部材5に設けられたねじ孔に螺合することにより、中間体25bが支持部材5に固定される。
アースブラケット12bのガラス6への距離が遠い方の面と、接続部10b内の外導体端子21(図4)とは、余長を有し接続部10bの側壁を貫通した銅テープ状の導体28により接続されている。これにより、車両側の支持部材5、アースブラケット12b、銅テープ状の導体28、外導体端子21、同軸線14の外部導体17の経路でアースを取ることができる。
【0044】
中間体25bの接続部10b側は開放されており、中間体25b内には、アースブラケット12b側内面と接続部10bとの間に付勢状態で装着された金属製のスプリング(付勢部材)26が収納されている。
中間体25bの接続部10b側へ開放された端縁には、外側に鍔部が設けられ、スプリング26により接続部10bから付勢された中間体25bは、図9(b)に示すように、この鍔部がハウジング11bの孔の縁に当接する迄突出可能である。また、中間体25bは、その鍔部が、ハウジング11b内の接続部10bに接する迄、付勢された状態で移動可能である。
スプリング26は、その自然長Yに対して、図9(b)に示す最も伸張したときの長さX3が、X3<Yとなるように、つまり、常時圧縮された状態となるようにしてある。
【0045】
接続部10bをハウジング11b内に装着する際は、図8に示すハウジング11bの開口部から、接続部10bを同軸線14の軸方向へ嵌挿した後、ガラス6に対向する側へ摺動させる。ハウジング11b内の接続部10bに接する側壁には、摺動させた接続部10bが、ガラス6に対向する側に固定され逆戻りしないように、突起29が設けられている。これにより、端末接続している同軸線14側からの力で接続部10bが不必要に移動することを防ぐことができる。
【0046】
接続部10bの導電ゴム13は、支持部材5に対して、図9(b)に示すように、中間体25bの鍔部がハウジング11bの孔の縁に当接するときの位置から、図9(c)に示すように、中間体25bの鍔部が接続部10bとの隔壁に当接するときの位置迄、付勢された状態で移動可能である。従って、導電ゴム13は、図9(a)に示すように、(b)(c)がそれぞれ示す位置の中間を標準位置として、(b)(c)が示す位置の間は、想定誤差として、取付け可能である。
この想定誤差の間を中間体25bが移動することがあっても、接続部10b及び導電ゴム13は、動くことなく、常時、付勢されて接点4に接触し続けることができ、不必要に動いて故障することがない。
【0047】
このガラスアンテナ装置では、上述した実施の形態1と同様、アンテナ1,7の各アンテナ素子3が、ラジオ及びテレビジョン等の電波を受信し、受信した高周波信号は、アンテナ素子3の接点4、導電ゴム13、コンデンサ23、内導体端子20、同軸線14の内部導体19の経路で、車両内の図示しないチューナへ伝送される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るガラスアンテナ装置及び接点装置の実施の形態の要部構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る接点装置の外観例を示す斜視図である。
【図3】図2に示す接続部の外観例を示す斜視図である。
【図4】接続部の内部を説明する為の分解斜視図である。
【図5】本発明に係る接点装置の構成例及び動作例を説明する為の断面図である。
【図6】本発明に係る接点装置の実施の形態の外観を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る接点装置の構成例及び動作例を説明する為の断面図である。
【図8】本発明に係る接点装置の実施の形態の外観を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る接点装置の構成例及び動作例を説明する為の断面図である。
【図10】従来の接点装置の要部構成例を示す外観図である。
【符号の説明】
【0049】
1,7 アンテナ
2,2a,2b 接点装置
3 アンテナ素子
4 接点
5 支持部材
6 ガラス
8 ルーフパネル
10,10a,10b 接続部
11,11a,11b ハウジング
12,12a,12b アースブラケット
13 導電ゴム(接続部材)
14 同軸線
17 外部導体
18,22 絶縁体
19 内部導体
20 内導体端子(第1導体)
21 外導体端子(第2導体)
23 コンデンサ
25,25a,25b 中間体(固定部材)
26 スプリング(付勢部材)
27 パッキン
28 銅テープ状の導体
29 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸線の内部導体に接続された第1導体と、前記同軸線の外部導体に接続された第2導体と、前記第1導体及び第2導体間を絶縁する絶縁体と、固定された第1機器に形成された接点及び前記第1導体に接触して、前記第1機器及び第1導体間を電気的に接続する導電ゴム製の接続部材と、固定された第2機器に固定される固定部材と、前記第1導体及び接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを備えることを特徴とする接点装置。
【請求項2】
前記第1導体及び接続部材間に挟着され、両面に電極を有する板形状のコンデンサを更に備え、該コンデンサは、前記第1導体及び接続部材間に直列接続してある請求項1記載の接点装置。
【請求項3】
車両の窓ガラスに形成されるアンテナ素子と、該アンテナ素子により受信した信号を伝送する同軸線とを備え、該同軸線の内部導体に接続された第1導体と、前記同軸線の外部導体に接続された第2導体と、前記第1導体及び第2導体間を絶縁する絶縁体と、前記アンテナ素子に形成された接点及び前記第1導体に接触して、該接点及び第1導体間を電気的に接続する導電ゴム製の接続部材と、車体側に固定される固定部材と、前記第1導体及び接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを有する接点装置を備えることを特徴とするガラスアンテナ装置。
【請求項4】
前記接点装置は、前記第1導体及び接続部材間に挟着され、両面に電極を有する板形状のコンデンサを更に有し、該コンデンサは、前記第1導体及び接続部材間に直列接続してある請求項3記載のガラスアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−32622(P2009−32622A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197951(P2007−197951)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】