説明

損傷誘電体材料及び膜の修復及び回復

本明細書には材料中のボイド修復法が記載されている。該方法は、a)複数の反応性シラノール基を有する材料を用意し;b)少なくとも一つの反応性表面改質剤を用意し;そしてc)前記複数の反応性シラノール基の少なくとも一部を前記少なくとも一つの反応性表面改質剤で化学的にキャッピングすることを含む。材料中の炭素回復法も記載されている。該方法は、a)複数の反応性シラノール基を有する炭素欠乏材料を用意し;b)少なくとも一つの反応性表面改質剤を用意し;そしてc)前記複数の反応性シラノール基の少なくとも一部を前記少なくとも一つの反応性表面改質剤で化学的にキャッピングすることを含む。さらに、本明細書には膜及び/又は炭素欠乏膜の縮合削減法も記載されている。該方法は、a)複数の反応性シラノール基を有する膜を用意し;b)前記膜をプラズマチャンバに置き;c)複数の反応性有機部分含有シランを前記チャンバに導入し;そしてd)前記シランを前記反応性シラノール基の少なくとも一部と反応させることを含む。本明細書には誘電体材料及びlow−k誘電体材料も記載されている。該誘電体材料は、a)複数のケイ素原子を有する無機材料;及びb)複数の有機部分含有シラン化合物を含み、前記シラン化合物は、少なくとも一部のケイ素原子を通じて前記無機材料に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は一般的に半導体デバイスに関し、特に誘電体又は無機材料をその中に有する半導体デバイスに関する。
発明の背景
高速パフォーマンスの要求に応えるために、集積回路デバイス製品の特徴的サイズは小さくなる一方である。より小型の形状のデバイスの製造は、半導体製造に従来使用されてきた多くのプロセスに新たな課題を突き付けている。
【0002】
これらの製品のサイズを縮小する結果として、製品を構成するコンポーネントも縮小及び/又は薄化しなければならない。サイズの縮小又はスケールダウンが必要なこれらのコンポーネントのいくつかの例は、超小型電子チップの相互接続、半導体チップコンポーネント、レジスタ、キャパシタ、プリント回路又は配線盤、配線、キーボード、タッチパッド、及びチップパッケージングである。
【0003】
電子又は半導体コンポーネントのサイズを縮小又はスケールダウンすると、大型コンポーネントに存在する何らかの欠陥は、スケールダウンしたコンポーネントで誇張されることになる。従って、大型コンポーネントに存在する又は存在しうる欠陥は、コンポーネントを小型電子製品用にスケールダウンする前に同定し修正する必要がある。集積回路製品のサイズが次世代のデバイスで約0.15μm未満に縮小されると、RC遅延及びシグナルクロストークといった問題が主要問題になるであろう。
【0004】
電子、半導体及びコミュニケーションコンポーネントにおける欠陥を同定し修復するには、コンポーネント、使用された材料及びそれらのコンポーネントの製造プロセスを分解及び分析する必要がある。電子、半導体及びコミュニケーション/データ交換コンポーネントは、場合により、金属、金属合金、誘電体層、セラミック、無機材料、ポリマー、又は有機金属材料といった材料の層及び膜からなる。
【0005】
前述の集積回路に伴う問題を克服するための実行可能な解決策の一つは、レベル間誘電体(ILD)及びメタル間誘電体(IMD)用に約3未満の誘電率を有する低誘電率(k)材料を使用することである。主な障害の一つは、低誘電率(k)シリコン含有材料の機械的強度である。典型的には、機械的強度はそのような材料の密度に比例する。しかしながら、密度は、所定の誘電率の所定の化学組成の場合、変わらない。このような場合、ナノポーラスシリカの強度は、架橋度を最高にすることによって最大化される。
【0006】
無機誘電体を有する単層金属パターンウェハは銅線間にボイドを示した。これらのボイドが形成されるのは、材料が、周辺金属から材料にかかる応力を処理しにくくする化学変化のためにそれ自体の再配列を迫られるからである。ボイドは本来、サイズも形状も予測不能であり、誘電体のスペースにかかる応力の量並びにそのスペース内に元々ある欠陥によって決まる。これらのボイドは、予測不能であること並びに回路の歩留まり及び信頼性を損なうことになるため望ましくない。
【0007】
同一出願人であるHoneywell International Inc社が所有する米国特許第6,208,014号(その全体を本明細書に取り入れる)は、シリカ誘電体膜を多官能性表面改質剤と反応させる成膜法を教示している。該特許の教示によれば、ナノポーラスシリカ膜は、処理直前に基板上に作製しても、予め作製し保存しても、別の供給源から入手してもよい。該特許はまた、膜を改質前に、例えば更なる架橋/縮合によって熟成できることも教えている。しかしながら、該特許はボイド形成の問題又はそのような表面改質処理を集積膜に使用しうることについては説明していない。
【0008】
従って、a)ボイド形成の潜在的原因を確認し;b)確認されたボイド形成又は“前ボイド形成”を修復するための方法及び組成物を開発し;そしてc)半導体製造プロセスのコスト又は複雑さを増大せず、単独で又は組み合わせて積層材料、電子コンポーネント及び半導体コンポーネントの製造の進歩に望ましいであろう従来の組成物及び方法を利用するのが理想的であろう。また、1)同様の誘電率で低孔性、及び2)集積化プロセス条件に対する回復力に富む有機部分を含有するなどの増強かつ改善された性質を有する新規材料や、膜に与えられた損傷を炭素部分の再導入により“修復”し、low−k誘電体膜の性質を“回復”するのに役立ちうるプロセスの開発が求められている。
発明の要旨
本明細書には、材料中のボイドの形成を防止する膜の前処理法が記載されている。該方法は、a)複数の反応性シラノール基を有する材料を用意し;b)少なくとも一つの反応性表面改質剤を用意し;そしてc)前記複数の反応性シラノール基の少なくとも一部を前記少なくとも一つの反応性表面改質剤で化学的にキャッピングすることを含む。材料中の炭素回復法も記載されている。該方法は、a)複数の反応性シラノール基を有する炭素欠乏材料を用意し;b)少なくとも一つの反応性表面改質剤を用意し;そしてc)前記複数の反応性シラノール基の少なくとも一部を前記少なくとも一つの反応性表面改質剤で化学的にキャッピングすることを含む。
【0009】
さらに、膜の縮合を削減するための方法も本明細書中に記載されている。該方法は、a)複数の反応性シラノール基を有する膜を用意し;b)前記膜をプラズマチャンバに置き;c)複数の反応性有機部分含有シランを前記チャンバに導入し;そしてd)前記シランを前記反応性シラノール基の少なくとも一部と反応させることを含む。炭素欠乏膜の縮合を削減するための方法も本明細書中に記載されている。該方法は、a)複数の反応性シラノール基を有する炭素欠乏膜を用意し;b)前記膜をプラズマチャンバに置き;c)複数の反応性有機部分含有シランを前記チャンバに導入し;そしてd)前記シランを前記反応性シラノール基の少なくとも一部と反応させることを含む。
【0010】
本明細書中には、a)複数のケイ素原子を有する無機材料;及びb)複数の有機部分含有シラン化合物を含み、前記シラン化合物は、少なくとも一部のケイ素原子を通じて前記無機材料に結合されている誘電体材料が記載されている。また、本明細書中には、a)複数のケイ素原子を有するlow−k誘電体材料;及びb)複数の有機部分含有シラン化合物を含み、前記シラン化合物は、少なくとも一部のケイ素原子を通じて前記誘電体材料に結合されている誘電体材料も記載されている。
詳細な説明
a)ボイド形成の潜在的原因を確認し;b)記載された組成物を用いて確認されたボイド形成又は“前ボイド形成”を修復し;そしてc)半導体製造プロセスのコスト又は複雑さを増大せず、単独で又は組み合わせて積層材料、電子コンポーネント及び半導体コンポーネントの製造を推進する従来の組成物及び方法を利用する、という方法を開発したので本明細書に記載する。具体的には、本明細書中に記載の主題は、無機材料中のボイドの修復法を提供する。該方法は、a)無機材料中の反応性シラノール基を反応性表面改質剤で化学的にキャッピングし、そしてb)その場でのアッシング工程直後の縮合を最小化するステップを含む。本明細書中に記載の方法は、無機緻密又は多孔質膜の疎水性及び構造的完全性を回復するため特に好都合である。
【0011】
本明細書中で使用している“ボイド”という用語は、材料中のボイド(空隙)及び気泡(cell)、並びにガスで占められている材料中の空間を意味する任意のその他の用語を含む。これらのボイドを満たしているガスは比較的純粋なガス及びその混合物である。主としてNとOの混合物である空気は孔中に普通に分布しているが、窒素、ヘリウム、アルゴン、CO又はCOのような純ガスも念頭にある。
【0012】
ボイド形成の原因は、残留フッ素をもたらすエッチング工程;プラズマ損傷、Si−F結合切断、及び末端メチル又はその他のアルキル基(又は有機ケイ酸塩ガラスを作るその他の有機基)の喪失によるシラノール(Si−OH)結合形成をもたらすアッシング工程;そして応力及び熱エネルギーをもたらす銅アニーリング工程などである。そのメカニズムは主に誘電体膜の多孔性に起因すると考えられている。この多孔性のためにエッチャントガス(フルオロカーボン及び酸素又は窒素と水素の組合せ)のより多くの輸送が可能になる。拡散が増強される結果、ガスが所望の領域だけでなくエッチングから保護されるようにマスクされた領域までもエッチングする。このエッチングの主たる現象はメチル基のような有機キャッピング基の除去である。これらの基の除去は不安定なネットワークをもたらす(Si−CH→[Si・]→Si−OH)。これは最終的にはSi−O−Si結合の形成に行き着こうとする。この再編から派生する構造上の問題は、非束縛膜では膜の収縮であるが、これらの膜はキャッピングハードマスク並びに金属導体によって束縛されているので、束縛系での再編はボイドを生じる。
【0013】
本明細書に材料中のボイド修復法を記載する。該方法は、a)複数の反応性シラノール基を有する材料を用意し;b)少なくとも一つの反応性表面改質剤を用意し;そしてc)前記複数の反応性シラノール基の少なくとも一部を前記少なくとも一つの反応性表面改質剤で化学的にキャッピングすることを含む。材料中の炭素回復法も記載する。該方法は、a)複数の反応性シラノール基を有する炭素欠乏材料を用意し;b)少なくとも一つの反応性表面改質剤を用意し;そしてc)前記複数の反応性シラノール基の少なくとも一部を前記少なくとも一つの反応性表面改質剤で化学的にキャッピングすることを含む。
【0014】
さらに、膜の縮合削減法も本明細書に記載する。該方法は、a)複数の反応性シラノール基を有する膜を用意し;b)前記膜をプラズマチャンバに置き;c)複数の反応性有機部分含有シランを前記チャンバに導入し;そしてd)前記シランを前記反応性シラノール基の少なくとも一部と反応させることを含む。炭素欠乏膜の縮合削減法も本明細書に記載する。該方法は、a)複数の反応性シラノール基を有する炭素欠乏膜を用意し;b)前記膜をプラズマチャンバに置き;c)複数の反応性有機部分含有シランを前記チャンバに導入し;そしてd)前記シランを前記反応性シラノール基の少なくとも一部と反応させることを含む。
【0015】
材料、膜及び/又は反応性表面改質剤は任意の適切な方法で用意できる。例えば、a)少なくとも一部の材料、膜及び/又は反応性表面改質剤を供給者から購入する;b)少なくとも一部の材料、膜及び/又は反応性表面改質剤を、別の供給源より供給された化学物質及び/又はその他の材料を用いて社内で用意又は製造する;及び/又はc)材料、膜及び/又は反応性表面改質剤を、社内又は現場で製造又は供給された化学物質及び/又は材料を用いて社内で用意又は製造する。
【0016】
本明細書中に記載の方法は緻密又は多孔質誘電体材料に有用である。意図している誘電体材料は、低誘電率を有するとみなされる誘電体材料である。本明細書中で使用している“低誘電率”という用語は、約3以下の誘電率を意味する。低誘電率材料又は層の誘電率の値は約3未満を想定している。別の意図する態様において、低誘電率材料又は層の値は約2.5未満である。さらに別の意図する態様において、低誘電率材料又は層の値は約2未満である。
【0017】
本発明において意図している無機ベースの化合物及び/又は材料、及び/又は意図しているスピンオン用の無機ベースの化合物及び/又は材料は、ケイ素ベース、ガリウムベース、ゲルマニウムベース、ヒ素ベース、ホウ素ベースの化合物又はそれらの組合せである。ケイ素ベースの化合物の例は、メチルシロキサン、メチルシルセスキオキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、シラザンポリマー、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、シリケートポリマー、ケイ酸誘導体、及びそれらの混合物のようなシロキサン化合物を含む。意図しているシラザンポリマーはペルヒドロシラザンで、これは発色団を結合できる“透明”ポリマー骨格を有している。
【0018】
本明細書中で使用している無機ベースの材料、無機化合物及びスピンオングラス材料は、シロキサンポリマー及びブロックポリマー、一般式(H0−1.0SiO1.5−2.0のハイドロジェンシロキサンポリマー、式(HSiO1.5を有するハイドロジェンシルセスキオキサンポリマー(式中xは約4より大)、及びケイ酸の誘導体なども含む。さらに、ハイドロジェンシルセスキオキサンとアルコキシヒドリドシロキサン又はヒドロキシヒドリドシロキサンとのコポリマーも含まれる。本発明で意図している材料はさらに、有機シロキサンポリマー、アクリルシロキサンポリマー、シルセスキオキサンベースのポリマー、ケイ酸の誘導体、一般式(H0−1.0SiO1.5−2.0(R0−1.0SiO1.5−2.0の有機ヒドリドシロキサンポリマー及び一般式(HSiO1.5(RSiO1.5の有機ヒドリドシルセスキオキサンポリマー(式中、mは0より大きく、nとmの合計は約4より大きく、Rはアルキル又はアリールである)を含む。ある有用な有機ヒドリドシロキサンポリマーはnとmの合計が約4〜約5000であり、RがC−C20アルキル基又はC−C12アリール基である。有機ヒドリドシロキサン及び有機ヒドリドシルセスキオキサンポリマーは、あるいはスピンオンポリマーを示す。いくつかの具体例は、メチルヒドリドシロキサン、エチルヒドリドシロキサン、プロピルヒドリドシロキサン、t−ブチルヒドリドシロキサン、フェニルヒドリドシロキサンのようなアルキルヒドリドシロキサン;及びメチルヒドリドシルセスキオキサン、エチルヒドリドシルセスキオキサン、プロピルヒドリドシルセスキオキサン、t−ブチルヒドリドシルセスキオキサン、フェニルヒドリドシルセスキオキサンのようなアルキルヒドリドシルセスキオキサン、及びそれらの組合せなどである。
【0019】
本明細書中で使用している“スピンオン材料”、“スピンオン組成物”及び“スピンオン無機組成物”のフレーズは互換的に使用でき、基板又は表面に回転塗布できる溶液及び組成物のことである。さらに、“スピンオングラス材料”というフレーズは、スピンオングラス材料が全部又は一部にケイ素ベースの化合物及び/又はポリマーを含むスピンオン材料のことをいう点で、“スピンオン無機材料”の部分集合を指すことを意図している。
【0020】
意図しているある態様において、本発明で利用される具体的有機ヒドリドシロキサン樹脂は以下の一般式:
[H−SiO1.5[R−SiO1.5 式(1)
を有する。式中、nとmの合計、又は合計又はx、y及びzは、約8〜約5000で、m又はyは、炭素含有成分が約40%未満の量(低有機含有量=LOSP)又は約40%以上の量(高有機含有量=HOSP)のいずれかで存在するように選択され;Rは、置換及び非置換、直鎖及び分枝アルキル(メチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル)、アルケニル基(ビニル、アリル、イソプロペニル)、シクロアルキル、シクロアルケニル基、アリール(フェニル基、ベンジル基、ナフタレニル基、アントラセニル基及びフェナントレニル基)、及びそれらの混合物から選ばれ;そして炭素含有置換基の比モルパーセントは、出発材料の量の比率の関数である。あるLOSPの態様では、特に好ましい結果は、炭素含有置換基のモルパーセントが約15モルパーセント〜約25モルパーセントの範囲で得られている。あるHOSPの態様では、好ましい結果は、炭素含有置換基のモルパーセントが約55モルパーセント〜約75モルパーセントの範囲で得られている。
【0021】
意図しているいくつかのポリマーは、ケイ素と酸素原子を交互に包含するポリマー骨格を含む。以前から知られている有機シロキサン樹脂とは対照的に、本発明で利用されているいくつかのポリマー及び無機ベースの組成物及び材料は、骨格のケイ素原子に結合したヒドロキシル又はアルコキシ基を本質的に持たない。それどころか各ケイ素原子は、前述の骨格酸素原子に加えて、水素原子及び/又は式1で定義したR基にしか結合していない。水素及び/又はR基だけがポリマーの骨格ケイ素原子に直接結合することにより、望まざる鎖長延長及び架橋が回避される。とりわけ、本発明の樹脂で望まざる鎖長延長及び架橋が回避されるならば、これらの樹脂溶液の貯蔵寿命は以前から知られている有機シロキサン樹脂と比べて向上する。さらに、ケイ素−炭素結合はケイ素水素結合より低反応性なので、本明細書中に記載の有機ヒドリドシロキサン樹脂溶液の貯蔵寿命は以前から知られているヒドリドシロキサン樹脂と比べて向上する。
【0022】
意図している前述の化合物のいくつかは、同一出願人による米国特許第6,143,855号及び係属中の米国出願第10/078919号(2002年2月19日出願)に教示されている;Honeywell International Inc.社の市販のHOSP(登録商標)という製品;同一出願人による米国特許第6,372,666号に教示されているようなナノポーラスシリカ;Honeywell International Inc.社の市販のNANOGLASS(登録商標)Eという製品;同一出願人によるWO01/29052に教示されている有機シルセスキオキサン;及び同一出願人による米国特許第6,440,550号に教示されているフルオロシルセスキオキサンである。これらはそれらの全体を本明細書に取り込む。その他の意図する化合物は以下の発行特許及び係属中の出願に記載されており、これらも引用によりそれらの全体を本明細書に取り込む:(2000年6月8日出願PCT/US00/15772;1999年6月10日出願米国出願第09/330248号;1999年6月10日出願米国出願第09/491166号;2002年4月2日発行米国特許第6,365,765号;2001年7月31日発行米国特許第6,268,457号;2001年11月10日出願米国出願第10/001143号;2000年1月26日出願米国特許出願第09/491166号;1999年1月7日出願PCT/US00/00523;2001年1月23日発行米国特許第6,177,199号;2002年3月19日発行米国特許第6,358,559号;2001年4月17日発行米国特許第6,218,020号;2002年3月26日発行米国特許第6,361,820号;2001年4月17日発行米国特許第6,218,497号;2002年3月19日発行米国特許第6,359,099号;2000年11月7日発行米国特許第6,143,855号;1998年3月20日出願米国特許出願第09/611528号;及び米国特許出願第60/043,261号)。本発明で意図しているシリカ化合物は、米国発行特許に見られる化合物である。すなわち、米国特許第6,022,812号;6,037,275号;6,042,994号;6,048,804号;6,090,448号;6,126,733号;6,140,254号;6,204,202号;6,208,041号;6,318,124号及び6,319,855号。意図しているその他の無機材料は、ASMのAurora(商標)有機ケイ酸塩ガラス又は炭素ドープオキシド;米国特許第6,383,955号、6,500,773号、6,492,731号又は6,410,150号に記載の化合物;日本合成ゴム社のLKD(商標)シルセスキオキサン製品;同一出願人による米国特許第6,472,076号に教示の有機シルセスキオキサン膜;多孔質SiOC;Applied Materials社の多孔質BLACK DIAMOND(商標)無機製品(これはSi−O、Si−C、C−H及びSi−H結合を含有する);及びNovellus社のCORAL(商標)無機製品(Si−O、Si−C、C−H及びSi−H結合を含有する)などである。前述の特許は全てそれらの全体を本明細書に取り込む。
【0023】
本明細書中で使用している“架橋”という用語は、少なくとも2個の分子又は長分子の2つの部分が化学的相互作用によって互いに連結するプロセスのことである。そのような相互作用は多くの異なる様式で起こりうる。例えば、共有結合の形成、水素結合の形成、疎水的、親水的、イオン的又は静電的相互作用などである。さらに、分子相互作用は、1個の分子とそれ自体間又は2個以上の分子間の少なくとも一時的な物理的接続を特徴とすることもできる。
【0024】
意図しているある態様において、ポリマー骨格のコンフォメーションはカゴ状構造である。従って、カゴ状コンフォメーションだとすると、ポリマー樹脂中には非常に低レベルの反応性の末端部分しかない。ポリマー骨格のカゴ状コンフォメーションは、溶液中で望まざる鎖長延長重合が発生しないことも保証するので、貯蔵寿命の延長がもたらされる。ポリマーの各ケイ素原子は少なくとも3個の酸素原子に結合する。ポリマー骨格に結合している部分は、水素及び本明細書中に記載の有機基を含む。本明細書中で使用している“骨格”という用語は、ポリマーストランドを形成している原子又は部分の連続鎖のことである。これらは共有結合しているので、いずれかの原子又は部分が除去されると鎖の切断が起こることになろう。
【0025】
本明細書中で使用している“モノマー”という用語は、任意の化合物、すなわちそれ自体又は化学的に異なる化合物と反復様式で共有結合を形成できる任意の化合物のことである。モノマー間の反復結合形成は、直鎖、分枝、超分枝、又は3次元生成物をもたらしうる。さらに、モノマー自体が反復ビルディングブロックを含むこともあるので、重合された場合、そのようなモノマーから形成されるポリマーは“ブロックポリマー”と名付けられる。モノマーは、有機、有機金属又は無機分子を含む様々な分子の化学クラスに属しうる。モノマーの分子量は約40ドルトン〜20000ドルトンの間で大きく変動しうる。しかしながら、特にモノマーが反復ビルディングブロックを含む場合、モノマーはさらに高い分子量を有しうる。モノマーは、架橋に使用される基のような追加の基を含んでいてもよい。
【0026】
意図しているある態様において、無機ベース化合物の分子量は、材料の溶解度を変更するために増加させることができる。ひいては、材料の溶解度を変えることで、ボイド形成防止に役立ち、材料の平坦化能力が増大する。
【0027】
前述の無機材料の層は、単独又は組み合わせて、噴霧、ローリング、浸漬、スピンコーティング、フローコーティング又は鋳込みなどの溶液技術によって形成できる。マイクロエレクトロニクスにはスピンコーティングが好適である。意図している態様において、無機材料は溶媒に溶解される。意図している溶媒は、所望の温度、例えば臨界温度で揮発する、又は前述の設計目標又は需要のいずれかを促進できる任意の適切な純粋な又は混合物の有機、無機及び/又は有機金属分子を含む。溶媒はまた、任意の適切な純粋な又は混合物の極性及び非極性化合物も含む。本明細書中で使用している“純粋な”という用語は、成分が一定の組成を有することを意味する。例えば、純粋な水はHOのみで構成される。本明細書中で使用している“混合物”という用語は、塩水など成分が純粋でないことを意味する。本明細書中で使用している“極性”という用語は、不均等な電荷、部分電荷又は自発電荷分布を分子又は化合物の一点又はそれらに沿って生み出す分子又は化合物の特性を意味する。本明細書中で使用している“非極性”という用語は、均等な電荷、部分電荷又は自発電荷分布を分子又は化合物の一点又はそれらに沿って生み出す分子又は化合物の特性を意味する。
【0028】
いくつかの適切な溶媒は、非プロトン性溶媒、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン及びシクロオクタノンのような環状ケトン;N−アルキルピロリジノン(アルキルは約1〜4個の炭素原子を有する)のような環状アミド;及びN−シクロヘキシルピロリジノン、及びそれらの混合物などである。多様なその他の有機溶媒も、得られる溶液の粘度をコーティング溶液として効果的に制御できる限り、本発明で使用できる。その他の意図する態様において、溶媒又は溶媒混合物は、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどのようなケトン、アルコール、エステル、エーテル及びアミンのような溶媒を含みうる。さらにその他の意図する態様において、溶媒又は溶媒混合物は、本明細書中に記載の任意の溶媒の組合せを含みうる。
【0029】
その他の適切な溶媒は、アセトン、2−プロパノール、エタノール、ブタノール、メタノール、酢酸プロピル、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールプロピルエーテル(商業的にはPropasol−Pと呼ばれる)、ジブチルエーテル、環状ジメチルポリシロキサン、ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、2−ヘプタノン、エチル3−エトキシプロピオネート、ポリエチレングリコール[ジ]メチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、及びアニソールなどである。高沸点を有する乳酸エチル及びプロピレングリコールプロピルエーテルのような希釈溶媒が有益であることが分かった。高沸点溶媒は気泡膜欠陥の形成の可能性を低減すると考えられる。これに対し、低沸点溶媒は、架橋された膜の上層の下に閉じ込められ、その後焼付け(ベーキング)プロセス工程時に追い出されるとボイドを生じうる。本発明に有用な追加の溶媒は、エチレングリコールジメチルエーテル(別名グライム)、アニソール、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、及びペンタノールなどである。
【0030】
意図しているある態様において、溶媒又は溶媒混合物(少なくとも2種類の溶媒を含む)は、炭化水素ファミリーの溶媒の一部とみなされる溶媒を含む。炭化水素溶媒は、炭素及び水素を含む溶媒である。大多数の炭化水素溶媒は非極性であるが、極性とみなしうる炭化水素溶媒も少数あることを理解すべきである。炭化水素溶媒は一般的に3種類に分けられる。すなわち脂肪族、環状及び芳香族である。脂肪族炭化水素溶媒は、直鎖化合物と、枝分かれし、おそらくは架橋された化合物の両方を含みうる。しかしながら、脂肪族炭化水素溶媒は環状ではない。環状炭化水素溶媒は、環構造に配向した少なくとも3個の炭素原子を含む溶媒で、性質は脂肪族炭化水素溶媒に類似する。芳香族炭化水素溶媒は、一般的に3個以上の不飽和結合を含み、単環又は共通の結合によって結合された多環及び/又は互いに縮合した多環である。意図している炭化水素溶媒は、トルエン、キシレン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン、ソルベントナフサH、ソルベントナフサA、アルカン(例えばペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、ノナン、オクタン、ドデカン、2−メチルブタン、ヘキサデカン、トリデカン、ペンタデカン、シクロペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン)、石油エーテル、ハロゲン化炭化水素(例えば塩素化炭化水素)、ニトロ化炭化水素、ベンゼン、1,2−ジメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、ミネラルスピリット、灯油、イソブチルベンゼン、メチルナフタレン、エチルトルエン、リグロインなどである。特に意図している溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びそれらの混合物又は組合せなどであるが、これらに限定されない。撹拌及び/又は加熱といった様々な促進手段が溶解の補助に使用できる。
【0031】
より意図している溶媒はシクロヘキサノンである。典型的には層厚は0.1〜約15ミクロンである。マイクロエレクトロニクス用の誘電体中間層としては、層厚は一般的に約2ミクロン未満である。誘電体材料は本明細書中に、a)複数のケイ素原子を有する無機材料;及びb)複数の有機部分含有シラン化合物を含み、前記シラン化合物は、少なくとも一部のケイ素原子を通じて前記無機材料に結合されていると記載されている。誘電体材料はまた本明細書中に、a)複数のケイ素原子を有する低誘電率誘電体;及びb)複数の有機部分含有シラン化合物を含み、前記シラン化合物は、少なくとも一部のケイ素原子を通じて前記材料に結合されていると記載されている。
【0032】
本明細書中に記載の組成物は、前述のように、特定の製造プロセスに応じて典型的には従来のスピンオン式成膜技術によって様々な基板に塗布され、積層材料、半導体プロセシングに使用される層、又は電子コンポーネントに使用される層を形成する。本明細書に開示の無機材料は層間誘電体として作用でき、そしてその他のコーティングによって被覆されてもよい。その他のコーティングとは、例えばその他の誘電体(SiO)コーティング、SiO変性セラミックオキシド層、ケイ素含有コーティング、ケイ素炭素含有コーティング、ケイ素窒素含有コーティング、ケイ素−窒素−炭素含有コーティング、ダイヤモンド様炭素コーティング、窒化チタンコーティング、窒化タンタルコーティング、窒化タングステンコーティング、アルミニウムコーティング、銅コーティング、タンタルコーティング、有機シロキサンコーティング、有機シリコンガラスコーティング及びフッ素化シリコンガラスコーティングなどである。そのような多層コーティングは米国特許第4,973,526号に記載されており、前記特許は引用によって本明細書に取り込まれるまた、十分説明した通り、本発明の無機材料は、加工された電子又は半導体基板上の隣接導体路間の配線間誘電体層として容易に形成することができる。該無機材料は、Michael E.Thomas,“Spin−on Stacked Films for Low Keff Dielectrics(低Keff誘電体用スピンオン式積層膜)”,Solid State Technology(2001年7月)(引用によってその全体を本明細書に取り込む)に教示されているように、望ましい全てのスピンオン式積層膜に使用できる。
【0033】
本発明で意図している基板は、任意の望ましい実質的に固体の材料を含みうる。特に望ましい基板層は、膜、ガラス、セラミック、プラスチック、金属又は被覆金属、又は複合材料を含むであろう。好適な態様において、基板は、ヒ化ケイ素又はヒ化ゲルマニウムダイ(die)又はウェハ表面、銅、銀、ニッケル又は金メッキリードフレーム(leadframe)に見られるようなパッケージング表面、回路基板又はパッケージインターコネクトトレースに見られるような銅表面、ビアウォール(via-wall)又はスチフナー(stiffener)インターフェース(“銅”は裸の銅及びその酸化物を考慮に入れている)、ポリイミドベースのフレックスパッケージに見られるようなポリマーベースのパッケージング又はボードインターフェース、鉛又はその他の金属合金はんだボール表面、ガラス及びポリイミドのようなポリマーを含む。より好適な態様において、基板は、ケイ素、銅、ガラス、及び別のポリマーなど、パッケージング及び回路基板工業で一般的な材料を含む。
【0034】
意図している表面改質剤は、比較的穏やかな条件下で気化でき(キャリヤーガスの補助の有無にかかわらず)、チャンバ条件でシラノール基と効率的に反応できるシランを含有する任意の適切な有機部分である。ある態様において、表面改質剤は、(RSi(R4−x(式中、Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、ビニル又はアリールであり;Rは、水素、塩素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ及びその他のアセトキシ基であり;xは1、2又は3である)のようなシランを含む。
【0035】
本明細書中で使用している“アルキル”という用語は、1〜24個の炭素原子の分枝又は直鎖飽和炭化水素基又は置換基を意味し(別途記載のない限り)、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなどである。ある態様において、意図しているアルキル基は1〜12個の炭素原子を含有する。“環状アルキル”という用語は、構造が1個以上の閉環を特徴とするアルキル化合物を意味する。環状アルキルは、化合物中に存在する環の数によって、モノ−、ビ−、トリ−又はポリサイクリックでありうる。
【0036】
本明細書中で使用している“アリール”という用語は、5〜7個の炭素原子の単環式芳香族種又は5〜7個の炭素原子の単環式芳香族種で構成されている化合物を意味し、典型的には、フェニル、ナフタリル、フェナントリル、アントラシルなどである。所望により、これらの基は、1〜4個、更に好ましくは1〜2個のアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、及び/又はニトロ置換基で置換されている。
【0037】
本明細書中で使用している“アルケニル”という用語は、2〜24個の炭素原子及び少なくとも1個の二重結合を含有する分枝又は直鎖炭化水素鎖を意味する。本発明で好適なアルケニル基は1〜12個の炭素原子を含有する。
【0038】
本明細書中で使用している“アルコキシ”という用語は、1個の末端エーテル結合を通じて結合されたアルキル基を意味する。すなわち、アルコキシ基は−ORと定義でき、Rは上に定義したアルキル基である。
【0039】
利用できる、意図しているコーティング材料、コーティング溶液及び膜は、各種のエレクトロニクスデバイス、マイクロエレクトロニクスデバイス、特に半導体集積回路、並びに電子及び半導体コンポーネント用の様々な積層材料、例えばハードマスク層、誘電体層、エッチストップ層及び埋込みエッチストップ層の製造に有用である。これらのコーティング材料、コーティング溶液及び膜は、積層材料及びデバイスに使用されうるその他の材料、例えば、アダマンタンベースの化合物、ジアマンタンベースの化合物、シリコンコア化合物、有機誘電体、及びナノポーラス誘電体と極めて適合性がある。本発明で意図しているコーティング材料、コーティング溶液及び膜とかなり適合性がある化合物は、PCT出願PCT/US01/32569(2001年10月17日出願);PCT出願PCT/US01/50812(2001年12月31日出願);米国特許出願第09/538276号;米国特許出願第09/544504号;米国特許出願第09/587851号;米国特許第6,214,746号;米国特許第6,171,687号;米国特許第6,172,128号;米国特許第6,156,812号;米国特許出願第60/350187号(2002年1月15日出願);及び米国特許出願第60/347195号(2002年1月8日出願)に開示されている。これらはいずれも引用によってそれらの全体を本明細書に取り込む。
【0040】
本明細書中に記載の化合物、コーティング、膜、材料などは、電子コンポーネント及び/又は半導体コンポーネントの一部になる、一部を形成する又はそれらを形成するのに使用できる。本明細書中で使用している“電子コンポーネント”という用語は、何らかの所望の電気的作用を得るための回路に使用できる任意のデバイス又は部品も意味する。本発明で意図している電子コンポーネントは、能動コンポーネント及び受動コンポーネントへの分類を含め、様々に分類できる。能動コンポーネントは、増幅、振動、又は信号制御といった何らかの動的機能が可能な電子コンポーネントで、通常その動作に電源を必要とする。例は、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、及び集積回路である。受動コンポーネントは動作が静的なコンポーネント、すなわち一般的に増幅又は振動できず、通常それらの特徴的動作に電源を必要としない。例は、従来のレジスタ、キャパシタ、インダクタ、ダイオード、整流器及びヒューズである。
【0041】
本発明の組成物は一つの集積回路(“IC”)チップに付随する相互接続の層間誘電体としても使用できる。集積回路チップは、通常その表面に本発明の組成物の複数の層及び金属導体の多数の層を有している。また、集積回路の同一層又はレベル内に、個別金属導体間の無機組成物の領域又は導体の領域を含むこともある。
【0042】
本発明で意図している電子コンポーネントは、導体、半導体、又は絶縁体として分類することもできる。ここでは、導体は、電荷担体(電子など)を電流中でのように原子間を容易に移動させるコンポーネントである。導体コンポーネントの例は、金属を含む回路トレース及びビアである。絶縁体は、その機能が、他のコンポーネントを電気的に分離するのに使用される材料のように、電流の伝導に極めて抵抗性のある材料の能力に実質的に関係するコンポーネントである。他方、半導体は、電流を導体と絶縁体の間の固有の抵抗率で伝導する材料の能力に実質的に関係する機能を有しているコンポーネントである。半導体コンポーネントの例は、トランジスタ、ダイオード、ある種のレーザ、整流器、サイリスタ及び光検出器である。
【0043】
本発明で意図している電子コンポーネントは、電力源又は電力消費体として分類することもできる。電源コンポーネントは典型的には他のコンポーネントに電力を供給するのに使用され、バッテリ、キャパシタ、コイル、及び燃料電池を含む。電力消費コンポーネントは、レジスタ、トランジスタ、集積回路(IC)、センサなどを含む。
【0044】
なおさらに、本発明で意図している電子コンポーネントは、個別又は集積として分類することもできる。個別コンポーネントは、回路の一つの場所で集中的に一つの特定の電気的性質を提供するデバイスである。例は、レジスタ、キャパシタ、ダイオード、及びトランジスタである。集積コンポーネントは、回路の一つの場所で多数の電気的性質を提供できるコンポーネントの組合せである。例は集積回路で、そこでは多数のコンポーネント及び接続トレースが一緒になって多数の又は複雑な機能、例えばロジックを行う。
実施例
実施例1
本明細書に記載の組成物をICに適用するには、本発明の組成物の溶液を、例えばスピンコーティングのような従来の湿式コーティングプロセスを用いて半導体ウェハに塗布する。その他の周知のコーティング技術、例えばスプレーコーティング、フローコーティング又はディップコーティングも特定のケースに利用できる。一例として、本組成物のシクロヘキサノン溶液(周囲条件下で、非金属性内張りを有する従来装置中で微量金属汚染を防止するためのクリーンハンドリングプロトコルに厳密に従って製造された)を、導電性コンポーネント(基板の中で加工されている)を有する基板に被覆し、次いで該被覆基板を熱処理する。本組成物の塗布による平坦又はトポグラフィー的表面又は基板上への層形成は、スピンコータを含む任意の従来装置を用いることによって実施できる。なぜならば、本発明で使用している組成物はそのようなコータに対して適切に制御された粘度を有しているからである。溶媒の蒸発は、任意の適切な方法又は装置、例えばスピンコーティング中の単純な空気乾燥、周囲環境への暴露又は約350℃までのホットプレート上での加熱によって達成できる。
【0045】
無機材料を電子トポグラフィー基板に塗布後、被覆された構造体は、コーティングを重合するために、約50℃〜約450℃までの範囲の上昇温度で焼付け及び硬化の熱加工を受ける。硬化温度は少なくとも約300℃である。なぜならば低温だとここでの反応の完了に不十分だからである。一般的に、硬化は約375℃〜約425℃の温度で実施するのが好適である。硬化は従来の硬化チャンバ、例えば電子炉、ホットプレートなどで実施でき、一般的に不活性(非酸化)雰囲気(窒素)の硬化チャンバで実施される。ホットプレート硬化に加えて、本組成物は、紫外線、マイクロ波放射線又は電子ビーム放射線への暴露によっても硬化できる。このことについては、同一出願人による特許出願PCT/US96/08678及び米国特許第6,042,994号;6,080,526号;6,177,143号及び6,235,353号に教示されている。これらは引用によってそれらの全体を本明細書に取り込む。無機材料の硬化の実施に有効であれば、本発明の実施には、任意の非酸化又は還元雰囲気(例えば、アルゴン、ヘリウム、水素及び窒素処理ガス)が使用できる。
【0046】
一態様において、本発明の方法は、プラズマエッチング/アッシングの後、炭素欠乏損傷無機膜を、該膜をプラズマチャンバに置くことによって炭素回復させることを含む。次に、本明細書に記載のように、反応性有機部分含有シランをキャリヤーガスの助けを借りて又は借りずに導入する。プロセス条件を最適化することにより、ガスを膜内に拡散させ、残留シラノール基と反応させる。遊離シラノール基がキャップ又はブロックされた後は、更なる縮合は反応性基が全くないことによって最小限になる。炭素部分の再導入により、low k膜の疎水性及び構造的完全性も回復する。
【0047】
以上、特定の実施態様及び無機組成物の塗布及びボイド修復法を開示してきた。しかしながら、当業者には前述の事柄以外に多くの変形が本発明の概念から離れることなく可能であることは明らかなはずである。従って、本発明の主題は、添付のクレームの精神における以外は制限されない。さらに、明細書及びクレームの両方を解釈するにあたり、全ての用語は文脈と矛盾しない最大限広い様式で解釈されるべきである。特に、“含む”及び“含んでいる”という用語は、要素、コンポーネント、又はステップを非排他的様式で言及していると解釈されるべきである。すなわち、言及された要素、コンポーネント、又はステップは、明示的に言及されていないその他の要素、コンポーネント、又はステップと共に存在し、又は利用され、又は組み合わされうることを示している。


































【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料中のボイドを修復する方法であって、
複数の反応性シラノール基を有する材料を用意し;
少なくとも一つの反応性表面改質剤を用意し;そして
前記複数の反応性シラノール基の少なくとも一部を前記少なくとも一つの反応性表面改質剤で化学的にキャッピングすることを含む方法。
【請求項2】
前記の化学的にキャッピングするステップが、前記材料に、疎水性、構造的完全性又はそれらの組合せを回復させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記材料が無機材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記無機材料がケイ素ベースの無機材料を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一つの反応性表面改質剤が、反応性有機部分含有シラン化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応性有機部分含有シラン化合物が、式:
(RSi(R4−x
[式中、Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、ビニル又はアリールであり;Rは、水素、塩素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ又はその他のアセトキシ基であり;xは1、2又は3である]を有する化合物を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
材料中の炭素回復法であって、
複数の反応性シラノール基を有する炭素欠乏材料を用意し;
少なくとも一つの反応性表面改質剤を用意し;そして
前記複数の反応性シラノール基の少なくとも一部を前記少なくとも一つの反応性表面改質剤で化学的にキャッピングすることを含む方法。
【請求項8】
前記の化学的にキャッピングするステップが、前記材料に、疎水性、構造的完全性又はそれらの組合せを回復させることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記炭素欠乏材料が無機材料を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記無機材料がケイ素ベースの無機材料を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも一つの反応性表面改質剤が、反応性有機部分含有シラン化合物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記反応性有機部分含有シラン化合物が、式:
(RSi(R4−x
[式中、Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、ビニル又はアリールであり;Rは、水素、塩素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ又はその他のアセトキシ基であり;xは1、2又は3である]を有する化合物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
膜の縮合を削減する方法であって、
複数の反応性シラノール基を有する膜を用意し;
前記膜をプラズマチャンバに置き;
複数の反応性有機部分含有シランを前記チャンバに導入し;そして
前記シランを前記反応性シラノール基の少なくとも一部と反応させることを含む方法。
【請求項14】
前記のシランを反応させるステップが、前記膜に、疎水性、構造的完全性又はそれらの組合せを回復させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記膜が無機材料を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記無機材料がケイ素ベースの無機材料を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の反応性有機部分含有シラン化合物が、式:
(RSi(R4−x
[式中、Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、ビニル又はアリールであり;Rは、水素、塩素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ又はその他のアセトキシ基であり;xは1、2又は3である]を有する化合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
炭素欠乏膜の縮合を削減する方法であって、
複数の反応性シラノール基を有する炭素欠乏膜を用意し;
前記膜をプラズマチャンバに置き;
複数の反応性有機部分含有シランを前記チャンバに導入し;そして
前記シランを前記反応性シラノール基の少なくとも一部と反応させることを含む方法。
【請求項19】
前記のシランを反応させるステップが、前記膜に、疎水性、構造的完全性又はそれらの組合せを回復させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記膜が無機材料を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記無機材料がケイ素ベースの無機材料を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の反応性有機部分含有シラン化合物が、式:
(RSi(R4−x
[式中、Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、ビニル又はアリールであり;Rは、水素、塩素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ又はその他のアセトキシ基であり;xは1、2又は3である]を有する化合物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
誘電体材料であって、
複数のケイ素原子を有する無機材料;及び
複数の有機部分含有シラン化合物
を含み、前記シラン化合物は、少なくとも一部のケイ素原子を通じて前記無機材料に結合されている誘電体材料。
【請求項24】
前記複数の反応性有機部分含有シラン化合物が、式:
(RSi(R4−x
[式中、Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、ビニル又はアリールであり;Rは、水素、塩素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ又はその他のアセトキシ基であり;xは1、2又は3である]を有する化合物を含む、請求項23に記載の材料。
【請求項25】
誘電体材料であって、
複数のケイ素原子を有するlow−k誘電体材料;及び
複数の有機部分含有シラン化合物
を含み、前記シラン化合物は、少なくとも一部のケイ素原子を通じて前記材料に結合されている誘電体材料。
【請求項26】
前記複数の反応性有機部分含有シラン化合物が、式:
(RSi(R4−x
[式中、Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、ビニル又はアリールであり;Rは、水素、塩素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ又はその他のアセトキシ基であり;xは1、2又は3である]を有する化合物を含む、請求項25に記載の材料。










































【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料中のボイドを修復する方法であって、
複数の反応性シラノール基を有する材料を用意し;
少なくとも一つの反応性表面改質剤を用意し;そして
前記複数の反応性シラノール基の少なくとも一部を前記少なくとも一つの反応性表面改質剤で化学的にキャッピングすることを含む方法。
【請求項2】
前記の化学的にキャッピングするステップが、前記材料に、疎水性、構造的完全性又はそれらの組合せを回復させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記材料が無機材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記無機材料がケイ素ベースの無機材料を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一つの反応性表面改質剤が、反応性有機部分含有シラン化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応性有機部分含有シラン化合物が、式:
(RSi(R4−x
[式中、Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、ビニル又はアリールであり;Rは、水素、塩素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ又はその他のアセトキシ基であり;xは1、2又は3である]を有する化合物を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
材料中の炭素回復法であって、
複数の反応性シラノール基を有する炭素欠乏材料を用意し;
少なくとも一つの反応性表面改質剤を用意し;そして
前記複数の反応性シラノール基の少なくとも一部を前記少なくとも一つの反応性表面改質剤で化学的にキャッピングすることを含む方法。
【請求項8】
前記の化学的にキャッピングするステップが、前記材料に、疎水性、構造的完全性又はそれらの組合せを回復させることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記炭素欠乏材料が無機材料を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記無機材料がケイ素ベースの無機材料を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも一つの反応性表面改質剤が、反応性有機部分含有シラン化合物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記反応性有機部分含有シラン化合物が、式:
(RSi(R4−x
[式中、Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、ビニル又はアリールであり;Rは、水素、塩素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ又はその他のアセトキシ基であり;xは1、2又は3である]を有する化合物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
膜の縮合を削減する方法であって、
複数の反応性シラノール基を有する膜を用意し;
前記膜をプラズマチャンバに置き;
複数の反応性有機部分含有シランを前記チャンバに導入し;そして
前記シランを前記反応性シラノール基の少なくとも一部と反応させることを含む方法。
【請求項14】
前記のシランを反応させるステップが、前記膜に、疎水性、構造的完全性又はそれらの組合せを回復させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記膜が無機材料を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記無機材料がケイ素ベースの無機材料を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の反応性有機部分含有シラン化合物が、式:
(RSi(R4−x
[式中、Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、ビニル又はアリールであり;Rは、水素、塩素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ又はその他のアセトキシ基であり;xは1、2又は3である]を有する化合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
炭素欠乏膜の縮合を削減する方法であって、
複数の反応性シラノール基を有する炭素欠乏膜を用意し;
前記膜をプラズマチャンバに置き;
複数の反応性有機部分含有シランを前記チャンバに導入し;そして
前記シランを前記反応性シラノール基の少なくとも一部と反応させることを含む方法。
【請求項19】
誘電体材料であって、
複数のケイ素原子を有する無機材料;及び
複数の有機部分含有シラン化合物
を含み、前記シラン化合物は、少なくとも一部のケイ素原子を通じて前記無機材料に結合されている誘電体材料。
【請求項20】
誘電体材料であって、
複数のケイ素原子を有するlow−k誘電体材料;及び
複数の有機部分含有シラン化合物
を含み、前記シラン化合物は、少なくとも一部のケイ素原子を通じて前記材料に結合されている誘電体材料。

【公表番号】特表2006−517347(P2006−517347A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503073(P2006−503073)
【出願日】平成16年1月26日(2004.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/002252
【国際公開番号】WO2004/068555
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】