搬送装置および機構体
【課題】 ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送しても、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい搬送装置および機構体を提供する。
【解決手段】 被搬送体14を載置、牽引、または押して移動方向への駆動力を与える機構体15が、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置11において、該ガスカーテンが該被搬送体の搬送方向16に対して所定の噴射速度でガスを噴射して形成され、該ガスの噴射方向19と該搬送方向16とに垂直な方向の該機構体15の厚みが、該噴射方向19の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなることを特徴とする。そうすることによって、搬送装置11は、機構体がガスカーテンを通過して被搬送体14を搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が高く、ガスカーテンを超えてガスが移動しにくい。
【解決手段】 被搬送体14を載置、牽引、または押して移動方向への駆動力を与える機構体15が、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置11において、該ガスカーテンが該被搬送体の搬送方向16に対して所定の噴射速度でガスを噴射して形成され、該ガスの噴射方向19と該搬送方向16とに垂直な方向の該機構体15の厚みが、該噴射方向19の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなることを特徴とする。そうすることによって、搬送装置11は、機構体がガスカーテンを通過して被搬送体14を搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が高く、ガスカーテンを超えてガスが移動しにくい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置、および搬送装置に含まれる機構体に関する。
【背景技術】
【0002】
基板などの被処理物の表面処理は、減圧下で行うこともあるが、大気圧下で行うこともある。大気圧下で表面処理を行う装置としては、たとえば、大気圧下で安定な大気圧プラズマを用いることによって基板に表面処理を施す大気圧プラズマ気相成長装置および大気圧プラズマクリーニング装置がある。さらに、坩堝炉、熱処理炉および液相成長装置などの処理装置も、大気圧下で被処理物を処理する場合がある。このような大気圧下で処理する処理装置は、減圧下で表面処理を行う場合と異なり、真空装置などを必要としない。したがって、大気圧下で処理する処理装置は、処理装置の内外で気圧が変化しないので、被処理物を装置内部に搬入したり装置内部から搬出したりする被処理物を搬送するための開口部を有する開放系の処理装置を用いることができる。よって、被処理物を搬送用トレイなどに載せて搬送しながら、処理することができ、スループット(処理量)を向上させることができる。
【0003】
しかしながら、表面処理に用いる処理ガスなどの装置内部のガスが外部に流出したり、装置外部のガスが装置内に流入したりする問題が発生する。したがって、装置内部の処理ガス濃度を一定にするためには、処理ガスを装置内部に流入させ続けなければならず、処理ガスの使用量が増大してしまう。
【0004】
そこで、このような問題を解決させるために、開口部を覆うように、ガスカーテンを形成させ、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置を用いる。
【0005】
このようなガスカーテンを用いた従来の技術としては、ガスカーテンにより外部雰囲気と遮断された反応室に、ベルトコンベアで半導体材料を搬入して、半導体材料をオゾン雰囲気に晒す処理装置がある(たとえば、特許文献1)。
【0006】
他の従来技術として、開口部の上下の内壁部には、ガスを斜め前方へ向けて吹き出すためのガス吹出口が設けられ、ガスを上下から同時に吹き出し、中央部で合流するようなガスカーテンが形成されるアニール装置がある(たとえば、特許文献2)。
【0007】
さらに他の従来の技術として、複数枚の半導体基板を立設するように保持する治具を載せて反応管内に運び入れるカンチレバーと、反応管の入口部分にガスカーテンを形成するガス供給装置とを備え、カンチレバーにガス供給装置から供給されたガスを通す通気孔を設けた半導体装置製造用熱処理炉が記載されている(たとえば、特許文献3)。
【0008】
【特許文献1】特開昭59−75629号公報
【特許文献2】特開平6−168950号公報
【特許文献3】特開平3−250625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記第1番目の技術は、半導体材料をオゾン雰囲気で処理するために、反応室の搬入口および搬出口にガスカーテンを形成させることで、外部からの大気成分の巻き込みやオゾンの外部への流出を抑えて閉塞された空間を作り出し、その空間の内部へ半導体材料をベルトコンベアで搬入および搬出することができる。
【0010】
しかしながら、この処理装置は、開口部の下方から上方に向けて窒素ガスを吹き出し、かつ上方に排気口を設けることでガスカーテンを形成しているので、窒素ガスは常に搬送機構であるコンベアの下面に垂直に入射し広い面積でガスがさえぎられる。よって、半導体材料の上方ではガスカーテンによる閉塞効果が著しく低下し、多くのガスが半導体材料に付随して巻き込みまたは持ち出される。
【0011】
第2番目の技術は、ガスを開口部の上方側と下方側とから吹き付けてガスカーテンを形成させるので、ウエハを載置したサセプタがガスカーテンを通過している状態であっても、第1番目の技術は、半導体材料の上方でのガスカーテンによる閉塞効果の著しい低下を防ぐことができる。
【0012】
しかしながら、サセプタがガスカーテンに進入していない状態でもガスカーテンの端から端まで広い範囲で常に上方から吹き出されるガスと下方から吹き出されるガスとが合流し、そのガスの合流に伴う渦やゆらぎが生じている。また、ガスの吹き出し口やその周辺の構造やガスの流量の設定によっては、かえって外気を巻き込む可能性がある。さらに、サセプタがガスカーテンを通過している時には、サセプタの側面で生じる渦に付随してガスが巻き込まれたり持ち出されたりする。
【0013】
このような装置は、サセプタの搬送方向に垂直な側面やサセプタに載置したウエハの垂直な側面によって、第1番目の技術と同様、ガスカーテンを通過させるときに、ガスの流れが乱れてしまう。
【0014】
第3番目の技術は、ガスカーテンによるガスの流れを半導体基板の表面に沿った方向に設定することによって、半導体基板の通過時にも窒素ガスの流れが乱されることが少なくなる。
【0015】
しかしながら、ガスの流れを半導体基板の表面に沿った方向に設定すると、半導体基板の表面が、搬送方向に垂直となるので、半導体基板の移動に伴って半導体基板の前方のガスを内部に押し込みやすく、また、半導体基板の間や半導体基板の後方にはよどみや渦が非常に生じやすいという問題が発生する。そのため、ガスの流れが乱れないようにするために、搬送速度は非常にゆっくりとした速度に限られてしまう。このような問題は、半導体基板や治具の形状を工夫しても大きく改善しない。また、このような装置は、ガスカーテンによるガスの流れが、搬送装置であるカンチレバーのガスの流れに垂直な面に妨げられてしまうので、特許文献3に示されているような穴や切り欠きを設けたとしても、第1番目の技術と同様、カンチレバーによるガスの流れの乱れが発生してしまう。
【0016】
図9に、従来技術における搬送装置11がガスカーテンを通過する時のガスの流れ32を説明する模式的正面図を示した。これからわかるように、搬送装置を通過する時に噴射されるガスの乱れが生じている。この結果ガスカーテンを超えたガスの移動が生じる。また、図10に、従来技術における搬送装置11がガスカーテンに入る直前のガスの流れ32を説明する模式的断面図を示した。これからわかるように、搬送装置がガスカーテンに入る直前においても前方側および後方側においても渦が生じている。この結果、搬送装置がガスカーテンを通過する時、ガスカーテンを超えたガスの移動が生じる
本発明の目的は、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送しても、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しない搬送装置および機構体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、被搬送体を載置、牽引、または押して移動方向への駆動力を与える機構体が、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置であって、
該ガスカーテンが該被搬送体の搬送方向に対して所定の噴射速度でガスを噴射して形成され、該ガスの噴射方向と該搬送方向とに垂直な方向の該機構体の厚みが、該噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなることを特徴とする搬送装置である。
【0018】
さらに本発明は、前記厚みが、前記搬送方向の前方側または後方側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなることを特徴とする。
【0019】
さらに本発明は、前記機構体は、前記ガスの噴射方向と前記搬送方向とに垂直な方向の片面または反対側の面の一方向にのみ傾斜していることを特徴とする。
【0020】
さらに本発明は、前記搬送装置が、前記被搬送体を処理する処理装置に、被搬送体を機構体に載置して搬送する搬送装置であって、
前記機構体の搬送体を載置する上面の形状が該被搬送体の下面の形状と同一であることを特徴とする。
【0021】
さらに本発明は、前記機構体に、前記被搬送体を埋め込むための凹部が形成されることを特徴とする。
【0022】
さらに本発明は、前記凹部の深さが、前記被搬送体の厚みと同一であることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、搬送方向に対して所定の噴射角度でガスを噴射して、被搬送体を処理する処理装置の開口部を覆うようにガスカーテンを形成させ、該ガスカーテンを通過して、該被搬送体を載置、牽引、または押して搬送する機構体であって、
該ガスの噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の厚みが、該噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなることを特徴とする機構体である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置において、ガスカーテンは、被搬送体の搬送方向に対して所定の噴射角度でガスを噴射して形成される。搬送状態にあるときに、ガスの噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の機構体の厚みが、ガスの噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなる。
【0025】
噴射方向および搬送方向に垂直な方向の機構体の形状が、噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなる形状であるので、その形状に応じて、ガスカーテンによるガスの流れの上流側または下流側の少なくとも一方の端部にてガスを被搬送体の上方側と下方側に分離する際に、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0026】
したがって、この搬送装置は、機構体がガスカーテンを通過して被搬送体を搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【0027】
また本発明によれば、搬送状態にあるときに、ガスの噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の機構体の厚みが、搬送方向の前方側または後方側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなる。
【0028】
噴射方向および搬送方向に垂直な方向の機構体の形状が、搬送方向の前方側の端部に向かって、除々に薄くなる形状であると、機構体の前面によるガスの押し込みが少なくなり、さらに、搬送方向の前方側の端部によってガスを掻き分けて、機構体の上方側と下方側とに分離する際に、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0029】
また、噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の機構体の形状が、搬送方向の後方側に向かって、除々に薄くなる形状であると、上方側のガスと下方側のガスとが合流する合流部分にガスの渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0030】
したがって、この搬送装置は、たとえば高速で搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【0031】
また本発明によれば、機構体は、側面が前記ガスの噴射方向と前記搬送方向とに垂直な方向の片面または反対側の面の一方向にのみ傾斜している。そうすることにより機構体の一方の表面を広く確保することができる。さらに、被処理物を機構体に載置して搬送する場合、機構体の一方の表面を広く確保することができるので、被処理物を安定して搬送することができ、大きな被処理物を搬送することが可能である。
【0032】
また本発明によれば、機構体と被処理物との接触部は同一形状である。ここで同一形状とは実質的に大きさと形状が同一とみられる略同一も含むものとする。このため、被処理物を載置した場合でも不必要なガス溜まりなどが生じず、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【0033】
また本発明によれば、非処理物を載置するための機構体には、被処理物を埋め込むための凹部が形成される。そうすることにより、被処理物を機構体に載置すると、被処理物が凹部に埋め込まれる。よって、この搬送装置は、被処理物を搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【0034】
また本発明によれば、凹部の深さが、被処理物の厚みと同一である。ここで同一とは実質的に厚みと同一とみられる略同一も含むものとする。そうすることにより、被処理物を機構体に載置すると、被処理物が出っ張ったり、凹んだりすることがない。よって、被処理物の垂直な側面によるガスの乱れがより小さくなる。
【0035】
また本発明によれば、搬送方向に対して所定の噴射角度でガスを噴射して、被処理物を処理する処理装置の開口部を覆うようにガスカーテンを形成させ、このガスカーテンを通過して、被処理物を載置、牽引、または押して搬送する機構体である。この機構体は、搬送状態にあるときに、ガスの噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の厚みが、ガスの噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなる機構体である。
【0036】
噴射方向および搬送方向に垂直な方向の機構体の形状が、噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなる形状であるので、その形状に応じて、ガスカーテンによるガスの流れの上流側または下流側の少なくとも一方の端部にてガスを機構体の上方側と下方側に分離する際に、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0037】
したがって、この機構体は、ガスカーテンを通過して搬送を行っても、ガスの乱れが少なく、ガスカーテンによる閉塞効果を低下させにくいので、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明は、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置であり、基板や搬送用トレイなどの被搬送体を搬送する場合に用いられる。以下に本発明を実施の形態によって詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を簡略化して示す前方からみた模式的正面図である。搬送装置11は、被搬送体14を搬送する機構体15を備える。搬送装置11は、開口部12を有する開放系の処理装置13に、その開口部12を通過して被搬送体14を搬送する。図1は、被搬送体14を機構体15に載置して処理装置13へ搬入する場合を示しており、被搬送体14を処理装置13に搬入する方向が、被搬送体14の搬送方向16である。機構体15は、図1には被搬送体14を上面の凹部に載置して搬送する形態を示しているが、他にガイド上に被搬送体14を載置して、機構体15が被搬送体14を牽引したり、押して搬送する搬送方法であってもよい。
【0040】
処理装置13は、ガスを噴射するガス噴射部17およびガスを吸引するガス吸引部18を備える。処理装置13は、被搬送体14の搬送方向16に対して垂直にガス噴射部17からガスを噴射し、ガス吸引部18でガスが吸引することによって、開口部12を覆うようにガスカーテンが形成される。ガス噴射部17から噴射されるガスは、不活性ガスであればよく、たとえば、窒素およびアルゴンなどが挙げられ、窒素が好ましく用いられる。処理装置13は、ガス噴射部17から噴射されるガスの噴射角度が、搬送方向16に対して垂直である処理装置に限らず、ガスの噴射角度が、搬送方向16に対して略垂直である処理装置であってもよい。
【0041】
機構体15は、被処理物である被搬送体14を載置、牽引、または押して搬送する搬送用アームである。被搬送体を14移動させるための機構体15としては、たとえば、ボールねじやエアシリンダなどの直動機器の可動部により被搬送体14を直線的に移動させる構造のものや、回転軸を中心にアームをスイングさせて円弧軌道上を移動させる構造のものが挙げられる。いずれの場合も、ガスカーテンを通過する機構体の幅(厚み)をなるべく少なくするために、前記のボールねじやエアシリンダや回転軸はガスカーテンにかからない位置に設置し、被搬送体14を移動させるのに必要且つ十分な剛性(または厚み)を有するアーム上の構造体のみがガスカーテンを通過する構造とすることが好ましい。
【0042】
また、機構体15は被搬送体より薄いのが好ましい。さらに好ましくは厚みが20mm以下であることが望ましい。機構体15が薄いと搬送体を搬送しても、機構体15によるガスの乱れを少なくすることができ、20mm以下であるとさらに機構体15によるガスの乱れを少なくすることができる。
【0043】
機構体15は、ガスの噴射方向19と搬送方向16とに垂直な方向の形状が、噴射方向19の上流側に向かって、連続的に徐々に薄くなるように、上流側の側面21が一方向に傾斜している。そうすることによって、ガスカーテンによるガスの流れの上流側の端部にてガスを機構体15の上方側と下方側に分離する際に、ガスが分離されやすい。したがって、上流側の側面が垂直である機構体の場合と比較して、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0044】
ガスの乱れなどは、線香等で煙を立てて目視する方法、あるいはPIV(Particle
Image Velocimetry)などの手法を用いて速度ベクトルの時空間分布を可視化する方法などによって測定できる。
【0045】
また、機構体15は、ガスの噴射方向19と搬送方向16とに垂直な方向の形状が、噴射方向19の下流側に向かって、連続的に徐々に薄くなるように、下流側の側面22が搬送体を載置する上面または反対側の下面の一方向に傾斜している。そうすることにより、下流側の端部にて上方側のガスと下方側のガスとが合流しやすい。よって、下流側の側面が垂直である機構体の場合と比較して、ガスの合流部分でガスの渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0046】
以上より、搬送装置11は、ガスカーテンを通過して被搬送体14を搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えてガスが移動しない。
【0047】
ガスカーテンのガスの流速は、0.05m/s以上0.5m/s以下であることが好ましい。0.05m/s以上であると、ガスカーテンの閉塞効果を充分に発揮でき、処理装置13内部のガスが外部に流出したり、外部のガスが内部に流入したりすることがない。また、0.5m/s以下であると、機構体15がガスカーテンを通過する際に、ガスが機構体15に強く吹きつけず、機構体15上の被搬送体14の搬送状態が安定である。
【0048】
機構体15の上面と上流側の側面とのなす角αは、ガスの流速が小さければ、角αが大きくてもガスの乱れを低減するという効果を発揮することができる。しかし、ガスの流速が大きければ、ガスの乱れを低減するという効果を発揮するためには角αが小さい必要がある。また、機構体15の上面と上流側の側面とのなす角αは、5度以上60度以下であることが好ましい。そうすることによって、ガスの流速にかかわらず、ガスの流れの乱れを低減するという効果を発揮することができ、さらに、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送することができる。5度以上であると、ガスの流れの乱れを低減するという効果が大きく、且つ底面が狭くならないので、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送しやすい。60度以下であると、機構体15の側面が傾斜することによるガスの乱れを低減するという効果が充分に発揮できる。
【0049】
機構体15の上面と下流側の側面とのなす角βは、角αと同様、ガスの流速が小さければ、角βが大きくてもガスの乱れを低減するという効果を発揮することができるが、ガスの流速が大きければ、角βが小さい必要がある。また、機構体15の上面と上流側の側面とのなす角βは、5度以上60度以下であることが好ましい。そうすることによって、ガスの流速にかかわらず、ガスの流れの乱れを低減するという効果を発揮することができ、さらに、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送することができる。5度以上であると、底面が狭くならないので、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送しやすい。60度以下であると、機構体15の側面が傾斜することによるガスの乱れを低減するという効果を充分に発揮できる。
【0050】
図2は、図1の切断面線II−IIから見た搬送装置11に機構15が入る直前の状態を示す搬送装置11の模式的断面図である。機構体15は、搬送状態のときに、ガスの噴射方向19と搬送方向16とに垂直な方向の形状が、搬送方向16の前方側に向かって、連続的に徐々に薄くなるように、前方側の側面25が一方向に傾斜している。そうすることによって、垂直な側面を有する機構体の場合と比較して、機構体15の側面25によるガスの押し込みが少なくなり、さらに、搬送方向16の前方側の端部によってガスを掻き分けて、被搬送体14の上方側と下方側とに分離する際に、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0051】
また、機構体15は、搬送状態のときに、ガスの噴射方向19と搬送方向16とに垂直な方向の形状が、搬送方向16の後方側に向かって、連続的に徐々に薄くなるように、後方側の側面が一方向に傾斜している。そうすることによって、垂直な側面を有する機構体の場合と比較して、機構体15の側面26によるガスの巻き込みが少なくなり、ガスの合流部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。後方側は図2に示すように徐々に薄くなっていてもよいし、使用する上でガスカーテンを通過しない位置まで同一の厚みであってもよい。また、使用する上でガスカーテンを通過しない位置まで徐々に厚くなっていてもよいが、これは前方端が徐々に薄くなっていることと同義であることはいうまでもない。たとえば、被搬送体が平面を垂直に立ててかつ平面に沿った方向に搬送される場合、被搬送体によって遮られる範囲を小さくするためにガスカーテンのガスの流れ方向も垂直方向にすることが好ましい。この場合、機構体も平面を垂直に立てて配置することが好ましく、その側面(すなわちここでは上端と下端)で厚みが薄くなるように構成する。
【0052】
以上より、搬送装置11は、たとえば、被搬送体を高速で搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しない。
【0053】
被搬送体14の搬送速度は、0.1m/s以上1.0m/s以下であることが好ましい。0.1m/s以上であると搬送効率が大きく、1.0m/s以下であると搬送効率が大きく、且つ被搬送体14の側面25によるガスの乱れも小さい。
【0054】
機構体15の上面と前方側の側面とのなす角γは、機構体15の搬送速度が小さければ、角γが大きくてもガスの乱れを低減するという効果を発揮することができる。しかし、機構体15の搬送速度が大きければ、ガスの乱れを低減するという効果を発揮するためには角γが小さいことが必要である。また、機構体15の上面と前方側の側面とのなす角γは、5度以上60度以下であることが好ましい。そうすることによって、機構体15の搬送速度にかかわらず、ガスの流れの乱れを低減するという効果を発揮することができ、さらに、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送することができる。5度以上であると、底面が狭くならないので、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送しやすい。60度以下であると、機構体15の側面が傾斜することによるガスの乱れを低減するという効果を充分に発揮できる。
【0055】
上流側の側面21および下流側の側面22は、被搬送体14を載置した上面23が、下面24より広くなるように傾斜している。また、前方側の側面25は、被搬送体14を載置した上面23が、下面24より広くなるように傾斜している。そうすることによって、機構体15の上面23を広く確保され、大きな被搬送体14を載置可能である。よって、ガスカーテンを通過した後などに、表面処理を施す場合、大きい被搬送体14に表面処理を施すことができるので、好ましい。また、側面21,22,25を搬送体を載置する上面および反対側の下面の二方向に傾斜させるより、容易に、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しない形状に形成することができる。また、機構体15は、上面23より狭いが下面24を有するので、機構体15に被搬送体14を安定して載置することができる。
【0056】
機構体15の上面の形状は被搬送体14の下面と略同一形状であるので、被搬送体14を機構体15に載置したとき、ガスカーテンによるガスが回り込みにくい空間が生じず、ガス溜りが生じにくい。このため、ガスの乱れやガスカーテンを通過するガス量を小さくすることが出来る。
【0057】
機構体15は、被搬送体14を埋め込むための凹部が形成されているので、被搬送体14を機構体15に載置すると、被搬送体14が凹部に埋め込まれる。よって、機構体15は、被搬送体14を載置して搬送しても、被搬送体14の表面に垂直な側面によるガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。また、凹部の深さが、被搬送体14の厚みと同一であるのが好ましい。そうすることによって、被搬送体14を機構体15に載置すると、凹部を埋めることができ、さらに、被搬送体14が出っ張ったりすることもない。よって、被搬送体14の垂直な側面によるガスの乱れがより小さくなる。
【0058】
機構体15は、上記のような形状に限らず、ガスの噴射方向19と搬送方向16とに垂直な方向の形状が、端部に向かって除々に薄くなればよく、たとえば、図3に示す形状の被搬送体であってもよい。
【0059】
図3は、種々の形態の機構体15の断面図である。図3(a)は、図1および図2に示した機構体15の断面形状を示す断面図である。
【0060】
図3(b)に示す機構体15は、下面の中心からそれぞれの端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、それぞれの側面が上面の一方向に傾斜している形状である。この機構体15は、中心から連続的に徐々に薄くなっているので、下面がなく、端部が最も鋭角になる形状である。よって、ガスを分離または合流しやすく、ガスの流れがより乱れにくい。
【0061】
また、図3(b)に示す形状の場合、機構体15の上面と上流側の側面とのなす角α、機構体15の上面と下流側の側面とのなす角β、および機構体15の上面と前方側の側面とのなす角γは、5度以上60度以下であることが好ましい。
【0062】
図3(c)に示す機構体15は、それぞれの端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、上面と下面との面積が同一となるように側面が上面および下面の二方向に傾斜している形状である。この機構体15は、側面の中心で、ガスを上方側と下方側に分離するので、ガスを分離または合流しやすく、ガスの流れがより乱れにくい。
【0063】
図3(d)に示す機構体15は、それぞれの端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、上面が下面より面積が広くなるように側面が上面および下面の二方向に傾斜している形状である。
【0064】
また、図3(c)および図3(d)に示す形状の場合、上流側の上面および下面の二方向に傾斜している側面のなす角、および上面および下面の二方向に傾斜している側面のなす角は、10度以上120度以下であることが好ましい。前方側および後方側の二方向に傾斜している側面のなす角は、10度以上120度以下であることが好ましい。
【0065】
図3(e)に示す機構体15は、端部に向かって断続的に徐々に薄くなっており、上面が下面より面積が広くなるようにそれぞれの側面が上面の一方向に少なくとも一段以上の階段状に傾斜している形状である。もちろん上面側に階段状の傾斜が設けられていてもよい。
【0066】
図3(f)に示す機構体15は、端部に向かって徐々に薄くなっており、上面が下面より面積が広くなるようにそれぞれの側面が上面の一方向に傾斜しており、傾斜面の途中で、上面および底面に平行な面を有する形状である。
【0067】
図3(g)に示す機構体15は、中心からそれぞれの端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、それぞれの側面が、側面に沿ってガスが流れやすいように湾曲している形状である。この機構体15は、ガスの流れがより乱れにくい。
【0068】
図3(h)に示す機構体15は、中心からそれぞれの端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、断面形状が楕円形である。この機構体15は、ガスの流れがより乱れにくく、曲がっている被処理物を載置する場合に好ましい。
【0069】
図3(i)に示す機構体15は、端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、上面が下面より面積が広くなるような一方向の傾斜の部分と、側面に上面に垂直な部分とを有する形状である。この機構体15は、側面に上面に垂直な部分を有していても、傾斜の部分を有するので、ガスの流れを乱れにくくするという効果を発揮することができる。
【0070】
図3(j)に示す機構体15は、端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、上面が下面より面積が広くなるような二方向の傾斜の部分と、側面に上面に垂直な部分とを有する形状である。この機構体15は、側面に上面に垂直な部分を有していても、傾斜の部分を有するので、ガスの流れを乱れにくくするという効果を発揮することができる。
【0071】
機構体15は、図3に示すように、ガスの噴射方向19の上流側の側面と下流側の側面との形状が中心を通る線で線対称である場合であってもよいし、また、側面の形状が線対称でなくてもよく、図4に示すように決定しても良い。
【0072】
図4は、機構体15の形状を決定する方法を説明する図である。まず、機構体15の噴射方向19の上流側の側面、下流側の側面、搬送方向16の前方側の側面、後方側の側面のそれぞれを加工する必要があるか否かを決定する。加工する場合、加工する側面が、上面(上面)、下面(底面)および両面のいずれであるかを決定する。それぞれの側面を、連続的に加工するか、断続的に加工するか、端部で連続的に加工するかを決定し、その加工する寸法を決定する。そうすることによって、機構体15の形状を決定する。
【0073】
図5は、本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を示す模式的断面図である。図2は、被搬送体14を処理装置13に搬入する場合を示したが、図5は、被搬送体14を処理装置13から搬出する場合を示した。このような搬出の場合も、搬入と同様、機構体15の側面25によるガスの押し込みが少なくなり、さらに、搬送方向16の前方側の端部によってガスを掻き分けて、機構体15の上方側と下方側とに分離する際に、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくいという効果を発揮することができる。
【0074】
処理装置13としては、被処理物などを搬送するための開口部12を有していればよく、たとえば、坩堝炉、熱処理炉、常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)装置、液相成長装置などが挙げられる。これらの処理装置13は、本発明である搬送装置11を用いることによって、装置内部と外部とのガスの移動のない閉塞された空間を、安価な装置構成で実現でき、不純物との反応や不純物の混入を防ぐことができる。また、坩堝炉の場合、純度の高い溶湯を得ることができる。熱処理炉の場合、清浄な条件下で熱処理を行うことができる。常圧CVD装置の場合、良好な薄膜を得ることができる。液相成長装置の場合、良好な結晶や薄膜を得ることができる。
【0075】
処理装置13は、装置内部を大気圧などの装置外部の圧力より常に陽圧となるように、パージガスを装置内部に供給するパージラインを備える場合がある。そうすることによって、装置外部のガスが装置内部に流入してくることがなくなるが、装置内部のガスがガスカーテンを超えて流出してしまう。また、装置内部を陽圧にすると、搬送方向に垂直な側面を有する機構体の場合、ガスカーテンを通過する際、ガスがより乱れやすくなるが、搬送装置11で搬送する機構体15の場合、ガスの乱れが発生しにくいので、装置外部のガスが装置内部に流入してくることを避けて、より不純物との反応や不純物の混入を防ぐことができる。不純物との反応や不純物の混入を防ぐことがより求められる場合に好ましく用いることができる。
【0076】
処理装置13は、装置内部のガスをパージガスに置換する場合、パージガスを十分に長い間、供給することによって行ってもよいし、装置内部のガスを排気する排気手段を設け、予め、装置内部のガスを排気した後に、パージガスを供給してもよい。
【0077】
また、搬送装置11は、処理装置13に機構体15を挿入する場合に限らず、ガスカーテンを通過して機構体を挿入する場合であればよく、たとえば、クリーンルームに、被搬送体を搬送するための搬送装置としても用いることができる。
【0078】
また、処理装置13は、ガス噴射部17を備えていればよく、たとえば、ガス吸引部18を備えていなくてもよい。また、図6に示すように、ガス吸引部18の代りに、ガス噴射部17を備え、ガス噴射部17を、開口部12の右方側および左方側の両側に備える処理装置であってもよい。
【0079】
図6は、本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を簡略化して示す模式的正面図である。図1は、ガス噴射部17とガス吸引部18とを備えた処理装置13に搬送する場合を示したが、図6は、開口部12の両側に、ガス噴射部17を備えた処理装置13に搬送する場合を示す。この処理装置13は、開口部12の中央近辺で、ガスが合流するように、ガスカーテンが形成される。このような場合であっても、機構体15の側面で、ガスが分離しやすく、分離部分で渦やよどみが発生しないので、ガスの流れが乱れにくい。
【0080】
ガス噴射部17は、ガスカーテンが1段形成される場合に限らず、2段以上ガスカーテンが形成されるように設置されていてもよい。
【0081】
また、機構体15は、平面方向を水平に保持して搬送する場合に限らず、傾斜させて搬送してもよいし、表面が垂直となるように保持して搬送してもよい。
【0082】
図7は、本発明の実施形態である搬送装置11を用い、被処理物20の形状が異なる場合の被搬送体14の搬送を示す模式的断面図である。被処理物である被搬送体14の形状が異なる場合、機構体15の凹部を、被搬送体14の形状に応じて変化させることで、ガスカーテンを通過する搬送をしても、ガスの乱れの発生しない搬送が行える。たとえば、薄い被搬送体14を搬送する際は、凹部の深さを浅くし、厚い被搬送体14を搬送する際は、凹部の深さを深くして、凹部の深さを、被搬送体14の厚みと同一とすればよい。そうすることによって、被搬送体14を機構体15に載置すると、凹部を埋めることができ、さらに、被搬送体14が出っ張ったりすることもない。よって、被搬送体14の垂直な側面によるガスの乱れがより小さくなる。このとき、被搬送体14は機構体15の上に直接設置されてもよいし、トレイやスペーサ等を介して設置されてもよい。
【0083】
被搬送体は機構体に載置されて移動される形態だけでなく、搬送レールやローラー上に載置された被搬送体を機構体により牽引したり、押したりすることで移動させる形態も含まれる。
【0084】
図8は、本発明の実施形態である搬送装置11を用い、被搬送体をローラーに載せすぐ後に接した機構体により押す場合の模式的断面図である。機構体がガスカーテンを通過している間のガスの乱れが小さく、結果としてガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を簡略化して示す前方からみた模式的正面図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た搬送装置11に機構15が入る直前の状態を示す搬送装置11の模式的断面図である。
【図3】種々の形態の機構体15の断面図である。
【図4】機構体15の形状を決定する方法を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を示す模式的断面図である。
【図6】本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を簡略化して示す模式的正面図である。
【図7】本発明の実施形態である搬送装置11を用い、被搬送体14の形状が異なる場合の機構体15の搬送を示す模式的断面図である。
【図8】本発明の別の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を簡略化して示す模式的断面図である。
【図9】従来技術における搬送装置11がガスカーテンを通過する時のガスの流れ32を説明する模式的正面図である。
【図10】従来技術における搬送装置11がガスカーテンに入る直前のガスの流れ32を説明する模式的断面図である。
【符号の説明】
【0086】
11 搬送装置
12 開口部
13 処理装置
14 被搬送体
15 機構体
16 搬送方向
17 ガス噴射部
18 ガス吸引部
19 ガスの噴射方向
20 被処理物
21,22,25,26 側面
23 上面
24 下面
27 ローラー
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置、および搬送装置に含まれる機構体に関する。
【背景技術】
【0002】
基板などの被処理物の表面処理は、減圧下で行うこともあるが、大気圧下で行うこともある。大気圧下で表面処理を行う装置としては、たとえば、大気圧下で安定な大気圧プラズマを用いることによって基板に表面処理を施す大気圧プラズマ気相成長装置および大気圧プラズマクリーニング装置がある。さらに、坩堝炉、熱処理炉および液相成長装置などの処理装置も、大気圧下で被処理物を処理する場合がある。このような大気圧下で処理する処理装置は、減圧下で表面処理を行う場合と異なり、真空装置などを必要としない。したがって、大気圧下で処理する処理装置は、処理装置の内外で気圧が変化しないので、被処理物を装置内部に搬入したり装置内部から搬出したりする被処理物を搬送するための開口部を有する開放系の処理装置を用いることができる。よって、被処理物を搬送用トレイなどに載せて搬送しながら、処理することができ、スループット(処理量)を向上させることができる。
【0003】
しかしながら、表面処理に用いる処理ガスなどの装置内部のガスが外部に流出したり、装置外部のガスが装置内に流入したりする問題が発生する。したがって、装置内部の処理ガス濃度を一定にするためには、処理ガスを装置内部に流入させ続けなければならず、処理ガスの使用量が増大してしまう。
【0004】
そこで、このような問題を解決させるために、開口部を覆うように、ガスカーテンを形成させ、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置を用いる。
【0005】
このようなガスカーテンを用いた従来の技術としては、ガスカーテンにより外部雰囲気と遮断された反応室に、ベルトコンベアで半導体材料を搬入して、半導体材料をオゾン雰囲気に晒す処理装置がある(たとえば、特許文献1)。
【0006】
他の従来技術として、開口部の上下の内壁部には、ガスを斜め前方へ向けて吹き出すためのガス吹出口が設けられ、ガスを上下から同時に吹き出し、中央部で合流するようなガスカーテンが形成されるアニール装置がある(たとえば、特許文献2)。
【0007】
さらに他の従来の技術として、複数枚の半導体基板を立設するように保持する治具を載せて反応管内に運び入れるカンチレバーと、反応管の入口部分にガスカーテンを形成するガス供給装置とを備え、カンチレバーにガス供給装置から供給されたガスを通す通気孔を設けた半導体装置製造用熱処理炉が記載されている(たとえば、特許文献3)。
【0008】
【特許文献1】特開昭59−75629号公報
【特許文献2】特開平6−168950号公報
【特許文献3】特開平3−250625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記第1番目の技術は、半導体材料をオゾン雰囲気で処理するために、反応室の搬入口および搬出口にガスカーテンを形成させることで、外部からの大気成分の巻き込みやオゾンの外部への流出を抑えて閉塞された空間を作り出し、その空間の内部へ半導体材料をベルトコンベアで搬入および搬出することができる。
【0010】
しかしながら、この処理装置は、開口部の下方から上方に向けて窒素ガスを吹き出し、かつ上方に排気口を設けることでガスカーテンを形成しているので、窒素ガスは常に搬送機構であるコンベアの下面に垂直に入射し広い面積でガスがさえぎられる。よって、半導体材料の上方ではガスカーテンによる閉塞効果が著しく低下し、多くのガスが半導体材料に付随して巻き込みまたは持ち出される。
【0011】
第2番目の技術は、ガスを開口部の上方側と下方側とから吹き付けてガスカーテンを形成させるので、ウエハを載置したサセプタがガスカーテンを通過している状態であっても、第1番目の技術は、半導体材料の上方でのガスカーテンによる閉塞効果の著しい低下を防ぐことができる。
【0012】
しかしながら、サセプタがガスカーテンに進入していない状態でもガスカーテンの端から端まで広い範囲で常に上方から吹き出されるガスと下方から吹き出されるガスとが合流し、そのガスの合流に伴う渦やゆらぎが生じている。また、ガスの吹き出し口やその周辺の構造やガスの流量の設定によっては、かえって外気を巻き込む可能性がある。さらに、サセプタがガスカーテンを通過している時には、サセプタの側面で生じる渦に付随してガスが巻き込まれたり持ち出されたりする。
【0013】
このような装置は、サセプタの搬送方向に垂直な側面やサセプタに載置したウエハの垂直な側面によって、第1番目の技術と同様、ガスカーテンを通過させるときに、ガスの流れが乱れてしまう。
【0014】
第3番目の技術は、ガスカーテンによるガスの流れを半導体基板の表面に沿った方向に設定することによって、半導体基板の通過時にも窒素ガスの流れが乱されることが少なくなる。
【0015】
しかしながら、ガスの流れを半導体基板の表面に沿った方向に設定すると、半導体基板の表面が、搬送方向に垂直となるので、半導体基板の移動に伴って半導体基板の前方のガスを内部に押し込みやすく、また、半導体基板の間や半導体基板の後方にはよどみや渦が非常に生じやすいという問題が発生する。そのため、ガスの流れが乱れないようにするために、搬送速度は非常にゆっくりとした速度に限られてしまう。このような問題は、半導体基板や治具の形状を工夫しても大きく改善しない。また、このような装置は、ガスカーテンによるガスの流れが、搬送装置であるカンチレバーのガスの流れに垂直な面に妨げられてしまうので、特許文献3に示されているような穴や切り欠きを設けたとしても、第1番目の技術と同様、カンチレバーによるガスの流れの乱れが発生してしまう。
【0016】
図9に、従来技術における搬送装置11がガスカーテンを通過する時のガスの流れ32を説明する模式的正面図を示した。これからわかるように、搬送装置を通過する時に噴射されるガスの乱れが生じている。この結果ガスカーテンを超えたガスの移動が生じる。また、図10に、従来技術における搬送装置11がガスカーテンに入る直前のガスの流れ32を説明する模式的断面図を示した。これからわかるように、搬送装置がガスカーテンに入る直前においても前方側および後方側においても渦が生じている。この結果、搬送装置がガスカーテンを通過する時、ガスカーテンを超えたガスの移動が生じる
本発明の目的は、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送しても、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しない搬送装置および機構体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、被搬送体を載置、牽引、または押して移動方向への駆動力を与える機構体が、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置であって、
該ガスカーテンが該被搬送体の搬送方向に対して所定の噴射速度でガスを噴射して形成され、該ガスの噴射方向と該搬送方向とに垂直な方向の該機構体の厚みが、該噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなることを特徴とする搬送装置である。
【0018】
さらに本発明は、前記厚みが、前記搬送方向の前方側または後方側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなることを特徴とする。
【0019】
さらに本発明は、前記機構体は、前記ガスの噴射方向と前記搬送方向とに垂直な方向の片面または反対側の面の一方向にのみ傾斜していることを特徴とする。
【0020】
さらに本発明は、前記搬送装置が、前記被搬送体を処理する処理装置に、被搬送体を機構体に載置して搬送する搬送装置であって、
前記機構体の搬送体を載置する上面の形状が該被搬送体の下面の形状と同一であることを特徴とする。
【0021】
さらに本発明は、前記機構体に、前記被搬送体を埋め込むための凹部が形成されることを特徴とする。
【0022】
さらに本発明は、前記凹部の深さが、前記被搬送体の厚みと同一であることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、搬送方向に対して所定の噴射角度でガスを噴射して、被搬送体を処理する処理装置の開口部を覆うようにガスカーテンを形成させ、該ガスカーテンを通過して、該被搬送体を載置、牽引、または押して搬送する機構体であって、
該ガスの噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の厚みが、該噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなることを特徴とする機構体である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置において、ガスカーテンは、被搬送体の搬送方向に対して所定の噴射角度でガスを噴射して形成される。搬送状態にあるときに、ガスの噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の機構体の厚みが、ガスの噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなる。
【0025】
噴射方向および搬送方向に垂直な方向の機構体の形状が、噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなる形状であるので、その形状に応じて、ガスカーテンによるガスの流れの上流側または下流側の少なくとも一方の端部にてガスを被搬送体の上方側と下方側に分離する際に、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0026】
したがって、この搬送装置は、機構体がガスカーテンを通過して被搬送体を搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【0027】
また本発明によれば、搬送状態にあるときに、ガスの噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の機構体の厚みが、搬送方向の前方側または後方側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなる。
【0028】
噴射方向および搬送方向に垂直な方向の機構体の形状が、搬送方向の前方側の端部に向かって、除々に薄くなる形状であると、機構体の前面によるガスの押し込みが少なくなり、さらに、搬送方向の前方側の端部によってガスを掻き分けて、機構体の上方側と下方側とに分離する際に、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0029】
また、噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の機構体の形状が、搬送方向の後方側に向かって、除々に薄くなる形状であると、上方側のガスと下方側のガスとが合流する合流部分にガスの渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0030】
したがって、この搬送装置は、たとえば高速で搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【0031】
また本発明によれば、機構体は、側面が前記ガスの噴射方向と前記搬送方向とに垂直な方向の片面または反対側の面の一方向にのみ傾斜している。そうすることにより機構体の一方の表面を広く確保することができる。さらに、被処理物を機構体に載置して搬送する場合、機構体の一方の表面を広く確保することができるので、被処理物を安定して搬送することができ、大きな被処理物を搬送することが可能である。
【0032】
また本発明によれば、機構体と被処理物との接触部は同一形状である。ここで同一形状とは実質的に大きさと形状が同一とみられる略同一も含むものとする。このため、被処理物を載置した場合でも不必要なガス溜まりなどが生じず、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【0033】
また本発明によれば、非処理物を載置するための機構体には、被処理物を埋め込むための凹部が形成される。そうすることにより、被処理物を機構体に載置すると、被処理物が凹部に埋め込まれる。よって、この搬送装置は、被処理物を搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【0034】
また本発明によれば、凹部の深さが、被処理物の厚みと同一である。ここで同一とは実質的に厚みと同一とみられる略同一も含むものとする。そうすることにより、被処理物を機構体に載置すると、被処理物が出っ張ったり、凹んだりすることがない。よって、被処理物の垂直な側面によるガスの乱れがより小さくなる。
【0035】
また本発明によれば、搬送方向に対して所定の噴射角度でガスを噴射して、被処理物を処理する処理装置の開口部を覆うようにガスカーテンを形成させ、このガスカーテンを通過して、被処理物を載置、牽引、または押して搬送する機構体である。この機構体は、搬送状態にあるときに、ガスの噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の厚みが、ガスの噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなる機構体である。
【0036】
噴射方向および搬送方向に垂直な方向の機構体の形状が、噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなる形状であるので、その形状に応じて、ガスカーテンによるガスの流れの上流側または下流側の少なくとも一方の端部にてガスを機構体の上方側と下方側に分離する際に、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0037】
したがって、この機構体は、ガスカーテンを通過して搬送を行っても、ガスの乱れが少なく、ガスカーテンによる閉塞効果を低下させにくいので、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明は、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置であり、基板や搬送用トレイなどの被搬送体を搬送する場合に用いられる。以下に本発明を実施の形態によって詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を簡略化して示す前方からみた模式的正面図である。搬送装置11は、被搬送体14を搬送する機構体15を備える。搬送装置11は、開口部12を有する開放系の処理装置13に、その開口部12を通過して被搬送体14を搬送する。図1は、被搬送体14を機構体15に載置して処理装置13へ搬入する場合を示しており、被搬送体14を処理装置13に搬入する方向が、被搬送体14の搬送方向16である。機構体15は、図1には被搬送体14を上面の凹部に載置して搬送する形態を示しているが、他にガイド上に被搬送体14を載置して、機構体15が被搬送体14を牽引したり、押して搬送する搬送方法であってもよい。
【0040】
処理装置13は、ガスを噴射するガス噴射部17およびガスを吸引するガス吸引部18を備える。処理装置13は、被搬送体14の搬送方向16に対して垂直にガス噴射部17からガスを噴射し、ガス吸引部18でガスが吸引することによって、開口部12を覆うようにガスカーテンが形成される。ガス噴射部17から噴射されるガスは、不活性ガスであればよく、たとえば、窒素およびアルゴンなどが挙げられ、窒素が好ましく用いられる。処理装置13は、ガス噴射部17から噴射されるガスの噴射角度が、搬送方向16に対して垂直である処理装置に限らず、ガスの噴射角度が、搬送方向16に対して略垂直である処理装置であってもよい。
【0041】
機構体15は、被処理物である被搬送体14を載置、牽引、または押して搬送する搬送用アームである。被搬送体を14移動させるための機構体15としては、たとえば、ボールねじやエアシリンダなどの直動機器の可動部により被搬送体14を直線的に移動させる構造のものや、回転軸を中心にアームをスイングさせて円弧軌道上を移動させる構造のものが挙げられる。いずれの場合も、ガスカーテンを通過する機構体の幅(厚み)をなるべく少なくするために、前記のボールねじやエアシリンダや回転軸はガスカーテンにかからない位置に設置し、被搬送体14を移動させるのに必要且つ十分な剛性(または厚み)を有するアーム上の構造体のみがガスカーテンを通過する構造とすることが好ましい。
【0042】
また、機構体15は被搬送体より薄いのが好ましい。さらに好ましくは厚みが20mm以下であることが望ましい。機構体15が薄いと搬送体を搬送しても、機構体15によるガスの乱れを少なくすることができ、20mm以下であるとさらに機構体15によるガスの乱れを少なくすることができる。
【0043】
機構体15は、ガスの噴射方向19と搬送方向16とに垂直な方向の形状が、噴射方向19の上流側に向かって、連続的に徐々に薄くなるように、上流側の側面21が一方向に傾斜している。そうすることによって、ガスカーテンによるガスの流れの上流側の端部にてガスを機構体15の上方側と下方側に分離する際に、ガスが分離されやすい。したがって、上流側の側面が垂直である機構体の場合と比較して、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0044】
ガスの乱れなどは、線香等で煙を立てて目視する方法、あるいはPIV(Particle
Image Velocimetry)などの手法を用いて速度ベクトルの時空間分布を可視化する方法などによって測定できる。
【0045】
また、機構体15は、ガスの噴射方向19と搬送方向16とに垂直な方向の形状が、噴射方向19の下流側に向かって、連続的に徐々に薄くなるように、下流側の側面22が搬送体を載置する上面または反対側の下面の一方向に傾斜している。そうすることにより、下流側の端部にて上方側のガスと下方側のガスとが合流しやすい。よって、下流側の側面が垂直である機構体の場合と比較して、ガスの合流部分でガスの渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0046】
以上より、搬送装置11は、ガスカーテンを通過して被搬送体14を搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えてガスが移動しない。
【0047】
ガスカーテンのガスの流速は、0.05m/s以上0.5m/s以下であることが好ましい。0.05m/s以上であると、ガスカーテンの閉塞効果を充分に発揮でき、処理装置13内部のガスが外部に流出したり、外部のガスが内部に流入したりすることがない。また、0.5m/s以下であると、機構体15がガスカーテンを通過する際に、ガスが機構体15に強く吹きつけず、機構体15上の被搬送体14の搬送状態が安定である。
【0048】
機構体15の上面と上流側の側面とのなす角αは、ガスの流速が小さければ、角αが大きくてもガスの乱れを低減するという効果を発揮することができる。しかし、ガスの流速が大きければ、ガスの乱れを低減するという効果を発揮するためには角αが小さい必要がある。また、機構体15の上面と上流側の側面とのなす角αは、5度以上60度以下であることが好ましい。そうすることによって、ガスの流速にかかわらず、ガスの流れの乱れを低減するという効果を発揮することができ、さらに、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送することができる。5度以上であると、ガスの流れの乱れを低減するという効果が大きく、且つ底面が狭くならないので、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送しやすい。60度以下であると、機構体15の側面が傾斜することによるガスの乱れを低減するという効果が充分に発揮できる。
【0049】
機構体15の上面と下流側の側面とのなす角βは、角αと同様、ガスの流速が小さければ、角βが大きくてもガスの乱れを低減するという効果を発揮することができるが、ガスの流速が大きければ、角βが小さい必要がある。また、機構体15の上面と上流側の側面とのなす角βは、5度以上60度以下であることが好ましい。そうすることによって、ガスの流速にかかわらず、ガスの流れの乱れを低減するという効果を発揮することができ、さらに、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送することができる。5度以上であると、底面が狭くならないので、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送しやすい。60度以下であると、機構体15の側面が傾斜することによるガスの乱れを低減するという効果を充分に発揮できる。
【0050】
図2は、図1の切断面線II−IIから見た搬送装置11に機構15が入る直前の状態を示す搬送装置11の模式的断面図である。機構体15は、搬送状態のときに、ガスの噴射方向19と搬送方向16とに垂直な方向の形状が、搬送方向16の前方側に向かって、連続的に徐々に薄くなるように、前方側の側面25が一方向に傾斜している。そうすることによって、垂直な側面を有する機構体の場合と比較して、機構体15の側面25によるガスの押し込みが少なくなり、さらに、搬送方向16の前方側の端部によってガスを掻き分けて、被搬送体14の上方側と下方側とに分離する際に、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。
【0051】
また、機構体15は、搬送状態のときに、ガスの噴射方向19と搬送方向16とに垂直な方向の形状が、搬送方向16の後方側に向かって、連続的に徐々に薄くなるように、後方側の側面が一方向に傾斜している。そうすることによって、垂直な側面を有する機構体の場合と比較して、機構体15の側面26によるガスの巻き込みが少なくなり、ガスの合流部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくい。後方側は図2に示すように徐々に薄くなっていてもよいし、使用する上でガスカーテンを通過しない位置まで同一の厚みであってもよい。また、使用する上でガスカーテンを通過しない位置まで徐々に厚くなっていてもよいが、これは前方端が徐々に薄くなっていることと同義であることはいうまでもない。たとえば、被搬送体が平面を垂直に立ててかつ平面に沿った方向に搬送される場合、被搬送体によって遮られる範囲を小さくするためにガスカーテンのガスの流れ方向も垂直方向にすることが好ましい。この場合、機構体も平面を垂直に立てて配置することが好ましく、その側面(すなわちここでは上端と下端)で厚みが薄くなるように構成する。
【0052】
以上より、搬送装置11は、たとえば、被搬送体を高速で搬送しても、ガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しない。
【0053】
被搬送体14の搬送速度は、0.1m/s以上1.0m/s以下であることが好ましい。0.1m/s以上であると搬送効率が大きく、1.0m/s以下であると搬送効率が大きく、且つ被搬送体14の側面25によるガスの乱れも小さい。
【0054】
機構体15の上面と前方側の側面とのなす角γは、機構体15の搬送速度が小さければ、角γが大きくてもガスの乱れを低減するという効果を発揮することができる。しかし、機構体15の搬送速度が大きければ、ガスの乱れを低減するという効果を発揮するためには角γが小さいことが必要である。また、機構体15の上面と前方側の側面とのなす角γは、5度以上60度以下であることが好ましい。そうすることによって、機構体15の搬送速度にかかわらず、ガスの流れの乱れを低減するという効果を発揮することができ、さらに、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送することができる。5度以上であると、底面が狭くならないので、機構体15によって被搬送体14を安定して搬送しやすい。60度以下であると、機構体15の側面が傾斜することによるガスの乱れを低減するという効果を充分に発揮できる。
【0055】
上流側の側面21および下流側の側面22は、被搬送体14を載置した上面23が、下面24より広くなるように傾斜している。また、前方側の側面25は、被搬送体14を載置した上面23が、下面24より広くなるように傾斜している。そうすることによって、機構体15の上面23を広く確保され、大きな被搬送体14を載置可能である。よって、ガスカーテンを通過した後などに、表面処理を施す場合、大きい被搬送体14に表面処理を施すことができるので、好ましい。また、側面21,22,25を搬送体を載置する上面および反対側の下面の二方向に傾斜させるより、容易に、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しない形状に形成することができる。また、機構体15は、上面23より狭いが下面24を有するので、機構体15に被搬送体14を安定して載置することができる。
【0056】
機構体15の上面の形状は被搬送体14の下面と略同一形状であるので、被搬送体14を機構体15に載置したとき、ガスカーテンによるガスが回り込みにくい空間が生じず、ガス溜りが生じにくい。このため、ガスの乱れやガスカーテンを通過するガス量を小さくすることが出来る。
【0057】
機構体15は、被搬送体14を埋め込むための凹部が形成されているので、被搬送体14を機構体15に載置すると、被搬送体14が凹部に埋め込まれる。よって、機構体15は、被搬送体14を載置して搬送しても、被搬送体14の表面に垂直な側面によるガスの乱れが発生しにくいので、ガスカーテンによる閉塞効果が大きく、ガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。また、凹部の深さが、被搬送体14の厚みと同一であるのが好ましい。そうすることによって、被搬送体14を機構体15に載置すると、凹部を埋めることができ、さらに、被搬送体14が出っ張ったりすることもない。よって、被搬送体14の垂直な側面によるガスの乱れがより小さくなる。
【0058】
機構体15は、上記のような形状に限らず、ガスの噴射方向19と搬送方向16とに垂直な方向の形状が、端部に向かって除々に薄くなればよく、たとえば、図3に示す形状の被搬送体であってもよい。
【0059】
図3は、種々の形態の機構体15の断面図である。図3(a)は、図1および図2に示した機構体15の断面形状を示す断面図である。
【0060】
図3(b)に示す機構体15は、下面の中心からそれぞれの端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、それぞれの側面が上面の一方向に傾斜している形状である。この機構体15は、中心から連続的に徐々に薄くなっているので、下面がなく、端部が最も鋭角になる形状である。よって、ガスを分離または合流しやすく、ガスの流れがより乱れにくい。
【0061】
また、図3(b)に示す形状の場合、機構体15の上面と上流側の側面とのなす角α、機構体15の上面と下流側の側面とのなす角β、および機構体15の上面と前方側の側面とのなす角γは、5度以上60度以下であることが好ましい。
【0062】
図3(c)に示す機構体15は、それぞれの端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、上面と下面との面積が同一となるように側面が上面および下面の二方向に傾斜している形状である。この機構体15は、側面の中心で、ガスを上方側と下方側に分離するので、ガスを分離または合流しやすく、ガスの流れがより乱れにくい。
【0063】
図3(d)に示す機構体15は、それぞれの端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、上面が下面より面積が広くなるように側面が上面および下面の二方向に傾斜している形状である。
【0064】
また、図3(c)および図3(d)に示す形状の場合、上流側の上面および下面の二方向に傾斜している側面のなす角、および上面および下面の二方向に傾斜している側面のなす角は、10度以上120度以下であることが好ましい。前方側および後方側の二方向に傾斜している側面のなす角は、10度以上120度以下であることが好ましい。
【0065】
図3(e)に示す機構体15は、端部に向かって断続的に徐々に薄くなっており、上面が下面より面積が広くなるようにそれぞれの側面が上面の一方向に少なくとも一段以上の階段状に傾斜している形状である。もちろん上面側に階段状の傾斜が設けられていてもよい。
【0066】
図3(f)に示す機構体15は、端部に向かって徐々に薄くなっており、上面が下面より面積が広くなるようにそれぞれの側面が上面の一方向に傾斜しており、傾斜面の途中で、上面および底面に平行な面を有する形状である。
【0067】
図3(g)に示す機構体15は、中心からそれぞれの端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、それぞれの側面が、側面に沿ってガスが流れやすいように湾曲している形状である。この機構体15は、ガスの流れがより乱れにくい。
【0068】
図3(h)に示す機構体15は、中心からそれぞれの端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、断面形状が楕円形である。この機構体15は、ガスの流れがより乱れにくく、曲がっている被処理物を載置する場合に好ましい。
【0069】
図3(i)に示す機構体15は、端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、上面が下面より面積が広くなるような一方向の傾斜の部分と、側面に上面に垂直な部分とを有する形状である。この機構体15は、側面に上面に垂直な部分を有していても、傾斜の部分を有するので、ガスの流れを乱れにくくするという効果を発揮することができる。
【0070】
図3(j)に示す機構体15は、端部に向かって連続的に徐々に薄くなっており、上面が下面より面積が広くなるような二方向の傾斜の部分と、側面に上面に垂直な部分とを有する形状である。この機構体15は、側面に上面に垂直な部分を有していても、傾斜の部分を有するので、ガスの流れを乱れにくくするという効果を発揮することができる。
【0071】
機構体15は、図3に示すように、ガスの噴射方向19の上流側の側面と下流側の側面との形状が中心を通る線で線対称である場合であってもよいし、また、側面の形状が線対称でなくてもよく、図4に示すように決定しても良い。
【0072】
図4は、機構体15の形状を決定する方法を説明する図である。まず、機構体15の噴射方向19の上流側の側面、下流側の側面、搬送方向16の前方側の側面、後方側の側面のそれぞれを加工する必要があるか否かを決定する。加工する場合、加工する側面が、上面(上面)、下面(底面)および両面のいずれであるかを決定する。それぞれの側面を、連続的に加工するか、断続的に加工するか、端部で連続的に加工するかを決定し、その加工する寸法を決定する。そうすることによって、機構体15の形状を決定する。
【0073】
図5は、本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を示す模式的断面図である。図2は、被搬送体14を処理装置13に搬入する場合を示したが、図5は、被搬送体14を処理装置13から搬出する場合を示した。このような搬出の場合も、搬入と同様、機構体15の側面25によるガスの押し込みが少なくなり、さらに、搬送方向16の前方側の端部によってガスを掻き分けて、機構体15の上方側と下方側とに分離する際に、ガスの分離部分に渦やよどみが生じにくく、ガスの乱れが発生しにくいという効果を発揮することができる。
【0074】
処理装置13としては、被処理物などを搬送するための開口部12を有していればよく、たとえば、坩堝炉、熱処理炉、常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)装置、液相成長装置などが挙げられる。これらの処理装置13は、本発明である搬送装置11を用いることによって、装置内部と外部とのガスの移動のない閉塞された空間を、安価な装置構成で実現でき、不純物との反応や不純物の混入を防ぐことができる。また、坩堝炉の場合、純度の高い溶湯を得ることができる。熱処理炉の場合、清浄な条件下で熱処理を行うことができる。常圧CVD装置の場合、良好な薄膜を得ることができる。液相成長装置の場合、良好な結晶や薄膜を得ることができる。
【0075】
処理装置13は、装置内部を大気圧などの装置外部の圧力より常に陽圧となるように、パージガスを装置内部に供給するパージラインを備える場合がある。そうすることによって、装置外部のガスが装置内部に流入してくることがなくなるが、装置内部のガスがガスカーテンを超えて流出してしまう。また、装置内部を陽圧にすると、搬送方向に垂直な側面を有する機構体の場合、ガスカーテンを通過する際、ガスがより乱れやすくなるが、搬送装置11で搬送する機構体15の場合、ガスの乱れが発生しにくいので、装置外部のガスが装置内部に流入してくることを避けて、より不純物との反応や不純物の混入を防ぐことができる。不純物との反応や不純物の混入を防ぐことがより求められる場合に好ましく用いることができる。
【0076】
処理装置13は、装置内部のガスをパージガスに置換する場合、パージガスを十分に長い間、供給することによって行ってもよいし、装置内部のガスを排気する排気手段を設け、予め、装置内部のガスを排気した後に、パージガスを供給してもよい。
【0077】
また、搬送装置11は、処理装置13に機構体15を挿入する場合に限らず、ガスカーテンを通過して機構体を挿入する場合であればよく、たとえば、クリーンルームに、被搬送体を搬送するための搬送装置としても用いることができる。
【0078】
また、処理装置13は、ガス噴射部17を備えていればよく、たとえば、ガス吸引部18を備えていなくてもよい。また、図6に示すように、ガス吸引部18の代りに、ガス噴射部17を備え、ガス噴射部17を、開口部12の右方側および左方側の両側に備える処理装置であってもよい。
【0079】
図6は、本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を簡略化して示す模式的正面図である。図1は、ガス噴射部17とガス吸引部18とを備えた処理装置13に搬送する場合を示したが、図6は、開口部12の両側に、ガス噴射部17を備えた処理装置13に搬送する場合を示す。この処理装置13は、開口部12の中央近辺で、ガスが合流するように、ガスカーテンが形成される。このような場合であっても、機構体15の側面で、ガスが分離しやすく、分離部分で渦やよどみが発生しないので、ガスの流れが乱れにくい。
【0080】
ガス噴射部17は、ガスカーテンが1段形成される場合に限らず、2段以上ガスカーテンが形成されるように設置されていてもよい。
【0081】
また、機構体15は、平面方向を水平に保持して搬送する場合に限らず、傾斜させて搬送してもよいし、表面が垂直となるように保持して搬送してもよい。
【0082】
図7は、本発明の実施形態である搬送装置11を用い、被処理物20の形状が異なる場合の被搬送体14の搬送を示す模式的断面図である。被処理物である被搬送体14の形状が異なる場合、機構体15の凹部を、被搬送体14の形状に応じて変化させることで、ガスカーテンを通過する搬送をしても、ガスの乱れの発生しない搬送が行える。たとえば、薄い被搬送体14を搬送する際は、凹部の深さを浅くし、厚い被搬送体14を搬送する際は、凹部の深さを深くして、凹部の深さを、被搬送体14の厚みと同一とすればよい。そうすることによって、被搬送体14を機構体15に載置すると、凹部を埋めることができ、さらに、被搬送体14が出っ張ったりすることもない。よって、被搬送体14の垂直な側面によるガスの乱れがより小さくなる。このとき、被搬送体14は機構体15の上に直接設置されてもよいし、トレイやスペーサ等を介して設置されてもよい。
【0083】
被搬送体は機構体に載置されて移動される形態だけでなく、搬送レールやローラー上に載置された被搬送体を機構体により牽引したり、押したりすることで移動させる形態も含まれる。
【0084】
図8は、本発明の実施形態である搬送装置11を用い、被搬送体をローラーに載せすぐ後に接した機構体により押す場合の模式的断面図である。機構体がガスカーテンを通過している間のガスの乱れが小さく、結果としてガスカーテンを超えたガスの移動が発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を簡略化して示す前方からみた模式的正面図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た搬送装置11に機構15が入る直前の状態を示す搬送装置11の模式的断面図である。
【図3】種々の形態の機構体15の断面図である。
【図4】機構体15の形状を決定する方法を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を示す模式的断面図である。
【図6】本発明の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を簡略化して示す模式的正面図である。
【図7】本発明の実施形態である搬送装置11を用い、被搬送体14の形状が異なる場合の機構体15の搬送を示す模式的断面図である。
【図8】本発明の別の実施形態である搬送装置11を用いた被搬送体14の搬送を簡略化して示す模式的断面図である。
【図9】従来技術における搬送装置11がガスカーテンを通過する時のガスの流れ32を説明する模式的正面図である。
【図10】従来技術における搬送装置11がガスカーテンに入る直前のガスの流れ32を説明する模式的断面図である。
【符号の説明】
【0086】
11 搬送装置
12 開口部
13 処理装置
14 被搬送体
15 機構体
16 搬送方向
17 ガス噴射部
18 ガス吸引部
19 ガスの噴射方向
20 被処理物
21,22,25,26 側面
23 上面
24 下面
27 ローラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送体を載置、牽引、または押して移動方向への駆動力を与える機構体が、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置であって、
該ガスカーテンが該被搬送体の搬送方向に対して所定の噴射速度でガスを噴射して形成され、該ガスの噴射方向と該搬送方向とに垂直な方向の該機構体の厚みが、該噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記厚みが、前記搬送方向の前方側または後方側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記機構体は、前記ガスの噴射方向と前記搬送方向とに垂直な方向の片面または反対側の面の一方向にのみ傾斜していることを特徴とする請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送装置が、前記被搬送体を処理する処理装置に、被搬送体を機構体に載置して搬送する搬送装置であって、
前記機構体の搬送体を載置する上面の形状が該被搬送体の下面の形状と同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記機構体に、前記被搬送体を埋め込むための凹部が形成されることを特徴とする請求項4記載の搬送装置。
【請求項6】
前記凹部の深さが、前記被搬送体の厚みと同一であることを特徴とする請求項5記載の搬送装置。
【請求項7】
搬送方向に対して所定の噴射角度でガスを噴射して、被搬送体を処理する処理装置の開口部を覆うようにガスカーテンを形成させ、該ガスカーテンを通過して、該被搬送体を載置、牽引、または押して搬送する機構体であって、
該ガスの噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の厚みが、該噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなることを特徴とする機構体。
【請求項1】
被搬送体を載置、牽引、または押して移動方向への駆動力を与える機構体が、ガスカーテンを通過して被搬送体を搬送する搬送装置であって、
該ガスカーテンが該被搬送体の搬送方向に対して所定の噴射速度でガスを噴射して形成され、該ガスの噴射方向と該搬送方向とに垂直な方向の該機構体の厚みが、該噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記厚みが、前記搬送方向の前方側または後方側の少なくとも一方の端部に向かって、徐々に薄くなることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記機構体は、前記ガスの噴射方向と前記搬送方向とに垂直な方向の片面または反対側の面の一方向にのみ傾斜していることを特徴とする請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送装置が、前記被搬送体を処理する処理装置に、被搬送体を機構体に載置して搬送する搬送装置であって、
前記機構体の搬送体を載置する上面の形状が該被搬送体の下面の形状と同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記機構体に、前記被搬送体を埋め込むための凹部が形成されることを特徴とする請求項4記載の搬送装置。
【請求項6】
前記凹部の深さが、前記被搬送体の厚みと同一であることを特徴とする請求項5記載の搬送装置。
【請求項7】
搬送方向に対して所定の噴射角度でガスを噴射して、被搬送体を処理する処理装置の開口部を覆うようにガスカーテンを形成させ、該ガスカーテンを通過して、該被搬送体を載置、牽引、または押して搬送する機構体であって、
該ガスの噴射方向と搬送方向とに垂直な方向の厚みが、該噴射方向の上流側または下流側の少なくとも一方の端部に向かって、除々に薄くなることを特徴とする機構体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−123844(P2009−123844A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294852(P2007−294852)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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