説明

搬送装置

【課題】リンクアーム機構を有する搬送装置において、特にリンクアーム機構を冷却し、高温状態のワークからの輻射熱の影響を減少させることができる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置100は、真空空間内においてワーク200を搬送するためのリンクアーム機構2と、リンクアーム機構2を鉛直軸周りに回転可能に軸支する旋回軸3と、を備える搬送装置であって、リンクアーム機構2は、下段アーム31L・31Rと、下段アーム31L・31Rと連結される上段アーム33L・33Rと、上段アーム33L・33Rの他端と連結されるワーク200を支持する水平移動部材22L・22Rと、を有し、上段アーム33L・33Rと水平移動部材22L・22Rとの間に冷却板25L・25Rを配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空空間で基板を搬送するための搬送装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
真空空間において基板などのワークを搬送する搬送装置は従来から公知となっている(例えば、特許文献1参照)。前記搬送装置は、真空空間内においてワークを水平移動させるリンクアーム機構を有する。
また、搬送装置で搬送するワークは高温状態であるため、ワークの周辺の部材に輻射熱が伝わる。そこで、レール機構を有する搬送装置であって、高温状態のワークからの輻射熱を受けやすいレール機構のガイドレール部分に冷媒通路を設けた搬送装置が公知となっている(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−153253号公報
【特許文献2】特開2010−177411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記リンクアーム機構を有する搬送装置によって高温状態のワークを搬送する場合、特に上部アーム及び下部アームがワークからの輻射熱の影響を受けやすい。ワークからの輻射熱の影響を受けると、上部アーム及び下部アームの各部分が熱膨張することにより位置精度や軌跡精度が低下する。また、輻射熱の影響により、上部アーム及び下部アームの各部分が劣化し破損するおそれがある。また、輻射熱により、上部アーム及び下部アームの各部分に塗布した潤滑油が蒸発するため、潤滑油により上部アーム及び下部アームの各部分が汚染されるおそれがある。潤滑油を使用しない材料で上部アーム及び下部アームを構成した場合には、コストが上昇する。
【0005】
そこで、本発明は係る課題に鑑み、リンクアーム機構を有する搬送装置において、特にリンクアーム機構を冷却し、高温状態のワークからの輻射熱の影響を減少させることができる搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、真空空間内においてワークを搬送するためのリンクアーム機構と、前記リンクアーム機構を鉛直軸周りに回転可能に軸支する旋回軸と、を備える搬送装置であって、前記リンクアーム機構は、下段アームと、前記下段アームと連結される上段アームと、前記上段アームの他端と連結されるワークを支持する水平移動部材と、を有し、前記上段アームと水平移動部材との間に冷却板を配置したものである。
【0008】
請求項2においては、前記冷却板の水平移動部材側の面に反射材を貼設したものである。
【0009】
請求項3においては、前記下段アームの下側に冷却板を配置したものである。
【0010】
請求項4においては、前記旋回軸の周囲に冷却板を巻回したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、リンクアーム機構の上段アームと高温状態のワークとの間に冷却板が配置されることにより、上段アームを冷却板で冷却することができる。したがって、高温状態のワークからの輻射熱の影響を減少させることができる。
【0013】
請求項2においては、高温状態のワークに近い側の面に反射材を貼設することで、ワークからの輻射熱を反射することができる。したがって、高温状態のワークからの輻射熱の影響を減少させることができる。
【0014】
請求項3においては、高温状態のワークからの輻射熱が真空空間内で反射してリンクアーム機構の下側から伝わってきた場合であっても、リンクアーム機構の下段アームの下側に冷却板が配置されることにより、下段アームを冷却板で冷却することができる。したがって、高温状態のワークからの輻射熱の影響を減少させることができる。
【0015】
請求項4においては、リンクアーム機構を軸支する旋回軸を冷却板で冷却することができる。したがって、高温状態のワークからの輻射熱の影響を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態にかかる搬送装置の左前方斜視図。
【図2】搬送装置の右前方斜視図。
【図3】搬送装置の平面図。
【図4】搬送装置の正面図。
【図5】搬送装置の左側面図。
【図6】左冷却板を示す(a)平面図(b)A−A線断面図。
【図7】別実施形態に係る左冷却板を示す(a)A−A線断面図(b)A−A線断面図。
【図8】右冷却板を示す(a)平面図(b)B−B線断面図。
【図9】第二実施形態に係る搬送装置の左前方斜視図。
【図10】第二実施形態に係る搬送装置の正面図。
【図11】第二実施形態に係る搬送装置の左側面図。
【図12】下側冷却板を示す(a)平面図(b)C−C線断面図。
【図13】第三実施形態に係る搬送装置の正面図。
【図14】旋回軸冷却板のD−D線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず、図1から図5を用いて、搬送装置100の全体構成について説明する。なお、図1において矢印A方向を前方とし、図1の各矢印方向が示す方向をそれぞれ、前後方向、左右方向、上下方向とする。
【0018】
搬送装置100は、図1から図5に示すように、真空空間内においてワーク200を搬送するためのリンクアーム機構2と、リンクアーム機構2を鉛直軸周りに回転可能に軸支する旋回軸3と、を備える。
旋回軸3は、その下部が筐体4に固設されている。また、上部には、リンクアーム機構2が設けられている。旋回軸3の内部には図示せぬ駆動ユニットが設けられており、駆動ユニットを駆動することにより、リンクアーム機構2の左下段アーム31L及び右下段アーム31Rはそれぞれ回動移動する。
また、旋回軸3を回動することにより、リンクアーム機構2全体を鉛直軸周りに回転させることができる。また、旋回軸3は筐体4に対して上下方向に摺動することができ、旋回軸3及びリンクアーム機構2を上下方向へ摺動させることができる。
旋回軸3の下面と筐体の上面との境目よりも上方はワーク200を搬送する真空空間とされる。
【0019】
リンクアーム機構2は、ワーク200を水平移動させる機構である。ワーク200とは、本実施形態においては例えば基板や液晶パネルなどであり、板状に形成されている。
リンクアーム機構2は、旋回ベース20と、左右のリンクアーム21L・21Rと、左右の水平移動部材22L・22Rと、から構成される。左リンクアーム21Lは、左下段アーム31L、左中間リンク32L、左上段アーム33L、及び左水平移動部材連結部34Lを有する。また、右リンクアームは21R、右下段アーム31R、右中間リンク32R、右上段アーム33R、及び右水平移動部材連結部34Rを有する。なお、左右のリンクアーム21L・21Rの構成は限定するものでなく、左右反対に構成されていても構わない。
【0020】
旋回ベース20は、旋回軸3の上部に連結されている。旋回軸3は、図4に示すように、底板41と、左リンクアーム回動軸部42と、右リンクアーム回動軸部43と、前エプロン部44と、を有している。
底板41は、板状の部材であり、旋回軸3と相対回転不能となるように連結されている。
左リンクアーム回動軸部42は、左リンクアーム21Lの回動中心となる部分であり、駆動軸42aと、従動軸42bとを有する。駆動軸42aには、図示せぬ駆動ユニットの駆動軸が連結されている。駆動軸42aが駆動ユニットによって回動されることにより、左下段アーム31Lは左リンクアーム回動軸部42を回動中心として回動移動する。
右リンクアーム回動軸部43は、右リンクアーム21Rの回動中心となる部分であり、駆動軸43aと、従動軸43bとを有する。駆動軸43aには、図示せぬ駆動ユニットの駆動軸が連結されている。駆動軸43aが駆動ユニットによって回動されることにより、右下段アーム32Rは右リンクアーム回動軸部43を回動中心として回動移動する。
底板41の上面には、駆動軸42a及び駆動軸43aが設けられている。駆動軸42a及び駆動軸43aは、旋回軸3の回転軸からずれた位置に配置されている。
また、底板41の前面には、前エプロン部44が固設されている。前エプロン部44は、側面視略鉤型の部材であり、その下端が底板41の前面に固設されている。前エプロン部44の上面には、従動軸42b及び従動軸43aが設けられている。
【0021】
次に、左リンクアーム21Lの構成について、図1、図3、図4及び図5を用いて説明する。
左下段アーム31Lは、一対の長板状の部材である第一アーム部材51Lと第二アーム部材52Lとから構成されている。当該左下段アーム31Lと、左リンクアーム回動軸部42と、左中間リンク32Lとの間で平行リンク機構を構成している。
第一アーム部材51Lの基端部は、左リンクアーム回動軸部42の駆動軸42aに相対回転不能に連結される。また、第二アーム部材52Lの基端部は、従動軸42bに回転自在に連結される。これにより、左下段アーム31Lは、左リンクアーム回動軸部42を回動中心として回動移動する。
また、第一アーム部材51Lの他端部は、左中間リンク32Lに設けられた連動軸32aに相対回転不能に連結される。第二アーム部材52Lの他端部は、左中間リンク32Lに設けられた回動軸32bに回動自在に連結される。
【0022】
左中間リンク32Lは、左下段アーム31Lと左上段アーム33Lとを連結し、左上段アーム33Lを左下段アーム31Lの動きと連動させて回動させる部材である。左中間リンク32Lは、連動軸32aと、回動軸32b、32cとを有する。連動軸32aには、内部に図示せぬ連動機構が設けられている。
【0023】
左上段アーム33Lは、一対の長板状の部材である第三アーム部材53Lと第四アーム部材54Lとから構成されている。当該左上段アーム33Lと、左中間リンク32Lと、左水平移動部材連結部34Lとの間で平行リンク機構を構成している。
第三アーム部材53Lの基端部は、左中間リンク32Lの連動軸32aに相対回転不能に連結される。また、第四アーム部材54Lの基端部は、左中間リンク32Lの回動軸32cに回転自在に連結される。これにより、第三アーム部材53Lは、連動軸32aの図示せぬ連動機構を介して、第一アーム部材51Lの動きと連動して回動される。
また、第三アーム部材53Lの他端部は、左水平移動部材連結部34Lに設けられた支持軸34aに相対回転不能に連結される。第四アーム部材54Lの他端部は、左水平移動部材連結部34Lに設けられた回動軸34bに回動自在に連結される。
【0024】
左水平移動部材22Lは、水平移動ベース65Lと爪66Lとを有している。
水平移動ベース65Lは、左水平移動部材連結部34Lの支持軸34aの下部であって、第三アーム部材53Rの下側に連結されている。水平移動ベース65Lは板状に構成されており、その前端には、左右二本の爪66L・66Lが突設されている。
爪66L・66Lは、細い板状の部材であり、その上面にワーク200が載置されることが可能となっている。
【0025】
このように構成することにより、第一アーム部材51Lを、駆動軸42aの鉛直軸周りに回動させた場合、第二アーム部材52Lは第一アーム部材51Lと平行を保ちながら回動することで、結果として左中間リンク32Lが第一アーム部材51Lを半径とする円周上を水平移動する。
また、第一アーム部材51Lの動きに連動して、第三アーム部材53Lは第四アーム部材54Lと平行を保ちながら回動することで、結果として左水平移動部材連結部34Lが前後方向に水平移動する。
このように、左下段アーム31L及び左上段アーム33Lが伸縮するようなリンク動作を行うことにより、左水平移動部材22Lを前後方向に水平移動させることが可能となる。
【0026】
次に、右リンクアーム21Rの構成について、図2、図4を用いて説明する。
右下段アーム31Rは、一対の長板状の部材である第一アーム部材51Rと第二アーム部材52Rとから構成されている。当該右下段アーム31Rと、右リンクアーム回動軸部43と、右中間リンク32Rとの間で平行リンク機構を構成している。
第一アーム部材51Rの基端部は、右リンクアーム回動軸部43の駆動軸43aに相対回転不能に連結される。また、第二アーム部材52Rの基端部は、従動軸43bに回転自在に連結される。これにより、右下段アーム31Rは、右リンクアーム回動軸部43を回動中心として回動移動する。
また、第一アーム部材51Rの他端部は、右中間リンク32Rに設けられた連動軸32aに相対回転不能に連結される。第二アーム部材52Rの他端部は、右中間リンク32Rに設けられた回動軸32bに回動自在に連結される。
【0027】
右中間リンク32Rは、右下段アーム31Rと右上段アーム33Rとを連結し、右上段アーム33Rを右下段アーム31Rの動きと連動させて回動させる部材である。右中間リンク32Rは、連動軸32aと、回動軸32b、32cとを有する。連動軸32aには、内部に図示せぬ連動機構が設けられている。また、右中間リンク32Rの連動軸32aは、左中間リンク32Lの連動軸32aに比べて、上下方向の長さが短く形成されている。これにより、右上段アーム33R、右水平移動部材連結部34R、及び右水平移動部材22Rが、それぞれ、左上段アーム33L、左水平移動部材連結部34L、及び左水平移動部材22Lよりも低い位置に配置される。
【0028】
右上段アーム33Rは、一対の長板状の部材である第三アーム部材53Rと第四アーム部材54Rとから構成されている。当該右上段アーム33Rと、右中間リンク32Rと、右水平移動部材連結部34Rとの間で平行リンク機構を構成している。
第三アーム部材53Rの基端部は、右中間リンク32Rの連動軸32aに相対回転不能に連結される。また、第四アーム部材54Rの基端部は、右中間リンク32Rの回動軸32cに回転自在に連結される。これにより、第三アーム部材53Rは、連動軸32の図示せぬ連動機構を介して、第一アーム部材51Rの動きと連動して回動される。
また、第三アーム部材53Rの他端部は、右水平移動部材連結部34Rに設けられた支持軸34aに相対回転不能に連結される。第四アーム部材54Rの他端部は、右水平移動部材連結部34Rに設けられた回動軸34bに回動自在に連結される。
【0029】
右水平移動部材22Rは、水平移動ベース65Rと爪66Rとを有している。
水平移動ベース65Rは、右水平移動部材連結部34Rの支持軸34aの上部であって、第三アーム部材53Rの上側に連結されている。水平移動ベース65Rは板状に構成されており、その前端には、左右二本の爪66R・66Rが突設されている。
爪66R・66Rは、細い板状の部材であり、その上面にワーク200が載置されることが可能となっている。
【0030】
このように構成することにより、第一アーム部材51Rを、駆動軸43aの鉛直軸周りに回動させた場合、第二アーム部材52Rは第一アーム部材51Rと平行を保ちながら回動することで、結果として右中間リンク32Rが第一アーム部材51Rを半径とする円周上を水平移動する。
また、第一アーム部材51Rの動きに連動して、第三アーム部材53Rは第四アーム部材54Rと平行を保ちながら回動することで、結果として右水平移動部材連結部34Rが前後方向に水平移動する。
このように、右下段アーム31R及び右上段アーム33Rが伸縮するようなリンク動作を行うことにより、右水平移動部材22Rを前後方向に水平移動させることが可能となる。
【0031】
左右の水平移動部材22L・22Rは、上下方向の位置が異なるため互いに接触することなく、所定の間隔を持って重なるように構成されている。
【0032】
次に本実施形態の冷却板25L・25Rについて説明する。
冷却板25L・25Rは、左右のリンクアーム21L・21Rにそれぞれ対応する左冷却板25Lと右冷却板25Rとからなる。
左冷却板25Lは、板状の部材であり、黒色等の熱を吸収しやすい色の部材である。また左冷却板25Lは、図6に示すように、その表面には、冷媒通路71が設けられている。冷媒通路71は、左冷却板25Lの表面に設けられた溝に嵌設されている。左冷却板25Lは、冷媒通路71が上面に位置するように配置されている。冷媒通路71は、ジグザグ状に折り曲げられて左冷却板25Lの表面全面を冷却するように配置されている。また、冷媒通路71に流れる冷媒は、水や油などから構成されている。
【0033】
また、冷媒通路71は、図7(a)に示すように、左冷却板25Lの表面に取付具72によって取り付けられることもできる。左冷却板25Lの表面と、冷媒通路71の外周面と、取付具72の内周面とに囲まれた空間には熱伝達率を上げるための充填材73が充填されている。冷媒通路71及び取付具72は、ジグザグ状に折り曲げられて左冷却板25Lの表面全面を冷却するように配置されている。
また、冷媒通路71は、図7(b)に示すように、左冷却板25Lの内部に設けられることもできる。冷媒通路71は、ジグザグ状に折り曲げられて左冷却板25L全面を冷却するように配置されている。
【0034】
左冷却板25Lは第三アーム部材53L及び第四アーム部材54Lの下方であって、水平移動ベース65Lの上方に配置されている。すなわち、左冷却板25Lは、左上段アーム33Lの左水平移動部材22L側の面と左水平移動部材22Lとの間に設けられている。また、左冷却板25Lは、左上段アーム33Lの平面視での移動範囲を全て含む面積を有している。また、左冷却板25Lの平面視左右方向中間部前側には、図4及び図6に示すように、支持軸34aの半径より少しだけ大きい幅の支持軸通過溝25aが設けられている。連動軸通過溝25aは、水平移動部材22Lが前後方向に移動する際に支持軸34aが前後方向に移動するのを妨げることが無い範囲で設けられている。
【0035】
また、右冷却板25Rは、板状の部材であり、黒色等の熱を吸収しやすい色の部材である。また、右冷却板25Rは、左冷却板25Lと同様の構成であり、図8に示すように、その表面には、冷媒通路71が設けられている。右冷却板25Rは、冷媒通路71が下面に位置するように配置されている。冷媒通路71は、ジグザグ状に折り曲げられて右冷却板25Rの表面全面を冷却するように配置されている。また、冷媒通路71に流れる冷媒は、水や油などから構成されている。
【0036】
また、冷媒通路71は、左冷却板25Lの冷媒通路71と同様に、図7(a)に示すように、右冷却板25Rの表面に取付具72によって取り付けられることもできる。右冷却板25Rの表面と、冷媒通路71の外周面と、取付具72の内周面とに囲まれた空間には熱伝達率を上げるための充填材73が充填されている。冷媒通路71及び取付具72は、ジグザグ状に折り曲げられて右冷却板25Rの表面全面を冷却するように配置されている。
また、冷媒通路71は、図7(b)に示すように、右冷却板25Rの内部に設けられることもできる。冷媒通路71は、ジグザグ状に折り曲げられて右冷却板25R全面を冷却するように配置されている。
【0037】
右冷却板25Rは第三アーム部材53Rの上方であって、第四アーム部材54R及び水平移動ベース65Rの下方に配置されている。すなわち、右冷却板25Rは、右上段アーム33Rの右水平移動部材22R側の面と右水平移動部材22Rとの間に設けられている。
また、右冷却板25Rは、右上段アーム33Rの平面視での移動範囲を全て含む面積を有している。また、右冷却板25Rの平面視左右方向右寄り前側には、図4及び図8に示すように、支持軸34aの半径より少しだけ大きい幅の支持軸通過溝25aが設けられている。連動軸通過溝25aは、水平移動部材22Lが前後方向に移動する際に支持軸34aが前後方向に移動するのを妨げることが無い範囲で設けられている。
【0038】
次に、右冷却板25R及び左冷却板25Lの支持方法について説明する。図4及び図5に示すように、旋回ベース20の底板41の後面から第一冷却板支持部材75が後上方に突出して設けられている。前エプロン部44の上面からは、二本の柱状部材からなる第二冷却板支持部材76・76が上方に突設されている。また、左リンクアーム回動軸部42の駆動軸42aには、第三冷却板支持部材77が上方に突設されている。右冷却板25Rは、第一冷却板支持部材75、第二冷却板支持部材76・76、及び第三冷却板支持部材77によって下方から支持されている。
【0039】
また、右冷却板25Rの左側面および後面には複数の左冷却板支持部材78・78・78・78が立設されている。左冷却板25Lは左冷却板支持部材78・78・78・78の上部に固定されて下方から支持されている。
【0040】
左冷却板25Lの下面には反射材81が貼設されている。すなわち、左冷却板25Lの左水平移動部材22L側の面に反射材81が貼設されている。反射材81は、複数の接着部材82によって、左冷却板25Lに貼設されている。反射材81は、ワーク200からの輻射熱を反射することができる金属の薄い板で構成されている。
また、右冷却板25Rの上面には同様の構成の反射材81が貼設されている。すなわち、右冷却板25Rの右水平移動部材22R側の面に反射材81が貼設されている。
【0041】
<第二実施形態>
また、別の実施形態においては、図9から図11に示すように、左下段アーム31L及び右下段アーム31Rの下側に下側冷却板91が配置されている。なお、下側冷却板91以外の搬送装置100の構成は、第一実施形態に示す搬送装置100の構成と同様の構成であることから、説明を省略する。
【0042】
下側冷却板91は、板状の部材であり、黒色等の熱を吸収しやすい色の部材である。また、下側冷却板91は、左下段アーム31L及び右下段アーム31Rの下面に設けられている。また、下側冷却板91は、左冷却板25Lと同様の構成であり、図12に示すように、その表面には、冷媒通路71が設けられている。下側冷却板91は、冷媒通路71が上面に位置するように配置されている。冷媒通路71は、ジグザグ状に折り曲げられて下側冷却板91の表面全面を冷却するように配置されている。
【0043】
また、冷媒通路71は、左冷却板25Lの冷媒通路71と同様に、図7(a)に示すように、下側冷却板91の表面に取付具72によって取り付けられることもできる。下側冷却板91の表面と、冷媒通路71の外周面と、取付具72の内周面とに囲まれた空間には熱伝達率を上げるための充填材73が充填されている。冷媒通路71及び取付具72は、ジグザグ状に折り曲げられて下側冷却板91の表面全面を冷却するように配置されている。
また、冷媒通路71は、図7(b)に示すように、下側冷却板91の内部に設けられることもできる。冷媒通路71は、ジグザグ状に折り曲げられて下側冷却板91全面を冷却するように配置されている。
【0044】
下側冷却板91は、左下段アーム31L及び右下段アーム31Rの平面視での移動範囲を全て含む面積を有している。下側冷却板91は、旋回ベース20の底板41の後面から突設した支持部材92によって下方から支持されている。
【0045】
<第三実施形態>
また、別の実施形態においては、図13に示すように、旋回軸3の周囲に旋回軸冷却板95が配置されている。なお、旋回軸冷却板95以外の搬送装置100の構成は、第一実施形態に示す搬送装置100の構成と同様の構成であることから、説明を省略する。
【0046】
旋回軸冷却板95は、長板を環状に丸めた形状に形成されている。旋回軸冷却板95は、黒色等の熱を吸収しやすい色の部材である。旋回軸冷却板95は、左冷却板25Lと同様の構成であり、図14に示すように、その表面には、冷媒通路71が設けられている。旋回軸冷却板95は、冷媒通路71が内面に位置するように配置されている。冷媒通路71は、ジグザグ状に折り曲げられて旋回軸冷却板95の内面全面を冷却するように配置されている。旋回軸冷却板95は、旋回軸3の外側に貼設されている。
【0047】
また、冷媒通路71は、左冷却板25Lの冷媒通路71と同様に、図7(a)に示すように、旋回軸冷却板95の表面に取付具72によって取り付けられることもできる。旋回軸冷却板95の表面と、冷媒通路71の外周面と、取付具72の内周面とに囲まれた空間には熱伝達率を上げるための充填材73が充填されている。冷媒通路71及び取付具72は、ジグザグ状に折り曲げられて旋回軸冷却板95の内面全面を冷却するように配置されている。
また、冷媒通路71は、図7(b)に示すように、旋回軸冷却板95の内部に設けられることもできる。冷媒通路71は、ジグザグ状に折り曲げられて旋回軸冷却板95全面を冷却するように配置されている。
【0048】
以上のように、搬送装置100は、真空空間内においてワーク200を搬送するためのリンクアーム機構2と、リンクアーム機構2を鉛直軸周りに回転可能に軸支する旋回軸3と、を備える搬送装置であって、リンクアーム機構2は、下段アーム31L・31Rと、下段アーム31L・31Rと連結される上段アーム33L・33Rと、上段アーム33L・33Rの他端と連結されるワーク200を支持する水平移動部材22L・22Rと、を有し、上段アーム33L・33Rと水平移動部材22L・22Rとの間に冷却板25L・25Rを配置したものである。
このように構成することにより、ワーク200を水平移動部材22L・22Rの上面に載置した際に、リンクアーム機構2の上段アーム33L・33Rと高温状態のワーク200・200との間に冷却板25L・25Rが配置されることにより、上段アーム33L・33Rを冷却板25L・25Rで冷却することができる。より詳しくは、左上段アーム33Lの下面と左水平移動部材22L上に載置されたワーク200との間に左冷却板25Lが配置されることにより、左上段アーム33Lを左冷却板25Lで冷却することができる。また、右上段アーム33Rのうち特に第三アーム53Rの上面と右水平移動部材22R上に載置されたワーク200との間に右冷却板25Rが配置されることにより、右上段アーム33Rを右冷却板25Rで冷却することができる。したがって、高温状態のワーク200からの輻射熱の影響を減少させることができる。
【0049】
また、搬送装置100は、冷却板25L・25Rの水平移動部材22L・22R側の面に反射材81・81を貼設したものである。
このように構成することにより、高温状態のワーク200に近い側の面に反射材81を貼設することで、ワーク200からの輻射熱を反射することができる。したがって、高温状態のワーク200からの輻射熱の影響を減少させることができる。
【0050】
また、搬送装置100は、下段アーム31L・31Rの下側に下側冷却板91を配置したものである。
このように構成することにより、高温状態のワーク200からの輻射熱が真空空間内で反射してリンクアーム機構2の下側から伝わってきた場合であっても、リンクアーム機構2の下段アーム31L・31Rの下側に下側冷却板91が配置されることにより、下段アーム31L・31Rを冷却板で冷却することができる。したがって、高温状態のワーク200からの輻射熱の影響を減少させることができる。
【0051】
また、搬送装置100は、旋回軸3の周囲に旋回軸冷却板95を巻回したものである。
このように構成することにより、リンクアーム機構2を軸支する旋回軸3を旋回軸冷却板95で冷却することができる。したがって、高温状態のワーク200からの輻射熱の影響を減少させることができる。
【符号の説明】
【0052】
2 リンクアーム機構
3 旋回軸
21L 左リンクアーム
21R 右リンクアーム
22L 左水平移動部材
22R 右水平移動部材
25L 左冷却板
25R 右冷却板
31L 左下段アーム
31R 右下段アーム
32L 左中間リンク
32R 右中間リンク
33L 左上段アーム
33R 右上段アーム
71 冷媒通路
81 反射板
91 下側冷却板
95 旋回軸冷却板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空空間内においてワークを搬送するためのリンクアーム機構と、前記リンクアーム機構を鉛直軸周りに回転可能に軸支する旋回軸と、を備える搬送装置であって、
前記リンクアーム機構は、下段アームと、前記下段アームと連結される上段アームと、前記上段アームの他端と連結されるワークを支持する水平移動部材と、を有し、前記上段アームと水平移動部材との間に冷却板を配置した搬送装置。
【請求項2】
前記冷却板の水平移動部材側の面に反射材を貼設した請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記下段アームの下側に冷却板を配置した請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記旋回軸の周囲に冷却板を巻回した請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−101292(P2012−101292A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249606(P2010−249606)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】