説明

搬送車システム

【課題】操作者の安全を確保しつつ、システムを停止することなく搬送車を手動操作可能にする搬送車システムを提供する。
【解決手段】搬送車システムは、操作端末45と、通信装置43と、搬送車3とを備えている。操作端末45は、手動操作が可能である。通信装置43は、操作端末45により操作可能である。搬送車3は、通信装置43とは別体であり、通信装置43を介して操作端末45と通信が可能な無線通信処理部と、操作端末45と直接通信が可能な有線通信処理部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車システム、特に、端末を手動操作することで搬送車を制御することができる搬送車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のステーションと、複数のステーション間で物品を搬送する複数の搬送車とを有する搬送車システムが知られている。ステーションと搬送車との間では、荷つかみ(搬送車にステーションから物品が積み込まれること)や、荷おろし(搬送車からステーションに物品が積み出されること)が行われる。
【0003】
搬送車システムの制御系は、例えば、製造コントローラと、物流コントローラと、ストッカコントローラと、搬送車コントローラとを有している。製造コントローラは、処理装置からの搬送要求を受け付ける。物流コントローラは、製造コントローラと同じ位のコントローラであるが、ストッカコントローラおよび搬送車コントローラより上位のコントローラである。物流コントローラは、ストッカコントローラおよび搬送車コントローラに各種指令を送信する。ストッカコントローラは、ストッカに出庫指令を送信する。搬送車コントローラは、搬送車に搬送指令を送信する。
【0004】
手動操作のための端末としては、一例として、リモートコントローラが用いられている。リモートコントローラは、無線で搬送車と交信可能である。操作者は、リモートコントローラによって、搬送車の停止・発進、各種設定変更等の作業を行うことができる(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2000−153905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、リモコン操作は、安全性確保のために、操作者が搬送車近傍に接近して、かつ、搬送車を特定した状態で行われる。一方、搬送車システムでは、操作者の安全のために進入防止柵を用いて、搬送車の軌道エリアを外部から進入禁止にしていることがある。そこで、操作者は、搬送車を操作するために、進入防止柵の出入り口から軌道エリア内に入って搬送車に近傍まで移動する必要がある。
【0006】
しかし、搬送車システムは通常は自動走行を行っているので、リモコン操作を行う場合にはシステムを停止する必要がある。そのため、システムの搬送効率が低下してしまう。
【0007】
一方、搬送車にトラブルが生じた場合に、システム全体を停止させる必要がなく、当該搬送車のみを制御するので十分な場合もある。例えば、単に動作状態の確認をする場合や、異常リセットを行うなどの簡単な操作の場合である。
【0008】
本発明の課題は、操作者の安全を確保しつつ、システムを停止することなく搬送車を手動操作可能にする搬送車システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る搬送車システムは、操作端末と、通信設備と、搬送車とを備えている。操作端末は、手動操作が可能である。通信設備は、操作端末により操作可能である。搬送車は、通信設備とは別体であり、通信設備を介して操作端末と通信が可能な第1通信部と、操作端末と直接通信が可能な第2通信部とを有する。
このシステムでは、操作者は、搬送車を制御するために、操作端末を用いて通信設備を操作することで、通信設備を搬送車の第1通信部と交信させることができる。このため、操作者は必要以上に搬送車に接近する必要がないので、システムが自動走行状態であっても安全に搬送車を制御できる。また、操作端末から搬送車の第2通信部と交信することができるので、操作者は、安全な状態を選んで、搬送車の近傍で搬送車を制御できる。
なお、操作端末と通信設備および通信部の接続方法は有線であっても無線であっても良い。
【0010】
搬送車システムは、搬送車が走行する隔離エリアをさらに備えていても良い。この場合、隔離エリア外では、操作端末は、搬送車と直接通信することができないようになっている。操作端末は、隔離エリア外でのみ通信設備に接続可能である。
このシステムでは、操作端末は隔離エリア外では搬送車と直接通信することができないので、操作者は隔離エリア外では必ず操作端末を通信設備に接続して搬送車を手動で制御する。また、操作端末は隔離エリア内で通信設備に接続できないので、操作端末を通信設備に接続する作業は必ず隔離エリア外で行われる。つまり、操作者が通信設備を介して手動操作を行うときには、操作者は走行路から離れた安全な場所にいることが確実である。したがって、手動操作に対する安全対策を行う必要がない。
【0011】
搬送車は隔離エリア内に複数走行していても良い。この場合、通信設備に接続された操作端末が手動操作されている場合に、操作対象外の搬送車は自動走行可能としても良い。
このシステムでは、通信設備に接続された操作端末を用いて手動操作を行っている場合にシステム全体が停止されないので、搬送効率が低下しにくい。
【0012】
通信設備は、搬送車の走行路に沿って複数設けられていても良い。
このシステムでは、操作者は搬送車に近い通信設備に操作端末を接続して、搬送車を手動操作する。このため、操作者は安全な位置での作業を搬送車のより近傍で行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る搬送車システムでは、操作者の安全を確保しつつ、システムを停止することなく搬送車を手動操作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(1)搬送車システムの基本構造
本発明の一実施形態としての搬送車システム1は、定められた軌道上に複数の搬送車3を走行させるためのシステムである。搬送車3は、軌道上を一方向に走行し、上位のコントローラ(後述)によって割り付けられる搬送指令に従い、目的の場所から物品を積み込み、次に搬送先の場所まで走行して物品を搬送先の場所に積み出す。搬送車の種類は、天井搬送車、無軌道で走行する無人搬送車や有軌道台車のいずれであっても良い。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送車システム1のレイアウトを示す部分平面図である。搬送車システム1は、複数の周回走行路5と、複数の周回走行路5を結ぶ基幹走行路7とを有している。基幹走行路7は全体で一つの周回経路となっている。周回走行路5に沿って複数の処理装置9が設けられ、基幹走行路7に沿って複数のストッカ11が設けられている。ストッカ11は、周回走行路5における処理装置9群間でのバッファの機能を実現している。
【0016】
処理装置9およびストッカ11等の設備には、設備内に物品を搬入するための入庫ポート13と、設備から搬送車3に物品を荷つかみするための出庫ポート15とが設けてある。なお入庫ポート13と出庫ポート15とは兼用されていても良い。
【0017】
(2)搬送車システムの制御系
図2は、搬送車システムの制御系を示すブロック図である。この制御系19は、製造コントローラ21と、物流コントローラ23と、ストッカコントローラ25と、搬送車コントローラ27とを有している。なお、搬送車コントローラ27の下位のコントローラとしてエリアコントローラ28が設けられている。エリアコントローラ28は、搬送車コントローラ27と管轄区域内に存在する搬送車3との間の通信を中継している。物流コントローラ23は、ストッカコントローラ25および搬送車コントローラ27の上位のコントローラである。搬送車コントローラ27は、複数の搬送車3を管理し、これらに搬送指令を割り付ける割り付け機能を有している。なお、「搬送指令」は、走行に関する指令や、荷つかみ位置と荷おろし位置に関する指令を含んでいる。
【0018】
製造コントローラ21は、各処理装置9との間で通信することができる。処理装置9は、処理が終了した物品の搬送要求(荷つかみ要求・荷おろし要求)を製造コントローラ21に送信する。製造コントローラ21は、処理装置9からの搬送要求を物流コントローラ23に送信し、物流コントローラ23は報告を製造コントローラ21に送信する。
【0019】
物流コントローラ23は、製造コントローラ21から搬送要求を受けると、ストッカ11での入庫や出庫が伴っている場合、所定のタイミングで入庫や出庫指令をストッカコントローラ25へ送信する。そして、ストッカコントローラ25は、これに応じて入庫や出庫指令をストッカ11へ送信する。物流コントローラ23は、さらに、製造コントローラ21から搬送要求を受け取ると、それを搬送指令に変換し、搬送車3への搬送指令割付け動作を行う。
【0020】
搬送車コントローラ27は、搬送指令を作成するために各搬送車3と連続的に通信して、各搬送車3から送信された位置データをもとにその位置情報を得ている。例えば、エンコーダを搬送車3に設けておいて、ポイントを通過してからの走行距離を搬送車3から搬送車コントローラ27へ位置データとして送信させ、搬送車コントローラ27がこれによって搬送車3の位置を把握する。
【0021】
(3)搬送車システムの一部
図3は、搬送車システムの一部を示す部分平面図である。走行路29に沿って複数の搬送車3が走行可能となっている。走行路29の両側に進入防止柵31が設けられており、その内側が隔離エリア33になっている。進入防止柵31は、操作者が簡単には乗り越えられない程度の高さを有している。進入防止柵31には、所定の箇所に出入り口35およびドア37が設けられている。なお、搬送車3が走行路29を自動走行している場合は、ドア37は自動的にロックされている。これにより、搬送車3の自動走行中に、操作者が間違って隔離エリア33内に入ることが防止されている。
【0022】
図4は、無線装置と操作端末と搬送車の関係を示す模式図であり、図5は操作端末と搬送車の関係を示す模式図である。
搬送車3は、図4に示すように、無線通信処理部71と、アンテナ73と、CPU75と、有線通信処理部76と、接続部77とを有している。アンテナ73で受信された制御信号は、無線通信処理部71を介してCPU75に入力される。また、CPU75には、接続部77から有線通信処理部76を介しても制御信号を入力可能である。なお、CPU75は、エリアコントローラ28に信号線79(図1)を介して接続されている。CPU75は、エリアコントローラ28からの指令に従って図示しない駆動装置や移載装置を制御可能である。
【0023】
(4)手動操作機構
図4および図5を用いて、搬送車3を手動操作するための手動操作機構41について説明する。手動操作機構41は、走行路29に沿って設けられた複数の通信装置43と、操作端末45とから構成されている。
【0024】
通信装置43は、無線装置である。図4に示すように、通信装置43は、無線通信処理部51と、アンテナ53と、通信処理部55と、各種ボタン57と、接続部59とを有している。無線通信処理部51は、接続部59に入力された信号に基づいて、アンテナ53から電波を送信することができる。また、通信処理部55は、各種ボタン57からの入力信号に基づいて、エリアコントローラ28に信号を送信できる。さらに、通信処理部55は、接続部59からの入力信号に基づいても、エリアコントローラ28に信号を送信できる。
さらに、通信装置43は、キースイッチ58と起動ボタン60を有している。キースイッチ58は、「メンテナンス」と「自動走行」との間で切り換え可能である。キースイッチ58が「メンテナンス」状態の場合には、各種ボタン57を操作してエリアコントローラ28に「リモコン操作要求」を送信可能になる。キースイッチ58が「自動走行」状態の場合には、起動ボタン60を操作してエリアコントローラ28に「自動起動要求」を送信可能になる。
【0025】
図から明らかなように、無線通信処理部51と、アンテナ53と、通信処理部55は、隔離エリア33内に配置されている。ただし、各種ボタン57と接続部59は、隔離エリア33の外側に配置されている。これにより、操作者が隔離エリア33の外側でのみ各種ボタン57を操作したり、接続線63の先端を接続部59に脱着したりできる。
【0026】
通信装置43は、一定の間隔または所定範囲内の間隔で配置されている。なお、通信装置43の無線有効半径は20m程度(操作者が目視で操作できる範囲)であるので、この実施形態では各通信装置43の間隔Sの大きさは17m前後としている。このようにして、走行路29に沿って複数の通信回線エリアが設定され、走行路29のいずれの場所においても搬送車3を手動操作可能となっている。
通信エリア(無線通信有効範囲)は、見通しが良いレイアウト条件の場合に拡大することができるし、ユーザーの要望により拡大することもできる。また、軌道が曲がっていたり、遮蔽物があったりする場合は、通信装置43の間隔を狭くすることもできる。なお、隣接する通信エリアに用いられる電波の周波数は異なっており、搬送車3が異なる周波数の通信エリアに進入するときに、周波数が自動的に切り換えられる。
以上より、操作者は、通信装置43の通信回線エリア内に対象の搬送車3が存在すれば、その通信装置43を利用して搬送車3を手動操作できる。
【0027】
隣接する通信回線エリアは互いにオーバーラップしている。したがって、操作者が手動操作で搬送車3を通信回線エリア間で移動する場合には、操作者は、搬送車3が次の通信回線エリアに入ったことを確認した後にいったん停止させ、次の通信装置43まで移動して、手動操作を継続する。
【0028】
操作端末45は、本体61と、接続線63を有している。通信装置43の接続線63の先端は接続部59に脱着可能である。本体61には、液晶画面61aと、各種操作ボタン61bが設けられている。
【0029】
図4では、操作端末45の接続線63は、通信装置43の接続部59に接続されている。この状態で操作者が操作端末45の本体61を操作すると、制御信号が無線通信処理部51を介してアンテナ53から搬送車3に送信される。また、制御信号は、通信処理部55からエリアコントローラ28に送信しても良い。
なお、進入防止柵31のドア37のインターロック機能により、隔離エリア33内に操作者がいると判定される場合は、上記の遠隔操作機能は無効になる。
【0030】
(5)リモコン遠隔操作機能
以下、リモコン遠隔操作機能(進入防止柵外からの手動操作)について説明する。
【0031】
前提として、複数の搬送車3が、搬送車コントローラ27からの指令に従って、走行路29を自動走行している。
最初に、操作者が、通信装置43のキースイッチ58を「自動走行」から「メンテナンス」に切り換える。さらに、操作者が各種ボタン57を操作して、エリアコントローラ28に「リモコン操作要求」を送信する。エリアコントローラ28はさらに搬送車コントローラ27に「リモコン操作要求」を送信し、その結果、搬送車コントローラ27がエリアコントローラ28を介して当該通信装置43の通信エリア内の搬送車3に自動停止を指示する。搬送車3は、「自動運転モード」から「リモコン待ち受けモード」に移行して、自動停止する。これ以降、停止した搬送車3は、エリアコントローラ28の指示から離れ、操作端末45からの指示を待つ。なお、当該通信装置43の通信エリア外の搬送車3は、自動走行を続ける。
【0032】
操作者は、搬送車3の停止完了を待ってから、図4に示すように、操作端末45の接続線63を通信装置43の接続部59に接続する。この場合、以下の2条件が満たされている場合にリモコン接続が有効になる。第1の条件は、ドア37のインターロック閉条件である。具体的には、隔離エリア33内に人がおらず、対象ブロック内の安全が確保されていることである。第2の条件は、キースイッチ58が「メンテナンス」側に切り換えられており、それにより自動起動不可状態になっていることである。
【0033】
操作者は、対象の搬送車3を目視で確認しつつ、操作端末45に搬送車3の号機を設定する。
【0034】
この状態になってから、操作者は、操作端末45を操作して対象の搬送車3を制御する。具体的には、操作者は、動作状態を確認したり、異常リセットを行ったりする。
【0035】
操作終了後、操作者は通信装置43のキースイッチを「メンテナンス」から「自動走行」に切り換える。さらに、操作者は、操作端末45の接続線63を接続部59から外して、通信装置43の起動ボタン60を押す。これにより、通信処理部55が「自動起動要求」をエリアコントローラ28に送信し、エリアコントローラ28がさらに「自動起動要求」を搬送車コントローラ27に送信する。その結果、搬送車コントローラ27が、エリアコントローラ28を介して停止していた搬送車3に自動起動指示を送信する。この結果、停止していた搬送車3は「リモコン待ち受けモード」から「自動運転モード」に移行する。これ以降、停止していた搬送車3は、エリアコントローラ28からの指示に従って自動走行する。
【0036】
図5は、操作者が隔離エリア33内に入って、接続線63を搬送車3の接続部77に接続している状態を示している。この場合、操作者は操作端末45を操作することで、搬送車3を制御できる。
【0037】
(6)特徴
搬送車システム1は、操作端末45と、通信装置43と、搬送車3とを備えている。操作端末45は、手動操作が可能である。通信装置43は、操作端末45により操作可能である。搬送車3は、通信装置43とは別体であり、通信装置43を介して操作端末45と通信が可能な無線通信処理部71と、操作端末45と直接通信が可能な有線通信処理部76とを有する。
この搬送車システム1では、操作者は、搬送車3を制御するために、操作端末45を用いて通信装置43を操作することで、通信装置43を搬送車3の無線通信処理部71と交信させることができる。このため、操作者は必要以上に搬送車3に接近する必要がないので、搬送車システム1が自動走行状態であっても安全に搬送車3を制御できる。また、操作端末45から搬送車3の有線通信処理部76と交信することができるので、操作者は、安全な状態を選んで、搬送車3の近傍で搬送車3を制御できる。
【0038】
搬送車システム1は、搬送車3が走行する隔離エリア33をさらに備えている。この場合、隔離エリア33外では、操作端末45は、搬送車3と直接通信することができないようになっている。操作端末45は、隔離エリア33外でのみ通信装置43に接続可能である。
このシステムでは、操作端末45は隔離エリア33外では搬送車3と直接通信することができないので、操作者は隔離エリア33外では必ず操作端末45を通信装置43に接続して搬送車3を手動で制御する。また、操作端末45は隔離エリア33内で通信装置43に接続できないので、操作者は操作端末45を通信装置43に接続する作業は必ず隔離エリア33外で行う。つまり、通信装置43を介して手動操作を行うときには、操作者は走行路29から離れた安全な場所にいることが確実である。したがって、手動操作に対する安全対策を行う必要がない。
【0039】
搬送車3は隔離エリア33内に複数走行している。この場合、通信装置43に接続された操作端末45が手動操作されている場合に、操作対象外の搬送車3は自動走行可能である。
この搬送車システム1では、通信装置43に接続された操作端末45が手動操作されている場合に搬送車システム1全体が停止されないので、搬送効率が低下しにくい。
【0040】
通信装置43は、搬送車3の走行路29に沿って複数設けられている。
この搬送車システム1では、操作者は搬送車3に近い通信装置43に操作端末45を接続して、搬送車3を手動操作する。このため、操作者は安全な位置での作業を搬送車3のより近傍で行うことができる。
【0041】
(7)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
搬送車システムのレイアウトおよび制御系は、前記実施形態に限定されない。また、搬送車システムが適用される設備の種類も前記実施形態に限定されない。本発明は、地上走行車のみならず吊り下げ式走行車のシステムにも適用できる。
前記実施形態では、操作端末による手動操作時には所定エリア内の複数の搬送車を停止させていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、対象となる搬送車のみを停止させるようにしても良い。
前記実施形態では、操作端末は有線で無線装置および搬送台車と交信可能となっていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、操作端末は短い有効距離を持つ無線機器であっても良い。ただし、一般的に、有線と無線を比べると、安全性については有線が有利である。非常停止ボタンを操作することで通信線を遮断できるからである。また、この場合は、搬送車は操作端末と無線で交信することになる。
前記実施形態では、操作者が各種ボタンを押して中継コントローラに「リモコン操作要求」を送信すると搬送車コントローラが当該通信装置の通信エリア内の搬送車に自動停止を指示していたが、本発明はこれに限定されない。搬送車コントローラではなく、中継コントローラが当該通信装置の通信エリア内の搬送車に自動停止を指示しても良い。
前記実施形態では通信装置の本体は進入防止柵内に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。通信装置の本体は進入防止柵の外に配置されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、操作端末を用いて搬送車を手動操作可能な搬送車システムに広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る搬送車システムのレイアウトを示す部分平面図。
【図2】搬送車システムの制御系を示すブロック図。
【図3】搬送車システムの一部を示す部分平面図。
【図4】無線装置と操作端末と搬送車の関係を示す模式図。
【図5】操作端末と搬送車の関係を示す模式図。
【符号の説明】
【0044】
1 搬送車システム
3 搬送車
5 周回走行路
7 基幹走行路
9 処理装置
11 ストッカ
13 入庫ポート
15 出庫ポート
19 制御系
21 製造コントローラ
23 物流コントローラ
25 ストッカコントローラ
27 搬送車コントローラ
28 エリアコントローラ
29 走行路
31 進入防止柵
33 隔離エリア
35 出入り口
37 ドア
41 手動操作機構
43 通信装置(通信設備)
45 操作端末
51 無線通信処理部
53 アンテナ
55 通信処理部
57 ボタン
58 キースイッチ
59 接続部
60 起動ボタン
61 本体
61a 液晶画面
61b 操作ボタン
63 接続線
71 無線通信処理部(第1通信部)
73 アンテナ
75 CPU
76 有線通信処理部(第2通信部)
77 接続部
79 信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動操作が可能な操作端末と、
前記操作端末により操作可能な通信設備と、
前記通信設備とは別体であり、前記通信設備を介して前記操作端末と通信が可能な第1通信部と、前記操作端末と直接通信が可能な第2通信部とを有する搬送車と、
を備えた搬送車システム。
【請求項2】
前記搬送車が走行する隔離エリアをさらに備え、
前記隔離エリア外では、前記操作端末は、前記搬送車と直接通信することができないようになっており、
前記操作端末は、前記隔離エリア外でのみ前記通信設備に接続可能である、請求項1に記載の搬送車システム。
【請求項3】
前記搬送車は前記隔離エリア内に複数走行しており、
前記通信設備に接続された前記操作端末が手動操作されている場合に、操作対象外の搬送車は自動走行可能とする、請求項2に記載の搬送車システム。
【請求項4】
前記通信設備は、前記搬送車の走行路に沿って複数設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の搬送車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−132370(P2010−132370A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307392(P2008−307392)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】