説明

携帯型光学装置

【課題】ユーザが光学部と表示部の両方を使用する際の利便性を向上し、かつ大型化することなく様々な表示態様にも対応可能な携帯型光学装置を提供する。
【解決手段】携帯型光学装置100の構成は、筺体の正面に配置される略長方形の表示部120と、表示部の辺と平行な光軸を有し、略長方形の画像を入力または出力する光学部180と、光学部を表示部の1辺に平行な位置から他の辺に平行になる位置まで回転させる軸部106と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ機能やカメラ機能に用いられる光学部を備える携帯型光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)等の電子機器(以下、携帯電話等と称する)に、プロジェクタ機能やカメラ機能に用いられる光学部が搭載され始めている。特にカメラ機能は、民生用の携帯電話の大多数に搭載されるほどに普及してきている。またプロジェクタ機能は光源の問題から普及が遅れているが、近年の高輝度、低消費電力のLEDの発展、およびレーザー式プロジェクタの登場などにより、掌中に収まる程度の大きさのプロジェクタも提供されるに至っているため、実際にプロジェクタ機能を搭載した携帯電話も提供され始めている。これによれば、携帯電話等を携帯することで、プロジェクタやカメラを携帯することとなる。したがって、ユーザは所望のタイミングで携帯電話等をプロジェクタやカメラ等の携帯型光学装置として使用することができ、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0003】
上記の光学部が搭載された携帯電話等(携帯型光学装置)として、例えば特許文献1には、携帯電話機とプロジェクタ(光学部)とが一体化されたプロジェクタ付携帯電話装置が提案されている。特許文献1によれば、電話の応答をしながら画像及びテキストなどの情報を、光を利用して手の平、紙、ノート、本、壁などの任意のものに投写することができる。したがって、通話を行いながら一度に多量の情報を表示して見ることができ、また嵩張らず携帯性に優れ、更に歩きながらでも通話と同時に情報を表示するなどスピーディな情報確認を行うことが可能となるとしている。さらに特許文献1には、プロジェクタ部を首振り機構付コネクタで装着することにより、プロジェクタ部の角度を調節して投写された画面が歪まないように正しく表示することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−236375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の携帯電話等の高機能化により、かかる携帯電話等では、表示部が大型化および高精細化する傾向にあり、筐体の正面の半分以上の大きな面積を占めるに至っている。特に操作部として従来のキーボタンに代えてタッチパネルを備えた端末では、筐体のほぼ全面に表示部を備えた構成も珍しくない。このような表示部は、筐体の表面積をより有効に利用するために、極めて高い確率で長方形をしている。
【0006】
同様に近年の高機能化により、携帯電話等は、写真の撮影、画像の閲覧はもちろん、ビデオの再生、テレビ受信、ワープロやウェブブラウザ、プレゼンテーションなどを行う各種のアプリケーションが実行可能になっており、表示部に表示する画像もさまざまになっている。このような画像は、その種類や態様によって縦長画面が適していたり、横長画面が適していたりする。
【0007】
しかしながら、従来の携帯型光学装置では、プロジェクタやカメラなどの光学部および表示部は筺体に固定的に設けられていた。また特許文献1にはプロジェクタ部を首振り機構付コネクタで装着する構成が記載されているものの、画像のゆがみを修整するためであって、投影方向を切り替えるものではない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、ユーザが光学部と表示部の両方を使用する際の利便性を向上し、かつ大型化することなく様々な表示態様にも対応可能な携帯型光学装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる携帯型光学装置の代表的な構成は、筺体の正面に配置される略長方形の表示部と、表示部の辺と平行な光軸を有し、略長方形の画像を入力または出力する光学部と、光学部を表示部の1辺に平行な位置から他の辺に平行になる位置まで回転させる軸部と、を備えることを特徴とする。また上記の軸部は、表示部の角を2分する直線と略平行に配置されるとよい。
【0010】
当該携帯型光学装置は、制御部と、光学部の位置を検出する位置検出部を更に備え、制御部は、位置検出部が検出した光学部の位置に基づいて、光学部における画像を光学部の回転角と同じ角度分戻るように回転させるとよい。
【0011】
当該携帯型光学装置は、制御部と、光学部の位置を検出する位置検出部を更に備え、制御部は、位置検出部が検出した光学部の位置に基づいて、光学部における画像の縦横比を、表示部の複数の辺のうち光学部側の辺を上方向としたときの表示部の縦横比と一致するように切り替えるとよい。
【0012】
当該携帯型光学装置は、制御部と、光学部の位置を検出する位置検出部を更に備え、制御部は、位置検出部が検出した光学部の位置に基づいて、表示部の表示方向を、光学部側の辺が上方向となるように切り替えるとよい。
【0013】
上記の光学部は、入力または出力可能な領域が正方形であり、光学部における画像の長辺を正方形の辺と対応させた縮尺で画像を入力または出力するとよい。
【0014】
上記の光学部は、画像を撮像する撮像部であるとよい。また上記の光学部は、画像を投影する投影部であるとよい。更に、上記の光学部は、筺体に着脱して交換可能であるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザが光学部と表示部の両方を使用する際の利便性を向上することが可能な携帯型光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1本実施形態にかかる携帯型光学装置の外観図である。
【図2】第1実施形態にかかる携帯型光学装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態にかかる携帯型光学装置の使用態様図である。
【図4】回転部の回転状態を示す斜視図である。
【図5】制御部による画像の方向および縦横比の制御について説明する図である。
【図6】制御部による画像の方向および縦横比の制御について説明する図である。
【図7】制御部による画像の方向および縦横比の制御について説明する図である。
【図8】複数の回転部を着脱可能および交換可能とした例を説明する図である。
【図9】光学部の投影領域および投影画像を正方形とした例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
また本実施形態において上方向および上下方向は、表示部を水平にしたときはユーザの手前側が下方向、視認方向先端側が上方向であり、立面上にある投影画像や撮影画像においては重力方向の上下方向をいう。
【0019】
なお、理解を容易にするために、以下に説明する実施形態では、携帯型光学装置すなわち光学部が搭載される電子機器として携帯電話を例示する。しかし、これに限定するものではなく、携帯型光学装置としては、光学部が搭載される他の電子機器、例えばPHS端末、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、ハンディGPS、ナビゲーション装置、ネットブック等を例示することができる。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる携帯型光学装置の外観図である。なお、図1(a)と図1(b)との差異については後述する。図2は、第1実施形態にかかる携帯型光学装置の概略構成を示すブロック図である。以下、まず図1を参照して、第1実施形態にかかる携帯光学装置の外観状態について説明し、その後に第1実施形態にかかる携帯光学装置の詳細な構成および制御について詳述する。
【0021】
図1に示すように、第1実施形態にかかる携帯型光学装置100(以下、光学装置100と称する)の筺体は、本体部102と、光学部180を有する回転部104とから構成される。回転部104はあたかも筐体の角を斜めにカットしたような形態となっている。そして、回転部104は、軸部106により回転可能に本体部102と連結されている。軸部106は、光学部180を表示部120(図3参照)の1辺に平行な位置から他の辺に平行になる位置まで回転させる。
【0022】
次に、図2を参照して、第1実施形態にかかる携帯光学装置100の詳細な構成および制御について詳述する。図2に示すように、本実施形態にかかる光学装置100は、制御部110と、表示部120と、操作部130と、音声入力部140と、音声出力部150と、記憶部160と、無線通信部170と、光学部180と、位置検出部190とを備える。
【0023】
制御部110は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により光学装置100全体の機能を管理および制御し、例えば記憶部160のプログラムを用いて、通話機能、メール送受信機能等を実行する。また本実施形態では、制御部110は、後述する位置検出部190が検出した光学部180の位置に基づいて、表示部120に表示される画像および光学部180が入出力する画像の方向(表示方向)や縦横比(縮尺)を制御する。なお、その詳細については後に詳述する。
【0024】
なお、上記に限定されず、制御部110は、位置検出部190が検出した光学部180の位置以外に、操作部130によるユーザ入力に基づいて、表示部120に表示される画像および光学部180が入出力する画像の方向(表示方向)や縦横比(縮尺)を制御することも当然に可能である。
【0025】
表示部120は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)等で構成される。本実施形態において表示部120は略長方形であり、筺体の正面に配置される。かかる表示部120は、写真画像やアプリケーションの動作画面、通話における通話先や発信元などの情報をユーザに対して表示することができる。
【0026】
操作部130は、光学装置100へのユーザ入力を受け付ける。本実施形態では、操作部130はタッチパネル方式を採用しており、透明または半透明の素材で形成されたポインティングデバイス(図示せず)が表示部120に重畳されている。これにより、ユーザPによる直感的な操作を可能とし、また表示部120の面積を大きくとることができる。なお、検知方法としては、圧力の変化を感知する感圧式、または静電気による電気信号を感知する静電式のいずれを用いてもよいし、他の方法を用いてもよい。
【0027】
また上記構成とは別にまたは上記構成に加えて、操作部130を、キーボード、十字キー、ジョイスティック等の複数の可動操作キー(ハードウェアキー)で構成してもよい。ただし、操作部130をキーボード等によって構成する場合、これを筺体の正面に設けることも可能であるが、好ましくは光学装置100の側面に設けるとよい。これにより、表示部120をできる限り拡大することができるからである。
【0028】
音声入力部140は、マイクやAD変換部等の音声認識手段で構成され、通話時に入力されたユーザの音声を光学装置100(携帯電話)内で処理可能な電気信号に変換する。音声出力部150は、スピーカやDA変換部等で構成され、光学装置100(携帯電話)で受信した通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また音声出力部150は、着信音や、操作部の操作音、アラーム音等も出力できる。
【0029】
記憶部160は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、制御部で処理されるプログラムや通信データ等を記憶する。かかる記憶部160には、光学部180が入出力する画像を記憶することもできる。
【0030】
無線通信部170は、CDMA(Code Division Multiple Access)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、TDMA/TDD(PHSやGSM)等の無線通信方式を通じて基地局170aとの無線通信を確立し、通信相手との音声通信やWebサーバとのデータ通信を行う。
【0031】
なお、本実施形態においては光学装置100として携帯電話を例示しているため、必然的に無線通信部170が設けられているが、光学装置100が無線通信機能を必要としない電子機器である場合には、必ずしも無線通信部170を設ける必要はない。また無線通信部170に替えて有線通信を行う有線通信部を設けてもよい。
【0032】
光学部180は、外部に対して画像を入出力する。画像の出力とは、いわゆるプロジェクタ機能による画像の投影である。画像の入力とは、いわゆるカメラ機能による画像の撮影である。本実施形態において画像の投影と撮影は光軸の方向が反転するだけであって、同列に扱うことができる。光学部180は、長方形形状の表示部120の辺(図3(a)においては短辺)と平行な光軸180bを有し(図3参照)、略長方形の画像を入力または出力する。かかる光学部180は本体部102に対して回転可能な回転部104に設けられている。そして、光学部180の光軸は、かかる回転部104の回転により、表示部120の長辺と平行な方向に向けることもできる(図3(c)参照)。回転部104の構成および動作については後述する。
【0033】
本実施形態においては光学部180として、画像を投影する投影部(プロジェクタモジュール)を例示する。これにより、当該携帯型光学装置100をプロジェクタとして使用することが可能となる。光学部180である投影部は、レンズ180aや光源、投影用の光透過液晶(不図示)などを備え、スクリーン等の投影対象に画像を投影する。
【0034】
位置検出部190は、光学部180の位置を検出する(図4b参照)。具体的には、本実施形態にかかる位置検出部190は、光学部180が表示部120の短辺または長辺のいずれの辺と平行に位置しているか(レンズ180aが表示部120の短辺側または長辺側のどちらに位置するか)を検出する。これにより、制御部110が、光学部180の位置に基づいて、表示部120に表示される画像および光学部180が入出力する画像の方向(表示方向)や縦横比(縮尺)を制御することが可能となる。
【0035】
次に、制御部110による画像の方向(表示方向)および縦横比(縮尺)の制御について説明する。図3は、第1実施形態にかかる携帯型光学装置100の使用態様図である。図3(a)は、ユーザPが、図1(a)に示す光学装置100の表示部120を横長に使用して光学部180による画像の入出力を行う場合を例示している。この場合、光学装置100はユーザPの正面に位置するため、ユーザPが表示部120を視認する方向は前方である。また光学部180のレンズ180aもユーザPの前方を向いており、光軸180bは表示部の短辺と平行になるため、光学部180による画像の入出力方向はユーザPの前方である。したがって、上記の2つの方向は水平方向において同一方向となる。このため、ユーザPは、表示部120に表示される画像と、光学部180により入出力される画像とを、首を回したり姿勢を変えたりすることなく、好適に視認することができる。
【0036】
図3(b)は、ユーザPが光学装置100の表示部120を縦長に使用して光学部180による画像の入出力を行う場合を例示している。図3(a)に示した状態と比較すると、ユーザPは光学装置100を水平面内で回転させて構え直している(持ち替えている)。すると、ユーザPが筺体(光学装置100)を回転させたことにより、光学部180のレンズ180aはユーザPの側方を向くこととなり、光学部180による画像の入出力方向(光軸180b)はユーザPの側方となってしまう。したがって、上記の2つの方向は水平方向において異なる方向となってしまう。このため、ユーザPは、表示部120に表示される画像と、光学部180により入出力される画像とを、首を回したり姿勢を変えたりしながら交互に確認して操作を行うこととなり、利便性が低下してしまう。
【0037】
そこで、本実施形態では、軸部106を軸として光学部180を回転させることにより、光学部180の位置を変更する。図4は、回転部104の回転状態を示す斜視図である。まず図4(a)に示すように回転部104を矢印の方向に回転させる。そして、回転部104が約90°まで回転すると、図4(b)に示すように、筐体の角にある回転部104が本体部102に対して交差するような状態となる。
【0038】
上記の状態から更に矢印の方向に回転させると、図4(c)に示すように本体部102と回転部104が面一(つらいち)となり、一体的な筐体を構成する状態となる。これにより、光学部180の位置は、図4(a)に示す光学装置100の長辺(所定の辺)から、図4(c)に示す光学装置100の短辺(他の辺)に移動する。すなわち、光学部180の位置が変わることにより、光軸180bが表示部120の1辺に平行な位置から他の辺に平行になり、光学部180の画像の入出力方向が変更される。
【0039】
なお、回転部104は本体部102と一致した位置で簡易に固定することが望ましい。簡易に固定とは、かばんの中などで不用意に回転しにくく、かつ意図的に回転させたい場合には支障とならないように固定する意味である。具体的な機構の例としては、かんぬき状のスライドロック、相互に係止するフック、可撓性のかぎ爪であるスナップフィットなどを好適に用いることができる。また他の機構の例として、本体部102と回転部104との対向面において、回転部104側には球体をその一部が突出するように付勢して配置し、本体部102側には突出した球体の先端が嵌合するくぼみを設けてもよい。このとき回転部104の各ポジションに対応して、くぼみを複数設けることが望ましい。
【0040】
上記の回転により、図3(c)のように、ユーザPが表示部120を縦長に使用する場合であっても、光学部180による画像の入出力方向を前方に向けることができる。これにより、ユーザPの利便性を向上することが可能となる。
【0041】
したがって、上記構成によれば、ユーザPは、略長方形の表示部120を縦長にまたは横長に使用する場合のいずれにおいても、表示部120を視認する方向と光学部180の入出力方向とが、水平方向において同一の方向となるように調節することができる。これにより、光学部180と表示部120の両方を使用する際の利便性を向上することが可能となる。また、光学部180がどちらの位置にあっても、筐体と一体的な形状をなすため、美観を損ねることがない。さらに、軸部106を表示部120の表面と並行にすることにより、回転するための体積を要しないため、大型化を抑制することができる。
【0042】
本実施形態では、上記の軸部106は、表示部120の角を2分する直線120e(図4参照)と略平行に配置される。また、光学部180の光軸を軸部106の軸方向に対して約45°傾けている。これにより、ユーザPが表示部120を視認する方向と、光学部180の入出力方向とを最も好適に同一の方向とすることができる。
【0043】
詳細には、ユーザPが表示部120を視認する方向と、光学部180の入出力方向とを同一方向とするためには、光学部180は、表示部120の上辺方向に光軸180bが向く必要がある。縦長の表示部120をそのまま縦長に使用する場合には、表示部120の上辺は短辺であり、縦長の表示部120を横長に使用する場合には、表示部120の上辺は長辺であるため、表示部120の使用形態(縦長または横長)の変更に伴って、光軸180bの方向も変更されなければならない。そして、表示部120の使用形態変更時における表示部120の上辺は、短辺から長辺(またはその逆)に90°移動するため、その移動角を2分する直線、すなわち表示部120の角を2分する直線120eと平行に軸部106を配置することにより、光学部180は軸部106を対象にして回転し、光軸180bの方向を表示部120の上辺の移動に対応させることができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、最も好適な例として、軸部106を直線120eと略平行に配置したが、これに限定するものではない。したがって、ユーザPが表示部120を視認する方向と、光学部180の入出力方向とを水平方向において略同一とできるのであれば、若干のずれや傾きがあっても許容される。
【0045】
図5、図6および図7は、制御部110による画像の方向および縦横比の制御について説明する図である。なお、以下の説明では、光学装置100の表示部120を横長に使用し、光学部180が表示部120の上辺側に位置する(レンズ180aが長辺側に位置する)とき(図3(a)参照)に、表示部120の表示画像の上下と、光学部180により投影される画像の上下が一致するものと仮定して説明する。また表示部120の四辺は、短辺120aおよび短辺120bと、長辺120cおよび長辺120dとから構成されるものとする。
【0046】
まず、光学装置の表示部120を横長に使用して、光学部180による画像の出力(以下、投影と称する)を開始する。すると、図5(a)に示すように、表示部120には長辺120cを上辺として画像が表示される(正しい状態)。また光学部180の投影領域180cには、表示部120に表示されている画像(以下、表示画像と称する)と同様の投影画像180dが、かかる表示画像と上下方向が一致した状態で投影領域180cの全域を使用して投影される(正しい状態)。
【0047】
ここで、ユーザPが表示部120を縦長に使用するために筺体を90°回転させると、表示部120は、短辺120aが上辺となる(図3(b)参照)。そして、ユーザPが、自身の表示部120の視認方向と、光学部180の画像投影方向とを水平方向において一致させるために回転部104を180°回転させると(図4参照)、これに伴って光学部180も180°回転する。このとき、単に光学部180のみを回転させたままだと、回転後の光学部180の投影画像180dは、図5(b)に示すように、図5(a)の回転前の投影画像180dを光学部180の回転角分(180°)回転させた状態となり、回転前の投影画像180dの天地がさかさまになった画像となってしまう。
【0048】
そこで、制御部110は、位置検出部190が検出した光学部180の位置に基づいて、光学部180における画像(投影画像180d)を光学部180の回転角と同じ角度分戻るように回転させる。本実施形態では、位置検出部190が、光学部180の位置が表示部120の短辺120a側にあることを検知したら、制御部110は、投影画像180dを180°分戻るように回転させる。これにより、図6(a)に示すように、回転後の投影画像180dの位置関係(上下方向)を、図5(a)に示す回転前の投影画像180dと同様にすることができる。
【0049】
上記の制御により、図6(a)では、投影領域180cの上下方向と投影画像180dの上下方向も一致し、かかる投影画像180dが正しい状態で投影された。しかし、図5(a)から図5(b)において表示部120を縦長に使用するために光学装置100(筺体)を90°回転させたことにより、表示部120では、横長の表示画像が未だ90°回転した状態で表示されている。このような状態では、表示部120を正面(前方)に視認できたとしても、ユーザPが違和感を覚えてしまい、また表示画像を認識しづらいため使い勝手がよくないものとなってしまう。
【0050】
そこで、制御部110は、位置検出部190が検出した光学部180の位置に基づいて、表示部120の表示方向を、光学部180側の辺が上方向となるように切り替える。すなわち、制御部110は、光学部180の切り替えをスイッチとして、表示部120の画面の縦横を切り替える。このとき、ユーザPが光学部180を使用していると、表示部120の光学部180側の辺が必然的に上方向となるため、かかる辺が上方向となるように切り替える。
【0051】
具体的には、本実施形態において位置検出部190が、光学部180の位置が表示部120の短辺120a側にあることを検知したら、制御部110は、表示部120の表示方向(表示画像の上下方向)を、表示部120の上辺である短辺120aが上方向となるように切り替える。より具体的には、表示サイズを若干縮小した上で、90°回転を行うよう表示部120の有する表示バッファのメモリ内容を更新する。これにより、図6(b)に示すように、表示部120の上辺である(短辺120a)と表示画像の上辺とを確実に一致させることができ、ユーザPの違和感を解消し、使い勝手を向上させることが可能となる。
【0052】
上記の制御により、図6(b)では、投影画像180dの上下方向と表示画像の上下方向も一致し、これらが正しい状態で投影および表示された。しかしながら、図6(a)から(b)において表示部120の表示方向が切り替えられる際、図6(a)の表示画像のサイズは、その横幅が長辺120cの幅から短辺120aの幅に一致するように縮小される。このため、図6(b)の表示部120には、図6(a)の表示画像の続きが表示された画像が表示画像として表示されることとなる。すると、表示画像の範囲と、投影画像の範囲とが異なってしまうため、ユーザPが表示部120に表示された画像と、光学部180の投影画像を対比しづらい。
【0053】
そこで、制御部110は、位置検出部190が検出した光学部180の位置に基づいて、光学部180における画像の縦横比を、表示部120の複数の辺のうち光学部180側の辺を上方向としたときの表示部120の縦横比と一致するように切り替える。詳細には、本実施形態では、位置検出部190が、光学部180の位置が表示部120の短辺120a側にあることを検知したら、制御部110は、光学部180の投影画像の縦横比を、表示部120の光学部180側の辺である短辺120aを上方向としたときの表示部120の縦横比と一致するように切り替える。具体的には、投影画像のサイズを、投影領域180cの短辺側で投影画像の長辺が表示できるまで縮小するよう、光学部180の有する投影用バッファのメモリ内容を更新する。これにより、図7(a)に示すように、投影画像180dの縦横比と表示画像の縦横比とを確実に一致させることが可能となる。
【0054】
なお、制御部110は、図6(a)から図6(b)のように表示部120における表示画像の上下方向を切り替える際に、上述した制御に代えて、表示部120の表示を投影画像にあわせるように制御してもよい。すなわち、制御部110は、位置検出部190が検出した光学部180の位置に基づいて、表示部120の表示方向を、光学部180側の辺が上方向となるように切り替え、且つ光学部180により入力または出力されている画像の領域と一致する領域のみを表示部120に表示してもよい。
【0055】
上記の制御によれば、図7(b)に示すように、表示部120には、表示画像の横幅が長辺120cの幅から短辺120aの幅に一致するように縮小され、且つ投影画像180dと同一の領域の表示画像が表示される。これにより、表示画像と投影画像の方向、縦横比、および表示範囲を一致させることができる。なお、表示部120の表示画像が表示されていない領域にアイコン130a等を表示し、かかる領域を操作部130として使用することができる。したがって、ユーザPの利便性を向上することが可能となる。
【0056】
以上説明したように、第1実施形態にかかる光学装置100によれば、軸部106を軸として回転部180を回転させることにより、光学部180の位置を移動させ、光軸180b、すなわち光学部180の画像の入出力方向を変更することが可能となる。したがって、ユーザPは、表示部120を縦長にまたは横長に使用する場合のいずれにおいても、自身が表示部120を視認する方向と光学部180の入出力方向とを同一方向とすることができ、利便性が向上される。
【0057】
なお、上述した第1実施形態では、光学部180を投影装置とした場合を例示して説明したが、これに限定するものではなく、光学部180を、画像を入力する撮像装置としてもよい。
【0058】
(他の実施形態)
本発明にかかる携帯型光学装置について、さまざまな他の実施形態について説明する。なお、第1実施形態の光学装置を構成する部材と同様の機能構成を有する要素については、同一の符号を付してまたは参照して説明を省略する。
【0059】
図8は複数の回転部を着脱可能および交換可能とした例を説明する図である。図8において光学装置200の筺体は、本体部202と、後述する光学部280、282が設けられている回転部204aおよび204bとから構成される。
【0060】
回転部204aには、上記第1実施形態と同様に、光学部280として投影部(プロジェクタモジュール)が設けられている。また回転部204bには光学部282として撮像部(カメラモジュール)が設けられている。撮像部は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の受光素子や光源(共に不図示)、レンズ282aを備え、画像(静止画や動画)を撮像する。これにより、光学装置200をカメラとして使用可能となる。
【0061】
本体部202には挿入孔202a(挿入孔202aはジャックである)が設けられており、回転部204aおよび204bには軸部としての接続端子206aおよび206bが各々設けられている(接続端子206a、206bは音声用プラグと似た形状である)。これにより、挿入孔202aに、接続端子204aまたは206bを挿抜することにより、本体部202に回転部204aまたは204bを着脱可能(交換可能)となる。また軸部が接続端子206aおよび206bであることで、回転部204aおよび204bは電気的に接続したまま自在に回転可能となる。
【0062】
なお、本体部102と回転部204a、204bとの間の接続は、例えばシリアル通信を用いれば電源線とGND、信号の入出力で4線あれば足りる。したがって回転部204a、204bは4極のプラグによって十分に構成することができる。また、プラグは一般的に先端の細径部が抜け止めとなっているが、さらに既知の任意の構造によって抜け止めを施してもよい。
【0063】
このように、回転部204aおよび204bに軸部として設けられた接続端子206aおよび206bにより、かかる回転部204aおよび204bに設けられた光学部280および282が本体部(筺体)に着脱して交換可能となる。したがって、光学装置200を、光学部280によりプロジェクタとして、光学部282によりカメラとして使用することが可能となる。なお、回転部の種類は2つとは限らず、さらに多くの種類の回転部(および光学部)を交換可能としてもよい。さらには、回転部にマイクユニットを備えてもよい。
【0064】
なお、本体部202に回転部204bが装着されている場合、すなわち当該光学装置200をカメラとして使用する場合には、制御部110は、位置検出部190が検出した光学部282の位置に基づいて、撮影画像の表示部120への表示状態(表示方向や縮尺)を制御する。
【0065】
具体的には、位置検出部190が、光学部282の位置が表示部120の短辺側にあることを検出したら、制御部110は、撮影画像を表示部120に縦長に表示する。換言すれば、表示部120を縦長に使用した場合(短辺が上辺および下辺となる場合)に撮影画像の上下方向が一致するよう、表示部120に撮影画像を表示する。また位置検出部190が、光学部282の位置が表示部120の長辺側にあることを検出したら、制御部110は、撮影画像を表示部120に横長に表示する。換言すれば、表示部120を横長に使用した場合(長辺が上辺および下辺となる場合)に撮影画像の上下方向が一致するよう、表示部120に撮影画像を表示する。
【0066】
図9は光学部の投影領域および投影画像を正方形とした例を説明する図である。図9において投影部である光学部280は、第1実施形態の投影部である光学部180と比較して、入出力可能な領域が異なる。すなわち、光学部280は、入力または出力可能な領域が正方形であり、光学部280における画像の長辺を正方形の辺と対応させた縮尺で画像を入力または出力(投影)する。
【0067】
第1実施形態の光学部180は投影領域180cが長方形であった(図6参照)。これに対し、図9に示すように光学部280の投影領域280cは正方形である。したがって、画像の形状(縦長または横長)に拘わらず、画像全体を、投影領域(入力または出力可能な領域)に好適に投影することが可能となる。
【0068】
詳細には、第1実施形態の光学部180のように投影領域180cが長方形であると、横長の長方形の表示画像を投影する場合には、投影領域のほぼ全域を使用して、表示画像全体が好適に投影される(図5(a)参照)。これに対し、かかる長方形の投影領域180cに縦長の長方形の画像全体を投影する場合には、投影する表示画像の縦幅を投影領域の縦幅に合わせて縮小しなければならない。このため、投影画像が小さくなり、視認しづらくなってしまう。
【0069】
これに対し図9に示す構成では、投影画像を、その長辺と正方形の投影領域280cの辺とを対応させて縮小する(縮尺をあわせる)。これにより縦長の長方形の画像は、図9(a)に示すように、画像の長辺(縦幅)が投影領域の正方形の辺(幅)と対応し、投影画像280dは、投影画像180dよりも大きく投影される。したがって、視認性を向上することが可能となる。また図9(b)に示すように、横長の長方形の画像においても、画像の長辺(横幅)が、投影領域の正方形の辺(幅)と対応し、画像全体が投影領域に好適に投影される。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
なお、上述した携帯型光学装置に、例えば回転部を回転させるための駆動機構を設け、表示部の縦長または横長を切り替えることにより、その上方向に光軸が向くように回転部を回転させてもよい。
【0072】
また上述した実施形態では、光学装置100にプロジェクタモジュールを有する回転部104を設け(第1実施形態)、光学装置200にプロジェクタモジュールを有する回転部204aおよびカメラモジュールを有する回転部204bを設ける構成について例示したが(第2実施形態)、これらを組み合わせた構成としてもよい。したがって、光学装置200の構成を光学装置100に適用してもよし、その逆も可能である。また光学装置100および200における制御部の制御等においても、いずれの光学装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、プロジェクタ機能やカメラ機能に用いられる光学部を備える携帯型光学装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
P…ユーザ、100…光学装置、102…本体部、104…回転部、106…軸部、110…制御部、120…表示部、120a…短辺、120b…短辺、120c…長辺、120d…長辺、120e…直線、130…操作部、130a…アイコン、140…音声入力部、150…音声出力部、160…記憶部、170…無線通信部、170a…基地局、180…光学部、180a…レンズ、180b…光軸、180c…投影領域、180d…投影画像、190…位置検出部、200…光学装置、202…本体部、202a…挿入孔、204a…回転部、204b…回転部、206a…接続端子、206b…接続端子、280…光学部、280c…投影領域、280d…投影画像、282…光学部、282a…レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体の正面に配置される略長方形の表示部と、
前記表示部の辺と平行な光軸を有し、略長方形の画像を入力または出力する光学部と、
前記光学部を前記表示部の1辺に平行な位置から他の辺に平行になる位置まで回転させる軸部と、
を備えることを特徴とする携帯型光学装置。
【請求項2】
前記軸部は、前記表示部の角を2分する直線と略平行に配置されることを特徴とする請求項1に記載の携帯型光学装置。
【請求項3】
当該携帯型光学装置は、制御部と、前記光学部の位置を検出する位置検出部を更に備え、
前記制御部は、前記位置検出部が検出した光学部の位置に基づいて、前記光学部における画像を該光学部の回転角と同じ角度分戻るように回転させることを特徴する請求項1または2に記載の携帯型光学装置。
【請求項4】
当該携帯型光学装置は、制御部と、前記光学部の位置を検出する位置検出部を更に備え、
前記制御部は、前記位置検出部が検出した光学部の位置に基づいて、前記光学部における画像の縦横比を、前記表示部の複数の辺のうち該光学部側の辺を上方向としたときの該表示部の縦横比と一致するように切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型光学装置。
【請求項5】
当該携帯型光学装置は、制御部と、前記光学部の位置を検出する位置検出部を更に備え、
前記制御部は、前記位置検出部が検出した光学部の位置に基づいて、前記表示部の表示方向を、該光学部側の辺が上方向となるように切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型光学装置。
【請求項6】
前記光学部は、入力または出力可能な領域が正方形であり、該光学部における画像の長辺を正方形の辺と対応させた縮尺で該画像を入力または出力することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯型光学装置。
【請求項7】
前記光学部は、画像を撮像する撮像部であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯型光学装置。
【請求項8】
前記光学部は、画像を投影する投影部であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の携帯型光学装置。
【請求項9】
前記光学部は、前記筺体に着脱して交換可能であることを特徴とする請求項7または8に記載の携帯型光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−70121(P2011−70121A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223198(P2009−223198)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】