説明

携帯型通信端末およびその制御方法、携帯型通信端末制御プログラム、ならびに該プログラムを記録した記録媒体

【課題】セキュリティを維持しつつ、ユーザにとっては見つけ易く、他人にとっては拾い易い携帯型通信端末を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、外部と通信を行う無線処理部11と、自機が有する機能を制限する遠隔ロック部31とを備える。携帯電話機1は、無線処理部11における着信が所定の条件に合致すると、通話を開始するように制御する自動着信部32を備えており、遠隔ロック部31は、自機が有する機能を制限する場合、自動着信部32を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの携帯型通信端末であって、外部と通信を行う通信部と、自端末が有する機能を制限する機能制限手段とを備える携帯型通信端末およびその制御方法、携帯型通信端末制御プログラム、ならびに該プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機が幅広く普及するとともに、該携帯電話機の有する機能の多機能化が進んでいる。例えば、個人情報等を管理するためのアプリケーションを備えた携帯電話機では、ユーザが、上記アプリケーションによって管理した情報を活用することができるようになっている。また、近時の携帯電話機は、専用のICチップを有し、該ICチップに貨幣価値データが記録され、いわゆるICカード型電子マネーとして利用されたり、あるいは、ネットワークを通じて決済可能なネットワーク型電子マネーなどとして利用されたりするようになっている。
【0003】
このように、携帯電話機が多機能化および高機能化するにつれて、重要なデータを多数記憶するようになっている。したがって、携帯電話機の放置、紛失、または盗難により、携帯電話機に記憶されたデータを第三者が取得すると、携帯電話機の使用者が重大な損害を被る虞がある。このため、携帯電話機におけるセキュリティの重要性が増している。
【0004】
例えば、このセキュリティに関する対策として、非特許文献1には、紛失した携帯電話端末の各種機能の一部または全部を操作できないように遠隔地から制御できる、いわゆる遠隔ロック機能が示されている。すなわち、この非特許文献1に示す携帯電話端末では、予め指定した電話番号から3分以内に指定回数の着信を検知したり、予め指定した件名の電子メールを受信したりするとFeliCa(登録商標)機能をロックするようになっている。
【0005】
一方、紛失した携帯電話端末は、容易に発見できることが望ましい。このため、特許文献1には、他の固定電話機や携帯電話機から、バイブオフ、着信音パターン、着信音量最大、と設定変更後、電話をかけることで、着信音により何処にあるのかを容易に探し出すことができる携帯電話端末が開示されている。
【0006】
また、特許文献2に記載の携帯電話装置では、特定信号送信装置から特定信号を受信して、電界強度測定部でこの信号の電界強度を測定し、メモリに記憶されている閾値と比較した結果、電界強度が閾値より小さければ、発光部、スピーカより報知している。これにより、置き忘れや紛失をした場合にでも、携帯電話装置を探し出すことができる。
【0007】
また、特許文献3に記載の携帯電話機探査装置は、携帯電話機探査端末と携帯電話機探査端末からの暗証番号情報を無線受信する携帯電話機とで構成される。携帯電話機は、受信した暗証番号を照会し、一致するとサウンダを鳴動させ、所在を報知する。これにより、携帯電話機が電波を受信できないところや同種類の携帯電話機が多数存在するところで見失ったとき、着信時振動状態にあるとき、その携帯電話機を容易に探し出すことができる。
【特許文献1】特開2002−314641号公報(2002年10月25日公開)
【特許文献2】特開平5−095328号公報(1993年4月16日公開)
【特許文献3】特開2002−152845号公報(2002年5月24日公開)
【非特許文献1】法林岳之 “スマートに使えるVodafone 3G対応おサイフケータイ Vodafone 703SHf”、[online]、[平成18年2月9日検索]、インターネット<URL:http://ad.impress.co.jp/special/703shf_2/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1〜3では、紛失した携帯電話機から音や光を発することにより、紛失した携帯電話機の発見を容易にしている。しかしながら、この方法では、携帯電話機のユーザは、自機からの音や光を感知できないような離れた場所に自機が存在する場合、自機の発見が困難である。
【0009】
この場合、上記場所近くに位置する他人に、自機の存在に気付いて拾ってもらうことが期待される。しかしながら、人は、通常、自身の近くで見知らぬ携帯電話機が音や光を発している場合、該携帯電話機に注意を向けるが、拾うまでには至らないことが多い。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、紛失した携帯電話機などの携帯型通信端末に関して、セキュリティを維持しつつ、該携帯型通信端末のユーザ自身にとっては見つけ易く、他人にとっては拾い易い携帯型通信端末などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る携帯型通信端末は、外部と通信を行う通信部と、自端末が有する機能を制限する機能制限手段とを備える携帯型通信端末において、上記課題を解決するため、前記通信部における着信が所定の条件に合致すると、通話を開始するように制御する自動着信手段を備えており、前記機能制限手段は、前記機能を制限する場合、前記自動着信手段を動作させることを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る携帯型通信端末の制御方法は、外部と通信を行う通信部と、自端末が有する機能を制限する機能とを有する携帯型通信端末の制御方法において、上記課題を解決するため、前記機能制限手段が前記機能を制限する場合、前記通信部における着信が所定の条件に合致すると、通話を開始するように制御する自動着信機能を動作させることを特徴としている。
【0013】
上記の構成および方法によると、遠隔操作、タイマなどにより携帯型通信端末における各種機能を制限する場合に、自動着信手段(機能)を動作させている。これにより、各種機能を制限するので、セキュリティを維持できると共に、自動着信機能を動作させるので、紛失した携帯型通信端末のオフフックボタンを誰かが押さなくても、他の通信端末から上記携帯型通信端末と通話することができる。
【0014】
従って、上記携帯型通信端末のユーザは、他の通信端末を利用して、上記携帯型通信端末の周囲の音を聞くことができ、上記携帯型通信端末を発見し易くなる。また、上記ユーザは、上記携帯型通信端末から周囲に呼びかけることができるので、着信音や着信メロディで周囲に報知する場合に比べて、他人に上記携帯型通信端末を拾得してもらい易くなる。
【0015】
なお、上記機能制限手段は、唯1つの機能を制限してもよいし、複数の機能を制限してもよい。さらに、上記機能制限手段は、上記制限を解除する機能と、上記自動着信機能とを除く全ての機能を制限してもよい。上記機能制限手段が制限する機能の例としては、操作ボタン、電子マネー機能、電子決済機能、特定の電話番号以外の通話機能、特定のメールアドレス以外の電子メール受信機能、インターネット接続機能、などが挙げられる。
【0016】
また、自動着信手段(機能)が通話を自動的に開始する条件としては、種々のものが考えられ、例えば、電話の着信が所定時間継続した場合、同じ電話番号から所定回数着信した場合、特定の電話番号から着信した場合、これらの条件を2つ以上組み合わせた場合、などが挙げられる。
【0017】
本発明に係る携帯型通信端末では、音声を出力するスピーカを制御するスピーカ制御手段をさらに備えており、前記機能制限手段が前記機能を制限している場合、前記自動着信手段により通話が開始されると、前記スピーカ制御手段は、通話相手からの通話音を出力するように前記スピーカを制御することが好ましい。
【0018】
ここで、上記スピーカ制御手段が制御するスピーカは、自端末に内蔵するものが好ましい。しかしながら、上記スピーカは、外部に設置されたものでもよいし、ラジオ受信機やテレビジョン受像機などの外部の装置に内蔵されたものでもよい。この場合、スピーカ制御手段は、無線LAN、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などの無線、または有線を介して、外部のスピーカ、またはスピーカを内蔵した外部の装置を制御することになる。
【0019】
上記の構成によると、通話相手からの通話音がスピーカから外部に出力されるので、上記携帯型通信端末からの呼びかけが聞こえる範囲が広くなり、他人に携帯型通信端末をさらに拾得してもらい易くなる。
【0020】
本発明に係る携帯型通信端末では、外部に着信を報知する報知部と、該報知部を制御する報知制御手段とをさらに備えており、前記機能制限手段が前記機能を制限している場合、前記通信部が着信を検出すると、前記報知制御手段は、前記報知部を動作させるように制御することが好ましい。
【0021】
この場合、着信を報知することにより、上記携帯型通信端末の周囲の人に発見され易くなるので、他人に携帯型通信端末をさらに拾得してもらい易くなる。なお、報知部が行う報知の例としては、ベル音の出力、メロディの出力、光の点滅、表示出力、振動、などが挙げられる。
【0022】
なお、前記機能制限手段は、外部から前記通信部を介して取得した指示に基づいて、前記機能を制限する、いわゆる「遠隔ロック」が望ましいが、操作が所定時間なされなかった場合に前記機能を制限する、いわゆる「タイマーロック」でもよい。
【0023】
また、上記携帯型通信端末の各手段を、携帯型通信端末制御プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記携帯型通信端末制御プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記携帯型通信端末制御プログラムを実行させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る携帯型通信端末は、以上のように、機能制限手段が機能を制限する場合に自動着信手段を動作させるので、セキュリティを維持しつつ、上記携帯型通信端末のユーザ自身にとっては上記携帯型通信端末を見つけ易く、他人にとっては上記携帯型通信端末を拾い易くなるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図7を参照して説明する。図2は、本発明の一実施形態である携帯電話機1の外観を示している。なお、本発明は、携帯電話機に限定されるものではなく、自動車電話機、PHS(Personal Handyphone System)端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型PC(Personal Computer)などの携帯型通信端末に適用されることができる。
【0026】
図2に示されるように、本実施形態の携帯電話機1は、いわゆるクラムシェル型であり、同図に開いた状態で示されている。同図(a)は、携帯電話機1を閉じたときに内側となる部分を示しており、この部分は、携帯電話機1を開いたときにユーザが主に利用する側である。そこで、本願では同図(a)に示される側を前面側とする。また、同図(b)は、携帯電話機1を閉じたときに外側となる部分を示しており、この部分は、携帯電話機1を開いたときに同図(a)の側と反対側となる。そこで、本願では同図(b)に示される側を背面側とする。
【0027】
図2に示されるように、携帯電話機1は、本体2と、蓋体3とからなり、本体2と蓋体3とはヒンジ状に連結している。蓋体3には、ユーザが主として利用するメイン画面(表示手段)4が前面側に設けられ、ユーザが補助的に利用するサブ画面5が背面側に設けられている。なお、同図には示していないが、蓋体3内にはアンテナ10(図3を参照)が設けられている。
【0028】
本体2には、前面側にメイン操作ボタン群(操作部)6が設けられている。メイン操作ボタン群6は、携帯電話機1における各種設定や機能切替を行うための機能ボタン群7と、数字や文字などの記号を入力するための入力ボタン群8とから構成されている。具体的には、機能ボタン群7は、携帯電話機1の電源のON/OFFを切り替える電源ボタン、通話を開始させるオフフックボタン、通話を終了させるオンフックボタン、撮影モードを起動させるカメラボタン、メールモードを起動させるメールボタン、選択対象を上下左右方向に移動させるための十字ボタン、該十字ボタンの中央に配置されており種々の選択を決定する決定ボタンなどを含んでいる。また、入力ボタン群8は、テンキーである。なお、本体2の背面側には、カメラ9が設けられている。
【0029】
次に、携帯電話機1の詳細な構成について図1および図3を参照して説明する。図3は、携帯電話機1の概略構成を示している。携帯電話機1は、アンテナ部10、無線処理部11(通信部)、音声処理部12、音声入力部13、音声出力部(報知部)14、データ処理部15、操作部16、記憶部17、表示部(報知部)18、電源部20、制御部21、振動部(報知部)22、および発光部(報知部)23を備える構成である。
【0030】
アンテナ部10は、電波を外部に送り出すとともに外部から電波を受け取るためのものである。具体的には、アンテナ部10は、800MHz帯または1.5GHz帯の携帯電話機用電波を送受するためのものである。
【0031】
無線処理部11は、音声処理部12またはデータ処理部15から受信したデータを無線送信に適した形式に変換し、変換した無線信号をアンテナ部10を介して外部に送信するものである。また、無線処理部11は、外部からアンテナ部10を介して受信した無線信号を元の形式に変換し、変換したデータを音声処理部12またはデータ処理部15に送信するものである。具体的には、無線処理部11では、チャネルコーデック処理、ベースバンド信号処理、データの変復調処理、RF(Radio Frequency)処理などが行われる。
【0032】
音声処理部12は、音声入力部13からの音声信号を所定の音声データに変換して無線処理部11に送信するとともに、無線処理部11からの音声データを音声信号に変換して音声出力部14に送信するものである。具体的には、音声処理部12は、A/D変換器、D/A変換器、アンプ、音声コーデック回路などを備える構成である。
【0033】
音声入力部13は、外部から入力された音波を、電気信号である音声信号に変換して音声処理部12に送信するものである。具体的には、音声入力部13はマイクロホンを備える構成である。
【0034】
音声出力部14は、音声処理部12からの音声信号を音波に変換して外部に出力するものである。具体的には、音声出力部14は、レシーバ、スピーカ、音声出力用コネクタなどを備える構成である。通常、携帯電話機1では、通話を行う場合にはレシーバが利用され、着信の報知やテレビ電話を行う場合にはスピーカが利用される。また、音楽を聴く場合には、周囲の人々に配慮して、音声出力用コネクタにヘッドホンが接続される。
【0035】
なお、電話機の場合、音声入力部13に入力するユーザの音声が音声出力部14から聞こえることが望ましい。このため、音声処理部12は、音声入力部13からの音声信号を所定の音量レベルに調整した後、音声出力部14に送信することが望ましい。
【0036】
データ処理部15は、制御部21からのデータを所定形式のデータに符号化して無線処理部11に送信するとともに、無線処理部11からのデータを復号化して制御部21に送信するものである。データ処理部15で行われるデータの符号化/復号化(コーデック)方式の例としては、MPEG(Moving Picture Experts Group)−4、およびITU−T勧告H.263が挙げられる。
【0037】
操作部16は、携帯電話機1の表面に設けられたメイン操作ボタン群6などの入力デバイスをユーザが操作することにより、操作データを作成して制御部21に送信するものである。入力デバイスとしては、図2に示されるようなボタンスイッチの他にタッチパネルなどが挙げられる。
【0038】
記憶部17は、各種データおよびプログラムを記憶するものである。記憶部17の例としては、制御部21が動作するときに必要なプログラムや、通信制御データなどの固定データを記憶する読出し専用の半導体メモリであるROM(Read Only Memory)と、バーコード認識や通信に関するデータ、演算に使用するデータ、および演算結果などを一時的に記憶する、いわゆるワーキングメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、各種の設定データ、撮影画像データ、電子メールデータなどを記憶する書換え可能な不揮発性メモリ(本実施例はフラッシュメモリ)とが挙げられる。
【0039】
表示部10は、制御部21から画像データを受信し、受信した画像データに基づいてメイン画面4および/またはサブ画面5に画像を表示するものである。具体的には、表示部10は、LCD、PDP(Plasma Display Panel)、ELディスプレイなどの表示素子と、受信した画像データに基づいて表示素子を駆動するドライバ回路とを備える構成である。
【0040】
電源部20は、携帯電話機1内の各種構成に適当な電力を供給するものである。電源部20は、例えば、リチウムイオン電池などの充電可能な2次電池、電源回路などによって構成される。
【0041】
制御部21は、携帯電話機1内の各種構成を統括的に制御するものである。制御部21の機能は、例えばRAMやフラッシュメモリなどの記憶素子に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することによって実現される。なお、制御部21の詳細については後述する。
【0042】
振動部22は、ユーザへの報知などを目的として、制御部21からの指示に基づき、携帯電話機1を振動させるものである。具体的には、振動部22は、偏心モータなどの振動素子を備える構成である。
【0043】
発光部23は、ユーザへの報知などを目的として、制御部21からの指示に基づき発光するものである。具体的には、発光部23は、LED(light emitting diode)などの発光素子を備える構成である。なお、発光部22は、表示部18で代用することもできる。
【0044】
本実施形態の携帯電話機1では、制御部21は、自機が有する機能を制限する機能と、無線処理部11における着信が、記憶部17に記憶された所定の条件に合致すると、通話を開始させる自動着信機能とを有している。ここで、自動着信機能とは、自動車運転時などで携帯電話機1をハンズフリーで利用するために、着信鳴動が予め設定した時間続くと自動的にオフフックして通話を開始する機能をいう。
【0045】
そして、制御部21は、自機が有する機能を制限する場合に、上記自動着信機能を動作させる。これにより、各種機能を制限するので、セキュリティを維持できると共に、自動着信機能を動作させるので、紛失した携帯電話機1のオフフックボタンを誰かが押さなくても、他の通信端末から携帯電話機1と通話することができる。
【0046】
従って、携帯電話機1のユーザは、他の通信端末を利用して、携帯電話機1の周囲の音を聞くことができ、携帯電話機1を発見し易くなる。また、上記ユーザは、携帯電話機1から周囲に、例えば「誰か拾って下さーい」といったように呼びかけることができるので、着信音や着信メロディで周囲に報知する場合に比べて、他人に携帯電話機1を拾得してもらい易くなる。
【0047】
図1は、携帯電話機1内の上記構成のうち、外部から着信があった場合の動作に関連する構成の詳細を示している。図示のように、音声出力部14は、レシーバ40およびスピーカ41を備えている。
【0048】
また、記憶部17は、設定情報リスト50、保存用設定情報リスト51、および遠隔ロック条件リスト52を記憶している。なお、これらのリスト50〜52は、フラッシュメモリに記憶されることが望ましい。
【0049】
設定情報リスト50は、各種設定情報を含んでいる。図4は、設定情報リスト50の一例を示している。図示の例では、設定情報リスト50は、現モード、着信報知、自動着信、通話、および各種効果音(操作キー音、エラー音、アラーム音、クラムシェル開閉音、スライド開閉音、スイーベル回転音など)に関する設定情報を含んでいる。また、図には示していないが、設定情報リスト50は、表示に関する設定情報を含んでいる。
【0050】
保存用設定情報リスト51は、遠隔ロックモードまたはマナーモードに変更される前の通常モードでの各種設定情報を含んでいる。すなわち、通常モードから遠隔ロックモードまたはマナーモードに変更される場合、設定情報リスト50が保存用設定情報リスト51にコピーされる。反対に、遠隔ロックモードまたはマナーモードから通常モードに変更される場合、保存用設定情報リスト51が設定情報リスト50にコピーされる。これにより、通常モードにてユーザが任意に設定した各種設定情報を、モードが変更されても保持することができる。
【0051】
遠隔ロック条件リスト52は、遠隔ロックモードに移行するための条件を含んでいる。この条件の例としては、送信元の電話番号、該電話番号からの所定時間内(例えば3分以内)での着信回数、送信元のメールアドレス、該メールアドレスからの電子メールの件名に含まれる文字列などが挙げられる。
【0052】
図1に戻ると、制御部21は、着信部30、遠隔ロック部(機能制限手段)31、自動着信部(自動着信手段)32、通話部33、報知制御部(報知制御手段)34、音声出力制御部(スピーカ制御手段、報知制御手段)35、および表示制御部(報知制御手段)36を備える構成である。
【0053】
着信部30は、無線処理部11から電話または電子メールの着信を取得するものである。着信部30は、着信した電話または電子メールに関する情報を遠隔ロック部31および報知制御部36に送信する。また、着信部30は、電話の着信中である旨を自動着信部32および通話部33に通知する。
【0054】
遠隔ロック部31は、着信部30から取得した電話または電子メールに関する情報が、記憶部17の遠隔ロック条件リスト52に含まれる上記条件を満たす場合、遠隔ロックモードに移行して、制御部21に含まれる各種機能を制限するものである。なお、遠隔ロックモードで制限(利用不能)される機能の例としては、操作部16からの入力機能、非特許文献1に記載のFeliCa(登録商標)機能、特定の電話番号以外の通話機能、特定のメールアドレス以外の電子メール受信機能、インターネット接続機能、などが挙げられる。
【0055】
また、遠隔ロック部31は、遠隔ロックモードに移行すると、記憶部17の設定情報リスト50を更新するものである。具体的には、遠隔ロック部31は、図4に示される設定情報リスト50において、現モードを「遠隔ロック」に、着信報知の出力先を「スピーカ」に、自動着信を「オン」に、通話の出力先を「スピーカ」に、かつ各種音量設定を「6(最大)」にそれぞれ更新する。
【0056】
自動着信部32は、電話の着信が所定時間継続すると、自動的に通話を開始させるものである。具体的には、自動着信部32は、着信部30から電話の着信が通知されると、秒数カウンタ、タイマなどを用いて、上記着信中の時間を測定し、測定した時間が、設定情報リスト50に設定された着信時間に到達すると、通話を開始するように通話部35に指示するものである。
【0057】
通話部33は、音声処理部12に対して、通話の開始または終了を指示するものである。具体的には、通話部33は、着信部30から通知された電話の着信中に操作部16のオフフックボタンが押された場合、或いは、自動着信部32から通話の開始を指示された場合に、通話先と回線の接続を行うように無線処理部11に指示すると共に、音声処理部12に音声処理を開始するように指示する。また、通話部33は、通話の開始を音声出力制御部35に通知する。
【0058】
そして、通話部33は、通話中に、操作部16のオンフックボタンが押された場合、或いは、通話先から回線の切断が行われたことを無線処理部11から通知される場合に、通話先と回線の切断を行うように無線処理部11に指示すると共に、音声処理部12に音声処理を終了するように指示する。
【0059】
報知制御部34は、着信部30から電話または電子メールの着信を取得すると、着信報知を行うように音声出力制御部35、表示制御部36、その他の出力制御部に指示するものである。
【0060】
音声出力制御部35は、記憶部17の設定情報リスト50における音に関する各種の設定情報を参照して、音声出力部14を制御するものである。特に、音声出力制御部35は、報知制御部34から着信報知の指示を受け取ると、設定情報リスト50における着信報知の設定情報に基づいて、音声出力部14を制御する。また、音声出力制御部35は、通話部33から通話の開始が通知されると、設定情報リスト50における通話の出力先設定に基づいて、レシーバ40およびスピーカ41のうち、通話の音声を出力するデバイスを選択する。
【0061】
表示出力制御部36は、記憶部17の設定情報リスト50における表示に関する各種の設定情報を参照して、表示部18を制御するものである。特に、表示出力制御部36は、報知制御部34から着信報知の指示を受け取ると、設定情報リスト50における着信報知の設定情報に基づいて、表示部18を制御する。
【0062】
上記構成の携帯電話機1における処理動作について図5〜図7を参照して説明する。図5は、携帯電話機1を紛失するなどしたため、他の通信端末から携帯電話機1に遠隔ロックを行う場合の処理動作を示している。
【0063】
図5に示されるように、まず、上記他の通信端末は、携帯電話機1に対し、携帯電話機1における遠隔ロックの条件に適合するような、電話の発呼または電子メールの送信を行う(ステップS1(以下「S1」と略称することがある。他のステップについても同様である。))。
【0064】
一方、携帯電話機1では、着信部30が、上記他の通信端末から電話または電子メールの着信を取得すると(S10)、該着信が遠隔ロックの指示であるか否かを遠隔ロック部31が判断する(S11)。すなわち、遠隔ロック部31は、上記着信が遠隔ロック条件リスト52に含まれる条件に一致するか否かを判断する。上記着信が遠隔ロックの指示では無い場合(S11にてNO)、遠隔ロックの処理動作を終了して通常の処理動作に移行する。
【0065】
一方、上記着信が遠隔ロックの指示である場合(S11にてYES)、遠隔ロック部31は、設定情報リスト50を参照して、現モードがマナーモードであれば、マナーモードを解除する(S12・S13)。すなわち、遠隔ロック部31は、保存用設定情報リスト51を設定情報リスト50にコピーする。
【0066】
次に、遠隔ロック部31は、図4に示される設定情報リスト50を以下のように更新する。すなわち、現モードを遠隔ロックに変更し、各種の音のオン/オフ設定を「オン」に変更し(S14)、各種の音量設定を「最大」に変更し(S15)、各種の音の種類設定を遠隔ロック用の音の種類に変更する(S16・S17)。さらに、自動着信のオン/オフ設定を「オン」に変更する(S18)。このとき、着信時間を変更しても良い。そして、通話の出力先設定をスピーカに変更する(S19)。その後、遠隔ロックの処理動作を終了する。
【0067】
図6は、携帯電話機1が他の通信端末と通話を行う場合の通話の処理動作を示している。図示のように、着信部30が、電話またはテレビ電話の着信を取得すると(S20)、報知制御部34は、着信報知を行うように、音声出力制御部35、表示制御部36、その他の出力制御部に指示し、出力制御部は、設定情報リスト50に基づいて着信報知を行う(S21)。このとき、遠隔ロックモードであれば、最大の音量で着信報知を行うので、携帯電話機1の周囲の人に発見され易くなる。
【0068】
一方で、自動着信部32は、設定情報リスト50における自動着信のオン/オフ設定が「オン」であるか否かを判断する(S22)。自動着信のオン/オフ設定が「オフ」である場合(S22にてNO)、自動着信部32は通話部33への指示を行わない。したがって、通話部33は通常の通話処理を行う。すなわち、通話部33は、機能ボタン群7のオフフックボタンが押されるか、或いは相手側(上記他の通話端末)の発信が停止するまで待機し(S23・S24)、オフフックボタンが押された場合(S23にてYES)、ステップS29に進み、相手側の発信が停止した場合(S24にてYES)、通話の処理動作を終了する。
【0069】
一方、自動着信のオン/オフ設定が「オン」である場合(S22にてYES)、自動着信部32は、設定情報リスト50における自動着信の着信時間設定の秒数を読み出して(S25)、秒数カウンタを起動し(S26)、設定された秒数が経過するか、或いは相手側(上記他の通話端末)の発信が停止するまで待機する(S27・S28)。設定された秒数が経過した場合(S27にてYES)、ステップS29に進み、相手側の発信が停止した場合(S28にてYES)、通話の処理動作を終了する。
【0070】
ステップS29において、音声出力制御部35は、通話の出力先設定がスピーカであれば、通話の音声の出力先としてスピーカ41を選択する(S29・S30)。そして、通話部33が通話の開始を無線処理部11および音声処理部12に指示して、通話が開始される(S31)。
【0071】
このとき、遠隔ロックモードであれば、自動着信が「オン」に設定されているので(図5のステップS18)、紛失した携帯電話機1のオフフックボタンを誰かが押さなくても、携帯電話機1と通話することができる。従って、携帯電話機1のユーザは、上述のように、セキュリティを維持しつつ、携帯電話機1を発見し易くなると共に、他人に携帯電話機1を拾得してもらい易くなる。さらに、遠隔ロックモードであれば、通話の出力先がレシーバ40の代わりにスピーカ41に設定されているので(図5のステップS19)、携帯電話機1からの呼びかけが聞こえる範囲が広くなり、他人に携帯電話機1をさらに拾得してもらい易くなる。
【0072】
そして、通話部33は、通話中に、機能ボタン群7のオンフックボタンが押された場合、或いは、通話先から回線が切断された場合に、通話部33は、通話の終了を無線処理部11および音声処理部12に指示して(S32)、通話の処理動作を終了する。
【0073】
図7は、例えばメイン操作ボタン群6のボタンが押された場合や、蓋体3が開閉された場合などのように、携帯電話機1が操作された場合の割込み処理を示している。図示のように、上記割込み処理が行われると、音声出力制御部35は、該当する操作に対応する音の設定情報を設定情報リスト50から読み出し、読み出した音の設定情報に基づいて音を出力するように音声出力部14を制御する。これにより、音声出力部14は、設定情報リスト50において該当する操作に対し設定されている音を、設定されている音量で出力する(S40)。
【0074】
このとき、遠隔ロックモードであれば、各種操作の音のオン/オフ設定が「オン」に設定され、音量が「最大」に設定されているので(図5のステップS14・S15)、紛失した携帯電話機1を他人が拾って操作すると、大きな操作音が周囲に出力されることになる。したがって、紛失した携帯電話機1を他人が悪用しようとすることを防止できる。
【0075】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0076】
例えば、上記実施形態では、何れのモードであっても、記憶部17に記憶した設定情報リスト50を参照しているが、現モードを示すモードフラグと、通常モード用設定情報リスト、マナーモード用設定情報リスト、および遠隔ロック用設定情報リストとを記憶部17に記憶しておき、モードフラグを参照して、対応するモードの設定情報リストを参照しても良い。この場合、モードを変更する毎に、設定情報リスト50を更新する必要がない。
【0077】
また、上記実施形態では、通常の携帯電話機にも用いられている音声出力部14、表示部18、振動部22、および発光部23を携帯電話機1の周囲に報知する報知部として利用しているが、さらに広範囲に報知する報知部を携帯電話機1に設けてもよい。
【0078】
このような報知部の例としては、発光弾を射出する装置、上空に光の柱を形成する投光機などの強力な発光装置、携帯電話機1に接触している地面などの物体を揺動させる強力な振動装置、携帯電話機1から地面または大気を介して周囲の人間に微弱な電気ショックを与えることができるような放電機、携帯電話機1の周囲に存在する通信端末に対し、アドホック通信により携帯電話機1の存在を通知する近距離無線通信装置、などが挙げられる。
【0079】
また、上記実施形態では、音声出力制御部35は、自機1に内蔵のスピーカ41を制御して音声を出力しているが、外部に設置されたスピーカを制御して音声を出力してもよいし、ラジオ受信機やテレビジョン受像機などの外部の装置に内蔵されたスピーカを制御して音声を出力してもよい。この場合、音声出力制御部35は、無線LAN、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などの無線通信、またはケーブル(有線)を介して、外部のスピーカ、またはスピーカを内蔵した外部の装置を制御することになる。
【0080】
最後に、携帯電話機1の各ブロック、特に制御部21は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0081】
すなわち、携帯電話機1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM、上記プログラムを展開するRAM、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである携帯電話機1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記携帯電話機1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0082】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0083】
また、携帯電話機1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明は、各種機能を制限する場合に自動着信機能を動作させるので、携帯電話機、自動車電話機、PHS端末などの移動電話機だけでなく、固定電話機にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施形態である携帯電話機の要部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】上記携帯電話機を開いた状態での外観を示す図であり、同図(a)は正面図であり、同図(b)は背面図である。
【図3】上記携帯電話機の概略構成を示すブロック図である。
【図4】上記携帯電話機の記憶部に記憶される設定情報リストの一例を表形式で示す図である。
【図5】他の通信端末から上記携帯電話機に遠隔ロックを行う場合の処理動作を示すフローチャートである。
【図6】上記携帯電話機が他の通信端末と通話を行う場合の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】上記携帯電話機が操作された場合の割込み処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1 携帯電話機(携帯型通信端末)
11 無線処理部(通信部)
14 音声出力部(報知部)
17 記憶部
18 表示部(報知部)
21 制御部
22 振動部(報知部)
23 発光部(報知部)
30 着信部
31 遠隔ロック部(機能制限手段)
32 自動着信部(自動着信手段)
33 通話部
34 報知制御部(報知制御手段)
35 音声出力制御部(スピーカ制御手段、報知制御手段)
36 表示制御部(報知制御手段)
40 レシーバ
41 スピーカ
50 設定情報リスト
51 保存用設定情報リスト
52 遠隔ロック条件リスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と通信を行う通信部と、自端末が有する機能を制限する機能制限手段とを備える携帯型通信端末において、
前記通信部における着信が所定の条件に合致すると、通話を開始するように制御する自動着信手段を備えており、
前記機能制限手段は、前記機能を制限する場合、前記自動着信手段を動作させることを特徴とする携帯型通信端末。
【請求項2】
音声を出力するスピーカを制御するスピーカ制御手段をさらに備えており、
前記機能制限手段が前記機能を制限している場合、前記自動着信手段により通話が開始されると、前記スピーカ制御手段は、通話相手からの通話音を出力するように前記スピーカを制御することを特徴とする請求項1に記載の携帯型通信端末。
【請求項3】
外部に着信を報知する報知部と、
該報知部を制御する報知制御手段とをさらに備えており、
前記機能制限手段が前記機能を制限している場合、前記通信部が着信を検出すると、前記報知制御手段は、前記報知部を動作させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の携帯型通信端末。
【請求項4】
前記機能制限手段は、外部から前記通信部を介して取得した指示に基づいて、前記機能を制限することを特徴とする請求項1に記載の携帯型通信端末。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1項に記載の携帯型通信端末を動作させるための携帯型通信端末制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための携帯型通信端末制御プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯型通信端末制御プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項7】
外部と通信を行う通信部と、自端末が有する機能を制限する機能制限手段とを有する携帯型通信端末の制御方法において、
前記機能制限手段が前記機能を制限する場合、前記通信部における着信が所定の条件に合致すると、通話を開始するように制御する自動着信機能を動作させることを特徴とする携帯型通信端末の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−318363(P2007−318363A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144710(P2006−144710)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】