説明

携帯情報端末装置

【課題】接触式のセンサによるバッテリ電力の消費を軽減した携帯情報端末装置を提供する。
【解決手段】タッチセンサ60は、指などによる接触入力を検出するものであって、2つのセンサモジュール60a、60bを備える。センサモジュール60a、60bは、それぞれ多数のセンサが直線的に配列されたものであって、制御部100の制御に動作状態が設定される。ユーザがセンサモジュール60aのセンサに触れると、制御部100は、触れているセンサとその近傍のセンサだけに通電して、ユーザからの入力を受け付けるようにし、同一センサモジュール上の残るセンサについては通電しないようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistance)などの携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、携帯電話機やPDA、携帯型音楽再生機などは、ユーザに視覚的に情報を伝達するディスプレイや、無線LANをはじめとする種々の通信機能を備えるようになった。また最近では、ユーザの要求を受け付けることが可能なタッチパネル式のディスプレイを備えるものの開発も進められている。
【0003】
従来の携帯情報端末装置では、タッチパネル式ディスプレイは、ユーザ自身の指で表示内容が見えにくくなったり、あるいは操作により表示エリアの表面に皮脂などが付着して見えにくくなるという問題がある。これに対して従来は、タッチパネルとは別に、表示エリ外にセンサを設け、このセンサでユーザ要求を受け付けることで、上記の問題を回避している。
【0004】
しかしながら、例えば四角形のディスプレイの場合、四辺のすべてにセンサを設けると、センサの待機電力により消費電力が増大するという問題がある。また直交する二辺にだけセンサを設けた場合には、利き手によっては操作性が著しく悪くなるという問題がある。またいずれのセンサであっても、センサが消費する待機電力により、バッテリ電力が浪費されるという問題があった。
【0005】
その他、キー操作とタッチセンサを備えた操作デバイスも考案されている(例えば、特許文献1参照)が、これにおいても同様の問題が存在する。
【特許文献1】特開2006−302184公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の携帯情報端末装置では、接触式のセンサによるバッテリ電力の浪費が問題となっていた。
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、接触式のセンサによるバッテリ電力の消費を軽減した携帯情報端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は、情報を表示する表示手段と、ユーザ操作を受け付けるセンサを複数配列したセンサモジュールと、センサが検出した結果に応じて、表示手段が表示する情報を制御する表示制御手段と、センサへの電力供給を制御してセンサの動作を制御するものであって、ユーザからの入力を検出したセンサがあった場合に、このセンサとその近傍のセンサに電力の供給を継続し、それ以外のセンサへの電力供給を停止するセンサ制御手段とを具備して構成するようにした。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、この発明では、配列されたセンサのうち、入力を検出したセンサとその近傍のセンサにのみ電力を供給するようにしている。
したがって、この発明によれば、接触式のセンサによるバッテリ電力の消費を軽減した携帯情報端末装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。ここでは、この発明に係わる携帯情報端末装置の一例として、携帯電話機を例に挙げて説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる携帯情報端末装置の構成を示すブロック図である。この携帯情報端末装置は、図1に示すように、主な構成要素として、アンテナ1と、無線通信部10と、表示部20と、通話部30と、操作部40と、記憶部50と、タッチセンサ60と、加速度センサ70と、制御部100とを備え、基地局装置BSおよび移動通信網NWを介して通信するものである。なお、この例では、当該携帯情報端末装置は、図2に示すように、長方形の形状を有し、長方形の表示部20を備えるものとする。
【0010】
無線通信部10は、制御部100の指示にしたがって移動通信網NWに収容された基地局装置BSと無線通信を行うものであって、音声データや電子メールデータなどの送受信、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
【0011】
表示部20は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを用いた表示パネルであって、制御部100の制御により、画像(静止画像および動画像)や文字情報などを表示して、視覚的にユーザに情報を伝達するものである。
【0012】
通話部30は、スピーカ31やマイクロホン32と接続され、マイクロホン32を通じて入力されたユーザの音声を音声データに変換して制御部100に出力したり、通話相手などから受信した音声データを復号してスピーカ31から出力するものである。
操作部40は、複数のキースイッチなどを備え、これを通じてユーザから指示を受け付けるものである。
【0013】
記憶部50は、制御部100の制御プログラムや制御データ、アプリケーションソフトウェア、通信相手の名称や電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータや、ダウンロードしたストリーミングデータなどを記憶するものである。
【0014】
タッチセンサ60は、指などによる接触入力を検出するものであって、例えば図2に示すように、表示部20と同一の平面上に、2つのセンサモジュール60a、60bがそれぞれ表示部20の異なる方向(水平方向と垂直方向)の2辺に設けられる。センサモジュール60a、60bは、それぞれ多数のセンサが直線的に配列されたものであって、制御部100の制御により、各センサは、3つのステータス(スリープ状態、アイドル状態、アクティブ状態)に設定される。
【0015】
なお、上記センサは、ユーザの指などが接触すると、センサ自体の静電容量に、人体などの静電容量が加わって変化する。これを制御部100が検出することにより、ユーザ要求が検出できる。より具体的には、制御部100から印加された電圧により上記静電容量が充電されるが、静電容量が充電されたセンサの電圧は、静電容量の変化に伴って変化するので、この充電電圧の変化を制御部100が検出することでユーザの接触を検出できる。センサのメカニズムは、種々の構成が適用でき、これに限定されるものではない。
【0016】
ここで、アクティブ状態およびアイドル状態に設定されたセンサは、例えばON状態であって、制御部100の制御により通電されて動作し、指などによる接触を検出できる。ただし、アクティブ状態における制御部100の検出周期Taは、アイドル状態における制御部100の検出周期Tiより短く、例えば検出周期Ta=10msに対して、検出周期Ti=100msである。すなわち、アイドル状態よりアクティブ状態の方が電力を消費する。またスリープ状態に設定されたセンサは、例えばOFF状態であって、制御部100の制御により通電されないために動作せず、接触を検出することができない。
加速度センサ70は、当該携帯情報端末装置の上下方向を検出する。
【0017】
制御部100は、マイクロプロセッサを備え、記憶部50が記憶する制御プログラムや制御データにしたがって動作し、当該携帯情報端末装置の各部を統括して制御し、音声通信やデータ通信を実現するものである。また制御部100は、記憶部50が記憶するアプリケーションソフトウェアにしたがって動作し、電子メールの送受信や、Webブラウジング、ダウンロードしたストリーミングデータに基づいて動画像を表示部20に表示する通信制御機能を備える。
【0018】
また制御部100は、表示部20を制御して表示部20に情報を表示させるものであって、加速度センサ70の検出結果に基づいて、ユーザが当該携帯情報端末装置を横長に保持しているか、あるいは縦長に保持しているかを判断し、保持している方向に応じて、表示内容の上下が正しくなるように表示部20に情報を表示する。
【0019】
さらに制御部100は、操作部40やタッチセンサ60を通じてユーザ要求を受け付け、この受け付けた要求に応じて、表示部20に表示する情報を制御する表示制御機能を備える。例えば、センサモジュール60a(あるいは60b)の直線的に配列された複数のセンサを、その配列方向に順に指でなぞると、各センサによる検出の順序からなぞった方向を検出し、この検出した方向に、表示している画像をスクロール表示させる。
【0020】
また制御部100は、センサモジュール60aおよび60bの各センサのステータスを制御し、センサの検出結果に応じて、さらに各センサのステータスを制御することで、センサ駆動に要する電力を節約する機能を備える。
【0021】
次に、上記構成の携帯情報端末装置の動作について説明する。以下の説明では特に、タッチセンサ60の検出結果に応じた表示制御と、タッチセンサ60を構成するセンサのステータス制御について説明する。
【0022】
図3は、これらの制御を示すフローチャートであって、この処理は、制御部100が記憶部50に記憶される制御プログラムや制御データに基づいて動作することにより実現され、また当該携帯情報端末装置の電源が投入されている間、繰り返し実行される。なお、以下に説明する制御に並行して、制御部100は、加速度センサ70の検出結果に基づいて、当該携帯情報端末装置の上下方向を判定し、この判定結果に応じて、ユーザが正しく視認できるように情報を表示する処理を実施している。
【0023】
まず、ステップ3aにおいて制御部100は、センサモジュール60aおよび60bの各センサに通電してアイドル状態に設定し、ステップ3bに移行する。これにより、すべてのセンサは、制御部100によって接触を検出することが可能な状態となり、ユーザからの接触入力を待機した状態となる。
【0024】
ステップ3bにおいて制御部100は、アイドル状態となっているセンサを監視し、いずれかのセンサから、接触を検出できたか否かを判定する。ここで接触を検出できた場合には、ステップ3cに移行し、一方、接触を検出できない場合には、ステップ3bに移行して、引き続きユーザからの接触入力を待機する。
【0025】
ステップ3cにおいて制御部100は、ステップ3bもしくはステップ3eで接触が検出できたセンサと、このセンサの近傍に並ぶ予め設定した数(あるいは予め設定した割合に相当する数)のセンサ(設定数が2の場合、隣接するセンサ)に通電して、これらのセンサをアクティブ状態に設定する。また、アクティブ状態に設定したセンサと同じセンサモジュール上の他のセンサについては、通電を終了してスリープ状態にする。また他方のセンサモジュールについては、通電を継続してアクティブ状態(もしくはスリープ状態)に設定し、ステップ3dに移行する。
【0026】
ステップ3dにおいて制御部100は、タイマを起動して、所定時間のカウントダウンを開始し、ステップ3eに移行する。なお、ステップ3dに移行した時点で、すでにタイマが起動された状態の場合には、リスタートさせる。
【0027】
ステップ3eにおいて制御部100は、アクティブ状態に設定したセンサにより接触が検出できたか否かを判定する。ここで接触を検出できた場合には、ステップ3gに移行し、一方、接触を検出できない場合には、ステップ3fに移行する。
【0028】
ステップ3fにおいて制御部100は、ステップ3dで起動したタイマがタイムアウトしたか否かを判定する。ここで、タイマがタイムアウトした場合には、ステップ3aに移行してすべてのセンサをアイドル状態に設定し、一方、タイムアウトしていない場合には、ステップ3eに移行して、引き続き接触の検出を継続する。
【0029】
ステップ3gにおいて制御部100は、ステップ3eの検出結果に応じた表示制御を実施し、ステップ3cに移行する。例えば、以前にステップ3eで検出したセンサの位置と、今回ステップ3eで検出したセンサの位置との関係から、スクロール方向やスクロール速度を決定し、この決定した方向や速度に応じて、表示中の画像をスクロールして表示する。
【0030】
以上のように、上記構成の携帯情報端末装置では、ユーザがタッチセンサ60のセンサに触れると、触れているセンサとその近傍のセンサだけに通電して、ユーザからの入力を受け付けるようにし、同一センサモジュール上の残るセンサについては通電しないようにしている。したがって、上記構成の携帯情報端末装置によれば、入力中におけるセンサの消費電力を効率的に削減できる。
【0031】
またこの処理に並行して、制御部100は、加速度センサ70の検出結果に基づいて、当該携帯情報端末装置の上下方向を判定し、この判定結果に応じて、ユーザが正しく視認できるように情報を表示する処理を実施している。
【0032】
このため、図4(a)に示すように縦長に保持している状態から、図4(b)に示すように横長に表示する状態にユーザが持ち替えても、これを加速度センサ70が検出して制御部100が上下方向に応じた表示を正しく行う。
【0033】
また図4(a)に示したように保持して、センサモジュール60aが左辺に位置し、センサモジュール60bが底辺に位置するように保持した状態から、図4(c)に示したように保持して、センサモジュール60aが右辺に位置し、センサモジュール60bが上辺に位置するように、逆さまに保持した状態に変化させても、これを加速度センサ70が検出して制御部100が表示を正しく行うことができる。すなわち、センサモジュール60a、60bの位置をユーザが利き手に応じて変化させても、上下が反転することなく正しく情報を表示することができる。なお、図4(b)に示す状態から、図4(d)に示す状態に持ち位置を変えても同様である。
【0034】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0035】
その一例として例えば、上記実施の形態では、図2に示したように、2つのセンサモジュール60aを表示部20と同一の平面上に設けたが、図5に示すように、表示部20と垂直を成す当該携帯情報端末装置の筐体側面に設けるようにしてもよい。あるいは、図6に示すように、表示部20が搭載される面の全体を覆うように透過性を有するタッチセンサ60を設け、表示部20と重ならない領域に、2つのセンサモジュール60a、60bを設けるようにしてもよい。
【0036】
さらには、図7に示すように、柔軟性を有し透過性を有する素材を用いて表示部20が搭載される面よりも大きなタッチセンサ60を構成し、このタッチセンサ60が上記の面からはみ出る部分に2つのセンサモジュール60a、60bを設ける。このはみ出した部分は、折り曲げて筐体の側面に固定する。このような構成であってもよい。
【0037】
また上記実施の形態では、複数のセンサを直線状に並べたセンサモジュール60a、60bについて説明したが、直線状ではなく面状に配列し、接触を検出したセンサとその近傍のセンサだけをアクティブ状態にし、それ以外をスリープ状態に設定するようにしてもよい。
【0038】
さらに上記実施の形態では、表示部20の表示領域として長方形を例に示したが、三角形や正方形、その他の多角形や、円形や楕円形、これらの形状を組み合わせた変則的な形状であってもよい。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明に係わる携帯情報端末装置の一実施形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した携帯情報端末装置の外観を示す図。
【図3】図1に示した携帯情報端末装置のセンサモジュールに対する制御を示すフローチャート。
【図4】図3に示した制御に応じた入力操作を説明するための図。
【図5】図1に示した携帯情報端末装置のセンサモジュールの取り付け位置を説明するための図。
【図6】図1に示した携帯情報端末装置のセンサモジュールの取り付け位置を説明するための図。
【図7】図1に示した携帯情報端末装置のセンサモジュールの取り付け位置を説明するための図。
【符号の説明】
【0040】
1…アンテナ、10…無線通信部、20…表示部、30…通話部、31…スピーカ、32…マイクロホン、40…操作部、50…記憶部、60…タッチセンサ、60a…センサモジュール、60b…センサモジュール、70…加速度センサ、100…制御部、BS…基地局装置、NW…移動通信網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示手段と、
ユーザ操作を受け付けるセンサを複数配列したセンサモジュールと、
前記センサが検出した結果に応じて、前記表示手段が表示する情報を制御する表示制御手段と、
前記センサへの電力供給を制御して前記センサの動作を制御するものであって、ユーザからの入力を検出したセンサがあった場合に、このセンサとその近傍のセンサに電力の供給を継続し、それ以外のセンサへの電力供給を停止するセンサ制御手段とを具備することを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項2】
前記センサモジュールは、複数のセンサを直線状に配列したものであることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、直線状に配列された複数のセンサが一定方向に連続的にユーザ操作を検出した場合に、前記表示手段が表示する情報をスクロール表示させることを特徴とする請求項2に記載の携帯情報端末装置。
【請求項4】
さらに、前記表示手段の上下方向を検出する方向検出手段を備え、
前記センサモジュールは、複数のセンサを直線状に配列したモジュールを少なくとも2つ備え、これらの2つのモジュールの配列方向が直交するように配列し、
前記表示制御手段は、前記方向検出手段の検出結果に応じて、前記表示手段が表示する情報の上下が正しく表示されるように制御することを特徴とする請求項2に記載の携帯情報端末装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、直線状に配列された複数のセンサが一定方向に連続的にユーザ操作を検出した場合に、前記表示手段が表示する情報をスクロール表示させることを特徴とする請求項4に記載の携帯情報端末装置。
【請求項6】
前記センサモジュールのモジュールのうち、少なくとも1つのモジュールを前記表示手段の表示面と平行するように設けるとともに、少なくとも1つのモジュールを前記表示手段の表示面と交わる面に設けることを特徴とする請求項4に記載の携帯情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−217612(P2009−217612A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61460(P2008−61460)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】