説明

携帯情報端末

【課題】登山ルートの標高や起伏を容易に把握することを可能とする。
【解決手段】携帯情報端末1は、GPS信号を受信するとともに、受信したGPS信号に基づいて現在地を導くGPSアンテナ4及びGPS受信部5と、標高情報を含む地図データを記憶する記憶部6と、画像を表示するディスプレイ3と、GPS受信部5で求めた現在地を、記憶部6から読み出した地図データに重ねてディスプレイ3に表示する演算・制御処理部9とを備える。演算・制御処理部9は、記憶部6の地図データに基づいて、二地点間の縦断面形状を示す断面画像を生成し、生成した断面画像を標高値とともにディスプレイ3に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末に関し、特に、登山ルートの標高や起伏を把握するのに適した携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、登山用に特化したナビゲーション装置として、種々のものが開発されている。この種のナビゲーション装置は、車両用のナビゲーション装置と同様、GPS測位を利用するものであるが、車両用のものとの差別化を図るべく、登山に有益な機能を追加したり、逆に、機能を絞り込んでスリム化するなど、様々な工夫が凝らされている。また、登山用ナビゲーション装置では、登山時の持ち運び易さも重要な要素となるため、小型化、軽量化も積極的に進められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、登山においては、平地での移動とは異なり、移動経路の標高や起伏も、登山に要する時間や登山者の疲労度に大きな影響を与える要素の1つとなる。しかし、従来の登山用ポータブルナビゲーション装置では、移動路や現在地が二次的な平面地図上に表示されるに過ぎないため、標高や起伏を把握し難く、十分なものとは言えなかった。
【0004】
また、登山用ポータブルナビゲーション装置を利用した登山にあたっては、事前に登山ルートを計画し、それを装置に入力設定しておくのが望ましいが、従来の装置では、パソコン等の外部機器に接続した状態でないと、ルート設定できないものしか存在しなかった。このため、入力設定の作業が煩わしいのに加え、登山の現地で、新たなルートの追加やルートの変更を行うことができず、利便性に乏しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、登山ルートの標高や起伏を容易に把握したり、登山ルートの設定作業の手間を軽減することが可能な携帯情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、携帯情報端末であって、GPS信号を受信するとともに、該受信したGPS信号に基づいて現在地を導く測位部と、標高情報を含む地図データを記憶する記憶部と、画像を表示する表示部と、前記測位部で求めた現在地を、前記記憶部から読み出した地図データに重ねて前記表示部に表示する表示制御部とを備え、該表示制御部は、前記記憶部の地図データに基づいて、二地点間の縦断面形状を示す断面画像を生成し、該生成した断面画像を標高値とともに前記表示部に表示することを特徴とする。
【0007】
そして、本発明によれば、二地点間の縦断面形状を示す断面画像を生成し、それを表示部に表示させるため、登山ルートの標高や起伏の状態を直感的に把握することができ、利便性を向上させることが可能になる。
【0008】
上記携帯情報端末において、前記表示制御部が、前記測位部で求めた現在地を、前記生成した断面画像に重ねて前記表示部に表示することができる。これによれば、現在地の標高だけでなく、その先の標高や起伏の状態も即座に把握することができ、以後の登山の進め方を適切に判断することが可能になる。
【0009】
上記携帯情報端末において、前記表示制御部が、前記二地点間の距離、高低差及び所要移動時間の少なくとも1つを、前記断面画像とともに前記表示部に表示することができる。
【0010】
上記携帯情報端末において、登山ルートの設定操作を行うための設定入力部を備えることができ、これによれば、設定作業の都度、パソコン等の外部機器に接続する必要がなくなる。このため、設定作業の手間を軽減し得るのに加え、登山の現地で、新たなルートの追加やルートの変更を行うことも可能になる。
【0011】
上記携帯情報端末において、前記表示部がタッチパネル式のディスプレイによって構成され、該ディスプレイのタッチ操作により前記登山ルートの設定を行うことができる。
【0012】
また、上記携帯情報端末を携帯電話端末とすることができ、汎用の端末を利用して上記構成を有する装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、登山ルートの標高や起伏を容易に把握したり、登山ルートの設定作業の手間を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる携帯情報端末の一実施の形態を示す外観正面図である。
【図2】図1の携帯情報端末の機器構成を示すブロック図である。
【図3】山地名を入力するための入力画面を示す図である。
【図4】登山ルート設定時の平面地図画面を示す図である。
【図5】登山ルート設定時の断面地図画面を示す図である。
【図6】図5の断面地図画面を詳細化表示した状態の画面を示す図である。
【図7】登山時の平面地図画面を示す図である。
【図8】登山時の断面地図画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明にかかる携帯情報端末の一実施の形態としての登山用ポータブルナビゲーション装置(以下、「登山用ナビ装置」と略称する)を示す外観正面図である。この登山用ナビ装置1は、略直方体状の装置本体2を有し、装置本体2の正面に、メニュー画面や地図画面等を表示するためのディスプレイ3が配置される。このディスプレイ3は、タッチセンサを有するタッチパネル式の液晶ディスプレイによって構成され、登山ルート等の設定操作を行うための設定入力部としても機能する。また、装置本体2の側面には、電源スイッチ等の操作スイッチや電源ジャック(何れも不図示)等が設けられる。
【0017】
図2は、図1の登山用ナビ装置1の機器構成を示すブロック図である。同図に示すように、登山用ナビ装置1は、上述のディスプレイ3以外の構成として、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPSアンテナ4と、GPSアンテナ4で受信したGPS信号に基づき、登山用ナビ装置1の現在地(登山者の現在地)を導き出すGPS受信部5と、標高情報を含む地図データが記憶された記憶部(例えば、フラッシュメモリ)6と、登山用ナビ装置1をパソコン等の外部機器と接続するための外部I/F(例えば、USB接続部)7と、SDカード等のリムーバブルメモリを接続するための外部メモリスロット8と、各種の演算処理を行ったり、登山用ナビ装置1の全体を制御する演算・制御処理部(以下、「演算部」と略称する)9と、バッテリや電池等の電源部10等を備える。
【0018】
上記構成において、演算部9は、ディスプレイ3への画像表示を制御する表示制御部としても機能し、記憶部6から地図データを読み出して地図画像や後述の断面画像を生成したり、操作に応じてディスプレイ3の表面画面を切り替える処理等を行う。また、演算部9は、ディスプレイ3のタッチセンサからの信号を受信し、操作者の入力内容や選択内容を判別する入力制御部としても機能する。
【0019】
次に、上記構成を有する登山用ナビ装置1の動作について説明する。ここでは、先ず、登山前のルート設定時の動作について、図3〜図6を中心に参照しながら説明する。
【0020】
ルート設定にあたっては、例えば、図3のような入力画面をディスプレイ3に表示し、操作者に対して登山予定の山地名又は大凡の住所の入力を促す。山地名等の入力が行われると、演算部9(図2参照)が、入力された山地名等に基づいて、記憶部6の地図データを読み出し、図4に示すように、登山予定地の平面画像を生成してディスプレイ3に表示する。
【0021】
そして、ディスプレイ3に平面地図画面11が表示された状態で、操作者が、ポイント設定アイコン23をタッチし、その後、経由地として設定したい場所をタッチすると、演算部9は、タッチされた場所の経度及び緯度を、通過ポイント20として設定するように処理する。
【0022】
この通過ポイント20は、出発地と目的地の2つに限らず、任意の数を設定することができる。また、2以上の通過ポイント20を設定した場合、前後の通過ポイント20を直線ルート27で結んで表示するとともに、通過ポイント20の設定順に割り当てた直線ルート27の番号(ルート番号)28を表示する。
【0023】
このように設定した通過ポイント20(登山ルート)は、外部メモリスロット8(図2参照)を利用してリムーバブルメモリに記憶させることが可能である。そして、登山ルートを記憶させたリムーバブルメモリを、他の登山者が利用する登山用ナビ装置1の外部メモリスロット8に挿入することで、データをコピーして共有することが可能である。
【0024】
尚、図4の符号21、22は、地図を詳細化、広域化するためのアイコンであり、符号24は、設定した通過ポイント20を削除するためのアイコンである。また、符号25は、後述の断面地図画面12を表示させるためのアイコンであり、符号26は、設定した通過ポイント20を記憶部6に保存させるためのアイコンである。
【0025】
そして、平面地図画面11を表示した状態で、操作者が断面表示アイコン25をタッチすると、演算部9は、平面表示された領域の縦断面形状を示す画像を生成し、図5に示すように、ディスプレイ3に断面地図画面12を表示する。
【0026】
この断面地図画面12では、縦軸に標高値31、横軸にルート番号28を割り当て、最初の通過ポイント20(始点)から最後の通過ポイント20(終点)までの縦断面形状を表示する。また、断面地図画面12では、始点から終点までの距離32、高低差33及び移動に要する時間(予測値)34を併せて表示する。
【0027】
断面地図画面12は、画面右側の詳細化アイコン35をタッチしたり、画面下部の始点指定ボックス36及び終点指定ボックス37に表示されたルート番号28を変更することで、図6に示すように、一部を拡大して表示することが可能である。尚、図6は、ルート番号「2」からルート番号「4」までの区間を拡大表示したものである。また、画面右側の符号38は、断面地図画面12を広域化するためのアイコンであり、符号39は、図4に示す平面地図画面11を表示するためのアイコンである。
【0028】
次に、登山時のナビゲーション動作について、図7及び図8を中心に参照しながら説明する。
【0029】
登山時のナビゲーション動作に際しては、GPS受信部5(図2参照)が、GPSアンテナ4で受信したGPS信号に基づき、登山用ナビ装置1の現在地を測位する。そして、演算部9は、図7に示すように、測位した現在地42を平面地図上に重ねて表示した画像を生成し、ディスプレイ3に平面地図画面41を表示する。また、登山時の平面地図画面41では、それまでの登山用ナビ装置1の移動軌跡(登山者の移動軌跡)43も表示する。
【0030】
この状態で、操作者は、ポイント設定アイコン23やポイント削除アイコン24をタッチすることで、通過ポイント20の追加や削除を行うことができ、登山の現場で自由に編集することが可能である。
【0031】
また、操作者が断面表示アイコン25をタッチすると、演算部9は、図8に示すように、現在地42を表示した状態の断面画像を生成し、ディスプレイ3に断面地図画面44を表示する。この場合も、図5及び図6の場合と同様、詳細化アイコン35、始点指定ボックス36及び終点指定ボックス37を操作することで、一部を拡大して表示することが可能である。
【0032】
以上のように、本実施の形態によれば、設定した登山ルートの縦断面画像を表示可能とするため、登山ルートの標高や起伏の状態を直感的に把握することができる。このため、登山前の計画時であれば、ルート全体の標高や起伏を簡単に把握することができ、自身又は登山仲間の体力やスキルに見合った計画が立て易くなる。また、登山時であれば、途中で断面地図画面44を閲覧することで、現在地の標高だけでなく、その先の標高や起伏の状態も即座に把握することができ、ペース配分や休憩の取り方など、以後の登山の進め方を適切に判断することが可能になる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、登山用ナビ装置1を操作して登山ルート(通過ポイント20)を設定することができるため、設定作業の都度、パソコン等の外部機器に接続する必要がなくなる。このため、設定作業の手間を軽減し得るのに加え、登山の現地で、新たなルートの追加やルートの変更を行うことも可能になる。
【0034】
尚、上記実施の形態においては、断面地図画面12、44を表示する際に、距離32、高低差33及び所要時間34を併せて表示するが、必ずしも、距離32、高低差33及び所要時間34の全てを表示する必要はなく、それらのうちの1つのみの表示であってもよい。
【0035】
また、上記実施の形態においては、携帯情報端末として登山用の専用装置としてのポータブルナビゲーション装置について説明したが、汎用の携帯電話端末を用いることもでき、タッチパネル式の液晶ディスプレイを備えない携帯電話端末の場合には、別の入力手段を用いることもできる。
【符号の説明】
【0036】
1 登山用ポータブルナビゲーション装置
2 装置本体
3 ディスプレイ
4 GPSアンテナ
5 GPS受信部
6 記憶部
7 外部I/F
8 外部メモリスロット
9 演算・制御処理部
10 電源部
11 平面地図画面
12 断面地図画面
20 通過ポイント
21 詳細化アイコン
22 広域化アイコン
23 ポイント設定アイコン
24 ポイント削除アイコン
25 断面表示アイコン
26 登録保存アイコン
27 直線ルート
28 ルート番号
31 標高値
32 距離表示
33 高低差表示
34 所要時間表示
35 詳細化アイコン
36 始点指定ボックス
37 終点指定ボックス
38 広域化アイコン
39 平面表示アイコン
41 平面地図画面
42 現在地表示
43 移動軌跡
44 断面地図画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS信号を受信するとともに、該受信したGPS信号に基づいて現在地を導く測位部と、
標高情報を含む地図データを記憶する記憶部と、
画像を表示する表示部と、
前記測位部で求めた現在地を、前記記憶部から読み出した地図データに重ねて前記表示部に表示する表示制御部とを備え、
該表示制御部は、前記記憶部の地図データに基づいて、二地点間の縦断面形状を示す断面画像を生成し、該生成した断面画像を標高値とともに前記表示部に表示することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記測位部で求めた現在地を、前記生成した断面画像に重ねて前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記二地点間の距離、高低差及び所要移動時間の少なくとも1つを、前記断面画像とともに前記表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
登山ルートの設定操作を行うための設定入力部を備えることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記表示部がタッチパネル式のディスプレイによって構成され、該ディスプレイのタッチ操作により前記登山ルートの設定を行うことを特徴とする請求項4に記載の携帯情報端末。
【請求項6】
該携帯情報端末は、携帯電話端末であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の携帯情報端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−32367(P2012−32367A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3715(P2011−3715)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(500017678)株式会社ソフトウェア・ファクトリー (8)
【Fターム(参考)】