説明

携帯無線端末装置、およびプログラム、ならびに携帯無線端末装置を用いた車両乗り換え支援システム

【課題】駅構内に設置された複数の無線基地局から送信される電波を監視し、乗り換え駅到着前に乗り換え案内情報をアナウンスして利用者の車両乗り換えを効率的に行なわせる。
【解決手段】利用者によって設定入力される目的駅情報に基づき、乗り換え駅を含む経路情報を取得する経路情報取得手段(経路情報取得部54)と、乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された無線基地局1から送信される信号から基地局識別情報とその信号強度情報とを判定し、利用者の乗車車両と乗り換え駅に設置された無線基地局との距離を演算して報知する制御手段(主制御部60)と、により無線携帯端末を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯無線端末装置、およびプログラム、ならびに携帯無線端末装置を用いた車両乗り換え支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動無線端末の一種であるPHS(Personal Handyphone System)は、一つの基地局がカバーする範囲が狭く、端末一台あたりの周波数帯域が携帯電話より広いため、データ通信の速度が32〜64kbpsと携帯電話と比較して極めて高速でISDN(Integrated Service Digital Network)と遜色ない好適な通信環境を提供できる。
また、基地局設備が簡易で安価な点を生かし、地下街や地下鉄駅でのインフラ整備がいち早く進み、都市部では携帯電話よりもつながりやすいという状況が生まれている。
【0003】
ところで、従来、特許文献1に、移動無線端末に対して予め目的地のエリアコードを登録しておき、複数の無線基地局から発せられる電波信号をその移動無線端末機で受信し、当該受信した電波信号が予め登録した目的地のエリアコードと合致すれば、利用者に目的地に到着したことを報知する移動無線端末機が開示されている。
【特許文献1】特開平5−37460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1に開示された技術によれば、目的の乗り換え駅に到着後、降車ホームで左右いずれの方向へ向かえば良いか、あるいは、どの経路で乗り換えるのが最も効率的かを知らなければ予定通りの乗り換えは不可能である。
【0005】
また、乗り換え駅の構内情報を予め調査していても、自身が電車の何両目に乗車しているか、あるいはどのホームに到着するか、についてまで知っていなければ効率的な乗り換えができないことが多い。特に、地下鉄網は複雑に接続されており、かつ、ホームと電鉄車両は移動に無視できないほど長く、不慣れな利用者は乗換えが難儀であった。
【0006】
さらに、到着時間は決まっているものの、時間に余裕があったときに、通常、乗車運賃の安い経路や乗り換えの少ない経路を予定するが、電車が遅延した場合等、約束時間に間に合うような最適な経路検索ができる車両乗り換え支援システムの構築が望まれていた。
【0007】
本発明の目的は、利用者の車両乗り換えを効率的に行なわせることができる、携帯無線端末装置、およびプログラム、ならびに携帯無線端末装置を用いた車両乗り換え支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点の携帯無線端末装置は、設定入力される目的駅情報に基づき、乗り換え駅を含む経路情報を取得する経路情報取得手段と、乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された無線基地局から送信される信号から基地局識別情報とその信号強度情報とを判定し、利用者の乗車車両と乗り換え駅に設置された無線基地局との距離を演算して報知する制御手段と、を備えている。
【0009】
好適には、前記制御手段は、前記基地局識別情報が前記乗り換え駅に設置された無線基地局に該当し、かつ、その信号強度情報の変化幅が所定の値を超えたときに、利用者の乗車車両と前記乗り換え駅に設置された無線基地局とが近い距離にあると判定して報知する。
【0010】
好適には、前記信号強度情報の変化幅が、一旦、所定の値を超えた後、所定の値に戻ったときに、前記乗車車両は前記乗り換え駅を通過したと判定して報知する。
【0011】
好適には、前記制御手段は、前記乗り換え駅構内に設置された無線基地局と、利用者が携帯する携帯無線端末装置との間の距離の対数関数に従い減衰する前記信号強度情報を監視し、利用者によって入力され取り込まれた車両乗車位置番号に基づき、降車したときの乗り換えに最適なホーム進行方向を判定して報知する。
【0012】
好適には、前記制御手段は、前記経路情報判定手段により取得される、前記乗り換え駅を含む目的駅の施設情報、もしくは前記乗り換え駅で降車したときの前記進行方向を含む乗り換えホームの案内情報を表示モニタへ表示する。
【0013】
本発明の第2の観点は、好適には、乗り換え支援装置と、ネットワーク、および無線基地局を介して接続される携帯無線端末装置に用いられる端末プログラムであって、設定入力される少なくとも目的駅情報に基づき、前記乗り換え支援装置から乗り換え駅を含む経路情報を取得する処理と、前記乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された前記無線基地局から送信される信号から基地局識別情報とその信号強度情報とを判定し、利用者の乗車車両と前記乗り換え駅構内に設置された無線基地局との距離を演算して報知する処理と、を前記携帯無線端末装置のコンピュータに実行させる端末プログラムである。
【0014】
本発明の第3の観点の車両乗り換え支援システムは、車両に乗車した利用者が携帯する携帯無線端末装置と、前記携帯無線端末装置から目的駅情報を含む経路検索要求を受信して経路検索を行い、乗り換え駅を含む経路情報を生成して要求のあった携帯無線端末装置に送信する乗り換え支援装置と、を有し、前記携帯無線端末装置は、前記乗り換え支援装置と無線基地局およびネットワークを介して接続され、前記乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された無線基地局から送信される信号から基地局識別情報とその信号強度情報とを判定し、利用者の乗車車両と前記乗り換え駅構内に設置された無線基地局との距離を演算して報知する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、駅構内に設置された複数の無線基地局から送信される電波を監視し、乗り換え駅到着前に乗り換え案内情報をアナウンスすることで、利用者の車両乗り換えを効率的に行なわせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の実施の形態にかかわる車両乗り換え支援システムのシステム構成図である。ここでは、PHSシステムが例示されている。
【0017】
図1に示されるように、駅構内(A駅、B駅、…Z駅)にはそれぞれ複数の無線基地局1が設置されており、当該無線基地局1は、PHS用接続装置および交換機との共通信号回線網であるPSTN(Public Switched Telephone Network)/ISDN(Integrated Service Digital Network)等のネットワーク2経由で、PHSサービス制御局3、経路情報サーバ4に接続されている。
無線携帯端末装置5は、利用者によって携帯されるPHSであり、車両に乗車した場合、その車両の移動に伴い、乗車車両、駅構内に設置された無線基地局1、ネットワーク2を経由して、PHS制御局サーバ3、経路情報サーバ4に接続されることになる。
【0018】
通常のPHSでは、PHS加入者が、図1中、円で示すサービスエリア内で電話の着信を継続するために予め所在する無線基地局1の位置情報を、通信事業者が管理運営するPHSサービス制御局サーバ3に記憶させる位置登録が行なわれる。
【0019】
具体的に、無線基地局1から、その無線基地局1の位置情報である基地局識別情報(CSID)が報知されており、無線携帯端末装置(以下、PHS端末という場合もある)5は、このCSIDを受信し、PHS端末5内に既に記憶されているCSIDと異なる場合は、受信したCSIDを記憶し、さらに、PHS端末5から自身が所在する基地局ゾーンに設置された無線基地局1に位置登録信号を送信する。
【0020】
PHS端末5から位置登録信号を受信した無線基地局1は、ネットワーク2を介してサービス制御局3に位置情報を送信し、PHSサービス制御局サーバ3で管理され記憶されるようになっている。
そして、車両の移動に伴いPHS端末5が移動し、所在の基地局ゾーンが変化すると新しい基地局の位置情報で登録が行なわれるようになっている。
【0021】
一方、経路情報サーバ4は、通信事業者、電鉄事業者、もしくは他のプロバイダが管理運営し、ここでは、車両に乗車した利用者が携帯するPHS端末5から、目的駅情報を含む経路検索要求を受信して経路検索を行い、乗り換え駅を含む経路情報を生成して要求のあったPHS端末5に送信する乗り換え支援装置として動作する。
【0022】
ここでいう経路情報の中には、乗り換え駅判定用のCSID、乗り換えホーム判定用のCSID、目的駅判定用のCSIDを含み、また、乗り換え駅を含む目的地に設置されたトイレ、コンビニ、キヨスク、自販機、精算機等、の寄り道あるいは精算を支援するための施設情報も含まれている。これらは、後述するように、PHS内蔵のメモリに記憶される。
【0023】
なお、経路情報サーバ4は、主要駅構内に設置され、ネットワーク2を経由して構内に設置された無線基地局1と接続され、各駅に関する最新詳細情報と、周辺電鉄の最新運行情報とが記憶されており、ユーザが所望する各種情報を要求に基づきリアルタイムに提供するもとする。
【0024】
PHS端末5は、経路情報サーバ4と、無線基地局1およびネットワーク2を介して接続され、乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された無線基地局1から送信される信号からCSIDとその信号強度情報(RSSI)とを判定し、利用者の乗車車両と乗り換え駅構内に設置された無線基地局1との距離を演算して報知する無線携帯端末装置として機能し、図2に、その内部構成が機能展開され示されている。
【0025】
図2に示されるように、PHS端末5は、操作入力部51と、入力情報取得部52と、経路情報取得要求送信部53と、経路情報取得部54と、信号受信部55と、基地局識別情報判定部56と、信号強度判定部57と、音声処理部58と、報知部59と、主制御部60と、記憶部61と、表示部62とで構成される。
【0026】
上記構成において、操作入力部51を利用者が操作することにより入力される入力情報は入力情報取得部52により取り込まれ、主制御部60に供給される。
【0027】
主制御部60は、取り込まれた入力情報が目的駅を含む経路情報取得要求であった場合に経路情報取得要求送信部53を起動する。経路情報取得要求を受信した経路情報サーバ4から送信される経路情報は、経路情報取得部54により取得され、主制御部60へ転送される。
このため、入力情報取得部52と、経路情報取得要求送信部53と、経路情報取得部54は、利用者によって設定入力される目的駅情報に基づき、乗り換え駅を含む経路情報を取得する経路情報取得手段として機能する。
【0028】
信号受信部55は、無線基地局1経由で送信される電波(信号)を受信し、復調して基地局識別情報判定部56と、信号強度判定部57と、音声処理部58に供給する。
【0029】
基地局識別情報判定部56は、復調された信号からCSIDを判別し、また、信号強度判定部57は信号強度(電界強度)を測定し、それぞれ、図示せぬA/D変換器を介してデジタルデータ(RSSI)に変換し、主制御部60へ転送する。また、音声信号であれば、音声処理部58へ供給して音声信号に変換し、接続されるスピーカ経由で再生する。
【0030】
一方、主制御部60は、乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された無線基地局1から送信される信号からCSIDとそのRSSIとを判定し、CSIDが乗り換え駅に設置された無線基地局1に該当し、かつ、その信号強度情報の変化幅が所定の値を超えたときに、利用者の乗車車両と乗り換え駅に設置された無線基地局1とが近い距離にあると判定し、一方、信号強度情報の変化幅が、一旦、所定の値を超えた後、再度所定の値に戻ったときに、乗車車両は乗り換え駅を通過したと判定し、報知部59を起動して報知する。
【0031】
主制御部60はまた、乗り換え駅構内に設置された無線基地局1と、利用者が携帯するPHS端末5との間の距離の対数関数に従い減衰する信号強度情報を監視し、利用者によって入力され取り込まれる車両乗車位置番号に基づき、降車ホーム、および降車したときの乗り換えに適したホーム進行方向を判定して報知する。
【0032】
したがって、主制御部60と、報知部59とは、乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された無線基地局から送信される信号から基地局識別情報とその信号強度情報とを判定し、利用者の乗車車両と前記乗り換え駅構内に設置された無線基地局との距離を演算して報知する制御手段として機能する。
【0033】
主制御部60は、さらに、経路情報取得部54により取得される、乗り換え駅を含む目的駅の施設情報、もしくは乗り換え駅で降車したときの進行方向を含む乗り換えホームの案内情報を表示部62(表示モニタ)へ表示する制御手段としても機能する。
【0034】
一方、記憶部61には、乗り換え駅判定用のCSID、目的駅判定用のCSID、乗車位置測定用のCSID、信号強度変動幅の判定閾値、そして、経路情報取得部54により取得される案内情報を含む経路情報等が記憶される。
【0035】
なお、信号強度は、利用者が携帯するPHS端末5との間の距離の対数関数に従い減衰するものとする。但し、反射、屈折、回折、散乱、吸収等による損失の無い誘電媒体の理想的空間(自由空間)における電力減衰量である。
【0036】
ここで、無線基地局1のアンテナ利得を5dB、PHS端末5のアンテナ利得を0dBとし、無線基地局1出力(送信電力)を20mW(=13dBm)としたときの自由空間減衰量は、20log(4πD/λ)の演算式で示される。
【0037】
上記した演算式において、λは0.158m、周波数は1.9GHzとし、Dは、無線基地局アンテナとPHS端末アンテナとの距離を示す。主制御部60は、この演算式に基づき、信号強度情報から距離を演算するものとする。
【0038】
RSSIと車両乗車位置との関係は図3(a)の表<1>に、また、信号強度と距離との関係は図3(b)の表<2>で表わすことができる。但し、このとき、駅構内に設置された無線基地局1(ANT#0〜アンテナ#3)と、ホーム内における車両位置(PHS端末5)との位置関係は図4に示すとおりである。
ここで、利用者が乗車する車両位置は利用者によってPHS端末5に登録されるものとし、登録された乗車車両は記憶部61に記憶される。上記した表<1>、表<2>に示すデータは、主制御部60が演算することにより生成され、いずれも記憶部61にテーブルデータとして記憶され、乗り換え判定時、主制御部60により参照される。詳細は後述する。
【0039】
図5は、本発明の車両乗り換え支援システムの動作を説明するために引用した動作シーケンス図である。ここでは、PHS端末5、駅構内に設置された無線基地局1、経路情報サーバ4間の動作シーケンスが示されている。
【0040】
以下、図5に示す動作シーケンス図を参照しながら本発明の車両乗り換え支援システムの概略動作について説明する。
【0041】
図5に示されるように、無線基地局1は、自身の位置情報である基地局識別情報(CSID)を報知しており(S301)、PHS端末5は、このCSIDを受信し、PHS端末5内に既に記憶されているCSIDと異なる場合は、受信したCSIDを記憶し、さらに、PHS端末5から自身が所在する基地局ゾーンに設置された無線基地局1に位置登録信号を送信している。
【0042】
利用者は、車両乗車に先立ち、まず、PHS端末5を操作して出発地と目的地とを設定して(S302)、無線基地局1経由経路情報サーバ4に対して経路情報取得要求を発行する(S303)。
経路情報取得要求を受信した経路情報サーバ4は、乗り換え駅や時刻情報を含む初期乗車駅詳細情報を生成し(S304)、要求のあったPHS端末5に対して基地局1を経由して応答する(S305)。
【0043】
経路情報サーバ4から送信される初期乗車駅詳細情報を受信したPHS端末5は、経路について、自分の意思を反映(オプション選択)させて初期設定、あるいは再設定を行う(S306)。
このとき、無線基地局1からはCSIDから成る位置情報が送信されており、PHS端末5は、このCSIDを受信してPHS端末5内に既に記憶されているCSIDと異なる場合は、受信したCSIDを記憶し、さらに、自身が所在する基地局ゾーンに設置された無線基地局1に位置登録信号を送信している(S307)。
また、このとき、利用者は、携帯するPHS端末5を操作して乗車車両位置についての設定(車両番号)、および更新を行う(S308)。
【0044】
以上を準備作業として実行後、PHS端末5を携帯した利用者が車両に乗車し、目的地に向けて出発したとする。
乗車車両とともに移動するPHS端末5は、基地局ゾーン移動を伴い、都度、通過する、あるいは停車する駅構内に設置された無線基地局1から送信され受信されるCSIDと(S309)、先に経路情報を取得し内蔵のメモリに記憶した乗り換え駅を含む目的駅のCSIDとを比較して、乗り換え駅を含む目的駅か否かを判定する(S310)。
さらに、受信した信号のRSSIも判定することにより、利用者の乗車車両も判定し、乗り換え駅を含む目的駅に近づいたタイミングで報知(アラーム)を生成することができる。また、乗り換え駅の乗り換えに適したホームの進行方向も知ることができる。
ここでは、乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された無線基地局1から送信される信号からCSIDとそのRSSIとを判定し、利用者の乗車車両と乗り換え駅構内に設置された無線基地局1との距離を演算して報知する。いずれも詳細は後述する。
【0045】
続いて、利用者は、再度PHS端末5を操作して経路情報取得要求を発行し(S311)、これを受信した経路情報サーバ4は、目的経路、および乗り換え経路の、出口(改札)、乗り換えホーム番号、階段/エスカレータ/エレベータ、トイレ、自販機設置場所等の詳細情報を生成し(S312)、基地局1経由でその詳細情報を送信し(S313)、PHS端末5は、その情報を表示モニタへ表示する(S314)。
【0046】
図6は、本発明の実施の形態にかかわる無線携帯端末装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。
以下、図6に示すフローチャートを参照しながら、図2に示すPHS端末5の動作について詳細に説明する。
【0047】
PHS端末5(主制御部60)は、車両が駅に到着すると、駅構内に設置された複数の基地局1(図4のANT#〜1#3)から送信される信号は、信号受信部55により受信され、信号強度判定部57で各信号強度が判定される(S501)。
図3、図4に示す例に従えば、車両の先頭位置Aでは、ANT#1(CS1)から18dBm、ANT#2(CS2)から−60dBm、ANT#3(CS3)から−66dBmの信号強度を持つ電波を受信していることになる。
【0048】
次に、主制御部60は、記憶部61を参照して乗車位置登録済みか否か、登録後変更は無いか否かを判定する(S502)。ここで、未登録の場合は、利用者に乗車位置更新操作を促し、その乗車位置情報を取得する(S503)。
【0049】
一方、基地局識別情報判定部56は、1以上手前の駅構内に設置された無線基地局1(ANT#1〜ANT#3)から送信される信号に基づき、CSID#1〜CSID#3の信号を受信していると判定し、主制御部60へ通知する。
主制御部60は、先に、経路情報取得部54が取得して記憶部61に記憶してある乗り換え駅のCSIDと、基地局識別情報判定部56で判定されたCSID#1〜CSID#3との比較照合を行ない、乗り換え駅に近づいてするか否かを判定する(S504)。
【0050】
主制御部60は、CSIDの比較照合の結果、一致がとれたとき、さらに、信号強度判定部57によって出力されるRSSIを参照し、その変化幅が、記憶部61にあらかじめ記憶されてある所定の値を超えたときに(信号強度が急激に弱まる)、利用者の乗車車両と乗り換え駅に設置された無線基地局1とが比較的近い距離にあると判定する。
一方、主制御部60は、信号強度情報の変化幅が、一旦、所定の値を超えた後、再度所定の値に戻ったときに、乗車車両は、乗り換え駅を通過したと判定し、いずれも報知部59を起動し、アラーム等により利用者に注意を喚起する。
【0051】
主制御部60は、このとき、降車ホーム、および降車したときの乗り換えに適したホーム進行方向についても判定して表示部62に表示する。
具体的に、主制御部60は、乗り換え駅構内各ホームに設置された無線基地局1と、利用者が携帯するPHS端末5との間の距離の対数関数に従い減衰するRSSIを監視し、利用者によって入力され取り込まれる乗車位置番号に基づき、降車したときの乗り換えに最適なホーム進行方向として判定し、報知する。
【0052】
具体的に、主制御部60は、PHS端末5から利用者が乗車した車両乗車位置(番号)A、B、Cを取得し、記憶部61を参照することにより、図3(a)に示すテーブル索引を行いCSIDとそのRSSIとの関係がわかる。
このとき、既に、CSIDは特定されているため、主制御部60は、該当CSIDのRSSIを取得し、このRSSIに基づき、さらに図3(b)に示すテーブル索引を行い、このことにより、距離が算出される。
ここで、ホーム長はあらかじめ周知であるため、主制御部60は、算出される距離(ホーム長/2)との比較(正負判定)により、左右いずれの方向へ進行した場合に乗り換えら有利かを判定することができる。
【0053】
主制御部60はまた、CSIDの比較照合により一致がとれたときに、乗り換え経路情報の取得を行なう。乗り換え経路情報は、既に経路情報取得部54により取得され、経路変更があった場合にも都度更新され、記憶部61に記憶されている。
主制御部60は、記憶部61からその情報を読み取り(S505)、乗り換え経路の、出口(改札)、乗り換えホーム番号、階段/エスカレータ/エレベータ、トイレ、自販機設置場所等の詳細情報を表示部62へ出力して表示する(S506)。
【0054】
続いて、主制御部60は、先に、経路情報取得部54が取得して記憶部61に記憶してある目的駅のCSIDと、基地局識別情報判定部56で判定されたCSID#1〜CSID#3との比較照合を行ない、最終目的駅か否かを判定する(S507)。
主制御部60は、比較照合の結果、一致がとれたとき、さらに、その信号強度情報を参照し、その信号強度情報の変化幅が、記憶部61にあらかじめ記憶された所定の値を超えたときに、利用者の乗車車両と乗り換え駅に設置された無線基地局1とが近い距離にあると判定し、一方、信号強度情報の変化幅が、一旦、所定の値を超えた後、再度所定の値に戻ったときに、乗車車両は乗り換え駅を通過したと判定し、いずれも報知部59を起動し、アラーム等により利用者に通知する。
【0055】
主制御部60はまた、CSIDの比較照合により一致がとれたときに、目的駅経路情報の取得を行なう。目的駅経路情報は、既に経路情報取得部54により取得され、経路変更があった場合にも都度更新され、記憶部61に記憶されている。
主制御部60は、記憶部61からその情報を読み取り、目的駅の、出口(改札)、乗り換えホーム番号、階段/エスカレータ/エレベータ、トイレ、自販機設置場所等の詳細情報を表示部62へ出力して表示する(S508)。
【0056】
以上説明のように本発明の実施の形態によれば、PHS端末5は、駅構内に設置されている無線基地局1から発せられるCSIDおよびRSSIから、自身が乗車している車両位置、乗り換え駅、乗り換えホーム、およびホーム進行方向等を容易に認識することができる。このことにより、PHS端末5を携帯するユーザは、スムーズな乗り換えが可能になる。また、乗り換え駅を間違った場合(誤って行き過ぎた場合、誤って別方面行の車両に乗ってしまった場合)でも再検索等、回復が可能であり、目的地へスムーズに到達することができる。
また、乗り換え駅、目的駅周辺の施設情報についてもPHS端末5に表示することができ、ユーザはこの情報を閲覧することにより、時間が空いた場合等、その情報を活用して寄り道することも可能である。
【0057】
なお、図2に示す主制御部60は、例えばCPUおよびメモリにより構成され、CPUがメモリに記録されたプログラムを読み出し逐次実行し、上記したメモリを含む周辺LSI(不図示)を制御することにより、乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された無線基地局1から送信される信号からCSIDとそのRSSIとを判定し、利用者の乗車車両と乗り換え駅構内に設置された無線基地局1との距離を演算して報知するものである。
このとき、メモリに記憶部61が割り付けられ、また、周辺LSIとして、入力情報取得部52、経路情報取得要求送信部53、経路情報取得部54、信号受信部55、信号強度判定部57、音声処理部58、報知部59、表示部62に相当するハードウェアが用意される。
【0058】
また、本実施形態における各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0059】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態にかかわる車両乗り換え支援システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかわる携帯端末装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】信号強度と、車両乗車位置あるいは距離との関係を、表形式で示した図である。
【図4】駅構内に設置された無線基地局と、ホーム内における車両乗車位置との位置関係は説明するために引用した図である。
【図5】本本発明の実施の形態にかかわる車両乗り換え支援システムの動作を示したシーケンス図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかわる携帯端末装置の動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1…無線基地局、2…ネットワーク、3…PHS制御局サーバ、4…経路情報サーバ、5…無線携帯端末(PHS端末)、51…操作入力部、52…入力情報取得部、53…経路情報取得要求送信部、54…経路情報取得部、55…信号受信部、56…基地局識別情報判定部、57…信号強度判定部、58…音声処理部、59…報知部、60…主制御部、61…記憶部、62…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定入力される目的駅情報に基づき、乗り換え駅を含む経路情報を取得する経路情報取得手段と、
前記乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された無線基地局から送信される信号から基地局識別情報とその信号強度情報とを判定し、利用者の乗車車両と前記乗り換え駅構内に設置された無線基地局との距離を演算して報知する制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯無線端末装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記基地局識別情報が前記乗り換え駅に設置された無線基地局に該当し、かつ、その信号強度情報の変化幅が所定の値を超えたときに、利用者の乗車車両と前記乗り換え駅に設置された無線基地局とが近い距離にあると判定して報知する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯無線端末装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記信号強度情報の変化幅が、一旦、所定の値を超えた後、所定の値に戻ったときに、前記乗車車両は前記乗り換え駅を通過したと判定して報知する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯無線端末装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記乗り換え駅構内に設置された無線基地局と、利用者が携帯する携帯無線端末装置との間の距離の対数関数に従い減衰する前記信号強度情報を監視し、利用者によって入力され取り込まれた車両乗車位置番号に基づき、降車したときの乗り換えに最適なホーム進行方向を判定して報知する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯無線端末装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記経路情報判定手段により取得される、前記乗り換え駅を含む目的駅の施設情報、もしくは前記乗り換え駅で降車したときの前記進行方向を含む乗り換えホームの案内情報を表示モニタへ表示する
ことを特徴とする請求項1または4記載の携帯無線端末装置。
【請求項6】
乗り換え支援装置と、ネットワーク、および無線基地局を介して接続される携帯無線端末装置に用いられる端末プログラムであって、
設定入力される少なくとも目的駅情報に基づき、前記乗り換え支援装置から乗り換え駅を含む経路情報を取得する処理と、
前記乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された前記無線基地局から送信される信号から基地局識別情報とその信号強度情報とを判定し、利用者の乗車車両と前記乗り換え駅構内に設置された無線基地局との距離を演算して報知する処理と、
を前記携帯無線端末装置のコンピュータに実行させる端末プログラム。
【請求項7】
車両に乗車した利用者が携帯する携帯無線端末装置と、
前記携帯無線端末装置から目的駅情報を含む経路検索要求を受信して経路検索を行い、乗り換え駅を含む経路情報を生成して要求のあった携帯無線端末装置に送信する乗り換え支援装置と、を有し、
前記携帯無線端末装置は、
前記乗り換え支援装置と無線基地局およびネットワークを介して接続され、前記乗り換え駅の1以上手前の駅構内に設置された無線基地局から送信される信号から基地局識別情報とその信号強度情報とを判定し、利用者の乗車車両と前記乗り換え駅構内に設置された無線基地局との距離を演算して報知する
ことを特徴とする車両乗り換え支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−11183(P2008−11183A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179617(P2006−179617)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】