説明

携帯端末および通信システム

【課題】 無駄な演算処理をすることなく、ユーザの現在位置から予定移動先への移動時間を演算することのできる携帯端末および通信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 スケジューラ部10は、携帯端末100のユーザの予定移動先を示す予定位置情報とアラームを知らせる時刻を示すアラーム時刻情報とを対応付けたスケジュール情報を記憶する。携帯端末100は、ユーザが位置する領域が変わったことを判断すると、現在位置から予定移動先まで移動するのに必要とする所要時間を取得する。そして、携帯端末100は、取得した所要時間を考慮してスケジューラ部10を更新し、更新したスケジュールに従って該当するアラーム時刻に達するとアラームを鳴動する。これによりユーザの位置に変更が生じた場合にのみスケジュールの更新を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのスケジュールを記憶する携帯端末および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スケジュール管理装置として、特許文献1に記載されているように、ユーザの現在位置、ユーザの予定移動先、および現在位置から予定移動先までユーザが移動するのに要する移動時間を考慮した管理を行っている装置が知られている。上述スケジュール管理装置は、現在位置から目標位置情報までの移動時間を所定間隔で演算し、演算した移動時間およびスケジュールの時刻に基づいて算出された時刻になると、ユーザに対してスケジュールで定められた時刻に達したことを通知することが記載されている。
【特許文献1】特開2000−20475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のスケジュール管理装置は、所定間隔で現在位置から目標位置までの移動時間を演算している。従って、特許文献1に記載のスケジュール管理装置は、ユーザの位置に変化が生じていない場合でも移動時間を演算することがあり、その場合は、無駄な演算処理を行うことになる。
【0004】
そこで、本発明は、無駄な演算処理をすることなく、ユーザの現在位置から予定移動先への移動時間を演算することのできる携帯端末および通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の携帯端末は、上述の課題を解決するため、ユーザのスケジュール情報を記憶する携帯端末において、前記携帯端末のユーザの予定移動先を示す予定位置情報とアラームを知らせる時刻を示す第1アラーム時刻情報とを対応付けたスケジュール情報を記憶する記憶手段と、前記携帯端末が位置する領域が変わったことを判断する位置変化判断手段と、前記携帯端末が位置する領域が変わったと前記位置変化判断手段が判断すると、前記携帯端末の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報により示される現在位置から前記予定位置情報により示される予定移動先まで移動するのに必要とする所要時間を取得する所要時間取得手段と、前記記憶手段に記憶される第1アラーム時刻情報により示される時刻から前記所要時間取得手段が取得した所要時間を減算して、新たなアラーム時刻を示す第2アラーム時刻情報を取得するアラーム時刻情報取得手段と、前記アラーム時刻情報取得手段により取得された第2アラーム時刻情報により示されるアラーム時刻に達するとアラームを知らせるアラーム手段と、を備えている。
【0006】
また、本発明の通信システムは、ユーザのスケジュールを記憶する携帯端末と、上記携帯端末と通信することができるサーバとを備える通信システムにおいて、上記携帯端末は、前記携帯端末のユーザの予定移動先を示す予定位置情報とアラームを知らせる時刻を示す第1アラーム時刻情報とを対応付けたスケジュール情報を記憶する記憶手段と、前記携帯端末が位置する領域が変わったことを判断する位置変化判断手段と、前記携帯端末が位置する領域が変わったと前記位置変化判断手段が判断すると、前記携帯端末の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報により示される現在位置から前記予定位置情報により示される予定移動先まで移動するのに必要とする所要時間を取得する所要時間取得手段と、前記記憶手段に記憶される第1アラーム時刻情報により示される時刻から前記所要時間取得手段が取得した所要時間を減算して、新たなアラーム時刻を示す第2アラーム時刻情報を取得するアラーム時刻情報取得手段と、前記アラーム時刻情報取得手段により取得された第2アラーム時刻情報により示されるアラーム時刻に達するとアラームを知らせるアラーム手段と、を備え、上記サーバは、上記携帯端末における上記所要時間要求手段による所要時間の要求があると、上記携帯端末を保持するユーザの現在位置から移動先までの所要時間を算出し、算出した所要時間を上記携帯端末に返信する返信手段、を備えている。
【0007】
この発明によれば、予定移動先と当該予定移動先に到達する時間とを対応付けて記憶するスケジュールを記憶しておき、ユーザの位置する領域が変わったときに、ユーザの現在位置から予定移動先までの移動に要する所要時間を取得し、この所要時間を考慮したアラームを知らせる時刻を算出し、当該時刻にアラームを知らせることにより、ユーザの位置する領域が変わったときに移動に要する所要時間を算出することができ、無駄な演算処理を行うことなく、移動に要する所要時間を考慮したアラームを知らせることができる。
【0008】
また、本発明の携帯端末の位置変化判断手段は、上記携帯端末により無線通信される基地局が変更されたことを判断することも好ましい。
【0009】
この発明によれば、携帯端末が無線通信する基地局が変わったことを判断することにより、携帯端末が移動したことを簡易な構成で判断することができる。
【0010】
また、本発明の携帯端末の上記記憶手段は、さらに、ユーザから入力された余裕時間を上記スケジュール情報に対応付けて記憶し、上記アラーム時刻情報取得手段は、上記第2アラーム時刻情報により示されるアラーム時刻からさらに余裕時間を減算することにより、新たなアラーム時刻である第3アラーム時刻情報を取得し、上記アラーム手段は、上記アラーム時刻情報取得手段により取得された上記第2アラーム時刻情報に代えて上記第3アラーム時刻情報により示されるアラーム時刻に達すると、アラームを知らせることも好ましい。
【0011】
この発明によれば、アラーム時刻情報取得手段は、第2アラーム時刻情報により示されるアラーム時刻からさらに余裕時間を減算することにより、新たなアラーム時刻である第3アラーム時刻情報を取得し、この第3アラーム時刻情報で示す時刻に達するとアラームを知らせることにより、余裕時間を考慮したアラーム時刻にアラームを知らせることができ、ユーザは予定移動先に遅れることなく予定した時刻に到達することができる。さらに、ユーザにとって余裕を持った行動を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ユーザの位置に変化が生じたときに移動時間を算出することができ、無駄な演算処理を行うことなく、移動時間を考慮した時刻にアラームを知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、一実施の形態のために示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解することができる。引き続いて、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態における携帯端末および通信システムのシステム構成図である。本実施形態における通信システムは、携帯端末100、基地局200、中央サーバ300、経路情報提供サーバ400、経路情報提供サーバ500を有する。携帯端末100は、基地局200と無線により通信するものであって、具体的には携帯電話である。
【0015】
基地局200は、携帯端末100と携帯電話網とを接続する部分であり、基地局200を中心に所定の範囲に存在する携帯端末100と無線通信することができる.
【0016】
中央サーバ300(返信手段)は、携帯端末100を管理するサーバであって、携帯端末100から経路情報(予定移動先までの所要時間)探索の依頼を受けると、依頼の内容に応じて経路情報提供サーバ400または経路情報提供サーバ500のいずれかに振り分けて、依頼の内容に応じた経路情報を取得し、取得した経路情報を携帯端末100に返信するための返信手段を備える。具体的には、自家用車で移動するか、電車などの公共機関を用いて移動するか、依頼者の交通機関に応じて経路情報提供サーバ400、または経路情報提供サーバ500のいずれかに経路情報の探索の依頼を行う。
【0017】
経路情報提供サーバ400は、中央サーバ300からの依頼に応じて携帯端末100の現在位置から予定移動先である目的地までの、自家用車による所要時間を演算し、中央サーバ300に通知する。
【0018】
経路情報提供サーバ500は、中央サーバ300からの依頼に応じて携帯端末100の現在位置から予定移動先である目的地までの、電車などの公共機関による所要時間を演算し、中央サーバ300に通知する。
【0019】
次に、携帯端末100について説明する。図2は、携帯端末100のブロック構成図である。携帯端末100は、スケジューラ部10(記憶手段)、時刻情報提供部11、入力部12、状態管理部13(監視モード指示部101、現在地確認要求部102、変化判断部103、所要時間要求部104(所要時間取得手段)、およびリミットチェック部105(アラーム時刻情報取得手段)を備える)、基地局監視部13(位置変化判断手段)、現在地測位置部14(位置情報取得手段)、アラーム鳴動部15(アラーム手段)を備えている。以下、各部について説明する。
【0020】
スケジューラ部10は、携帯端末100を保持するユーザのスケジュールを記憶する部分であり、具体的には、少なくとも、予定移動先を示す予定位置情報と当該予定移動先に到達すべき時刻(アラームを鳴動すべき時刻)を対応付けて記憶している部分である。図3は、スケジューラ部10が記憶するスケジュール情報を説明する概念図である。
【0021】
図3に示すとおり、スケジュール情報は、アラーム日時、予定移動先、アラームレベル、内容、交通手段、監視開始日時、余裕時間、継続フラグを対応付けて記憶している。アラーム日時とは、イベントの開始時刻、到着時刻などに基づいてアラームを鳴動させる時刻である。なお、このアラーム日時は後述する処理により、ユーザの移動に伴って書き換えられる。予定移動先は、目的とする所在地であり、建物などの名称、または住所、或いは緯度経度で示される。アラームレベルは、鳴動音のパターン種別を示し、高、中、小が記述される。アラームレベルが高いほど、緊急であることを示すよう激しい音、音量が大きい音などを鳴動するよう鳴動音が設定される。
【0022】
内容は、ユーザのスケジュールの具体的内容を示し、ユーザが内容に記述されている文章を見ることによりスケジュールを把握することができるようにするためのものである。交通手段は、予定移動先までの交通手段を示し、具体的には電車などの交通機関を用いて移動するか、自家用車を用いて移動するかを記述するものである。
【0023】
監視開始日時は、状態管理部によるユーザにおける存在領域の変更の監視を始めるタイミングを示し、起動日時が記述される。また、監視を行わないことを示す「無し」、即時に起動することを示す「即時起動」、当日朝(例えばAM6:00)に起動する「当日朝」などを記述することもできる。余裕時間は、余裕をもって行動することができるようアラームを鳴動させる時間を早めに、かつ自動的に設定することができるようにするための時間である。ここでは「分」単位で記述することができ、例えば10分と記述しておくと、アラーム日時として記述した日時により10分早めにアラームが鳴動することになる。
【0024】
継続フラグは、位置連動スケジュール機能を、ユーザが移動するたびに継続するか否かを状態管理部13に判定させるためのフラグである。
【0025】
図3に戻り、入力部12は、携帯端末100に備えられている英数字などを入力することのできる操作パネルである。ユーザは入力部12を操作することによりスケジューラ部10にスケジュールを入力することができる。入力部12からスケジュールを入力する際に、携帯端末100のディスプレイ部(図示せず)に表示される画面例を示す。図4は、携帯端末100に表示される入力画面例を示す説明図である。
【0026】
図4に示すように、アラーム日時である日時、予定移動先を示す場所、アラームレベル、内容、交通手段、監視開始日時、余裕時間が入力される。ここで入力された情報が、上述スケジューラ部10に記憶されることになる。
【0027】
図2に戻り、状態管理部13は、監視モード指示部101、現在地確認要求部102、変化判断部103、所要時間要求部104、およびリミットチェック部105を備え、主に携帯端末100の現在地を測定し、現在地から予定移動先までの所要時間を取得し、取得した所要時間に基づいてスケジューラ部10に記憶されているアラーム時刻を書き換える部分である。以下、各部について説明する。
【0028】
監視モード指示部101は、スケジューラ部10に記憶されるスケジュール情報に基づいて後述する基地局監視部14を起動させるための指示を基地局監視部14に出力する部分である。
【0029】
現在地確認要求部102は、スケジューラ部10に記憶されるスケジュール情報が入力され、監視開始の通知を受けたとき、または後述する基地局監視部14により携帯端末100の存在位置に変化が生じたと判断したとき、後述する現在地測位置部15に現在地の測定を行うよう指示を出力する部分である。
【0030】
変化判断部103は、現在地確認要求部102が要求した現在地が、前回要求したときの位置と変化しているか否かを判断する部分である。変化判断部103は、変化していると判断した場合は、後述する所要時間要求部104に対して所要時間を取得するよう指示を出力する。変化判断部103は、変化していないと判断した場合は、再度、現在地確認要求部102から指示が来るまで待機状態となる。
【0031】
所要時間要求部104は、変化判断部103から所要時間取得の要求指示を受けると、携帯電話網に接続されている中央サーバ300に対して、現在位置から予定移動先までに移動するに要する所要時間を要求する。要求に際して要求コマンドの一例を図に示す。図5は、所要時間要求部104が中央サーバ300に対して出力した検索要求コマンドおよび入力した検索結果の具体例を示す概念図であり、図5(a)は、検索要求コマンドの概念図、図5(b)は、検索結果を示す概念図である。
【0032】
図5(a)に示すように、出力した検索要求コマンドは、検索オーダID、現在地、現在地略称、目的地、目的地略称、到着希望日時、交通機関を含む。検索オーダIDは、検索要求と検索結果とをリンクさせるためのIDであり、実行した年月日日時分から生成されるIDであり、ユニークとなるよう生成される。現在地は、現在地を測定した結果を示し、緯度経度をもって記述される。現在地略称は、現在地の略称であり、建物のビル名、駅名などをあらかじめ保持しているマップ情報から取得され記述されるものである。
【0033】
目的地は、緯度経度を持って示されるユーザが予定する移動先を示す。後述する目的地略称を用いてあらかじめ保持しているマップ情報から緯度経度が算出される。
【0034】
目的地略称は、上述入力部12からスケジューラ部10に入力された場所を示す。
【0035】
到着希望日時は、スケジューラ部10に記憶されているアラーム時刻を示す。
【0036】
交通機関は、スケジューラ部10に記憶されている使用する交通機関を示し、自家用車で予定移動先まで行くか、公共機関を用いて予定移動先まで行くかを示す。
【0037】
次に検索結果について説明する。図5(b)に示すように、検索結果は、検索オーダIDと所要時間(検索結果)とを含む。検索オーダIDは、上述検索要求コマンドとリンクできるよう検索要求コマンドから抜き出された検索オーダIDが使用される。所要時間は、中央サーバ300で取得された携帯端末100の現在位置から予定移動先までの移動に要する所要時間を示す。
【0038】
以上のコマンドを用いることにより、所用時間要求部104は、現在位置から予定する移動先までの移動に要する所要時間を取得することができる。
【0039】
図2に戻り、リミットチェック部105は、取得した所要時間に基づいて緊急度合いに応じたアラームレベルおよび新たなアラーム時刻をスケジューラ部10に登録する部分である。より具体的には、リミットチェック部105は、所用時間要求部104が取得した予定移動先までの移動に要する所要時間、およびスケジューラ部10に記憶されているアラーム時刻(必要に応じて、さらに余裕時間)に基づいて、新たなアラーム時刻を算出する。そして、リミットチェック部105は、算出したアラーム時刻と現在時刻とを比較し、スケジュールどおりに予定移動先にユーザが到着することができるよう、緊急度合いに応じたアラームレベルおよびアラーム時刻を設定する。
【0040】
基地局管理部14は、携帯端末100が無線通信する基地局を監視する部分であり、基地局から発信される電波に含まれるエリア番号を検出する部分である。基地局管理部14は、無線通信している基地局のエリア番号を記憶するエリア番号記憶部を備え、このエリア番号記憶部に記憶されているエリア番号に変更が生じると、携帯端末100は、無線通信している基地局が変わったと判断し、現在地確認要求部102に対して現在位置を確認するよう指示を出力する。
【0041】
現在地測位置部15は、GPS(全地球測位システム)(Global Positioning System)により、緯度経度からなる現在地を測定する部分である。現在地確認要求部102からの指示により現在地測位置部15はGPS衛星から電波を受信することにより、現在地を測定することができる。
【0042】
次に、上述のとおり構成された携帯端末100の動作について、中央サーバ300および経路情報提供サーバ400の動作を交えて説明する。図6は、携帯端末100の概略動作を示す動作フロー図である。
【0043】
携帯端末100のスケジューラ部10は記憶しているスケジュール情報を設定し(S101)、その後基地局監視部14は、携帯端末100において無線通信する基地局に変更が生じているか、否かを判断する(S102)。基地局監視部14が通信している基地局に変更が生じたと判断すると、現在地確認要求部102が現在地の位置情報を取得する(S103)。
【0044】
変化判断部103は、今取得した位置情報と前回取得した位置情報とが不一致であると判断する場合、すなわち存在位置に変化が生じていたと判断する場合、変化判断部103は所要時間要求部104に指示を出力する。所要時間要求部104は、予定移動先まで移動に要する所要時間の要求を中央サーバ300に行う(S104)。
【0045】
中央サーバ300は、携帯端末100の所要時間要求部104から送信された検索要求コマンド(図5(a)参照)を受信すると、検索要求コマンドで指示した交通機関に応じた経路情報提供サーバ400(または経路情報提供サーバ500)に受信した検索要求コマンドを転送する(S201)。
【0046】
経路情報提供サーバ400では、現在位置と予定移動先と到達希望日時とに基づいて、予定移動先まで移動するに要する所要時間を算出する(S301)。なお、ここでの算出方法は、公知の経路探索技術を用いていることから詳細の説明は省略する。そして、経路情報提供サーバ400は算出した所要時間を中央サーバ300に返信する。
【0047】
中央サーバ300では、受信した所要時間をさらに携帯端末100に対して返信する。なお、中央サーバ300では、どの携帯端末からの所要時間の要求であるかを管理しているものとする。
【0048】
携帯端末100では、受信した所要時間に基づいて、タイムリミットを判定する(S105)。具体的には、リミットチェック部105は、スケジューラ部10に記憶されているアラーム時刻から所要時間(および余裕時間)を減算し、新たなアラーム時刻を得る。そして、リミットチェック部105は、新たなアラーム時刻をスケジューラ部10に登録する。
【0049】
スケジューラ部10では、スケジュール情報が更新されたことを判断し、書き換えられた新たなアラーム情報と現在時刻とを比較し、どれぐらい時間的な余裕があるかを判断する。スケジューラ部10は、その余裕度(または緊急度)に応じたアラームを鳴動するようアラーム鳴動部16に指示を出力する。
【0050】
以上のとおり、携帯端末100は基地局の変更を検出すると、実際の現在地の変化を判定し、スケジューラ部10に記述されている予定移動先まで移動するのに要する所要時間を取得し、スケジューラ部10を更新するよう処理することができる。これにより、スケジューラ部10の無駄な更新処理をする必要がなくなる。
【0051】
以下、携帯端末100のスケジューラ部10、状態管理部13の詳細な動作について動作フロー図に基づいて説明する。まず、スケジューラ部10の動作について説明する。図7は、スケジューラ部10におけるスケジュールが登録されたときの動作を示す動作フロー図である。
【0052】
携帯端末100のユーザが操作部12を操作して入力されたスケジュール情報を受け付け(S401)、スケジューラ部10は、受け付けたスケジュール情報を記憶する(S402)。スケジューラ部10は、ユーザからの入力を受け付け、記憶したスケジュール情報をチェックし(S403)、監視開始するスケジュールであるか判断する(S404)。
【0053】
スケジューラ部10は、監視開始するスケジュールではないと判断すると、監視開始時刻となるスケジュールのチェックを所定周期をもって行い、待機状態となる(S405)。また、スケジューラ部10は、監視開始するスケジュールであると判断すると、監視開始するスケジュールとしてアラーム時刻の書き換えを可能とするよう設定し、監視モード指示部101に監視モードに入るよう指示を出力する(S406)。そして、スケジューラ部10は状態管理部13を起動する(S407)。
【0054】
次に、起動した状態管理部13の動作について説明する。図8は、状態管理部13の動作を示す動作フロー図である。
【0055】
状態管理部13の監視モード指示部101が、スケジューラ部10から図7のS406の処理に基づいた監視指示を受信すると(S501)、監視モード指示部101は、基地局監視部14に対して基地局からの電波に含まれるエリア番号を検出するよう指示を出力する(S502)。指示を受けた基地局監視部14は基地局の監視モードに移行し、基地局から発信されるエリア番号を検出し、エリア番号記憶部に記憶するよう動作する。
【0056】
また、現在地確認要求部102は、基地局監視部14から、無線通信する基地局が変わったことを示す通知信号を受信すると(S503)、現在地確認要求部102は、スケジューラ部10に継続フラグがオンされているか、否か判断する(複数のスケジュールがある場合は一つでも継続フラグがオンされているか、否か判断する)(S504)。そして、継続フラグがオンされていると、現在地確認要求部102が判断すると、GPSによる現在位置の確認を行う(S506)。また、スケジューラ部10に継続フラグがないと、現在地確認要求部102が判断する場合は、基地局監視モードを終了するよう、スケジューラ部10は、監視モード指示部101に監視モードを中止するよう指示を出力する(S505)。なお、監視モードを継続するか、しないかを、ユーザが選択することができるように、図示しないディスプレイ部にその旨を表示させユーザによる選択を可能としてもよい。また、ユーザによる選択時にスケジューラ部10から該当するスケジュール情報を削除するようにしてもよい。
【0057】
現在地確認要求部102および現在地測位置部15により測定した現在位置が、前回測定した位置と異なっているか、否かを変化判断部103が判断する(S507)。変化判断部103は位置が異なっていると判断する場合は、所要時間要求部104は、中央サーバ200に対して、今測定した現在位置から予定移動先まで移動に要する所要時間を要求する(S508)。その後、所用時間要求部104は、中央サーバ200から所要時間を取得する(S509)。変化判断部103は位置が異なっていないと判断する場合は、状態管理部13は再度基地局の変化を検出するまで待機する。
【0058】
次に、状態管理部13が取得した所要時間に基づいてスケジューラ部10に記述されるアラーム時刻を書き換え、再設定するときの動作について説明する。図9は、スケジューラ部10のアラーム時刻を書き換えるときの動作を示す動作フロー図である。
【0059】
所用時間要求部104が取得した所要時間は、リミットチェック部105に出力される。リミットチェック部105は、現在時刻と取得した所要時間とスケジューラ部10に設定されている余裕時間とを加算した値(時刻)から、スケジューラ部10に設定されているアラーム時刻を減算する(S601)。そして、リミットチェック部105は、減算して得た残時間が0以下であるか、あらかじめ定めた値以上であるか、またはあらかじめ定めた値以下であるか、を判断する(S602)。
【0060】
リミットチェック部105は、S601において演算した値が0以下であると判断すると、アラーム時刻を現在時刻に設定し、アラームレベルを「高」に設定する(S603)。その他、内容欄に「もう間に合いません」を追加し、継続フラグに終了を意味する「0」を記述する。また、リミットチェック部105は、S601において演算した値があらかじめ定めた値以下であると判断すると、アラーム時刻を現在時刻に設定し、アラームレベルを「中」に設定する(S604)。その他、内容欄に「まもなく出発時刻です」を追加する。また、リミットチェック部105は、S601において演算した値があらかじめ定めた値以上であると判断すると、アラーム時刻を、(アラーム時刻−所要時間−余裕時間)に設定し、アラームレベルを「小」に設定する(S605)。その他、内容欄に「現在地を確認しました」を追加する。
【0061】
リミットチェック部105は、これら設定されたアラーム時刻、アラームレベルをスケジューラ部10に登録する(S606)。
【0062】
次に、スケジューラ部10の記憶内容が更新された後のスケジューラ部10の動作について説明する。図10は、スケジューラ部10の記憶内容が更新されたときの動作を示す動作フロー図である。
【0063】
図9におけるS606の処理によりスケジューラ部10の記憶内容が更新されたと、スケジューラ部10が判断すると(S701)、スケジューラ部10は更新されたスケジュールのアラームレベルを判定する(S702)。そして、スケジューラ部10は、判定したアラームレベルに応じたアラームを鳴動するようアラーム鳴動部16に指示を出力し、アラーム鳴動部16は対応するアラームを鳴動する(S703)。
【0064】
具体的には、アラームレベルが「高」に設定されていると、アラーム鳴動部16はユーザに緊急事態であることを示すアラーム音を鳴動する(例えば、音量を大きく、また奇抜な音で鳴動する)。また、アラームレベルが「中」に設定されていると、アラーム鳴動部16は、行動を起こすべき時刻である旨を示すアラームを鳴動する。また、アラームレベルが「小」に設定されていると、アラーム鳴動部16は、スケジュールが更新されたことを示すアラーム音を鳴動する。
【0065】
スケジューラ部10は、アラーム鳴動後、新たなスケジュールの内容をディスプレイ部(図示せず)に表示させる(S704)。その後、図8の処理に戻る。
【0066】
次に、スケジューラ部10の通常動作について説明する。図11は、スケジューラ部10が登録されているアラーム時刻にアラームを鳴動させるときの動作を示めす動作フロー図である。
【0067】
スケジューラ部10は、状態管理部13の動作と並行して動作しており、状態管理部13が上述図8から図9に示す処理を実行しながら、スケジューラ部10は、一定周期ごとに登録されているスケジュールのアラームを鳴動させるアラーム時刻をチェックしている(S801)。スケジューラ部10は、アラーム時刻に達していると判断すると、アラーム鳴動部16に指示を出力し、アラーム鳴動部16はアラームを鳴動する(S803)。アラームを鳴動するとともに、スケジューラ部10は対応するスケジュールの内容を表示する(S804)。
【0068】
次に、携帯端末100、中央サーバ300、経路情報提供サーバ400における動作シーケンスについて説明する。図12は、スケジュールを入力した後の動作を示す動作シーケンス図である。
【0069】
スケジューラ部10は、スケジュールの受付を行うと、スケジュールをセットし(S406)、状態管理部13を起動する(S407)。また、状態管理部13の監視モード指示部101は基地局監視部14に対して基地局監視を行うよう指示を出力する(S502)。そして、現在確認要求部102は、現在地測位置部15に対して現在地を確認するよう指示を出力し、現在地測位置部15はGPSにより現在地を取得し、現在地確認要求部102に取得した現在地を示す情報を出力する(S506)。
【0070】
その後、変化判断部103により位置に変化が生じたと判断し、所要時間要求部104は、中央サーバ200に対して現在地から目的地である予定移動先までの移動に要する所要時間を要求する(S508)。中央サーバ200は、携帯端末100から受信した移動方法である交通機関を示す情報に基づいて、経路情報提供サーバ400または経路情報提供サーバ500のいずれかに移動に要する所要時間の要求を転送する。
【0071】
ここでは、自家用車で移動することが携帯端末100に登録されており、その交通機関を示す情報を受信したため、中央サーバ300は、経路情報提供サーバ400(自家用車用の経路を検索するサーバ)に当該要求を送信する(S901)。中央サーバ300は、経路情報提供サーバ400から所要時間を取得し、取得した所要時間を携帯端末100に転送する(S509)。そして、状態管理部13は、所要時間に基づいてスケジューラ部10の更新を行う(S510)。
【0072】
以上の動作により、携帯端末100のユーザは交通機関に対応した現在地から目的地である予定移動先までの移動に要する所要時間を取得し、取得した所要時間に基づいてスケジューラ部10のスケジュールを更新ことができ、移動に要する所要時間を考慮したスケジュールを得ることができる。
【0073】
次に、基地局変わった場合の動作について説明する。図13は、基地局が変わった場合の動作を示す動作シーケンス図である。
【0074】
基地局監視部14は、交信していた基地局のエリア番号に変化が生じたと判断した場合、その旨を状態管理部13に通知する。状態管理部13は現在地測位置部15に現在地を示す情報を取得するよう指示を出力し、現在地測位置部15は現在地を示す情報を取得する。そして、現在地測位置部15は状態管理部13に取得した現在地を示す情報を出力する(S506)。
【0075】
状態管理部13は、取得した現在地が前回取得した現在地と相違していると判断し、中央サーバ300に対して、現在地から目的地である所要移動先までの移動に要する所要時間を取得するよう要求する(S508)。携帯端末100から受信した交通機関を示す情報に基づいて、経路情報提供サーバ400または経路情報提供サーバ500のいずれかに移動に要する所要時間の要求を転送する。
【0076】
ここでは、自家用車で移動することと携帯端末100に登録されており、その交通機関を示す情報を受信したため、中央サーバ300は、経路情報提供サーバ400に当該要求を送信する(S901)。中央サーバ300は、経路情報提供サーバ400から所要時間を取得し、取得した所要時間を携帯端末100に転送する(S509)。そして、状態管理部13は、所要時間に基づいてスケジューラ部10の更新を行う(S510)。
【0077】
以上の動作により、携帯端末100のユーザは交通機関に対応した現在地から目的地である予定移動先までの移動に要する所要時間を取得し、取得した所要時間に基づいてスケジューラ部10のスケジュールを更新ことができ、移動に要する所要時間を考慮したスケジュールを得ることができる。さらに、基地局に変化があったときにこれら動作を行うことにより、現在地に変化がないことが明らかな場合にまで現在地を示す位置情報の取得処理を行うことがない。
【0078】
次に、本発明の携帯端末100の作用効果について説明する。本発明の携帯端末100は、予定移動先と当該予定移動先に到達する時間とを対応付けて記憶するスケジュールをスケジューラ部10に記憶しておき、ユーザの位置する領域に変化が生じたときに、ユーザの現在位置から予定移動先までの移動に要する所要時間を中央サーバ300から取得し、所要時間を考慮してアラームをユーザに対して知らせるようにしたことにより、ユーザの位置する領域に変化が生じたときに移動に要する所要時間を取得することができ、無駄な取得処理を行うことなく、所要時間を考慮したアラームを知らせることができる。
【0079】
また、携帯端末100は、無線通信する基地局200に変更が生じたことを判断することにより、携帯端末が移動したことを簡易な構成で判断することができる。
【0080】
また、携帯端末100は、リミットチェック部105において、当初登録されたアラーム時刻情報により示されるアラーム時刻からさらに余裕時間を減算して、新たなアラーム時刻情報を取得し、この取得したアラーム時刻情報で示す時刻に達するとアラームを知らせることにより、余裕時間を考慮したアラームを知らせることができ、ユーザは予定移動先に遅れることなく予定した時刻に到達することができる。さらに、ユーザにとって余裕を持った行動を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本実施形態における携帯端末および通信システムのシステム構成図である。
【図2】携帯端末100のブロック構成図である。
【図3】スケジューラ部10が記憶するスケジュール情報を説明する概念図である。
【図4】携帯端末100に表示される入力画面例を示す説明図である。
【図5】所要時間要求部104が中央サーバ300に対して出力した検索要求コマンドおよび入力した検索結果の具体例を示す概念図である。
【図6】携帯端末100の概略動作を示す動作フロー図である。
【図7】スケジューラ部10におけるスケジュールが登録されたときの動作を示す動作フロー図である。
【図8】状態管理部13の動作を示す動作フロー図である。
【図9】スケジューラ部10のアラーム時刻を書き換えるときの動作を示す動作フロー図である。
【図10】スケジューラ部10の記憶内容が更新されたときの動作を示す動作フロー図である。
【図11】スケジューラ部10が登録されているアラーム時刻にアラームを鳴動させるときの動作を示めす動作フロー図である。
【図12】スケジュールを入力した後の動作を示す動作シーケンス図である。
【図13】基地局が変わった場合の動作を示す動作シーケンス図である。
【符号の説明】
【0082】
11・・・時刻情報提供部、12・・・入力部、13・・・状態管理部、14・・・基地局監視部、15・・・現在地測位置部、16・・・アラーム鳴動部、100・・・携帯端末、101・・・監視モード指示部、102・・・現在地確認要求部、103・・・変化判断部、104・・・所要時間要求部、105・・・リミットチェック部、200・・・基地局、300・・・中央サーバ、400、500・・・経路情報提供サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのスケジュール情報を記憶する携帯端末において、
前記携帯端末のユーザの予定移動先を示す予定位置情報とアラームを知らせる時刻を示す第1アラーム時刻情報とを対応付けたスケジュール情報を記憶する記憶手段と、
前記携帯端末が位置する領域が変わったことを判断する位置変化判断手段と、
前記携帯端末が位置する領域が変わったと前記位置変化判断手段が判断すると、前記携帯端末の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報により示される現在位置から前記予定位置情報により示される予定移動先まで移動するのに必要とする所要時間を取得する所要時間取得手段と、
前記記憶手段に記憶される第1アラーム時刻情報により示される時刻から前記所要時間取得手段が取得した所要時間を減算して、新たなアラーム時刻を示す第2アラーム時刻情報を取得するアラーム時刻情報取得手段と、
前記アラーム時刻情報取得手段により取得された第2アラーム時刻情報により示されるアラーム時刻に達するとアラームを知らせるアラーム手段と、
を備える携帯端末。
【請求項2】
位置変化判断手段は、前記携帯端末により無線通信される基地局が変更されたことを判断することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記記憶手段は、さらに、ユーザから入力された余裕時間を前記スケジュール情報に対応付けて記憶し、
前記アラーム時刻情報取得手段は、前記第2アラーム時刻情報により示されるアラーム時刻からさらに余裕時間を減算することにより、新たなアラーム時刻である第3アラーム時刻情報を取得し、
前記アラーム手段は、前記アラーム時刻情報取得手段により取得された前記第2アラーム時刻情報に代えて前記第3アラーム時刻情報により示されるアラーム時刻に達すると、アラームを知らせることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
ユーザのスケジュールを記憶する携帯端末と、前記携帯端末と通信することができるサーバとを備える通信システムにおいて、
前記携帯端末は、
前記携帯端末のユーザの予定移動先を示す予定位置情報とアラームを知らせる時刻を示す第1アラーム時刻情報とを対応付けたスケジュール情報を記憶する記憶手段と、
前記携帯端末が位置する領域が変わったことを判断する位置変化判断手段と、
前記携帯端末が位置する領域が変わったと前記位置変化判断手段が判断すると、前記携帯端末の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段が取得した現在位置情報により示される現在位置から前記予定位置情報により示される予定移動先まで移動するのに必要とする所要時間を取得する所要時間取得手段と、
前記記憶手段に記憶される第1アラーム時刻情報により示される時刻から前記所要時間取得手段が取得した所要時間を減算して、新たなアラーム時刻を示す第2アラーム時刻情報を取得するアラーム時刻情報取得手段と、
前記アラーム時刻情報取得手段により取得された第2アラーム時刻情報により示されるアラーム時刻に達するとアラームを知らせるアラーム手段と、
を備え、
前記サーバは、
前記携帯端末における前記所要時間要求手段による所要時間の要求があると、前記携帯端末を保持するユーザの現在位置から移動先までの所要時間を算出し、算出した所要時間を前記携帯端末に返信する返信手段、
を備えることを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−33404(P2006−33404A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209091(P2004−209091)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】