説明

携帯端末装置、プログラムおよび照明制御方法

【課題】経路の案内の方向をユーザが容易に認識できる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯電話機1は、現在地を検出するGPSモジュール109と、光が移動するよう発光可能なイルミネーション部40と、CPU100とを有する。CPU100は、目的地の設定を受け付けるとともに、現在地から目的地への経路を設定する。さらに、CPU100は、現在地における経路の案内方向へ光が移動するようイルミネーション部40を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(TabletPC)等の携帯端末装置および当該携帯端末装置に用いて好適なプログラムおよび照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地への経路および現在地を地図とともに表示可能な携帯端末装置が知られている。かかる携帯端末装置では、経路に応じた案内の方向を視覚的に通知するための方法が提案されている。たとえば、案内の方向に対応した所定のキーが点灯する構成が提案されている(特許文献1参照)。この構成では、基準とされるキーから点灯したキーへと向く方向が、案内の方向とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−136955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の構成によれば、ユーザは、何れのキーが点灯したかにより、案内の方向を認識できる。
【0005】
しかしながら、このような構成では、案内の方向の認識のために、ユーザは、基準のキーに対する点灯したキーの位置を確実に視認する必要がある。このため、ユーザは、一目して案内の方向を知ることが困難である。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、経路の案内の方向をユーザが容易に認識できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る携帯端末装置は、現在地を検出する位置検出部と、目的地の設定を受け付ける受付部と、前記現在地から前記目的地への経路を設定する設定部と、光が移動するよう発光可能なイルミネーション部と、前記現在地における前記経路の案内方向へ光が移動するよう前記イルミネーション部を制御する照明制御部と、を有する。
【0008】
本発明に係る携帯端末装置において、前記イルミネーション部は、個別に発光する複数の発光部を有し得る。この場合、前記照明制御部は、前記案内方向へ光が移動するよう、所定の発光部から別の発光部へと発光を遷移させる制御を行う。
【0009】
本発明に係る携帯端末装置は、表示面と、前記表示面に画像を表示させる表示制御部と、をさらに備え得る。この場合、前記表示制御部は、前記現在地と前記経路とを示す画像を含む地図画像を、前記表示面に表示させる制御を行とともに、前記照明制御部は、前記表示面に前記地図画像が表示されていないときにも、前記案内方向へ光が移動するよう前記イルミネーション部を発光させる制御を行い得る。
【0010】
本発明に係る携帯端末装置は、方位を検出する方位検出部をさらに備え得る。この場合、前記照明制御部は、前記方位検出部からの出力と前記経路とに基づいて前記案内方向を設定する制御を行う。
【0011】
本発明に係る携帯端末装置において、前記照明制御部は、前記現在地が、進路変更の地点へ接近したときに、前記案内方向へ光が移動するよう前記イルミネーション部を発光させる制御と、前記現在地が前記進路変更の地点を通過した場合、前記案内方向へ光が移動する前記イルミネーション部の発光を停止させる制御を行い得る。
【0012】
本発明に係る携帯端末装置において、前記照明制御部は、前記現在地から前記目的地までの距離に応じて、移動する前記光の状態を変化させる制御を行い得る。
【0013】
本発明に係る携帯端末装置において、前記照明制御部は、前記現在地が前記目的地へ接近するに応じて、前記光が移動する速さを速くするよう前記イルミネーション部を制御し得る。
【0014】
本発明の第2の態様は、プログラムに関する。本態様に係るプログラムは、現在地を検出する位置検出部と、光が移動するよう発光可能なイルミネーション部と、を備える携帯端末装置のコンピュータに、目的地の設定を受け付ける機能と、前記現在地から前記目的地への経路を設定する機能と、前記現在地における前記経路の案内方向へ光が移動するよう前記イルミネーション部を発光させる機能と、を付与する。
【0015】
本発明の第3の態様は、現在地を検出する位置検出部と、光が移動するよう発光可能なイルミネーション部と、を備える携帯端末装置の照明制御方法に関する。本態様に係る表示制御方法は、目的地の設定を受け付けるステップと、前記現在地から前記目的地への経路を設定するステップと、前記現在地における前記経路の案内方向へ光が移動するよう前記イルミネーション部を発光させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、経路の案内の方向をユーザが容易に認識できる携帯端末装置を提供することができる。
【0017】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態に係る、携帯電話機の外観構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る、携帯電話機の第1キャビネットの正面図である。
【図3】実施の形態に係る携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係る、イルミネーションパターンテーブルを説明する図である。
【図5】実施の形態に係る、光が右へ移動するイルミネーションを説明する図とグラフである。
【図6】実施の形態に係る、光が上へ移動するイルミネーションを説明する図とグラフである。
【図7】実施の形態に係る、光が左および下へ移動するイルミネーションを説明する図である。
【図8】実施の形態に係る、現在位置から目的地までの経路の案内のための処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る、現在位置から目的地までの経路の案内のための処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る、画面の表示内容とイルミネーションを説明するための図である。
【図11】実施の形態に係る、画面の表示内容とイルミネーションを説明するための図である。
【図12】変更例1に係る、現在位置から目的地までの経路の案内のための処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】変更例1に係る、別のアプリケーションが起動される前と後における画面の表示内容を説明するための図である。
【図14】変更例1に係る、画面の表示内容、現在の位置およびイルミネーションを説明するための図である。
【図15】変更例2に係る、現在位置から目的地までの経路の案内のための処理を説明するためのフローチャートである。
【図16】変更例2に係る、現在の位置およびイルミネーションを説明するための図である。
【図17】変更例3に係る、現在位置から目的地までの経路の案内のための処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】変更例3に係る、現在位置から目的地までの経路の案内のための処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】変更例3に係る、画面の表示内容とイルミネーションを説明するための図である。
【図20】その他の変更例に係る、携帯電話機の構成、画面の表示内容およびイルミネーションを説明するための図である。
【図21】その他の変更例に係る、イルミネーションの画像を含む画面の表示内容を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1(a)は、第1キャビネット10と第2キャビネット20が並べられ、開いた状態の携帯電話機1の外観構成を示す。図1(b)は、第1キャビネット10と第2キャビネット20が重ねられ、閉じた状態の携帯電話機1の外観構成を示す。
【0020】
携帯電話機1は、第1キャビネット10と第2キャビネット20を有する。第2キャビネット20は、ヒンジ部30によって、第1キャビネット10に対し回転可能に連結されている。
【0021】
第1キャビネット10の正面には、キー操作部11およびマイク12が設けられている。
【0022】
第2キャビネット20の正面には、ディスプレイ21を構成する液晶パネル21a、およびスピーカ22が配置されている。液晶パネル21aの正面には表示面21bが設けられており、表示面21bが外部に現れている。
【0023】
液晶パネル21aの背後には、ディスプレイ21を構成するパネルバックライト」と言う。)21cが配されている。パネルバックライト21cは、光源となるLEDを備え、液晶パネル21aに光を供給する。
【0024】
ヒンジ部30は、一対の回転軸31および一対の軸受部32を含む。回転軸31は、第2キャビネット20の連結側端部から左右に延びる。軸受部32は、第1キャビネット10の連結側端部に形成され、回転軸31を受ける。
【0025】
キー操作部11は、テンキー、方向キー、通話キー、終話キー、決定キー、所定のアプ
リケーションを起動するためのキー等、複数のキーを備える。
【0026】
図2は、第1キャビネット10の正面図である。第1キャビネット10の正面は、主に上述のキー操作部11と、それ以外のプレート部12とから成る。プレート部12の背後には、イルミネーション部40が配されている。イルミネーション部40は、所定のイルミネーションパターン(後述)に従ってイルミネーションを表示する。これにより、メールの着信、通話着信、経路の案内における進路方向通知等が、ユーザへ視覚的に通知される。
【0027】
イルミネーション部40は、複数(14個)の光源40a〜40nを備える。光源40a〜40nは、第1キャビネット10の前面に分散して配されている。
【0028】
光源40a〜40nは、それぞれ、3原色を発光するLEDが組み合わされた構成が採られており、3色の光が合成されることにより、各種の明るさと各種の色を有する光を発光する。光源40a〜40bが発光することにより、イルミネーション部40が、所定のイルミネーションパターンに従ったイルミネーションを表示する。なお、光源は、有機EL等、他の発光部材から構成されたものであり得る。
【0029】
なお、光源40a〜40nが配されている位置は、便宜上、円によって図示されているが、上述の如くプレート部12の背後に配されているため、光源40a〜40nは外部から視認できない。光源40a〜40nが発光した場合、出射した光は、プレート部12を透過し、外部から視認可能となる。
【0030】
図2に示す如く、4つの光源40a〜40dは、キー操作部11の左側に、上から順に縦(Y軸方向)に略等間隔で整列して配されている(垂直補助線G1参照)。キー操作部11のテンキーが縦3列に配されており、左から第1列目と第2列目のテンキーの間に、3つの光源40e〜40gが、上記4つの光源40a〜40dの略中間の高さの位置に、上から順に縦に整列して配されている(垂直補助線G2参照)。左から第2列目と第3列目のテンキーの間に、3つの光源40h〜40jが、上記3つの光源40e〜40gと同じ高さの位置に、上から順に縦に整列して配されている(垂直補助線G3参照)。4つの光源40k〜40nは、キー操作部11の右側に、上から順に縦に略等間隔で整列して配されている(垂直補助線G4参照)。
【0031】
図3は、携帯電話機1の全体構成を示すブロック図である。
【0032】
携帯電話機1は、上述した各構成要素の他、CPU100、メモリ101、通信モジュール102、キー入力回路103、音声エンコーダ104、バックライト駆動回路105、映像デコーダ106、音声デコーダ107、光源制御回路108、GPSモジュール109、方位センサ110を備える。
【0033】
通信モジュール102は、CPU100からの通話のための信号、アプリケーションの実行に係るデータ等を無線信号に変換し、第1キャビネット10に内蔵されるアンテナ(図示せず)を介して基地局へ送信する。また、通信モジュール102は、アンテナを介して基地局から受信した無線信号を、通話のための信号、アプリケーションの実行に係るデータ等に変換して、CPU100へ出力する。これにより、通話のための信号、アプリケーションの実行に係るデータ等が通信対象の機器から基地局を介して送受信される。
【0034】
キー入力回路103は、キー操作部11の各キーが操作されたときに、各キーに応じた入力信号をCPU100へ出力する。
【0035】
音声エンコーダ104は、マイク12が集音した音声に基づいて生成されるアナログの音声信号を入力する。また、音声エンコーダ104は、入力したアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換するとともに、デジタルの音声信号にエンコード処理を施してCPU100へ出力する。
【0036】
バックライト駆動回路105は、CPU100からの制御信号に応じて、パネルバックライト21cに電圧信号を供給する。パネルバックライト21cは、バックライト駆動回路105からの電圧信号により点灯したり消灯したりする。
【0037】
映像デコーダ106は、CPU100からの映像信号を、液晶パネル21aで表示できるアナログ若しくはデジタルの映像信号に変換し、液晶パネル21aに出力する。液晶パネル21aは、映像信号に応じた画像を表示面21b上に表示する。
【0038】
音声デコーダ107は、CPU100からの音声信号、および着信音やアラーム音等の各種報知音の音信号にデコード処理を施し、さらにアナログの音声信号および音信号に変換してスピーカ22に出力する。スピーカ22は、音声デコーダ107からの音声信号や音信号に基づいて音声や報知音などを再生する。
【0039】
光源制御回路108は、CPU100からの光源制御信号に基づき、所定の色と明るさの光を各光源40a〜40nが発光するよう、イルミネーション部40に電力を供給して、イルミネーション部40を制御する。
【0040】
GPSモジュール109は、GPS衛星から受信する信号などに基づき、現在の携帯電話機1の位置を求め、位置に応じた信号をCPU100へ出力する。CPU100は、GPSモジュールから位置に応じた信号に基づき、現在位置の情報を取得する。なお、現在位置は、基地局の位置情報を補助情報として用いることなどによって、適宜補正されてもよい。
【0041】
方位センサ110は、地磁気の方向を検出する磁気センサを備える。方位センサ110は、磁気センサが検出した地磁気の方向に基づき、現在の方位、すなわち、北を基準とし、北方向と携帯電話機1が向く方向とがなす角度を検出する。本実施の形態では、携帯電話機1の上側が向く方向(Y軸方向)を、携帯電話機1が向く方向としている。方位センサ110は、現在の方位に対応した方位信号をCPU100へ出力する。なお、方位センサは、加速度センサやジャイロセンサが組み合わされて用いられた構成が採られてもよい。
【0042】
加速度センサ111は、携帯電話機1に印加される加速度を検出する。加速度センサ111は3軸加速度センサであり、図1のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3方向に生じる加速度を検出する。加速度センサ111は、検出した加速度に応じた加速度信号をCPU100へ出力する。CPU100は、加速度センサ111からの加速度信号に基づき、携帯電話機1が、横向きおよび縦向きの何れの方向を向いているかを検出する。
【0043】
メモリ101は、ROMおよびRAMを含む記憶部である。メモリ101には、CPU100に制御機能を付与するための制御プログラムや各種アプリケーション、イルミネーション部40に表示させるイルミネーションのイルミネーションパターンのデータ等が記憶されている。
【0044】
CPU100は、実行中の機能に基づき所定のイルミネーションパターンをメモリ101から取得し、取得したイルミネーションパターンに従ってイルミネーション部40の各光源40a〜40nが発光するように光源制御回路108へ光源制御信号を出力する。
【0045】
たとえば、図4〜図7(b)を用いて以下に説明するように、イルミネーション部40は、光が上下左右の方向へ流れるイルミネーションを表示する。ここで、光がある方向へ流れるとは、イルミネーションが変化することにより、光がその方向へ移動して見えることである。具体的には、CPU100による制御に基づき、ある光源(40a〜40n)の発光状態が所定のパターンで遷移し、これに遅れて、当該発光部に対してその方向に配された別の発光部の発光状態が、上記パターンと同様なパターンで遷移することにより、光がある方向へ流れるイルミネーションが表示される。
【0046】
図4は、メモリ101に記憶される複数のイルミネーションパターンを例示する表である。イルミネーションパターン1〜4は、それぞれ、所定の色(たとえば青色)の光が右、上、左および下へ流れるパターンである。図5、図6、図7(a)、(b)は、上記4つのイルミネーションパターンに従ったイルミネーションを説明する図である。
【0047】
図5(a)は、図4のイルミネーションパターン1に従った、光が右へ流れるイルミネーションの様子を説明するための図である。図5(b)は、イルミネーションパターン1に基づいて光源40a〜40nが発光するときの光の明るさの変化の様子を模式的に説明するグラフである。
【0048】
なお、図5(a)では、各光源40a〜40nの中心から放射上に延びる線が、図5(b)の時間T2における光源40a〜40nから出射する光の明るさを表現するため、補助的に示されている。また、図5(a)では、矢印が、光が流れる方向を説明するため、補助的に示されている。イルミネーションパターンを説明する他の図においても同様である。
【0049】
イルミネーション部40がイルミネーションパターン1に従ったイルミネーション表示を行う際には、まず、光源40a〜40dのうち垂直補助線G1上に配されている光源(40a〜40d)が発光する。光源40a〜40dは、図5(b)の一番上のグラフに示す如く、一定の周期T0(たとえば数百ミリ秒〜数秒)で明るさの変更を繰り返す。
【0050】
その後、所定時間T1(T1は、たとえばT0の数分の1)遅れて、垂直補助線G2上に配されている光源(40e〜40g)が発光し、次に、時間2×T1遅れて、垂直補助線G3上に配されている光源(40h〜40j)が発光し、最後に、時間3×T1遅れて、垂直補助線G4上に配されている光源(40k〜40n)が発光する。
【0051】
各光源40e〜40g、40h〜40jおよび40k〜40nは、上記位相遅れ(T1、2×T1、3×T1)を保ったまま、光源40a〜40dと同じ周期で明るさの変更を繰り返す。
【0052】
このようにイルミネーションパターン1に従って各光源40a〜40nの明るさが変化することによって、図5(b)の右下方向に延びる破線矢印で示すように、明るい部分(グラフの上に凸の部分)と暗い部分(グラフの下に凸の部分)が、時間経過とともにG1からG2、G3そしてG4へ移動する。このように各光源40a〜40nが発光することにより、全体として光が右(図5(a)の矢印参照)へ移動するよう見える。
【0053】
図5(a)では、一番右側に配された光源40k〜40nから発せられる光の明るさが最大になった瞬間の時間T2での、イルミネーションの状態が例示されている。この瞬間では、光源40a〜40nのうち右側に配されている光源ほど、明るい光を発している。この後、イルミネーション部40は、イルミネーションパターン1に従い、光源40a〜40nが発する光の明るい部分と暗い部分とが右方向へ流れるようなイルミネーションを
表示する。
【0054】
図6(a)は、図4のイルミネーションパターン2に従った、光が上へ流れるイルミネーションの様子を説明するための図である。図6(b)は、イルミネーションパターン2に従って光源40a〜40nが発光するときの光の明るさの変化の様子を模式的に説明するグラフである。
【0055】
イルミネーション部40がイルミネーションパターン2に従ったイルミネーション表示を行う際には、まず、光源40a〜40dのうち水平補助線H7上に配されている光源(40d、40n)が発光する。光源40d、40nは、図6(b)の一番下のグラフに示す如く、一定の周期T0で明るさの変更を繰り返す。
【0056】
その後、所定時間T3(T1は、たとえばT0の数分の1)遅れて、水平補助線H6上に配されている光源(40g、40j)が発光し、次に、時間2×T3遅れて、水平補助線H5上に配されている光源(40c、40m)が発光し、さらに、時間3×T3遅れて、水平補助線H4上に配されている光源(40f、40i)が発光する。その後さらに、時間4×T3遅れて、水平補助線H3上に配されている光源(40b、40l)が発光し、次に、時間5×T3遅れて、水平補助線H2上に配されている光源(40e、40h)が発光し、最後に、時間6×T3遅れて、水平補助線H1上に配されている光源(40a、40k)が発光する。
【0057】
水平補助線H6、H5、・・・、H1上に配された光源は、上記位相遅れ(T3、2×T3、・・・6×T3)を保ったまま、光源40d〜40nと同じ周期で明るさの変更を繰り返す。
【0058】
このようにイルミネーションパターン2に従って各光源40a〜40nの明るさが変化することによって、図6(b)の右上方向に延びる破線矢印で示すように、明るい部分(グラフの上に凸の部分)と暗い部分(グラフの下に凸の部分)が、時間経過とともにH7からH1へ移動する。つまり、イルミネーション部40は、光が上(図5(a)の矢印参照)へ流れるイルミネーションを表示する。
【0059】
図6(a)では、一番上側に配された光源40a、40kから発せられる光の明るさが最大になった瞬間の時間T4での、イルミネーションの状態が例示されている。この瞬間では、光源40a〜40nのうち上側に配されている光源ほど、明るい光を発している。この後、イルミネーション部40は、イルミネーションパターン2に従い、光源40a〜40nが発する光の明るい部分と暗い部分とが上方向へ継続して流れるようなイルミネーションを表示する。
【0060】
図7(a)は、図4のイルミネーションパターン3に従った、光が左へ流れるイルミネーションの様子を説明する図である。イルミネーションパターン3は、光が流れる方向が逆となる点を除いて、イルミネーションパターン1(光が右に流れる)に同様である。
【0061】
図7(b)は、図4のイルミネーションパターン4に従った、光が下へ流れるイルミネーションの様子を説明する図である。イルミネーションパターン3は、光が流れる方向が逆となる点を除いて、イルミネーションパターン2(光が上に流れる)に同様である。
【0062】
さて、本実施の形態に係る携帯電話機1は、現在位置から目的地までの経路を視覚的に通知する機能を備える。ユーザは、通知される経路に沿って進行することにより、徒歩や自動車などの移動手段によって、目的地へ到達できる。
【0063】
図8と図9は、本実施の形態に係る、現在位置から目的地までの経路の案内のための処理を説明するためのフローチャートである。図8は、経路の案内に係る画面表示のための処理を示す。図9は、経路の案内に係る、案内方向を視覚的に通知するための方向通知処理を示す。
【0064】
CPU100は、経路の案内のための処理を実行するに際し、まず、ユーザによる目的地の入力操作を受け付け、入力された地点を目的地として設定する。目的地の入力は、たとえば、住所の入力、地図上における位置を指定する入力などにより行われる。さらに、CPU100は、GPSモジュール109からの信号に基づき、現在位置を取得する。
【0065】
そして、CPU100は、基地局を介した通信網によってサーバシステム(図示せず)に接続し、現在位置から目的地へ到達するための経路に係るデータおよび現在位置の周辺の地図画像のデータを取得するための要求信号をサーバシステムへ送信する。
【0066】
上記サーバシステムは、上記要求信号に基づき、現在位置から目的地へ到達できる経路に係るデータと、現在位置の周辺の地図画像のデータを含む信号を、携帯電話機1へ送信する。CPU100は、サーバシステムから受信した経路に係るデータに基づき、図8と図9の処理で用いる現在位置から目的地への経路を設定するとともに、サーバシステムから受信した地図画像のデータを、メモリ101に記憶させる。
【0067】
かかる後に、CPU100によって図8の処理が実行される。
【0068】
図10(a)、(b)は、経路の案内のための処理が実行されている際における、表示面21bに表示される画面とイルミネーション部40によるイルミネーションの状態を説明する図である。
【0069】
なお、携帯電話機1の周囲に示される方位記号は、携帯電話機1に対する方位を表す(以下同様)。図10(a)、(b)において、携帯電話機1の周囲に示された方位記号は、携帯電話機1の上側が北を指していることを表す。
【0070】
図8のフローチャートを参照して、CPU100は、現在位置を検出する(S101)。次に、CPU100は、図10(a)に示す如く、現在位置の周辺の地図画像51を表示面21bに表示する(S102)。地図画像51は、現在位置から目的地へ至る経路画像52と、現在位置を指すポインタ53と、方位記号54とを含む。
【0071】
次に、CPU100は、現在位置が、次の案内地点へ接近したか否かを判定する(S103)。ここで、「案内地点」は、案内方向を通知する必要がある所定の地点である。本実施の形態では、現在位置が経路に沿って目的地へ移動する場合に、交差点等の進路変更する必要がある地点が、案内地点として設定される。「次の案内地点」は、経路に沿って目的地へ移動する場合に現在位置から最初に通過する案内地点を指す。CPU100は、現在位置と次の案内地点との距離が、所定閾値D1(たとえば、数メートル〜数十メートル)未満である場合に接近したと判定し(S103:YES)、当該距離が閾値D1以上である場合に接近していないと判定する(S103:NO)。なお、経路の案内地点は、CPU100が、経路に係るデータから抽出して設定する。
【0072】
図10(a)では、経路は、現在位置から北方の交差点において右折する。図10(a)、(b)では、参照のため、ポインタ53を囲む一点鎖線の円周が、現在位置を中心とする半径D1の領域を表す。
【0073】
図10(a)のように、現在位置がまだ次の案内地点に到達せず(S103:NO)、
且つ、目的地へ到達していない場合(S104:NO)、ステップS101〜S104の処理が繰り返し実行される。この際、CPU100は、検出される現在位置に基づいて、表示面21bに表示する地図画像51、経路画像52およびポインタ53を更新して表示する(S102)。これにより、ユーザが経路に沿って移動すると、ポインタ53が経路画像52上を移動する。
【0074】
なお、現在位置が移動したために表示すべき地図画像のデータをメモリ101が記憶していない場合、CPU100は、適宜、現在位置の周辺の地図画像のデータを、サーバシステムから取得し、取得したデータに基づき、表示すべき地図画像51を表示面21bに表示する。
【0075】
図10(b)のように、現在位置が次の案内地点へ接近した場合(S103:YES)、CPU100は、図8の処理に並行して図9の方向通知処理を開始し(S105)、続けてステップS106、S107の処理を実行する。
【0076】
ステップS106、S107の処理は、ステップS101、S102と同じである。現在位置が次の案内地点を通過しない間(S108:NO)、ステップS106、S107の処理が繰り返し実行される。
【0077】
図9の方向通知処理について、以下に説明する。
【0078】
図9のフローチャートを参照して、CPU100は、まず、現在の方位を検出する(S111)。なお、現在の方位(R0とする)と次の案内地点での進行方向(R1とする)は、北方向を基準(0度)にして時計回りの角度によって表される。
【0079】
次に、ステップS112において、CPU100は、現在の方位と次の案内地点での進行方向に基づいて、案内方向(上、下、右または左)を設定する。
【0080】
「案内方向」とは、現在の携帯電話機1が向く方向を基準にした、次の案内地点での相対的な進行方向R2(=R1−R0 mod 360度)である。実際には、本実施の形態では、携帯電話機1を基準にして、この相対的な方向が「上」、「下」、「右」、「左」の4方向へ縮約されたものが、案内方向として設定される。
【0081】
具体的には、上記進行方向R2が−45度〜44度である場合には、案内方向は上であると設定される。上記進行方向R2が45度〜134度である場合には、案内方向は右である設定とされる。上記進行方向R2が135度〜224度である場合には、案内方向は下である設定とされる。上記進行方向R2が225度〜314度である場合には、案内方向は左であると設定される。これらの設定処理は、CPU100によりなされる。
【0082】
図10(b)の場合、現在の方位R0は0度、次の案内地点55の進行方向は約60度(東から30度北へ傾いた方向)であるため、ステップS112において、案内方向は右と設定される。
【0083】
かかる後、CPU100は、設定された案内方向に対応するイルミネーションパターンをメモリ101から読み込む。すなわち、案内方向「上」、「下」、「右」、「左」に対応して、イルミネーションパターン1〜4がそれぞれ取得される。図10(b)の場合は、右方向へ流れるイルミネーションパターン1が取得される。
【0084】
さらに、CPU100は、取得したイルミネーションパターンに従って、イルミネーション部40がイルミネーション表示を行うよう制御を行う(S114)。これによって、
図10(b)に示す如く、案内方向(右)へ流れるイルミネーションが表示される。イルミネーションは、目的地への経路が、光が流れる方向(右)へ変更されていることを表す。
【0085】
以後、イルミネーションが消灯される(S109)または表示されているイルミネーションに係るイルミネーションパターンが変更(S118:YES→S113)されるまで、現在のイルミネーションパターンに基づくイルミネーションが、イルミネーション部40により表示されることとなる。
【0086】
後段のステップS115の処理は、ステップS111の処理に同じであり、ステップS117の処理は、ステップS112の処理に同じである。
【0087】
ステップS114の処理の後、あらためて検出した現在の方位(S115)が変化しない場合(S116:NO)、ステップS115、S116の処理が繰り返される。現在の方位が変化した場合(S116:YES)、ステップS117の処理へ進む。検出した現在の方位が変化した場合(S116:YES)、CPU100は、案内方向を設定する(S117)。この新たな案内方向が、それまでの案内方向に比較して変化しない場合(S118:NO)、ステップS115の処理へ戻る。すなわち、案内方向が変化しない間、ステップS115〜S116またはステップS115〜S118の処理が繰り返し実行される。この間、ステップS114の処理に基づくイルミネーションが、イルミネーション部40により継続して表示される。
【0088】
案内方向が変化した場合(S118:YES)、ステップS113の処理へ進み、新たな案内方向に基づくイルミネーションパターンが取得され、さらに、このイルミネーションパターンに基づく、光が新たな案内方向へ流れるイルミネーションが、イルミネーション部40により表示される。
【0089】
図11(a)、(b)は、携帯電話機1が東から30度北へ傾いた方向を向いている場合における、イルミネーション表示について説明する図である。
【0090】
たとえば図11(a)に示す如く、現在の方位が図10(b)の0度(北)から60度(東から30度北へ傾いた方向)へ変化した場合、次の案内地点55での相対的な進行方向は0(=60−60)度である。このため、案内方向は「上」であると設定される(S117)。案内方向が「右」から「上」へ変化したため(S118:YES)、CPU100は、光が上へ流れるイルミネーションパターン2を取得し(S113)、これに基づくイルミネーションをイルミネーション部40に表示させる。
【0091】
このように、現在の方位(携帯電話機の向き)が変化したとしても、イルミネーション部40が表示するイルミネーションは、目的地への経路が、光が変化する方向(上)へ変更されていることを、ユーザへ通知する。
【0092】
ところで、図11(a)では、地図画像51における北を指す方向が、携帯電話機1の上を向くよう、地図画像51が表示面21bに表示される構成が採られている。しかし、携帯電話機1は、図11(b)に示す如く、携帯電話機1が向く方向(Y軸方向)が、地図画像51が上を向く方向と一致するような構成が採られてもよい。この場合、案内方向は「上」であると設定される。すなわち、イルミネーション部40により表示されるイルミネーションにおいて光が流れる方向は、表示面21bに表示される地図画像51の向きによらない。
【0093】
本実施の形態によれば、現在位置が次の案内地点へ接近した場合、イルミネーション部
40が、光が案内方向へ流れるようなイルミネーションを表示する。イルミネーションの明るい部分と暗い部分が案内方向へ移動することによって光が流れる。ユーザは、イルミネーションパターンに基づいて光が流れる方向が、進路変更後の進行方向であると認識できる。
【0094】
つまり、ユーザは、イルミネーションを視認することにより、経路の案内方向を容易に認識できる。
【0095】
また、イルミネーションは、現在位置が所定の案内地点に接近した場合にのみ表示され、すなわち、経路の案内の必要があるときを除いて表示されない構成がとられている。よって、経路の案内が常時行われる場合に比較して、消費電力を抑制できる。
【0096】
さらに、案内方向は、携帯電話機1が向く方向を基準にした、案内地点における相対的な進行方向に基づいて、実際に進路変更をするべき方向を指すよう設定される。すなわち、ユーザは、光が流れる方向へ進路を変更することで、経路に沿って進行できる。
【0097】
なお、表示面21bには地図画像51が表示されているため、ユーザは、地図画像51を見ることによって、適宜、より詳細な案内方向、次の案内地点55や目的地への距離等、経路の周辺の詳細な情報を認識できる。
【0098】
<変更例1>
本変更例では、地図画像51ではなく、別のアプリケーションの実行に基づく実行画面が表示面21bに表示される場合においても、イルミネーション部40が、光が案内方向へ流れるイルミネーションを表示する。
【0099】
図12は、本変更例に係る処理を説明するフローチャートである。図12のフローチャートは、図8のフローチャートのステップS102とS107の前段に、ステップS121とS122の処理が追加されたものである。なお、図12のステップS105において実行開始される方向通知処理は、図9の方向通知処理に同じである。
【0100】
本変更例において、携帯電話機1は、経路の案内のための機能の実行中、さらに別のアプリケーションを、ユーザによる当該アプリケーションに係る入力操作を受け付け可能な状態で実行する、マルチタスク機能を有する。
【0101】
図13(a)、(b)は、経路の案内のための機能の実行中における、テレビ閲覧のためのアプリケーションが起動される前と起動された後の、画面の表示例を示す図である。
【0102】
なお、図13(a)、(b)において、携帯電話機1は、横向き、すなわちX軸方向が上方を向き、且つ、Y軸方向が水平方向を向くように手に持たれている。この場合、携帯電話機1が向く方向は、携帯電話機1のX軸方向とされる。
【0103】
特に、携帯電話機1が横向きの状態において、イルミネーションパターン1〜4に従って表示されるイルミネーションにより光が流れる方向は、それぞれ、携帯電話機1の上、左、下、右である。
【0104】
携帯電話機1が、図10(a)のように縦向きの状態から、図13(a)のように横向きの状態になるよう持ちかえられると、図13(a)に示す如く、地図画像51における北の方向が携帯電話機1の上(X軸方向)を向くよう、地図画像51が表示される。
【0105】
ここで、CPU100は、所定の操作に基づき、テレビ閲覧、電子メール、ウェブブラ
ウザ、通話等、を経路の案内の機能に並列して実行できる。たとえば、キー操作部11のテレビ閲覧のための所定のキー(たとえば、キートップに「TV」と印字されたキー)の押下に基づき、CPU100は、テレビ閲覧のためのアプリケーションを実行し、図13(b)に示す如く、経路の案内にかかる画像に代えて、テレビ画面61を表示面21bに表示させる。
【0106】
図12を参照して、ステップS121において、CPU100は、別のアプリケーションに基づく画面が表示面21bに表示されているか否かを判定する。ステップS122の処理は、ステップS121の処理に同じである。
【0107】
図13(a)のように、別のアプリケーションに基づく画面が表示面21bに表示されていない場合、ステップS121とステップS122においてNOと判定され、それぞれ後段のステップ(S102、S107)の処理が実行される。すなわち、この場合においては、上記実施の形態と同様に、表示面21bにおいて地図画像51、経路画像52およびポインタ53が更新表示されつつ、並行して方向通知処理(図9)が実行される。
【0108】
図14(a)は、テレビ画面61が表示面21bに表示された状態で現在位置が次の案内地点55へ接近した場合の、イルミネーション部40によるイルミネーションを説明する図である。図14(b)は、現在位置が次の案内地点へ接近している様子を模式的に説明する図である。
【0109】
図14(a)に示されるようにテレビ画面61が表示面21bに表示されているときに、たとえば図14(b)に例示する如く、現在位置が次の案内地点55へ接近した場合(S103:YES)、方向通知処理が開始される(S105)。この場合、方向通知処理(図9)は、上記実施の形態と同様に実行される。CPU100は、図9の処理に基づき、案内方向を「右」と決定し(S112、S117)、図14(a)に示す如く、イルミネーションパターン4に基づく右へ流れるイルミネーションが表示される(S112、S113)。このように、表示面21bに別のアプリケーションに基づく実行画面が表示され、地図画像51が表示されていない場合においても、イルミネーション部40によりイルミネーションが表示され、目的地への経路が、光が流れる方向(右)へ変更されていることが、ユーザへ通知される。
【0110】
かかる後、次の案内地点を通過する前に、図14(c)に示す如く、X軸方向が東から30度北へ傾いた方向を向くように、携帯電話機1が手に持たれた場合、検出される現在の方向は、60度となる(S111、S115)。次の案内地点の進行方向は、同じく60度であるため、案内方向は、0度と設定される(S117)。すなわち、この場合、イルミネーションパターン1に基づく上へ流れるイルミネーションがイルミネーション部40により表示される(S112、S113)。これにより、目的地への経路が、光が流れる方向(上)へ折れていることが、ユーザへ通知される。
【0111】
以上、本変更例の構成によれば、ユーザにより所定の操作がなされると、別のアプリケーションの実行に基づく実行画面が表示面21bに表示される。このときにおいても、案内方向を通知するためのイルミネーションが、イルミネーション部40により表示される。よって、ユーザは、地図画像51が表示されてなくても、進行方向を把握することができる。
【0112】
<変更例2>
本変更例では、携帯電話機1に対する入力操作が所定時間(数秒〜数分)の間になされない場合、パネルバックライト21cが消灯(OFF)される構成が採られている。そして、ディスプレイ21のパネルバックライト21cが消灯される場合においても、イルミ
ネーション部40のイルミネーションにより経路の案内がなされる。
【0113】
図15は、本変更例に係る処理を説明するフローチャートである。図15のフローチャートは、図12のフローチャートのステップS121とS122の処理が、ステップS131、S132の処理に置き換えられている。なお、図15のステップS105において実行が開始される方向通知処理は、図9の処理と同じである。
【0114】
CPU100は、ステップS131において、パネルバックライト21cが点灯している場合(S131:YES)、後段のステップS102の処理を実行する。一方、CPU100は、パネルバックライト21cが消灯している場合(S131:NO)、ステップS102の処理を実行せずステップS103の処理へ進む。
【0115】
ステップS132の処理における判定条件はステップS131と同様である。CPU100は、パネルバックライト21cが点灯している場合(S132:YES)、後段のステップS107の処理を実行し、パネルバックライト21cが消灯している場合(S132:NO)、後段のステップS107の処理の処理を実行せずステップS108の処理へ進む。
【0116】
図16(a)のように、パネルバックライト21cが点灯している場合、ステップS131とステップS132においてNOと判定され、それぞれ後段のステップ(S102、S107)の処理が実行される。すなわち、この場合においては、上記実施の形態と同様に、方向通知処理(図9)が実行される。
【0117】
たとえば、図13(a)に示す如く、地図画像51が表示され、且つ、現在位置が次の案内地点55へ接近していない場合、ステップS131においてYESと判定され、上記実施の形態で説明された通り、地図画像51、経路画像52およびポインタ53が表示面21bに表示される。
【0118】
この後、パネルバックライト21cが消灯した場合、地図画像51、経路画像52およびポインタ53は表示面21bに表示されず(S131:NO)、パネルバックライト21cが消灯した状態が保たれる。
【0119】
ここで、現在位置が次の案内地点55へ接近した場合(S103:YES)、方向通知処理の実行が開始される(S105)。パネルバックライト21cが消灯している場合(S132:NO)、パネルバックライト21cが消灯した状態が保たれる。このときにおいても、図16(b)に示す如く、方向通知処理(図9)の実行によりイルミネーション部40は、案内方向へ光が流れるイルミネーションを表示する。
【0120】
図16(b)において、携帯電話機1は北を向き、且つ、次の案内地点55の進行方向は東から30度北へ傾いた方向であるため、イルミネーションパターン4に従って、光が右(案内方向)へ流れるイルミネーションが表示される。
【0121】
また、図16(c)に示す如く、携帯電話機1が東から30度北へ傾いた方向を向くよう持たれた場合には、案内方向は上であると設定され、イルミネーションパターン1に従って、光が上へ流れるイルミネーションが表示される。
【0122】
以上、本変更例の構成によれば、表示面21bの表示される画面が視認不可能である状態、すなわちパネルバックライト21cが消灯した状態においても、案内方向を通知するためのイルミネーションが、イルミネーション部40により表示される。よって、ユーザは、地図画像51が表示されてなくても、進行方向を把握することができる。
【0123】
<変更例3>
図17および図18(a)は、本変更例に係る処理を説明するフローチャートである。図17のフローチャートでは、図8のフローチャートのステップS103とS104の間にステップS141の処理が追加され、ステップS141から分岐する処理のフローとして、ステップS142〜S146の処理が追加されている。図18(a)には、ステップS114の処理の代わりに、ステップS151〜S153の処理が追加されている。
【0124】
ステップS141において、CPU100は、図17の処理が開始されてから、または、本ステップS141の処理が前回実行されてから、所定時間T5(たとえば数秒〜数十秒)経過したか否かを判定する。所定時間T5経過していない場合(S141:NO)、ステップS104の処理へ進む。
【0125】
所定時間T5経過していた場合(S141:YES)、CPU100は、現在位置と目的地との間の、経路に沿った距離(道のり)に応じて、イルミネーションの再生速度すなわち各光源40a〜40nの光の明るさを変化させる速さを設定する(S142)。
【0126】
図18(b)は、上記距離と、これに応じて設定される上記再生速度との関係を模式的に示すグラフである。CPU100は、図18(b)のグラフに示されているように、現在位置が目的地に近づくに従い、再生速度を、通常の速度(1倍速=周期T0)から徐々に増加させる。
【0127】
ステップS143〜S145の処理は、ステップS111〜S113の処理に同じである。
【0128】
ステップS146において、CPU100は、決定された案内方向に対応して取得されたイルミネーションパターンに従い、ステップS142において設定された再生速度で、イルミネーションを所定時間(たとえば数秒程度)だけイルミネーション部40に表示させる。
【0129】
図19(a)、(b)は、本変更例に係るイルミネーションを説明する図である。
【0130】
現在位置が案内地点55へ接近する前にステップS141においてYESと判定された場合(S141:YES)、図19(a)に示す如く、イルミネーション部40は、イルミネーションを表示する。ここで、携帯電話機1は北を向くよう持たれており、且つ、現在の進行方向は北である。したがって、案内方向は「上」であると決定され、光が上へ流れるイルミネーションがイルミネーション部40により表示される。この際、イルミネーションの再生速度は、目的地への距離に応じた速さ(図18(b)のグラフ参照)に設定されている。
【0131】
この後、現在位置が案内地点55へ接近する前に、再び、ステップS141においてYESと判定された場合(S141:YES)、図19(b)に示す如く、イルミネーション部40は、イルミネーションを表示する。今回、携帯電話機1は60度(東から30度北へ傾いた方向)を向くよう持たれており、且つ、現在の進行方向は北である。したがって、案内方向は「左」であると決定され、光が左へ流れるイルミネーションがイルミネーション部40により表示される。この際も、イルミネーションの再生速度は、目的地への距離に応じた速さ(図18(b))に設定されている。
【0132】
かかる後、現在位置が次の案内地点55へ接近した場合(S103:YES)、図18の方向通知処理が実行開始される。
【0133】
ステップS151において、CPU100は、現在位置を検出する。ステップS152の処理は、ステップS142の処理に同じである。
【0134】
ステップS153において、CPU100は、決定された案内方向に対応して取得したイルミネーションパターンに従って、さらに設定された再生速度でイルミネーションが表示されるよう制御を行う(S114)。
【0135】
以上、本変更例の構成によれば、現在位置から目的地への、経路に沿った距離に応じて、イルミネーションの再生速度が変化する。現在位置が目的地へ近付くにつれ、再生速度が速まる。よって、ユーザは、イルミネーションによって、目的地までのおよその距離を知ることができる。
【0136】
また、本変更例の構成によれば、一定の間隔で、現在位置における経路の進行方向へ光が流れるイルミネーションがイルミネーション部40により表示される。したがって、進路変更の必要がないときにおいて、ユーザは、経路上を進行していることを確認できる。
【0137】
<その他>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0138】
上記実施の形態において、変更例1〜3が互いに組み合わされた構成が採られることが可能である。
【0139】
上記実施の形態では、イルミネーション部40の光源40a〜40nは、図2に示す如く分散して第1キャビネット10に配されたが、光源の配置状態は、適宜変更できる。たとえば、光源の数と配される位置は、適宜変更可能である。
【0140】
上記実施の形態では、案内方向の通知の際、各光源40a〜40nは、明るさが正弦波状に変化するが(図5、図6参照)。しかしながら、各光源40a〜40nが発する光は、正弦波状に変化する必要はなく、案内方向を指し示す視覚的効果が伴えば多様に変化してもよい。また、各光源40a〜40nは、同じ周期で明暗が変化(図5、図6参照)する構成である必要はなく、たとえば、光源40a〜40nは、互いに独立した周期で明暗が変化する構成が採られても良い。また、ランダムに明るさが変動する効果が加えられる等、光源40a〜40bの発光パターンは周期が定められたものである必要もない。イルミネーション部40により表示されるイルミネーションは、全体として案内方向を指し示す視覚的効果が伴うものであればよい。
【0141】
また、光源40a〜40nは、キー操作部11の各キーが配されていないプレート部12の背後に配されているが、各キーの背後に配される等、別の位置に配されてもよい。イルミネーション部40の光源がキーの背後に配される場合、当該光源から発せられる光は、キーのキートップを透過して視認可能な構成がとられる。
【0142】
上記実施の形態では、明るさの変化によって、イルミネーション部40が表示したイルミネーションが、案内方向を視覚的に通知する。しかしながら、案内方向の通知は、イルミネーションにより、その案内方向を指し示す視覚的効果が伴うようなされればよい。
【0143】
たとえば、CPU100は、イルミネーションの、特定の色が表示される部分、特定の周期で点滅する部分等が、全体として案内方向へ移動するよう、イルミネーション部40
を制御できる。これによって、全体として案内方向を指し示す視覚的効果が伴うイルミネーションが表示される。
【0144】
上記実施の形態では、携帯電話機1はハードキーで構成されたキー操作部11を備える(図1参照)が、図20(a)に示す如く、筐体の正面にハードキーが配されていない(または配されているハードキーの数が少ない)ストレート型の携帯電話機(スマートフォン)1に対しても、本発明を適用できる。ここで、図20(a)の携帯電話機1は平坦な長方形の形状を有し、その周囲に複数の光源を含むイルミネーション部40を備える。
【0145】
たとえば、図20(b)に示す如く、案内方向が右方向である場合には、イルミネーション部40が、携帯電話機1の左側から右側へ、明るい光が携帯電話機1の上側と下側を回り込むように流れるように、イルミネーションを表示する。これによって、案内方向(右)が通知される。
【0146】
上記実施の形態では、イルミネーション部40は、ディスプレイ21とは別に配されたが、ディスプレイ21がイルミネーション部40を兼ねる構成が採られ得る。この場合、表示面21bの所定の領域が光源となる。たとえば、図20(c)に示す如く、案内方向が右方向である場合には、表示面21bに表示される画像に重ねて、光が筐体の外周に沿って流れるように、イルミネーションが表示される。これによって、案内方向(右)が通知される。
【0147】
また、ディスプレイ21がイルミネーション部40を兼ねる構成が採られる場合、表示面21bの周囲の領域だけでなく、たとえば図21(a)に示す如く、表示面21b全体の領域を用いて案内方向が通知可能である。図21(a)では、表示面21bに表示されている画面に、案内方向(右)と直交する方向(上下方向)に延びる領域上において、明度を修正する画像処理が施され、この画像処理が施される領域が案内方向へ移動する。
【0148】
上記実施の形態では、上、下、右、左の何れかの方向に光が流れるイルミネーションがイルミネーション部40により表示されるが、光が流れる方向は、上記4方向に限らず、8方向、12方向、16方向等、指し示す方向が細分化される構成が採られてよい。また、イルミネーションが任意の方向を指し示すよう、すなわち、図21(b)の如く、経路の進行方向がそのまま案内方向と同一視される構成が採られてもよい。図21(b)では、経路の進行方向である60度の方向(東から北へ30度傾いた方向)へ流れるイルミネーションが表示されている。
【0149】
上記実施の形態では、イルミネーション部40が、3原色(赤、緑、青)が合成された各種の色の光を発する光源40a〜40nを備えているが、単色の光を発する光源を備えたイルミネーション部40が用いられる構成が採られることも可能である。
【0150】
上記実施の形態では、経路上の案内地点は、進路変更の必要がある地点とされたが、進路変更の必要が無くとも、直線するべき交差点が存在する地点、曲率が大きい(曲率半径が小さい)地点も含めて案内地点とするなど、適宜案内地点が設定されてよい。
【0151】
上記実施の形態では、次の案内地点に接近した場合に案内地点の進行方向が通知される。しかしながら、常時、現在位置より所定距離(数メートル〜数十メートル)先の進行方向が、イルミネーション部40より通知される構成が採られてもよい。
【0152】
また、変更例3では、所定時間T5毎に現在位置における進行方向に光が流れるイルミネーションがイルミネーション部40により表示されたが、所定の案内地点に接近した場合を除いて常時、現在位置における進行方向に光が流れるイルミネーションがイルミネー
ション部40により表示される構成が採られ得る。
【0153】
上記実施の形態では、現在位置が次の案内地点に接近したか否かが、現在位置と次の案内地点の位置との距離に基づいて判定されたが、現在位置の移動速度に基づき、現在位置が次の案内地点へ到達するまでの時間の予測値に基づいて判定される構成が採られてもよい。
【0154】
また、ユーザが進行すべき経路を誤ってはずれた場合に、経路へ戻るための方向を案内するイルミネーションが表示される構成が採られ得る。経路へ戻るための方向は、たとえば、経路をはずれた際の進路を戻る方向である。この場合、さらに、経路をはずれたことをユーザへ通知するため、所定色(たとえば赤)で点滅(図4のイルミネーションパターン5参照)するイルミネーションが適宜表示されてもよい。
【0155】
上記実施の形態では、地図画像51のデータや現在地から目的地への経路に係るデータがサーバシステムから取得される構成がとられているが、地図画像は、あらかじめメモリ101に記憶されていてもよく、また、CPU100が経路に係るデータを探索のための処理を実行することにより生成されてもよい。
【0156】
また、案内地点、案内地点への接近や案内地点通過に関する判定、案内方向の設定およびイルミネーションパターンに係るデータの、一部または全てが、データ通信によってサーバシステム等から取得される構成が採られてもよい。
【0157】
上記実施の形態では、折り畳み式やストレート型の携帯電話機1を用いたが、スライド式などの携帯電話機1を用いることもできる。また、携帯電話機1に代えてPDA、タブレットPC、電子書籍端末などの携帯端末装置にも適用可能である。
【0158】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。たとえば、上記実施形態の一部または全部を組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0159】
1 携帯電話機 (携帯端末装置)
21b 表示面
40 イルミネーション部
40a〜40n 光源 (発光部)
51 地図画像
100 CPU (照明制御部、表示制御部、受付部、設定部)
109 GPSモジュール (位置検出部)
110 方位センサ (方位検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地を検出する位置検出部と、
目的地の設定を受け付ける受付部と、
前記現在地から前記目的地への経路を設定する設定部と、
光が移動するよう発光可能なイルミネーション部と、
前記現在地における前記経路の案内方向へ光が移動するよう前記イルミネーション部を制御する照明制御部と、を有する
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
前記イルミネーション部は、個別に発光する複数の発光部を有し、
前記照明制御部は、前記案内方向へ光が移動するよう、所定の発光部から別の発光部へと発光を遷移させる制御を行う、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の携帯端末装置において、
表示面と、
前記表示面に画像を表示させる表示制御部と、をさらに備え、
前記表示制御部は、前記現在地と前記経路とを示す画像を含む地図画像を、前記表示面に表示させる制御を行うとともに、
前記照明制御部は、前記表示面に前記地図画像が表示されていないときにも、前記案内方向へ光が移動するよう前記イルミネーション部を発光させる制御を行う、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の携帯端末装置において、
方位を検出する方位検出部をさらに備え、
前記照明制御部は、前記方位検出部からの出力と前記経路とに基づいて前記案内方向を設定する制御を行う、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の携帯端末装置において、
前記照明制御部は、前記現在地が、進路変更の地点へ接近したときに、前記案内方向へ光が移動するよう前記イルミネーション部を発光させる制御と、前記現在地が前記進路変更の地点を通過した場合、前記案内方向へ光が移動する前記イルミネーション部の発光を停止させる制御を行う、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の携帯端末装置において、
前記照明制御部は、前記現在地から前記目的地までの距離に応じて、移動する前記光の状態を変化させる制御を行う、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
請求項6に記載の携帯端末装置において、
前記照明制御部は、前記現在地が前記目的地へ接近するに応じて、前記光が移動する速さを速くするよう前記イルミネーション部を制御する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
現在地を検出する位置検出部と、
光が移動するよう発光可能なイルミネーション部と、を備える携帯端末装置のコンピュ
ータに、
目的地の設定を受け付ける機能と、
前記現在地から前記目的地への経路を設定する機能と、
前記現在地における前記経路の案内方向へ光が移動するよう前記イルミネーション部を発光させる機能と、
を付与することを特徴とするプログラム。
【請求項9】
現在地を検出する位置検出部と、
光が移動するよう発光可能なイルミネーション部と、を備える携帯端末装置の照明制御方法において、
目的地の設定を受け付けるステップと、
前記現在地から前記目的地への経路を設定するステップと、
前記現在地における前記経路の案内方向へ光が移動するよう前記イルミネーション部を発光させるステップと、
を含むことを特徴とする照明制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−40812(P2013−40812A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176770(P2011−176770)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】