説明

携帯端末装置及び情報送信方法

【課題】携帯端末装置の映像信号あるいは音声信号をそれぞれ、既存の機器を流用しかつ簡便に、大画面又は高音質で再生できるようにする。
【解決手段】映像を表示する表示部207と、音声を放音する音声出力部204と、テレビジョン放送波を送信するアンテナ304を少なくとも有する携帯端末装置100であって、映像信号及び/又は音声信号をテレビジョン放送周波数帯の所定チャンネルの電波を利用してアンテナ304より外部機器へ出力するテレビジョン放送波送信手段301を備えた構成とする。このテレビジョン放送波送信手段301を、デジタルの映像信号をアナログの映像信号に変換する映像信号変換部と、この映像信号変換部にて変換されたアナログの映像信号と上記音声信号をテレビジョン放送波として送信できるように変調してアンテナ304へ出力するテレビジョン放送波出力部から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置及び情報送信方法に係り、特に映像信号及び/又は音声信号を外部機器に送信して外部機器上で表示あるいは再生させる携帯端末装置及びその情報送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機の表示画面に表示された画像を外部に出力する場合は、携帯電話機の表示画面に表示されている画像のデジタル映像信号をアナログのNTSC(National Television Standards Committee)映像信号に変換し、当該携帯電話機と外部の表示装置とを専用ケーブルで接続する方法が一般的であった。この専用ケーブルを利用する方法には様々な弊害がある。以下にその一例を挙げる。
【0003】
・携帯電話機を使用する位置が専用ケーブルの長さによって限られる。
・専用ケーブルを差し込むためのAV(Audio-Visual)入力端子付きの表示装置でなければ使用できない。
・宅内の家電機器の増加に伴い、家庭には多種多様なケーブルが溢れており、使用したいときに使用したいケーブルがすぐに見つからない。
・専用ケーブル購入には、一般に数百円程度のお金が必要である。
・携帯電話機側にも専用ケーブルのコネクタを差し込むための端子が必要なため、携帯電話機側に端子を配置するためのスペースを用意し、結果として携帯電話機が大きくなってしまう。
【0004】
一方、専用ケーブルを使用しない方法として、携帯電話機などの移動体通信端末が、無線通信回線を介して受信した各種情報を、Bluetooth(登録商標)等の近傍通信手段を利用して画面サイズの大きい表示装置へ送信し、移動体通信端末の画面サイズの問題を解消するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−101457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のシステムは、例えば近傍通信手段としてBluetoothを使用した場合、表示装置側にもBluetooth受信機を必要とし、Bluetooth受信機が搭載されていない既存の表示装置には適用することができなかった。あるいは、表示装置側に新たにBluetooth受信機を設ける工事が必要となり、消費者の負担が大きかった。
【0006】
また、携帯電話機など携帯端末装置の画面サイズと並ぶ問題として、一般に携帯端末装置に搭載されるスピーカの性能は高くなく、満足できる音質での視聴ができなかった。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、携帯端末装置の映像信号あるいは音声信号をそれぞれ、既存の機器を流用しかつ簡便に、大画面又は高音質で再生できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、映像を表示する表示部と、音声を放音する音声出力部と、テレビジョン放送波を送信するアンテナを少なくとも備えた携帯端末装置であって、映像信号及び/又は音声信号をテレビジョン放送周波数帯の所定チャンネルの電波を利用してアンテナより外部機器へ出力するテレビジョン放送波送信手段を備えることを特徴とする。
上述した携帯端末装置の一側面として、上記テレビジョン放送波送信手段が、デジタルの映像信号をアナログの映像信号に変換する映像信号変換部と、この映像信号変換部にて変換されたアナログの映像信号と上記音声信号をテレビジョン放送波として送信できるように変調してアンテナへ出力するテレビジョン放送波出力部から構成される。
【0009】
上記構成によれば、携帯端末装置から外部機器へ映像信号及び/又は音声信号をテレビジョン放送波に乗せて送信し、受信側の外部機器を改造することなく、外部機器の表示機能を用いて映像信号をより大きな画面に表示する、あるいは音声出力機能を用いて音声信号をより高音質な環境で再生することができる。
また上記携帯端末装置の一側面によれば、上記外部機器に搭載されたテレビジョン受信機能がアナログ信号のテレビジョン放送波のみ受信可能なものである場合、携帯端末装置のテレビジョン放送波送信手段を、上記映像信号変換部と上記テレビジョン放送波出力部から構成することにより、アナログのテレビジョン放送波受信機能しか持たない外部機器であっても、映像信号及び/又は音声信号をテレビジョン放送波に乗せて携帯端末装置から外部機器へ送信することができる。
【0010】
また本発明は、上述した構成において、テレビジョン放送周波数帯の空きチャンネルを調査する空きチャンネル調査部と、この空きチャンネル調査部で検出された空きチャンネルに基づき上記外部機器のチャンネル設定を行う制御部と、外部機器と赤外線通信を行う赤外線通信部を備え、この制御部は、外部からの送信指令を受けて、上記テレビジョン放送波送信手段により空きチャンネルを利用して外部機器へ映像信号を送信するとともに、赤外線通信部を介してチャンネル設定情報を外部機器へ送信し、外部機器へ送信された映像信号を、チャンネル設定情報に基づくチャンネルを使用して外部機器の表示画面に表示させることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、携帯端末装置から外部機器へ空きチャンネルを利用して映像信号を送信すると同時に、赤外線通信を利用して空きチャンネル情報を外部機器へ送信する。これにより、外部機器に映像信号を送ると同時にチャンネルが設定され、利用者が外部機器のチャンネル調節をすることなく自動的に空きチャンネルを使用して映像信号を表示させることができる。
【0012】
また本発明は、上述した構成において、制御部が、更に上記外部機器が送信された音声信号を再生する際の音量を所定の条件に応じて設定し、上記送信指令を受けて、上記赤外線通信部を介して音量設定情報を外部機器へ送信し、この外部機器へ送信した前記音声信号を、音量設定情報に基づく音量で再生させることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、携帯端末装置から外部機器へ音声信号を送信すると同時に、外部機器の音量の設定情報を赤外線通信を利用して外部機器へ送信することで、音声信号を送ると同時に再生時の適切な音量が設定され、利用者が外部機器の音量を調整することなく適切な音量で音声信号を再生させることができる。
【0014】
また本発明は、音声を放音する音声出力部と、ラジオ放送波を送信するアンテナを少なくとも備えた携帯端末装置であって、ラジオ放送周波数帯の空きチャンネルを調査する空きチャンネル調査部と、この空きチャンネル調査部により検出された空きチャンネルを、音声信号の伝送時に使用するよう指示する制御部と、この制御部の指示に従い、音声信号を空きチャンネルを使用してアンテナへ出力するラジオ放送波出力部を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、携帯端末装置から外部機器へ音声信号をラジオ放送波に乗せて送信し、受信側の外部機器を改造することなく、外部機器のラジオ放送受信機能を用いて音声信号をより高音質な環境で再生する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、携帯端末装置の映像信号あるいは音声信号をそれぞれ、既存の機器へ送信することができる。そして、その機器の表示機能及び音声出力機能を利用して簡便に映像信号を大画面で表示、あるいは音声信号を高音質で再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図4を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の概念を模式的に表した図である。図1において、現在、携帯端末装置100の表示部207には、人の顔の画像102が映し出されている。この携帯端末装置100は、例えば携帯電話機(「移動体通信端末」などとも呼ばれる。)などに適用することができる。携帯端末装置100の表示部207に表示されている映像(情報)102は、一例としてNTSC方式の映像信号に変換され、電波103を利用して、一般家庭用のテレビジョン受像機110へ送信される。そして、テレビジョン受像機110の画面111には、携帯端末装置100の表示部207に表示されていた映像(情報)102と同じ映像(情報)102aが大画面で表示される。
【0019】
電波103は、テレビジョン放送波の周波数帯を使用している。後述するが、NTSC映像信号はAM(Amplitude Modulation)変調、音声信号はFM(Frequency Modulation)変調される。電波103は、テレビジョン放送の空きチャンネルに飛ばす。このテレビジョン放送の空きチャンネルとは、現行テレビジョン放送周波数帯のVHF帯(1ch〜12ch)又はUHF帯(13ch〜62ch)のうち、その地域においていずれの放送局によっても占有されていないテレビジョン放送周波数のことを指す。
【0020】
上記携帯端末装置100は、テレビジョン放送波送信機能を有し、表示部を備えた携帯可能な端末装置であればよい。なお、テレビジョン放送方式としてNTSCを例に挙げたが、PAL(Phase Alternation by Line)など他の方式にも適用できる。
【0021】
このように、携帯端末装置100の小さな画面を、一般家庭などにあるテレビジョン受像機110に無線(ワイヤレス)で映し出すことを可能にするのが本システムである。携帯端末装置100側から、テレビジョン放送の電波に映像や音楽情報を乗せ送信するため、既存のテレビジョン受像機110で携帯端末装置100の表示部207に表示された映像を表示、また音楽を鳴らすことができ、受信側(テレビジョン受像機110)の改造は不要である。
【0022】
図2は、上記携帯端末装置100内のブロック構成例を示したものである。携帯端末装置100は、通信回路202と接続したアンテナ201を備え、制御部210の制御で、携帯電話網の図示しない基地局との間でアンテナ201を介して電波の送信及び受信を行なう。通信回路202は基地局とやり取りする電波の変調及び復調を行なう。この通信回路202を通じて通話用の通信を行う際は、基地局から受信した音声データをスピーカ(音声出力部)204により電気信号から音声に変換して出力させ、またマイク(収音部)203で拾われた音声を電気信号に変換した音声データを通信回路202に供給して基地局へ送信する。
【0023】
また携帯端末装置100は、ジョグダイアルやキーパッドなどで構成された操作部206、液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)などで構成された表示部207を備える。操作部206は、電話番号やメール文などの入力操作、各種モードの設定操作などが行える。
【0024】
制御部220は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算制御装置(プロセッサ)からなり、図示しないRAM(Random Access Memory)を各種処理のための作業領域として使用し、図示しないROM(Read Only Memory)に記録されているコンピュータ・プログラムに従い、所定の処理を実行する。
【0025】
制御部220は、本実施の形態において、テレビジョン放送周波数帯の空きチャンネルを調査(サーチ)する空きチャンネル調査部、また赤外線通信部から出力される赤外線を用いて携帯端末装置と外部機器との距離を測定する測距部としても機能する。さらには、距離測定の結果に応じてテレビジョン受像機110の適切な音量を決定する自動音量調節機能も有する。
【0026】
メモリ205は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリからなり、電話帳やスケージュール、メールメッセージ、画像、音楽、アプリケーションソフトウェア、ブックマーク、ウェブページ等、様々な情報が格納される。上述したROMに記録されているコンピュータ・ブログラムの一部を、メモリ205に格納してもよい。
【0027】
赤外線通信部209は、携帯端末装置100と赤外線受信部を備える外部機器、この例ではテレビジョン受像機110との間で赤外線通信(所謂、「赤外線リモコン通信」)を行ない、携帯端末装置100からテレビジョン受像機110を遠隔地から操作(リモコン操作)するのに使用されるものである。利用者が操作部206を操作して入力した各種指令信号が、IrDA(Infrared Data Association )等の規格に沿って、赤外線通信部209から出力される赤外線に重畳されてテレビジョン受像機110へ送信される。テレビジョン受像機110ではこの赤外線信号を受信して、赤外線信号に含まれる指令信号に基づいて各種の動作が行われる。
【0028】
計時部210は、例えば水晶発振器を持つ回路によって周期的にパルスを発生するものであり、制御部220はこのパルスを計測することで現在時刻を検出することができる。計時部210は、制御部220の内部クロックで代用することもできる。
【0029】
テレビジョン放送波送信手段(以下、「TV送信ユニット」と称する。)301は、表示部207に表示されている映像の情報をデータライン260を通じて取り出し、NTSC映像信号に変換後、テレビジョン放送受信及び送信用のアンテナ304へ入力する。さらに、スピーカ204へ入力されている音声の情報もテレビジョン放送波送信手段301に供給され、所定の変調処理が行われた後にアンテナ304へ入力される。すなわち、表示部207で表示されている映像のデジタル映像信号とスピーカ204から放音されている音声信号をテレビジョン放送波送信手段301によって、テレビジョン放送波帯の電波103としてアンテナ304を通してテレビジョン受像機110等の大部機器へ送信している。
【0030】
上記アンテナ304は、送受/受信切り替え機能を備え、テレビジョン放送信号送信時には、テレビジョン放送制御部(以下、「TV制御部」という。)208を一構成要素とする受信システムへ影響を起こさないよう配慮されている。
【0031】
制御ライン250は、これに接続されている各デバイスを制御する信号を流すためのライン(信号線)である。携帯端末装置100内の幾つかのデバイスは制御ライン250を通じて制御部220と接続しており、制御部220の制御により各デバイスでの処理が行われる。またデータライン260は、これに接続されているデバイス間でデータ転送を行なうためのライン(信号線)である。
【0032】
図3は、本例の携帯端末装置100におけるTV送信ユニットの構成図である。図3に示すように、TV送信ユニット301は、デジタル/NTSC変換回路302とTV送信回路303から構成される。ここで、TV送信ユニット301における、デジタル映像信号と音声信号をテレビジョン放送波として送信するまでの流れを詳細に説明する。
【0033】
デジタル/NTSC変換回路302は、デジタルの映像信号をアナログの映像信号に変換する映像信号変換部として機能するものである。この例では、表示部207に表示されている映像のデジタル映像信号306をNTSC映像信号307に変換している。
【0034】
NTSC映像信号307が入力されるTV送信回路303は、NTSC映像信号307をテレビジョン放送波として送信できるよう所定の変調処理を行ない、変調後の信号をアンテナへ出力するテレビジョン放送波出力部として機能するものである。このTV送信回路303には、映像信号の他に音声信号305も入力される。TV送信回路303は、NTSC映像信号307をAM(Amplitude Modulation)変調し、音声信号305をFM(Frequency Modulation)変調する。
【0035】
さらに、変調後の映像信号と音声信号を多重してテレビジョン放送波に適応させた映像・音声復号信号308を生成する。例えば、主搬送波の映像信号から4.5MHz離れて副搬送波の音声信号を多重する。そして、生成された映像・音声復号信号308をテレビジョン放送波送受信用のアンテナ304へ出力する。
【0036】
なお、TV送信ユニット301(TV送信回路303)は、一つの周波数だけでなく、VHF〜UHFまで幅広い周波数帯をカバーすることができる。またアンテナ304は、一例としてモノポールタイプのアンテナを短縮したものが適用でき、携帯端末装置100に外付けの他、携帯端末装置100に内蔵、又は外装部分に埋め込んだ形状にすることもできる。
【0037】
上記テレビジョン受像機110に搭載されたテレビジョン放送受信機能がアナログ信号のテレビジョン放送波のみ受信可能なものである場合、携帯端末装置100のTV送信ユニット301を、デジタル/NTSC変換回路302とTV送信回路303から構成することにより、アナログのテレビジョン放送受信機能しか持たない機器であっても、映像信号及び/又は音声信号をテレビジョン放送波に乗せて携帯端末装置100からテレビジョン受像機110へ伝送することができる。なおテレビジョン受像機110がデジタル映像信号を受信可能な場合、デジタル/NTSC変換回路302は必要ない。
【0038】
NTSC映像信号出力機能(デジタル/NTSC変換回路302)を搭載した携帯端末装置100の場合、図3に示すTV送信回路303を接続することで、本システムを構成することができる。
【0039】
次に、本実施の形態の携帯端末装置100による各種の設定処理について、図4を参照して説明する。本例の携帯端末装置100による各種の設定処理を示したフローチャートである。携帯端末装置100は大きく分けて、空きチャンネル自動サーチ(空きチャンネルへの送信)、赤外線リモコン機能によるテレビジョン受像機110側の選局の自動化、及び自動音量調節機能を備えている。
【0040】
図4において、まず、携帯端末装置100の表示部207に映像が表示されている状態から以下の処理が開始される。携帯端末装置100の表示部207に映像が表示されている状態において、制御部220は、利用者が操作部206を操作して映像信号を送信するためのメニュー画面(図示略)上の設定キー又は所定のボタンを押下したか否かを判断する(ステップS1)。設定キー又はボタンの押下が検出されるまで監視が続けられる。
【0041】
ステップS1の判断処理において、設定キー又はボタンが押下されたことを検出すると、空きチャンネル調査部(制御部220)によりテレビジョン放送周波数帯の空きチャンネルを自動的にサーチする。空きチャンネルが検出された場合、制御部220はこの空きチャンネルを使用チャンネルに決定する(ステップS2)。
【0042】
テレビジョン放送周波数帯へ電波を使って情報を送るには、他の放送局によって既に使用されている周波数を避ける必要がある。このため、自動的に空きチャンネルに対応する周波数をサーチし、このサーチによって検出された空きチャンネルを使用して情報を送信する。
【0043】
ステップS2の処理を終了後、映像・音声復号信号308のテレビジョン放送波への送信を開始する(ステップS3)。上記空きチャンネル自動サーチによって検出した空きチャンネルをテレビジョン受像機110へ伝え、テレビジョン受像機110を自動的に操作することができる。この機能は、携帯端末装置100に搭載している赤外線通信部209によって実現する。
【0044】
制御部220は、テレビジョン放送波送信手段(TV送信ユニット301)によりテレビジョン放送周波数帯の空きチャンネルを利用してテレビジョン受像機110へ映像・音声復号信号308の送信を開始する。
【0045】
同時に、赤外線リモコンを起動させ、テレビジョン受像機110のチャンネルを設定する(ステップS4)。すなわち、赤外線通信部209を介してチャンネル設定情報(空きチャンネル情報)をテレビジョン受像機110へ送信する。
【0046】
ここで、赤外線自動測距を行い、この測定結果を基にしてテレビジョン受像機110の適切な音量を設定し、テレビジョン受像機110へ音量設定情報を赤外線通信にて送信することで音量自動調節し(ステップS5)、一連の携帯端末装置100の設定処理を終了する。
【0047】
赤外線自動測距は、赤外線通信部209から出力される赤外線を用いて、携帯端末装置100とテレビジョン受像機110との距離を測定することである。この測定により得られた距離に応じてテレビジョン受像機110の音量を適切に設定するものである。赤外線による距離測定方法は、例えば測定対象に対して赤外線を出射し、反射してくる赤外線の角度変化を監視したり、時間を検出するなどして距離を計測することができる。
【0048】
なお赤外線自動測距の他に、音量自動調節の条件になりうる例として、制御部220が計時部210の時間情報を受信して現在時刻を計測し、その時刻を利用して例えば1日のうち朝、昼、夜で音量を調節するようにする。あるいは、制御部220がマイク203から収音される音声の大きさにより静かな部屋、騒がしい部屋といった状況を判断し、状況に合わせて音量を調節するようにしてもよい。
【0049】
以上のように、携帯端末装置100で自動チャンネルサーチを行い、空きチャンネルを決定し、その空きチャンネルの周波数へ情報を送出する。その際、同時に赤外線リモコン機能も起動させ、「テレビジョン受像機110をオン」→「テレビジョン放送のチャンネル設定(自動サーチされた空きチャンネル)」→「音量自動設定」を自動的に行なう。
【0050】
例えば、テレビ電話が掛かってきた場合、携帯端末装置100の操作部206のボタンを一つ押すだけで(テレビジョン受像機110には一切触れることなく)、携帯端末装置100の表示部207に表示された映像をテレビジョン受像機100の表示画面111に表示することができる。
【0051】
以上述べた構成によれば、携帯端末装置100からテレビジョン受像機110へ映像信号及び/又は音声信号をテレビジョン放送波に乗せて送信し、受信側のテレビジョン受像機110を改造することなく、テレビジョン受像機110の表示機能を用いて映像信号をより大きな画面111に表示するとともに、音声出力機能を用いて音声信号をより高音質な環境で再生することができる。
【0052】
また、携帯端末装置100からテレビジョン受像機110へ空きチャンネルを利用して映像信号を送信すると同時に、赤外線通信を利用して空きチャンネル情報をテレビジョン受像機110へ送信するようにしている。これにより、テレビジョン受像機110に映像信号を送ると同時に使用チャンネルが設定され、利用者がテレビジョン放送のチャンネル調節をすることなく自動的に空きチャンネルを使用して映像信号を表示させることができる。
【0053】
また、携帯端末装置100からテレビジョン受像機110へ音声信号を送信すると同時に、テレビジョン受像機110の音量の設定情報を赤外線通信を利用して送信することで、音声信号を送ると同時に再生時の適切な音量が設定され、利用者がテレビジョン受像機110の音量を調整することなく適切な音量で音声信号を再生させることができる。
【0054】
上記実施の形態の具体的な効果として、一般家庭のテレビジョン受像機110を使用するため、受信設備に特別な改造が必要ない。
【0055】
また非常に古い世代のテレビジョン受像機であっても、本発明を適用した携帯端末装置との間で映像信号及び音声信号の伝送を行なうことができる。
【0056】
またテレビジョン受像機111の大きな画面111に携帯端末装置100の画面の映像を映し出せるため、お年寄りなどの視力が弱い人でも、携帯端末装置100が使いやすくなる。
【0057】
また携帯端末装置100の映像をテレビジョン受像機110の大きな画面111に表示することで、テレビ電話やゲーム機などのエンターテイメントを使用者のみならず、みんなで楽しむことができる。
【0058】
また専用ケーブルが必要ないため、使用者の経済的負担を軽減することができる。
【0059】
また音声はテレビジョン受像機110の周波数帯でFM(周波数変調)送信しているので、高音質である。
【0060】
また携帯端末装置100のテレビジョン送受信用のアンテナから情報を出力するので、新たに専用コネクタが必要なく、携帯端末装置100の端子及びコネクタ設置スペースを有効利用でき、携帯端末装置の大型化を抑制することができる。
【0061】
またテレビジョン・チューナー付きの携帯端末装置同士で、画像、音楽、映像を共有することができる。さらに、テレビジョン・チューナー付きの携帯端末装置と組み合わせて、トランシーバのような使い方ができる。
【0062】
なお、これらの機能は固定テレビジョン受像機に限られるわけではなく、移動体テレビジョン受像機にも適用することができる。赤外線通信ポートを備えた機器であれば、送信に使用するチャンネルを赤外線通信により他の機器に伝送することができる。例えば、移動先でカー・ナビゲーション・システムの表示画面に携帯端末装置で検索した情報を表示したりすることができる。
【0063】
次に、携帯端末装置100からラジオ放送受信機能を備えた外部機器に対し、ラジオ放送を利用して音声信号を送信する実施形態について説明する。外部機器の例として、例えばFM放送波受信機能を備えたヘッドホンなどが適用できる。
【0064】
本例の場合、図3に示すデジタル/NTSC変換回路302が必要なく、かつTV送信回路303の代わりに音声信号305をFM変調してアンテナ304から外部へ伝送するラジオ放送波出力部を備えていればよい。
【0065】
本例においても、上述したテレビジョン放送波を伝送する場合と同様に、空きチャンネル調査部によりラジオ放送、例えばFM放送波の周波数帯の空きチャンネルを調査する。そして、制御部220は、空きチャンネル調査部により検出された空きチャンネルを、FM変調した音声信号の伝送時に使用するチャンネルに決定する。そして、前記制御部220の指示に従い、前記音声信号を前記空きチャンネルを使用して前記アンテナへ出力し、外部機器へ伝送する。
【0066】
なお、上述例では、FM変調の放送波としたが、AM変調の放送波でも同様に実施できる。その他、外部機器として据え置き型ラジオやラジオカセットデッキ等を使用した場合、携帯端末装置のスピーカ代わりに利用でき、高音質での視聴が楽しめる。あるいはワイヤレスイヤホン一体型の汎用小型ラジオを使用した場合、携帯端末装置のワイヤレスイヤホンとして利用できる。
【0067】
また、図3に示したデジタル/NTSC変換回路302は、デジタル映像信号をNTSC映像信号に変換するものと説明したが、PAL方式にも適用できる。例えば、入力されたデジタル映像信号306を、送信先のテレビジョン受像機110の方式に合わせてNTSC映像信号又はPAL映像信号に変換するようにしてもよい。
【0068】
以上説明した構成によれば、携帯端末装置から外部機器へ音声信号をラジオ放送波に乗せて送信し、受信側の外部機器を改造することなく、外部機器のラジオ放送受信機能を用いて音声信号をより高音質な環境で再生することができる。
【0069】
また、携帯端末装置の表示画面に表示された映像だけでなく、携帯端末装置のメモリ等に記録されている映像信号をテレビジョン受像機等の外部機器に送信し、表示させてもよい。このとき、映像信号送信用メニュー画面に送信可能な映像信号の一覧を表示(リストアップ)し、利用者に選択させるようにしてもよい。同様に、携帯端末装置のメモリ等に記録されている音声信号をテレビジョン受像機等の外部機器に送信し、音声を再生させてもよい。
【0070】
本発明は、上述した各実施の形態例に限定されるものではなく、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲において、更に種々の変形、変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の概念を模式的に表した図である。
【図2】本発明の一実施の形態例に係る携帯端末装置のブロック構成例を示した図である。
【図3】本発明の一実施の形態例に係る携帯端末装置における、TV送信ユニットの構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態例に係る携帯端末装置における、各種の設定処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
100…携帯端末装置、102…画像(映像)、103…テレビジョン放送の周波数帯電波、110…テレビジョン受像機、111…表示部、207…表示部、208…赤外線通信部、220…制御部、301…TV送信ユニット、302…デジタル/NTSC変換回路、303…TV送信回路、304…アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示部と、音声を放音する音声出力部と、テレビジョン放送波を送信するアンテナを少なくとも備えた携帯端末装置であって、
映像信号及び/又は音声信号をテレビジョン放送周波数帯の所定チャンネルの電波を利用して前記アンテナよりテレビジョン放送波受信機能を有する外部機器へ出力するテレビジョン放送波送信手段を備える
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記テレビジョン放送波送信手段は、
デジタルの映像信号をアナログの映像信号に変換する映像信号変換部と、
前記映像信号変換部にて変換された前記アナログの映像信号と前記音声信号を前記テレビジョン放送波として送信できるように変調して前記アンテナへ出力するテレビジョン放送波出力部からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
テレビジョン放送周波数帯の空きチャンネルを調査する空きチャンネル調査部と、
前記空きチャンネル調査部で検出された空きチャンネルに基づき前記外部機器のチャンネル設定を行う制御部と、
前記外部機器と赤外線通信を行う赤外線通信部を備え、
前記制御部は、前記テレビジョン放送波送信手段により前記空きチャンネルを利用して前記外部機器へ前記映像信号を送信するとともに、前記赤外線通信部を介してチャンネル設定情報を前記外部機器へ送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、更に前記外部機器が送信された前記音声信号を再生する際の音量を所定の条件に応じて設定し、
前記送信指令を受けて、前記赤外線通信部を介して音量設定情報を前記外部機器へ送信し、前記外部機器へ送信した前記音声信号を、前記音量設定情報に基づく音量で再生させる
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記赤外線通信部から出力される赤外線を用いて、携帯端末装置と前記外部機器との距離を測定し、該測定により得られた距離に応じて前記外部機器の音量を設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記制御部は、1日の時刻に応じて前記外部機器の音量を設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
音声を電気信号に変換する収音部を備え、
前記制御部は、前記収音部で収音された音声の大きさに応じて前記外部機器の音量を設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
テレビジョン放送波の送信機能を備えた携帯端末装置からテレビジョン放送波受信機能を有する外部機器へ映像信号を送信する情報送信方法であって、
テレビジョン放送周波数帯の空きチャンネルを調査し、
映像信号を前記テレビジョン放送周波数帯の空きチャンネルの電波に重畳し、
外部からの送信指令を受けて、前記映像信号を前記テレビジョン放送周波数帯の空きチャンネルの電波に乗せて前記外部機器へ送信するとともに、赤外線通信により前記空きチャンネルの情報を送信し、
前記外部機器のチャンネル設定を前記空きチャンネルに合わせ、前記外部機器へ送信した前記映像信号を、前記空きチャンネルを使用して前記外部機器の表示画面に表示させる
ことを特徴とする情報送信方法。
【請求項9】
更に前記外部機器が音声信号を再生する際の音量を所定の条件に応じて設定し、
前記送信指令を受けて、音声信号を前記テレビジョン放送周波数帯の空きチャンネルの電波に乗せて前記外部機器へ送信するとともに、赤外線通信により前記音量の設定情報を送信し、
前記外部機器へ送信した前記音声信号を前記送信した設定情報に基づく音量で再生させる
ことを特徴とする請求項8に記載の情報送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−134896(P2007−134896A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325004(P2005−325004)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】