説明

携帯端末

【課題】携帯端末の使用者が記憶部に記憶された通信先とは異なる通信先に対する通信の要求を行ったことを他者が知ることができる携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、通信を行う通信部12と、通信先を記憶可能なアドレス帳25と、アドレス帳25に記憶された通信先とは異なる通信先に対する通信の要求が行われると、アドレス帳25に記憶された所定の通信先に対する通信を通信部12により行う制御部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信部により通信を行う携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記憶部に記憶された通信先とは異なる通信先に対する通信の要求があると、その通信の要求を破棄して通信を行わないという技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−332818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、携帯端末の使用者がそのような通信の要求を行ったことを他者が知ることができないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたもので、携帯端末の使用者が記憶部に記憶された通信先とは異なる通信先に対する通信の要求を行ったことを他者が知ることができる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第一の観点の携帯端末は、通信を行う通信部と、通信先を記憶可能な第1の記憶部と、第1の記憶部に記憶された通信先とは異なる通信先に対する通信の要求が行われると、第1の記憶部に記憶された所定の通信先に対する通信を通信部により行う制御部とを備える。
【0007】
好適には、第1の記憶部とは異なり、緊急通報用の通信先が記憶された第2の記憶部を有し、制御部は、第2の記憶部に記憶された緊急通報用の通信先に対する通信の要求が行われると、所定の通信先に対する通信を前記通信部により行ってもよい。
【0008】
好適には、制御部は、所定の通信先に対する通信を通信部により行う場合、通信の要求を破棄してもよい。
【0009】
好適には、制御部は、通信の要求に係る情報を、通信部により所定の通信先に対して送信してもよい。
【0010】
好適には、制御部は、通信の要求に係る通信先を示す情報の量が、所定の情報の量よりも少ない場合、通信の要求が所定の回数行われると所定の通信先に対する通信を通信部により行ってもよい。
【0011】
好適には、制御部は、通信の要求に係る通信先を示す情報の量が、所定の情報の量以上である場合、通信の要求が所定の回数より多く行われた後に、所定の通信先に対する通信を通信部により行ってもよい。
【0012】
好適には、所定の報知を行う報知部を備え、制御部は、通信の要求が行われると、報知部により報知を行ってもよい。
【0013】
本発明の第二の観点の携帯端末は、通信を行う通信部と、通信先を記憶可能な第1の記憶部と、通信先を第1の記憶部に記憶させる操作を行うための操作部と、第1の記憶部に記憶された通信先とは異なる通信先を第1の記憶部に記憶させる操作が操作部に対して行われると、第1の記憶部に記憶された所定の通信先に対する通信を通信部により行う制御部とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯端末の使用者が記憶部に記憶された通信先とは異なる通信先に対する通信の要求を行ったことを他者が知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る携帯電話機の内部回路を示すブロック図である。
【図2】図1中のアドレス帳のデータ構造の説明図である。
【図3】図1の携帯電話機でのいたずら電話防止機能の設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図1の携帯電話機の第1モードでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図1の携帯電話機の第2モードでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図1の携帯電話機の発呼可能範囲の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話機の内部回路を示すブロック図である。
【図8】図7中の緊急通報用記憶部のデータ構造の説明図である。
【図9】図7の携帯電話機の第1モードの処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る携帯電話機の第1モードでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る携帯電話機の第1モードでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る携帯電話機の第1モードでの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る携帯電話機1の内部回路を示すブロック図である。
この携帯電話機1は、親が子供に買い与えて、子供の使用に適した携帯電話機(子機)1である。
【0017】
図1の携帯電話機1は、操作部11、通信部12、制御部13、記憶部14、バッテリ16、電源制御部15、CODEC(COder DECorder)部17、撮像部18、マイクロホン19、表示部20、近距離通信部21、スピーカ22を有する。
【0018】
なお、携帯電話機1は、上部筐体31と下部筐体32とが図示外のヒンジにより折りたたみ可能に接続されたハウジングを有する。
そして、内部回路は、上部筐体31と下部筐体32とに分散して配置されている。具体的には、表示部20、近距離通信部21およびスピーカ22が上部筐体31に配設され、その他の内部回路が下部筐体32に配設されている。
【0019】
操作部11は、図示外の操作ボタン、たとえば数字ボタン、通話ボタン、登録ボタン、文字ボタン、方向ボタン、決定ボタン、発信ボタン、電源ボタン、ファンクションボタンなど、各種の機能が割り当てられたボタンを有する。そして、操作部11は、これらのボタンが操作者によって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これを操作者の指示として制御部13に出力する。
【0020】
通信部12は、送受信するデータを所定の中間周波数で変調するRF(Radio Frequency)モジュールなどを有する。そして、通信部12は、携帯電話用の無線通信システムを捕捉し、通信ネットワークに接続される基地局との間で無線通信によりデータを送受する。
通信部12と基地局との間で送受されるデータには、たとえば音声信号をデジタルデータ化した音声データ、電子メールデータ、ウェブページデータなどがある。
また、通信部12は、受信したデータを含む信号を制御部13へ出力し、制御部13から出力された信号に含まれる送信データを送信する。
【0021】
電源制御部15は、バッテリ16の蓄電電力を内部回路へ供給する。この供給電力により、内部回路は動作する。
【0022】
CODEC部17は、マイクロホン19から入力された音声信号を音声データへ変換し、その音声データを含む信号を制御部13へ出力する。
また、CODEC部17は、制御部13が出力した信号に含まれる音声データを音声信号へ変換し、スピーカ22へ供給する。
【0023】
撮像部18は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の光電変換素子を有する。そして、撮像部18は、静止画、動画などの画像を撮像し、撮像データを含む信号を制御部13へ出力する。
【0024】
表示部20は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display Device)や有機EL(Electro-Luminescence)デバイスなどを有し、制御部13が出力した信号に含まれる撮像データを表示する。そして、表示部20は、記憶部14に記憶されたアドレス帳25の情報や設定データ26の情報などを表示する。
【0025】
近距離通信部21は、たとえばBluetooth(登録商標)モジュール、赤外線モジュールおよびFeliCa(登録商標)モジュールなどを有し、携帯電話機1の近くにある別の携帯電話機やリーダライタなどと通信する。近距離通信部21は、たとえば親機41からアドレス帳25などを取得する。
また、近距離通信部21は、受信したデータを含む信号を制御部13へ出力し、制御部13から出力された信号に含まれる送信データを送信する。
【0026】
記憶部14は、たとえば不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などにより構成される。
そして、記憶部14は、携帯電話機1の各種処理に利用される各種のデータを記憶する。記憶部14は、例えば、制御部13が実行するコンピュータのプログラム、通信相手の電話番号や電子メールアドレス等の通信先を管理するアドレス帳25、各種の設定データ26、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータなどを記憶する。
また、記憶部14は、制御部13から出力された信号に含まれるデータを記憶し、記憶するデータを含む信号を制御部13へ出力する。
【0027】
図2に、アドレス帳25(第1の記憶部)のデータ構造の一例を示す。
アドレス帳25は、複数のレコードで構成され、各レコードに各通信相手の通信先を有する。
各レコードには、図2の各行に示すように、通信相手毎に、名前、複数の電話番号、複数の電子メールアドレス、URL(Uniform Resource Locator)などの通信先を登録することができる。
【0028】
そして、アドレス帳25には、親機41の電話番号が登録される。なお、親機41の電話番号は、制御部13が格納位置を特定できるようにアドレス帳25の所定のレコード、たとえば先頭レコードに記憶されていればよい。
【0029】
設定データ26は、携帯電話機1の使用時に参照するデータである。設定データ26には、たとえば、いたずら電話防止機能の有効無効の設定データ、いたずら電話防止機能の動作モードのデータ、アドレス帳25に対する新規登録権限の設定データ、アドレス帳25変更時の親機41への通知要否の設定データなどが含まれる。
【0030】
制御部13は、記憶部14に格納されたプログラム、たとえばオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等に基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えている。
【0031】
そして、制御部13は、携帯電話機1の動作を制御する。すなわち、制御部13は、携帯電話機1の各種処理が操作部11の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各制御ブロックの動作を制御する。
【0032】
なお、制御部13が制御する各種処理には、たとえば、回線交換網を介して行われる音声通話、アドレス帳25の更新、電子メールの作成と送受信、インターネットのWeb(World Wide Web)サイトの閲覧などがある。
また、制御部13が制御する各制御ブロックの動作には、たとえば、通信部12における信号の送受信、CODEC部17における音声入出力、表示部20における画像の表示、撮像部18における撮像処理などがある。
【0033】
次に、図1の携帯電話機1におけるいたずら電話防止機能について説明する。
【0034】
[初期設定動作]
まず、親機41の保有者は、携帯電話機1に対して必要な設定操作を行う。具体的には、アドレス帳25への親機41の通信先の登録、アドレス帳25に対する新規登録権限の設定、いたずら電話防止機能の設定などを行う。この設定は、携帯電話機1を直接操作して行ってもよいし、Bluetooth(登録商標)等の近距離通信によって行ってもよい。
【0035】
親機41の通信先をアドレス帳25に登録する場合、親機41の保有者は、携帯電話機1の操作部11の操作ボタンを操作して、親機41の電話番号や電子メールアドレスを入力する。操作部11は、電話番号や電子メールアドレスのデータを制御部13へ出力し、制御部13は、これを記憶部14に登録する。
これにより、記憶部14のアドレス帳25に、親機41の電話番号や電子メールアドレスが登録される。なお、親機41の保有者は、この他にも親機41以外の電話番号や電子メールアドレスを登録してもよい。
【0036】
アドレス帳25に対する新規登録権限を設定する場合、親機41の保有者は、携帯電話機1の操作部11を操作して、アドレス帳25のデータを追加削除更新する場合のパスワードなどを設定する。なお、パスワードは、設定データ26の一種として記憶部14に記憶されればよい。
パスワードの設定などにより新規登録権限が制限されることで、携帯電話機1の操作部11を操作しても、アドレス帳25に通信相手の電話番号などの通信先を新規に登録することができなくなる。
【0037】
図3は、いたずら電話防止機能設定時の制御部13の動作の流れを示すフローチャートである。
【0038】
いたずら電話防止機能設定時には、制御部13は、まず、いたずら電話防止機能の設定項目の表示データを記憶部14から読み出し、表示部20へ出力する(ステップST1)。これにより、表示部20には、いたずら電話防止機能の設定項目が表示される。表示部20には、たとえば、いたずら電話防止機能の有効無効の設定項目、いたずら電話防止の動作モードの設定項目などが表示される。
【0039】
表示部20にいたずら電話防止機能の設定項目が表示されると、親機41の保有者は、操作部11を操作して、各項目の設定値を入力する。操作部11は、この各項目の設定値を制御部13へ出力する。
【0040】
各項目の設定値が決定されると、制御部13は、決定された設定値に基づいて、設定処理を行う。制御部13は、まず、いたずら電話防止機能を利用するか否かを判断する(ステップST2)。
【0041】
ここで、制御部13がいたずら電話防止機能を利用しないと判断した場合、携帯電話機1は、通常の動作を行うので、任意の電話番号へ自由に発呼できる(ステップST3)。
【0042】
一方、ステップST2でいたずら電話防止機能を利用すると判断した場合、制御部13は、さらにいたずら電話防止機能の設定モードを判断する(ステップST4)。制御部13は、判断した設定モードを記憶部14に記憶させる(ステップST5〜ST6)。
【0043】
なお、いたずら電話防止機能の動作モードには、アドレス帳25に登録された通信先とは異なる通信先に対する通信が行われると記憶部14に記憶された所定の通信先に対して通信を行う第1モードと、登録されていない通信先をアドレス帳25に対して新規登録する操作が行われると所定の通信先に対して通知を行う第2モードとがある。
【0044】
[第1モードでの動作]
初期設定を終えた携帯電話機1を用いて電話をかける場合、子供は、たとえば操作部11の数字ボタンを操作して電話番号を入力し、さらに通話ボタンを操作する。これにより、操作部11は、電話番号のデータを制御部13へ出力する。制御部13は、入力された電話番号の電話機と通話回線を確立するための処理を開始する。
【0045】
制御部13は、通話回線確立処理中に、記憶部14から設定データ26を読み込み、いたずら電話防止機能の利用の有無、およびいたずら電話防止機能の設定モードを判断する。
そして、いたずら電話防止機能の設定が有効であり、かつアドレス帳25に登録された通信先のみ発呼を可能にする第1モードが設定されている場合、制御部13は、第1モードでの通話先確認処理を開始する。
【0046】
図4は、図1の携帯電話機1の第1モードでの制御部13の処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
第1モードでの通話先確認処理において、制御部13は、まず、操作部11の数字ボタンにより入力された電話番号が、アドレス帳25に登録済みの電話番号であるか否かを判断する(ステップST11)。
たとえば、制御部13は、記憶部14からアドレス帳25に登録されている電話番号を順次読み込み、操作部11により入力された電話番号と一致するか否かを判断する。そして、一致と判断することなく、アドレス帳25に登録されているすべての電話番号について比較が終わると、制御部13は、通話先の電話番号がアドレス帳25に登録済みの電話番号ではないと判断すればよい。
【0048】
操作部11により入力された電話番号と一致する電話番号がアドレス帳25に登録されていた場合、制御部13は、その電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST12)。
【0049】
一方、ステップST11において、操作部11により入力された電話番号と一致する電話番号がアドレス帳25に登録されていなかった場合(アドレス帳25に記憶されたものとは異なる通信先に対する通信の要求が行われた場合)、制御部13は、操作部11により入力された電話番号を破棄し、記憶部14のアドレス帳25から、親機41の電話番号を読み込む(ステップST13)。
その後、制御部13は、親機41の電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST14)。
【0050】
[第2モードでの動作]
図1の携帯電話機1において、いたずら電話防止機能の設定が有効であり、かつ第2モードが設定されていた場合、制御部13は、第2モードでの通話先確認処理を開始する。
【0051】
図5は、図1の携帯電話機1の第2モードでの制御部13の処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
第2モードでの通話先確認処理において、制御部13は、まず、操作部11の数字ボタンにより入力された通話先の電話番号が、アドレス帳25に登録済みの電話番号であるか否かを判断する(ステップST21)。
そして、操作部11により入力された電話番号と一致する電話番号がアドレス帳25に登録されていた場合、制御部13は、その電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST23)。
【0053】
また、操作部11により入力された電話番号と一致する電話番号がアドレス帳25に登録されていなかった場合、制御部13は、さらに新規登録するか否かを判断する(ステップST24)。
制御部13は、たとえば操作部11の通話ボタンが操作されていた場合、新規登録しないと判断し、登録ボタンが操作されていた場合、新規登録すると判断すればよい。
【0054】
そして、新規登録しないと判断した場合、制御部13は、記憶部14のアドレス帳25から、親機41の電話番号を読み込む(ステップST25)。
その後、制御部13は、親機41の電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST26)。
【0055】
一方、ステップST24において制御部13が新規登録すると判断した場合、携帯電話機1側に新規登録権限が付与されているか否かを判断する(ステップST27)。
具体的には、制御部13は、記憶部14から、アドレス帳25に対する新規登録権限の設定データ26を読み込み、読み込んだ値に基づいて権限の有無を判断すればよい。
【0056】
そして、携帯電話機1に新規登録権限が付与されていないと判断した場合、制御部13は、記憶部14のアドレス帳25から、親機41の電話番号を読み込む(ステップST28)。
その後、制御部13は、親機41の電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST29)。
【0057】
一方、ステップST27において制御部13が携帯電話機1に新規登録権限が付与されていると判断した場合、制御部13は、操作部11により入力された電話番号を記憶部14へ出力する(ステップST30)。
これにより、図2のアドレス帳25には、新たな電話番号が登録される。すなわち、新規登録権限が付与されている携帯電話機1では、発呼時に、アドレス帳25に新たな電話番号を登録することができる。
【0058】
操作部11により入力された電話番号をアドレス帳25に登録した後、制御部13は、親機41への変更通知の要否を判断する(ステップST31)。
具体的にはたとえば、制御部13は、アドレス帳25変更時の親機41への通知要否の設定データ26を記憶部14から読み込み、その値に応じて通知要否を判断すればよい。
【0059】
そして、親機41への通知が必要であると判断した場合、制御部13は、親機1に対して通知を行う。例えば、制御部13は、記憶部14のアドレス帳25から、親機41の電子メールアドレスを読み込む(ステップST32)。
その後、制御部13は、読み込んだ電子メールアドレス宛ての電子メールを作成し、この電子メールに、アドレス帳25に新規登録した電話番号を添付して、通信部12へ出力する。
これにより、携帯電話機1の通信部12から、親機41宛ての電子メールが送信され、親機41に対する通信が行われる。
【0060】
親機41に新規登録を通知した後、制御部13は、再度、操作部11により入力された電話番号が、アドレス帳25に登録済みの電話番号であるか否かを判断する(ステップST21)。
この時点では、操作部11により入力された電話番号は、アドレス帳25に登録されている。
したがって、制御部13は、登録されていると判断し、操作部11により入力された電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST23)。
【0061】
また、ステップST31において親機41への通知が不要であると判断した場合にも、制御部13は、再度、操作部11により入力された電話番号が、アドレス帳25に登録済みの電話番号であるか否かを判断する(ステップST21)。
この場合にも、操作部11により入力された電話番号は、アドレス帳25に登録されている。
したがって、制御部13は、登録されていると判断し、操作部11により入力された電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST23)。
【0062】
図6は、このいたずら電話防止機能が有効である場合の、携帯電話機1の通話可能範囲を説明するための説明図である。
図6には、携帯電話機1、基地局44および親機41の他に、携帯電話機1の記憶部14に電話番号が登録された第2の携帯電話機42、携帯電話機1の記憶部14に電話番号が登録されていない第3の携帯電話機43が図示されている。
【0063】
図6の場合、携帯電話機1は、記憶部14に電話番号が登録されている親機41と、第2の携帯電話機42とに発呼することができるが、記憶部14に電話番号が登録されていない第3の携帯電話機43に対して発呼することができない。
【0064】
以上のように、第1の実施の形態に係る携帯電話機1は、第1モードでは、使用者が記憶部14のアドレス帳25に登録されている通信先とは異なる通信先に対して通信を行おうとした場合、その通信先に対する通信の要求を破棄して、親機41(所定の通信先)に対して通信を行う。
これにより、子供がアドレス帳25に登録されているものとは異なる通信先に対する通信の要求を行ったことを親が知ることができる。
【0065】
また、第1の実施の形態に係る携帯電話機1は、第2モードでは、アドレス帳25に登録されているものとは異なる通信先を新たに登録しようとする操作が行われた場合、親機41へ変更内容を通知することができる。
これにより、親は、携帯電話機1に新たな通信先が登録されたことを知ることができる。
【0066】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話機1の内部回路を示すブロック図である。
第2の実施の形態に係る携帯電話機1は、記憶部14が、緊急通報用記憶部51(第2の記憶部)を有する点で、第1の実施の形態に係る携帯電話機1と相違する。
【0067】
図8に、緊急通報用記憶部51のデータ構造の一例を示す。
緊急通報用記憶部51は、複数のレコードで構成される。各レコードには、図8の各行に示すように、緊急通報先(たとえば警察や消防)毎に、通報先の名称、電話番号、電子メールアドレス、URLなどが登録されている。
なお、緊急通報用記憶部51は、アドレス帳25とは異なり、予め記憶部14に記憶されたものである。親機41の使用者は、緊急通報用記憶部51の利用の有無を設定することができる。この設定値は、設定データ26として記憶部14に記憶される。
【0068】
図9は、第2の実施の形態において携帯電話機1の制御部13が、第1モードにおいて実行する処理の流れを示すフローチャートである。図9のフローチャートは、ステップST41を除き図4と同様である。
【0069】
そして、制御部13は、第1モードでの通話先確認処理において、まず、操作部11により入力された電話番号と一致する電話番号が緊急通報用記憶部51に登録されているか否かを判断する(ステップST41)。
【0070】
そして、操作部11により入力された電話番号が緊急通報用記憶部51に登録されている場合、制御部13は、記憶部14のアドレス帳25から、親機41の電話番号を読み込む(ステップST13)。
その後、制御部13は、親機41の電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST14)。
【0071】
また、操作部11により入力された電話番号が緊急通報用記憶部51に登録されていない場合、制御部13は、次に、その電話番号が、アドレス帳25に登録されているか否かを判断する(ステップST41)。
【0072】
そして、操作部11により入力された通話先の電話番号が、アドレス帳25に登録されていると判断した場合、制御部13は、操作部11により入力された電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST12)。
【0073】
また、操作部11により入力された電話番号がアドレス帳25に登録されていない場合、制御部13は、記憶部14のアドレス帳25から、親機41の電話番号を読み込む(ステップST13)。
その後、制御部13は、親機41の電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST14)。
【0074】
以上のように、第2の実施の形態に係る携帯電話機1は、使用者が緊急通報先に対する通信を行おうとした場合、親機41に対する通信を行う。
よって、緊急通報先に対する通信が行われようとしていたことを親が知ることができる。
【0075】
本発明の第3の実施の形態に係る携帯電話機1の構成は、図1の第1の実施の形態に係る携帯電話機1と同じである。
そして、第3の実施の形態に係る携帯電話機1の制御部13は、第1モードでの通話先確認処理において、図10のフローチャートに示す処理を実行する。
【0076】
図10のフローチャートは、ステップST51を除き図4と同様である。制御部13は、記憶部14のアドレス帳25から、ステップST13〜ST14において、親機41の電話番号を読み込み、親機41の電話番号を用いて通話回線を確立した後、操作部11により入力された電話番号を親機41へ通知する(ステップST51)。
【0077】
このステップST51の電話番号の通知処理において、制御部13は、たとえば、操作部11により入力された電話番号をCODEC部17へ出力する。CODEC部17は、電話番号を読み上げた音声データを生成し、制御部13へ返す。制御部13は、この音声データ(通信の要求に係る情報)を通信部12に送信させる。
【0078】
これにより、親機41へ音声データが送信され、親機41のCODEC部17により音声信号が生成され、親機41のスピーカ22から、入力された電話番号が出力される。
【0079】
以上のように、第3の実施の形態では、親機41との通話回線を確立した後、携帯電話機1から親機41に対して携帯電話機1に入力された電話番号を読み上げた音声データを送信し、親機41においてその電話番号を出力することができる。
これにより、親機41の使用者は、この電話番号の出力の有無に基づいて、携帯電話機1からの通信が、子供が親にかけようとしてなされた通信であるか、または、登録されていない通信先にかけようとしてなされた通信であるのかを容易に判断することができる。
【0080】
なお、制御部13は、入力された電話番号を電子メールに添付して親機41へ送信した後、親機41との回線を確立するようにしてもよい。
【0081】
本発明の第4の実施の形態に係る携帯電話機1の構成は、図1の第1の実施の形態に係る携帯電話機1と同じである。
そして、第4の実施の形態に係る携帯電話機1の制御部13は、第1モードでの通話先確認処理において、図11のフローチャートに示す処理を実行する。
【0082】
図11のフローチャートのステップST11において、操作部11により入力された電話番号と一致する電話番号がアドレス帳25に登録されていなかった場合、制御部13は、さらに、入力された電話番号の桁数が、設定データ26に登録されている所定の桁数(例えば11桁)より小さいか否かを判断する(ステップST61)。
【0083】
そして、入力された電話番号の桁数が所定の桁数より小さい場合、制御部13は、記憶部14のアドレス帳25から、親機41の電話番号を読み込む(ステップST13)。
その後、制御部13は、親機41の電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST14)。
【0084】
入力された電話番号の桁数が所定の桁数以上である場合、制御部13は、制御変数n(nは自然数)に1を加え(ステップST62)、制御変数nの値が所定値N(Nは2以上の自然数)以上であるか否かを判断する(ステップST63)。
【0085】
そして、制御変数nの値が所定値N以上である場合、制御部13は、制御変数nを0にリセットした後(ステップST64)、記憶部14のアドレス帳25から、親機41の電話番号を読み込む(ステップST13)。
その後、制御部13は、親機41の電話番号を用いて、通話回線を確立する(ステップST14)。
【0086】
また、制御変数nの値が所定値N以上でない場合、制御部13は、操作部11により入力された電話番号に対する発呼を破棄して、通話処理を終了する(ステップST65)。
【0087】
以上のように、第4の実施の形態では、制御部13は、入力された電話番号(通信の要求に係る通信先)の桁数(情報の量)が、記憶部14の設定データ26に記憶された所定の桁数(所定の情報の量)よりも少ない場合、親機41に対する通信を通信部12により行う。
したがって、携帯電話機1の使用者は、たとえば緊急時などにおいて1桁の適当な番号を押して発信することにより、すぐに所定の通信先に対して通信することができる。
【0088】
また、第4の実施の形態では、制御部13は、入力された電話番号(通信の要求に係る通信先)の桁数(情報の量)が、記憶部14の設定データ26に記憶された所定の桁数(所定の情報の量)以上である場合には、その多い桁数の通信要求が複数回行われることにより初めて、親機41に対する通信を通信部12により行う。
よって、たとえば入力された電話番号の桁数が所定の桁数よりも少ない場合と、桁数が同じ場合および多い場合とで、制御内容を異ならせて操作性を向上させることができる。
【0089】
本発明の第5の実施の形態に係る携帯電話機1の構成は、図1の第1の実施の形態に係る携帯電話機1と同じである。
そして、第5の実施の形態に係る携帯電話機1の制御部13は、第1モードでの通話先確認処理において、図12のフローチャートに示す処理を実行する。
【0090】
図12のフローチャートは、ステップST71を除き図4と同様である。ステップST11において、操作部11により入力された電話番号と一致する電話番号がアドレス帳25に登録されていなかった場合、制御部13は、報知処理を実行する(ステップST71)。
制御部13は、たとえば表示部20に未知の第三者に発呼しようとしていることを警告する表示をさせたり、CODEC部17に同様の内容の音声データを変換させたりすればよい。なお、制御部13は、図示外のバイブレータで通常とは異なる振動を発生させてもよい。
【0091】
その後、制御部13は、記憶部14のアドレス帳25から、親機41の電話番号を読み込み、読み込んだ親機41の電話番号を用いて通話回線を確立する(ステップST13〜ST14)。
【0092】
以上のように、第5の実施の形態では、アドレス帳25に登録されていない通信先に対する通信の要求が行われると、表示部20、スピーカ22などにより報知を行う。
これにより、携帯電話機1を使用する子供に対して、アドレス帳25に登録されているものとは異なる通信先に対して通信をしようとしていることを認識させることができる。
【0093】
以上の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0094】
例えば、上記各実施の形態では、携帯電話機1に電話番号が入力され、この電話番号に対して発呼する場合において、通信相手の電話番号がアドレス帳25に登録されているものと異なる場合に、親機41に対して発呼しているが、本発明はこれに限定されず、携帯電話機1において、電子メールアドレス、URL、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントなどの通信先に対して通信を行う場合において、通信先がアドレス帳25に登録されているものとは異なるときに、親機41に対して通信を行うようにしてもよい。
【0095】
また、上記各実施の形態では、携帯端末として、携帯電話機1を挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されず、通信部により通信を行うものであれば、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルハンディフォン、携帯ゲーム機などの携帯端末であってもよい。
【0096】
また、上記各実施の形態では、携帯電話機1において入力された通信先がアドレス帳25に記憶されたものであるか否かを判断しているが、本発明はこれに限定されず、基地局44において上記の判断を行うようにしてもよい。
【0097】
また、上記各実施の形態では、アドレス帳25に記憶されている通信先とは異なる通信先に対する通信の要求は破棄されるが、本発明はこれに限定されず、例えばアドレス帳25に記憶されていないメールアドレスに対してメールを送信しようとした場合、当該メールアドレスに対するメールの送信を破棄せずにそのまま行い、かつ所定のメールアドレスに対してメールを送信してもよい。
【0098】
また、上記各実施の携帯では、アドレス帳25に記憶されているものとは異なる通信先に対する通信の要求が行われた場合または記憶されているものとは異なる通信先を記憶させる操作がなされた場合に所定の通信先に対して通信を行っているが、本発明はこれに限定されず、アドレス帳25に記憶されているものとは異なる通信先に係る他の操作が行われた場合に所定の通信先に対して通信を行ってもよい。
【0099】
また、上記第4の実施の形態では、通信先の情報の量として電話番号の桁数を挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されず、例えば電子メールアドレスの文字数であってもよい。
【0100】
また、上記第4の実施の形態では、入力された電話番号の桁数が設定データ26に記憶された所定の桁数より小さい場合には当該電話番号に対する発呼の要求が1回あると親機41の電話番号に対して発呼を行い、入力された電話番号の桁数が所定の桁数以上である場合には当該電話番号に対する発呼の要求が複数回あると親機41の電話番号に対して発呼を行うが、本発明はこれに限定されず、所定の桁数より大きい場合に発呼の要求を行う回数が、所定の桁数より小さい場合の回数よりも多ければよい。
【符号の説明】
【0101】
1・・・携帯電話機(携帯端末)、12・・・通信部、13・・・制御部、14・・・記憶部、20・・・表示部(報知部)、22・・・スピーカ(報知部)、25・・・アドレス帳(第1の記憶部)、51・・・緊急通報用記憶部(第2の記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信を行う通信部と、
通信先を記憶可能な第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された通信先とは異なる通信先に対する通信の要求が行われると、前記第1の記憶部に記憶された所定の通信先に対する通信を前記通信部により行う制御部と
を備える携帯端末。
【請求項2】
前記第1の記憶部とは異なり、緊急通報用の通信先が記憶された第2の記憶部を有し、
前記制御部は、前記第2の記憶部に記憶された緊急通報用の通信先に対する通信の要求が行われると、前記所定の通信先に対する通信を前記通信部により行う
請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定の通信先に対する通信を前記通信部により行う場合、前記通信の要求を破棄する
請求項1または2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信の要求に係る情報を、前記通信部により前記所定の通信先に対して送信する
請求項1から3のいずれか一項記載の携帯端末。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信の要求に係る通信先を示す情報の量が、所定の情報の量よりも少ない場合、前記通信の要求が所定の回数行われると前記所定の通信先に対する通信を前記通信部により行う
請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信の要求に係る通信先を示す情報の量が、前記所定の情報の量以上である場合、前記通信の要求が前記所定の回数より多く行われた後に、前記所定の通信先に対する通信を前記通信部により行う
請求項5記載の携帯端末。
【請求項7】
所定の報知を行う報知部を備え、
前記制御部は、前記通信の要求が行われると、前記報知部により報知を行う
請求項1から6のいずれか一項記載の携帯端末。
【請求項8】
通信を行う通信部と、
通信先を記憶可能な第1の記憶部と、
通信先を前記第1の記憶部に記憶させる操作を行うための操作部と、
前記第1の記憶部に記憶された通信先とは異なる通信先を前記第1の記憶部に記憶させる操作が前記操作部に対して行われると、前記第1の記憶部に記憶された所定の通信先に対する通信を前記通信部により行う制御部と
を備える携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−177967(P2010−177967A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17363(P2009−17363)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】