説明

携帯端末

【課題】より小型構成で端末内に記録媒体を収容することができ、且つ、記録媒体の装着操作の正確化、容易化を実現可能な携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯型情報読取装置1は、ケース50内に電池収容部53、記録媒体収容部70及びガイド部材80を備えている。記録媒体収容部70の挿入口71は、電池収容部53側に面し、電池17に隠される深さで電池収容部53と連通して設けられている。ガイド部材80は、挿入口71に隣接して配置されベース部81に対し弾性的に変位可能なガイド片82を備えている。ガイド片82は、非操作時に所定の初期位置に設定され、押圧操作がなされたときに初期位置から弾性的に変位して所定の退避位置に設定され、退避位置となった場合に、当該ガイド片82に沿って記録媒体収容部70側に移動操作される記録媒体100を挿入口71の開口領域内に案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯型バーコードリーダ等の携帯端末の分野では、SDカードなどのカード状の記憶媒体を収容する媒体収容部を備えた構成が提供されている。この種の携帯端末は、一般的には、端末内部に設けられた挿入口を介して記録媒体を抜き差し可能としており、これにより、必要に応じて外部記憶媒体を装着/離脱できるようにしている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に示す携帯端末装置では、筐体本体部(21)に、バッテリ(17)を収容するバッテリ収容部(19)が形成されており、バッテリ収容部(19)の内壁(21a)において、バッテリ(17)の厚みにより隠れない領域に、SDカードなどのメモリーカードが挿入されるカード挿入部(27)が設けられている。また、このカード挿入部(27)にはガイド部(27a)が、当該カード挿入部(27)の縁部からバッテリ収容部(19)側へ突出するように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−111572公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記携帯端末は、様々な場所に携帯されて使用されることが想定されるため、携帯性の向上を図るべく小型化が特に要求されている。しかしながら、上記特許文献1のように、電池の収容位置よりも外側(カバー部材側)の位置にまで記録媒体の挿入口や記録媒体の収容部を配置すると、電池よりも外側(カバー部材側)の位置に別途必要なスペースを確保する必要があるため、筐体において電池収容部付近の厚さの増大が避けられず、端末全体の小型化を図ることが難しかった。
【0006】
一方、端末の厚さ方向のコンパクト化を図るべく、記録媒体の挿入口や収容部を電池に隠される位置(電池収容部の奥深く等)に配置する方法なども考えられる。しかしながら、このように電池収容部の奥まった位置に挿入口を設けると、視認性の低下やスペース的な制約に起因して記録媒体を挿入口内に正確に挿入し難くなり、記録媒体を着脱する際の操作性を低下させてしまうという問題がある。特に、奥まった位置に配置された挿入口に記録媒体を挿入しようとすると、記録媒体の挿入側の端部が円滑に挿入口内に入りにくく、端部が挿入口付近で引っ掛かりやすいため、正確に挿入されるまで何度も挿入操作を繰り返したり、或いは引っ掛かり時に記録媒体を落としてしまうといったことも懸念される。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、より小型構成で端末内に記録媒体を収容することができ、且つ、記録媒体の装着操作の正確化、容易化を実現可能な携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ケース内に電池を収容する電池収容部が設けられた携帯端末であって、前記電池収容部と連通して設けられると共に、前記電池収容部側に面する挿入口を備え、前記挿入口を介して記録媒体を挿入可能に構成された記録媒体収容部と、前記ケースに固定又は前記ケースと一体的に構成されるベース部と、前記挿入口に隣接して配置されると共に前記ベース部に対し弾性的に変位可能なガイド片とを備えたガイド部材と、を有し、前記記録媒体収容部の前記挿入口は、前記電池収容部において前記電池に隠される深さで連通しており、前記ガイド片は、非操作時には所定の初期位置に設定され、前記挿入口から退避する側に押圧操作がなされたときに前記初期位置から弾性的に変位して所定の退避位置に設定される構成をなし、前記退避位置となった場合に、当該ガイド片に沿って前記記録媒体収容部側に移動操作される前記記録媒体を前記挿入口の開口領域内に案内することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯端末において、前記露出部は、前記挿通孔から前記外壁部の壁面に沿って所定方向に延びており、前記閉塞部材は、前記挿通孔と前記露出部の外周縁とを連続的に覆う構成で配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の携帯端末において、前記記録媒体は、板状に構成されたカード媒体からなり、前記挿入口は、前記ガイド片の板面方向に沿って細長に形成されており、前記ガイド片の板面を前記記録媒体の板面で押圧する押圧操作がなされて前記ガイド片が前記退避位置となった場合、前記ガイド片における被押圧側板面の端部と前記挿入口の長手方向の内縁部とが面一に設定され、前記ガイド片は、前記被押圧側板面の端部と前記挿入口の長手方向の内縁部とが面一に設定されたとき、当該ガイド片の前記被押圧側板面に沿って前記記録媒体収容部側に移動操作される前記記録媒体を、前記挿入口の前記内縁部に沿った位置又は前記内縁部よりも内側の位置に案内することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記ガイド片は、押圧操作がなされない非操作時には、少なくとも一部が前記挿入口と対向して配置される対向位置に設定され、前記挿入口から退避する側に押圧操作がなされたときに前記退避位置に設定される構成をなし、前記退避位置となった場合には、当該ガイド片に沿って前記記録媒体収容部側に移動操作される前記記録媒体を前記挿入口の開口領域内側に案内し、前記記録媒体が前記記録媒体収容部内に収容されて押圧操作が解除された場合には、前記対向位置に弾性的に復帰して前記記録媒体収容部からの前記記録媒体の離脱を拘束することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記ガイド片の厚さが前記記録媒体の厚さよりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、電池収容部側に面する挿入口を備えると共に当該挿入口を介して記録媒体を挿入可能に構成された記録媒体収容部が設けられている。そして、この記録媒体収容部の挿入口は、電池収容部において電池に隠される深さで連通している。この構成によれば、ケース内部の奥まった位置に記録媒体を収容することができるため、電池よりも外側の浅い位置に挿入口や電池収容部のスペースを大きく割く必要がなくなる。従って、携帯端末において電池収容部付近の厚みを抑えることができ、効果的に小型化を図ることができる。
また、ケースに固定又はケースと一体的に構成されるベース部と、挿入口に隣接して配置されると共にベース部に対し弾性的に変位可能なガイド片とを備えたガイド部材が設けられている。更に、ガイド片は、非操作時には所定の初期位置に設定され、挿入口から退避する側に押圧操作がなされたときに初期位置から弾性的に変位して所定の退避位置に設定される構成をなし、退避位置となった場合に、当該ガイド片に沿って記録媒体収容部側に移動操作される記録媒体を挿入口の開口領域内に案内するように構成されている。
この構成では、ガイド部材のガイド片を退避位置側に押圧すると共に当該ガイド片に沿って記録媒体を記録媒体収容部側に移動操作したときに、退避位置となったガイド片によって当該記録媒体が挿入口の開口領域内に案内されるため、記録媒体を直接挿入口に対して位置合わせしにくい構成(挿入口付近の視認性が低い構成、挿入口付近に操作のためのスペースが少ない構成等)であったとしても、記録媒体の挿入側の端部が挿入口に円滑に案内されるようになる。従って、記録媒体収容部を奥まった位置に配置して携帯端末の小型化を図りつつ、当該記録媒体収容部への記録媒体の装着操作を正確化、容易化することができる。
【0014】
請求項2の発明では、ガイド片が板状に構成されると共に、ベース部から挿入口側に片持ち状に延びており、当該ガイド片に対して板厚方向に押圧操作がなされたときに少なくとも当該ガイド片の先端部側が弾性的に撓み変形するように構成されている。そして、ガイド片が退避位置となったとき、ガイド片の押圧される側の板面の延長上に、挿入口の開口領域又は開口領域の境界が位置するように構成されている。
この構成によれば、押圧操作に応じて初期位置から退避位置に弾性的に変位し、且つ退避位置のときに記録媒体を挿入口側により正確に案内し得るガイド片及びガイド部材をより簡易に実現できる。
【0015】
請求項3の発明では、記録媒体が板状に構成されたカード媒体からなり、挿入口は、ガイド片の板面方向に沿って細長に形成されている。このように板状に構成された記録媒体(カード媒体)を、細長の挿入口に挿入する構成とすると、薄型の記録媒体を狭いスペースに挿入できるようになるが、このような構成の場合、本発明のように挿入口が電池収容部の奥まった位置に配置されていると、挿し込み操作時の操作性低下の問題がより大きくなる。
しかしながら、請求項3の発明では、ガイド片の板面を記録媒体の板面で押圧する押圧操作がなされてガイド片が退避位置となった場合にガイド片における被押圧側板面の端部と挿入口の長手方向の内縁部とが面一に設定されるように構成されている。従って、ガイド片が退避位置となったときに被押圧側板面の端部と挿入口の長手方向の内縁部との間の段差が小さくなり、記録媒体が移動操作に応じてガイド片側から記録媒体収容部側に移る際に衝撃が抑制されてより滑らかに移動するようになる。特に、ガイド片は、被押圧側板面の端部と挿入口の長手方向の内縁部とが面一に設定されたとき、当該ガイド片の被押圧側板面に沿って記録媒体収容部側に移動操作される記録媒体を、挿入口の内縁部に沿った位置又は内縁部よりも内側の位置に案内するように構成されているため、記録媒体収容部側に移動しようとする記録媒体が挿入口の内縁部に引っ掛かりにくくなり、よりスムーズな挿入操作が可能となる。
【0016】
請求項4の発明では、ガイド片は、押圧操作がなされない非操作時には、少なくとも一部が挿入口と対向して配置される対向位置に設定され、挿入口から退避する側に押圧操作がなされたときに退避位置に設定されるように構成されている。更に、このガイド片は、退避位置となった場合には、当該ガイド片に沿って記録媒体収容部側に移動操作される記録媒体を挿入口の開口領域内側に案内し、記録媒体が記録媒体収容部内に収容されて押圧操作が解除された場合には、対向位置に弾性的に復帰して記録媒体収容部からの記録媒体の離脱を拘束するように構成されている。
この構成では、記録媒体を装着する際に当該記録媒体を記録媒体収容部内に円滑に案内し得る構成を実現しつつ、その一方で、当該記録媒体の装着が終わって押圧操作が解除されたときには、ガイド片を対向位置(一部が挿入口と対向して配置される位置)に変位させて記録媒体収容部からの記録媒体の離脱を拘束することができ、装着後には記録媒体を記録媒体収容部内で安定的に保持することができる。特に、装着時に記録媒体を案内する部材(ガイド片)を、装着後に記録媒体を拘束する部材として兼用しているため、円滑な案内と安定的な保持を行い得る構成を、部品点数を効果的に抑えて実現できるようになる。
【0017】
請求項5の発明では、ガイド片の厚さが記録媒体の厚さよりも小さくなるように設定されている。このようにガイド片をより薄く構成することで、当該ガイド片を設けるためのケース内部の配置スペースを比較的小さく抑えることができ、携帯端末をより小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、第1実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する平面図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面を概略的に示す断面概略図である。
【図3】図3(A)は、図1の携帯端末の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図3(B)は、図3(A)の情報コード読取部の構成を例示するブロック図である。
【図4】図4は、図2の記録媒体収容部付近を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、図1の携帯端末で用いられるガイド部材を上方から見た斜視図である。
【図6】図6(A)は、図5のガイド部材の平面図であり、図6(B)は、図6(A)のB−B断面図であり、図6(C)は、図5のガイド部材の正面図である。
【図7】図7(A)は、図5のガイド部材の左側面図であり、図7(B)は、図5のガイド部材の右側面図であり、図7(C)は、図5のガイド部材の裏面図である。
【図8】図8は、記録媒体収容部とガイド部材との位置関係を説明する説明図であり、図8(A)は、ガイド部材のガイド片が退避位置にある状態を示す説明図であり、図8(B)は、ガイド部材のガイド片が初期位置にある状態を示す説明図である。
【図9】図9は、記録媒体を記録媒体収容部に挿入する挿入動作を説明する図であり、図9(A)は、ガイド片が初期位置にある状態であって、記録媒体がガイド片に接触した状態を示す説明図であり、図9(B)は、ガイド片が退避位置にある状態であって、記録媒体がガイド片を押圧している状態を示す説明図であり、図9(C)は、ガイド片が退避位置にある状態であって、記録媒体が内縁部72に沿った位置に案内される状態を示す説明図である。
【図10】図10は、記録媒体を記録媒体収容部に挿入する挿入動作を説明する図であり、図10(A)は、ガイド片が退避位置にある状態であって、記録媒体が記録媒体収容部内に挿入される様子を説明する説明図であり、図10(B)は、ガイド片が退避位置にある状態であって、記録媒体が記録媒体収容部に装着された状態を示す説明図であり、図10(C)は、ガイド片が退避位置から初期位置に弾性復帰した状態を示す説明図である。
【図11】図11は、第1実施形態における他の変形例に係る携帯端末のガイド部材のガイド片を説明する図であり、図11(A)は、ガイド片が基端部側から当該先端部側にかけて幅が狭くなるように形成されたガイド部材の平面図であり、図11(B)は、ガイド片の先端部が丸く形成されたガイド部材の平面図であり、図11(C)は、ガイド片の先端部に半円形状の切欠きが形成されたガイド部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の携帯端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明の携帯端末を、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る携帯型情報読取装置に適用した構成を例に挙げて説明する。
(全体構成)
まず、図1〜図3等を参照して第1実施形態に係る携帯型情報読取装置1の全体構成について説明する。なお、図1は、第1実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する平面図である。また、図2は、図1のA−A断面を概略的に示す断面概略図である。図3(A)は、図1の携帯端末の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図3(B)は、図3(A)の情報コード読取部の構成を例示するブロック図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、携帯型情報読取装置1は、全体的に長手状に構成されており、長手状のケース50によって外郭が構成され、このケース50の内部に各種部品(各種電気部品等)が収容されている。ケース50は、例えば樹脂材料などからなる複数のケース体によって構成され、これらが結合した箱状形態をなしている。また、ケース50には電池17を収容する電池収容部53を開閉するための着脱可能な電池蓋60が設けられている。
本実施形態では、ケース50の長手方向を前後方向とし、読取口5が形成された側を前方側、それとは反対側を後方側としている。また、ケース50の厚さ方向を上下方向とし、操作ボタン14aや表示装置11が設けられた側を上方側、それとは反対側を下方側としている。また、これら前後方向及び上下方向と直交する方向を幅方向(横方向)としている。なお、図1、図2等では前後方向をX軸方向として示しており、上下方向をY軸方向として示している。また、幅方向(横方向)をZ軸方向として示している。
【0021】
ケース50の前方側には情報コードからの反射光を取り込む読取口5が形成されている。この読取口5は、ケース50の内部に光を取り込みうる開口形状となっており、その開口が透明部材(例えば透明の樹脂部材)によって閉塞された構成をなしている。また、携帯型情報読取装置1には、ケース50から露出する形態で様々な部品が設けられている。例えば、上面側には、表示装置11や、複数個の操作ボタン14a(数字キーや機能キー等)を有するキー操作部14が設けられており、側面側(幅方向)には、読取指示用のトリガスイッチ13などが設けられている。また、ケース50の後方側には充電端子45が外部に露出して設けられており、この充電端子45を介してケース50の外部(充電装置など)から電力が電池17に供給されるようになっている。更に、ケース50内には、SDカードなどの記録媒体を収容可能な記録媒体収容部70(詳細は後述)が、電池収容部53と連通して設けられている。
【0022】
(電気的構成)
次に、本第1実施形態に係る携帯型情報読取装置1の電気的構成について説明する。携帯型情報読取装置1におけるケース50の内部には、図3(A)に示すように、携帯型情報読取装置1全体を制御する制御部10が設けられている。この制御部10は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有しており、メモリ16と協働して情報処理手段として機能している。また、制御部10には、表示装置11、スピーカ12、トリガスイッチ13、キー操作部14、外部インタフェース15なども接続されている。
【0023】
トリガスイッチ13やキー操作部14は、制御部10に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部10は、これらからの操作信号を受けて操作信号の内容に応じた各種制御を行う。表示装置11は、例えば液晶表示器として構成されており、制御部10からの指令を受けて様々な表示動作が行われるようになっている。外部インタフェース15は、外部(例えばホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部10と協働して通信処理を行うように構成されている。また、ケース50内には、電源となる電池17(図2)や電源部18が設けられている。電池17は、充電可能な二次電池(例えばリチウムイオン電池等)によって構成され、電源部18は、公知の電源回路などによって構成されており、これらによって制御部10や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0024】
また、制御部10には、情報コード読取部30が接続されている。この情報コード読取部30は、図3(B)に示すように、CCDエリアセンサ等の受光センサ33、結像レンズ37、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部31などを備えた構成をなしており、制御部10と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。この情報コード読取部30によって読み取りを行う場合、まず、制御部10によって指令を受けた照明部31から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口5(図2)を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードC(バーコードや二次元コード)にて反射した反射光Lrは、読取口5を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ37を通って受光センサ33に入射する。読取口5と受光センサ33との間に配される結像レンズ37は、情報コードCの像を受光センサ33上に結像させる構成をなしており、受光センサ33はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ33から出力された受光信号は、画像データとしてメモリ16(図3(A))に記憶され、デコード処理に用いられる。なお、情報コード読取部30には、受光センサ33からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0025】
更に、制御部10には、外部メモリ20が接続されている。この外部メモリ20は、電池収容部53に設けられる記録媒体収容部70(図2)に挿入される記録媒体100からなり、当該携帯型情報読取装置1から着脱可能に構成されている。具体的に、記録媒体100として、例えば、SDカード、メモリースティック(MEMORY STICK(登録商標))、コンパクトフラッシュ(COMPACTFLASH(登録商標))、スマートメディア(Smart Media(登録商標))、エックスデイピクチャーカード(xD―Picture Card(登録商標))等の板状に構成された記録媒体(以下、「カード媒体」ともいう)を用いることができる。この外部メモリ20には、メモリ16に記憶されている画像データやデコード処理の結果などの情報が随時出力されるようになっており、この外部メモリ20を当該携帯型情報読取装置1から取り外してコンピュータなどの外部機器と接続することにより、外部メモリ20に記憶された情報が外部機器に出力されるように構成されている。
【0026】
(特徴的部分の構成)
次に、図2、図4〜図8等を参照し、本実施形態の特徴的構成について詳述する。
なお、図4は、図2の記録媒体収容部付近を拡大して示す断面図である。図5は、図1の携帯端末で用いられるガイド部材を上方から見た斜視図である。図6(A)は、図5のガイド部材の平面図であり、図6(B)は、図6(A)のB−B断面図であり、図6(C)は、図5のガイド部材の正面図である。図7(A)は、図5のガイド部材の左側面図であり、図7(B)は、図5のガイド部材の右側面図であり、図7(C)は、図5のガイド部材の裏面図である。図8は、記録媒体収容部とガイド部材との位置関係を説明する説明図であり、図8(A)は、ガイド部材のガイド片が退避位置にある状態を示す説明図であり、図8(B)は、ガイド部材のガイド片が初期位置にある状態を示す説明図である。
【0027】
本実施形態に係る携帯型情報読取装置1は、図2、図4に示すように、各種電気部品(図示略)が実装された基板40が、長手状に構成されるケース50の内部に、当該ケースの長手方向に沿う構成で配置されている。この基板40は、板厚方向を上下方向とし、前後方向及び幅方向に沿って板面が配置される構成で、ケース50内の所定位置に固定されている。
【0028】
また、ケース50内の下方側であって読取口5が形成された側とは反対側に、電池収容部53が形成されている。この電池収容部53は、下方側が開口する構成で箱状に構成されており、前方側の内壁部には、前壁53aが形成され、後方側の内壁部には、この前壁53aと対向する後壁53bが形成されている。また、幅方向一方側の内壁部には、側壁53cが形成され、幅方向他方側の内壁部には、この側壁53cと対向する図示しない側壁が形成されている。また、電池蓋60と対向する位置には、底壁53eが形成されている。このように前壁53a、後壁53b、及び一対の側壁によって電池17の四方を取り囲む構成で内壁が形成され、上方の奥まった位置に箱状の底部(具体的にはケース50の上下をひっくり返したときの底部)をなすように底壁53eが配置されている。
【0029】
そして、ケース50内には、当該ケース50の上下方向において、電池収容部53の前壁53a側における基板40寄りの位置に、基板40に沿って前後に延びる構成で記録媒体収容部70が配置されている。この記録媒体収容部70は、板状に構成されたカード媒体からなる記録媒体100を収容可能な形状に構成されており、上側の内壁をなす天井壁70aと、この天井壁70aと対向して下側の内壁をなす底壁70bと、幅方向一方側の内壁をなす側壁70cと、この側壁70cと対向し幅方向他方側の内壁をなす図示しない側壁と、前側の内壁をなす前壁70dを備えている。
【0030】
そして、これら天井壁70a、底壁70b、側壁70c、図示しない側壁(側壁70cと対向する側壁)の電池収容部53側に面する縁部によって、当該記録媒体収容部70に記録媒体100を挿入可能な挿入口71が開口形態で形成されている。この挿入口71は、後述するガイド部材80のガイド片82の板面方向に沿うように(より具体的には携帯端末1の幅方向に延びる構成で)細長の開口形態をなしている。具体的には、挿入口71の上側の内縁部72及び下側の内縁部74がいずれも幅方向に延びており、この幅方向を長手方向とする構成で横長に開口している。そして、これら内縁部72,74の間の領域が開口領域として構成されている。
【0031】
更に、図4に示すように、挿入口71は、電池収容部53の前壁53a側において電池17に隠される深さ(即ち、電池17が電池収容部53に収容されたときに電池17の下端位置よりも上方側に配置される深さ)で電池収容部53と連通するように配置されている。より具体的には、図4に示すように、挿入口71が電池17の配置領域よりも奥まった位置(より詳しくは、電池17の上面を支持する底壁53eよりも上方の奥まった位置)に形成されており、電池収容部53は、電池17と接触する端子54よりも上方位置においてこの挿入口71を後端として挿入口71よりも前方に延びる構成で配置されている。
【0032】
また、記録媒体収容部70の内壁部(例えば、天井壁70a或いは底壁70b)には、記録媒体100と当該携帯型情報読取装置1とを電気的に接続可能な端子(図示略)が設けられており、記録媒体100が記録媒体収容部70内に収容されたときに、当該端子と記録媒体100の板面側に形成された端子とが接触する構成をなしている。これにより、携帯型情報読取装置1の制御部10等による記録媒体100へのアクセスが可能となり、記録媒体100への記録(例えばデコード処理の結果などの記録)が可能となるように構成されている。
【0033】
更に、このように構成される電池収容部53に隣接する構成でガイド部材80が設けられている。このガイド部材80は、図5〜図7に示すように、主として、ガイド部81及び取付部85を備えてなるベース部80aと、ガイド部81から延出して設けられるガイド片82とによって構成されており、記録媒体100を記録媒体収容部70の挿入口71に案内するために、記録媒体収容部70近傍に設けられている。また、ガイド部材80は、ABSやポリカーボネイト等の弾性変形可能な樹脂材料によって形成されており、ガイド部81、取付部85、及びガイド片82が一体的に連結した一体部品として形成されている。
【0034】
ガイド部81は、ガイド部材80の後端寄りの部分であり、図2、図6に示すように、略板状に構成されると共に、基板40に沿った構成で後方側に延びている。このガイド部81の後端部には、係止部88が形成されており、ガイド部材80がケース50に収容される際にこの係止部88と、ケース50の内部に形成されたフレーム50cとが係止する構成で固定されるようになっている。また、ガイド部81の中央側には当該ガイド部材81とガイド片82とを区画する切欠き84が設けられている。この切欠き84は、ガイド部81の中央側を板厚方向に貫通するように形成されている。
【0035】
ガイド片82は、先端部82aと基端部82bとを備え、板状に構成されると共に、ガイド部81の後端部側から前方側に向けて片持ち状に延びるように形成されている。また、ガイド片82の先端部82aは略矩形状に形成されており、この先端部82aと基端部82bとの境界には、溝83が形成されている。このガイド片82は、図8(A)、図9(B)のように、当該ガイド片82の被押圧側板面90に対して板厚方向(即ち上方方向)に押圧操作がなされたときに、先端部82aが溝83を支点としてガイド部81に対して上方側に弾性的に変位するように構成されている。
【0036】
取付部85は、略板状に構成されており、一対の取付孔86が形成されている。そして、ねじ等の締結部材(図示略)によって、この取付孔86を介して、取付部85がケース50内のフレームに固定されるように構成されている。また、取付部85の板面から上方に突出する形態でリブ87が形成されている。このリブ87は、取付部85及びガイド部81が一体的に形成されており、前後方向に延びる構成で配置されている。
【0037】
次に、ケース50内に配置される記録媒体収容部70とガイド部材80のガイド片82との位置関係について説明する。
ガイド部材80は、図4に示すように、記録媒体収容部70に隣接して配置されており、また、ガイド部材80のガイド片82は、電池収容部53において、電池17が収容される位置よりも奥まった位置に、電池収容部53の壁面の一部をなす構成で配置されている。そして、ガイド片82は、被押圧側板面90に対して板厚方向(より具体的には上方側)に押圧操作がなされると、ガイド部81に対して弾性的に撓んで変形して、図8(A)に示す位置(退避位置)に変位するように構成されている。また、ガイド片82は、被押圧側板面90に対して押圧操作がなされていない状態(非操作時)若しくは押圧操作が解除された場合には、図8(B)に示すように、記録媒体収容部70の挿入口71と対向する位置に配置される(初期位置)。なお、図8(B)では、記録媒体収容部70に記録媒体100が収容されている様子を示しているが、記録媒体収容部70に記録媒体100が収容されていないときに、被押圧側板面90に対して押圧操作がなされていない状態(非操作時)若しくは押圧操作が解除された場合(例えば、記録媒体収容部70から記録媒体100を取り出した時)も、ガイド片82は図8(B)に示す位置に配置されるように構成されている。
【0038】
ここで、ガイド片82は、図8に示すように、基端部82bから先端部82aに向かうにつれて、厚さaが徐々に小さくなるように形成されており、ガイド片82の先端部82aの厚さaは、記録媒体100の厚さbより小さく設定されている。そして、図8(A)のようにガイド片82が退避位置に変位したときに、ガイド片82における被押圧側板面90の端部90aの高さが、挿入口71の上側の内縁部72の高さとほぼ等しく且つ記録媒体収容部70に挿入されている記録媒体100の上面の後端部の高さとほぼ等しくなるようにガイド片82の先端部82aの厚さaが設定されている(図8(A))。また、このガイド片82の先端部82aの厚さaは、ケース50の小型化を図る点と、当該ガイド片82を弾性変形させる点で、できるだけ薄い方が好ましいが、記録媒体100を記録媒体収容部70に固定する機能の点から、ある程度の厚さが必要であるため、例えば記録媒体100の厚さbの半分程度に設定することが望ましい。
【0039】
(記録媒体の挿入動作)
次に、上述のように構成される携帯型情報読取装置1において、記録媒体100を記録媒体収容部70に挿入する挿入動作について、図9及び図10を用いて説明する。
図9は、記録媒体を記録媒体収容部に挿入する挿入動作を説明する図であり、図9(A)は、ガイド片が初期位置にある状態であって、記録媒体がガイド片に接触した状態を示す説明図であり、図9(B)は、ガイド片が退避位置にある状態であって、記録媒体がガイド片を押圧している状態を示す説明図であり、図9(C)は、ガイド片が退避位置にある状態であって、記録媒体が内縁部72に沿った位置に案内される状態を示す説明図である。図10は、記録媒体を記録媒体収容部に挿入する挿入動作を説明する図であり、図10(A)は、ガイド片が退避位置にある状態であって、記録媒体が記録媒体収容部内に挿入される様子を説明する説明図であり、図10(B)は、ガイド片が退避位置にある状態であって、記録媒体が記録媒体収容部に装着された状態を示す説明図であり、図10(C)は、ガイド片が退避位置から初期位置に弾性復帰した状態を示す説明図である。
【0040】
まず、携帯型情報読取装置1から電池17と電池蓋60が取り除かれた状態で、電子収容部53内に記録媒体100が入れられて、図9(A)に示すように、記録媒体100がガイド片82の被押圧側板面90に接触する。なお、図9(A)では、ガイド片82に対して押圧操作がまだなされておらず、ガイド片82は初期位置(即ち、挿入口71と対向して配置される対向位置)の状態にある。記録媒体100によりガイド片82の被押圧側板面90が板厚方向(即ち、ガイド片82が挿入口71から退避する上方側)に押圧されると、ガイド片82の先端部82a側が弾性的に撓み変形する。そして、図9(B)に示すように、ガイド片82の被押圧側板面90とは反対側の板面が基板40と接触し、被押圧側板面90の延長上に、記録媒体収容部70の挿入口71の開口領域が位置するようになる(退避位置)。
【0041】
このように退避位置となったとき、ガイド片82は、図9(B)(C)のように当該ガイド片82に沿って記録媒体収容部70側に移動操作される記録媒体100を挿入口71の開口領域内に案内する。また、このとき、ガイド片82における被押圧側板面90の前端部と挿入口71において長手方向に延びる上側の内縁部72(天井壁70aの後端部)とが、図9(B)中一点鎖線で示すように略面一となる。そして、このように、被押圧側板面90の前端部と挿入口71の上側の内縁部72とが略面一に設定されたとき、図9(C)に示すように、ガイド片82は、当該ガイド片82の被押圧側板面90に沿って記録媒体収容部70側に移動操作される記録媒体100を、挿入口71の上側の内縁部72付近又は当該内縁部72よりもやや下側に向けて案内することとなる。即ち、被押圧側板面90の前端部の高さと挿入口の内縁部72の高さがほぼ同じ高さに揃えられるため、前後方向(X軸方向)及び幅方向(Z軸方向)にほぼ沿って配置される被押圧側板面90に沿わせるように記録媒体100を前側に移動させたときに図9(C)のように記録媒体100の前端部が挿入部71の開口領域内に入りやすくなる。
【0042】
そして、図10(A)に示すように、挿入口71へ記録媒体100の先端が挿入された後に、ガイド片82に沿って記録媒体100を記録媒体収容部70内に更に移動させることで、記録媒体100は、図10(B)に示す挿入完了位置まで移動する。このとき、記録媒体収容部70内に設けられる端子(図示略)と記録媒体100の端子(図示略)とが電気的に接続され、記録媒体100が記録媒体収容部70の内部に装着された状態となる。このように記録媒体100が記録媒体収容部70に装着されて、ガイド片82の被押圧側板面90に対する押圧操作が解除されると、図10(C)に示すように、ガイド片82は、挿入口71の開口領域と対向した位置(対向位置)に弾性的に復帰し(即ち、図9(A)で示した初期位置に戻り)、記録媒体収容部70からの記録媒体100の離脱を拘束する。即ち、記録媒体100の離脱経路上に弾性復帰したガイド片82の先端部が位置するため、記録媒体100が記録媒体収容部70から離脱できないようになる。このように、記録媒体収容部70に装着されている記録媒体100は、ガイド片82の先端部82aによって、挿入方向(前後方向)への移動が規制されることとなるので、落下等の衝撃がケース50に加えられても、記録媒体100が記録媒体収容部70から外れることが抑制される。なお、記録媒体収容部70に装着された記録媒体100は、例えば、ガイド片82の被押圧側板面90を板厚方向に押圧して退避位置に変位させた状態で、当該記録媒体100を引っ張ることで取り出すことができる。
【0043】
(本実施形態の主な効果)
以上説明したように、本第1実施形態に係る携帯型情報読取装置1(携帯端末)では、電池収容部53側に面する挿入口71を備えると共に当該挿入口71を介して記録媒体100を挿入可能に構成された記録媒体収容部70が設けられている。そして、この記録媒体収容部70の挿入口71は、電池収容部53において電池17に隠される深さで連通している。この構成によれば、ケース50内部の奥まった位置に記録媒体100を収容することができるため、電池17よりも外側の浅い位置に挿入口71や電池収容部53のスペースを大きく割く必要がなくなる。従って、携帯型情報読取装置1において電池収容部53付近の厚みを抑えることができ、効果的に小型化を図ることができる。
また、ケース50に固定又はケース50と一体的に構成されるベース部80aと、挿入口71に隣接して配置されると共にベース部80aに対し弾性的に変位可能なガイド片82とを備えたガイド部材80が設けられている。更に、ガイド片82は、非操作時には所定の初期位置に設定され、挿入口71から退避する側に押圧操作がなされたときに初期位置から弾性的に変位して所定の退避位置に設定される構成をなし、退避位置となった場合に、当該ガイド片82に沿って記録媒体収容部70側に移動操作される記録媒体100を挿入口71の開口領域内に案内するように構成されている。
この構成では、ガイド部材80のガイド片82を退避位置側に押圧すると共に当該ガイド片82に沿って記録媒体100を記録媒体収容部70側に移動操作したときに、退避位置となったガイド片82によって当該記録媒体100が挿入口71の開口領域内に案内されるため、記録媒体100を直接挿入口71に対して位置合わせしにくい構成(挿入口71付近の視認性が低い構成、挿入口71付近に操作のためのスペースが少ない構成等)であったとしても、記録媒体100の挿入側の端部が挿入口71に円滑に案内されるようになる。従って、記録媒体収容部70を奥まった位置に配置して携帯型情報読取装置1の小型化を図りつつ、当該記録媒体収容部70への記録媒体100の装着操作を正確化、容易化することができる。
【0044】
また、本実施形態では、ガイド片82が板状に構成されると共に、ベース部80aから挿入口71側に片持ち状に延びており、当該ガイド片82に対して板厚方向に押圧操作がなされたときに少なくとも当該ガイド片82の先端部82a側が弾性的に撓み変形するように構成されている。そして、ガイド片82が退避位置となったとき、ガイド片82の押圧される側の板面の延長上に、挿入口71の開口領域又は開口領域の境界が位置するように構成されている。
この構成によれば、押圧操作に応じて初期位置から退避位置に弾性的に変位し、且つ退避位置のときに記録媒体100を挿入口71側により正確に案内し得るガイド片82及びガイド部材80をより簡易に実現できる。
【0045】
更に本実施形態では、記録媒体100が板状に構成されたカード媒体からなり、挿入口71は、ガイド片82の板面方向に沿って細長に形成されている。このように板状に構成された記録媒体100(カード媒体)を、細長の挿入口71に挿入する構成とすると、薄型の記録媒体100を狭いスペースに挿入できるようになるが、このような構成の場合、本発明のように挿入口71が電池収容部53の奥まった位置に配置されていると、挿し込み操作時の操作性低下の問題がより大きくなる。
しかしながら、本実施形態では、ガイド片82の板面を記録媒体100の板面で押圧する押圧操作がなされてガイド片82が退避位置となった場合にガイド片82における被押圧側板面90の端部と挿入口71において長手方向に延びる上側の内縁部72とが面一に設定されるように構成されている。従って、ガイド片82が退避位置となったときに被押圧側板面90の端部と挿入口71の長手方向の内縁部72との間の段差が小さくなり、記録媒体100が移動操作に応じてガイド片82側から記録媒体収容部70側に移る際に衝撃が抑制されてより滑らかに移動するようになる。特に、ガイド片82は、被押圧側板面90の端部と挿入口71の長手方向の内縁部72とが面一に設定されたとき、当該ガイド片82の被押圧側板面90に沿って記録媒体収容部70側に移動操作される記録媒体100を、挿入口71の内縁部72に沿った位置又は内縁部72よりも内側の位置に案内するように構成されているため、記録媒体収容部70側に移動しようとする記録媒体100が挿入口71の内縁部72に引っ掛かりにくくなり、よりスムーズな挿入操作が可能となる。
【0046】
また、本実施形態では、ガイド片82は、押圧操作がなされない非操作時には、少なくとも一部が挿入口71と対向して配置される対向位置に設定され、挿入口71から退避する側に押圧操作がなされたときに退避位置に設定されるように構成されている。更に、このガイド片82は、退避位置となった場合には、当該ガイド片82に沿って記録媒体収容部70側に移動操作される記録媒体100を挿入口71の開口領域内側に案内し、記録媒体100が記録媒体収容部70内に収容されて押圧操作が解除された場合には、対向位置に弾性的に復帰して記録媒体収容部70からの記録媒体100の離脱を拘束するように構成されている。
この構成では、記録媒体100を装着する際に当該記録媒体100を記録媒体収容部70内に円滑に案内し得る構成を実現しつつ、その一方で、当該記録媒体100の装着が終わって押圧操作が解除されたときには、ガイド片82を対向位置(一部が挿入口71と対向して配置される位置)に変位させて記録媒体収容部70からの記録媒体100の離脱を拘束することができ、装着後には記録媒体100を記録媒体収容部70内で安定的に保持することができる。特に、装着時に記録媒体100を案内する部材(ガイド片82)を、装着後に記録媒体100を拘束する部材として兼用しているため、円滑な案内と安定的な保持を行い得る構成を、部品点数を効果的に抑えて実現できるようになる。
【0047】
また、本実施形態では、ガイド片82の厚さが記録媒体100の厚さよりも小さくなるように設定されている。このようにガイド片82をより薄く構成することで、当該ガイド片82を設けるためのケース50内部の配置スペースを比較的小さく抑えることができ、携帯型情報読取装置1をより小型化することができる。
【0048】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0049】
上記実施形態では、ガイド部材80はケース50とは別体で構成されており、ケース50に取付部85を介して固定する構成を例示したが、ガイド部材80はケース50と一体的に構成されていてもよい。
【0050】
上記実施形態では、ガイド部材80のガイド片82の先端部82aは略矩形状に形成されている例を示したが、記録媒体収容部70からの記録媒体100の離脱を拘束可能な形状であれば特に限定されない。例えば、ガイド部材180の先端部182aは、図11(A)に示すように、基端部182b側から当該先端部182a側にかけて幅が狭くなるように形成されていてもよい。また、ガイド部材280の先端部282aは、図11(B)に示すように、丸い形状に形成されていてもよい。更に、ガイド部材380の先端部382aは、図11(C)に示すように、半円形状の切欠きが形成されていてもよい。
【0051】
上記実施形態において、記録媒体収容部70の数は1つに限らず、2つ以上設けられていてもよい。例えば、ケース50の幅方向に記録媒体収容部70を複数並べて配置するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…携帯端末(携帯型情報読取装置)
17…電池
50…ケース
53…電池収容部
70…記録媒体収容部
70a…底壁
70b…天井壁
70c…側壁
70d…前壁
71…挿入口
72…内縁部
80…ガイド部材
80a…ベース部
81…ガイド部
82…ガイド片
82a…先端部
82b…基端部
83…溝
84…切欠き
85…取付部
86…取付孔
87…リブ
88…係止部
90…被押圧側板面
100…記録媒体(カード媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に電池を収容する電池収容部が設けられた携帯端末であって、
前記電池収容部と連通して設けられると共に、前記電池収容部側に面する挿入口を備え、前記挿入口を介して記録媒体を挿入可能に構成された記録媒体収容部と、
前記ケースに固定又は前記ケースと一体的に構成されるベース部と、前記挿入口に隣接して配置されると共に前記ベース部に対し弾性的に変位可能なガイド片とを備えたガイド部材と、
を有し、
前記記録媒体収容部の前記挿入口は、前記電池収容部において前記電池に隠される深さで連通しており、
前記ガイド片は、非操作時には所定の初期位置に設定され、前記挿入口から退避する側に押圧操作がなされたときに前記初期位置から弾性的に変位して所定の退避位置に設定される構成をなし、前記退避位置となった場合に、当該ガイド片に沿って前記記録媒体収容部側に移動操作される前記記録媒体を前記挿入口の開口領域内に案内することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記ガイド片は、板状に構成されると共に、前記ベース部から前記挿入口側に片持ち状に延び、当該ガイド片に対して板厚方向に押圧操作がなされたときに少なくとも先端部側が弾性的に撓み変形する構成をなしており、
前記ガイド片が前記退避位置となったとき、前記ガイド片の押圧される側の板面の延長上に、前記挿入口の開口領域又は開口領域の境界が位置することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記記録媒体は、板状に構成されたカード媒体からなり、
前記挿入口は、前記ガイド片の板面方向に沿って細長に形成されており、
前記ガイド片の板面を前記記録媒体の板面で押圧する押圧操作がなされて前記ガイド片が前記退避位置となった場合、前記ガイド片における被押圧側板面の端部と前記挿入口の長手方向の内縁部とが面一に設定され、
前記ガイド片は、前記被押圧側板面の端部と前記挿入口の長手方向の内縁部とが面一に設定されたとき、当該ガイド片の前記被押圧側板面に沿って前記記録媒体収容部側に移動操作される前記記録媒体を、前記挿入口の前記内縁部に沿った位置又は前記内縁部よりも内側の位置に案内することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記ガイド片は、
押圧操作がなされない非操作時には、少なくとも一部が前記挿入口と対向して配置される対向位置に設定され、前記挿入口から退避する側に押圧操作がなされたときに前記退避位置に設定される構成をなし、
前記退避位置となった場合には、当該ガイド片に沿って前記記録媒体収容部側に移動操作される前記記録媒体を前記挿入口の開口領域内側に案内し、
前記記録媒体が前記記録媒体収容部内に収容されて押圧操作が解除された場合には、前記対向位置に弾性的に復帰して前記記録媒体収容部からの前記記録媒体の離脱を拘束することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記ガイド片の厚さが前記記録媒体の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−14263(P2012−14263A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147973(P2010−147973)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】