説明

携帯通信端末、そのメール送受信機能制御方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】第三者の操作や閲覧による個人情報の漏洩を防止するとともに、メール送受信機能を段階的に制限することにより、PIMロック実施状態であっても操作性が向上し、利便性の高い携帯通信端末等を提供する。
【解決手段】携帯電話機100は、メイン処理部101、制御データ記録部106を備える。制御データ記録部106は、ユーザ300が設定するロック状態の情報を保持し、該ロック状態は、例えば段階的に設けられた3つのモードを有する。そして、メイン処理部101は、制御データ記録部106により保持されたロック状態の情報に基づいて、メール送受信機能に関して段階的な制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末、そのメール送受信機能制御方法、プログラム、及び記録媒体に関し、特に、PIMロック等の個人情報保護機能を実装した携帯通信端末のメール送受信について、設定されたロック状態に応じた段階的なメール機能制限の制御を可能とする携帯通信端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やPHS(Personal Handy-phone System)等の携帯通信端末の普及が目覚しく、業務用はもちろんのこと、日常生活の中でも便利な通信手段として急速に普及しており、将来的には1人に1台という状況も予想される。このような携帯通信端末には、幅広いユーザの要望により、電子メール機能、カメラ機能、スケジュール機能等の多種多様なアプリケーション機能が備わっている。
【0003】
そして、多様なアプリケーション機能の一つして、電話帳機能がある。電話帳機能では、例えば、電話番号、メールアドレス、名前、画像データといった個人情報をメモリに記憶しておき、名前をキーワードとして入力し呼び出し指示を行うと、該当する名前と相手先の電話番号を呼び出して表示することができる。
【0004】
一方で、携帯通信端末では、その携帯性から所有者に限らず第三者による操作や閲覧が比較的容易であり、個人情報が漏洩する可能性が高く、セキュリティを強化することが求められる。
【0005】
これに対し、従来では、記録された個人情報を参照して動作する機能のみを抑止する個人情報保護機能(PIM(Personal Information Manager)ロック)を携帯通信端末に実装させて、携帯通信端末に記録された個人情報のセキュリティを高めている。PIMロックとは、発信・着信履歴や送信・受信アドレス一覧等を第三者に見られないようにするための機能である。
【0006】
また、例えば、特許文献1では、ユーザの利用状況に応じたシークレットレベルを設定でき、個人情報保護の強化を図り、利便性及び操作性の向上が可能となる携帯通信端末が開示されている。
【特許文献1】特開2005−198170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PIMロックは、これを実施した場合に、音声通話に関する発信や着信については、携帯通信端末に記録された電話帳データを利用しない形で操作をすることが可能であるものの、メールの送受信については、送受信機能の全般が制限されてしまうという問題がある。
【0008】
また、特許文献1で開示された携帯通信端末は、電話の発信・着信に関してシークレットレベルの設定により個人情報保護を図るものであり、メールの送受信については、個人情報のセキュリティ及び利便性を高めるものではない。
【0009】
そこで、本発明は、第三者の操作や閲覧による個人情報の漏洩を防止するとともに、メール送受信機能を段階的に制限することにより、PIMロック実施状態であっても操作性が向上し、利便性の高い携帯通信端末等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、メール送受信機能と、携帯通信端末に記録された個人情報を参照して動作する機能のみを抑止する個人情報保護機能とを備える携帯通信端末であって、前記メール送受信機能についての機能制限状態に関する情報を格納するとともに、前記個人情報保護機能を実現するために必要な個人認証情報を格納する制御データ格納手段と、前記携帯通信端末に格納されているデータを参照又は更新し、前記携帯通信端末内の処理手段への各種処理の指示を行うメイン制御手段とを有し、前記メイン制御手段は、前記制御データ格納手段により格納された機能制限状態に関する情報に基づいて、前記メール送受信機能の制御を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明では、制御データ格納手段により格納された機能制限状態は、例えば3段階の状態、すなわち、メール送受信機能を全面的に制限するロックモード、該機能を部分的に制限する部分許容ロックモード、及び該機能を制限しない通常モードを有する。そして、メイン制御手段は、この3段階の機能制限状態に応じたメール送受信機能の制限を行う。例えば、機能制限状態がロックモードの場合、メイン制御手段は、送信メール作成機能の起動を不可とし、受信メールの通知を不可とする制御を行う。また、機能制限状態が部分許容ロックモードの場合、メイン制御手段は、送信メール作成機能の起動を許容するものの電話帳データ参照について動作不可とし、受信メール通知を動作させるものの受信メールリスト参照について不可とする制御を行う。
【0012】
このようにして、設定された機能制限状態に従って、メール送受信機能に関して、段階的なレベルで提供可能なサービスを制御することを可能にし、第三者の操作や閲覧による個人情報の漏洩防止と、個人情報保護機能の実施状態における操作性向上とが両立した、利便性の高い携帯通信端末が実現されることとなる。
【0013】
また、本発明は、メール送受信機能と、携帯通信端末に記録された個人情報を参照して動作する機能のみを抑止する個人情報保護機能とを備え、前記メール送受信機能についての機能制限状態に関する情報を格納するとともに、前記個人情報保護機能を実現するために必要な個人認証情報を格納する制御データ格納手段を有する携帯通信端末のメール送受信機能制御方法であって、前記携帯通信端末に格納されているデータを参照又は更新し、前記携帯通信端末内の処理手段への各種処理の指示を行うメイン制御工程を有し、前記メイン制御工程は、前記制御データ格納手段により格納された機能制限状態に関する情報に基づいて、前記メール送受信機能の制御を行うことを特徴とする携帯通信端末のメール送受信機能制御方法であってもよい。
【0014】
また、本発明は、上述した携帯通信端末のメール送受信機能制御方法を携帯通信端末に実行させるためのプログラムであってもよい。
【0015】
また、本発明は、上記のプログラムを記録した記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第三者の操作や閲覧による個人情報の漏洩を防止するとともに、メール送受信機能を段階的に制限することにより、PIMロック実施状態であっても操作性が向上し、利便性の高い携帯通信端末等が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
<実施形態1>
まず、本発明の第1の実施形態における携帯電話機の構成について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態の携帯電話機の機能構成を示したブロック図である。携帯電話機100は、メイン処理部101、無線通信処理部102、キー操作入力処理部103、画面表示処理部104、電話帳データ記録部105、制御データ記録部106、及び受信済メール記録部107から構成される。
【0020】
メイン処理部101は、携帯電話機100内部の各処理部及び各記録部と接続され、各処理部への各種処理の指示や、各記録部が記録しているデータの参照、更新を行う。
【0021】
無線通信処理部102は、携帯電話通信網の基地局200との間で電波の送受信処理を行う。
【0022】
キー操作入力処理部103は、携帯電話機100のユーザ300が実行したキー操作の受付処理を行う。
【0023】
画面表示処理部104は、携帯電話機100としての処理結果をユーザ300に示すための表示処理を行う。
【0024】
電話帳データ記録部105は、ユーザ300が登録する氏名、電話番号、メールアドレス等を保持する。
【0025】
制御データ記録部106は、個人情報保護機能の動作を制御するために必要となる、携帯電話機100のロック状態とロック状態切替用の暗証番号等の個人認証情報を保持する。なお、携帯電話機100のロック状態としては、通常モード、ロックモード、メール送受信部分許容ロックモードがあり、どれか1つの状態が設定される。また、ロック状態切替用の個人認証情報は、例えば指紋や声紋等の生体情報でもよい。
【0026】
受信済メール記録部107は、無線通信処理部102を通じて受信したメール情報を保持する。
【0027】
次に、本実施形態におけるメール送受信機能を制御する動作について説明する。
【0028】
図2は、本実施形態の携帯通信端末におけるロック状態切替動作の流れを示したフローチャートである。
【0029】
携帯電話機100は、制御データ記録部106に携帯電話機100のロック状態を保持している。ユーザ300は、携帯電話機100のロック状態が、通常モード、ロックモード、メール送受信部分許容ロックモードのいずれの状態であっても、キー操作入力処理部103を通じて、切替指示を実行することができる。
【0030】
まず、切替指示を実行する場合、ユーザ300は、キー操作入力処理部103により、設定したい状態(以後、指定状態という)及び暗証番号を入力する。キー操作入力処理部103は、入力された指定状態と暗証番号とを受け付け、メイン処理部101に伝達する(ステップS1)。
【0031】
次に、メイン処理部101は、制御データ記録部106に記録されているロック状態切替用の暗証番号と、キー操作入力処理部103から伝達された暗証番号とを比較する(ステップS2)。
【0032】
比較結果が一致した場合(ステップS2/YES)、メイン処理部101は、制御データ記録部106に記録されたロック状態を、キー操作入力処理部103から伝達された指定状態に更新し(ステップS3)、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に切替えが正常に実行された旨(「切替完了」)を通知する(ステップS4)。
【0033】
一方、比較結果が一致しなかった場合(ステップS2/NO)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に暗証番号が異なっている旨(「暗証番号不正」)を通知する(ステップS5)。
【0034】
図3は、本実施形態の携帯通信端末におけるメール送信機能の制御動作の流れを示したフローチャートである。
【0035】
まず、メール送信を行う場合、ユーザ300は、キー操作入力処理部103を通じて、送信メール作成機能を起動するよう指示する。キー操作入力処理部103は、入力された送信メール作成機能起動指示を受け付け、メイン処理部101に伝達する(ステップS11)。
【0036】
次に、メイン処理部101は、制御データ記録部106に記録されているロック状態を参照して判定を行う(ステップS12)。
【0037】
ロック状態がロックモードであった場合(ステップS12/YES)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に、送信メール作成機能が起動不可である旨(「起動不可」)を通知する(ステップS13)。
【0038】
ロック状態が通常モードあるいはメール送受信部分許容ロックモードであった場合(ステップS12/NO)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に送信メール作成機能を起動した旨を通知すると同時に、送信先メールアドレスについて、電話帳データを参照して決定する方法と、利用者から直接入力して決定する方法との、いずれかを選択して入力させるように画面表示を行う(ステップS14)。
【0039】
そして、ユーザ300は、キー操作入力処理部103を通じて、送信先メールアドレス決定方法を入力する。キー操作入力処理部103は、入力された送信先メールアドレス決定方法をメイン処理部101に伝達する(ステップS15)。
【0040】
続いて、メイン処理部101は、制御データ記録部106に記録されているロック状態と、キー操作入力処理部103から伝達された送信先メールアドレス決定方法とを参照して判定を行う(ステップS16〜S18)。
【0041】
送信先メールアドレス決定方法が電話帳データ参照であり(ステップS16/NO)、かつ、ロック状態がメール送受信部分許容ロックモードであった場合(ステップS17/NO)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に、電話帳データ参照不可である旨(「電話帳参照不可」)を通知する(ステップS18)。なお、ロック状態がロックモードのときは、「起動不可」となっている(ステップS13)ため、送信メール作成機能が起動されている場合のロック状態としては、メール送受信部分許容ロックモードか通常モードとなる。
【0042】
送信先メールアドレス決定方法が電話帳データ参照であり(ステップS16/NO)、かつ、ロック状態が通常モードであった場合(ステップS17/YES)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に、電話帳データ参照方法を選択して入力させるように画面表示し(ステップS19)、ユーザ300は、キー操作入力処理部103及び画面表示処理部104を通じて、電話帳データ参照方法決定、電話帳データ選択、送信先メールアドレス決定を行う(ステップS20)。
【0043】
一方、送信先メールアドレス決定方法が直接入力である場合(ステップS16/YES)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に、送信先メールアドレスを直接入力させるように画面表示し(ステップS21)、ユーザ300は、キー操作入力処理部103及び画面表示処理部104を通じて、送信先メールアドレスを直接入力し、送信先メールアドレス決定を行う(ステップS22)。なお、ロックモードがメール送受信部分許容ロックモードでも通常モードでも上記のステップとなる。
【0044】
そして、送信先メールアドレスが決定したら、ユーザ300は、キー操作入力処理部103及び画面表示処理部104を通じて、送信メールの本文を入力、決定し(ステップS23)、無線通信処理部102を通じて、メールを送信する(ステップS24)。
【0045】
図4は、本実施形態の携帯通信端末におけるメール受信機能の制御動作の流れを示したフローチャートである。
【0046】
まず、メールを受信すると、無線通信処理部102が、基地局200から送信された電波を受信し、メールを受信したという信号をメイン処理部101に伝達する(ステップS41)。
【0047】
次に、メイン処理部101は、受信したメール情報を受信済メール記録部107に記録した上で(ステップS42)、制御データ記録部106に記録されているロック状態を参照して判定を行う(ステップS43)。
【0048】
ロック状態がロックモードであった場合(ステップS43/YES)、メイン処理部101は、画面表示処理部104には何も指示せず、ユーザ300に、受信メールが存在することを通知しない(ステップS44)。
【0049】
ロック状態が通常モードあるいはメール送受信部分許容ロックモードであった場合(ステップS43/NO)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に、メールを受信した旨を通知し、受信メールのリスト画面を表示するか否かを選択して入力させるように画面表示する(ステップS45)。
【0050】
そして、ユーザ300は、キー操作入力処理部103を通じて、受信メールのリスト画面を表示するか否かを指定して入力する。キー操作入力処理部103は、入力されたリスト画面表示可否指定を受け付け、メイン処理部101に伝達する(ステップS46)。
【0051】
次に、メイン処理部101は、キー操作処理部103から伝達された、リスト画面表示可否指定を参照して判定を行う(ステップS47)。
【0052】
リスト画面表示可否指定で表示しないように指定された場合(ステップS47/NO)、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に、受信済み未読メールが存在することを画面表示する(ステップS48)。
【0053】
リスト画面表示可否指定で表示するように指定された場合(ステップS47/YES)、制御データ記録部106に記録されているロック状態を参照して判定を行う(ステップS49)。
【0054】
ロック状態がメール送受信部分許容ロックモードであった場合(ステップS49/NO)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に、受信メールリスト参照不可である旨(「受信済みメールリスト参照不可」)を画面表示して通知する(ステップS50)。なお、ロック状態がロックモードのときは受信メールの存在が画面表示されない(ステップS44)ため、リスト画面表示可否指定で表示するように指定された場合のロック状態の判定は、メール送受信部分許容ロックモードであるか、通常モードであるかの判定となる。
【0055】
ロック状態が通常モードであった場合、メイン処理部101は、受信済メール記録部107を参照して受信済メールのリストを取得し(ステップS51)、各受信済みメールの送信元メールアドレスをキーとして、電話帳データ記録部105から該当メールアドレスに対応する氏名を検索する(ステップS52)。そして、メイン処理部101は、氏名検索結果を判定する(ステップS53)。
【0056】
氏名を取得できた場合は(ステップS53/YES)、受信メールリストとして氏名を表示するものと判断し(ステップS54)、氏名を取得できなかった場合は(ステップS53/NO)、受信メールリストとして送信元メールアドレスを表示するものと判断する(ステップS55)。
【0057】
続いて、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に受信メールリストを画面表示し(ステップS56)、ユーザ300は、キー操作入力処理部103及び画面表示処理部104を通じて、受信メールリストから受信メールを選択し、受信メールの本文を表示する(ステップS57)。
【0058】
本実施形態によれば、ユーザの意思に基づいて設定されたロック状態に従って、メール送受信に関して、段階的なレベルで提供可能なサービスを制御することを可能とすることにある。例えば、ロック状態を通常モードに設定しておけば、通常通りに携帯電話機のメール送受信機能を利用可能である。また、ロック状態をメール送受信部分許容ロックモードに設定しておけば、電話帳データを参照しない形でのメール送信が可能であり、ロック状態を通常モードに設定し直すことなく、メール受信が行われたことを認識することが可能である。また、ロック状態をロックモードに設定しておけば、メールの送信、受信のサービスをすべて抑止しておくことが可能である。その理由は、ロック状態を段階的に保持し、その段階ごとに、メール送受信に関して提供可能なサービスを変化させるためである。
【0059】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。構成としては、先述した実施形態1と同じであるが、制御データ記録部106に保持されるロック状態のうち、メール送受信部分許容ロックモードを、メール送受信時電話帳参照抑止モード及びメール送受信時アドレス表示モードの2つに分けて保持する点で異なる。つまり、携帯電話機100のメール送信ロック状態としては、通常モード、ロックモード、メール送受信時電話帳参照抑止モード、及びメール送受信時アドレス表示モードの4つがあり、いずれか1つのロック状態が設定され、キー操作入力処理部103を通じてロック状態の切替指示が実行可能である。以下、機能構成及びロック状態切替え動作についての説明は省略し、メール送受信機能を制御する動作について述べる。
【0060】
図5は、本実施形態本実施形態の携帯通信端末におけるメール送信機能の制御動作の流れを示したフローチャートである。
【0061】
メール送信を行う場合、携帯電話機100のロック状態がロックモードであった場合の動作は、実施形態1と同様である(ステップS11〜S13)。また、ロック状態がロックモード以外であった場合に、ユーザ300に送信メール作成機能を起動した旨を通知する動作、送信先メールアドレスについて、電話帳データを参照して決定する方法とユーザ300から直接入力して決定する方法のいずれかを選択して入力させるように画面表示する動作、及び、ユーザ300が送信先メールアドレス決定方法を入力してこれを受け付ける動作は、実施形態1と同様である(ステップS14及びS15)。送信先メールアドレス決定方法を受け付けた以降の動作が実施形態1と異なるため、本フローチャートでは、送信先メールアドレス決定方法を受け付けた以降の動作フローを記述している。
【0062】
まず、メイン処理部101は、制御データ記録部106に記録されているロック状態、及び、キー操作入力処理部103から伝達された送信先メールアドレス決定方法を参照して判定を行う(ステップS61〜S63)。
【0063】
送信先メールアドレス決定方法が電話帳データ参照であり(ステップS61/NO)、かつ、メール送受信時電話帳参照抑止モードであった場合(ステップS62/YES)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に電話帳データ参照不可である旨を通知する(ステップS64)。なお、送信メール作成機能が起動した後のロック状態は、メール送受信時電話帳参照抑止モード、メール送受信時アドレス表示モード、あるいは通常モードのいずれかである。
【0064】
送信先メールアドレス決定方法が電話帳データ参照であり(ステップS61/NO)、かつ、ロック状態がメール送受信時アドレス表示モードであった場合(ステップS62/NO、ステップS63/YES)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に、電話帳データに登録されたメールアドレスを全件表示して選択するか、電話帳データに登録されたメールアドレスのうち前方一致するもののみを表示して選択するかを選択して入力させるように画面表示する(ステップS65)。
【0065】
そして、ユーザ300は、キー操作入力処理部103を通じて、全件表示指定あるいは前方一致検索指定を入力し、前方一致検索指定の場合は検索条件とする文字列についても入力する。キー操作入力処理部103は、入力された表示指定と検索条件文字列を受け付け、メイン処理部101に伝達する(ステップS66)。
【0066】
続いて、メイン処理部101は、キー操作入力処理部103から伝達された表示指定及び検索条件文字列を参照して判定を行う(ステップS67)。
【0067】
表示指定が全件表示指定であった場合は(ステップS67/YES)、メイン処理部101は、電話帳データ記録部105に登録されている全てのメールアドレスを取得する(ステップS68)。
【0068】
表示指定が前方一致検索指定であった場合は(ステップS67/NO)、メイン処理部101は、電話帳データ記録部105に登録されている全メールアドレスのうち、指定された検索条件文字列から始まっているメールアドレスのみを取得する(ステップS69)。
【0069】
メイン処理部101が取得したメールアドレスのリストは、画面表示処理部104を通じて、取得したメールアドレスの一覧として画面表示され(ステップS70)、ユーザ300は、キー操作入力処理部103を通じて、送信先メールアドレスを選択し、決定する(ステップS71)。
【0070】
送信先メールアドレス決定方法が電話帳データ参照であり(ステップS61/NO)、かつ、ロック状態が通常モードであった場合(ステップS62/NO、ステップS63/NO)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、電話帳データ参照方法を選択して入力させるように画面表示し(ステップS72)、ユーザ300は、キー操作入力処理部103及び画面表示処理部104を通じて、電話帳データ参照方法決定、電話帳データ選択、送信先メールアドレス決定を行う(ステップS73)。電話帳データ選択時には、電話帳データ記録部105に登録された氏名を参照した検索を可能とする。
【0071】
一方、送信先メールアドレス決定方法が直接入力であった場合(ステップS61/YES)、送信先メールアドレスを決定するまでの動作は、実施形態1と同様である(ステップS18、ステップS22〜S24)。
【0072】
そして、送信先メールアドレスが決定したら、ユーザ300は、キー操作入力処理部103及び画面表示処理部104を通じて、送信メールの本文を入力、決定し(ステップS74)、無線通信処理部102を通じて、メールを送信する(ステップS75)。
【0073】
図6は、本実施形態本実施形態の携帯通信端末におけるメール受信機能の制御動作の流れを示したフローチャートである。
【0074】
まず、メールを受信すると、無線通信処理部102は、基地局200から送信された電波を受信し、メールを受信したという信号をメイン処理部101に伝達する(ステップS81)。
【0075】
次に、メイン処理部101は、受信したメール情報を受信済メール記録部107に記録した上で(ステップS82)、制御データ記録部106に記録されているロック状態を参照して判定を行う(ステップS83)。
【0076】
ロック状態がロックモードであった場合(ステップS83/YES)、メイン処理部101は、画面表示処理部104には何も指示せず、ユーザ300に受信メールが存在することを通知しない(ステップS84)。
【0077】
ロック状態が通常モード、メール送受信時電話帳参照抑止モード、あるいはメール送受信時アドレス表示モードのいずれかであった場合(ステップS83/NO)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300にメールを受信した旨を通知し、受信メールのリスト画面を表示するか否かを選択して入力させるように画面表示する(ステップS85)。
【0078】
そして、ユーザ300は、キー操作入力処理部103を通じて、受信メールのリスト画面を表示するか否かを指定して入力する。キー操作入力処理部103は、入力されたリスト画面表示可否指定を受け付け、メイン処理部101に伝達する(ステップS86)。
【0079】
続いて、メイン処理部101は、キー操作処理部103から伝達されたリスト画面表示可否指定を参照して判定を行う(ステップS87)。
【0080】
リスト画面表示可否指定で表示しないように指定された場合(ステップS87/NO)、画面表示処理部104を通じて、受信済み未読メールが存在することを画面表示する(ステップS88)。
【0081】
リスト画面表示可否指定で表示するように指定された場合(ステップS87/YES)、制御データ記録部106に記録されているロック状態を参照して判定を行う(ステップS89、ステップS90)。
【0082】
ロック状態がメール送受信時電話帳参照抑止モードであった場合(ステップS89/YES)、メイン処理部101は、画面表示処理部104を通じて、ユーザ300に受信メールリスト参照不可である旨を通知する(ステップS91)。
【0083】
ロック状態がメール送受信時アドレス表示モードであった場合(ステップS90/YES)、メイン処理部101は、受信済メール記録部107を参照して受信済メールのリストを取得し(ステップS92)、画面表示処理部104を通じて、受信メールの送信元メールアドレスのリストを画面表示する(ステップS93)。なお、この場合、画面表示された送信元メールアドレスのリストからは、対応する受信メールの本文を表示することはできない。
【0084】
ロック状態が通常モードであった場合(ステップS90/NO)、受信メールの本文を表示するまでの動作は、実施形態1と同様である(図4のステップS51〜S57)。
【0085】
本実施形態の効果は、ユーザの意思に基づいて設定されるロック状態をさらに細分化し、より具体的なユーザの要望に沿ったレベルで提供可能なサービスを制御することが可能となる。例えば、ロック状態をメール送受信時電話帳参照抑止モードに設定しておけば、メール送信の際には、送信先メールアドレス決定方法が電話帳データ参照と指定されたときでも、電話帳データの参照を防ぐことができ、メール受信の際には、リスト画面を表示するように指定されたときでも、受信メールリストの参照を防止することができる。また、ロック状態をメール送受信時アドレス表示モードに設定しておけば、メール送信の際には、送信先メールアドレス決定方法が電話帳データ参照と指定されたときに、所望のメールアドレスを取得することができ、メール受信の際には、リスト画面を表示するように指定されたときに、受信済メールのリストを取得できる。
【0086】
先に述べてきた本発明の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、すなわち記憶メディアを携帯通信端末に供給し、携帯通信端末のコンピュータ(CPU)が記憶メディアに格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、本発明の目的は達成される。
【0087】
この場合、記憶メディアから読み出されたプログラムコード自体が前述の実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成する。
【0088】
また、プログラムコードを供給するための記憶メディアとしては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、不揮発性のメモリカード、ROM、磁気テープ等を用いることができる。
【0089】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯電話機におけるロック状態切替動作の流れを示したフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯電話機メール送信機能の制御動作の流れを示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る携帯電話機メール受信機能の制御動作の流れを示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る携帯電話機メール送信機能の制御動作の流れを示したフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る携帯電話機メール受信機能の制御動作の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
100 携帯電話機
101 メイン処理部
102 無線通信処理部
103 キー操作入力処理部
104 画面表示処理部
105 電話帳データ記録部
106 制御データ記録部
107 受信済メール記録部
200 基地局
300 ユーザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メール送受信機能と、携帯通信端末に記録された個人情報を参照して動作する機能のみを抑止する個人情報保護機能とを備える携帯通信端末であって、
前記メール送受信機能についての機能制限状態に関する情報を格納するとともに、前記個人情報保護機能を実現するために必要な個人認証情報を格納する制御データ格納手段と、
前記携帯通信端末に格納されているデータを参照又は更新し、前記携帯通信端末内の処理手段への各種処理の指示を行うメイン制御手段とを有し、
前記メイン制御手段は、前記制御データ格納手段により格納された機能制限状態に関する情報に基づいて、前記メール送受信機能の制御を行うことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記機能制限状態は、メールの送信及び受信を全面的に制限するロックモードと、
メールの送信及び受信を部分的に制限する部分許容ロックモードと、メールの送信及び受信を制限しない通常モードの3段階のモードを有することを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記メイン制御手段は、前記機能制限状態が前記ロックモードの場合には、送信メールの作成について動作不可とし、前記機能制限状態が前記部分許容ロックモードの場合には、前記送信メールの作成について動作可能とするとともに、電話帳データの参照について動作不可とする制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記メイン制御手段は、前記機能制限状態が前記ロックモードの場合には、受信メールの通知について動作不可とし、前記機能制限状態が前記部分許容ロックモードの場合には、前記受信メールの通知について動作可能とするとともに、受信メールリストの参照について動作不可とする制御を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記部分許容ロックモードは、メールの送受信時に電話帳データの参照を全面的に制限する電話帳データ参照抑止モードと、メールの送受信時に前記電話帳データ内のメールアドレスの参照を許容するアドレス参照許容モードとを有することを特徴とする請求項2に記載の携帯通信端末。
【請求項6】
前記メイン制御手段は、前記機能制限状態が前記ロックモードの場合には、送信メールの作成について動作不可とし、前記機能制限状態が前記電話帳データ参照抑止モードの場合には、前記送信メールの作成について動作可能とするとともに、前記電話帳データの参照について動作不可とし、前記機能制限状態がアドレス参照許容モードの場合には、前記送信メールの作成及び前記電話帳データ内の前記メールアドレスの参照について動作可能とするとともに、前記メールアドレス以外の前記電話帳データの参照について動作不可とする制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の携帯通信端末。
【請求項7】
前記メイン制御手段は、前記機能制限状態が前記ロックモードの場合には、受信メールの通知について動作不可とし、前記機能制限状態が前記電話帳データ参照抑止モードの場合には、前記受信メールの通知について動作可能とするとともに、受信メールリストの参照について動作不可とし、前記機能制限状態がアドレス参照許容モードの場合には、前記受信メールの通知及び前記受信メールリスト内の前記メールアドレスの参照について動作可能とし、前記受信メールリスト内のメール本文の参照について動作不可とする制御を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の携帯通信端末。
【請求項8】
メール送受信機能と、携帯通信端末に記録された個人情報を参照して動作する機能のみを抑止する個人情報保護機能とを備え、前記メール送受信機能についての機能制限状態に関する情報を格納するとともに、前記個人情報保護機能を実現するために必要な個人認証情報を格納する制御データ格納手段を有する携帯通信端末のメール送受信機能制御方法であって、
前記携帯通信端末に格納されているデータを参照又は更新し、前記携帯通信端末内の処理手段への各種処理の指示を行うメイン制御工程を有し、
前記メイン制御工程は、前記制御データ格納手段により格納された機能制限状態に関する情報に基づいて、前記メール送受信機能の制御を行うことを特徴とする携帯通信端末のメール送受信機能制御方法。
【請求項9】
前記機能制限状態は、メールの送信及び受信を全面的に制限するロックモードと、
メールの送信及び受信を部分的に制限する部分許容ロックモードと、メールの送信及び受信を制限しない通常モードの3段階のモードを有することを特徴とする請求項8に記載の携帯通信端末のメール送受信機能制御方法。
【請求項10】
前記メイン制御工程は、前記機能制限状態が前記ロックモードの場合には、送信メールの作成について動作不可とし、前記機能制限状態が前記部分許容ロックモードの場合には、前記送信メールの作成について動作可能とするとともに、電話帳データの参照について動作不可とする制御を行うことを特徴とする請求項9に記載の携帯通信端末のメール送受信機能制御方法。
【請求項11】
前記メイン制御工程は、前記機能制限状態が前記ロックモードの場合には、受信メールの通知について動作不可とし、前記機能制限状態が前記部分許容ロックモードの場合には、前記受信メールの通知について動作可能とするとともに、受信メールリストの参照について動作不可とする制御を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の携帯通信端末のメール送受信機能制御方法。
【請求項12】
前記部分許容ロックモードは、メールの送受信時に電話帳データの参照を全面的に制限する電話帳データ参照抑止モードと、メールの送受信時に前記電話帳データ内のメールアドレスの参照を許容するアドレス参照許容モードとを有することを特徴とする請求項9に記載の携帯通信端末のメール送受信機能制御方法。
【請求項13】
前記メイン制御工程は、前記機能制限状態が前記ロックモードの場合には、送信メールの作成について動作不可とし、前記機能制限状態が前記電話帳データ参照抑止モードの場合には、前記送信メールの作成について動作可能とするとともに、前記電話帳データの参照について動作不可とし、前記機能制限状態がアドレス参照許容モードの場合には、前記送信メールの作成及び前記電話帳データ内の前記メールアドレスの参照について動作可能とするとともに、前記メールアドレス以外の前記電話帳データの参照について動作不可とする制御を行うことを特徴とする請求項12に記載の携帯通信端末のメール送受信機能制御方法。
【請求項14】
前記メイン制御工程は、前記機能制限状態が前記ロックモードの場合には、受信メールの通知について動作不可とし、前記機能制限状態が前記電話帳データ参照抑止モードの場合には、前記受信メールの通知について動作可能とするとともに、受信メールリストの参照について動作不可とし、前記機能制限状態がアドレス参照許容モードの場合には、前記受信メールの通知及び前記受信メールリスト内の前記メールアドレスの参照について動作可能とし、前記受信メールリスト内のメール本文の参照について動作不可とする制御を行うことを特徴とする請求項12又は13に記載の携帯通信端末のメール送受信機能制御方法。
【請求項15】
請求項8から14に記載の携帯通信端末のメール送受信機能制御方法を携帯通信端末に実行させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−295176(P2007−295176A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119259(P2006−119259)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】