説明

携帯電話機の制御方法、携帯電話機制御機構、および携帯電話機

【課題】携帯電話機の使用が他人迷惑とならないように携帯電話機の使用を制御する。
【解決手段】携帯電話機2が、入口エリア4Xの携帯電話機制御装置1X1の電波照射エリアに入ると、携帯電話機制御装置1X1によって携帯電話機2の電源部17がオンされる。携帯電話機2が次に、入口エリア4Xの携帯電話機制御装置1X2の電波照射エリアに入ると、携帯電話機制御装置1X2によって携帯電話機2の電源部17がオフされる。ユーザが閉空間3から出口エリア4Yへ出ると、携帯電話機2は、携帯電話機制御装置1Yによって電源部17がオンされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機の使用が他人の迷惑となるような場所での携帯電話機の使用を抑制するように携帯電話機を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
映画館や、劇場、公共施設等、携帯電話機の使用が著しく他人の迷惑になるような閉じた空間がある。このような空間での電源オフやマナーモードへの移行は、個人のマナー・モラルに任せられており、現状守られているとは言い難い。
【0003】
なお、特許文献1は、単一の無線波を使用し、外部からの自動制御で携帯電話等の無線送受信装置の動作を停止、または再起動し、携帯電話の着信音による他人への迷惑を防止する無線送受信装置を開示している。
【特許文献1】特開2003−87399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、携帯電話機の使用が他人の迷惑となり、さらには禁止されているような場所において、携帯電話機の使用を抑制する、携帯電話機の制御方法、携帯電話機制御機構、および携帯電話機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
RFID(Radio Frequency Identification)で使用できる無線帯の相異なる複数の所定の周波数の電波を用いる携帯電話制御装置を、携帯電話機の使用が他人の迷惑となるような閉空間の入口エリアと出口エリアに設置し、携帯電話制御装置(RFIDリーダライタ)から電波を照射する。この電波を受信した携帯電話機は、アクティブな電波の組み合わせに応じた制御(電源オン/オフ、動作モードの制御)を行う。
【0006】
閉空間の入口にユーザが入ると、携帯電話機の電源がオンでなければオンにした後、該携帯電話機を、電源オフまたは所定の動作モードの状態にし、その後ユーザが閉空間の出口に出てくると、携帯電話機の電源を、携帯電話機が電源オフの状態ならばオンにし、携帯電話機が所定の動作モードであるならば、該モードを解除する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、RFID無線帯の周波数を複数組み合わせ、閉空間の入口エリア、出口エリアにて携帯電話機を制御することで、ある閉空間において迷惑となるような携帯電話の使用を、遠隔操作にて規制できる効果がある。
【0008】
また、閉空間に入る前に電源をオフにした場合、閉空間から出る場合に電源をオン状態に復旧するので、携帯電話機の使用者は携帯電話機の使用を規制される閉空間において、電源のオン/オフを意識する必要がない。
【0009】
携帯電話機の制御を行うのに、閉空間の入口エリア、出口エリアにおいて検出すべき無線の電波があるかどうかを判定するだけであり、RFIDで使用されるようなコマンドデータの解析回路を必要としない。このため、携帯電話機の解析部も単純な組み合わせ回路にて実現できる。さらに、電波の検出は、その回路への電力(電流)の発生のみを監視し検出するため、従来の無線タグ回路も併用して使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態のシステム構成を示している。閉空間3の入口エリア4Xに携帯電話機制御装置1X1、1X2が設置され、閉空間3の出口エリア4Yに携帯電話機制御装置1Yが設置されている。
【0012】
携帯電話制御装置1X1、1X2、1Yは、図2Aに示すように、それぞれ電波A、電波B、電波Cを送受信するRFIDリーダライタ11A、11B、11Cから構成されている。なお、以下において、携帯電話制御装置1X1、1X2、1Yを区別しない場合、携帯電話制御装置1と称す。
【0013】
携帯電話機2は、図2Bに示すように、電波A用の送受信部11A、タグ回路12A、電波検出回路13A、電波B用の送受信部11B、タグ回路12B、電波検出回路13B、電波C用の送受信部11C、タグ回路12C、電波検出回路13C、解析部14、回路制御部15、電源制御部16、電源部17を有している。なお、携帯電話機本来の入力回路、表示回路、処理回路等は本発明とは直接関係がないため、図示が省略されている。
【0014】
送受信部11A、11B、11Cは、携帯電話制御装置1内の各RFIDリーダライタ1A、1B、1Cから照射された電波A、B、Cを受信し、各回路12A、12B、12Cへ電力(電流)を供給する。また、送受信部11A、11B、11Cは、各タグ回路12A、12B、12Cからのデータを携帯電話制御装置1に送信する。タグ回路12A、12B、12Cは、従来の無線ICタグ回路で、RFIDリーダライタ1A、1B、1Cからの要求に応じて、データの出力・書換えを行うものである。電波検出回路13A、13B、13Cは、各送受信部11A、11B、11Cでそれぞれ指定された周波数の電波A、B、Cを受信したかどうかを検出する回路で、検出した場合はその旨を解析部14へ通知する。本電波検出回路は、電圧(電流)の発生を監視する簡単な作りのものである。解析部14は、各電波検出回路13A、13B、13Cからの情報を元に、携帯電話機2をどのような制御モードに遷移させるかの解析を行い、その結果として回路制御部15、電源制御部16へ制御モードを通知する制御モード通知信号18、19を出力する。解析部14から通知される制御モードは本実施形態では、表1に示される4つである。
【0015】
【表1】

【0016】
回路制御部15は、携帯電話機2の電源がオンの時のみ動作可能で、解析部14より通知された制御モードが示すモードになるように携帯電話機2の制御を行う。例えば、電波Aと電波Bが検出された場合(制御モード1)、携帯電話機2をマナーモードへと遷移させる。電波Aと電波Cが検出された場合(制御モード2)、携帯電話機2をドライブモードへと遷移させる。電波Bと電波Cが検出された場合(制御モード3)、携帯電話機2の電源(電源部17)をオンする。電波Aと電波Bと電波Cが検出された場合(制御モード4)、携帯電話機2の電源(電源部17)をオフする。回路制御部15は、制御モードが「4」(電源オフ)である時は、携帯電話機2の電源を電源制御部16によりオフに遷移させた後、電源制御部16のスイッチをオン側に切り替える指示を出す。電源制御部16は、解析部14からの電源オンの制御モード通知信号19を、スイッチがオン側の時のみに電源部17へ送り、携帯電話機2の電源をオンするように指示する。
【0017】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0018】
携帯電話機2を持ったユーザが、入口エリア4Xの携帯電話機制御装置1X1の電波照射エリアに入ると、携帯電話機制御装置1X1のそれぞれRFIDリーダライタ1B、1Cから送信された電波B、Cが送受信部11B、11Cで受信され、電波検出回路13B、13Cで検出される。解析部14は、電波B、Cが検出されたことをそれぞれ電波検出回路13B、13Cから通知されると、表1から携帯電話機の制御モードが「3」であると解析し、回路制御部15、電源制御部16を経て電源部17をオンにする。
【0019】
携帯電話機2を持ったユーザが次に、入口エリア4Xの携帯電話機制御装置1X2の電波照射エリアに入ると、携帯電話機制御装置1X2のそれぞれRFIDリーダライタ1A、1B、1Cから送信された電波A、B、Cが送受信部11A、11B、11Cで受信され、電波検出回路13A、13B、13Cで検出される。解析部14は、電波A、B、Cが検出されたことをそれぞれ電波検出回路13A、13B、13Cから通知されると、表1から携帯電話機2の制御モードが「4」であると解析し、回路制御部15、電源制御部16を経て電源部17をオフにする。この後、回路制御部15より、電源オフの制御モード通知を受信した電源制御部16は、自内のスイッチをオン側へと切り替える。これにより、携帯電話機制御装置1からの制御モードが「3」(電源オンモード)であった場合に、解析部14からの電源オンモード通知信号19を電源制御部16にバイパスできるようになる。逆に、本スイッチがオン側に切り替わらない限り(一度、携帯電話機制御装置1から電源オフモードへの移行制御が行われない限り)、電源オン要求の受信によって携帯電話機2の電源をオン状態に移行できない。これはユーザが閉空間3を出る時に、携帯電話機2を閉空間3へ入る前の携帯電話機2の状態へ戻すために必要な仕組みとなる。
【0020】
ユーザが閉空間3から出口エリア4Yへ出ると、携帯電話機2は、携帯電話機制御装置1Yから電波B、C(電源オン要求)を受信する。ここで、電源制御部16のスイッチはオン側であるので携帯電話機制御装置1Yからの電源オン要求が電源部17に入力される。よって、携帯電話機2の電源を閉空間3に入る前のオン状態へと復旧できる。閉空間3に入る前の状態が電源オフであるならば、携帯電話機制御装置1の電源オン/オフ要求は受け付けられず、スイッチもオフのままである。このため、閉空間3から出る場合も電源オフの状態が維持されることになる。
【0021】
なお、入口エリア4Xにユーザが入ったとき携帯電話機2の電源がオンの場合、携帯電話機制御装置1X1からの電源オン通知は無視され、次の携帯電話機制御装置1X2からの電源オフ通知を受信することとなり、携帯電話機2の電源はオフ状態へと移行する。
【0022】
また、携帯電話機制御装置1X2からの制御モードがマナーモードの場合、携帯電話機2は携帯電話機制御装置1X2でマナーモードに移行させられる。そして、ユーザが閉空間3から出口エリア4Yに出てくると、携帯電話機制御装置1Yによって携帯電話機2はマナーモードを解除され、電源オンになる。
【0023】
本実施形態は、従来のRFIDと混在可能な作りとなるため、RFIDとしての使用法も併せて具備できる。
【0024】
本実施形態では、RFID無線帯の使用する周波数を3つとしているが、使用周波数を4つ以上にし、携帯電話機を制御する動作モードを増やすことも考えられる。
【0025】
また、閉空間という観点から、本発明の自動車等への適用も考えられる。この場合、図3に示すように、エンジン始動・停止検出回路5を携帯電話機制御装置1に接続し、エンジン始動時に、携帯電話機2の電源をオフまたはドライブモードへ移行し、エンジン停止時に携帯電話機2の電源をオンしまたはドライブモードを解除する。同様に、バスでは、乗車口、降車口での上記の実施形態と同様の携帯電話機制御が考えられる。
【0026】
図1の携帯電話機制御装置1X1と1X2を統合してもよい。さらに、図1の携帯電話制御装置1X1と1X2と1Yを統合し、別途設けたセンサによってユーザが閉空間3に入ろうとしているのか、閉空間3から出たのかを検出して、携帯電話機制御装置の動作モードを切り替えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態のシステム構成図である。
【図2A】携帯電話機制御装置のブロック図である。
【図2B】携帯電話機のブロック図である。
【図3】本発明を自動車に適用した場合の携帯電話機制御装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1X1、1X2、1Y 携帯電話機制御装置
1A、1B、1C RFIDリーダライタ
2 携帯電話機
3 閉空間
4X 入口エリア
4Y 出口エリア
5 エンジン始動・停止検出回路
11A、11B、11C 送受信部
12A、12B、12C タグ回路
13A、13B、13C 電波検出回路
14 解析部
15 回路制御部
16 電源制御部
17 電源部
18、19 制御モード通知信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉空間に入り、該閉空間から出ようとするユーザが持った携帯電話機を制御する方法であって、
RFIDで使用できる無線帯の相異なる複数の所定の周波数の電波を用い、前記閉空間の入口にユーザが入ると、前記携帯電話機の電源がオンでなければオンにした後、該携帯電話機を、電源オフまたは所定の動作モードの状態にし、その後前記ユーザが前記閉空間の出口に出てくると、前記携帯電話機の電源を、前記携帯電話機が電源オフの状態ならばオンにし、前記携帯電話機が所定の動作モードであるならば、該モードを解除する、携帯電話機の制御方法。
【請求項2】
自動車内での携帯電話機を制御する方法であって、
RFIDで使用できる無線帯の相異なる複数の所定の周波数の電波を用い、ドライバが自動車のエンジンを始動させると、ドライバが持った携帯電話機の電源がオンでなければオンにした後、該携帯電話機を、電源オフまたはドライブモードの状態にし、その後前記ドライバが前記エンジンを停止させると、前記携帯電話機の電源を、前記携帯電話機が電源オフの状態ならばオンにし、前記携帯電話機がドライブモードであるならば、該モードを解除する、携帯電話機の制御方法。
【請求項3】
RFIDで使用できる無線帯の相異なる複数の所定の周波数の電波を照射可能で、これら電波のうちアクティブな電波の所定の組み合わせに応じて、該電波を受信した携帯電話機の電源のオン/オフおよび動作モードの制御を行う携帯電話機制御装置。
【請求項4】
各周波数のRFIDリーダライタを含む、請求項3に記載の携帯電話制御装置。
【請求項5】
前記の所定の周波数の電波の数が3つである、請求項3または4に記載の携帯電話制御装置。
【請求項6】
携帯電話機において、
請求項3に記載の携帯電話機制御装置から照射された各周波数の電波を検出する電波検出部と、
前記電波検出部で検出された電波の組み合わせに応じて前記携帯電話機を遷移させるべき電源状態または動作モードを示す制御信号を出力する解析部と、
前記解析部から出力された制御信号に応じて前記携帯電話機の電源状態または動作モードを切り替える信号を出力する回路制御部と、
前記回路制御部から電源オフの切替信号が出力されると、該携帯電話機の電源部をオフし、その後、前記解析部から前記携帯電話機の電源部をオンにする信号が出力されると、この信号を直接受けて前記携帯電話機の電源部をオンにする電源制御部と
を有する携帯電話機。
【請求項7】
前記電波検出部は、前記携帯電話機制御装置内の対応するRFIDリーダライタからの要求に応じて、データの出力・書き換えを行うタグ回路と、前記携帯電話機制御装置内の対応するRFIDリーダライタから照射された電波を受信し、また前記タグ回路からのデータを前記RFIDリーダライタに送信する送受信部と、前記送受信部で指定された電波が受信されたかどうかを検出する電波検出回路を含む、請求項6に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−68392(P2010−68392A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234569(P2008−234569)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】